楽天モバイル

提供: きまぐれ手記 Kimagurenote
2019年9月8日 (日) 21:18時点におけるCory (トーク | 投稿記録)による版 (<youtube>QF4SjtmQh6Q</youtube>)
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楽天モバイル(らくてん - )は、楽天グループが提供するモバイル通信サービス(とその提供会社)。

楽天グループ本社(楽天株式会社)が直営していたが、同社がMNO事業へ参入するに際し、2019年4月より楽天モバイルに分社化された。ただしインターネット網の運営は同グループ子会社の楽天コミュニケーションズ(旧フュージョン・コミュニケーションズ)が担っているようだ。また、通話も一部を同社が担っている(→#スーパーホーダイ)。

2019年9月まではMVNO専業だが、2019年10月よりMNOサービス(自社回線)開始予定(ただし当面は無料の試験サービス)。

MVNOサービス

RakutenMobile SIM package.jpg

NTTドコモ網とau網を借りて提供されており、同社では各々「ドコモ回線」「au回線」と呼称している。(「Dプラン」「タイプA」のような書き方をするMVNO事業者が多いので、直接的な呼称は珍しい。)

SIMのみの提供と端末セット提供のいずれも行っており、SIMのみで契約する人向けに対応端末の情報提供が行われている。 販売端末は全てSIMフリーで、売れ筋のHuawei製、AQUOS R compact などのシャープ製、R17 Pro などのOPPO製、さらに Essential Phone のような珍しい端末も扱っており、MVNOにしては幅が広い。(ただし、#MNOサービスにも対応する機種は限られる。)

2019年8月時点では OPPO AX7 を5千円ほどの格安で販売しているが、このような特価販売は「三木谷割」と呼ばれるほど定番化していた。

2019年10月からの変更点

しかし、2019年10月以降端末値引きが規制される

これに伴い、2019年10月以降の新規契約(MNPを含む)では最低利用期間(契約解除料)および長期割(長期契約を結ぶことを条件とする値引き)が撤廃される。また、「スーパーホーダイ」プランに限り楽天会員に適用される「楽天会員割」の値引き期間が1年に短縮されるとともに、月額1,500円に増額される(長期割廃止に伴う調整と思われる、総額では現行の2年契約時の値引き額と同等になる)。

最低利用期間(契約解除料)や「長期割」の撤廃および「楽天会員割」の増額は2019年9月までの契約には適用されないので、現行の端末を安く購入したい人や、3年以上使うつもりの人は、9月中の契約が得かもしれない。または、持ち込みや中古の端末を使うつもりの人や、とりあえずお試しで使ってみたい場合などは10月以降の契約が良いかもしれない。

また、2019年秋モデルとしてスマートフォンが7機種、モバイルルータが2機種、発売予定。これらは全て、楽天の自社回線(#MNOサービス)とMNVOサービスの両方で使える。

ドコモ回線

文字通り、NTTドコモの回線を使うMVNOサービス。

以前はNTTPCコミュニケーションズ(MVNE)の回線を借りてサービス提供していた(APN: vdm.jp)が、2015年10月頃から直接接続(L2接続)を開始した(APN: rmobile.jp)。 2017年2月にはALADIN(ドコモの顧客管理システム)への接続も実施しており、以降、MNP転入の際はSIM着荷後にユーザ側で切り替えられる(同社では「ご自宅MNP」と呼んでいる)。

同社が推奨する「スーパーホーダイ」はドコモ回線でのみ利用できる(#au回線は「組み合わせプラン」のみ)。

スーパーホーダイ

2017年9月より始まった料金プラン。対して従来の料金プランは「組み合わせプラン」と呼ばれる。

従来の「組み合わせプラン」がMVNOによくある形態(月間データ通信量で選択する基本プラン+通話オプション)であるのに対し、「スーパーホーダイ」はワイモバイルのスマホプラン(とそれを意識したUQモバイルの「おしゃべりプラン」等)を意識したような料金プランになっている。つまり、データ通信量別にプランが分かれるが、S/M/Lの3段階くらい(楽天モバイルでは2018年6月よりLLが追加されて4段階になった)に簡素化されており、短時間通話定額が込みになっているのが特徴。

おのずと通話がセットになるので、データSIM(SMS付を含む)では利用できない。

通話は10分定額で、月間データ量はS/M/L/LLの4段階。

通話の10分定額は、電話番号の手前に 003768 を付けて発信した場合にのみ適用される。専用の通話発信用アプリが提供されており(Androidのみ)、このアプリの利用が推奨されているが、iPhoneやフィーチャーフォン(いわゆるガラケー)でもプレフィクス番号を付ければ利用できる。逆にAndroidでもアプリを入れただけではだめで、例えば電話機・スマートフォンに標準搭載の連絡帳アプリからそのまま発信すると通話定額が適用されないので要注意。

この番号はプレフィクス番号と呼ばれ、0037は楽天コミュニケーションズの識別番号。つまり中継電話サービスの一種。楽天コミュニケーションズを経由することでドコモ(またはKDDI)に支払う接続料を減らし、通話料を引き下げている。

通話SIMであれば、相互にプラン変更可能。ただし、「スーパーホーダイ」から「組み合わせプラン」へ変更すると違約金を請求されることがある。

なお、通話の10分定額サービスは「組み合わせプラン」でも別料金(月額850円税別)で利用できる

au回線

au(KDDI)の回線を使うMVNOサービス。 楽天ではサービス開始以降しばらく#ドコモ回線のみを提供していたが、2018年10月よりau回線の提供を始めた。

ただし選択できる料金プランは従来の「組み合わせプラン」のみで、近頃同社が推している「#スーパーホーダイ」ではau回線を利用できない。また、au回線の利用はホームページから申し込んだ時のみ可能で、店頭契約ではau回線を選択できない(店頭ではドコモ一択)など、差をつけている。開始から10ヶ月経った2019年8月になってもこの状況が続いており、同社はau回線をなぜ提供したのか、いまいち位置づけがわからない。

APNは a.rmobile.jp だが、MVNEはIIJのようで、インターネット接続時にIIJのIPアドレスが使われる(ドメインvmobile.jp)。そのためIIJmioと同様にIPv4ではプライベートアドレスが割り当てられるが、IPv4/v6デュアルスタックになっており、IPv6グローバルアドレスを同時に利用でき、その意味では使い勝手が良くなっている。

ただし、実効伝送レート(いわゆる通信速度)はお察し(;_;)。とりわけping値の悪さが目立つ。 もっとも筆者はIIJmioも契約しているが、そちらも五十歩百歩で遅い(ここまで悪くはないが…でも悪いので諦めて電測くらいにしか使っていないため影響はない)ので、楽天が悪いというよりIIJが遅いのかもしれないが。

公式Webページからau回線を申し込むと、契約事務手数料(3406円)が無料になるキャンペーンが実施されている(2019年9月まで)。

au回線からドコモ回線へ(または逆)の変更はできない。

同社MVNOサービス au回線(MVNEはIIJ)での測定例。比較的空いている平日の午前11時台でこんな感じ。平均伝送レート(速度)も良くないが、ping値の悪さが目立つ。混雑する平日の12時台は測定不能だった。

雑感

以前はスピードテストのみ増速しているという指摘を受けることもあったが、指摘が増えるにつれ、さすがにそれは無くなったのかな。 でも残念ながら底上げされたわけではないようで、筆者の感覚では、正直、使い勝手が悪い。

携帯電話屋の店員と話していて、楽天モバイルを使っていると言うと、ほぼ例外なく開口一番に「遅いでしょ」「使えないでしょ」と言われるので(笑)、個人の感想に留まらず、おそらく共通認識なのだろう。

筆者が使っているのは#au回線だが、聞くところ#ドコモ回線も評判が悪いので、おそらく大差ないのだろう。

もっとも、筆者は2019年秋から始まるMNOサービスを試してみたくて最近契約したクチなので、そもそも今は予備の予備くらいにしか使っていない(普段MVNO回線はBIGLOBEをよく使っており快適)ので構わないのだが、正直、筆者は楽天モバイル(やIIJmio)をメインにする気にはなれない。

とはいえ明らかに安くなるので、通話とメール・メッセージが主で、たまにWebなどをそこそこ使えれば充分といったライトユーザー向けには良いだろうし、そういう市場は決して小さくないだろう。

ちなみに同様に同業者(笑)の間では評判が悪いフリービット(MVNE)を使ったTONEモバイルは、使う人によっては不満がないという。 フリービットの回線は、いわゆる通信速度(平均伝送レート)は悪い(=大きなデータの転送は遅い)が、ping値が小さい(=反応が良い)と聞く。 もちろん、TONEモバイルは子どもや高齢者の利用に適した付加価値を付けたサービスを提供していることも評価を分けるだろう。使い方によって適否が分かれることをよく示している。

誤解してほしくないのだが、バリバリ使う人から見れば「使えない」ということであり、万人に使えないということではない。一定の加入者数を維持しているのは、これでも十分使え、メリットを感じている人が少なくないことの証だろう。

2018年3月時点で160万契約を超えており2019年6月には DMM mobile を加えて200万契約を超える。 実際に大手MNOと比べれば「格安」なことは確かだし、いわゆる「縛り」が自動更新されない(初回の「縛り」期間を過ぎればいつでも解約金不要になる)など、契約条件も大手MNOと比べれば緩やかで合理的。楽天グループのサービスやポイントに親しんでいる利用者には特典も魅力的に映るかもしれない。

技術で定評のあるIIJmioも、筆者の感覚では大差ない。使える時にはそこそこ使えて、使えない時には使えない。そのパターンや程度が自分に合っていれば問題ないので、まずは自分の使い方を知ること、次にできる範囲でいろいろと試してみることが肝要だ。

MNOサービス

同社では「自社回線」と呼んでいる。2019年10月より順次開始予定だが、まずは限定して始め(ホップ)、次にWebでの受付を始め(ステップ)、数ヶ月かけてリアル店舗に拡大(ジャンプ)するとされていた。

2019年 9月 6日に正式発表され、10月からは「無料サポータープログラム」を開始、その状況を見て商用サービスは数ヶ月後に開始されるようだ。

同社には、2018年4月に1.7GHz帯が40MHz幅で割り当てられた。おそらく FD-LTE Band 3 でサービス提供されると思われる。

現在の楽天モバイル(MVNO) au回線SIMで一般的に掴むバンドは 1と18(または26)。MNOサービス開始後もしばらくはローミングサービスで同様のバンド構成が必要になるだろう

当面は東京23区名古屋市大阪市では自社回線のみ(地下鉄およびビル内基地局はローミング併用)で提供し、近隣の3大都市圏ではローミングを併用しながら自社回線でのカバーを目指す。全国サービスはauへのローミングでカバーする計画。

au(KDDI)とのローミング契約は、東京23区、大阪市、名古屋市、混雑エリアを除く日本全国で、提供期間は2026年3月末までという契約になっているよう。

つまり、東京23区、大阪市、名古屋市を除く全国では当面の間auのエリアで利用できると期待される。

2019年3月14日10:00以降に新規契約した同社MVNOサービスの利用者は、2019年10月以降順次送付されるSIMカードに交換することで、MNOサービスに切り替えられることになっている(切り替えたくない場合はSIMカードを交換しなければ良い)。

2019年9月6日発表により、10月から始まるのは「無料サポータープログラム」のみで、商用サービス開始は事実上延期されたので、早くて数ヶ月後だろうか。

ただし、同社自社回線に対応する機種は限られており、これ以外の機種は非対応とされている。

対応バンドとローミング

FD-LTE Band 3 は国際バンドなので対応している機種は多いが、ローミング先となるauの主要バンド(FD-LTE Band 1, 18, 26)にも対応している機種は限られることと、さらに VoLTE やそのハンドオーバーにも対応する必要がある(楽天モバイル自社回線では3Gを提供しないためCSFBは使えない)ことから、対応機種を限ったのだろう。

実際、VoLTE に対応した端末でもキャリアによって使えたり使えなかったりする(例えば OPPO R17 Pro ではauとワイモバイルのVoLTEは使えるが、ドコモのVoLTEは使えない)ありさまなので、楽天モバイルの仕様に合わせてファームウェアアップデートを約束してくれるメーカーの端末でないと、公式対応を謳えなかった面はあると思われる。

9月6日の記者会見後の質疑で語られていたが、ローミング先のauとのハンドオーバーに課題があり、現在使われている技術ではデータ通信のハンドオーバー(楽天網とau網の切替を指す、以下同様)は可能だが、切替時に2秒程度の通信断が発生するそうだ。

また、同社(およびローミング先のau)では3Gサービスを提供しないので、音声通話はVoLTEになる。現在はNTTドコモなどでも使われている音声ローミング方式「S8」を使っているが、これではハンドオーバー時に切断されてしまう。ドコモが韓国などで提供している海外ローミングでは問題にならないが、即時の切り替えが求められる国内ローミングでは問題になるわけだ

※同様の事例はおそらく欧州などでもあると思われるが、欧州での音声通話はまだCSFB(3G)が一般的で、VoLTEがそこまで普及していないのかもしれない。

そこで同社では、ハンドオーバー時にも音声通話が切断されないようにする「Link」という独自アプリを開発し、これを使うと回線切替時の音声通話の切断を回避できるという。また、新しい音声ローミング方式「S10」を採用予定で、この準備が整うのが2020年4月頃になるそうだ。

なお、独自アプリ「Link」を使わず、Android OS 標準の通話アプリも利用可能。この場合は、2020年3月頃までは、楽天網とau網が切り替わる際に通話が切れることになる。独自アプリ「Link」を使うことで、通話の切断を回避できるそうだ。

ところで、同社の2019年9月6日の発表では、「縛り無し。最低利用期間・違約金無し。携帯キャリア初、全機種SIMロックフリー」を強調していた。同日午前中には先手を打つかのようにソフトバンクが「契約期間も契約解除料もない料金プランに刷新」を発表し、これまでの長期契約が当たり前だった業界慣行が大きく変わることが示唆されたが、さらに楽天では全機種SIMロックフリーを打ち出した。

また、同日発表された7機種のうち Galaxy S10 を除く6機種は5万円以下で発売することも示され、従来のハイエンドに偏った、補助金頼みの高額販売からの転換も示唆された。

加えて、同社の新端末ではVoLTEの対応キャリアが明記されたようだ。今ではSIMフリー端末の仕様表には必須の対応バンド番号一覧だが、これが当たり前になったのは最近のことだ。楽天では対応VoLTEキャリアの表示も当たり前にしたいのだろう。

三木谷氏の「モバイルネットワークの民主化」という言い方が適切かは微妙だが(民主化と言うなら全面的な情報開示が必須)、縛りをなくし、SIMフリー端末を増やし、端末の仕様表にバンド番号や VoLTE対応ネットワークが明記されるといった流れは、利用者としても歓迎したい。

KDDI(au)との提携

少し余談になるが、楽天のMNO参入に際しての話題のひとつに、エリア展開の途上でどこへローミングするのかというものがあった。 2018年11月1日、両社(と沖縄セルラーを含む3社)は下記の発表をしている。

楽天モバイルはドコモのMVNOの中で最も勢いがあり、楽天市場や楽天ポイントで開拓した顧客基盤も持っていたことから、楽天がMNO参入を決める前までは、「スマートライフ」領域への事業拡大を目論んでいたドコモは内心楽天との提携に期待していた節を感じられた。しかしNTTグループのあまりに高飛車な態度に業を煮やしたのか、楽天はドコモの傘下(ドコモのMVNO)から飛び出して第四のMNOを目指す茨の道を選ぶこととなった。

楽天のMNO参入発表前後からNTTグループの楽天に対する態度が硬化するとともに、ドコモは「dポイント」や「d払い」の加盟店開拓に本腰を入れるなど、「スマートライフ」領域に経営資源を振り向けることになる。 対して三木谷氏が「MVNOは奴隷みたいなもの」という感想を漏らしていたことは、実に興味深い。

NTTグループでは他にも、憲法21条に抵触しかねない危険なサイトブロッキング問題では政府の意向に忖度して独断専行して見せたり、官邸が通信料金を「4割値下げ」と発言すればドコモはすぐに値下げ方針を打ち出し、直後に株価は暴落。株主よりも官邸に従う態度を見せつけた。 一方で世界最大の端末メーカーに登りつめた中国Huawei社のフラグシップ端末の国内販売を独占契約した上で延期しつつ、NTT持株会社社長が他社の経営判断に口出ししたかと思えば、その翌々週にはころっと掌を返すなど、パートナー企業や株主・ユーザへの誠意に欠ける言動が目立っているが、親方日の丸で他者は見下す体質の社風なのだろう。

話が逸れたが、楽天とKDDIの提携で興味深いのは、楽天が一方的にKDDIのネットワークを貸していただくという主従関係のような契約にはならず、対等にwin-winな関係を構築してみせた点にある。

KDDIが出すものは概ね整備済みのLTEネットワークだが、東京23区などの混雑地域は除外しており、負担が軽減されている。本業で構築したネットワークの余裕分を貸し出して接続料収入を得られ、持ち出しにはならないよう配慮されている。

一方で楽天が出すものには、決済インフラと倉庫・宅配配送網が挙がっている。

このうち決済インフラは、KDDIが後発の「au PAY」を展開する際に、楽天ペイの加盟店網に乗っかればスピード展開できる。KDDIの決済事業の全体に占める割合は微々たるものだろうが、そのためにかかる加盟店開拓の負担を軽減できる魅力は大きいだろう。一方で、楽天にとって決済事業は本業の一部なので、KDDIが本業で構築したネットワークを貸すのと同様だ。微々たるものだろうが決済手数料収入が得られ、持ち出しにはならない。

もうひとつ、「楽天スーパーロジスティクス」(フルフィルメント)や「Rakuten EXPRESS」(宅配)などの倉庫・宅配事業が挙がっている。

楽天の生業である楽天市場は、競合のAmazonなどに対し、配送料や配送便が店(テナント)ごとにバラバラなことが課題になっていた。さらにヤマト運輸に端を発した宅配配送料の値上がり傾向も重荷になっている中で、競合のAmazonやヨドバシカメラなどは先んじて自社配送網の拡充に乗り出している。楽天も遅まきながら、創業以来ずっとテナントに丸投げしていた配送に手を入れ始め、倉庫と配送網の構築に乗り出したところだった。 今はまだ「楽天21」などの一部のサービスで自社配送網を使っているにすぎないが、楽天市場に出店するテナントに共通の送料無料基準を要求するなど、大ナタを振るい始めている。

2020年初頭より一律3,980円以上の買い物で送料無料にするつもりのようだが、楽天の配送網が未整備の地域も含め、送料は全額店舗に負担させるつもりのようだ。楽天の配送網構築もまるで目途が立っていない様子。長続きしなさそう…本題からずれるので簡単に。

つまり楽天の配送網はまだ構築を始めたばかりのものだが、構築してもテナントが乗り換えてくれるとは限らない(楽天以外にAmazonやYahooにも出店しているテナントが多く、すでに Amazon FBA などの他社サービスを利用している所も多い)。 すると楽天にとっては宅配網を構築しても荷物が足りない(稼働率が下がる)状況が起こりうる。そこにKDDI(が運営するショッピングモール「Wowma!」)の荷物が乗れば、自社の配送網の利益率改善にも寄与することだろう。

このように、KDDIも楽天もwin-winとなる(互いに持ち出しにならず、隙間貸しで収入を得られる)提携話を見事に実現して見せたわけで、筆者も報に触れて感心しきりだった。

後日、本件についてKDDIの高橋社長は「我々が楽天と組まなければNTTドコモと組むだろう。そうなるよりは自ら組んだ方がメリットが大きい」と語っていたようで、もちろんそうした見方もあるだろう。とはいえ、筆者の見立てでは、楽天のドコモとのローミング交渉はブラフとまでは言わないが、上述の経緯から見るに、本命はKDDIだったのではと思える。KDDIにとっても宿敵であるNTTドコモが「スマートライフ」領域への展開を進める中で対抗する必要があり、しかしそのための基盤が脆弱な中で、楽天の提案は持ち出しがなく旨味はある、渡りに舟の提携話だったのだろう。

設備投資

同社では完全仮想化ネットワークを売りにしており、整備費用を抑えて柔軟性の高いネットワーク構築を目指しているようだ。

FD-LTE 1.8GHz RRA (Remote Radio Antenna) 同社の基地局はアンテナ(ノキア製)とブースターのみのコンパクトな設計になっているという

一方で、基地局の設置にかかる費用は無線機やネットワーク設備だけではなく、要は場所代や工事費用が大きいと考えられる。「仮想化」だけではそれらの説明になっていないので、同社の整備計画(の主に費用面)に疑問の声も挙がっていた(ご多分に漏れず、筆者も疑問に感じている[1][2])。

その後の発表によると、基地局側に制御装置を置かない(つまり基地局にはアンテナとブースターしか置かず、遠隔操作のようなことをする)ことにより設置場所や工事費用を軽減しているようだ。アンテナ自体も遠隔操作で角度等を調整できるという。

一方で、基地局設置に遅れが出ているとの指摘も受けている。 『東名阪を網羅する面の整備はできるが、多くが利用する都心部では基地局の密度が足りない』という理由のようだが、つまるところ筆者の懸念が的中している様子なので気がかり。

また、仮に計画通りに基地局設置が進んでいたとしても、大都市部では、エリアマップでは見えない圏外エリアが発生すると考えられる。

筆者は、かつてイーモバイルが1.7GHz帯(W-CDMA Band 9、現在は FD-LTE Band 3 に転用済)のみで提供されていた頃から使っていたが(PHSSony Ericsson mini S51SE を2台持ちしていた古き良き時代)、都心部ではビル陰やビル奥の会議室などで使えない経験をしている(当時はWiMAXなども併用していたし、基本的にパソコンを持ち歩いていたので、問題なかったのだが)。

当時のイーモバイルが手を抜いていたわけではないと思うし、いくら基地局を仮想化しようが電波特性は変わらず、設置場所こそが物を言う。日本の密集した大都市でのエリア展開は、鉄道駅や地下街・ビル内などに細かく構内基地局を打てるかにかかってくる。イーモバイル(現在のワイモバイル)やソフトバンクの根本的なエリア問題の解決は、「プラチナバンド」 (Band 8) が使えるようになってからだった。

2019年10月から始まる楽天のMNOサービスも、電波特性だけを考えれば、イーモバイルのエリアと大差ないことになると考えられる。auのローミングサービスを利用できる地域は良いが、東京都心などの大都市では使える場所が限られるだろう。

しかも地下鉄などでは圏外が当たり前だった当時と違って、今は(山などに行かなければ)どこでも圏内が当たり前の時代。Band 3 の電波特性などを理解してくれる一部の人には良いが、一般向けに提供されれば、ローミングが使えない大都市部では厳しい評価になるのではなかろうか。

とはいえ、完全仮想化ネットワークなど面白い取り組みをしていることは確か。筆者はしばらく2台持ちで同社のネットワークを試してみたいと思っており、2019年10月のサービスインを楽しみにしている。

5Gで使われる見込みの6GHz以下帯およびミリ波帯に対応する基地局 (RRH: Remote Radio Head) 波長が短くなるぶん小型化が進むが、カバーエリアは狭くなる

5G展開

ひとまず FD-LTE (4G) の整備からだが、今のご時世なのでもちろん5G整備も視野に入ってくる。当初使われる周波数帯は 3.7GHz帯(6GHz以下帯、sub-6GHz)と 28GHz帯(ミリ​波​帯、mmWave)。

同社は完全仮想化でネットワーク整備していることを考えると、原理上はソフトウェアを交換すれば5G対応にできる(異なる周波数帯を用いる場合はもちろんアンテナの増設・交換も必要)と考えられる。実際、同社でも『「5Gレディ」な構造』と公表している。

また、同社では電柱や送電鉄塔への基地局設置、auやソフトバンクとの基地局整備での協業も発表している。

サービス開始は当分先になるだろうが、2019年 9月 6日時点では、5G展開は計画通りとされていた。現在展開中の 4G (LTE) ネットワークを安定的に稼働させることができれば、そう遠くないうちに5G展開の話が具体化することだろう。

参考