楽天モバイル

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楽天モバイル Rakuten最強プラン
RakutenMobile simcard.jpg
SIMカード 標準/micro/nano 3サイズ対応
事業者 楽天モバイル
利用回線 楽天 (MNO) / au (ローミング)
開始日 2020年 4月 8日
通信方式 4G + 5G
5G Band(s) n3, n77, n257
4G Band(s) 3, 18/26
SIMカード マルチSIM (nano/micro/標準)
eSIM
SIMのみ契約
SIM交換手数料 0円
データ容量 無制限
超過時最大速度 無制限
データ節約 ×
データ繰越 ×
データ追加 [国内] 無制限 [海外] 550円/1GB
テザリング ○ 制限なし
IPv6対応 ◎ 標準対応
音声通話方式 VoLTE / IP電話
通話料 22円/30秒
通話定額 [Android] ○ 無料 要専用アプリ
[iPhone] 15分定額 1,100円
着信転送 ○ 標準対応
留守番電話 ○ 標準対応
非通知拒否 ×
SMS
キャリアメール
データシェア ×
国際ローミング ○ 2GBまで込み
月額基本料金 1,078~3,278円
契約時手数料 0円
MNP転出料 0円
期間縛り 無し
家族割 無し
光セット 無し
ポイント 楽天ポイント 1%
法人契約 #法人プラン
サポート窓口 チャット/電話
APN 自動設定
iPhone対応
楽天モバイル my 楽天モバイル

楽天モバイル(らくてんモバイル)は、楽天グループが提供するモバイル通信サービスと、その提供会社2020年 4月 8日より一般向けMNOサービスを本格開始した。

2022年12月23日より1人(楽天ID1つ)あたり10回線まで契約できるように緩和された(従来は5回線まで)

2023年 6月より国内パートナー回線(auローミング)の制限が撤廃され、楽天回線と国内パートナー回線の両方が使い放題になった。 ⇒「#エリアと通信品質」および「#料金プラン」を参照

本稿では主に個人のスマートフォン向けプランを扱う。「法人プラン」と「ホームルーター」は料金等の契約条件が異なる。

2020年 4月 7日以前に契約した場合は「楽天モバイル (MVNO)」を参照。旧MVNOサービスは新規契約が打ち切られており、既存契約者には楽天回線への移行措置が取られている。

他社では音声契約は5回線までに制限されているが、楽天モバイルはデータ回線が無いこともあるのだろうか?たしかに筆者もシェアプランのあるワイモバイルやeSIMデータのあるIIJmioは5回線以上持っているし、不便している人もいるのかもしれないが、であれば楽天もデータSIMを提供すればいいのにと思う。楽天モバイルには利用者登録は無い(子ども用も本人名義で契約する必要がある)し、法人契約は別プランなので、個人で音声契約を6回線以上必要とする場面は想像しづらいよね。

Rakuten UN-LIMIT

メリット

デメリット

  • 楽天回線エリアが狭いため、使う場所によって通信品質の落差が大きく、圏外になることも多い
  • 段階制料金で途中で止めることはできず、データ通信を使うと料金が勝手に上がってしまうので、高校生などに使わせると毎月の料金が天井に張り付きがち。一定量(額)で止めたい(節約したい)場合はMVNOワイモバイルpovo 2.0 などにする方が良い。
  • 無料通話するには専用アプリが必要。専用アプリを使ずに通話すると従量通話料が高い(22円/30秒)。通話定額オプションは15分定額が1,100円もして割高。
  • MVNO時代にはあった「番号通知お願いサービス」「番号通知リクエストサービス」に相当する機能が無くなってしまったので、番号非通知の電話着信を拒否することができない。通話重視の場合は同等サービスが提供されていてエリアも広い「日本通信SIM」などのMVNOの方が使いやすい。
  • 楽天回線は山では使えないパートナー回線も切られていることがあり、温泉などの観光地でも圏外で使えないことが少なからず。登山や山間部、観光地等に少しでも出かける機会がある場合は、日本通信SIM」などのMVNOpovo 2.0 などをサブ回線に用意しておくのが無難。
  • シェアプランが無いので、WAN内蔵パソコンやタブレットも使いたい場合はワイモバイルのシェアプランIIJmioの方がお得かも。
  • フィーチャーフォン(ガラケー)の利用は非推奨。使える機種があったとしても、通話無料にならない(Rakuten Link が使えない)など、お得感は無い。ガラホで使うなら日本通信SIMOCN モバイル ONE などの方が良いと思う。

もっとも、楽天モバイルは新規加入事務手数料もMNP転出(番号そのままで他社にのりかえる)手数料もかからないので、試しに使ってみて、ダメだと思ったらまた他社に移るのでも良いと思う。

エリアと通信品質

楽天回線が整備されていて、空いていれば快適に使える。しかし楽天モバイルでは楽天回線の整備済みエリアの情報開示をやめてしまったので、どこで快適に使えるかは運次第

同社が「楽天回線」と呼ぶ自社エリアと、構築途上の自社エリアを補完するためにKDDIのプラチナバンドを借りている「パートナー回線」エリアがある。

2023年 6月以降、同社はこの楽天回線パートナー回線をいっしょくたにして「データ高速無制限エリア」が「業界最高水準」とアピールし始めたが、両者は電波特性が異なるため、おのずと使い勝手も変わってくることに留意する必要がある。

ところが、パートナー回線の提供エリアはKDDIが提供する楽天モバイル向けローミングサービス提供エリアマップで確認できるものの、楽天回線の提供エリアを確認する方法は用意されていない

楽天モバイルは本当に快適に使い放題になる場所がある一方で、混雑して使いにくい場所や、完全圏外で全く使えない場所もあるなど、場所による落差が激しく、運次第な面がある。近頃は povo 2.0(au回線)や日本通信SIM(ドコモ回線)などの維持費の安い格安SIMもあるので、移動が多い人はそれらを組み合わせて使うことで、完全使い放題と広いエリアの両方を格安で利用できる

2023年 5月までは同社のエリアマップで色分け表示されていたし、「my 楽天モバイル」アプリでも確認できたのだが、これらの機能は2023年 6月に全て除去されてしまった。
楽天モバイル自社回線(MNO)の4Gは FD-LTE Band 3 のみでサービス提供されている

楽天回線 4G LTE

同社には、2018年4月に1.7GHz帯が40MHz幅で割り当てられており、4GFD-LTE Band 3 のみでサービス提供されている。MCC-MNC440-11

2020年 4月のサービス開始当初は、東京都23区などの極一部の地域でしか使えなかったが、それから1年半かけて大都市近郊および地方都市でのエリア整備が進められ、2022年 2月 4日に楽天回線の人口カバー率が96%に到達したとの発表があった。電波割り当て時に総務省に届け出た開設計画では2026年3月末までとしていたので、4年ほど前倒しで達成したことになる。

実際、2021年の地方都市でのエリア展開は目覚ましいものがあり、2年前にはほとんど無かった楽天回線エリアが、2022年 2月 4日時点ではほぼ全国の地方都市に広がっていた。

快適に使える場所と、混雑している場所の落差が大きい(2021年2月計測)

しかし、楽天モバイルは使い放題を売りにしていることに加え、5Gの整備が進んでいないこともあって、ユーザーが増えるにつれて混雑して使いにくい場所も出てきている。

例えば右図は、東京都中央区人形町の、上は甘酒横丁、下は水天宮前。わずか150mの距離で、どちらも電波状態は良好だが、使い勝手は大きく異なっている。

この時は、甘酒横丁にはヘビーユーザーがいたのだろうか、通信がかなり重くなっていた(これでも昔の楽天モバイル (MVNO) よりは快適だが)。すぐ隣の水天宮前では快適そのものだった。

もっとも、東京山手線内などの都心部は、比較的基地局密度が高く、混んでいる所でも概ね普通に使えるので、東京都23区内は恵まれている方だ。とりあえず今のところは、東京都心部の屋外でデータ通信を使いまくりたい人には快適だろう。

ただし、地下鉄では楽天回線が整備されたが混雑が酷くて使い物にならずパートナー回線が再提供されている所もある。

また、都心以外(住宅地など)では基地局密度が低い故に、エリアマップに色が付いていても電波が届かない場所が少なくない。

実際に現地に赴くと駅前や中心市街地にエリアの穴が多かったり、東京都23区などの一部例外を除いて基地局密度が低いために電波の穴が生じていたり、運よく電波状況が良くても混雑していて使いにくい場所も散見されたりと、楽天回線エリアは穴だらけで、快適に使えるかどうかは運次第となりがち。

それは楽天モバイルも自覚していたようで、もう1回、都心部で基地局を配置していと言っていた。当初目標の人口カバー率96%を達成したとはいえ、エリア展開はまだ道半ばということだろう。

その後は山間地でも徐々にエリア展開されており2022年10月末時点で楽天回線4Gの人口カバー率は98%になったそうだ。

だが、2023年 4月にパートナー回線を活用する方向へと方針転換された

かつてPHSが使えた観光地の駅前でも、楽天回線が整備されず、楽天モバイルが完全圏外になる場所が増えている(御岳登山鉄道御岳山駅付近)

かたや、人口カバー率の数字に表れない観光地等のエリアにも難が生じている。 楽天回線が整備されないままパートナー回線が切られてしまう場所が増えてきた。

モバイル通信は自宅だけで使うものではない。むしろ出先でこそ使いたい場面も多いだろう。しかし、楽天回線は御岳山や高尾山奥日光などの著名な観光地ですら整備されておらず、エリアを補完するパートナー回線もでたらめに切られているので、観光地で使えるかは運次第。東京都23区内から全く出ない人は不自由しないだろうが、ちょっと行楽へ行くと途端に不自由する羽目になりかねない。

このように、楽天モバイルは都市部で使い放題のメリットがある一方で、エリアのデメリットも依然として大きいので、楽天単独で使うのではなく、維持費の安い povo 2.0日本通信SIMなどを組み合わせて賢く使うのが良いだろう。

【参考】

パートナー回線

海外での利用については#国際ローミング(データ通信)を参照
パートナー回線も空いていれば快適に使えるが、プラチナバンドの10MHz幅なので、速度重視ではない

整備途上の楽天回線を補完するため、KDDIより 4G LTE Band 18/26(いわゆるプラチナバンド)を借りて提供されている。楽天モバイル契約者向けには MCC-MNC が 440-53 の電波が提供されている。

au網を使っているが、auの全ての電波を掴むわけではないし、エリアもauより狭い。10MHz幅のプラチナバンドのみなので通信速度は望めずエリアカバー重視となる。

2022年10月までにパートナーエリアは順次停波されており2023年 4月のローミング協定の更新以降も復活していないので、すでに停波済みのエリアでは完全圏外になっている所も少なくない。

東京都23区内でも地下鉄などではパートナー回線が提供されているが、地下鉄エリアでは混雑が非常に激しい

また、東京都23区などの楽天回線エリアでも、地下鉄や地下街、ビル陰などに入るとパートナー回線(au)に切り替わることがある。

パートナー回線が提供中であっても、800MHz帯(いわゆるプラチナバンド)の10MHz幅しか使えないため、他社に比べると通信速度はあまり伸びない。楽天回線エリアや他社回線と同じような使い勝手を期待しない方が良い。

2020年 4月 8日から2023年 5月31日まではパートナー回線の利用に別途制限がかけられていたが、2023年 6月 1日開始の「Rakuten最強プラン」ではパートナー回線の利用制限が撤廃されて完全使い放題になった。

2020年 4月 8日から2023年 5月31日まではパートナー回線の利用に制限があったため、エリアマップで判別できるようになっていたのだが、2023年 6月 1日以降はパートナー回線の利用制限が撤廃されたことに伴い、エリアマップで楽天回線エリアとパートナー回線エリアを区別できなくなった。 ⇒2023年夏頃に、パートナー回線エリアが判別できるエリアマップがひっそりと再開していた。

パートナー回線の提供エリアはKDDIが提供する楽天モバイル向けローミングサービス提供エリアマップで確認できるのだが、楽天回線の提供エリアは(現地へ赴く以外に)一般ユーザーが確認する術がない

【参考】

楽天モバイルで5G(n77)通信

楽天回線 5G

2020年 9月30日開始の「Rakuten UN-LIMIT V」(らくてん アンリミット ファイブ)より、追加料金無しで5G対応に対応した。 #5G展開

楽天モバイルでは Band n77 (Sub-6, 3.7GHz) と n257 (mmWave, 28GHz) を使っている。

加えて、2021年 4月には地域限定で n3 の追加割り当てを受けており、東名阪を除く地域で順次展開される見込み。

なお、au・SBが実施している4G周波数の転用は、楽天モバイルでは行われていない(そもそも4Gエリアが構築途上だからね…)。

サービスエリアは極めて限定的。日本では他社も5Gの展開が遅いが、楽天モバイルは4Gを優先整備していたこともあり、5Gの展開が遅れている感がある。2023年 4月にKDDIとのローミング協定を更新したことを受けて、2023年後半からは5Gの整備が進むだろうか?

4G基地局に増設された5Gアンテナ

楽天モバイルの5Gエリアは、2021年11月頃までは、楽天本社付近に少しあるものの、他の地域ではまだ点在している状態で、ほぼ使えない状況だった。2021年12月以降、大阪府や富山市などでエリア化が進みつつあるが、依然として限定的。

右図のように、既存の4G基地局(コン柱)に5Gアンテナが増設されている所を見かけるようになったが、右図の例では左上にn77 (3.7GHz帯)が1基、右上にn257(28GHz帯)が2基となっているが、n77とn257を逆方向に向けている理由は不明。

既存の 4G LTE Band 3(1.7GHz帯)を含め、これら3つの周波数帯は電波特性が大きく異なることから、4Gの既存基地局に単純にアンテナを追加しても同じエリアができるわけではない。駅前などを戦略的にエリア化しているauなどとは違い、楽天のエリア整備には規則性は見いだせず、断片的で、場当たり的に見える。富山市では4Gと同様に郊外からエリア化されているなど、需要ベースではなさそう。楽天は相変わらずエリア展開の傾向がよくわからない…

「Rakuten最強プラン」を契約し、5G n77 に対応している機種(日本国内で5G対応として販売されている機種のうち、ドコモ向け以外のほとんどの機種が対応している)を使っていれば、楽天の5Gを使えると期待される

なお、5Gは全てNSA(4G+5G)で提供されている(5G SA には未対応)。

また、5Gではパートナー回線は無い。

2020年 9月30日15時半以降の新規契約者は即日利用可能。それ以前の契約者は、11月30日までに順次自動で新プランに切り替わった。
当時は競合他社が5Gプランを別建てにして割高な料金を設定していたのに対し、楽天モバイルでは既存の4Gプラン (Rakuten UN-LIMIT) から料金据え置き、契約変更手続きも不要で、自動的に5Gも使えるようになった。⇒楽天モバイル 5Gプラン発表(2020年 9月30日)
もちろん5Gの利用には端末が対応している必要があるが、未対応端末では引き続き4Gを利用できる。
ただし、楽天本社のある二子玉川駅付近だけは状況が異なり、n77 (Sub-6) と n257 (mmWave) が面的にエリア化されている。n257は他社でも整備が遅れているので、n257の面展開では一歩進んでいた:)。
Pixel 6 Pro など、バンドが対応していても楽天モバイルには対応していない機種もあった(n77には12月頃に対応し、n257は近日提供予定となっていた。後継の Pixel 7 Pro は発売時より対応していた)。

料金プラン

RakutenMobile upgrade saikyo-plan.jpg

Rakuten UN-LIMIT 個人のスマートフォン向け料金プランは「Rakuten最強プラン」(らくてんさいきょうぷらん)1つのみで、実にシンプル。契約期間の縛りや契約解除料も無い。

Rakuten Turbo」(ホームルーター専用プラン)と「法人プラン」は別記する。
2023年 5月までに「Rakuten UN-LIMIT VII」を契約していた場合も、2023年 6月 1日より自動移行し、新プランが適用されている。楽天モバイルのプランはサービス内容の変更に合わせて「Rakuten UN-LIMIT」→「Rakuten UN-LIMIT 2.0」→「Rakuten UN-LIMIT V」(5G開始)→「Rakuten UN-LIMIT VI」(段階制料金)→「Rakuten UN-LIMIT VII」(基本料0円廃止)→「Rakuten最強プラン」(国内パートナー回線の追加料金廃止)と切り替わってきたが、全て自動で新しいプランに移行している。
データ使用量は「my 楽天モバイル」アプリやWebサイトで確認できて便利だが、楽天回線/パートナー回線の判別欄は2023年6月に廃止されてしまった

2023年5月までの Rakuten UN-LIMIT VII では楽天回線と国内パートナー回線で料金的に区別されていたが、このパートナー回線の利用にかかる追加料金が撤廃され、わかりやすく国内データ通信は完全に使い放題になった。

それ以外の段階制料金に変更はなく、3GBまでの月は1,078円20GBまでの月は2,178円、上限は3,278円で使い放題となる(料金は税込、ユニバーサルサービス料電話リレーサービス料は別途)。

契約事務手数料、契約解除料、SIMカード再発行手数料・送料などの0円は維持されており、2023年5月以前から契約していた人にとって損になる改定はない。

料金改定前後の変更点については「#Rakuten最強プラン」を参照。

楽天は将来にわたって1つのプランしか出さない

2020年 3月 3日の発表の場で三木谷氏が「楽天は将来にわたって1つのプランしか出さない。プランが増えてわかりにくいことにはならない」と言明したそうだが、今のところ、その公約は果たされている

2021年4月からは「Rakuten UN-LIMIT VI」(らくてん アンリミット シックス)にアップグレードされ、既存契約者も自動移行した。この時は既存ユーザーにとって不利になる内容は無かったので、歓迎されていたと思う。

2022年7月からの「Rakuten UN-LIMIT VII」(らくてん アンリミット セブン)では、1GB未満0円の廃止という、既存ユーザーにとっては不利になる改定が含まれていたが、この時も自動移行し、批判を集める場面もあった。

他のキャリアでは既存契約者は旧プランに据え置いて、プラン変更手続きしないと損になることも多い業界慣行があるが、楽天では内容の良し悪しにかかわらず新プランへ自動移行している。

例外として、2019年9月までに楽天モバイルMVNOサービスを契約して継続中の場合は、2020年4月以降も現在のプランを継続しつつ楽天回線を利用できるとされていたが、その公約は果たされないまま、旧MVNOプランよりも安い「Rakuten UN-LIMIT VI」が登場したことで、旧MVNOプランを使い続ける意味が失われた。
また、法人向け料金は別になっている(使い放題ではない)ことと、ホームルーター向け料金プランが別に設けられた。

データ通信

一般向けサービス開始直後の日曜日、4月12日の昼間に測定。気になる通信速度は、混んでいるためか、基地局密度が低いためか、あまり伸びず、RTTの遅さも気になる。実際にChromebookのアップデートなどにも使ってみたが、もっさり感があった。やはり「使い放題」目当てに契約した人で混んでいるのだろうか。

基本料金は月額上限 3,278円(税別 2,980円)で、楽天回線エリアでは無制限で4G/5Gデータ通信を使い放題。auSBのなんちゃって無制限と違って)テザリングも使い放題。

平日の夕方に基地局の近くで計測するとこんな感じ。通信速度はともかく、RTTが遅い。途中が混んでいるのかな?

ただし、楽天自社回線も1日あたり10GB以上使うと規制が入るという情報もある。一般的なモバイル利用で1日に10GBも使うのは至難の業だが、自宅の光回線の替わりや業務で使うことを考えている人は考慮しておくべきだろう。

楽天回線が圏外になる地域や地下・ビル内などでは自動でローミング(同社が「パートナーエリア」と呼んでいるau網)に切り替わるが、2023年6月より国内パートナー回線の追加チャージが撤廃され、完全使い放題になった。

IPアドレスはデュアルスタックになっており、IPv4アドレス(プライベート)とIPv6アドレス(グローバル)を同時に利用できる。 IPv6アドレスは 240b:c000::/24が使われている(2020年 4月~、2023年 6月現在も変更無し)。

APN

楽天回線のSIMカードを入れるとAPNは自動設定されるが、もしうまく自動認識されない場合は、手動で設定してみる。

APN
rakuten.jp
APNタイプ
default,supl,dun
APNプロトコル
IPv4/IPv6
APNローミングプロトコル
IPv4/IPv6

上記を設定・保存して選択した後、端末を再起動し、ChromeやSafariなどのWebブラウザで https://test-ipv6.com/ を開いてみて、IPv6が有効になっていないようならば、アクセスポイント名(APN)の設定を開き、APNプロトコル、APNローミングプロトコルの両方が IPv4/IPv6(または IPv4v6)になっているか確認しよう。

機種により、dunを設定できないことがある。その場合はdunを省略する。

国際ローミング(データ通信)

データ通信の国際ローミングは指定の66ヶ国・地域で利用できる。

データ容量は毎月2GBまでが基本プランに含まれている(国内パートナーエリア通信量とは別計算)。追加のデータチャージは550円/1GB(税込)。

Android標準搭載の通話アプリを使って VoLTE 通話にも対応しているが、Link アプリを使わずに通話発信すると従量課金されるので気をつけたい

通話

Rakuten Link」という専用アプリを使うと、国内通話かけ放題、国内SMS送信も無料になる。

Linkアプリを使わず、スマートフォン標準搭載の通話アプリを使うと VoLTE 通話になり従量課金される(30秒20円+税)ので注意しよう。

着信転送留守番電話は標準対応(無料、転送通話料は22円/30秒の従量課金)だが、Rakuten Link を使うと正常に動作しないため、Rakuten Link をログアウトし、OS標準の通話アプリを利用する必要がある。 つまり、留守番電話は使える(無効にできない)が、着信転送は無料通話と併用不可

MVNO時代には使えた番号通知お願いサービス」「番号通知リクエストサービス」「番号非通知ガードサービス」に相当する機能が、楽天モバイルでは未提供。MNOになって劣化してしまったのも残念だ。

また、これも地味に不便なのだが、通話中の保留ができない(網側に保留機能が用意されていない)。VoLTE通話でも Rakuten Link でも保留ができない(保留ボタンが表示される場合も、押すとエラーになる)。

今月と前月の通話時間はアプリまたはWebで簡単に確認できる

通話時間(今月と前月)は「my 楽天モバイル」(Web・アプリ)を開き、利用状況をタップ、通話をタップして確認できる(右図)。

なお、Rakuten UN-LIMIT に含まれる「国内通話かけ放題」は Link を使った場合に限られる。Link アプリを使わずに通話発信すると従量課金(22円/30秒)になるので注意したい。

特に iPhone を使っている人は、2021年 6月15日→24日→ 7月 6日より順次iOS標準電話アプリで通話着信するようになったので、折り返し通話発信するときにうっかり課金されやすいから要注意だ。

また、各種ポイント進呈キャンペーンの条件に Rakuten Link の利用(申し込みの翌月末までに、Linkアプリを使って通話10秒以上とメッセージ送信1回以上)が必須になっている。

その他、詳しくは #Rakuten Link を参照

着信時の通話料は相手側が負担しているので、VoLTEを使っても特段の料金はかからない。

15分通話かけ放題

「Rakuten Link」を使わずに通話発信したい人向けに、1回あたり15分以内の国内通話がかけ放題、国内SMS送受信が使い放題になる「15分(標準)通話かけ放題」オプションが月額1,100円(税込)で提供されている

15分定額で1,100円は微妙なところだが、iPhoneやガラホなどの「Rakuten Link」を使えない機種を使っている人には一考の価値ありだろうか。

ただし、楽天の「15分(標準)通話かけ放題」は解約手続きするとすぐに使えなくなるのに、料金は月末まで満額請求される。他社では月末まで使える(解約予約になる)ことが多いのだが、楽天の通話定額は使い勝手が悪い。

また、楽天モバイルは圏外になりやすく、当然ながら圏外になると通話できなくなってしまう。プラン基本料を合わせた月額料金が2,178円~になることを加味すると、このオプションを付けるくらい通話する人なら、圏外の心配が少ない他社も検討すると良いのではと思う

他社では、例えばMVNOの「日本通信SIM」では1,890円~で、「OCN モバイル ONE」では1,980円~で、「IIJmio」では2,250円~で、完全かけ放題特殊なアプリ不要で使える。着信転送や留守番電話も使えるし、従量通話料も半額の30秒11円なので、10分を少し超過することが多い人や、通話発信が少ない人(通話定額オプションを使わず完全従量制で使う)にもお得だ。エリアの広いドコモ回線なので圏外の心配からも解放される。

ソフトバンクのオンライン専用ブランド「LINEMO」は、ミニプラン(3GB)+5分定額が1,540円(1年間はキャンペーンで990円)で使える。ソフトバンク回線は街中ではほぼ圏外の心配無用。着信転送や留守番電話などの通話機能が使えないので痛し痒しではあるが、1回あたりの通話時間が短い人にはLINEMOの方が安くなる。

KDDIのオンライン専用ブランド「povo 2.0」はauの広いエリアで使えて、基本料0円、5分定額が月額550円、完全定額が1,650円で提供されている。データ容量は別途購入する必要があるので、データ通信も使う人はMVNOやLINEMOの方がお得だが、専ら通話で使いたいなら povo 2.0 の方がお得感がある。

2022年 6月までは「10分(標準)通話かけ放題」だった。オプション料金据え置きで15分に延長されたが、元々10分定額としては割高だった(例えばワイモバイルの10分定額「だれとでも定額」は月額770円)ことと、同時に最低基本料金が1,078円~に引き上げられた(0円が廃止された)ので、あまりお得感はないが。15分って帯に短し襷に長しのような気もするし…中途半端に15分などにせず、むしろ楽天もかけ放題にしたらよかったのにと思えるが。
もちろん、データ使い放題をめあてに楽天モバイルを使いたい人には良いと思うけれど、圏外や障害等のバックアップを兼ね、端末のデュアルSIM機能を使って通話用回線を別に持っておくのも良いだろう。

国際通話

国際通話(日本から海外への発信)は従量課金だが、月額980円で指定の66ヶ国・地域への通話料が無料になる「国際通話かけ放題」オプションも用意されている。

Rakuten Link」を使うと、海外渡航中に日本宛に通話する際に通話料が無料になるし、着信通話料もかからない。

海外渡航時はVoLTEで着信すると着信側にも通話料がかかるが、設定により海外では Rakuten Link 以外で着信しないようにすることもできる。

反面、従量通話料は他社よりも割高で、さらに2023年 6月 1日より欧州、大洋州、衛星電話宛の従量通話料が大幅値上げされる。国際電話発信をよく使う人はIIJmioなどの方がお得。

SMS、+メッセージ

SMSは標準で使える。

Androidでは、楽天モバイルが提供する「Rakuten Link」の利用が推奨されている。Linkアプリを使ったSMS送受信は無料

iPhone では2021年 6月24日 7月 6日以降順次、SMSは送受信ともにiOS標準アプリを使う仕様に改められた。iPhone でのSMS送信は従量課金される。iPadでは使えない。

ちなみに、他社で標準サービスになりつつある「+メッセージ」(プラスメッセージ)には、楽天は対応する予定はないそうだ

Linkアプリを使うと、相手が楽天モバイル以外でも無料。スマートフォンに標準搭載されているアプリや他のSMSアプリを使うと従量課金になるので要注意。
「+メッセージ」と「Rakuten Link」は同じRCS規格を使っているので技術的には相互接続できるはずだが、現時点で相互接続されておらず、またその予定なども表明されていない。他のMNO3キャリアが提供する「+メッセージ」が各MVNOにも順次開放されているため、楽天だけが孤立する構図になっている。

楽メール(E-mail)

楽天モバイル(MNO)には開始以降しばらくメールサービスが無かったが、2022年 7月 1日 午前9時より、「Rakuten Link」アプリでE-mailの提供が始まった。別途料金はかからない。

楽天モバイル回線を契約している楽天ユーザー1人につきメールアドレス1つ利用できる(複数回線契約していてもメールアドレスは1つ)。

メールアドレスは、楽天モバイル回線開通後に my 楽天モバイルにログインして作成するドメイン@rakumail.jp。@より左側の名前部分は任意に変更できるが、変更は月1回まで(歴月単位)。一旦作成すると、メールサービスのみの解約はできない(モバイル回線を全て解約するとメールも自動解約になる)。

E-mailアドレス宛に送受信できる一般的なメールなのだが、MMSは使えず、一般的なメールソフト(SMTPPOP/IMAP)も使えないため、iPhoneなどに標準搭載されているメールアプリも使えない。今のところRakuten Link」アプリでしか送受信できない不便があるため、使い勝手は一般的なメールとは異なると考えておく方が良いだろう。

もっとも、Androidスマートフォンの利用にはGoogleアカウントの作成が事実上必須になるので、誰でも無料で使えるGmailアドレスをメインに使うのが良いだろう。

なお、MVNOから移行した人は@rakuten.jp メールアドレス(Rメール)を継続利用できるが、これと「楽メール」は無関係で各々利用できる(併用できる)。

2021年夏頃にメールアドレスを提供するとされていたが、「2021年内」に延期され、さらに延期されて2022年7月開始となった。
2022年 8月以降、希望者には回線解約後もメールアドレスが使える持ち運びサービスが提供予定。他社と同様、有料になると思われる。
Linkアプリが内部でIMAPを使っていると思われるが、接続に必要な情報が公開されていないため、他のアプリは使えない。ちなみにサーバ容量は1GB、メール件数は50万件まで。制限を超えても古いメールが削除されることはなく、新しいメールを受信できなくなる。容量を拡大する有料オプションを提供予定だそうだ(詳細未定)。
iPhoneではiCloudメールを無料で作成できるし、Gmailも無料で使える。
MVNOから切り替えた人は、すでに使っている「Rメール」(旧・楽天メール)アドレスを引き続き利用できる。「Rメール」は回線契約と紐づいているので、回線を解約(MNP転出を含む)すると使えなくなる。なお、「楽天メール」は2021年 6月 1日より「Rメール」に改称された。
緊急地震速報などの緊急速報メール (ETWS) に対応

ETWS

緊急速報メール(ETWS)にも一応対応している。

ただし、まだ対応している自治体は少ない(楽天回線エリア内でも未対応の自治体がある)。

また、パートナー回線を掴んでいるときはau網のETWSを受信することがある。

コンテンツ関連

LINEの年齢確認は、バージョン11.4.0より対応している。 Android版は2021年 3月17日に、iPhone(iOS)版は 3月29日に公開されているので、アプリをアップデートすれば利用できる。

支払い方法

クレジットカード口座振替に対応しているが、クレジットカード以外では手数料がかかるので、特段の理由がなければクレジットカードを利用する方が良い。

デビットカードは「楽天銀行デビットカード」「スルガ銀行デビットカード」が使えると案内されている。

また、楽天モバイルではキャリア決済の利用をクレジットカード払いの人のみに制限している

他のキャリアと違って楽天モバイルでは与信をせず、キャリア決済が使われると都度クレジットカードに請求する仕組みになっているためと思われる。

クレジットカード払いの場合に限り、楽天ポイントを支払いに充てることもできる。

ちなみに、支払いに楽天カードを使うと、機種代金の分割払い(48回まで)手数料が無料になる特典がある(楽天カード以外で機種代金を分割払いするとカード会社所定の金利・手数料がかかる)。

選べる電話番号サービス

選べる電話番号サービス

「Rakuten UN-LIMIT」の新規契約(MNPを除く)時に、電話番号の下4桁を任意に指定できる。指定した下4桁の番号候補が複数表示されるので、その中から希望する番号を選んで新規契約する。追加手数料1,100円かかるが、覚えやすい番号を使いたいといったときに嬉しいサービスだ。

申し込み時、本人確認方法の選択後に「選べる電話番号サービス」を選んでから下4桁を指定すると、中4桁が3つまで表示されて選べる。ただし、人気のある番号は枯渇していて選べないことも多い。

1111などの同じ数字や、1234などの続き番号は指定不可。

なお、「選べる電話番号サービス」を使わずに新規契約する場合も、電話番号の候補が複数表示されて、その中から選ぶことができる。気に入った候補が無ければ再表示しながら選ぶことができる(この場合は追加手数料不要)。

他社では一方的に番号が割り当てられることが多いが、気に入らない/覚えにくい番号が割り当てられても愛着が湧かず、使わなくなることがあるので、選べる一手間をかけることで、長く使える番号を取得できる、お互いに良いサービスだと思う。

なお、同様のサービスはかつてイーモバイルやウィルコム(現在のワイモバイル)が提供していたが、今は提供されていない(ただしシステム上、設定は可能で、下4桁を指定させてもらえるワイモバイルショップがある。料金不要)。

ZERO宣言

Rakuten UN-LIMIT では当初より解約金が0円だったが、2020年11月 4日からは契約事務手数料とMNP転出手数料も撤廃された。これで加入時も、番号そのままで他社へ移るときにも、手数料や違約金等が一切かからなくなった。他にもSIMカード交換手数料・eSIM再発行手数料などが無料化されており、これらの施策を同社では「ZEROゼロ宣言」と呼んでアピールしている。

なお、口座振替手数料など無料化されていない手数料もある。

Rakuten最強プラン(データタイプ)

2023年 7月 3日開始の派生プラン。料金は同じ、機能もほぼ同じだが、音声通話キャリアメール(楽メール)とキャリア決済を使えないようにしたもの。SMSは使える。

eSIM限定、楽天カード会員限定で、楽天カード加入により本人確認が済んでいることを前提に、再度の本人確認手続きを省いて最短3分で契約できる。支払い方法も楽天カードになる(後で変更することはできると思われる)。

お試し目的のワンクリック申し込み」に対応するために用意されたプランなので、通常はこちらを選ぶ必要はない

データタイプでもSMSは使えるので、契約時に電話番号を選ぶことができるが、今のところ同じ電話番号で音声タイプへ変更することはできないし(2023年秋に提供予定だそうだ)、この番号で他社にMNP転出もできない(データプランなのでMNP対象外)。

でも解約・再契約に特段の制限はないので、データタイプでお試しして、楽天良いかもと思ったら、通常の音声プランを契約し直せば良い(本人確認が要るが、楽天はeSIMならば早く開通できる)。

契約・解約に手数料はかからないので、試してみて使いづらければ解約すれば良く、使った分の月額料金しかかからない。

合わせて、データタイプを初めて契約すると1,081ポイント還元される「ギガプレキャンペーン」(終了日未定)が始まった。3GBまで実質無料で使える。開通翌々月末に進呈、アンケート等の条件あり、他キャンペーン併用不可。

Rakuten Link アプリを利用できない。
契約後にSIMカードへ変更できるかは不明。
同社公式Webサイトに書かれている。でも楽天のeSIMは原則24時間すぐに発行されるし、「my 楽天モバイル」アプリを使えば書き込みも楽々なので、早ければ3分くらいで開通できると思う。
審査基準は非公表なので保証するものではないが、1回線入れ替えるくらいなら審査を通ると思う(筆者は通った)。ただし短期に何度も解約・再契約を繰り返すと審査が通らなくなるかもしれないので、何度もしない方が良い。

キャンペーン

最新のキャンペーン情報は公式サイトのキャンペーン・特典を参照。

新規契約・本体購入でポイント還元キャンペーン

Rakuten UN-LIMIT VI を初めて契約した人に「だれでも5,000ポイントプレゼント」キャンペーンが常時開催されている。楽天モバイルでは契約事務手数料や解約金などが発生しないので、まだ Rakuten UN-LIMIT V を利用したことのない人は誰でも5,000ポイントもらえることになる。

 また、他社から乗り換え(MNP転入)限定で、通常の5,000ポイントに加えて、さらに15,000ポイントもらえるキャンペーンが併催されている(2021年 6月18日より、終了日未定)。初めての人限定(解約済みでも過去に利用したことのある人は対象外)、楽天モバイル (MVNO) からの移行は対象外、後述の機種購入に伴うキャンペーンとの併用不可といった条件があるので、他社で購入したiPhoneやSIMフリー機種を持ち込み契約する人に恩恵がありそうだ。

主に既存のiPhoneユーザー向けに訴求されているようだが、Androidも持ち込み契約は対象になる。SIMフリーのDSDS(DSDV)機種を使って、楽天モバイルの0円維持・無料通話の恩恵に与りたい人には朗報と言えそうだ:)。

 一方、新規契約と同時にスマートフォン対象機種を購入すると追加でポイント還元を受けられる機種もある。例えば、楽天モバイル・オリジナルの Rakuten Hand(一括税込20,000円)を購入すると、19,999円還元されて、実質1円で購入できる。新規契約とともに機種変更したい場合には同時購入がお得だ。

ただし、機種購入に伴うポイント還元と、前述のMNP転入によるポイントプレゼントは併用不可なので、MNP転入の人はあえて楽天の機種を買わずに、他社で Reno7 A などのDSDS対応SIMフリー機種を買って持ち込む方が良いかもしれない。

同社製品に限らず、他社製品も利用できるし、SIMフリーおよびSIMロック解除済みの iPhoneや Pixel の eSIM も対象になる。まだ楽天モバイルや eSIM を使ったことのない人のお試しにも良さそうだ。

ただし条件として、回線開通後、申し込みの翌月末日までに Rakuten Link アプリを使って通話(10秒以上)メッセージ送信(1回以上)をする必要がある。 Rakuten Link を利用できないLTE内蔵パソコンや、手持ちのモバイルルータ等で使う場合には気をつけたい。

モバイルルータをセット購入すると Rakuten Link の利用が免除されるので、新規契約とセット購入で実質0円キャンペーン実施中の「Rakuten WiFi Pocket 2B」をセット購入しておくと、わざわざ Rakuten Link を使わなくてもポイント還元を受けられる。
または、手持ちのスマートフォンのSIMロックを解除して、一時的に入れて Rakuten Link を使ってもよい。

キャンペーンで還元される楽天ポイントは 6ヶ月の期間限定ポイントなので、使い忘れに注意しよう。と言っても無理に楽天市場(通販)で買う必要はなく、楽天ポイントカードを作って街中での買い物に使うこともできるし、楽天ペイアプリを使ってコンビニ等で使うこともできる(期間限定ポイントはEdyやSuicaへのチャージには使えない)。

終了したキャンペーン(備忘録)

プラン料金3カ月無料キャンペーン

楽天モバイルは1人1回線のみ、毎月1GBまで無料で使えるが、1GBを超えても最初の3ヶ月は月額無料で使えるキャンペーンが実施されていた。2022年 2月 8日で終了

プラン料金(月額基本料)とユニバーサルサービス料・電話リレーサービス料が無料になるので、別途機種を購入したり、通話料や追加データチャージなどを使った場合はその分の費用はかかるが、楽天回線は使い放題、パートナー回線も5GBまで使える(5GBを超えると1Mbpsに規制されて使える)。

「Rakuten UN-LIMIT VI」を新規申し込み、MNP転入(番号そのままで乗り換え)、楽天モバイルMVNOからの移行、いずれも対象になるが、1人1回線までなので、複数回線契約する人や、過去に#「一年無料」キャンペーンなどを利用したことのある人は対象外。

終了日未定の恒常キャンペーン2022年 2月 8日までの申し込みが対象。3ヶ月以内に解約(MNP転出を含む)すれば無料なので(機種を購入した場合は、機種代金の支払いは継続する)、試してみて電波が入らなくて使いづらい場合はすぐに他社に出てしまえば良い。

3Gケータイ乗り換えキャンペーン

3Gのみに対応したフィーチャーフォン(いわゆるガラケー)から乗り換えで iPhone SE 64GBを購入すると、楽天ポイントを39,800ポイントもらえるキャンペーンが実施されていた。2021年11月 1日の開店から、11月30日の閉店まで。

加えて、楽天モバイルを初めて契約する人には「だれでも5,000ポイントプレゼント」キャンペーンも適用されるので、合わせると44,800ポイントになり、iPhone SE が実質0円になる。

一部ショップでの契約限定。契約時にガラケー本体(電源が入って型番が確認できること)と利用明細書等(直近3か月以内)の確認が入るので、持参する必要がある。

また、開通後に「Rakuten Link」で10秒以上通話発信する必要がある。提供される楽天ポイントは6ヶ月の期間限定ポイント。詳しい条件等は店頭で確認しよう。

楽天ポイント

予め「楽天ポイント利用設定」をしておくと、楽天ポイント残高がある分だけ自動で使われる

ポイント還元と利用

楽天経済圏」などと喧伝されることも多い「楽天ポイント」だが、楽天モバイルでは前述の新規契約時と後述の「Google play キャリア決済で10%還元キャンペーン」(2023年 8月までに終了)以外に、目立った特典はない。

楽天モバイルの支払い額、税別100円につき1ポイント貯まる(機種代金の分割払いを除く)が、月々9~29ポイントなので、微々たるもの。

普段から楽天ポイントを貯めている人は、むしろ楽天市場などで貯まる方が多いだろう。

楽天モバイルを契約中は「楽天SPU(スーパーポイントアップ)」対象になり、楽天市場のポイントが+2倍になる(ダイヤモンド会員に限り+1倍上乗せされる)。

ショッピングモールを持たない・使いにくいahamoUQよりは貯まりやすいと言えるが、競合のワイモバイルYahoo!ショッピングで常時+2倍になるので、比較相手によってはこれもメリットにならない(苦笑)。

楽天モバイルのメリットは、月額料金等(機種代金の分割払いを除く)を自動的に楽天ポイントで支払う機能が使いやすい(右図)。予め「楽天ポイント利用設定」をしておくと、楽天ポイント残高がある分だけ自動で使われる。もちろん期間限定ポイントも使える(優先して使われる)ので、期間限定ポイントの消化にもってこいだ。

競合のワイモバイルも一応PayPayポイントで支払えるものの、毎月手続きが必要で面倒なので、使い勝手は楽天モバイルが勝る。

ただしUQモバイルとワイモバイルは通信料金にポイントが付かない。


Google play キャリア決済で10%還元キャンペーン

注意: 長らく実施されていたが、2023年 8月までで打ち切られた(;_;)。

 Google play で楽天モバイルのキャリア決済を使うと、10%分の楽天ポイント還元キャンペーンが実施されていたので、Androidでアプリ内課金をよく使う人にはお得だった

10%還元を恒常開催していたキャリアは他に無かったので、Google play 課金を多く使っている人にとっては、楽天モバイルのお得さは唯一無二だった。 しかし残念ながら2023年 8月までに段階的に打ち切られてしまった(;_;)。

当初の10%還元は2023年 6月までで打ち切られ、2023年 7月以降は恒常開催分1%に減額され、7~8月は移行措置(?)で8%追加還元されていた

2023年 9月以降は1%還元になるので、無還元の他社よりはマシだが、よほどの重課金者以外はメリットを感じづらくなる。あえて利用するメリットはもうないだろう。

2020年 4月より「終了日未定」で恒常開催されていたが、2023年 6月で打ち切られた。
キャリア決済利用分には、通常の楽天ポイント付与は対象外。このキャンペーンは終了日未定で実質恒常開催されているが、キャンペーン終了後はポイント還元ゼロになる。
加えて、1人あたり毎月最大16,000ポイントの上限が新たに設けられたものの、そもそもキャリア決済の上限額が月に20万円までなので、意味のない上限額だと思うのだが…複数回線持ちで月に20万円以上も課金している廃課金者でもいたのかしら?^^;
これらにクレジットカードによる還元分を加えて「最大10%ポイント還元」とされていた。

Google play キャリア決済の初期設定 (Android)

my 楽天モバイル > 下端の「利用料金」 > キャリア決済の「設定・ご利用明細確認」】

Google play でキャリア決済を利用するには、最初に初期設定をする必要がある。

まずは、キャリア決済を使えるようにするとともに、利用上限額を設定しておこう。

  1. my 楽天モバイル」にログイン
  2. 利用料金」を表示
  3. キャリア決済の「設定・ご利用明細確認」をタップ
  4. キャリア決済をONにする
  5. 月額利用可能額を設定する(右図)
初期の月額利用可能額は20万円になっている(20歳以上の場合)。いつでも簡単に変更できるので、使い過ぎや誤購入を防ぐためにも、必要額+α程度に下げておこう。


Google play ストアでの設定方法

続いて、楽天回線を利用中の Android 端末の「Play ストア」を起動し、左上の (三本線)をタップ→「お支払い方法」をタップ→「楽天モバイル の決済を利用」をタップ→画面の指示に従って操作→「お支払い方法」に「楽天モバイル (自身の電話番号)」が表示されれば、使えるようになっている。(右図)

このとき、「※楽天モバイルキャリア決済設定時に、SMS送信料3円のご請求が発生します。あらかじめご了承ください。」と注記されている。→【楽天モバイル キャリア決済】身に覚えのないSMSが送信されている

都度購入(支払い)の際に選択を忘れずに

支払い方法だが、都度決済(1クリックで購入)で使いたい場合は、支払い方法(右図の赤部分)に楽天モバイルを選択する必要がある

Google play 残高が優先して使われるようになっている。Google play 残高が登録されていない場合など、最初から楽天モバイルが選ばれていることもある。

デュアルSIM(eSIMを含む)対応機種で楽天モバイル以外の回線を選択していると、楽天モバイルのキャリア決済を使えないので、この場合は端末のモバイルネットワーク設定を開いてデータ通信を楽天モバイルに変更し、再起動してみる。

楽天回線を使っているのにキャリア決済が使えない場合は、「my 楽天モバイル」アプリを起動してみよう。これがメンテナンス中になっていると、キャリア決済も使えないことが多い。

定期購入は「メイン」と「予備」の支払い方法を個別に指定できる

定期購入(毎月継続課金が発生するサービス)で使いたい場合は、「Play ストア」を起動し、左上の (三本線)をタップ→「定期購入」をタップ→利用したいサービスをタップ→「メインのお支払い方法」を「更新する」→「楽天モバイル (自身の電話番号)」を選択(右図)。

定期購入は一度選択しておけば、以降は設定不要で決済される(当然ながら回線を解約したときには再設定が必要になる)。

例えば Microsoft 365 Personal は家電量販店などでも購入できるが、Androidで買うと月額909円とお得な上に、楽天モバイルキャリア決済で支払えば10%ポイント還元で、毎月90ポイント還元されてお得だ。

また、日経電子版は日経で契約すると月額4,277円(税込)だが、日経電子版 for Google Playは4,300円(同)で、ここから10%還元になればお得感がある。 たまに数百円の買い切りアプリを購入する程度ではあまりお得感は無いが、サブスクリプションやゲームなどを毎月数千円単位で使っている人にはお得になりそうだ。

ただし、「my 楽天モバイル」がメンテナンス休止している時はキャリア決済も使えなくなる。メンテナンス休止は不定期に、夜間を中心に頻繁に実施されている。定期購入が夜間に更新される場合、支払いができず定期購入を更新できない(予備の支払い方法を設定している場合は、予備の方に請求が行く)ことがあるので要注意。最初に定期購入した時と同じ時間帯に更新されることが多いようなので、なるべく昼間~夕方に開始すると良さそうだ。

毎月末頃にまとめて期間限定ポイントで付与される

付与されるポイントは 6ヶ月の期間限定ポイントなので、使い忘れに注意しよう。と言っても無理に楽天市場(通販)で買う必要はなく、楽天ポイントカードを作って街中での買い物に使うこともできるし、楽天ペイアプリを使ってコンビニ等で使うこともできる(期間限定ポイントはEdyやSuicaへのチャージには使えない)。

ちなみに、楽天モバイルでは料金をクレジットカードで支払っている人のみ、キャリア決済を利用できる。キャリア決済が利用されるとその都度、クレジットカード会社に請求が行く仕組みになっているためで、他社と違い、楽天モバイルでの与信が不要になっている。楽天銀行などのデビットカードを登録している場合は、残高が無いとキャリア決済を使えないので気をつけよう。

なお、楽天カードを使うと+1%還元が謳われているが、これはクレジットカード利用額に対するポイント付与なので、他社の高還元クレジットカードを使っている場合は、あえて変える必要は無いだろう。

Google play でキャリア決済を有効にする際にエラーが出る場合の対策

「OR-DVASA2-02」エラー

Google play で初回キャリア決済を有効にする際に「OR-DVASA2-02」エラー(右図)が出る場合は、「my 楽天モバイル」でキャリア決済がOFFになっているか、楽天モバイルの支払い方法がクレジットカード以外になっているデュアルSIM(DSDS/DSDV)対応機種で複数回線を併用している場合などが考えられる。

デュアルSIM(DSDS/DSDV)対応機種で登録する際は、Google play がSMSを送って認証するときに、楽天モバイル以外の回線で認証コードを送ってしまう(当然エラーになる)ことがある。その場合は一旦スマートフォンの電源をOFFにして、楽天モバイル以外のSIMカードを外して再度電源ONにし、Google play のキャリア決済を有効にして、定期購入で楽天モバイルを選択してから、再び電源を落としてSIMカードを元に戻すと良い。

eSIMは、端末の設定で一時的にOFFにできる。誤って削除しないよう気をつけよう。

デュアルSIM機で楽天モバイルキャリア決済を使うには

【Play ストア を起動 > 右上のアイコンをタップ > お支払いと定期購入 > お支払い方法】

デュアルSIM機種で楽天モバイルキャリア決済を使う方法だが、機種によって挙動が変わるようなので、いろいろ試してみるしかなさそう。

筆者の手元では、Reno5 A ではデータ通信(デフォルトのSIM設定 > インターネット)をRakutenにすると、使えるようになる。

Pixel 6 Pro では、通話とSMSの優先設定を両方ともRakutenにすると、使えるようになる。

設定変更し、回線が切り替わった後、Play ストアを終了するか、端末を再起動する。

【Play ストア を起動 > 右上のアイコンをタップ > お支払いと定期購入 > お支払い方法】を見て、楽天モバイルに「使用不能」表示(右図)が出なくなれば、使えるようになっている。

実際に使うときは、Google Play の残高が(ある場合は)優先して使われるので、都度切り替える必要がある。

Rakuten Turbo

2023年 1月26日より始まった、ホームルーター向け料金プラン。月額4,840円で使い放題となる。

別途専用端末の購入が必要で(SIMのみ契約は不可)、2023年1月現在、専用の対応端末「Rakuten Turbo 5G」を41,580円で購入する必要がある。

常時開催のキャンペーンで、契約から3年間は、基本料金に1,155円の値引きが入る。その割引総額が41,580円なので、必須の専用端末購入代金を含めて月額4,840円の実質3年縛り(3年経過後はいつ解約しても料金は変わらない)となる。

個人のスマートフォン向け「Rakuten UN-LIMIT」と違って契約事務手数料3,300円も設定されている。ただし1人1回に限り常時開催のキャンペーンで0円になる。

さらに、ユニバーサルサービス料・電話リレーサービス料を別途請求されるという。データ専用なのだから本来は020番号を割り当てるべきだが、なぜそうしないのか不可解だ。

しかも「Rakuten Turbo」契約のSIMカードは非公開の特殊なAPNでないと通信できない物で、他の端末に入れても使えない。さらに専用端末「Rakuten Turbo」はAPNの設定ができず、他のSIMを入れて使うこともできないようだ。「SoftBank Air」と同様、解約後は他で使えずゴミになる

他社と違って自宅割などは無いので、「Rakuten UN-LIMIT」と「Rakuten Turbo」を組み合わせて使うメリットも無い。

今後施策が打たれる可能性もなくはないが、いったい誰得なのだろう…「Rakuten UN-LIMIT」をさらに改悪する前触れとかでなければいいのだが。

設定等を自分でできる人は、UQ WiMAX 向けの「Speed Wi-Fi HOME 5G L11」などの楽天回線で動作実績のある端末を中古で買ってきて、スマートフォン向け「Rakuten UN-LIMIT」のSIMを入れて使う方がお得。詳しくはホームルーター#楽天モバイル+機器単体購入を参照。

法人プラン

通話+データ

2023年 1月30日より開始予定個人向けプランとは異なり、段階制ではなくデータ通信量ごとに4つのプランに分かれている。

2023年 6月の「Rakuten最強プラン」開始に合わせ、法人向けにもデータ無制限プラン(基本料金3,278円)が追加された。

(価格は税込)

  • 通話+データ 3GB - 2,178円(参考:個人向けプランは1,078円)
  • 通話+データ 5GB - 2,618円(参考:個人向けプランは20GBまで2,178円)
  • 通話+データ30GB - 3,058円(参考:個人向けプランは無制限で3,278円)
  • 通話+データ無制限 - 3,278円(参考:個人向けプランも無制限で3,278円)

パートナー回線には別途制限が付いていたが、国内パートナー回線の制限は2023年 6月28日に撤廃された。海外パートナー回線には制限が付いている。

  • 通話+データ 3GB - うち国内パートナー回線(au)は1GB→3GBまで、海外ローミングは1GBまで。
  • 通話+データ 5GB - うち国内パートナー回線(au)は2GB→5GBまで、海外ローミングは1.5GBまで。
  • 通話+データ30GB - うち国内パートナー回線(au)は5GB→30GBまで、海外ローミングは2GBまで。
  • 通話+データ無制限 - 国内パートナー回線(au)も無制限、海外ローミングは2GBまで。

データ無制限以外の従来プランは個人向けプランよりも割高で、無制限でも個人向けプランと同額なので、料金的なメリットは無いが、段階制ではなく予算化しやすいようになっている。個人向けと同様の1プラン(変動する段階制)では法人には使いにくいので、あえてデータ容量別のプランを用意したのだろう。

または、他社では回線数等により個別交渉で割引が入ることが多いようなので、楽天もそれを前提にしてプラン設定したのかもしれないが。

また、2022年11月まで提供していた楽天モバイル (MVNO) の法人向けプランと比べると、3GBを除く全料金帯で同程度または安価になるので、MVNO(ドコモ回線)契約者からの移行には良いのかもしれないが、無料通話にアプリが必要になることと、ドコモ回線から楽天回線+パートナー回線に変わることによるエリアの差にも注意する必要がある。

通話・SMSは、「Rakuten Link Officeアプリを使った場合のみ「国内通話かけ放題」になる(通常のVoLTE通話は30秒22円の従量課金)。

ちなみに競合のワイモバイルは法人(2回線以上)だと3GBプランで1回線あたり月額1,980円(10分定額付き)になる。法人契約で長電話する用途はあまりないだろうし、おおかた10分定額で足りるだろう。相対契約で安くならない中小企業などの場合は、他社も検討してみよう。

個人向け「Rakuten Link」アプリには通話・メッセージ以外の余計な物がいろいろと追加されているので、法人向けには専用の「Rakuten Link Office」アプリが提供されているが、VoLTE通話は従量課金という点は共通。

法人向けデータ専用プラン

2023年 7月14日より、法人向け「データ専用プラン」の提供が始まった。データ通信とSMSが使える。VoLTE通話と「Rakuten Link」は使えない。

法人向け音声プランの少容量は個人向けに比べて割高になっていたが、データ専用プランでは料金が引き下げられた。

(価格は税込)

  • データ 3GB - 1,078円(参考:個人向けプランも1,078円)
  • データ 7GB - 1,628円(参考:個人向けプランは20GBまで2,178円)
  • データ30GB - 2,618円(参考:個人向けプランは無制限で3,278円)

音声通話が不要なソフト開発用やタブレット用などの利用を想定しているそうだ。

Rakuten Link

Linkアプリで通話発信 保留ができないのが地味に不便

楽天モバイルの通話方式は、VoLTERakuten Link(らくてん リンク)の2種類が提供されている。

このうちVoLTE通話は従量課金される(通話無料の対象外)。詳しくは#通話を参照。

Rakuten Link」アプリを使う通話はIP電話の仕組みを利用しており、通話かけ放題(一部番号を除き通話料無料)の対象になり、楽天回線が圏外でもWi-Fiで利用できる。利用するには専用アプリ(Android版iPhone版が必要になるが、SIMフリー端末や他社端末にもインストールして利用できる。

iPhoneの対応機種iOS 13.5.1以降を搭載した iPhone XS 以降の機種(2020年12月時点、iPhone SE 第2世代を含む)iOS 14.4以降を搭載した iPhone 6s 以降の機種(2021年 4月更新、iPhone SE 第1世代を含む)。
2020年10月下旬よりパソコン (Windows / Mac) 向けLinkアプリも提供予定と発表されていた。実際に使えるようになればテレワークにも便利そうだが、2021年5月時点で未提供(遅れているそうだ)。2023年 5月12日の記者発表の際、2023年8月にリリース予定と告知された。
2021年3月より、楽天グループの通信以外のサービスが順次追加されている

また、メッセージングサービス (RCS) も搭載しており、楽天モバイル加入者同士のメッセージ送受信は無料。

Android版に限り、他社携帯電話へのSMS送信も無料でできるようになっている。

「+メッセージ」とは接続していないため、他社ユーザーとのRCSメッセージ交換はできない。他社回線から楽天回線へメッセージを送る際はSMS経由になり有料。どちらもRCS規格を使っているので技術的には相互接続できるはずだが、相互接続する予定などは表明されていない。「+メッセージ」はMNO3キャリアおよび各MVNOにも順次開放されているため、楽天だけが孤立する構図になっている。

同アプリの解説には「※国内、または海外ローミング用データ容量を消費しません。」と明記されており、楽天モバイルのパートナ―エリアや海外ローミング時にもデータ容量を気にせず利用できる。

このほか、楽天ポイントカード楽天ペイなど、楽天グループの各種サービスが順次追加されている(2021年3月より)。

別途配信されている(楽天モバイルオリジナル機種にはプリインストールされている)これらのアプリと併用できるが、ポイントカード機能はLinkアプリでログインしてから数日は使えないなど、個別に制限があるものもある。 (正直、邪魔。ごちゃごちゃするので、あまり通信に関係のない物を追加してほしくない…)

通話が切れにくい(ような気がする)

筆者が使っている範囲で、デメリット(後述)も多いのだが、メリットは通話料無料のほか、若干通話が切れにくいと感じている。

例えば旅行中に急ぎの用件があって特急列車のデッキで通話していた際、トンネルに入る度に通話が途切れるため、一般的なCS交換では切断されてしまうのだが、IP網(データ通信)を使う Rakuten Link では通話が切れにくいようで、1分くらい圏外になっても切断されず、トンネルを出ると再び通話がつながった。

このあたりの使い勝手は状況により変わるだろうが、筆者は Rakuten Link のメリットと感じている。

iPhoneでは使えなくなった

ただしiPhone版では、2021年 6月15日→24日→ 7月 6日より通話着信とSMS送受信ができなくなった

iPhoneでは通話はiOS標準の電話アプリで着信するので、折り返し通話発信する時にいちいち Rakuten Link に切り替えないと通話料を課金される。

また、Linkアプリのメッセージ機能は楽天モバイル同士でしか使えなくなり、事実上ほとんど使えなくなった。他社回線宛のSMS送信は有料になるので注意しよう。

これに伴い、iOS標準アプリでの10分以内の通話とメッセージが使い放題になる「10分(標準)通話かけ放題」オプションが月額1,100円で提供されるようになった。

しかし10分定額にしては高額で、これを付けると楽天モバイルの割安感が失われてしまうような気もするが、通話料がかさんで気になっていた人は検討すると良いだろう。

Rakuten Link の開通手続き(アクティベート)

(2021年8月現在、詳しくは「Rakuten Linkのご利用方法」を参照)

Rakuten Link アクティベート時に電話番号の確認画面が出るが、Dual SIM 機やeSIM搭載機ではこの番号が違っていることがあるので、その場合は Rakuten UN-LIMIT 契約の番号に書き換える
  1. Google play を開いて「Rakuten Link」アプリをインストールする
  2. 位置情報提供協力のお願い」を承認または拒否する(拒否しても利用できる)
  3. 品質改善と最適な広告配信へのご協力のお願い」を承認または拒否する(拒否しても利用できる)
  4. 楽天IDでログインする
  5. ストレージへのアクセスを許可する
  6. 写真と動画の撮影を許可する
  7. 音声の録音を許可する
  8. 電話の発信と管理を許可する
  9. 位置情報へのアクセスを許可または拒否する
  10. 連絡先へのアクセスを許可する
  11. 携帯電話番号の認証画面が出るので、表示された電話番号が自分の Rakuten UN-LIMIT 契約のものであることを確認して「確認」をタップ(右図)
    Dual SIM 機で2SIM側やeSIMを使っていると他の番号が表示されることがあるので、その場合は Rakuten UN-LIMIT 契約の番号に修正する。その後、キーボードが表示されていると「確認」ボタンを押せないので、キーボードの「×」や「戻る」を一度だけタップしてキーボードを消す。
  12. しばらく(数十秒から1分以内)待っていると認証コードがSMSで送られてきて、自動で認証される。自動で認証されない場合は、送られてきた認証コードを手入力する。
  13. 名前(チャットで使われる)を入力。愛称などで可。
  14. Rakuten Link をアンインストールする際は、必ずログアウトしてから、アンインストールしてください。ログアウトせずにRakuten Linkをアンインストールした場合、通話機能やSMSの送受信が使用できなくなる場合があります。」と警告されるので確認する(しれっと恐いことを要求されるなぁ…後で混乱しそう)←表示されなくなったみたい

これで開通手続き完了。

なお、開通試験サービス(通話料無料)の番号は 111 で、au (KDDI) と同じ番号。

承認するとログが記録され、1日1回程度送信される。送信時の通信料が発生する。楽天回線圏内であれば使い放題だが、課金対象データ量に加算されると考えられる。後から位置情報の提供を拒否したい場合は、Androidの設定から、位置情報の許可を取り消すよう案内されている。【設定 > アプリ > Rakuten Link > 権限 > 位置情報 の許可を取り消す】

Rakuten Link の注意点

当初は様々な不具合が頻発していたが、開始から1年経った2021年3月頃までに、目立った不具合は概ね解消された。

しかし、2021年8月時点で着信転送が使えない等の不具合が再発しており、さらに通話品質も大きく劣化し、使いづらい状態が続いている。

こちらの声や相手の声が大きく遅延する、途切れる等が頻発している。アプリに表示される通話品質が「悪い」「不良」が頻発。

なお、Rakuten Link の不具合については専用の問い合わせフォームが用意されている。

また不具合以外にも、仕様上の様々な注意点がある。

【不具合】iPhoneで通話着信しない

これは Rakuten Link の不具合ではないが、通話の不具合として便宜上ここに書いている。

iPhoneで楽天モバイルを使っていると、VoLTE通話できる状態であっても、通話着信しない不具合が出ていたようだ。

iPhoneで緊急通報できなくなる不具合が修正された iOS 15.2 の配信(2021年12月13日~)の後に突然降って湧いたように起こったので、あるいは iPhone (iOS) 側にも問題があったのかもしれないが、楽天モバイルのネットワークの不具合として改修されたようだ。

12月28日に改修完了の案内が出ているので、iPhoneで通話着信しない不具合が出ていた場合は、まずは端末の電源OFF/ONを試してみて、その後も不具合が続くようならば楽天モバイルに問い合わせるよう、案内されている。

なお、メディアの取材に対し楽天モバイルの広報が「着信に失敗するのは主にパートナー回線エリア」だと言ったそうで、これを受けてKDDIに問い合わせる向きもあるようだが、あくまで楽天モバイル側の問題なので、KDDIに問い合わせないよう案内されている

【不具合】留守番電話が無効にならない、着信転送が使えない

2021年8月時点で、eSIMで新規契約した回線で着信転送を設定しても無視されて、楽天モバイルの留守番電話サービスに転送され続ける不具合が出ている。

問い合わせたところ、楽天モバイルでも不具合を認識しているとの回答があったが、障害情報のお知らせには掲載されていない。しかも解消の目途は立っていないようで放置されている。

筆者が試してみたところ、SIMカードの変更手続き(eSIM→eSIM、要はeSIMの再発行、無料)をしたら、着信転送が動作するようになった。他の人もそれで不具合解消するのか、そもそもどうしてそうなるのかも不明。

その後、2021年後半になってFAQに「[Rakuten Link]着信転送や留守番電話をご利用する際の注意点について」という項目がひっそりと追加されていた。なんと、

  • Rakuten Link で着信した場合には、着信転送はできない
  • Rakuten Link を使っていると、my 楽天モバイルで留守番電話を「オフ」にしても実際には「オフ」にならない

のだという。Rakuten Link 絡みの不具合が「仕様」であったかのような書きぶりに驚いた。

つまり、着信転送を使いたい場合は Rakuten Link を使うな=通話料無料のメリットは無い、ということになる。

筆者が問い合わせた際には不具合を認識しているという回答だったのだが、よもや修正する気もないということだろうか?

問い合わせていた筆者への連絡は無い。

緊急通報やフリーダイヤルへの発信不可

緊急通報を含む3桁特番、0120などの着信課金番号0570ナビダイヤルなどへの通話発信は、Linkアプリを使っても自動で VoLTE 通話に切り替わる。

自宅や職場などのWi-Fiを使う場合は、ローミングが終了して楽天回線が圏外になっても、「Rakuten Link」アプリを使えば、通話・SMSを使える。これをメリットのように紹介している記事が散見され、たしかに一理あるのだが、細かい話になるものの、緊急通報フリーダイヤル等への発信ができなくなってしまうので、自宅等で携帯電話しか持っていない人は注意しておく必要がある。

無料通話対象外の番号あり

他社の通話定額プラン・オプションも同様だが、05700180 から始まる電話番号(ナビダイヤル、テレドーム、テレゴング)はLinkアプリを使っても無料通話の対象外になる。0570から始まる番号はよく使われているが、他の番号が併記されていることが多いのでよく確認し、うっかり0570に発信しないよう注意したい。

また、3桁特番#特番への通話はLinkから発信してもVoLTEに切り替わるため、やはり無料通話の対象外になる。

#特番は他の一般的な番号も公開されていることがあるので(例えば #7119 → 03-3212-2323)、都度確認して、他の番号にかけるようにしよう。

ただし、117(時報)は Link からつながるようになっていた。昔はつながらなかった(VoLTEに回された)けれど…

詳しくは「[Rakuten Link] Rakuten Linkで発信をしても、通話料が発生する電話番号を教えてください」を参照。

デフォルトの電話アプリに指定できない機種がある

楽天モバイル公式対応機種の Huawei nova 5T では、無料通話に必須の「Rakuten Link」アプリを、デフォルトの電話アプリにすることができない

Androidでは、OSの設定変更により、Rakuten Link を標準の電話アプリとして使うことができる。 【設定 > アプリと通知 > デフォルトアプリ > 電話】

機種により、「アプリと通知」が「アプリ」になっていたり、「デフォルトアプリ」が「標準のアプリ」になっていたりと、表記のふれがある。

ところが、楽天モバイル公式機種の Huawei nova 5TOPPO Reno5 AReno7 ARedmi Note 11 Pro 5G などでは、通話デフォルトアプリの一覧に Rakuten Link が表示されない(右図)。

他の通話アプリは選択できるので、Rakuten Link アプリに問題があると思われるが、そもそも自社で販売している公式機種くらい動作確認しておけよと思う。

ちなみにメッセージアプリでも Rakuten Link を選択できず、デフォルトのメッセージアプリを使うと課金される。無料の通話・メッセージングをするには、わざわざLinkアプリを起動せねばならず煩わしい。

また、iPhoneでは既定の電話アプリを変更できないので、普通に通話発信すると漏れなく課金される(-_-;。

謳い文句の無料通話をするためには Rakuten Link が必須だが、これにまつわる様々な不便を強いられることになる。稀にしか通話しない人は我慢できるかもしれないが、頻繁に通話する人、通話の使い勝手を重視する人は、一般的なVoLTE通話が定額になる他社のプラン・オプションを使う方が良いと思う。

そもそも、MNOになったのに、VoLTE通話には従量課金して、癖のある独自のアプリを使わせようとしていることに無理があるのだと思う。

意図せず番号非通知になることがある

IP電話なので、Wi-Fiや他社回線を使っても通話できるが、Wi-Fiや他社回線経由で通話発着信すると、意図せず番号非通知扱いになってしまうことがある。

DSDS対応機種を使っている場合。iPhoneシリーズのeSIMを含む。楽天モバイルのパートナー回線は楽天回線と同様の扱いになる。

筆者が使っている範囲では、以前はWi-Fi接続中にLinkで通話発信すると頻繁に選択非通知扱いにされていたが、その不具合はほぼ解消されたよう。しかし、楽天回線が圏外になる場所でWi-Fiや他社回線を使って通話発信すると、ほぼ確実に、番号非通知になる

でも携帯電話では番号通知が標準サービスだし、迷惑電話が跋扈している今の世の中、そもそも発信者不明の通話には出ない人も多いだろうから、発信者の意図に反して番号が非通知になるようでは困る人も多いと思う。

Wi-FiをOFFにし、楽天回線やパートナー回線を使って発信すれば、Linkアプリを使っても番号通知されるので、相手が番号通知リクエストサービス等を使っている場合や、相手に出てもらえない場合は、楽天回線に切り替えてから通話発信してみよう。

しかし、楽天モバイルの基地局はスカスカで、パートナー回線を切られて圏外になりやすくなった地域も増えている。自宅が楽天圏外になり、光回線は引いているが通話できなくなって困っている人は、#Rakuten Casa の利用を検討してみよう。

他にもLinkにまつわる不便は少なくないので、通話を重視している人は、多少料金が高くても、他社の通話定額プラン・オプションを使う方が良いかもしれない。

iPadではほぼ使えない

iPadに楽天モバイルのSIMカードまたはeSIMを入れれば、「Rakuten Link」アプリをインストールし、起動・ログインできるようになるが、iPadでは通話発信できない(通話発信するとすぐに切断される)。

また、2021年 7月 6日の仕様変更により、iPhone・iPadでは「Rakuten Link」を使ったSMSの送受信ができなくなった。

楽天モバイル会員同士のメッセージ送受信はできると思われるので、アプリを入れる意味がないとは言わないが、iPadではほぼ使い道がなくなってしまった。

iPhoneではiOS標準電話アプリに着信する/他社宛SMS送信できなくなる

iPhoneに正式対応する際にAppleから要求されたのだろうが、2021年 6月15日→24日→ 7月 6日より、iPhone版の Rakuten Link では通話着信とSMS送受信ができなくなった

このため、 7月 6日以降 iPhone を使っている人は、他社携帯電話宛にSMS送信すると漏れなくSMS料金が課金される

家族や友人などで相手が楽天モバイルを使っていると分かっていれば Rakuten Link からメッセージ送信できるようだが、一般には相手のキャリアは判らないだろうから、SMS送信にはもれなく課金されると思っておく方が良いだろう。

また、 7月 6日以降 iPhone での通話着信はiOS標準の電話アプリに着信履歴が残るようになるので、着信履歴から折り返し通話発信するとVoLTE通話になり、通話料を課金される。いちいちLinkアプリを起動して電話番号を手入力(または電話帳から選択)すれば無料通話できるものの、とても面倒なことになる。

Rakuten Link ネームは実質公開される

楽天モバイル利用者は誰でも、Rakuten Link アプリを使って、電話番号から「Rakuten Link ネーム」を検索できる

Rakuten Link ダイヤラーに電話番号を入力→連絡先に登録すると、名前が表示される。楽天モバイルを解約(MNP転出を含む)して1ヶ月ほど経つと出なくなるようだ。

Rakuten Link アプリの【左上の(三本線) > 設定 > アカウント > Rakuten Link ネームと画像の表示OFF】にした場合、画像は出なくなるが、Rakuten Link ネームは電話番号から調べることができてしまう。

本名などでの登録はせず、イニシャル(略称)などで登録しておくのが良いかも。 【左上の(三本線) > 設定 > アカウント > Rakuten Link ネーム

予告なくメンテナンス休止

設定変更や開通操作に必要な「my 楽天モバイル」が、メンテナンス/障害情報に予告されずに休止されることがある。

特に「my 楽天モバイル」アプリは、楽天回線を使っているか、パートナー回線を使っているかを確認する術としても案内されているので、これがメンテナンスに入ると、どちらの回線を使っているか確認できなくなることを意味し、人によっては困ると思うのだが…

【参考】#楽天回線とパートナー回線の見分け方Rakuten Mini#楽天回線とパートナー回線の見分け方は?

対応機種

楽天モバイル公式対応機種以外のSIMフリー機種も使えるが、楽天回線エリア内でもパートナーエリアを優先して掴むことが多い(Xperia 5 の例)。
公式対応機種では、楽天回線を優先して掴むよう細工が入っているようだ。

楽天回線は FD-LTE Band 3 に対応する携帯端末で利用できる可能性があり、筆者が試した範囲では使えているが、VoLTEや国内ローミングといった特殊事情もあるので、公式に動作確認済みの機種を使うのが良いだろう。

SIMフリー機種や他社機種を持ち込んで使う場合は、最低限、4G LTE Band 3 と 18/26に(5Gも使いたい場合は n3n77 に、mmWave対応機種では n257 にも)対応した機種を選ぼう。

4G LTE Band 18/26 は、パートナーエリアでの利用に必要。18または26のどちらかに対応していればOK。
5G n3 は東名阪を除く地域で、順次展開予定。東名阪でしか使わない人は不要。

ただし、楽天モバイル公式対応機種以外を使う場合、楽天回線の電波が弱い場所ではパートナー回線を優先して掴み、パートナーエリア用のデータ容量を消費する傾向があるので、要注意。使い放題が目当てであれば、公式対応機種を使う方が良い。 ⇒#動作確認済み機種を参照

楽天回線はまだ整備途上でスカスカなので、エリアマップで楽天回線エリアになっていても、東京都23区などのそもそもローミングが行われていない地域を除き、多くの地域が該当する。

公式対応機種

楽天モバイル・オリジナル3機種
左から Rakuten BIGRakuten HandRakuten Mini

下記は主な公式対応機種(2022年7月現在、太字は楽天モバイルが販売している機種、内部リンク(🔗印無し)は筆者がレビューした機種、特記無い限り4Gのみ対応、打消線は販売終了。)

楽天モバイルでも2021年 4月30日よりiPhoneの販売が始まり、同時に iPhone 6s 以降に公式対応した。 →#iPhoneでの動作を参照

もちろん、家電量販店や中古店などで購入したSIMフリー版を持ち込んでも使える。iPhoneの場合はキャリア版とSIMフリー版の機能的な差異が無いし、一般にキャリア版は割高なので、機種変更などの際はApple直販や家電量販店などでSIMフリー版を買う方がお得

また、楽天モバイルでiPhoneを購入すると不正購入対策として自宅受取に限定され(宅配ロッカー利用不可)、本人が本人確認書類を提示して受け取る必要がある(家族受取不可)のが煩わしい。

楽天モバイルで端末(製品)を購入する場合、支払いは一括払い、24回/48回分割払いの3択になる。他社と違って(クレジットカードの与信枠を使うため)分割払いでも追加の審査はなく、面倒な手続き不要でショッピング感覚で購入できるし、途中で端末を返却する縛りもない。乗り換え・買い替え等で不要になったら中古店に売却したり下取りに出しても構わない。iPhoneのような人気機種の場合、他社の返却前提の面倒な分割払いを使うよりも、手軽でお得になることが多い。

ただし、分割払いにはクレジットカード所定の分割手数料がかかる。楽天カードを使うと分割手数料が0円になる特典が用意されており、楽天カードに新規入会する人は追加で楽天ポイントをもらえるので、分割払いで購入したい人は予め楽天カードを作っておくとお得だ。

なお、Android・iPhoneともに充電器(ACアダプタ)が別売の製品が増えてきたが、すでに USB Type-C 対応の充電器を持っていれば、そのまま利用できる。持っていない場合は、USB PD 対応のACアダプタも一緒に購入しておこう。 楽天モバイルでは公式にAnker製品を推奨・販売している。


楽天モバイル・オリジナルモバイルルータ Rakuten WiFi Pocket

モバイルルータもある。

  • Rakuten WiFi Pocket 2B - メーカーはZTE。一括税込7,980円だが、新規契約とセット購入で1円になる。ただし Rakuten WiFi Pocket 0円キャンペーンを利用したことのある人などは対象外。
    前機種「Rakute WiFi Pocket」よりも価格は2千円安くなったが、一回り大きく・重くなり、対応バンドが削減された(ソフトバンク・ワイモバイルのプラチナバンドに非対応)。
  • Rakuten WiFi Pocket - 一括税込9,980円だが、新規契約とセット購入で1円になり、さらにアンケート回答で1ポイント還元される実質0円キャンペーンが実施されていた。2021年7月時点で終息。
  • Aterm MP02LN
  • Aterm MR05LN

(2021年7月現在)

なお、購入直後は Wi-Fi が使える場所でファームウェアアップデートが必要になる機種がある。 自宅等でWi-Fiを使えない場合は、店舗で購入する方が良いかも。

【参考】


動作確認済み機種

筆者がレビューした機種のうち、動作確認済み機種は下記。 (2021年12月現在、特記無い限り4Gのみ対応)

2020年 4月27日より持ち込み端末の動作確認結果が公開されるようになった。

こうしたSIMフリー機種では一応使えても、楽天回線の電波が弱い場所(東京都心など一部を除き大半がこれ)ではパートナー回線を優先して掴む(パートナーエリアでは5GB以上使うと規制される)、ETWS(緊急地震速報など)を受信できないといった、使い勝手が悪い機種もあるので、要注意。

楽天モバイルが公開している動作確認結果を見て、「すべての機能がご利用いただけます。」と表示される機種を使うことをお勧めする。

モバイルルータも同様に、モバイルルータではどちらの回線を掴んでいるか判らないし、Rakuten WiFi Pocket の中古品(未使用品を含む)が安く出回っているので、やはり公式対応機種を使うことをお勧めする。

RakutenMobile iPhone.webp

iPhoneでの動作

iPhone SE にキャリア設定46.1適用前後のアンテナピクト表示の変化。Carrier 46.0 までは「LTE」だったが、Rakuten 46.1 にアップデートすると「4G」になる。

→詳しくは楽天モバイルでiPhoneを使うを参照

2021年 4月27日より楽天モバイルでも iPhone 6s 以降に公式対応するとともに、2021年 4月30日より iPhone SE (2nd) および iPhone 12 シリーズの販売が始まった(4月22日発表)。

iOS 14.4 から対応したので、iOS 14.4 以降にアップデートできる機種が公式対応となった。

楽天モバイルではSIMカードeSIMを入れるとAPNが自動設定されることから、構成プロファイルは配布されていない

キャリア設定のバージョンは、【設定 > 一般 > 情報】を開くと確認でき(右図)、アップデートもここでできる。ただし初回のみ、キャリア設定アップデートのためにWi-Fiが必要になることがある。構成プロファイルがインストールされている場合は削除し、Wi-Fiに接続した状態で、再度【設定 > 一般 > 情報】を開いてみよう。

キャリア設定 46.1(またはそれ以降)を適用すると、構成プロファイル不要で楽天モバイルを認識し、使えるようになる。 同時に、キャリア表示が「LTE」から「4G」に変わる(右図、iPhone SE (1st) の例)。

iPhone XS 以降では、eSIMも使える。 iPhone 12 シリーズiPhone 13 シリーズでは、5G (Sub-6) も使える。

無料通話に必須の「Rakuten Link」アプリと、データ使用量の把握や各種手続きに使う「my 楽天モバイル」アプリは、App Store で配信されているので、各々インストールしよう。

ただし、2021年 6月24日→ 7月 6日より、#iPhoneではiOS標準電話アプリに着信する/他社宛SMS送信できなくなったので、折り返し通話がとても面倒になるとともに、SMS送信は無料対象外になってしまった。

また、iPhone では、掴んでいる回線が楽天回線かパートナー回線かを判別する方法が提供されていない(端末の機能で判別する方法は iPhone 12 Pro#楽天モバイルの楽天回線エリアかパートナーエリアかを判別する方法 を参照)。→2021年 8月27日より「my 楽天モバイル」アプリが回線表示に対応した。

iPhone XS 以降(iPhone SE 第2世代を含む)ではeSIMも使えるので、生活圏で楽天回線が圏外になる場合は、UQモバイルpovoワイモバイルLINEMOなどの通話定額が無い格安プランを別途新規契約して、楽天モバイルはeSIMに入れると良い。データ通信はauやSBの回線を安く使え、電話番号はそのままで、Rakuten Link の無料通話を使える。

1回線目のみに限られるが、楽天回線はデータ通信を使わなければ0円で通話し放題になるので、他社の通話定額を外して節約できるわけだ。

現在、楽天モバイル (MVNO) の「スーパーホーダイ」でiPhoneを使っている人は、楽天回線に移行する方がお得になりそうだ。

ところで、楽天モバイルはSIMカードを使い、IIJmioのギガプランをeSIMデータで契約すると、月額基本料をグッと抑えられるため、この方法を勧めている記事が散見されるが、この場合は楽天モバイルが圏外になると緊急通報やフリーダイヤルへの発信ができなくなる、その他の電話番号へ発信した際にも選択非通知扱いになってしまうといった不都合が生じうるので、これ以外に電話が無い人にはお勧めしない。

また、iPhoneにはデータSIMを使っていると緊急通報(110番、118番、119番)に発信できなくなる不具合があることが報告されているiOS 15.2 で解消した

通話SIMは高いイメージがあるかもしれないが、MVNOの通話SIMはぐっと値下がりし、IIJmioならば月額420円UPで済むし、2022年1月に始まった「日本通信SIM合理的シンプル290プラン」に至っては月額290円~で利用できる。povo 2.0 ならば月額0円~でデータ単価も格安だ。iPhoneで節約したい人には、楽天モバイルはeSIMに入れて、別途通話SIMを契約して使うことをお勧めする。

予めSIMロック解除が必要。IIJmioの格安eSIMデータ契約やワイモバイルのシェアプランなどのデータプランをメインにしても構わないが、Rakuten Link では緊急通報やフリーダイヤルに発信できず、楽天回線は圏外になりやすいので、建物内などで緊急通報できなくなる事態が考えられるので注意されたい。
2022年1月時点のユニバーサルサービス料など2円を含む。2021年3月まではデータSIMに音声を付けると770円UPだったので、eSIMとの差はもっと大きかった(当時はeSIMのみプランが違っていたので、eSIMとの単純比較はできない)。

Apple Watch 電話番号シェアサービス

iPhone と Apple Watch で同じ電話番号を利用できる「電話番号シェアサービス」(月額550円)が、2022年 3月25日より提供される。

iPadの使い方

筆者の手元では使えている(iPad mini (第5世代)iPad mini (第6世代) で確認)。

楽天モバイルではiPadは動作保証対象外だが、設定方法は掲載されている。 →お手持ちのiPhone・iPadで楽天回線を使用するための初期設定方法

筆者が試した範囲では、APNが自動設定される場合と、自動設定されない場合がある(具体的な条件等は不明)。また、IPv6を使えないことがある(楽天モバイルはIPv6に標準対応しているので、iPadOSの制限と思われる)。

APNが自動設定されない場合は、iPadではAPNを手動設定できるので、【設定 > モバイルデータ通信 > APN設定】を開いて、「モバイルデータ通信」と「インターネット共有」2ヶ所のAPNに rakuten.jp を設定すればいい(他は空欄のままでいい)。

機種変更(SIM交換)手続きはオンラインで完結

eSIMの機種変更方法はeSIM#楽天モバイルを参照
my 楽天モバイル > 契約プラン > SIM交換・再発行手続き】より手続きできる。SIM交換の送料・手数料は無料

楽天モバイルの機種変更は、とても簡単。わざわざキャリアショップへ出向く必要はなく、手数料もかからない。ただし設定は自分で行う必要がある(機種を購入した場所を問わず、店頭サポートは有料)。

SIMカードを使う機種同士の機種変更は、手続き不要。家電量販店や通販、中古店などで新しい機種を買ってきて、いま使っているSIMカードを古い端末から新しい端末へ移すだけで良い。他社にありがちなIMEI規制などは無いし、APNも基本自動で設定される。

eSIMを使っていた/使う場合は手続きが必要になるが、それもオンライン(my 楽天モバイル)で完結するし、朝や夜でも手続きできて、eSIMなら数分で再発行されるから、気が向いた時に気軽に機種変更できる。

SIMカードは宅急便で届くので、予めクロネコメンバーズに登録してあれば、「SIMカード出荷完了のお知らせ」メールが届いた後にオンラインで日時指定ができる

いちばん時間がかかるのはSIMカードの再発行手続き(eSIMからSIMカードへ変更する場合と、紛失等の場合)だが、これも手続き自体は簡単。

まずは、【my 楽天モバイル > 契約プラン > SIM交換・再発行手続き】を開く。SIM交換・再発行の理由は、機種変更ならば「その他」を選ぶ。新しい端末のSIMタイプ(SIMカードまたはeSIM)を選び、「交換・再発行を申請する」を押す(右図)。確認画面を経て、申請手続きは完了。

新しいSIMカードは、申請した当日または翌日に発送され、宅急便で送られてくる(2023年7月現在)。配達時間帯の指定はできないが、予めクロネコメンバーズに登録してあれば、「SIMカード出荷完了のお知らせ」メールが届いた後にオンラインで日時指定ができる(右図)

my 楽天モバイル」にログインし、申込番号をタップして開き、「SIMの初期設定をする」をタップすると、すぐに古いSIMが使えなくなり、新しいSIMが使えるようになる

新しいSIMカードが届いたら端末に装着し、「my 楽天モバイル」にログインして切り替え手続きをする(右下図)と、古いSIMカード(またはeSIM)が使えなくなって、新しいSIMカードが使えるようになる

もし紛失などですぐに必要な場合は、楽天モバイルショップ一部店舗に限る)に出向くと即日発行してもらえるが、急ぎでなければオンラインで手続きする方が手軽で良いだろう。

ちなみに楽天モバイルショップで機種を購入しても、新規契約した時以外は設定してもらえないし、他社と違って楽天モバイルでは機種変更の価格的な優遇も無い。

楽天モバイルの店頭サポートは月額550円の有料オプションになっている。この料金を払えば、持ち込み機種だろうが何だろうが、楽天モバイルの公式対応機種であればサポートを受けられるので、端末は好きな所で購入すれば良い。

ただし、混雑時はこの限りではない。筆者が試した範囲では、平日朝に申し込むと、当日中に東京から宅急便で発送され、翌日到着した。午後の申し込みでは、翌日に発送された。場所にもよるだろうが、離島などを除き1~3日で届くと思う。
職場や転居先などへの転送や置き配はできない。自宅で受け取るか、コンビニ・PUDO等で受け取る必要がある。
2023年 7月初旬に試したところ、新しいSIMカードを端末に入れて電波を掴んだ時点で自動で切り替わるようになっていた(古いeSIMは自動で無効化される)。本則では切り替え手続きをするよう案内されているが、最近は切り替え手続きまで不要になっているようだ。このように細かな使い勝手の向上に取り組んでいる様子には好感が持てる。


スマホ交換保証プラス

故障、盗難・紛失のときに、リファビッシュ品と交換できるサービス。スマートフォンはもちろん、モバイルルータでも利用できる。

月々715円(税別650円、初月日割り)の有料オプションで、楽天モバイルが販売する機種の購入と同時に申し込む必要がある。

また、サービスを利用する際には6,600円(税込、機種や購入価格を問わず一律)支払う必要がある。

しかし、2年間利用し、1回交換すると、23,760円の追加負担になる。 Rakuten BIG や AQUOS R5G などの高値な機種を購入するなら良いが、同社で売れ筋の Rakuten MiniRakuten HandRakuten WiFi Pocket などの廉価な機種では元を取りづらい。

廉価な機種を使う場合は、壊したら買い替える方がむしろ安いかもしれない。心配な人は後から加入できるクロネコ「スマホもしも保険」クロネコケータイ安心保証)などの他社サービスを利用しても良いだろう。

なお、持ち込みの機種を使う人(SIMのみ契約した人)向けには「持ち込みスマホあんしん保証」が提供されている。こちらは回線開通日から30日以内に申し込む必要があることと、楽天回線対応製品のみが対象になる。

手続き・サポート

新規契約・MNP転入

用意するもの

なお、楽天モバイルは使用者名義で契約する必要がある。使用者が18歳未満の場合はこちら

申し込みの流れ

在庫が無い機種は注文できないが、注文フォームを開いて個別の機種ページを見ないと在庫状況がわからない。ちなみに2021年 2月14日時点では、値ごろ感のある機種はほぼ完売になっていた。
  1. 楽天モバイルで使う機種を決める。
    新たに購入したい場合は、先に機種の候補をいくつか挙げておこう。品切れの機種は購入できず(一部の機種を除き、予約も受け付けていない)、今は注文が殺到して品切れが相次いでいるようなので、再入荷を待ってから申し込むか、他の機種にする必要がある。
    #対応機種を持っていてそのまま使う場合(SIMロック解除済みiPhoneのeSIMを使う場合など)は、製品(機種)選択せずに申し込めば良い。
  2. 楽天モバイル公式サイトを開き、「新規/乗り換え(MNP)お申し込み」をクリック(orタップ)。
    楽天モバイルMVNOから移行する人はこちら
  3. プランを選択する」をクリックして先に進む(プランは1つしかないので選ぶ必要はないのだが)。
  4. 各種オプションを選択。不要ならば選択しなくて良い。「SIMカードタイプ」は機種により異なるが、一般的なAndroid機種では「nanoSIM」。Rakuten Mini/Hand/BIG と iPhone では「eSIM」を選ぶ。ちなみに「nanoSIM」となっているがマルチSIMが送られてくるので、標準SIM・microSIMの機種でも使える。
  5. 右側の「製品選択へ進む」をクリックすると、同時購入できる機種が表示される。ただし在庫切れで一時的に購入できない機種も表示されるので、実際に購入できるかは各機種の「製品を選ぶ」をクリックして確認する必要がある。カラーに印が付いている機種・カラーは在庫切れ。
  6. 購入したい機種(製品)を無事にカートに追加できたら、「#スマホ交換保証プラス」(有料、月々715円)が自動で追加されるので、不要ならば「✔選択済み」をクリックしてから「選択を解除する」をクリックすると、外すことができる。外して申し込むと後から追加できないので、必要な人は付けておくように。
  7. 必要に応じ、ケースやフィルムも購入できるが、家電量販店や通販でも購入できるので、必要なければ飛ばして一番下の「この内容で申し込む」をクリック。
  8. 楽天会員ログインを求められるので、楽天IDとパスワードを入れてログイン。
  9. 契約者情報を確認する。楽天IDに登録されているメールアドレス・氏名・住所・生年月日が使われるので、入力の手間が省けるが、転居等で変わっていると本人確認を通らないので、先に my Rakutenで楽天会員情報を更新しておく必要がある。
  10. 本人確認方法を選択。アップロードするか、受け取り時に自宅で確認を選べる。アップロードを選ぶと、その場で本人確認書類の選択とアップロードを行う。パソコンやスマートフォンの操作に慣れている人はアップロードがお勧め。難しいと感じた人は「受け取り時に自宅で確認」を選ぶと良い。
  11. 電話番号の選択 - 「他社から乗り換え(MNP)」「選べる電話番号サービス 1,000円」「新規電話番号を取得」から選ぶ。
    MNPの場合は、続いて乗り換える電話番号、MNP予約番号とその有効期限を入力する。ハイフン不要。
  12. 新しいカードを追加 - 料金の支払いに使うクレジットカードを登録する。
  13. 受け取り方法とお支払い方法を確認・指定。「お届け希望日」はあてにならないので放っておけば良い。時間帯指定はできる。
  14. 製品(機種)を購入した場合は、支払い回数を選択。一括、24回、48回の三択で、分割払いはカード会社所定の手数料がかかり、24回払いにすると手数料が嵩むので、できれば一括払いがお勧め。ただし楽天カードだけは分割手数料が無料になる。ちなみに分割払いしてもSIMロックやネットワーク利用制限は無いし、楽天モバイルを解約しても分割払いは継続する。
    しかし分割手数料は仕方ないとして、せめて2回・3回・6回・12回なども選べるようにしてほしいものだが。
  15. 宣伝メールを受け取りたくない人は、下の方にスクロールして、「楽天ひかり案内メールを受け取る」のチェックを外しておこう。
  16. 右側のお申し込み内容を確認。3カ月無料無料キャンペーンが適用になる人は、右上の「Rakuten UN-LIMIT VI」のすぐ下にその旨が明記されるので、確認しておこう。また、機種代や各種オプション料金も確認しておこう。問題なければ、下の「申し込む」をクリックすると申し込みが確定する。
  17. しばらく待って、申込番号が表示されて動画が再生されると申し込み完了。
  18. 配送状況などは「my 楽天モバイル」に楽天IDでログインすると確認できる。
  19. 製品とSIMカード(またはeSIMの登録方法を説明した紙)が届いたら、端末を充電してからSIMカードを入れる。
  20. MNP転入(番号そのままで乗り換え)した場合は、9時~21時の間に開通(回線切り替え)手続きをする。「my 楽天モバイル」にログインして、申込番号をクリックすると、切り替え手続きに進める。
  21. 端末の電源を入れて、111に通話発信してみる。開通試験サービスにつながれば、回線切り替え手続き完了。
  22. Android機種はGoogleアカウントの設定などをして、使えるようにしよう。
  23. 使えるようになったら、Rakuten Link アプリをインストールして、10秒以上の通話と1通以上のメッセージを送ると、キャンペーン条件クリアとなる(初めての人は5,000ポイントもらえる)。

なお、一部の機種(楽天モバイル・オリジナル機種)では予約注文を受け付けていることがある。MNP(番号そのままで他社から乗り換え)の場合、予約した製品が届いた時にはMNP番号の有効期限が切れてしまうことがあるが、その場合には再度取得して手続きするよう案内されている。 ⇒MNP(他社からの電話番号乗り換え)でご購入時の注意事項

楽天モバイルMVNOから楽天回線への移行

2021年 2月23日までは#紹介キャンペーン対象になっていたが、紹介コード入力欄がなぜか英語表記だったり、eSIMしか使えない機種を購入してもSIM選択が切り替わらないといった不具合が見られた

基本的な流れは前述の新規(他社からのMNPを含む)の場合と同様だが、楽天モバイル (MVNO) からの移行は専用窓口が設けられているので、楽天モバイル公式サイトの「プラン変更(移行)のお申し込み」へ進む。 これでMNP予約番号の取得や解約金は不要、本人確認書類の再提出も不要になる。

ただし、MVNOサービスで使っていたSIMカードの返却が必要で、返却送料は利用者負担。

MVNO時代に購入した端末が、MNOでも使えるか否かの案内がされるが、その結果にかかわらず、新たに機種を購入することができる(ただし注文が殺到しているようで品切れが多いのは同様)。

新規(他社からのMNPを含む)と同様、各種キャンペーンの対象になるので(2021年2月時点)、前もってエントリーしておこう。

気になる料金は、旧MVNOのプラン料金は解約月(移行した月)まで満額請求されるが、公式Webで移行手続きした場合に限りRakuten UN-LIMIT は2回線目以降の場合も契約月は無料(後日請求取消)になる

また、今まで使っていた「楽天メール」(Rメール)アドレスも引き続き利用できるが、移行手続きするとメールアドレスやパスワードなどを見られなくなってしまうので(システムの不備だね)、移行手続き前に「メールアドレス」とメール用の「パスワード」などを控えておく必要がある。

店舗(楽天モバイルショップ)では、移行手続きはできず、MNP(のりかえ)扱いになってしまうため、楽天メール(Rメール)を引き継げなくなることと、移行(のりかえ)月には旧MVNOプランと新プランの両方の料金が発生する(1回線目で「3カ月無料」キャンペーンが適用になる場合は新プランは無料だが)ので要注意。

「利用者登録」で利用中の人(未成年など、契約者と利用者が異なる場合)は先に名義変更手続きをする必要があり、1ヶ月ほどかかっているようなので要注意。⇒名義変更のお手続き

なお、移行手続きの対象は楽天モバイル (MVNO) 通話対応プランのみ。データ専用プランは移行不可。楽天モバイル傘下の「FREETEL」「DMMモバイル」を利用している人は移行対象にならず、通常のMNP(のりかえ)手続きになる。

旧MVNOプランの引き継ぎ

2019年 3月14日10:00以降に新規契約した同社MVNOサービス(ドコモ回線・au回線)の利用者は、2019年10月2020年 4月以降順次送付されるSIMカードに交換することで、MNOサービスに切り替えられることになっている。

また、2019年 9月までに契約した利用者は、現在のプラン(組み合わせプラン、スーパーホーダイ)のままで楽天回線に切り替えられることになっている。

しかし、2020年4月時点では新プランへの切り替えの受付は始まっているが、旧プランのままの移行はまだ始まっておらず、『楽天回線の「スーパーホーダイ」「組み合わせプラン」への移行手続き開始時期は未定です。提供の準備ができ次第、改めてご連絡いたします。』と案内されている。

もっとも、現在「スーパーホーダイ」プランS・Mを契約している人は、そろそろ楽天会員割(1年間限定)が終わり、月額料金が2,980円(税別)かそれ以上に値上がりするタイミングだろうから、楽天会員割が終わる頃合いを見て「Rakuten UN-LIMIT」に変更する方がお得になりそうだ。

また、2021年4月より「Rakuten UN-LIMIT VI」が始まって、少容量も値下げされたので、現在「組み合わせプラン」を契約している人も、旧プランのまま移行するより「Rakuten UN-LIMIT VI」に切り替える方が、少なくとも月額料金は抑えられてお得になりそうだ。

2021年4月下旬よりiPhoneも正式対応したので、iPhoneユーザーもそろそろ移行を考えておくと良さそうだ。

ただし、楽天回線エリアは狭いので、場所によっては使い勝手が悪くなるかもしれない。3ヶ月は無料で使えるので、試しに楽天回線に移行してみて、使い勝手が悪くなるようであれば、他のMVNOUQモバイルワイモバイルなどの格安プランに乗り換えても良いと思う。

なお、MVNOサービス(ドコモ回線・au回線)契約中で、そのまま使いたい人は、送られてきたSIMカードを使わなければ、引き続き利用できると案内されている。

課金開始日(利用契約の開始日)

新規申し込み
楽天回線またはパートナー回線の電波が利用できるようになった日、または楽天モバイルに配送完了データが通知された日のいずれか早い方。
契約開始月の料金は日割り計算になる。
他社から乗り換え(MNP)
楽天回線またはパートナー回線の電波が利用できるようになった日。
契約開始月の料金は日割り計算になる。
楽天モバイル (MVNO)(ドコモ回線・au回線)から移行
楽天回線またはパートナー回線の電波が利用できるようになった日。
ただし契約開始月は旧MVNOの料金が満額かかるため、Rakuten UN-LIMIT は無料になる。

日割り計算について

「一年無料」キャンペーンが適用中の場合は、12ヶ月後のキャンペーン終了月の末日まで基本料無料で使える。

「3カ月無料」キャンペーンが適用される場合は、3ヶ月後のキャンペーン終了月が日割り計算になる。

どちらも適用されない場合は、初月の基本料が日割り計算になる。

解約月は満額請求(日割り計算無し)。ただし、通話定額以外のオプション料金は日割り計算される

「通話かけ放題」は日割り計算無し

10分(標準)通話かけ放題」「国際通話かけ放題」を月の途中で解約しても、料金は満額請求されるが、「通話かけ放題」は即解約されてしまい、以降の通話は従量課金になる

通話定額を解約する場合は、月末近くにすると良いだろう(ただし「my 楽天モバイル」がメンテナンスに入ると解約できなくなるので、月末の深夜ではなく、日中に解約しておこう)。

他社では月末付けで解約(つまり解約予約)になることが多いのだが、楽天の通話定額は不親切に思える。

未成年の契約

子どもに持たせる回線を契約する際、他社では保護者名義で契約し、使用者登録をすることが多いが、楽天モバイルでは0円になるのが1人1回線までなので、使用者本人名義で契約する必要がある。料金等の支払いには保護者名義のクレジットカードを使う

16歳以上ならば本人名義の楽天銀行デビットカードも使える。18歳以上ならば本人名義のクレジットカードも使える。

18歳未満は「あんしんコントロール by i-フィルター」(月額330円)の契約が必須となるため、0円運用はできない(他社だと無料の場合が多いんだけれどね…)。

楽天IDの発行も必須なので、ID・パスワードの管理にも気をつけたい。

なお、2021年6月までは、使用者が18歳未満の場合はオンラインでは契約できず、保護者同伴で店舗に出向いて契約する必要があったが、現在は未成年でもオンラインで契約できるようになった。

eSIM・eKYC

お申し込み後、約5分で乗り換え!eSIM×eKYCで最大21,000円相当分ポイント還元!キャンペーン
eSIMの機種変更についてはeSIM#楽天モバイルを参照

手持ちのeSIM対応機種を使う場合は、申し込みの際にeKYCでの本人確認を選ぶと、オンラインで申し込んでも即日開通できる

ただし、eKYCでの本人確認には、マイナンバーカードか運転免許証が必要。また、機器に内蔵のカメラで撮影する必要があるので、スマートフォンを使って契約手続きする必要がある

キャンペーンページでは「Webでお申し込み後 約5分で乗り換え」と煽っているが、「Webでお申し込み」に数十分はかかるので、煽りすぎ(笑)。慣れている人で30分くらい、ある程度詳しい人で1時間くらいは見ておくことをお勧めする。 特にMNPの場合は、21時までには終わるよう、余裕をもって始めよう。

iPhone 11 シリーズ、iPhone 12 シリーズOPPO Reno5 A、Google Pixel シリーズ、Rakuten HandRakuten Mini など。
9時~21時の間に手続きが完了した場合。ただし審査状況により翌営業日になることもあるようだが、筆者が試した時には、数分で開通した。
契約するスマートフォン以外で契約できる。例えばiPadなどを使っても契約できるが、パソコンだとeKYCを使えないので、契約するスマートフォンを使うのが簡単・確実だと思う。
eSIMの機種変更(SIMカードからeSIMへの変更を含む)の場合は、5分かからずにできる。筆者は何度もeSIMの機種変更をしているが、「my 楽天モバイル」アプリで申し込んでから1~2分後にはeSIMの準備ができ、同アプリを開いてそのまま書き込め、書き込みに1分くらいなので、3~5分でできる。他社ではこう簡単にはいかないので、eSIMの扱いに関しては、楽天モバイルがアピールするのも肯ける一面がある。
eKYCで本人確認書類の撮影の様子。枠に収めるように撮る(撮影の要領がわかりやすいよう、他のカードを写している)
申し込みフォーム送信後10秒ほどで手続き完了した。この後は「my 楽天モバイル」アプリを使う

具体的な手順はこんな感じ(2021年 8月現在)。

  1. スマートフォンで申し込みフォームを開く
  2. プランを選択する(「Rakuten UN-LIMIT」1つしかないので、「プランを選択する」を押すと勝手に選択される)
  3. オプションサービスが表示されるので、もし必要な物があれば✔を入れる
  4. SIMタイプは「eSIM」を選ぶ
  5. 申し込み内容を確認し(月額3円~、一括価格0円になっていると思う)、「この内容で申し込む」を押す
  6. 楽天会員ログイン
  7. 契約者情報の確認。楽天会員の情報が表示されるので、確認して✔を入れる。違っている場合は楽天IDの会員情報を変更する必要がある。
  8. 本人確認に「AIかんたん本人確認 (eKYC)」を選ぶ
  9. カメラの使用許可を求められるので「許可」を押す。Webブラウザでカメラの使用を許可していない場合は、Webブラウザの設定を変えてから再度試す。
  10. 「次へ進む」
  11. 「運転免許証」か「マイナンバーカード」を選ぶ
  12. 表面の撮影、厚みの撮影、顔の撮影など、画面の指示に従って進める
  13. 電話番号の選択。「他社から乗り換え (MNP)」「選べる電話番号サービス 1,100円」「新規電話番号を取得」の3択。
  14. MNPでは必要事項を入力。純新規ならば電話番号を選ぶ。
  15. 支払い方法(クレジットカードまたは口座振替)を指定し、楽天ポイント利用の有無を選択。
  16. 下の方に宣伝メールの同意チェック欄があり、最初から✔が入っているので、宣伝メールを受け取りたくないときはチェックを外してから、「申し込む」を押す。
  17. 「プランのみが選択されています」という確認メッセージが出るが、持っているeSIM対応端末を使う(新しい端末は買わない)ので、「この内容で申し込む」を選ぶ。
  18. 申し込み内容が一覧で出るので、「この内容で申し込む」を押す。
  19. 「重要事項説明」「利用規約」の確認と同意。
  20. 「帯域制御のための通信に関する情報の取得・利用」の確認と同意。
  21. 「位置情報と通信履歴の提供」は同意しなくても良いので、同意しないならチェックせずに「同意して申し込む」を押す。
  22. しばらく待って「お申し込みを受け付けました」と出たら、無事申し込みできた。続いて「ご利用までの流れ」が表示されて、「my 楽天モバイル」アプリのダウンロードを促される(右上図)。

ここまでの申し込みに数十分かかっているので、「約5分」は煽りすぎでしょ(笑)。 でもまあ、この後は、慣れている人ならば5分でできるかな。

「my 楽天モバイル」アプリを使うと、QRコードを使わずに、スマートフォン単体で契約からeSIMの書き込みまでできる(Reno5 A の例)
  1. 楽天モバイルの契約を書き込みたいスマートフォンをWi-Fiに接続
  2. Google Playまたは App Storeから「my 楽天モバイル」アプリと「Rakuten Link」アプリをインストールする
  3. 「my 楽天モバイル」アプリを起動。
  4. 楽天IDでログイン。
  5. 上の方に表示されている「申込番号 #000000000【準備中】」をタップ。
  6. MNPの場合は「転入を開始する」をタップ。9:00~21:29の間は当日中に転入が完了するが、21時以降は間に合わず翌日開通となる場合があることなどの説明を読んで「注意事項を読み理解しました」に✔を入れて「MNP転入を開始する」をタップ。通常はすぐに切り替わる(以前の契約が自動解約になり、古いSIMが使えなくなる)。
  7. 「開通手続きへ進む」をタップ。「開通手続きが完了しました」(右図)と表示されたらOK
  8. 通常は、アプリでeSIMの書き込みまで完了し、APNの設定も自動で行われる。デュアルSIM(DSDS/DSDV)で使っている場合は、スマートフォンの設定を開いて楽天モバイルに切り替える。
  9. アンテナピクトで4G圏内になっていることを確認してから、電話アプリを起動して、111(開通試験サービス、通話料無料)に通話発信。「接続試験は正常です」というメッセージが流れればOK。
  10. Wi-FiをOFFにして、eSIMに切り替えてから、ChromeやSafariなどのWebブラウザで https://test-ipv6.com/ を開いて、データ通信できることと、IPv6通信できることを確認。
デュアルSIM(DSDS/DSDV)対応機種では、他のモバイル通信を使っても開通できる(実際、右上図の例ではahamo回線を使って開通させた)が、機種にもよると思うので、Wi-Fiを使う方が確実だと思う。
Androidスマートフォン、iPhone、iPadいずれも「my 楽天モバイル」アプリでeSIMに書き込みできる。ただしiPadでは「Rakuten Link」アプリはほぼ使えないので、iPadでは「my 楽天モバイル」のみ入れれば良い。
ここでQRコードが表示されてしまう場合は、アプリでのeSIM書き込みに未対応の機種なので、パソコン等のWebブラウザで「my 楽天モバイル」を開いて開通手続きを行い、QRコードを表示し、スマートフォンで読み取って書き込む。

ここまでで、開通。お疲れさまでした…の前に、Rakuten Link の設定も済ませておこう。 (すぐにしなくても良いが、ここまで終わらせないとキャンペーン特典が適用にならないので忘れずに!)

  1. 「Rakuten Link」アプリを起動。
  2. 「位置情報提供協力のお願い」「快適なサービスをご利用いただくための情報提供」は同意しなくても利用できる。
  3. 楽天IDでログイン。
  4. 位置情報へのアクセス許可を求められるので、今回のみ許可する。
  5. 電話番号が自動で認識されていると思うが、違っている場合(デュアルSIM機など)は書き換えてから「確認」を押す。
  6. SMSで認証コードが送られてきて、通常は勝手に入力されるが、入力されない場合は手入力して「確認」を押す。
  7. 「Rakuten Linkネーム」と画像の入力を求められる。これらは楽天モバイルユーザーは電話番号を入力すると誰でも見られるので、実名や顔写真などの個人を特定できる情報は入れない方が良い。
  8. Rakuten Link をアンインストールする際は、必ずログアウトするよう注意される。
  9. 規約への同意を求められる。
  10. 下の方のメッセージをタップしてから、右下の吹き出しアイコンをタップし、「新規メッセージ」をタップ。
  11. 宛先に携帯電話番号を入れて、どこかへSMSを送信する。家族などの携帯電話宛に送るのが良いと思う。SMS送信料は無料。
  12. 下の方の通話をタップしてから、右下のテンキーアイコンをタップし、どこかに10秒以上電話する。自宅の固定回線や家族などでもいいし、週間天気予報などを聞いてみても良い。通話料は無料。
111(開通確認)や117(時報)などの3桁特番、0120や0800などのフリーダイヤル、0570ナビダイヤルなどはVoLTE発信になってしまうので不可。市外局番+177はLink発信になるはずだが、週間天気予報の方が確実だと思う。

ここまで出来れば、設定完了。おつかれさまでしたー

すごく面倒だったと思うけれど、これでも楽天モバイルは(Link絡みを除いて)簡単な方。他社だとeSIMへの書き込みはアプリでできないし、dアカウントでのログインを強制していながら改めて住所等入力させられる所もある。楽天モバイルはeSIMの取り扱いが早かっただけあり、一日の長があるように思う。

なお、楽天モバイルではメンテナンス中を除く24時間手続きできるが、MNPの場合は他社とタイミングを合わせる必要があるため、即時開通できる時間が毎日9:00~21:00頃の間に限られる。混雑などで21:30を過ぎると翌日開通になることがあるので、遅くとも21時までに終わるよう、余裕をもって手続きを始めよう。

MNP転入

MNP転入(番号そのままでのりかえ)の場合、現在契約中(のりかえ元)のキャリアでMNP転出の手続きをして、MNP予約番号を取得する必要がある。

楽天モバイルの契約時に、のりかえる電話番号と、MNP予約番号、およびその有効期限を入力する必要がある。

有効期限は7日以上残っている必要があるeSIM・eKYCだと即日転入できるのだが、この場合も、有効期限が7日以上ないと手続きを進められない。

端末の在庫切れなどで時間がかかった場合など、もし手続き中に予約番号の期限が切れて無効になった場合は、回線開通時に「MNP転入失敗」エラーになるが、MNP予約番号を再取得して更新することで、再度開通手続きできるようになる。

楽天モバイルではメンテナンス中以外は24時間開通手続きできるが、MNPは他社とタイミングを合わせて切り替える必要があるため、9:00~21:00にしかできない。それ以外の時間に切り替え手続きを行うと、翌日勝手に切り替えられることになるので、翌朝9時以降まで待ってから手続きすると良い。

機種変更(SIM交換)

MNP転出

my 楽天モバイル」で手続きできる。メンテナンス中(ログインできない)以外は24時間いつでも手続きでき、予約番号はほぼ即時発行される。詳しくは次項参照。

解約手続きはオンラインで完結

解約/MNP転出手続きも「my 楽天モバイル」からオンラインで完結する

機種変更のみならず、解約/MNP転出手続きもオンラインで完結する。他社のように解約のために窓口へ出向かされたり、電話で長々と引き留められてうんざりすることもない。

解約も「my 楽天モバイル」アプリまたはWebサイトから手続きでき、契約解除料・MNP転出手数料は無料(MNP転出手数料は2020年11月 4日より無料化された)。

「my 楽天モバイル」メンテナンス中以外はいつでも(深夜早朝でも)手続きできる。「my 楽天モバイル」に楽天IDでログインし、【契約プラン > 各種手続き > 他社への乗り換え(MNP) または 解約】(右図)を選択。簡単なアンケートに答えたら手続き終了。すぐに予約番号が発行される。

注意点としては、楽天モバイルを1人で複数回線契約している場合、手続き対象の電話番号が左上に小さな字で表示されているので、間違いのないように確認しよう。

解約の手続きをするとすぐに使えなくなるが、料金は月末まで使った場合と変わらないので、純解約(MNP乗り換えではなく、電話番号の利用を廃止)するなら月末近くの方がお得になる。 とはいえ、「my 楽天モバイル」が不定期にメンテナンス休止するので、月末ぎりぎりではなく、少し余裕をもって手続きしておく方が良い。

MNP転出の場合は、予約番号は2週間有効だが、MNP転出先によっては予約番号の有効期限が短いと転入手続きを受け付けないところもある。一方で「my 楽天モバイル」不定期メンテナンス中は手続きできないので、MNP(番号そのままでのりかえ)手続きする前日くらいに予約番号を取得しておくと良いだろう。

スマートフォンアプリでもWebでも同様に手続きできるが、筆者が試したところ、スマートフォンアプリでMNP転出手続きをしたら画面が真っ白になって先に進まない不具合が出ていた。少し時間を置いてからWebにログインし、【契約プラン > 各種手続き > 他社への乗り換え(MNP)】を開くと、MNP予約番号などが表示された。アプリで不具合が出た場合は、Webで試すと良い。

SIMカードの返却

楽天モバイルでは解約後にSIMカードを返却する必要があったが、2022年秋頃より解約後のSIMカードは返却不要と案内されるようになった。

返却することもできるが、送料は負担する必要がある(普通郵便で可、着払い不可)。楽天モバイルショップに持ち込んでも回収してもらえない。自治体の指示に従って廃棄しよう。

ちなみに各社ともSIMカードは貸与だが、au系ソフトバンク系は解約後のSIMカードの返却は不要(店舗で解約した場合は回収される)。ドコモ系は郵送で返却が必要となっている。解約後のSIMカードなど使い道は無いのに、わざわざコストをかけて回収する意味がわからないが…

ドコモはMVNOには余計な手間をかけさせて回収させているのに、自社では回収していない。いったい何なの?

紛失・盗難時の利用停止/再開

紛失時は、「my 楽天モバイル」にログインしてSIMカードを再発行するよう案内されている。手数料はかからない。

SIMカード/eSIMの再発行手続き理由に「紛失・盗難」を選ぶと、現在のSIMは自動で停止されて使えなくなる(eSIMは無効化される)ので、そのまま新しいSIMカード・eSIMを使えば良い。

楽天モバイル以外にインターネットにつながる端末が無いなどで、「my 楽天モバイル」にログインできない場合は、0800-600-0500(年中無休24時間対応)に電話するとSIMカードの再発行手続きができる。

店舗でのサポートは有料

街中に楽天モバイルショップが増えているが、店舗でできるのは新規契約と機種変更(機種購入を伴う場合)、およびSIMカードの交換・再発行のみで、それ以外の手続きは店舗ではできない

楽天モバイルは店舗があるから他社のようにサポートを受けられるのではと勘違いする人がいるかもしれないが、楽天モバイルショップでは手続きはできず、サポートは有料オプションなので、ahamoなどのオンライン専用プランに近い。店舗があるから駆け込めばサポートを受けられると誤解しないようにしたい。

月額550円の「あんしん操作サポート」有料オプションに加入すると店頭サポートを利用できるようになるので、店頭サポートを利用したい人は加入すると良いが、これを付けると楽天モバイルの割安感が失われてしまうかもしれない。

問い合わせは苦行

一般的な手続きは全てオンラインで出来て手軽な反面、製品の不具合などのイレギュラーに遭った時の問い合わせは苦行だった。

問い合わせはチャット(「my 楽天モバイル」アプリを利用)か電話のみの対応になっているが、どちらも期待できない。ホームページなどで調べて自分で解決し、どうしても分からなければ辛抱強く問い合わせする形になるが、これが苦行。

筆者も後述の不具合などでチャットでの問い合わせを試してみたが、問い合わせ内容を送ってから返信があるまで半日ほどかかり、返信内容も本文をろくに読まずに返してくるテンプレ対応で、しかもすぐに返信しないと切られてしまい、最初からやり直し。混雑や感染症対策があるにしても酷く、現状、まるで使えない

もっとも、チャットサポートの塩対応は無料サポータープログラム時代も同様だったようなので、感染症はあまり関係なさそうだが(-_-;。

チャットサポートは、すぐに返信できる体制を整えることが前提だ。筆者は他のキャリアも利用しているが、ワイモバイルのチャットサポートは大抵数分でつながるし、UQモバイルなどWebフォーム(返答はE-mail)での問い合わせを受け付けているキャリアも多い。混雑など理由の如何にかかわらず、すぐに返信できないのなら、メールやWebフォームで問い合わせを受け付けるべきだろうが、楽天では無料サポーター時代の経験がまるで活かされていないようだ。

今では他のキャリアでもサポートは有料になりつつあるが、楽天のサポートはそれ以前につながらない・使えない状況なので、期待しない方が良いだろう。

その後、問い合わせ種別ごとにWebフォームや電話窓口が設けられるようになり、幾分改善した。チャットは相変わらずだが、例えば Rakuten Casa の問い合わせ窓口(電話)はすぐにつながるし、電波が入らない(→Webフォーム)、電話機が故障したといった(→電話)問い合わせについては、だいぶマシになってきた。

端末の不具合の場合は、チャットでは埒が明かないことが多いので、電話する方が早いと思う。

楽天モバイルは他のMNOと違い、自社で販売している端末のサポートを自社で行わず、メーカーのサポート窓口に案内される(楽天モバイル・オリジナル機種のみ、楽天モバイルがサポートする)ので、メーカーに直接問い合わせる方が早い。 電話サポートは050番号(通話料有料)だが、Rakuten Link が使えるようになっていれば、通話料はかからない。また、SMARTalk (FUSION IP-Phone SMART)LaLa Callなどのフュージョン基盤のIP電話からは通話料無料になる。

特に初期設定などのサポートが必要な人は、店頭で購入し、有料サポートを利用すると良いだろう。

Rakuten Casa

Rakuten Casa 申し込みフォーム(「my 楽天モバイル」から入る)

Rakuten Casa(らくてん カーサ)は、フェムトセル(ホームアンテナ)サービス。

楽天モバイルをデータ通信にしか使っていないのなら Rakuten Casa は無用の長物だが、楽天モバイルを通話に使っている場合、自宅の圏外になる場所に設置することで、通話が非通知にならない、緊急通報やフリーダイヤル等に発信できるといったメリットがある。

自宅で元々auの電波が入らない、またはパートナー回線を切られた/切られそうな地域で、通話に支障があるときに、導入を検討してみよう。

事務手数料が3,000円(税込)かかるが、設置後に3,000円相当の楽天ポイントが還元されるので、実質無料で利用できる(光回線の料金は別途)。設置は自分でする必要があるのと、レンタル品なので返却が必要だが、月額利用料・レンタル料等は無料。

自宅に光回線を引いていることが前提なので、データ通信はWi-Fiを使えば済む。設置の手間と電気代がかかるので、通話まわりのメリットが無関係な人は、設置する必要はない。
1人1回限り。一度返却して再度借りる場合にはポイント還元されないので、事務手数料負担が発生する。Rakuten Casa の設置完了を楽天モバイルが確認した日を基準に、20日締めで、翌月25日に還元される。開通期限は無いので、トラブル等で遅れても、最終的に開通すればポイント還元対象になる。

Rakuten Casa を申し込む

以前は「my 楽天モバイル」(Web・アプリ)から Rakuten Casa の申し込みに直接入れたのだが、2022年 6月頃から、先に電波改善・調査依頼を実施し、その後にCasaの設置が案内される形に変わった。

楽天回線の電波状態に問題がある場合は、まず電波改善・調査依頼フォームに記入して送信しよう。 その後、楽天モバイルからCasaの設置が提案された場合には、検討してみよう。

個人契約の場合、楽天モバイル(楽天回線)と光回線(指定インターネット回線)を使っている人が利用できる

本体色は白と黒の2色から選べる。設置に際して光回線の提供会社に確認が入るので、申込時にインターネット回線(の提供会社)と契約名義、連絡先電話番号を申請する必要がある。自宅の光回線の契約内容が分かるようにしておこう。

以前は楽天モバイル(楽天回線)と「楽天ひかり」(ファミリープラン、マンションプラン)の両方を契約している人に限られていたが、後に他社の光回線でも順次利用できるようになっている。

Rakuten Casa を設置する

電源があり、有線LANが引き込まれている部屋なら設置できる。WANポート(光回線側に接続)とLANポート(通常は使わない)が1つずつある。無線LANブリッジ機能も付いている。

無保証だが、自宅のパソコン等をつないで使えるようになっており、有線LANが1本しかない部屋でもHUB無しで使うことができる。
ルータ機能は無いので、光回線に付属のルータ併用が前提。ちなみに無線LANブリッジが不要な場合にも無効にはできないようだ。

基本、LANケーブルをつないで電源を入れるだけ。本体のLED4つが緑点灯(または緑点滅)になれば設置完了。簡単だが、うまくいかない場合は、下記を確認。

  • ルータの設定がIPv6パススルーになっていること。またはNAT有効、IPv4アドレスが割り当てられていること。
  • LTEが橙点滅になる場合は楽天のサーバとの通信に失敗しているので、ルータのVPN(IPSec IKE)パススルーを有効にする、ファイアウォールの設定を調整してみるなど。

ダメなら Rakuten Casa のサポート窓口に電話する(電話番号はRakuten Casa お問い合わせ窓口を参照)。この Rakuten Casa サポート専用の電話窓口は、あまり待たされることなく、比較的すぐつながる。

不具合で電話すると基本的な確認を経て、機材交換になることが多いようだ。筆者の知人で初期不良に当たった人がいて、サポート窓口に電話して交換したら使えるようになったそうだ。交換用機器は2-3日程度で届き、同梱の宅急便着払い伝票を使って不具合機を返送する。不良・故障時の交換は無料(往復送料も楽天が負担)だが、箱は返却時に使うので捨てずに保管しよう。

個人名義では、設置できる場所は自宅のみ(自宅以外の場所、例えば職場などに設置することはできない)。フェムトセルは携帯電話の基地局と同様に、法的に設置場所を届け出て免許を取得する必要があるため、無断で住所外に設置することはできない。

自宅内の設置場所は特に指定されないが(楽天のスタッフが訪問して設置した場合や、設置する部屋を指定されている場合は除く)、設置後にむやみに電源を落とすことはできない(停電や移設などで一時的に落ちるのは仕方ないが、不要になった場合などに電源を切って放置してはいけない)といった制限があること、また電波が届く範囲もかなり狭いので、おのずと設置場所は限られるだろう。

筆者宅も2021年4月にパートナー回線を切られてから圏外になり、自宅で通話が非通知になってしまう(こうなると緊急通報もできない)ので、仕方なく Rakuten Casa を設置したのだが、電波が届く範囲は実用上、設置した部屋の隣くらいまでで、自宅全体をカバーするには至らなかった(それでも電話番号非通知を防ぐ効果はあったが)。

電波の届く範囲は実用上、戸建て1軒分に満たないと思う。他の人に使われるといった心配をする人がいるようだが、木造アパートやワンルームなどではともかく、戸建てや鉄筋マンションでは隣家まで電波が届くかどうか。

なお、同梱のガイドに従ってAndroidスマートフォンに「Rakuten Casa」アプリを入れて設定すると、Rakuten Casa をWi-Fiアクセスポイントとして使えるようになるので、併せて設定しよう(設定方法は同梱のチラシに書かれているが、本体に貼り付けるシールにQRコードが表示されているので、それをアプリで読み込む)。 これをせずに使うと、自宅の回線を使っていても楽天モバイルの回線を使っていると見做されて、課金対象になる(月額料金が上がることがある)ので気をつけよう。

法人で契約する場合は、楽天回線の利用は不問で、対応する光回線を引いていれば利用できる。お店のレジ付近などに設置すれば、エリアが狭い楽天モバイルを使っているお客さんに喜んでもらえるだろうか。

Rakuten Casa の見分け方

筆者が見た範囲では、NetMonitor Proで見たときに、下記の特徴があった。

  • TAC (Tracking Area Code) が5桁(通常の基地局では3桁)
  • PCI (Physical Cell ID) が後ろの方(500台)

店舗では見た目に家庭向けと同じ Rakuten Casa がそのまま設置されている(壁や天井に据え付けられていることもある)。

電波の届く範囲は限定的。Casaが見える場所まで行かないとCasaの電波を拾わない。

Rakuten Casa を返却する

エリア拡充などで Rakuten Casa が不要になった時、楽天モバイルの回線を解約した時、または引っ越し等で住所が変わる時には、Rakuten Casa を返却する必要がある。

近くに基地局が建った等で不要になった時や、引っ越し等で住所が変わる時には、Rakuten Casa のサポート窓口(電話番号は Rakuten Casa お問い合わせ窓口を参照)に電話して、返却したい旨を伝える。

回線を解約した時は、解約後数日で Rakuten Casa のサポート窓口から電話がかかってくる。

その後、楽天モバイルから返却用の空のダンボール箱(着払い宅配伝票とクッション材入り)が宅急便で送られてくる。

Rakuten Casa 本体、ACアダプタ、LANケーブルを取り外して、保管していた化粧箱に入れ、送られてきたダンボール箱へ入れて梱包し、伝票を貼って佐川急便に集荷依頼して(または佐川急便を取り扱っている窓口へ持って行き)発送する。

回線解約から概ね14日程度で返却しないと、違約金20,000円(非課税)を請求されることがあるので、回線解約等で不要になった際は放置せず速やかに返却しよう。

楽天ひかり 1年無料キャンペーン

「Rakuten UN-LIMIT」契約者は、「楽天ひかり」の月額基本料が1年無料になるキャンペーンが始まった(2020年6月1日より、終了日未定)。

初期費用、工事費(フレッツ光・光コラボ利用中の場合は不要)、フレッツ光の利用料は別途発生する。

ただし、「楽天ひかり」は「ZERO宣言」の対象外。契約期間(3年毎に自動更新)の縛りがあり、更新月以外に解約すると契約解除料9,500円(税別)を請求されるので、ご利用は計画的にどうぞ。

一緒に「楽天ひかり」の契約を勧められるが…

楽天モバイルを契約していると、一緒に「楽天ひかり」の契約を勧められることが多いが、これから新規に光回線を引こうとしている人はともかく、すでに光回線を引いていて特に不満がない人には、あまりお勧めしない。

人にもよるが、近頃はテレワークなどで自宅近辺にいる時間が増えているし、一方で楽天モバイルは順次パートナー回線を終了することになるので、今は快適に使えていても、ある日突然、楽天モバイルが使い物にならなくなることがあり得る。

いくら自宅で Rakuten Casa が使えても、買物や運動などで近所に出かけた時に使えないとなったら困る人も多いだろうから、その時が来たらいつでも逃げられるように事実上の縛りとなる「楽天ひかり」の利用はなるべく避けておく方が無難だと思う。

2021年1月頃から、「楽天ひかり」以外の一部光回線でも Rakuten Casa を使えるように拡大されているので、すでに光回線を引いていて、特に不満がない人は、光回線は変えずに「Rakuten Casa」だけを使うと良いだろう。

備忘録と余談

注意: 改定前の内容をそのまま備忘録として残している項目もあるので、必ずしも最新の状況を反映してはいないことに留意されたい。

KDDI(au)との提携

ここからは余談になるが、楽天のMNO参入に際しての話題のひとつに、エリア展開の途上でどこへローミングするのかというものがあった。 2018年11月1日、両社(と沖縄セルラーを含む3社)は下記の発表をしている。

楽天モバイルはドコモのMVNOの中で最も勢いがあり、楽天市場や楽天ポイントで開拓した顧客基盤も持っていたことから、楽天がMNO参入を決める前までは、「スマートライフ」領域への事業拡大を目論んでいたドコモは内心楽天との提携に期待していた節を感じられた。しかしNTTグループのあまりに高飛車な態度に業を煮やしたのか、楽天はドコモの傘下(ドコモのMVNO)から飛び出して第四のMNOを目指す茨の道を選ぶこととなった。

楽天のMNO参入発表前後からNTTグループの楽天に対する態度が硬化するとともに、ドコモは「dポイント」や「d払い」の加盟店開拓に本腰を入れるなど、「スマートライフ」領域に経営資源を振り向けることになる。 対して三木谷氏が「MVNOは奴隷みたいなもの」という感想を漏らしていたことは、実に興味深い。

NTTグループでは他にも、憲法21条に抵触しかねない危険なサイトブロッキング問題では政府の意向に忖度して独断専行して見せたり、官邸が通信料金を「4割値下げ」と発言すればドコモはすぐに値下げ方針を打ち出し、直後に株価は暴落。株主よりも官邸に従う態度を見せつけた。 一方で世界最大の端末メーカーに登りつめた中国Huawei社のフラグシップ端末の国内販売を独占契約した上で延期しつつ、NTT持株会社社長が他社の経営判断に口出ししたかと思えば、その翌々週にはころっと掌を返すなど、パートナー企業や株主・ユーザへの誠意に欠ける言動が目立っているが、親方日の丸で他者は見下す体質の社風なのだろう。

話が逸れたが、楽天とKDDIの提携で興味深いのは、楽天が一方的にKDDIのネットワークを貸していただくという主従関係のような契約にはならず、対等にwin-winな関係を構築してみせた点にある。

KDDIが出すものは概ね整備済みのLTEネットワークだが、東京23区などの混雑地域は除外しており、負担が軽減されている。本業で構築したネットワークの余裕分を貸し出して接続料収入を得られ、持ち出しにはならないよう配慮されている。

一方で楽天が出すものには、決済インフラと倉庫・宅配配送網が挙がっている。

このうち決済インフラは、KDDIが後発の「au PAY」を展開する際に、楽天ペイの加盟店網に乗っかればスピード展開できる。KDDIの決済事業の全体に占める割合は微々たるものだろうが、そのためにかかる加盟店開拓の負担を軽減できる魅力は大きいだろう。一方で、楽天にとって決済事業は本業の一部なので、KDDIが本業で構築したネットワークを貸すのと同様だ。微々たるものだろうが決済手数料収入が得られ、持ち出しにはならない。

もうひとつ、「楽天スーパーロジスティクス」(フルフィルメント)や「Rakuten EXPRESS」(宅配)などの倉庫・宅配事業が挙がっている。

楽天の生業である楽天市場は、競合のAmazonなどに対し、配送料や配送便が店(テナント)ごとにバラバラなことが課題になっていた。さらにヤマト運輸に端を発した宅配配送料の値上がり傾向も重荷になっている中で、競合のAmazonやヨドバシカメラなどは先んじて自社配送網の拡充に乗り出している。楽天も遅まきながら、創業以来ずっとテナントに丸投げしていた配送に手を入れ始め、倉庫と配送網の構築に乗り出したところだった。 今はまだ「楽天21」などの一部のサービスで自社配送網を使っているにすぎないが、楽天市場に出店するテナントに共通の送料無料基準を要求するなど、大ナタを振るい始めている。

2020年初頭より一律3,980円以上の買い物で送料無料にするつもりのようだが、楽天の配送網が未整備の地域も含め、送料は全額店舗に負担させるつもりのようだ。楽天の配送網構築もまるで目途が立っていない様子。長続きしなさそう…本題からずれるので簡単に。

つまり楽天の配送網はまだ構築を始めたばかりのものだが、構築してもテナントが乗り換えてくれるとは限らない(楽天以外にAmazonやYahooにも出店しているテナントが多く、すでに Amazon FBA などの他社サービスを利用している所も多い)。 すると楽天にとっては宅配網を構築しても荷物が足りない(稼働率が下がる)状況が起こりうる。そこにKDDI(が運営するショッピングモール「Wowma!」)の荷物が乗れば、自社の配送網の利益率改善にも寄与することだろう。

このように、KDDIも楽天もwin-winとなる(互いに持ち出しにならず、隙間貸しで収入を得られる)提携話を見事に実現して見せたわけで、筆者も報に触れて感心しきりだった。

後日、本件についてKDDIの高橋社長は「我々が楽天と組まなければNTTドコモと組むだろう。そうなるよりは自ら組んだ方がメリットが大きい」と語っていたようで、もちろんそうした見方もあるだろう。とはいえ、筆者の見立てでは、楽天のドコモとのローミング交渉はブラフとまでは言わないが、上述の経緯から見るに、本命はKDDIだったのではと思える。KDDIにとっても宿敵であるNTTドコモが「スマートライフ」領域への展開を進める中で対抗する必要があり、しかしそのための基盤が脆弱な中で、楽天の提案は持ち出しがなく旨味はある、渡りに舟の提携話だったのだろう。

無料サポータープログラム

当初は2019年10月より商用サービス開始予定と言われていたが、ネットワーク整備が間に合わず、とりあえず「無料サポータープログラム」を始めることで、無理矢理「携帯キャリア事業としてのサービスを開始」した形を取り繕っていた。

Android端末でネットワーク検索をして 440-11 が出てきたら、楽天モバイル自社回線の電波を拾っている

楽天エリア/パートナーエリアを問わず完全無料で使い放題になり、さらに楽天ポイントまでもらえる大盤振る舞いのサービスだが、東京都23区、名古屋市、大阪市、神戸市に住所がある人しか応募できず、楽天本社に隣接する川崎市ですら対象外となっていた。楽天回線を使ってみたいがためにわざわざ同社のMVNOサービスに加入した筆者も門前払いされる格好になった。また、門前払いされなかった人でも倍率は相当に高かったようで、非常に狭き門となった。落選する人が続出し、SNSでは「落選モバイル」と呼ばれて話題になったほど。

2020年 1月23日より2次募集され、最大2万名に拡大されたが、およそ半日で締め切る盛況となっていた。人気のほどがうかがえる。それもそのはず、2次募集では最新機種「Rakuten Mini」もサポーター限定で先行販売され、しかも購入すると約2万円の楽天ポイントをもらえるので、未発売の最新端末がタダ同然で配られるという、至れり尽くせりぶりだった。

eSIM発行やSIMカード再発行などの手数料も無料で提供されていたようで、実際にiPhoneでeSIMを使っている人がいたRakuten Mini 以外では動作保証されないので自己責任でどうぞ)。

4月8日からの正式サービス開始に伴い、無料サポータープログラムは 5月31日までで打ち切られるが、希望者は無料で正式サービスに移行でき、さらに月額料金1年無料キャンペーンも適用される。無料サポーターにはどこまでも至れり尽くせりだ。

ところが、当初は1人1回線限定のはずが5回線まで申し込める、購入端末の希望を聞いておきながら在庫が確保されていない、配送に問題があるなど、当選した人も混迷を極めていた様子。これでは同月から本格サービスを開始するつもりで準備していた会社とは思えない。また、なんとか開通した後も度々障害が起きていると伝えられている。 記者会見で三木谷氏は自信たっぷりに語っていたが、実のところ5000人限定の「無料サポータープログラム」すら満足に立ち上げられないありさまだったようだ。

楽天本社付近の電波状況(本格サービス開始後) 屋外では良好

気になる使い勝手は、10月から使い始めている幸運な人たちの報告を見ていると、Band 3 しか割り当てられていないといった事情を理解している記者が見れば「意外なほどつながる」という感想も出るようだが、やはり厳しさが伝わってくる。このネットワークを一般の人が使ったら、果たしてどんな感想を持つだろうか。

その意味では、無料の試験サービスでお茶を濁しておいて正解だったのかもしれないが、話をはぐらかして二転三転させる同社の態度に、筆者は正直言ってガッカリした。

2019年8月の発表時には、まずは限定して始め(ホップ)、次にWebでの受付を始め(ステップ)、数ヶ月かけてリアル店舗に拡大(ジャンプ)すると言われていたが、結局は6ヶ月間は「無料サポータープログラム」のみで終わることになりそうだ。

さらに、他者の障害を論って大見栄を切っておきながら、商用サービス開始の計画は遅れに遅れ、まだわずか5000人程度しか利用者がいない無料サービスでも様々な不具合が発生しており、さらに深刻な障害を起こし、監督官庁からも度々行政指導を受けるなど、同社の信頼感を損なう言動が少なからず見られるのが残念だ。

2020年3月の正式プラン発表会でも、三木谷氏は相変わらず「auとのローミングは2年もたてばやめられる」などと威勢よくまくし立てていたようだが、これまでの経緯を見る限りは決して有言実行とは言えず、眉唾で見る方が良さそうだ。

2020年4月の一般向けサービス開始から1年間は#「一年無料」キャンペーンが開催されていたのも、エリアや安定性などに課題が残っていることの裏返しと見ることもできそうだ。

しばらくはメイン回線ではなく、2台持ちしている人やデュアルSIM(DSDV、SIMカード2枚挿し)対応機種などで予備回線として使いつつ、無料キャンペーン中の1年間で、エリア展開や障害対策などを含め、楽天回線が信頼に値するかどうか、見極めると良いだろう。

「一年無料」キャンペーン

「一年無料キャンペーン」適用期間は、Webのmy 楽天モバイル」にログインして「契約プラン」を見ると確認できる。Webには終了後日割りと書かれているが、終了月の末日まで延長して適用されることになった。

一般向けサービス開始に合わせて、先着約300万名2021年 4月 7日受付分まで1人1回まで・1年間限定で、基本料金を1年間無料にする「一年無料」キャンペーンが実施されていた

キャンペーン中は、基本料のほか、ユニバーサルサービス料・電話リレーサービス料も無料(楽天モバイルが負担)になっていた。

詳しくはキャンペーンルールを参照。

開通日を起点に、12カ月後マイナス1日まで無料となると案内されていたが、後に変更され、「お客様に分かりやすくご利用いただくため、月の末日まで無料期間を延長」された。

例えば2020年4月8日に開通した場合、「my 楽天モバイル」には「月額プラン料金1年間無料(2021/4/7まで)」「翌日から月末最終日までは日割り請求」と表示されるが、実際には2021年4月末日まで無料で使える。(2021年4月からは、月末まで無料と表示されるように改修された。)

正式プラン発表直後に用意された先行申込サイト アクセス集中によりまともに機能しなかったことから、翌朝には停止され、楽天市場店で先に端末(またはSIMカードのみ)を選ぶ形に改められた

楽天回線エリアがまだ狭いための措置(事実上の#無料サポータープログラムの延長)とも言えそうだが、以前の無料サポーターとは異なり、パートナーエリア/国際ローミングの利用は上限5GB/2GB(以降は1Mbps/128kbps規制データチャージ可)に制限される。

そのため、現時点で楽天回線エリア外にいる人は、実質月間データ上限が5GBとなる。

「一年無料」キャンペーンを利用できるのは1人1契約まで。楽天回線の契約は楽天ID1つにつき5回線まで楽天IDは1人1つまで)できるようだが、2回線目以降は有料になる(最初の回線を解約した場合も含む)ので注意しよう。

「一年無料」キャンペーンが重複して適用されてしまった場合は、後日楽天モバイルより通知があって、翌月より課金されるようだ。そうなった場合は、当月中に解約(MNP転出を含む)すれば課金されないそうだ。

気になる「先着300万名」の埋まり具合だが、サービス開始からおよそ2ヶ月経った6月30日に100万回線を突破し、12月30日で200万回線を突破、2021年 1月29日には220万回線、そして 3月 9日に300万回線を突破したと発表されている(いずれも申込数なので、まだ手続き中の件数が含まれている)。1GB未満は0円の新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」発表以降、急速に伸びたようだ。

なお、これに先立って、「一年無料」キャンペーンは2021年 4月 7日まで継続して受け付けることが発表されていた。

かつて同じく 1.7GHz帯のみで携帯電話事業に参入した旧イーモバイル2011年初頃の契約数が300万件だったが、それに比べるとハイペースに加入者を増やせたのも、この「一年無料」キャンペーンの成果だろうか。

全機種SIMロックフリー

各機種の楽天回線対応予定時期
2020年2月時点で全機種対応済

2019年9月6日に、同社MNOサービスの発表会が開催された。

この日は料金プランこそ発表されず、#無料サポータープログラムでお茶を濁す格好になったが、同時に対応機種が発表され、「縛り無し。最低利用期間・違約金無し。携帯キャリア初、全機種SIMロックフリー」が前面に打ち出された。

同日午前中には先手を打つかのようにソフトバンクが「契約期間も契約解除料もない料金プランに刷新」を発表し、これまでの長期契約が当たり前だった業界慣行が大きく変わることが示唆されたが、さらに楽天では全機種SIMロックフリーを打ち出してきた。

また、同日発表された7機種のうち Galaxy S10 を除く6機種は5万円以下で発売することも示され、従来のハイエンドに偏った、補助金頼みの高額販売からの転換も示唆された。

加えて、同社の新端末ではVoLTEの対応キャリアが明記されたようだ。今ではSIMフリー端末の仕様表には必須の対応バンド番号一覧だが、これが当たり前になったのは最近のことだ。楽天では対応VoLTEキャリアの表示も当たり前にしたいのだろう。

このほか、「Rakuten Mini」というeSIM対応の小型端末も登場。小さくてFeliCa搭載、おサイフケータイに対応しているとあって、近頃流行りのキャッシュレス決済やナントカPayと電話が使えれば充分といった人にも良さそう。こういう他社が出さない端末を用意しているのは面白いと思う。しかもSIMフリーだ(eSIMだから使えるキャリアは限られるが)。

三木谷氏の「モバイルネットワークの民主化」という言い方が適切かは微妙だが(民主化と言うなら全面的な情報開示が必須)、縛りをなくし、SIMフリー端末を増やし、端末の仕様表にバンド番号や VoLTE対応ネットワークが明記されるといった流れは、利用者としても歓迎したい。

ところが、同社が自ら企画・発売した Rakuten Mini では、公式の仕様で謳っていた対応バンドを発売後にこっそり改変し、情報開示も怠る(法的な手続きすら怠っていた)など、自ら掲げた「モバイルネットワークの民主化」とは真逆の態度を見せて批判を受けた(→Rakuten Mini#Band 1 問題を参照)。 まだ通信キャリアを始めたばかりの同社が自ら有言実行して信頼を積み重ねるのか、または虚言癖のある狼少年になるのかは、予断を許さない感がある。

対応バンドとローミング

パートナーエリア(auローミング)では、MCC-MNC が 440-53 の電波を拾う

FD-LTE Band 3 は国際バンドなので対応している機種は多いが、ローミング先となるauのバンド(FD-LTE Band 18 / 26)にも対応している機種は限られることと、さらに VoLTE やそのハンドオーバーにも対応する必要がある(楽天回線およびパートナー回線(au)では3Gを提供しないためCSFBは使えない)ことから、対応機種を限ったのだろう。

実際、VoLTE に対応した端末でもキャリアによって使えたり使えなかったりする(例えば OPPO R17 Pro ではauとワイモバイルのVoLTEは使えるが、ドコモのVoLTEは使えない)ありさまなので、楽天モバイルの仕様に合わせてファームウェアアップデートを約束してくれるメーカーの端末でないと、公式対応を謳えなかった面はあると思われる。

パートナー(au)回線の Band 18 を掴んでいる様子

2019年9月6日の記者会見後の質疑で語られていたが、ローミング先のauとのハンドオーバーに課題があり、当時使われていた技術ではデータ通信のハンドオーバー(楽天網とau網の切替を指す、以下同様)はできるものの、切替時に2秒程度の通信断が発生する課題があったという。

また、同社(およびローミング先のau)では3Gサービスを提供しないので、音声通話はVoLTEになる。当時はNTTドコモなどでも使われている音声ローミング方式「S8」が使われていたが、これではハンドオーバー時に切断されてしまう。ドコモが韓国などで提供している海外ローミングでは問題にならないが、即時の切り替えが求められる国内ローミングでは問題になるわけだ

同様の事例はおそらく欧州などでもあると思われるが、欧州での音声通話はまだCSFB(3G)が一般的で、VoLTEがそこまで普及していないのかもしれない。

そこで同社では、ハンドオーバー時にも音声通話が切断されないようにする「Link」というメッセージングアプリを開発し、回線切替時の音声通話の切断を回避した。

また、2020年4月中旬頃から新しい音声ローミング方式「S10」を導入し[1]、これによりハンドオーバー時にも途切れずに通話・通信できるようになった。

なお、「Link」アプリを使わず、Android・iOS (iPhone) 標準の通話アプリを使ってのVoLTE通話も可能だが、無料通話の対象外となる(発信時通話料は税別20円/30秒)ので注意したい。

設備投資

同社では完全仮想化ネットワークを売りにしており、整備費用を抑えて柔軟性の高いネットワーク構築を目指しているようだ。

FD-LTE 1.8GHz RRA (Remote Radio Antenna) 同社の基地局はアンテナ(ノキア製)とブースターのみのコンパクトな設計になっているという

一方で、基地局の設置にかかる費用は無線機やネットワーク設備だけではなく、要は場所代や工事費用が大きいと考えられる。「仮想化」だけではそれらの説明になっていないので、同社の整備計画(の主に費用面)に疑問の声も挙がっていた(ご多分に漏れず、筆者も疑問に感じている[2][3])。

その後の発表によると、基地局側に制御装置を置かない(つまり基地局にはアンテナとブースターしか置かず、遠隔操作のようなことをする)ことにより設置場所や工事費用を軽減しているようだ。アンテナ自体も遠隔操作で角度等を調整できるという。

一方で、基地局設置に遅れが出ているとの指摘も受けている。 『東名阪を網羅する面の整備はできるが、多くが利用する都心部では基地局の密度が足りない』という理由のようだが、つまるところ筆者の懸念が的中している様子なので気がかり。

また、仮に計画通りに基地局設置が進んでいたとしても、大都市部では、エリアマップでは見えない圏外エリアが発生すると考えられる。

筆者は、かつてイーモバイルが1.7GHz帯(W-CDMA Band 9、現在は FD-LTE Band 3 に転用済)のみで提供されていた頃から使っていたが(PHSSony Ericsson mini S51SEを2台持ちしていた古き良き時代)、都心部ではビル陰やビル奥の会議室などで使えない経験をしている(当時はWiMAXなども併用していたし、基本的にパソコンを持ち歩いていたので、問題なかったのだが)。

当時のイーモバイルが手を抜いていたわけではないと思うし、いくら基地局を仮想化しようが電波特性は変わらず、設置場所こそが物を言う。日本の密集した大都市でのエリア展開は、鉄道駅や地下街・ビル内などに細かく構内基地局を打てるかにかかってくる。イーモバイルやソフトバンクの根本的なエリア問題の解決は、「プラチナバンド」 (Band 8) が使えるようになってからだった。

2019年10月から始まる楽天のMNOサービスも、電波特性だけを考えれば、イーモバイルのエリアと大差ないことになると考えられる。auのローミングサービスを利用できる地域は良いが、東京都心などの大都市では使える場所が限られるだろう。

しかも地下鉄などでは圏外が当たり前だった当時と違って、今は(山などに行かなければ)どこでも圏内が当たり前の時代。Band 3 の電波特性などを理解してくれる一部の人には良いが、一般向けに提供されれば、ローミングが使えない大都市部では厳しい評価になるのではなかろうか。

とはいえ、完全仮想化ネットワークなど面白い取り組みをしていることは確か。筆者はしばらく2台持ちで同社のネットワークを試してみたいと思っており、2019年10月のサービスインを楽しみにしている。

5Gで使われる6GHz以下帯(Sub-6)およびミリ波帯(mmWave)に対応する基地局 (RRH: Remote Radio Head) NEC製
波長が短くなるぶん小型化しているが、カバーエリアは狭くなる(=エリアカバーにはより多くの基地局設置が必要)

5G展開

まずは FD-LTE (4G) の整備から進められたが、2020年 9月30日より5Gのサービスも始まった。

5Gで使われる周波数帯は、3.7GHz帯 (Sub-6, Band n77) と 28GHz帯 (mmWave, Band n257) を同時に開始。4Gでは遅れに遅れた同社だが、5Gでは(ウィルス影響で数ヶ月遅れたものの)ひとまず概ね公約を果たした。

当時はまだ珍しい mmWave 対応の端末も同時発売するなど、意欲を見せた。

同社は完全仮想化でネットワーク整備していることを考えると、原理上はソフトウェアを交換すれば5G対応にできる(異なる周波数帯を用いる場合はもちろんアンテナの増設・交換も必要)と考えられる。実際、同社でも『「5Gレディ」な構造』と公表している。

また、同社では電柱や送電鉄塔への基地局設置、auやソフトバンクとの基地局整備での協業も発表している。

5Gで使われる帯域は、従来の1.7GHz帯 (LTE Band 3) 以上にエリア展開が難しい(拡散しづらい)周波数帯なので、エリア展開は4Gで進められて、5Gは当面スポット的なサービスに留まることが予想されるし、他社と違って4Gの保有帯域に余裕のない楽天モバイルでは DSS (Dynamic Spectrum Sharing)などの「なんちゃって5G」も非現実的だろうから、引き続きエリア展開では苦戦するだろうが、見方を変えて、同社には本格的な5G展開を期待したい。

2020年9月30日発表時の5Gサービス展開スケジュール

また、2021年の第2四半期、つまり1年後には 5G SA (StandAlone) に切り替える予定も発表された(右図)

当初の5Gは各社とも NSA (Non-StandAlone)、つまり4Gのインフラに依存している「なんちゃって5G」のため、5G向けの新周波数帯の利用が始まって「5G」のピクト表示が出るようになったというだけで、低遅延などの5Gならではの性能はまだ実現されていないSA方式への切り替えが5Gの本領発揮のタイミングとなる。

ただし、この公約は達成されず、2023年 6月時点でも 5G SA 方式の一般向けサービスは始まっていない。
Rakuten UN-LIMIT 既契約者には「【重要】5Gプランへアップグレードのお知らせ」HTMLメールが配信された

Rakuten UN-LIMIT V

他社では5G対応の料金プランが別建てになっていて、契約変更等の手間・費用が発生するが、楽天モバイルでは既存の4Gプラン「Rakuten UN-LIMIT」契約者はそのまま自動的に5G対応プラン「Rakuten UN-LIMIT V」(らくてん アンリミット ファイブ)に切り替わる措置が取られ、シンプルかつ低料金を改めて前面に打ち出した。

当時は競合他社が5Gプランを別建てにして割高な料金を設定していたのに対し、楽天モバイルでは既存の4Gプラン (Rakuten UN-LIMIT) から料金据え置き、契約変更手続きも不要で、自動的に5Gも使えるようになった。

2020年 9月30日15時半以降の新規契約者はすぐに5Gを利用可能。それ以前の契約者は、11月30日までに順次自動で新プランに切り替わった。もちろん5Gの利用には端末が対応している必要があるが、未対応端末では引き続き4Gを利用できる。

楽天が追加料金無しで5Gに対応したことで、競合のワイモバイルUQモバイルも追随して追加料金無しで5Gに対応するなど、業界に良い影響をもたらした。

まずはエリア展開と安定稼働できることが大前提ではあるが、他社とほぼ同時期に始まった5Gの展開では、4Gの不利を5Gで跳ね返すよう期待したい。少なくとも料金プランなどの営業面では他社をリードしそうな感が出てきた。

Rakuten Link の不具合

前述のローミング対策や、海外でも通話できるといったメリットがある「Rakuten Link」だが、開始からしばらくは不安定で、筆者が確認した範囲でも、様々な不具合が出ていた。

さすがに正式サービス開始から1年経った2021年4月時点では目立った不具合は解消されているが、こうした不具合が気になる場合は、「Link」アプリからログアウトすれば、Android・iOS (iPhone) 標準の通話アプリを使ってのVoLTE通話が可能。 ただし無料通話の対象外となる(発信時通話料は税別20円/30秒)ので注意したい。

通話着信しない(1)

筆者の手元では、最初 VoLTE のみで使っているうちは調子が良かったが、Link を有効にした途端、通話着信できなくなる不具合が発生していた。(2020年 4月 9日時点)

筆者の番号宛に通話発信すると、 「お客様がおかけになった電話番号は、大変かかりにくくなっております。」 「お客様がおかけになった電話番号は、現在、使われておりません。」 どちらかのメッセージが流れる。

翌日には復旧していたが、普段から使っている電話番号をMNPした人は青ざめたのではなかろうか。

なお、現在は解消している模様。

通話着信しない(2)

頻度は低いが、全く着信しないこともある。

このとき、呼出側ではコール音が15回ほど鳴った後、「ただいま、電話に出ることができません。しばらく経ってから、おかけ直しください。ご利用、ありがとうございました。」 という自動メッセージが流れて切断される。 (ちなみに着信転送を設定しているのに、転送されない。)

数分経ってから再度試すと、今度はすんなり呼出音が鳴る。 IP電話故の不具合だろうか?

2020年 6月時点で継続していたが、発生頻度は低くなっているよう。

177天気予報につながらなくなった

天気予報を聞きたいときには、一般に、市外局番+177 で発信する

0AB…J番号から発信する場合は市外局番を省略できるが、どこから発信しているかわからない携帯電話や050IP電話では省略不可。

Rakuten Link でも当初(9日に確認)はこれでつながったが、12日頃から、つながらなくなってしまった。

4月21日に再度試したところ、再びLink経由で発信できるようになっていた。 (2020年 4月12日頃から不具合発生→ 4月21日頃に解消)

なお、週間天気予報にはつながる。

着信転送サービス

my 楽天モバイル」にログイン→契約プランを表示→サービスの詳細設定→留守番電話がONの場合はOFFにする→着信転送を設定→「無条件通話」をOFFにすると、話中時転送、無応答時転送、圏外時転送を設定できる→「変更する」をタップ→「適用する」をタップ→「新しいプランが適用されるまでしばらくお待ちください。」と表示されるので、しばらく待つ。

これで設定されたはずだが、着信転送サービスを設定して数時間経っても、翌日になっても、通話着信が転送されない。

楽天回線のSIMが入った端末を一定時間(呼出音15回程度)呼び出した後、 「ただいま、電話に出ることができません。しばらく経ってから、おかけ直しください。ご利用、ありがとうございました。」 という自動メッセージが流れて切断される。

再度設定しなおしても、やっぱり同じ。

試しに Link からログアウトすると、VoLTE経由で着信した後、転送されるようになる。

2020年 5月23日頃に確認したところ、Link にログインした状態では相変わらず指定した番号へ転送されず、なぜか楽天モバイルの留守番電話サービスに転送されてしまう。

ぉーぃ

(2020年 5月23日時点で継続中→6月に転送され始めたが、不安定。→9月頃までに解消した模様。)

競合他社の動向

Rakutenmobile price compare.jpg
楽天の参入以降、MNO各社が格安ブランドを強化し、競争環境が一変した

上の図は、「Rakuten UN-LIMIT」開始時点での、MNO各社の主力プランとの価格比較。ワイモバイルUQモバイルなどの格安ブランドは含まれていない

それでもMNO3社の上記主力プランの契約者は多いので、「毎月71%も安い!」と謳うこの比較図は一定の影響力があると思われるが、楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT」と「一年無料」キャンペーンが始まってから1年経つ2021年春に向けて、各社は値下げに動いた。

ドコモは新プラン「ギガホ プレミア」を6,550円(税別、各種割引適用前、5Gは100円増し)に設定。ソフトバンクは「メリハリ無制限」を6,580円(同、ただし5Gも同価格、テザリング制限あり)に設定してきた。また、両社とも期間限定の割引が廃止されており、ずーっと変わらない料金が訴求されるようになった。

各種割引(家族3人以上)を適用するとドコモが税別4,380円(5Gは100円増し)、ソフトバンクが税別4,480円(5G同価格、テザリング制限あり)となり、「Rakuten UN-LIMIT」よりは高いが、価格差はだいぶ縮まりつつある。

また、月間データ容量が25GB以下で足りる人には、ワイモバイルUQモバイルなどの選択肢もある。エリアが充実していて、国内で人気があるiPhoneにもしっかり対応している。通話定額は別料金だが、通話に特殊なアプリを使う必要がないのも利点だ。

ワイモバイルでは2021年2月18日以降順次、新「シンプルプラン」と既存の「スマホベーシックプラン」の両方で、契約そのままで5Gを使えるようになる。

さらに各社では、楽天モバイルの価格帯に合わせて、4G・5Gを月間20GBまで使え、通話定額5分を含めて月額税別2,980円のプラン・ブランドを新設してきた。

ドコモの「ahamo」、ソフトバンクの「LINEMO」、KDDIの「povo」は、店頭やコールセンターでのサポートを行わず、キャリアメール無し、サポートはチャットのみに制限する等によりコストダウンしているが、楽天モバイルもオンライン販売が主力で、キャリアメール無し、サポートなかなかつながらない上にテンプレ回答のチャットと電話のみで、契約済みユーザー向けには店頭サポートを提供しないので、実質サポート無しと考えておく方が良い。

楽天モバイルは使い放題と言ってもエリアが狭く、#パートナーエリアに入ると月間5GBしか使えない。また、通話し放題と言っても「Rakuten Link」という特殊なアプリを使わねばならず、標準の通話アプリを使うと22円/30秒の割高な通話料が発生する。筆者も実際に使っていて、折り返しなどの際に標準の通話アプリを使うなどして意図せず追加課金されてしまうことが少なくない。

とはいえ、使いたい場所や容量、通話の利用頻度などは人それぞれだろうから、楽天モバイルはまず「3ヶ月無料」の間に試してみるのが良い。エリアや通話などの使い勝手の悪さを甘受できるかどうかが、「3カ月」キャンペーン終了後の継続を判断する分かれ目となりそうだ。

Rakuten UN-LIMIT VI

2021年4月から「Rakuten UN-LIMIT VI」に自動アップグレードされた
料金段階制プランで、使わない人は0円から

2021年 1月29日に新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」(らくてん アンリミット シックス)が発表された。既存の「Rakuten UN-LIMIT V」契約者も2021年4月1日より自動移行し、新プランが適用された。

2021年3月までは3,278円(税別2,980円)均一だったが、4月からは税別2,980円を上限とする段階制になり、使ったデータ量に応じて、3GBまでの月は1,078円(税別980円)、20GBまでの月は2,178円(税別1,980円)に値下げされた。

「my 楽天モバイル」アプリで確認できる月間データ使用量(2021年4月下旬リニューアル後の画面、Android版)。1回線目に限り1GB未満は0円だった

また、1回線目に限られるが、1GB未満の月は0円(無料、ユニバーサルサービス料・電話リレーサービス料も無料2022年 6月まで)。

ただし、Rakuten UN-LIMIT VI より「※ご契約1回線目において、一定期間以上回線のご利用がない場合は、回線の利用停止または解約をさせていただく場合がございます。」との但し書きが追加された。さらに、1回線目が180日間(およそ半年)使われなかった場合は、事前通知の上で利用停止にできるよう、契約約款が改定された

なお、楽天モバイルではユニバーサルサービス料が請求されていなかった(楽天モバイルが負担していた)が、2021年7月利用分(8月請求分)より請求が始まった。併せて電話リレーサービス料の請求も始まった。

ただし、「一年無料」「3カ月無料」キャンペーン適用中の回線と、1回線目のデータ利用量が1GB以下の月(プラン料金が0円となる月)は請求されない(楽天モバイルが負担する)。

楽天回線/パートナー回線/海外ローミングの別や速度制限の有無にかかわらず、データ利用量に加算される。つまり「データ高速モード」をOFFにして使った分や、パートナー回線の5GB超過後に1Mbps制限された状態で使った分も課金対象となるので、楽天回線が圏外になりやすい人や、使い方によっては、povo 2.0OCN モバイル ONEIIJmio などに移る方が得策かも。
ご利用中の楽天モバイル回線のうち、課金開始日(サービスが利用開始になる日)が最も古い回線が1回線目となります。また、利用月の月初にどの回線が1回線目に該当するかを判断します。」とされている。
つまり、複数回線契約していて1回線解約した場合、翌月からは自動的に他の回線に適用される。半面、1GB未満0円にしたい回線を選ぶことはできない。
ちなみに、2021年4月以降、1回線目とそれ以外を「my 楽天モバイル」で確認できるようになった。
2021年3月初旬に既存契約者宛に送られた、プランアップグレードと「一年無料」キャンペーンの継続適用を案内するHTMLメール

基本料0円の奇策

前述のように、「一年無料」終了後に楽天モバイルが草刈り場になりそうな様相もあったところに、楽天は1GB以内の基本料を無料にする奇策をもって対抗してきたわけだ。これには筆者も驚いたし、多くの人が驚いていたようだ。

この新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」には3つの意味がありそうだ。

まずは止血。基本料を0円にすることで、せっかく獲得した客の流出を食い止めようとしたわけだ。

同時に、各社の値下げによりレッドオーシャン化した低価格帯に裾野を広げることで、あまりデータを使わなかなった層の取り込みにも貢献しそうだ。実際、筆者の周りでも1GB以内(あるいは3GB以内)に収まってしまう人はいて、専用アプリが必要になるものの通話無料が付いてくる楽天モバイルの新プランは、概ね好意的に受け止められていたようだ。

楽天モバイルは引き続きエリアの狭さと、機種を選ぶ弱点があるが、それを埋め合わせるような低価格で攻勢をかけてきた。MVNOワイモバイルUQモバイルの3GBプランを使っているユーザーを本格的に奪いにきたと感じる。

他の条件は Rakuten UN-LIMIT V と同じで、4G5Gが使え、パートナーエリアは5GBまで使える(5GB以上は1Mbps制限)。通話料は従量制(22円/30秒)で、相変わらず無料通話には Rakuten Link アプリが必要「一年無料」キャンペーンが適用中の人には継続適用される。

同時に、同社の課題になっていた、旧MVNOサービスからの移行が進みそうだ。

同社は旧MVNO利用者には「スーパーホーダイ」「組み合わせプラン」をそのまま使えると公約していたが、その約束をいっこうに果たそうとしていなかった。もっとも「スーパーホーダイ」の月額料金はそれなりに高いので、「Rakuten UN-LIMIT V」でカバーできる。しかし低価格の「組み合わせプラン」からの移行に苦慮していたものと思われる。 「Rakuten UN-LIMIT VI」では3GBまで1,078円になったので、旧「組み合わせプラン」で最安の3.1GBプランを使っていた人でも、移行すればお得になる。

以前のプランは「使い放題」が強調され、料金も均一だったので、それなりに使う人向けのプランになっていたが、今回の改定で少容量が大胆に値下げされたので、あまり使わない人にも適したプランになったと思う。

無料の客が増えることでコスト増にもなりそうだが、同社では月額無料にすることで獲得コストを抑えることができると見ているようだ。たしかに、これまでポイントをばら撒くなど大盤振る舞いしてきたが、月額無料の新プラン発表後、急速に契約者数の上積みに成功したようだ。

これまで1人あたり数万円かけて顧客獲得してきたことを考えると、月額無料で使う人が多少増えたところで、十分回収できるという算段なのだろう。

【参考】新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」について教えてください

ローミング打ち切りを急ぐあまり…

正式サービス開始から8ヶ月あまり経つ2020年12月下旬になっても、エリア内でも基地局密度はスカスカな所が多く、屋内まで電波が届かない、通信が不安定になりやすい、iPhoneなど機種によってはパートナーエリアを優先して掴むといった問題が多く見られる

2020年4月の正式サービス開始から8ヶ月あまり経つ2020年12月になっても、依然としてエリアがスカスカな楽天モバイルだが、2020年12月末には全国での人口カバー率が73.8%になるという。

さらに、2021年夏頃には同96%まで整備が進むとされている。計画よりも大きな前倒しだ。

しかし同時に気になるのは、コスト負担になるローミングを嫌って、ローミングの早期終了を図っている様子がちらほらと。

前述の通り、例えば東京都の多摩地域ではいまだエリア展開が進んでいない段階にもかかわらず、「東京都においては離島など一部エリアを除き、2021年3月末でローミングを終了する」という。仮に計画通り基地局整備が進んだとしても、自社エリアが立つと同時にローミングを打ち切るのは乱暴だろう。このままでは、ある日突然使えなくなる人が続出するのでは…?

ところで、この96%という数字だけ見ると、ほとんど使えるのではと勘違いしがちになるが、ここで言う人口カバー率には登山道や大規模公園などの無住地域は当然含まれないし、逆に建物が密集している大都市でも、計算上屋外に電波が届いていればエリア内と見做される

筆者は楽天と同じ 1.7GHz帯(LTE Band 3 / W-CDMA Band 9)のみでエリア展開していた旧イー・モバイルも使っていたが、EMOBILE G4 (3G) 末期の全国人口カバー率が94%くらいだった。都市部の屋外ではそれなりに使えるものの、建物内に入るとどんどん弱くなり、すぐに圏外になる印象があった。 同じく W-CDMA Band 1(2GHz帯)のみでサービス開始したドコモの「FOMA」も開始当初から使っていたが、建物内はおろかビル陰でも圏外が続出し、実質ほぼ屋外でしか使えなかった。

結局、誰がやっても、1.7GHz以上の周波数帯だけでエリア展開するのは難しいのだろう。

正式サービス開始からして半年遅れたし、旧MVNO利用者には楽天回線切り替え後も現行プランを使えると言っておきながら1年近くも放置しているような、公言したことをなかなか履行しない「前科」が多い楽天に期待しすぎてはいけないが、楽天は常識外れに楽天家だっただけで、誰がやってもエリア展開には苦労しただろう。仮に楽天が公約通り前倒しで全国人口カバー率96%を達成しても、感覚的には最盛期のイーモバイルのような使い勝手になるのだろうと思われる。

しかしそれでは、先行する3社との使い勝手の差は依然として大きいだろう。

実際に旧ボーダフォンと旧イー・モバイルの通信網を磨き上げてきた経験をもつソフトバンクの宮内社長は、「人口カバー率96%→99%は兆単位のコストかかる」と言って楽天モバイルを牽制していたが、海外と比較して高いと言われる日本の通信品質は、ボーダフォンやイー・モバイルの頃以上に磨きがかかっている。

まずは地道な置局に取り組んでほしい

スペースモバイル計画

楽天モバイルは2023年以降、衛星通信を使って面積カバー率100%を目指す「スペースモバイル計画」をぶち上げているが、登山する人には分かるだろうが、森の中に入るとGNSSすら拾いづらい。ましてや市街地のビル陰や建物内などでは緻密な基地局設置が不可避だ。 災害対応の緊急避難にしても、広大な面積をカバーする衛星通信の帯域に多くの人が集中したら、アンテナピクトが立つだけで、実用上は通話もままならないのではなかろうか。

楽天モバイルよりもさらに条件の悪い1.9GHz帯のみを使い、しかも無線出力の制約も厳しいにもかかわらず、雪深い山奥の観光地にも地道に基地局を打ってエリア展開したPHSの基地局

今の楽天モバイルは、2021年1月に惜しまれながら一般向けサービスを終了したPHSよりも、さらにエリアが狭い。

PHSは楽天モバイルよりもさらに高い(≒エリア展開しづらい)1.9GHz帯のみを使い、しかも無線出力にも厳しい制約があることから、そのハンディを乗り越えるために、より多くの基地局を打ってエリアを構築してきた。

PHSの基地局は20mW~最大500mW。対して楽天モバイルの基地局では一般に40W、最大160Wまで出すことができる。

衛星通信とは真逆のこの緻密な基地局網こそが、1995年7月から25年あまりの歴史の中で多くの災害に直面しながらも輻輳しづらく、どこかが停波しても隣の基地局がカバーしてつながるなど、PHSが災害に強いと言われた所以であった。

壮大な夢を掲げるのも良いのだが、沙漠が多い国ならいざ知らず、地形の複雑な日本では衛星通信などの飛び道具をちらつかせる前に、まずは地道に基地局を打ってゆくのが先決のように思うのだが。

前述の通り、楽天モバイルの「一年無料」キャンペーンが終わる人が出始める頃合いを見計らうかのように、ドコモが2980円プランを投入し、ソフトバンクも対抗プランを出してきた。auも格安ブランドのUQモバイルでさらに値下げをして対抗してきた。

競争の厳しい業界で、いくら使い放題でもエリアがスカスカの今の楽天に、同額を払う価値があると思うユーザーがどれだけいるだろうか。有料化のタイミングで楽天モバイルの真価が問われることになりそうだ。

⇒結局、使わなければずっと無料という形で対抗してきた。とりあえずの止血(流出抑制)にはなりそうだが、無料や低料金の人が増えれば、引き続き赤字を垂れ流すことにもなりかねない。やはり地道な基地局設置により、使えるネットワークを早急に構築することが急務となるだろう。

楽天回線エリアは基地局密度が低く、遅延が大きく、「使い放題」の副作用か、郊外でも速度が出ない場所が散見される

近頃、楽天はプラチナバンドをよこせ言い出したようだ。でも、「プラチナバンドがなければ競争は困難」?そんなの当初から解っていて、あえて参入してきたのだろうが、と言いたくなる。前述のイーモバイル然り、またソフトバンクもプラチナバンドが使えるようになるまではエリアが穴だらけだった。すでに先例はあったのだから。

とはいえ、ソフトバンクはプラチナバンドが無い頃に頑張って2GHz帯の基地局を建てまくったから、現在は都市部でも快適なエリアを構築できている面もある。

それに比べて楽天モバイルは計画基地局数も少ない。プラチナバンドをよこせと言うのもいいが、まずは Band 3 の基地局密度を高めるべきだろう。Band 3 しかないことを解っていながら参入したんだろう、話はそれからだ、と思う。

そもそも電波は限りある資源。携帯電話サービスに適した周波数帯は限られている上、他の公共用途でも使われている。今ではタクシー無線や防災無線などの生活を支える通信までモバイルネットワークで代替されつつあるが、それならば不要不急で広帯域を使う時代遅れのテレビを潰してCATV等に移行させて)携帯電話に再配分するくらいの気概があっても良さそうなものだ。 そうでなければ、プラチナバンドの空きが出るまで、総務省は楽天モバイルの新規参入を認めるべきではなかったのでは?とも思える。

楽天回線とパートナー回線の見分け方

2023年 6月 1日の「Rakuten最強プラン」開始に合わせ、アプリで在圏エリアを確認できる機能が削除された

このように運次第だったりアテにならない(実際に使ってみるまで分からない)側面はあるものの、1人1回線に限り1GBまでは無料で使えていたし、ちょっと使いすぎても3GBまでは月額1,078円で使える。しかも「Rakuten Link」を使えば通話も無料になる。あまり使わない人や、楽天回線を安定して使える地域で生活が完結する人には、お得に利用できる側面もあった。

一方で、実際に使ってみたら生活圏で楽天回線が使い物にならなかったり、パートナー回線に切り替わってしまって売り文句の「使い放題」「UN-LIMIT」(無制限)の恩恵がないなど、期待外れになる人もいるだろう。

都度「my 楽天モバイル」アプリを起動して楽天回線エリアとパートナーエリアを判別するよう案内されているが、このアプリは起動が遅く、メンテナンス休止も多い

楽天回線も、パートナー回線も、スマートフォン上端の通知欄の表示は「Rakuten」のままなので、一見して区別がつかないのだが、「my 楽天モバイル」というアプリ(Android版iOS版)を起動すると、どちらのエリアにいるか確認できるようになっている(右図)。

iOS版は2021年 8月27日配信開始のバージョン 6.310209.12899より対応。

この「my 楽天モバイル」アプリは、データ利用量が分かりやすく見られて、設定変更などの手続きもワンストップで出来るのは良いのだが、起動に時間がかかり、メンテナンス休止も多く、どちらの回線を掴んでいるかを判別するためだけに起動するのは煩わしい。掴んでいる回線は刻々と変わるのだし、せめて掴んでいる回線を表示する公式ウィジェットくらい用意しろよと思う。

ちなみに、筆者はバンド番号を確認できるアプリ(英語)を使って判別しているが、Android向けには他にも「LTE回線状況チェッカー」などが提供されているようなので、各自工夫して使おう(^^;。

ローミング費用と通信品質

2021年 8月11日に公開された楽天グループ2021年度第2四半期決算発表会では、モバイル通信事業に関連して大きく4つの注目点があった。そのうち「Rakuten Symphony」を除く3つを見てみたい。

契約者数を初公表

まず、楽天モバイルの契約者数が初めて公表された。2021年 3月末時点で289万件だそうだ。

同社はこれまで、解約済や未開通を含む「累計契約申込数」をアピールしてきており、2021年 3月末時点で351万件とされていたが、契約数との差が約62万件ある。 このうち仮に半数が解約済みとすると、単純計算で解約率は0.74%となる。

もっとも2021年 3月まではほとんどの人が「一年無料」キャンペーン適用中だったので、解約件数はもっと少なかったかもしれないが、2021年 4月以降は順次有料化されるに伴い、解約率も高まると考えられる。

質疑ではARPUの開示を求める声が出ていたが、筆者も情報開示が足りないと感じる。「民主化」を掲げて参入したからには、せめて他社並みかそれ以上の情報開示を求めたいところだ。

もっとも今はまだ「一年無料」適用中の人が多くて、他社と比較できる数値にならない側面もあるだろうが、キャンペーン終了は時間の問題なので、近いうちに他社並み以上の情報開示がされることを期待したい。

「ローミング費用が高すぎる」

次に、三木谷氏がしきりに「ローミング費用が高すぎる」と零していたことが注目された(笑)。

これはまあ、そうだろうなと思うが、身から出た錆でもある。「Rakuten UN-LIMIT」発表当初は、ローミングで使える容量は2GBまで、以降は128kbps制限とされていた。ところが2020年 4月 8日のサービス開始とほぼ同時に、国内ローミングのデータ容量は5GBまで、超過後の制限も1Mbpsに緩和された

当初の2GBのままであれば、今このローミング費用負担で苦しむこともなかったかもしれない。威勢よく大盤振る舞いしたツケが回ってきている格好だ。しかも三木谷氏は「楽天は将来にわたって1つのプランしか出さない。プランが増えてわかりにくいことにはならない」と言明しているので、プランの改悪になるような施策も取りづらい(部分的にでも改悪になると、自動で新プランへ移行させられなくなる)。まさに自縄自縛だ。

とはいえ、この状況を1年前に予期することは難しかったろうとも思うし、当初の2GB/128kbps制限のままでは少なさすぎて、ここまでユーザー数が伸びなかったかもしれない。自動で新プランに移行する施策も楽天モバイルにとってプラスに働いていると思う。

1年先すら見通せないほどモバイル通信業界の競争が活発になった証でもあるので、競争政策を背負って誕生した新MNOとしては、望ましい結果と言えるかもしれない。

ただ、筆者が気になったのは、盛り気味の話が目立ったな、と感じたこと。まあ今回に限った話ではないのだが(苦笑)。

例えば、総務省の調査を独自に再集計した「新料金プランへの移行率調査(同一会社間の移行は除く)」を掲げて、楽天モバイルへの移行が半数超だったとアピールされていたが、新規参入の楽天は出ていく方が極端に少ないのだから、会社をまたぐ乗り換えは転入が多くて当たり前。

近頃MNPが増えているというのは、0円効果が大きそうに思う。獲得できているのは事実だろうが、0円のユーザーが多いと負担が増す。だからローミング終了を急いでいるのだろうが、そうなると本末転倒になりかねない。

通信品質が国内競合他社と同等といったアピールもされていたが、東京都23区などの一部を除けば、auローミングがあってこその品質。ローミングを切られると途端にボロボロになることは、筆者を含め、少なくない人が経験しているのではなかろうか(;_;)。

今後ローミングの打ち切りが加速されそうだが、すると東京都23区などの一部地域を除き、筆者のように、エリアマップに色が付いているのに使えないユーザーが増えると予想される。

事実、「一年無料」が終わって有料化されるタイミングと重なる2021年8月までの数ヶ月で、楽天モバイルは無料だけどエリア的に無理だったという人が格安SIMに乗り換えているといった話もちらほら聞こえてくるようになった。

ローミング費用の持ち出しを恐れて顧客獲得に力を入れられないといった話もあったが、むしろ自前の基地局網がスカスカで通信品質が悪いうちは顧客獲得を抑える方が賢明かもしれないと思えるほど、(東京都23区などの一部地域を除き)今の楽天回線の通信品質には問題が多い。

今はむしろローミングに助けられているのだから、品質の高いローミングを提供してくれているKDDIに感謝こそすれ、「高すぎる」だなどと文句を言うのは筋違いだろう。

自社網の整備が不十分な現状では、通信品質の確保とローミング費用負担は連動している楽天の看板を背負っているだけに、せっかく来てくれた客に愛想をつかされて出て行かれると、悪いイメージが先行してしまい、楽天モバイルだけに留まらず楽天グループにとってマイナスではなかろうか。

楽天サービスのクロスユース

予てより楽天会員数が1億人以上と言われていたが、楽天モバイルを使うために初めて楽天IDを登録する人が多いのだそうだ。楽天IDは1人1つまでに制限されているし、ほぼ日本でしか使われていないだろうから、元々1億もあったID数がさらに増えているというのは驚きだが、今までアプローチできていなかった人と接点ができたメリットは小さくなさそうだ。

また、楽天モバイルを使い始めた人が他の楽天サービスを使い始める「クロスユース」効果が大きいという。

筆者は2020年4月の正式サービス開始当初から使っているので1年あまり経つが、正直、楽天モバイルと他の楽天サービスとのシナジーがそこまで大きいとは感じられなかった。強いて言えば楽天カード(端末代金の分割払い手数料が無料になる)くらいかなと思っていたのだが。

例えば楽天市場の特典はSPU+1倍くらいで、ワイモバイルなどより大きく見劣りする。

楽天ポイントは新規契約時のキャンペーンで貯まるものの、一過性。2023年 8月までは「Google play キャリア決済で10%還元キャンペーン」で貯まっていたが、それも打ち切られてしまった(;_;)。

月額料金に対して付くポイントは1%だから、月額料金が高い人でも付くポイントは29円。人によっては0円だったりするのだから、モバイルの支払いで貯まるポイントはたかが知れている。

近頃は楽天モバイルの加入手続きのに、楽天カードと楽天銀行の口座開設へと誘導される

発表会では「データやAI」を使って云々と言っていたが、具体的にどのように使われているのかは示されなかった。

むしろ、最近は楽天モバイル新規申し込みフォームを開くと先に楽天カードと楽天銀行の口座開設を促されたり(右図)、楽天カード会員が楽天モバイルを新規契約するとポイントバックされるといったように、相互に送客している。華々しく放たれる「データやAI」といったパワーワードの陰で、地道に行われている営業活動の結果が出ているのではと思う。

楽天モバイルが始まった当初は、加入申し込みを処理するだけで手一杯だった(処理しきれずに止まってしまうこともあった)が、今はモバイルよりもクレカと銀行口座を先に申し込ませようとするのだから、ずいぶん落ち着いたものだとも思う。

ところで、三木谷氏はこのモバイル事業を「一石三鳥」と評していた。

  1. 単体で利益が出る事業にするつもりであること。
  2. 楽天エコシステムに貢献していること。
  3. 「完全仮想化ネットワーク」等を外販する「Rakuten Symphony」。

もちろん、楽天モバイル単体でも利益が出る事業にすると言っているが、楽天グループにとっては、むしろエコシステムへの貢献の方が大きなメリットになるのかもしれない。

そしてさらに「完全仮想化ネットワーク」を外販することで、利益を上乗せできると。なるほど上手くいけば「一石三鳥」だ。

ソフトバンクでは立場は逆になる(先に通信を手掛けていて、後から通販や決済に参入)が、破竹の勢いのPayPayにおいて、2021年10月から実施する決済手数料の有料化では「決済全体として“トントン”にしたい」という目標を掲げていた。つまり決済で儲かる必要はなくて、その上に載せるサービスで儲けが出るようになったらいいなというところだそうだ。

立ち位置こそ逆だが、よく似ていると思う。

しかし、だからこそ、「安かろう・悪かろう」なサービスではいけないだろうとも思う。

今のところ、 「完全仮想化」なので投資コストは少なく済むはず →基地局少なめ →月額料金を思い切って0円~にしました →ローミング費用が高いので早く止めたい →基地局スカスカで圏外多発(東京都23区など一部の地域を除く) という構造になってしまっているが、楽天グループの看板商品に「安かろう・悪かろう」のイメージが付いたまま他社へ移ってゆくユーザーが増えると、楽天サービス全体に傷が付くことになりかねない。

嫌な思いをして他社へ移ったユーザーはまず戻ってこないだろうから、悪いイメージの払拭も難しくなるだろう。

S&P格付けを「投機的」に引き下げられたこともあって焦っているのかもしれないが、大きなリスクを取って大きなリターンを狙っている状況に違いないと思う。

今回の発表会で三木谷氏が、コロナ禍において(予想よりは)好業績を出したことを「楽天の事業は安定してはいないかもしれないがレジリエントだ(適応能力がある)」と評していたが、どうなのだろう? 多角化しているのでリスクを分散できている面もあるだろうが、今回は生業の通販に強い追い風が吹いた幸運もあった。一方でMNOで唯一、半導体不足の影響で基地局整備が遅れていたりもするのだから、(まあ仕方ないとは思うが)マネジメントは必ずしもレジリエントではなかったのかもしれない。

同様に、楽天回線の通信品質リスクなども、過小評価されているように感じてしまう。

以前、クレジットカードがこれだけ伸びたのだからモバイルも伸びるだろうという楽観論が展開されていたが、クレジットカードは端末不要だ(SIMカードに相当するクレジットカードを発行すれば使える)し、基地局にあたる店舗側端末も他社との相乗りなので、自社でのエリア展開が不要で、品質問題が起こりにくい。

また、クレジットカードは使わなければ完全無料なので、契約したものの使わずに寝かせているユーザーも少なくないだろうが、モバイルはいくら無料にしても電話番号が紐づいているので、ユーザーは他社へ逃げてゆく。仮に0円で寝かせられても、クレジットカードと違ってモバイルは管理コストが負担になる。おのずとクレジットカードよりも解約率は高くなるだろうが、気になる解約率は今のところ非開示だ。

投資家に良い顔をしたい気持ちはわかるが、どちらかと言うと、強気すぎる楽天家ぶりが「投機的」と見られてしまう面もあるように思う。まあそれが三木谷氏の持ち味でもあるのだろうけれど:)。

「Rakuten Link」と「+メッセージ」

2021年 9月 2日、「+メッセージ」を携帯3社すべてのブランドとMVNOで利用可能にする旨が唐突に発表された。 auは早速、同日より全面展開。自社はもちろん、同社の回線を借りているMVNOにすら満足に情報が届かないうちに始めたようで、困惑している様子も見られた。

これほど前のめりになっているauとは対照的に、ソフトバンクは「2022年春予定」と、のんびり。ドコモの「2021年9月下旬予定はまあ社内準備やMVNOへの情報提供に時間をかけたいのだろう(と思いたい)が、ソフトバンクは(ワイモバイルの「Y!mobileメール」アプリ対応などの時間もかかるのだろうが)、やはりLINEが身内になったことが影響しているのだろう。それでも離脱せずにしっかり対応するのは、同社の手堅さを感じる。

そんなこんなの温度差はありつつも、MNO3社は足並みを揃えて「+メッセージ」を拡大する。これまではMNO 3社の一部ブランドでしか提供されていなかったが、2021年 9月 2日のau系を皮切りに、各社の全ブランド、およびMVNOのユーザーも順次利用できるようになる。MVNOの頭ごなしに展開することに若干の違和感はあるが、それだけMNO3社が(特にauとドコモが)「+メッセージ」の展開に本気になったということだろう。

こうした動きに対して、楽天モバイルは、静観を決め込んでいるようだ。Webメディアの取材に対し、「楽天は対応する予定はない」と回答したそうだ。もっとも後から訂正が入っている様子などから、楽天にとっても寝耳に水だったのだろうが、それにしても、あまりにそっけなくて驚いた。

楽天は、元よりキャンペーンでのポイント進呈を餌にLinkのインストールと利用を促していたし、通話とメッセージングが主目的である「Rakuten Link」に金融系サービスを搭載し始めるなど、Linkをスーパーアプリ化したがっている様子が見られた。Linkにまつわる不具合や使いにくさもあるのだが、そうした面倒を抱えつつ、様々な特典を付けてまでLinkを使わせたがっている楽天の意思がひしひしと感じられた。

「Rakuten Link」はRCS規格を使って通話とメッセージングを提供しているが、同じRCSを使ってMNO 3社が提供するメッセージングサービスが「+メッセージ」だ。つまり「Rakuten Link」と「+メッセージ」は競合するサービスであるとともに、連携できる可能性のあるサービスでもある。

「Rakuten Link」は無料通話・SMSを使うために使っている人が多いと思われるが、楽天モバイル会員同士ではRCSメッセージングツールとして機能する。Linkアプリを初回設定する際には「Rakuten Linkネーム」と画像の登録を求められたりもするので、楽天モバイルは会員同士のコミュニケーションを醸成していく意向があったように見えるのだが、そこで直接の競合となる「+メッセージ」が楽天以外の全キャリアに一挙拡大したことは、同社にとって大きなイベントのはずなのに、あの淡泊な反応は何だろう、と思った。

楽天はiPhoneの正式対応と引き換えに、「Rakuten Link」を使った他社宛無料通話・SMSサービスの iPhoneユーザー向けの提供を諦めた経緯がある。iPhoneユーザーにLinkのメッセージ機能を使ってもらうためには、ユーザベースの拡大が欠かせない。

かたや「+メッセージ」も、AndroidではSMSアプリとしても使えるのでユーザ数が伸びている(SMSしか使わない人も「+メッセージ」ユーザにカウントされている)が、iPhoneではSMSを使えない。ネットワーク外部性が働く分野だけに、ユーザベースの拡大は両陣営にとり重要課題のはずだ(もちろんユーザ数は段違いなので温度差はあるだろうが)。

「Rakuten Link」でのSMS送受信はAndroidのみ。
音声通話の発信と、楽天モバイルユーザー同士のメッセージは引き続き利用可能だが、楽天モバイルMNOユーザーしか使えないので、使える場面は限定されてしまう。
iPhoneでは標準のメッセージアプリでのみ、SMSを使える。AppleがiPhoneのメッセージアプリ以外でのSMS送受信を認めないのは、同社の「iMessage」に誘導したいのだろう。

「Rakuten Link」と「+メッセージ」は同じRCS規格を使っているので、技術的には相互接続できるはずだが、現時点で相互接続されておらず、またその予定なども表明されていない。スタンプの互換性や公式サイトの扱いといった課題はあるだろう。

しかし、iPhoneでの音声着信を自ら止め、さらに競合の「+メッセージ」がほぼあまねく利用できるようになった今となっては、「+メッセージ」との接続が、Linkアプリのユーザベースを伸ばす必要条件になるようにと思われる。

そもそも、日本のメッセージング分野には国内月間アクティブユーザー8,600万人を誇るLINEというガリバーが存在し、Facebook Messengerなど海外勢の勢いも増している。ユーザー数2,500万の「+メッセージ」ですらメッセージング分野では少数派だ。Linkの実ユーザー数は300万弱だと思われるが、MNO同士でコップの中の争いをしていても自滅するだけだろう。

楽天は「Rakuten Link」をスーパーアプリに育てるどころか、このままではLinkが楽天モバイルの足を引っ張りかねないと懸念される。

楽天モバイルの稼働ユーザー数は300万以上いるようだが、iPhoneユーザーはLinkの利用に厳しい制限があるし、Linkを使えないモバイルルータ等のユーザーもいるので、実際にLinkのメッセージングが稼働しているユーザーはもっと少ないと考えられる。
2021年 8月24日に楽天ペイアプリの機能拡大が発表されている。楽天グループとしては、Linkだけにこだわっているわけではないのだろうが、Linkにウォレット機能を追加した2020年6月頃から方針転換したのかはまだ見えてこない。

エリア (Rakuten UN-LIMIT)

関東地方の4Gエリアマップ(2021年 9月27日更新) 濃い色が楽天自社回線、薄い色はパートナーエリア(auローミング)、紫色は2021年11月までに拡大予定のエリア

「UN-LIMIT」つまり無制限を標榜する料金プランだが、エリアマップの濃い赤色が楽天回線エリア、紫色と薄い赤色がパートナーエリアで、扱いが異なっていた。

ここでは、楽天回線が未整備で、専らパートナー回線を使っている地域を「パートナーエリア」と呼んでいる。パートナー回線が提供されているエリアとは異なる

パートナーエリアではパートナー回線しか掴まないが、楽天回線エリアではパートナー回線を掴むこともある(むしろパートナー回線を掴むことも多い)。

右図は2021年 9月27日時点の関東地方のエリアマップ。4月21日時点と見比べると、郊外でのエリア整備が進み、楽天回線エリアが拡大している。

2022年 2月 4日に、人口カバー率96%に到達したとの発表があった。電波割り当て時に総務省に届け出た開設計画では2026年3月末までとしていたので、4年ほど前倒しで達成したことになる。

実際、2021年の地方都市でのエリア展開は目覚ましいものがあり、2022年 2月 4日時点のエリアマップを見ると、全国の地方都市に色が付いている。

しかし、実際に現地に赴くと、楽天回線エリアになっていても使えないエリアの穴が少なからず見受けられる(後述)し、基地局密度が低いために電波の穴が生じていたり、混雑していて使いにくい場所も散見される。

それは楽天モバイルも自覚しているようで、もう1回、都心部で基地局を配置していそうだ。当初目標の人口カバー率96%を達成したとはいえ、エリア展開はまだ道半ばということだろう。

快適に使える場所と、混雑している場所がある(2021年2月現在)

楽天回線4Gエリア

東京都心部は当初より楽天回線エリア (4G LTE Band 3, 1.7GHz帯) だったが、当初は基地局近くの屋外の開けた場所で計測すると快適だったものの、1年近く経ってユーザーが増えたこともあってか、場所によって当たり外れが見られる。

例えば右図は、東京都中央区人形町の、上は甘酒横丁、下は水天宮前。わずか150mの距離で、どちらも電波状態は良好だが、使い勝手は大きく異なっている。

この時は、甘酒横丁にはヘビーユーザーがいたのだろうか、通信がかなり重くなっていた(これでも昔の楽天モバイル (MVNO) よりは快適だが)。すぐ隣の水天宮前では快適そのものだった。

もっとも、東京山手線内などの都心部は、比較的基地局密度が高く、混んでいる所でも概ね普通に使えるので、東京都23区内は恵まれている方だ。とりあえず今のところは、東京都心部の屋外でデータ通信を使いまくりたい人には快適だろう。

一方、都心以外(住宅地など)では、基地局密度が低い故に、エリアマップに色が付いていても電波が届かない場所が多い。運よく電波状況が良くても重くて使いづらいこともあり、実際に使ってみないと分からない運次第となる。

楽天回線5Gエリア

楽天モバイルで5G(n77)通信

Rakuten UN-LIMIT を契約している人はみな5Gも使えるし、n77 と n257 は国内主要バンドなので、日本向けの5G対応機種(n257はミリ波対応機種に限定)ならばほぼ使えると期待されるのだが、Pixel 6 Pro など、バンドが対応していても楽天モバイルには対応していない機種もある(n77には12月頃に対応した、n257は近日提供予定だそうだ)。

もっとも、現時点ではエリア面でほぼ使えないので、機種選定時に5Gはあまり気にしなくて良いと思う。

4G基地局に増設された5Gアンテナ

楽天モバイルの5Gエリアは、2021年11月頃までは、楽天本社付近に少しあるものの、他の地域ではまだ点在している状態で、ほぼ使えない状況だった。

2021年12月以降、大阪府や富山市などでエリア化が進みつつあるが、依然として限定的。auは鉄道路線を軸にエリア化を進めているので分かりやすいのだが、楽天のエリア整備には規則性は見いだせず、断片的で、手あたり次第といった感じ。富山市では郊外からエリア化されているなど、需要ベースではなさそう。

2022年に入り、右図のように、既存の4G基地局(コン柱)に5Gアンテナが増設されている所を見かけるようになった。ただし、右図の例では左上にn77 (3.7GHz帯)が1基、右上にn257(28GHz帯)が2基となっているが、n77とn257を逆方向に向けている理由は不明。

既存の 4G LTE Band 3(1.7GHz帯)を含め、これら3つの周波数帯は電波特性が大きく異なることから、4Gの既存基地局に単純にアンテナを追加しても同じエリアができるわけではない。駅前などを戦略的にエリア化しているauなどとは違い、楽天は相変わらずエリア展開の傾向がよくわからない(場当たり的に見える)。

ただし、楽天本社のある二子玉川駅付近だけは状況が異なり、n77 (Sub-6) と n257 (mmWave) が面的にエリア化されている。 n257はまだ他社でも点でしか整備されていない状況なので、n257の面展開では随一かもしれない:)。

なお、au・SBが実施している4G周波数の転用は、楽天モバイルでは行われていない(そもそも4Gエリアが構築途上だからね…)。

パートナーエリア

パートナーエリア(au回線)の電波状況が良い場所で計測(2020年4月現在)

パートナーエリアでは原則として 4G LTE Band 18/26(800MHz帯)しか掴まないが、auの広い4Gエリアで使えるので(ただし尾瀬では使えない場所があった)、実用上は困らないだろう。

東京都心部など東名阪の楽天回線エリア内に居ても、地下鉄や地下街、ビル陰などに入るとパートナー回線(au)に切り替わるので、その時は良くてこんな感じだと思っておけば良いだろう。

パートナーエリアで使えるのは 4G (LTE) のみで、月々5GBまで(超過すると上限1Mbps)に制限されている。今月どれだけ使ったかは「my 楽天モバイル」アプリ(AndroidiPhone・iPad)で随時確認できる(後述)ものの、アンテナピクトが変わるわけではないので、切り替わったことが判りにくい。

建物の中など電波の弱い所では知らないうちに切り替わることがあるので、楽天回線エリアにいても必ずしも使い放題にはならない。使い放題だと思い込んで使い過ぎないよう注意したい。

楽天回線エリアの整備状況

富山駅前の県庁舎、市役所やオフィスビルが林立する富山市中心市街地は、長らく楽天回線エリアの「穴」になっている

中心市街地は後回し?

楽天は、東京都23区などの例外を除き、エリア化しやすい郊外部からエリア化していった傾向が見られた。

関東から離れて、例えば富山市などが分かりやすいが、郊外部が比較的早くからエリア化されたものの、市電が走りオフィスビルが林立する都心部には、いまだにぽっかりとエリアの穴が空いてしまっている。つまり、建物が林立していてエリア化が難しい中心市街地の整備を後回しにして、整備しやすい郊外からエリア化している様子がよくわかる。

郊外の見通しの良い場所でよく見かける、コンクリート柱を使った4G基地局

2022年2月14日更新のエリアマップを見ると、さすがに富山市はだいぶ色が付いたし(実際に使えるエリアができているかはさておき)、ここまで分かりやすい例はさすがに減ってきたが、こうした例は全国で見られた。

例えば秩父市では、中心市街地が楽天回線(4Gも5Gも)圏外、街外れに近い影森駅の西側が5Gエリアになっている。また、山形県長井市の中心市街地も同様で、山形鉄道フラワー長井線より西側の田畑が広がる郊外部がエリア化されているのに対し、東側の中心市街地はエリア化が遅れたといった具合だ。

要は需要ベースではなく、建てやすい所から建てていった様子が見て取れる。それ自体が間違っているわけではないが、ユーザーニーズとのミスマッチ、つまり楽天回線を使いたい所で使えないおそれがある。

郊外の農地が広がるような場所では、右写真のようなコンクリート柱を使った4G基地局をよく見かける。右写真の場所にはすぐ隣に元PHS(をAXGPに転用した)基地局があったが、同じくらいの高さだった。PHSはマイクロセルだからいいのだが、携帯電話他社では鉄柱を使ってもう少し高い所にアンテナを設置する例が多いと思う。楽天のこのタイプの基地局は安く建てられても、エリアは広がりにくそうだ。

ちなみに右図のようにアンテナの裏側にノキア製のRRHが付いているものと、アンテナの内側にRRHを内蔵したもの(韓国KMW製、最近建てられたものはこちらのタイプが多い)がある。
電柱などに取り付けて狭い範囲をエリア化する「ピコセル」(写真の基地局には5G(ミリ波用)アンテナも付いている)

低密度な場所をエリア化するなら右上図のような基地局を建てれば済むが、建物が密集する都市部をエリア化する際は、右図のような小さな基地局(「ピコセル」と呼ばれる)を電柱などに取り付けてエリア化してゆく手法が取られることが多く、手間も時間もかかる。大きな基地局(マクロセル)を建てて終わりではなく、小さな穴埋めをしてようやく、まともに使えるエリアができるわけだ。

楽天回線のエリア整備が後手に回った地区は、基地局整備が難しかったということだから、今後エリアマップに色が付いた後も、しばらくは楽天回線の使い勝手が悪くなることが懸念される。

しかも、楽天はパートナー回線の停波を急いでいる節がある。エリア化が後手に回った地区はただでさえ基地局整備が難しい地区なのに、エリア化後に穴を塞ぐ作業が不十分なうちにパートナー回線を切られるおそれがある。これではパートナー回線の停波後に圏外が続出するのではと気がかりだ。

地下鉄でのエリア整備状況

日比谷線秋葉原駅は比較的早く、2021年2月よりエリア化されていた

東京都23区名古屋市大阪市は当初から楽天回線エリアになっていたが、だからと言ってパートナー回線が不要ということでもない。

しかし2つ隣の日比谷線人形町駅は2021年10月にようやくエリア化された

東京の地下鉄では2021年2月より順次エリア化が進められていたようで、例えば日比谷線・秋葉原駅は早かったが(2021年2月より楽天回線提供中)、2つ隣の人形町駅は半年遅れて2021年10月にようやくエリア化された(右図)。東京メトロに限ればだいぶエリア化が進んだ感があるが、まだ九段下駅や他社管理駅など楽天圏外の駅が残っている。

東京の地下鉄でも私鉄各社は全くエリア化されていない(京王線調布駅、2021年10月)⇒2022年8月までに楽天回線(5MHz幅)エリア化された

楽天モバイルが報道関係者だけに提供した資料を見ると、楽天は東京メトロを優先してエリア整備している様子がわかる。楽天曰く、東京の地下鉄は2021年10月時点で東京メトロで9割、都営地下鉄で6割がエリア化されたそうだ。

筆者もよく地下鉄に乗るので時々エリア化の状況を見ているが、地下鉄エリアは移動通信基盤整備協会が一括してエリア整備しているため、エリア化された区間では楽天回線も遜色なく使えるようになっている。他社に比べると割当バンド幅は狭く5MHz程度。楽天はユーザー数も段違いに少ないので、他社と比べて使いにくいということはなかったが、2022年に入り地下鉄での混雑が目立つようになっている(右図)

2022年6月現在、千代田区内の一部区間では20MHz幅で提供しているが、それ以外の地下鉄エリアはほぼ5MHz幅。
限られた設備に多くの人が集中する地下などでは、むしろドコモなどの相対的にユーザー数が多いキャリアほど重くなる傾向がある。ただしソフトバンクでは Band 1+3+42 の3CAで提供していたりするのに対し、楽天のシングルバンド5MHz幅は、いくらユーザーが少ないといっても、さすがに狭すぎる感がある。
地下鉄構内で使われているバンド幅は5MHz程度で、ユーザーが増えても増強されていない。パートナー回線の頃は普通に使えていたのだが、楽天回線エリア化されたら閑散時間帯でも遅くて使い物にならなくなってしまった(東急田園都市線三軒茶屋駅付近、2022年7月)

ところが、東京メトロ以外のエリア化はなかなか進まなかった。 毎日多くの人が行き交う渋谷駅の地下は東急電鉄の管理駅で、楽天回線の圏外が続いた(東京メトロが管理している銀座線の駅は地上にある)。この渋谷駅と楽天本社を結んでいる東急田園都市線(渋谷~二子玉川)は駅構内・駅間を問わずほぼ全区間で楽天圏外だった。この区間は2022年7月にエリア化されたが、バンド幅が5MHzしかなく、非常に遅い(右図)。むしろパートナー回線の方がずっと快適だった。閑散時間帯に測ってこのありさまだから、朝夕の通勤ラッシュ時間帯は推して知るべしだろう…

JR横須賀線・総武快速線の地下区間(品川~東京~錦糸町)も楽天圏外で、パートナー回線が欠かせない(東京駅地下ホーム、2021年11月)

東急東横線(渋谷~代官山)、東急目黒線(後述)、京王線(新宿~笹塚、国領~西調布・京王多摩川)、JR横須賀線・総武快速線(品川~東京~錦糸町)などもずっと楽天圏外だった(いずれもパートナー回線は使える)が、2022年 7~8月頃にエリア化された。

それまでの間、例えば、目黒~田園調布間で断続的に地下・半地下区間がある東急目黒線に乗っていると、大岡山駅構内がエリア化されていて、隣の洗足駅の手前まで(掘割の半地下区間)では楽天回線を使えるが、洗足駅~不動前駅間は圏外(パートナーエリア)となり、不動前駅~目黒駅間の明かり区間では楽天回線、目黒駅手前で地下に入ると再び楽天圏外(パートナーエリア)と、めまぐるしく切り替わっていた。

相鉄新横浜線の新規開業区間では当初より楽天回線4G 20MHz幅でサービス提供されていた(2023年 3月18日)

筆者はあまり乗る機会がないが、京成本線(京成上野~日暮里)、京成押上線(押上~京成曳舟)、京急本線(泉岳寺~品川)、JR京葉線(東京~潮見)、東京臨海高速鉄道りんかい線(大崎~東雲)などの地下区間も推して知るべしだろう。

ちなみに楽天モバイル(MNO)開始後に初めて、2023年 3月18日に開業した相鉄新横浜線羽沢横浜国大新横浜)と東急新横浜線では、当初より楽天回線4G 20MHz幅でサービス提供されていた(右図)。

同月27日に開業予定の福岡市営地下鉄七隈線天神南博多)は筆者は当分行く予定がないものの、きっとこれから開業する地下鉄では楽天回線が整備されることだろう…

なお、東京以外の地下鉄でのエリア整備は2022年以降になると案内されている。

いくら料金プランや仮想化された機器類が「革新的」(楽天曰く)であったとしても、このように楽天回線の基地局整備状況はまだPHSの水準にも達していないので、パートナー回線が無かったら2G携帯電話の頃に逆戻りしたかのようなエリアになってしまう

地下ではパートナー(au)回線が使えるから実際に困ることはあまりないが、都市部でも楽天回線だけで使い放題になると期待しない方が良い。仮に東京都心部にしか行かない人がいたとしても、楽天モバイルを使うときは、パートナー回線(Band 18/26)に対応している機種を選ぶ必要がある

昼前後の閑散時間帯には席が埋まる程度しか乗客がいないが、それでも1編成あたり500人くらいは乗っているわけで(座席定員が50人前後×10両)、その列車が概ね5分毎に走っているから、楽天モバイルのシェアが2.4%、6編成在線していたとして、1基地局にユーザーが72人ほどつながることになる。閑散時間帯ですら5MHz幅では賄えないだろうと思うのだが、楽天の見込みが甘すぎるのか何なのか…2022年7月現在、東京メトロの千代田区の一部(20MHz幅)を除いて、地下鉄はだいたい5MHz幅でエリア化されている。


パートナー回線の停波

KDDIが公開しているパートナー回線のエリアマップ(2021年10月現在)。2021年10~12月にかけて、首都圏では大規模にパートナー回線の停波が予定されている(図は埼玉県南部)

こうした楽天回線エリアの穴を塞ぐ頼みの綱となっているパートナー回線を提供する au (KDDI) とのローミング契約は、東京23区、大阪市、名古屋市、混雑エリアを除く日本全国で、最長2026年3月末まで提供されるが、楽天モバイルによる自前の基地局整備が進んだ地域から、両社の協議により順次ローミング契約が終了することになっている。

今のところローミングエリアの縮小は半年ごと(4月と10月)に行われており、ローミングの提供エリアと終了予定はKDDIのホームページで公開されているのだが、ここを頻繁にチェックしているユーザーは少ないだろうから、ユーザー目線に立つとある日突然、建物内やビル陰などで使えなくなることがある。

東京都多摩地域と川崎市・横浜市は丘陵地に人口が密集しており、エリア整備しづらく、密に置局しないと電波の隙間ができやすい

実際、2020年10月22日より、東京都武蔵野市、西東京市、小平市、町田市の各一部など、多摩地域でのローミング終了が予告されたのを皮切りに、実際にパートナー回線の停波が始まった。

2021年4月からは、東京都多摩地域とさいたま市の広範、川崎市と横浜市の一部地域でパートナー回線が順次停波された。 筆者の生活圏でも2021年4月にパートナー回線を切られたので、筆者の周りでも建物内などで使えない場所が続出しているのだが、その頃は問い合わせても鳴かず飛ばずで、楽天モバイルに乗り換えていた人は突然圏外になって阿鼻叫喚だった(苦笑)。

さらに2021年10月には、神奈川県(川崎市、横浜市および県央)、埼玉県南部、千葉県西部などで大規模にパートナー回線の停波が始まった。10月から12月にかけて順次停波するそうだ。

2022年4月にはさらに大規模に、神奈川県と千葉県のほぼ全域、および埼玉県の広範で停波が予定されている。

ところが2021年4月までのパートナー回線停波の際は、楽天からユーザーへの告知はなく、(KDDI提供のエリアマップをこまめにチェックしているような一部の人を除いて)一般ユーザーは寝耳に水だったと思うが、実際に停波してみたら楽天回線は穴だらけでクレームが殺到したのだろう、2021年10月以降のパートナー回線の大規模打ち切りでは(あまり目立たないが)告知を出すようになった。

また、対象エリアに住所があるユーザーには個別に連絡が行っているそうだ。 (筆者は2021年4月に切られたので、予告なくある日突然圏外になった。筆者は普段から様々な情報を取りに行っているからまだしも、一般ユーザーは困るだろうし、怒られても仕方ないと思うよ?)

そうした効果もあってか、「10月のローミング停波の苦情は過去より少ない」(2021年10月22日時点)そうだ。もっとも、まだ停波が始まったばかりで、影響を測るには時期尚早にも思うのだが?

突然圏外になってしまったら?

データ通信や音声通話に問題がある場所については、「my 楽天モバイル」アプリで簡単に報告できる

公共施設やお店など特定の場所で使えない・使いづらい場合は、「my 楽天モバイル」アプリを起動して、「ホーム」の下の方にスクロールすると「通話とデータ通信品質向上へご協力ください」という欄があるので、そこの「レポートを送る」をタップして報告することができる(右図)。特に返信は無く、改善予定などもわからないが、そのぶん気楽に報告できる:)。

また、パートナー回線の停波により突然圏外等になる場所が増えることから、新たに「楽天モバイルご利用者様用電波改善・調査依頼」フォームが設置された。 アプリと違って、このフォームで具体的な場所を指定して調査依頼を出すと、返信が来る。その地域の改善計画を調べて教えてもらえることもある。さらに、希望者には訪問調査も行っているそうだ。

自宅や職場などの、よく行く場所が圏外になって困っている場合は、後者のフォームを使って報告すると良いだろう。

もっとも、フォームで問い合わせて返信が来たところで、すぐに改善できることは限られるがサービス提供側から見ると、そもそも圏外になってしまう電波の隙間を見つけることが大変なので、圏外等で困っている人は、上記のアプリやフォームを使って、困っている場所を具体的に教えてあげるのが第一歩だと思う。

ちなみに対策としては、自宅で圏外になるユーザーにはフェムトセルを実質無料で貸し出しているほか、状況により他社回線(MVNO)の貸出なども行っているようだ。

屋外の場合は基地局の設置が検討されるが、基地局設置には数ヶ月から年の時間がかかる。自宅の場合は Rakuten Casa の設置を提案(早くて1週間ほどで改善)、お店などであれば楽天のスタッフが当該店舗を調査して Rakuten Casa の設置を提案するそうだ。

楽天圏外になるとどうなるの?

自宅や職場などでWi-Fiを使っている場合は、ローミングが終了して楽天モバイルが圏外になっても、「Rakuten Link」を使った通話発信はできるが緊急通報やフリーダイヤル等への発信ができなくなってしまうので、自宅等で携帯電話しか持っていない人は要注意。

また、楽天回線が圏外の状態で(Wi-Fiや他社回線を使って)Linkで通話発信すると、通話相手には選択非通知(184を付けて発信したのと同じ扱い)になってしまう。相手が企業のコールセンターならいいが、友人知人等に電話しても番号非通知の着信には出てもらえないことが多いだろうから、併せて要注意だ。

自宅で光回線を引いているなら、「Rakuten Casa」を使うのも方法だ。Rakuten Casa は自宅の光回線を使うが、楽天回線圏内と同じ扱いになるので、緊急通報や番号通知に対応できる。

Android機種では通話着信・SMS送受信もできる。

楽天回線エリア内でも使えない楽天回線

楽天回線エリアになっていても使えない(パートナー回線しか掴まない)場所が多い(上図の地域では2021年2月時点で継続中→2021年5月にようやく解消に向かいつつある)

エリアマップで「楽天回線エリア」になっていても、使い放題になるとは限らない。 楽天モバイルは東京都23区内ではそれなりに基地局を打っているが、一歩外に踏み出すと途端にスカスカになるので、むしろ、使い放題になったら運が良いとすら言える。

エリアマップでは「楽天回線エリア」になっている駅前繁華街を歩き回っても、まるで楽天回線を掴まない(2021年4月下旬になってようやく改善したが、楽天回線エリアになって1年ほど、このありさまだった)

とりわけ分かりやすいのが、楽天本社から目と鼻の先の川崎市の平地部だ。多摩川のすぐ近くに HELLO CYCLINGサイクルステーションがあるので、そこで自転車を借りて多摩川を渡り、武蔵小杉駅方面に向かって住宅地の中を走ってみれば、楽天回線エリアのスカスカぶりを体感できるだろう(;_;)

右上図は楽天本社から目と鼻の先の川崎市の、エリア展開しやすい平地部のエリアマップ抜粋。濃い赤色の楽天回線エリアになって久しいが、実際に現地を歩いてみれば、多くの場所で楽天回線を掴まない

楽天回線エリア内でも楽天回線を使えず、パートナー回線しか掴まない(月間5GBに制限される)場所が多い(2021年2月時点、楽天モバイル公式対応機種で確認)

楽天本社と隣接する高津区では2021年4月にパートナー回線を切られたので、今は楽天回線しか掴まないが、世田谷区とは基地局密度が段違いで、建物の陰に入るとすぐに電波が弱くなり、東京都23区との基地局密度の落差を容易に実感できる(;_;)。DSDS対応機種を使って比較すると判りやすいが、同じ1.7GHz帯 (Band 3) でエリア展開しているワイモバイル(旧イー・モバイルのメインバンド)やドコモ(東名阪限定のサブバンド)と比べても、楽天のスカスカぶりが容易に実感できる。

続いて、隣の中原区へ行くとパートナー回線提供中だが、高層ビルが林立し多くの人が行き交う武蔵小杉駅付近でも使えなければ、低層住宅地の中にあって開けて見通しが良い等々力緑地付近でも使えない→2021年4月下旬に改善された。

それもそのはず、東京都23区内ではそれなりに頑張って基地局を打っているようだが、一歩外に出ると、例えば右上図で示した川崎市中原区には19しか基地局がないお粗末ぶりだ。

2021年2月時点。面積で中原区の2/3ほどの東京都荒川区には3倍の59の基地局を打つようなので、東京都23区以外のスカスカぶりがよく分かる。
屋外ではだいたい快適に使える中央区などに比べて、今の荒川区内が必ずしも快適とは言えないものの、少なくとも東京都23区内並みの使い勝手にするためには、単純計算で基地局を今の4~5倍まで増やす必要がありそうだ
DSDS対応機種に楽天モバイルと他社のSIMを入れて見比べてみると、東京都23区以外の楽天回線のスカスカぶりがよく判る(;_;)

こんな状況でエリアマップに色を付けていること自体、優良誤認に見えなくもないが、少なくとも同社の計画では見積もりが甘すぎることを裏付けている。

今はまだパートナー回線で辛うじて使えている(ただし5GBで規制される)が、この状況でパートナー回線が切られたら、屋外ではアンテナピクトが立ったところで使い物になるかは怪しいものだ。ましてやお店などに入ったらまず使えないので、おサイフケータイのチャージはできない、PayPay楽天ペイはまるで使えない、楽天ポイントカードアプリも使えないなど、日頃スマートフォンを使いこなしている人ほど不便を感じることになるだろう。

言い換えれば、普段あまり使っていない人なら、店内では通話しないから外に出て使えればいい、職場と電車に乗っている時と自宅でだけ使えれば充分という人もいるだろうから、1回線目・1GB未満は0円、3GB未満は980円、運よく使い放題の人は上限2,980円という新プランは、うまい落とし所だったのかもしれないね。
楽天と同様、LTE Band 3 (W-CDMA Band 9) のみでエリア展開していた旧イー・モバイルはもっと快適に使えたのだが、楽天回線はぎりぎり電波が入る程度。東京都23区などの一部の例外を除き、楽天の基地局整備が不足していることが実感される(2021年12月)

2021年4月中旬頃に、パートナーエリアの停波が本格化。東京都多摩地域とさいたま市の広範囲、川崎市と横浜市の一部地域でパートナー回線が停波された。この影響は顕著で、筆者の行動圏でも楽天モバイルが使えない場所がいっきに拡大した。

KDDIが「楽天モバイル向けローミングサービス提供エリア」を公表している。実際には、表示の更新から数週間遅れて順次停波されたようだ。
なお、ローミング終了地域でも、商業ビルの多い駅前繁華街など一部でローミングが継続提供されている。

屋外では辛うじて使えても、ちょっとビル陰や建物内に入ると圏外になったり、アンテナピクトが立っていてもデータが流れなくなる。お店に入ってモバイルSuicaの残高不足で追加チャージや、コード決済などが使えなくなっている。

楽天モバイルの基地局がスカスカなままパートナー回線を切られた首都圏近郊では、他社が楽天モバイルからの乗り換えを促す営業施策を積極化。「Y!mobileが爆発している」そうで、安く使いたいが楽天はダメだった人の受け皿になっているのだろう…

東京都23区内と、そこから一歩出た多摩地域や川崎市などでは基地局密度が段違いで、大きな格差が生じている。筆者は他にも回線を持っているからいいが、正直、楽天モバイル単独で使いたいとは思わない。

神奈川県と千葉県の全域、埼玉県のほとんどの地域では、パートナー回線が2022年3月までに原則終了することになっているので、この1年間で、筆者のような経験をする人が続出しそうだ。

そもそも、最大出力160Wもの強力な基地局を適当な場所に立てて、計算上エリア化しただけでは、エリアマップに色を付けられても、使えるネットワークは出来ない。いかにバックホールを仮想化しようが革新的な料金プランを出そうが、都市部では小出力の基地局を密に打ってゆく必要があることに変わりはないのだから。

話は変わるが、こんなの住宅地で使ったら、近くに住んでいる人に健康被害が出るのでは?別途条件が付いているのかもしれないが、認める方もどうかと思う。

最初のうちは仕方ないと思うが、イー・モバイルの時代と違って今は他社網を使っているユーザーの目も肥えているだろうし、スマートフォンの用途も格段に多様化している。「一年無料」や「3カ月無料」が終わった後もこのスカスカぶりでは、スマートフォンを使いこなしている人ほど厳しい判断をせざるを得ないのではと思う。そうして、ほとんど使わない(≒月額料金が0円に近い)ユーザーと、楽天回線を占拠するほど使い潰すヘビーユーザーばかりが残ったら、当の楽天モバイルも厳しいのではなかろうか。(まあ余計なお世話か:))

ユーザー目線で言えば、パートナー回線を掴んでいるうちはさほど困らないし、ローミング停波後も少し移動すれば辛うじて通話・通信できることが多いので、月々1GB以内であれば無料で使える(1人1回線まで)安かろう悪かろう回線だと割り切って使う分には良いだろう。月々1GB以内で収まる人は、ほぼ通話とメール(と歩数計など)くらいしか使わないガラケー的な使い方をする人だろうから、店内で使えなくても、外に出て使えれば充分という人も多いと思う。

また、いざローミングが切られて我慢できないくらい不便になっても、MNP転出(番号そのままで他社に乗り換え)手数料も無料化されているので、他社に移れば済むことだ。それくらいに割り切って使うなら(安いので)おすすめだ。

少ない基地局がヘビーユーザーに占拠されていることも…

楽天回線エリアでも基地局密度が薄く、「使い放題」のせいか、混んでいることも多い

2020年秋以降、楽天回線エリアが地方都市に拡大しているが、濃い色の楽天回線エリア内にいても、基地局密度が低い上、「使い放題」を売りにしているせいもあってか、右図のように極端に遅い場所も散見される。近くにヘビーユーザーがいると、巻き添えで重くなってしまうのだろう。こうした当たり外れが大きいのも、楽天モバイルの注意点だ。

また、楽天回線エリア内に居ても電波状態が悪いとパートナー(au)回線に切り替わることがある。 楽天モバイルが販売する機種(Huawei nova 5T など)ではなるべく楽天回線を掴み続けるようファームウェアに対策が入っているようだが、それ以外の機種、例えば Xperia 5(SIMフリー版)などでは、楽天回線の電波が弱いとすぐにパートナー回線を掴みに行く

東京都心部など一部の例外を除き、楽天回線は電波が弱い所が多いので、そういう場所で使っていると楽天回線エリア内でもパートナー回線のデータ容量をあっという間に使ってしまうことになる。 「使い放題」に魅力を感じているなら、楽天モバイルが販売している機種を使うのが良いと思う。

楽天モバイルは自社エリアの拡大とパートナーエリアの削減に注力しているようなので、楽天回線のスカスカぶりは、あまり改善を期待できなさそう。楽天回線だけでまともに使えるようになるまでには、相当な時間がかかりそうだ。

山では使えない楽天モバイル

尾瀬付近のエリアマップ auのエリアほぼそのままだが、実際には使えない所があった(au網のMVNOは使えた)

楽天モバイルはauの電波も使えるということで、などへ行く時に使いたい人もいるだろう。

筆者が出かけた範囲では、2021年時点では、auのエリアとほぼ同様に使えることが多いのだが、auしか使えない尾瀬では楽天モバイルのエリアマップにパートナーエリアとして掲載されているのに、使えない所があった(2020年10月時点、他の au MVNO SIM は使えた)。

イレギュラーな例だとは思うが、楽天モバイルのエリアマップに載っているパートナーエリアの中に、ローミング用の 440-53 に未対応の基地局があるようなので、念のため、山などに行く時には povo 2.0 や他のMVNO回線を用意する方が良さそうだ。

御岳登山鉄道御岳山駅付近をカバーする元PHS基地局。現在はAXGP (TD-LTE Band 41) に転用されている。MNO3社は Band 1/41 の基地局を多数建てて御岳山地域をエリアカバーしているが、楽天モバイルは基地局を建てないままパートナー回線も切られて完全圏外になってしまった(2021年11月)

また、東京都内にも山が多いが、東京都でパートナー回線が切られた際に、御岳山などでは楽天の基地局が設置されないままパートナー回線が切られてしまい、居住者も多い宿坊街を含めて完全に圏外になってしまった

世界一登山客が多いと言われる高尾登山電鉄清滝駅(高尾山口)でも、楽天モバイルはパートナー回線が切られて圏外になっている(2023年2月)

他方、同じ東京都内でも高尾山ではしばらくパートナー回線が提供されていたものの、2022年8月に薬王院までの参道と境内が楽天回線エリア化された一方、パートナー回線が切られ(山頂付近のみパートナー回線提供中)、使えない場所がいっきに増えていた(2022年8月現在)。

年間を通じて多くの登山客で賑わう高尾登山電鉄ケーブルカー駅付近ですら圏外になっており(右図)、楽天しか持たずに出かけると、待ち合わせや仲間とはぐれた時などの連絡すら覚束ない状況になっている。

東京都23区内に引きこもって絶対に出ないという人には無関係な話だが、そんな人は少数派だろう。楽天モバイルをメインにする場合は、端末のデュアルSIM機能を活用し、povo 2.0 などの格安プランを予備に入れて着信転送を設定しておくなど、かしこく対応したい。

まだパートナー回線が切られていない山域も多いが、当初目標の人口カバー率96%を4年前倒しで達成したものの巨額の赤字に苦しむ楽天モバイルでは順次パートナー回線が切られているので、今後パートナー回線の停波拡大に伴い、御岳山や高尾山のように突然圏外になる山域が全国に拡大すると考えられる。

今はまだパートナー回線が提供されている地域でも、山ではじきに使えなくなると思っておき、山へよく行く人はDSDV対応端末を使うなどして他社回線も使えるようにしておこう

【参考】#人口カバー率99%と99.9%の違い

都心部の水源確保を目的に、かつては神奈川県だった三多摩が、1893年に東京府(現在の東京都)に移管された。今では大都市でありながら行政区域の約36%ものエリアが自然公園に指定されているそうだ。
楽天モバイルでは「人が住んでいるような場所や、郊外のゴルフ場のような場所は、地上局でカバーしていきます」と言っていたようだが、御岳山は人が住んでいて通学している児童もいるような場所なのに基地局が設置されないままパートナー回線を切られてしまった。

エリアマップに表示されていない楽天回線エリア

基地局が建って使える状態にもかかわらずエリアマップに掲載されていない例

レアケースだが、楽天モバイルのエリアマップでパートナーエリアになっている場所が楽天回線エリアになっていることもあった。

右図はJR只見線 会津宮下駅付近の三島町中心部だが、2022年7月初旬時点で真新しい基地局が建っていて利用できる状態だった。しかしエリアマップに反映されたのは1ヶ月後の2022年 8月下旬だった。

単に遅れて反映されたというのではなく、数km離れた間方・美女峠方面に整備予定の薄い色が付いていたが、2022年 8月に削除された。誤った場所に色を付けていたのだろう(^^;。

ソフトバンクもたまにこういう(エリアマップでは圏外なのに使える)ことがあるが、楽天はエリア構築途上で毎月積極的にエリア展開を広報しているところだったので、完全に飛び石状態のエリアが出来ていて未公表となっていたのは珍しい。

ちなみにバンド幅は5MHzしかないのでユーザーが増えたら混雑しそうだが、元々エリア外の地域だったのでまだ利用は少なかったのであろう、当初空いていて、電波を掴めば快適に使えた。2023年2月には10MHz幅に拡張されていたので、ユーザーが増えたぶん増強されたのだろう。

場当たり的なエリア整備のツケ

2021年4月にパートナー回線を切られた、とある住宅地での計測結果。新たに基地局が設置された街区ではすこぶる快適になったが、100m程度しか離れていないすぐ隣の街区ではほとんど使えない(もちろんエリアマップには濃い色が付いている)。都市部のエリア整備ではこうした「穴」埋めに時間がかかる

2021年は楽天回線エリアの拡大に伴うパートナー回線の停波が本格化したため、突然圏外に直面する楽天モバイルユーザーがいっきに増えたと思う

2021年4月にパートナー回線を切られた筆者の生活圏で見ていても、ある街区には真新しい「ピコセル」が設置されてすこぶる快適に使えるようになったが、隣の街区に行くと圏外ぎりぎりでほぼパケットが流れなかったりする。楽天回線の使い勝手は運次第だ。

2021年10月29日に開かれたKDDIの2022年3月期第2四半期の決算説明会でも話題になっていたようだが、パートナー回線を提供するKDDIとしては、人口カバー率70%を達成したエリアから順次ローミング契約を解除」するという契約に則って、粛々と対応しているそうだ。

かたや楽天は、場当たり的に「エリアを急速に広げます」と言ってみたり、「半導体不足で少し遅れます」と言ってみたり、今度は「ローミング代が高すぎる」と言ってみたりと、いろいろなことを言うものだから、どちらが主導してローミング終了計画を立てているのか、いまいちわかりにくい。

とはいえ、今回興味深かったのは、「(人口カバー率が)70%に達したが引き続き貸してほしい」と要望される基地局数が思っている以上に多いのだそうだ。

東京メトロ東西線・地上区間の電車内で計測。地上区間の東京都23区内では5Gまで掴んで通信状態はすこぶる良いのだが、県境を越えると極端に落ちる。江戸川区と市川市で沿線風景(住宅地)は変わらないのだが、楽天のエリア設計が東京都23区偏重になっていることをよく表している(2023年5月)

ここからは推測になるが、場当たり的な楽天の基地局整備のしかたにも原因があったのではと思う。

首都圏では東京都23区内偏重でエリア構築されており、近隣とのサービス品質の落差が激しい。しかし普段東京都23区から出ない人にはこの落差を体感する機会がないので、楽天回線の品質に関する評価が人により分かれるのだろう。

例えば、沿線に住宅地が広がり大変な通勤ラッシュで知られる東京メトロ東西線の地上区間で(通勤ラッシュとは逆方向の)東行き(西船橋方面)電車に乗って計測してみたのが右図

まず(東西線に限らず)地下鉄では楽天回線の使い勝手が非常に悪い南砂町の先で地上に出てから、浦安手前までの東京都23区内の地上区間では通信状態がすこぶる快適になり、楽天では珍しく5Gを掴む区間もあるが、県境を越えて千葉県に入ると顕著に落ちる

地下と地上で大きく変わるのは理解できるのだが、同じ沿線のすぐ近隣でこうも極端に変わることは他社では無い。実需ベースではなく人口カバーなどの制度面を念頭に設計された楽天回線の設計思想をよく体現している例と言えるだろう。

立ち上げ期においては、整備しやすい所を優先整備することが必ずしも間違っているとは思わないが、楽天回線は需要に応じた整備にはなっていないので、人によりユーザー体験を大きく損なう場面が生じている。また、最初は仕方なかったにしても、ユーザー体験に直結するエリアの「穴」を塞ぐ作業が後回しになってしまった感が否めない。

エリアの「穴」にも2通りあって、先述の通り、そもそもエリアマップに色が付いていない場所と、エリアマップに色が付いていても使えない場所がある。とりわけ後者では、電波が届かない場所を見つけ出して、「ピコセル」などを打ってゆく細かな対策が必要になり、時間がかかる。混み合った都市部では基地局を設置する場所も限られるし、建物が入り組んだ場所ではビル陰などに多くの基地局を打つ必要が出てくるだろう。

既に述べたように、楽天は東京都23区などの例外を除き、比較的容易な郊外部からエリア化していった傾向が見られた。そのため、田畑が広がる開けた場所がエリア化されている反面、建物が密集する中心市街地にエリアの穴が空くような整備のしかたが目立った。

込み入った都市部などに細かく設置してエリアの穴埋めに使われる小さな基地局

都市部では1つの基地局でカバーできる範囲が数十メートルくらいだったりするので、かつてのPHSやWiMAXを見習って、小さな基地局をひたすら打ってゆくしかない。

そのエリアの「穴」塞ぎが後手に回った結果、引き続きパートナー回線を借りざるを得ない場所が増えてしまったのだろう。一般に、混み合った中心市街地の方がエリア化が難しく、時間がかかる。今の楽天はまさにその状況に陥っているのだろう。KDDIが「今年度(2021年度)についてはローミング収入が想定よりも増えそう」だというから、楽天にとっては出費が増えそうだ。

元々の見積もりが甘かったこともあるだろうが、建物が入り組んでいて時間のかかる都市部のエリア整備を先に進めておく方が、「急がば回れ」で早く整備できたのではと思える。

もし難しい所からエリア化を進めていれば、人口カバー率の数字は今ほど上がらなかったろうが、郊外のエリア化は比較的簡単だから、パートナー回線を切るタイミングでいっきにエリア化でき、ユーザー体験をあまり損ねずに済んだろう。しかし楽天の整備の仕方は逆なので、後回しにした手間のかかる都市部の基地局整備が追いつかず、パートナー回線停波後に多くの人のユーザー体験を損ねることになってしまったのだと思う。

近頃話題になっている「プラチナバンド」についても、きっと同じことが言えるだろう。早くから「プラチナバンド」を与えられてしまうと、メインバンドである Band 3 でのエリア整備が後手に回ってしまうだろう。しかし長らくプラチナバンドが無くて苦労したソフトバンクとイー・モバイルは、Band 1 と Band 3(3G時代は Band 9 だが同じ帯域)で地道にエリア整備してきたからこそ、混み合う都市部で快適に使えるネットワークができた。

KDDIでは過去の反省から、5Gの整備は生活動線に沿って行っているそうだ

KDDIも、5Gのエリア整備ではまず山手線の駅付近や大阪駅などの都心部を優先してエリア整備している。ユーザー目線に立ってあえて難しい(が多くの人が利用する)都心エリアから整備を進めることで、ユーザーの5G利用体験を高められるし、後々のエリア展開もスムースに進むということだろう。

楽天は比較的楽な郊外からエリア整備を進めて、エリアマップに色を付けたり目先の数字を高く見せることはできたが、肝心のユーザー体験を損ねてしまった感がある。そしてパートナー回線の停波を急いだがために、ユーザーの手元で圏外が相次ぐなどして不評を買ってブランド価値を損ねたり、圏外になって困っているユーザーのサポートにコストがかかってしまったりするのではなかろうか。

結局のところ、見栄えを重視するのではなく、逆に数字は後からついてくる、くらいの気持ちで地道にエリア整備する方が、「急がば回れ」で早く整備できたのではと思う。

どのみち最終的に打つべき基地局数は変わらないだろうから、順番としてエリアマップに色を付けたりカバー率の数字を追うのではなく、ぜひユーザー目線に立ったエリア整備に取り組んでほしいと思う。

元々楽天回線だけでエリア化されていた東京都23区・名古屋市・大阪市などに住む人は除く。
直通運転している東葉高速鉄道を含め、沿線では大規模な宅地化が進み、都心直通の利便性も相まって、コロナ禍前の2019年度の通勤ラッシュ最混雑区間を抱える。国土交通省『最混雑区間における混雑率(令和元年度)』
また、価格競争も基本0円~まで下がったので、他社も含めて価格競争は限界に近づき、これからは5Gを早く展開してARPU向上を狙っていく段階だ。5GはトラフィックがLTEの2.5倍になる、根幹にある5Gを伸ばしていかないと投資する価値がない。とも言われていた。

人口カバー率99%と99.9%の違い

2022年 2月14日開催の楽天グループ2021年度決算説明会で三木谷氏が、「99%以上までは自前のネットワークで建てていく」「人口が低い過疎地・遠隔地はASTを使う」と言っていた

でも以前、エリア整備担当の矢澤副社長(2022年4月より社長就任予定)は「人が住んでいるような場所や、郊外のゴルフ場のような場所は、地上局でカバーしていきます」と言っていたようだが、これは実質99.9%以上を目指すと宣言したと理解できるもの。

つまり、人口カバー率「99.9%以上」から「99%以上」にさりげなく引き下げたようにも見えた。

この「99.9%」と「99%」の違い、ピンとこない人も多いだろうから、少し例え話をしてみよう。

日本の総人口が1億26百万人(2020年国勢調査より、以下同様)、その1%は126万人。つまり「人口カバー率99%」の場合、政令市1つ分くらいの人口がカバーされないことになる。

単純に自治体を人口(の少ない)順に並べて積算してゆくと、全国のおよそ人口6400人以下の自治体を全て足し合わせると126万人になる。

実際には大きな市の中にも人口希薄地域があるのでそう単純ではないのだが、もし楽天が「人口カバー率99%以上」で満足した場合は、人口6千人以下の自治体は地上局によるエリアカバーから漏れる可能性が高いと見ることができる

安易に離島とか言ってると見誤りそうだが、人口6千人以下の自治体は全国に300以上ある。(離島では喜界島が人口約6.5千人)

これが人口カバー率99.9%(ドコモ、au、ソフトバンクの水準)になると、およそ2千人が境になる。関東でいえば東京都檜原村が人口2003人。実際には檜原村も集落のある場所はほぼエリア化されているので、99.9%「以上」というわけだ。

もっとも、ここまでカバーするにはプラチナバンドがほしいとなるだろう。離島のエリアカバーも難しいが、山間地のエリアカバーも難しい。言い換えれば、人口カバー率99%程度までしか陸上局でカバーするつもりがないなら、わざわざプラチナバンドを用意する必要はないのでは?とも言えるだろうか。実際、プラチナバンドはおろか、今の楽天よりも整備が難しい電波を使っていたPHSでも、人口カバー率99%以上まで整備されていた実績があるのだから。

ちなみに同様の単純計算で考えると、2022年2月現在の楽天の人口カバー率96%では、約5百万人が境になるから、およそ人口1.5万人以上の自治体がエリアカバーされている感覚になる。

例えば只見線沿線でみると、2022年2月時点では人口10万人超えの会津若松市に加え、人口1.8万人の会津美里町と1.5万人の会津坂下町まで、および魚沼市内の一部が楽天回線エリア化されており、その間は楽天圏外(auローミング提供中)となっている。 なるほど、だいたい当てはまっているのかな、という気がするね。 (もちろんそんな単純ではなくて、実際には地形要因が大きくなるだろうけれど。)

実はかつてのPHS(WILLCOM)がそんな感じだった。若松坂下柳津只見駅付近および魚沼市内の一部がエリア化されていて、他は圏外だった。(地上局での)人口カバー率99%を目指すということは、旧WILLCOM並みのエリアがひとつの目安になりそうだ。

(2022年7月追記)その後、2022年6月頃より三島町只見町昭和村でエリア展開が始まった。楽天も地上局にて99%を超えてエリア整備を目指すことにしたようだ。

実のところ、電波割り当て時に総務省に申告する基準はクリアせねばならないが、それ以上はキャリアの胸三寸。必ずしも99.9%を目指す必要はなく、99%だろうが96%で満足しようが、楽天の判断次第。

でもね、衛星通信って126万人も収容できるの?そこが疑問なのよ。 2022年 2月14日の質疑応答で三木谷氏は「都市部は足りないが、それ以外は(衛星通信で)十分かな」という認識を披露していたが…今までもそうだったけれど、楽天さん、見込みが甘すぎない?

地上局で99.9%整備して、残りを衛星などの飛び道具でカバーすると言うならわかる。 99%と99.9%の違いはあまりにも大きいのよ。最低限99.9%以上は地上局でカバーしないと、「日本一のキャリア」にはなれないだろうと思うのよね。

収容力の問題のみならず、衛星によるエリアカバーでは、建物内や列車などに乗っているときには使えないと考えられる。例えば前述の只見線では、トンネル内と只見大白川間の無人地帯を除き3キャリアの電波がほぼ入るので、車窓の美しい景色を眺めながらモバイル通信を使えるのだが、楽天は地上局で整備しない限り、楽天のみ圏外となってしまうだろうから、仮に衛星カバーでエリアマップに色を付けられても、実体験は大きく損なうことになるだろう。

今はまだPHSの水準にも達していない楽天回線エリアだが、PHS並みエリア(人口カバー率99%以上)で満足するのか、その先(地上局による人口カバー率99.9%以上)を目指すのか、同社のエリア整備を注視したい。

2020年国勢調査のデータをCSVでダウンロードしてExcel等で開けば簡単に見られる。
例えば政令市では、静岡市葵区北部の「奥静岡オクシズ」と呼ばれる地域や、長大ローカル線で有名な飯田線に沿って集落が連なる浜松市天竜区裏丹沢麓の山間地に集落が点在する相模原市緑区西部などがある。
これは「人口」に基づく例え話だが、実際には自治体境界よりも地形要因で、政令市などの大きな自治体でも山間部は漏れる可能性があるし、エリア整備が難しい山間部や離島では漏れる可能性が高く、整備が容易な平地はエリア整備される可能性が高いと考えられる。

全47都道府県でパートナー回線の停波が始まる

楽天とKDDIは協議の上、毎年春と秋の年2回、楽天回線の整備が進んだ地域からパートナー回線の停波を順次進めていることは先述の通り。

2022年 4月 4日に情報が更新され、全47都道府県で楽天回線への切り替え(パートナー回線の停止)が発表された。

2021年、楽天は地方都市でのエリア展開を積極的に進め、人口カバー率96%を当初予定より4年前倒しで達成したから、今後パートナー回線の停波を全国で進めることは、ある意味当然だと思う。

筆者が一貫して気にしているのは、都市部や山間部などエリア整備が難しい場所での整備状況だ。

特に、2021年春の時点で、楽天とKDDIは、神奈川県と千葉県の全域において2022年3月までに原則(地下などを除き)ローミング(パートナー回線)の提供を終了するとしていたのだが、神奈川県と千葉県は難しい地域でもある。

神奈川県では丘陵地が宅地化して人口が密集しているし、千葉県の房総半島は低い山が連なっているので、地形的に整備が難しい。2021年春の時点ではまだ、楽天回線が満足に使える状況ではなかった。果たしてわずか1年で整備しきれるのかと気になっていたのだ。

結果から言えば、楽天モバイルからの要望を受けて一部でサービスを継続することになった。新たな終了予定日は決まっていないのだそうだ。

まあそれが妥当だろうな、という感想と、ここでも楽天の見込みが甘かったんだな、という感想が得られた。

もっとも、それが悪いと言いたいのではない。たしかに(主に2021年春までにローミング停波された地域で)割を食わされたユーザーもいるが、問題点を反省して次に活かすのは良いことだ。「当社独自のしきい値を超えた場合のみ終了する。ユーザビリティー重視でしっかりつながるかどうかを精査して切り替えている」そうだが、2021年春までの失敗(大胆に切り替えた結果)を踏まえ、2021年秋以降の切り替えでは悪影響が出ないよう慎重に切り替えることにしたのだろう。

実際、この半年(2021年秋以降)に筆者が出かけた範囲では、2021年春にパートナー回線を切られた地域では相変わらず楽天回線がスカスカな状況が見られた一方、2021年秋の切り替えではパートナー回線が使える場所が多い様子が見て取れた。

先述のように、住居が建ち並ぶ青梅市御岳山では楽天回線未整備のままパートナー回線を切られて圏外のままだし、一方で定住者のいない高尾山ではパートナー回線が提供されているなど、ちぐはぐな場面も見てきたが、残念ながら2021年春までにパートナー回線を切られた地域の救済措置はあまり行われていないように見える。

一度パートナー回線を停波した地域で、パートナー回線を再開することは原則していない(契約上できない?)のだろう。だからといってエリア拡大を優先したため、楽天回線エリアの穴埋めまで手が回っておらず、2021年春までに停波した地域では割を食った状態が続いているのだろうと感じている。

そんなわけで2021年春までに外された地域は相変わらず酷い目に遭っているものの、一転して2021年秋以降のパートナー回線の停波は慎重に行われているようだ。

この(2021年秋以降の)調子で切り替えていけば、たしかにauローミングは残ることになりそうだが、個人的には「楽天携帯にのしかかるローミングの呪縛」とは言いすぎで、逆に楽天モバイルに「安かろう悪かろう」的な印象が付くのを防ぐ効果がありそうに思う。どちらかと言えば後者の方が後々の「呪縛」になるだろうから、後者を避けて前者を採るのはむしろ賢明な判断だと思う。

少し話が変わるが、もうひとつ気になるのは、楽天は5Gの整備があまり進んでいないこと。

楽天はつい半年ほど前まで4G端末を販売していたが、ソフトバンクやauでは端末の5Gへの切り替えを強力に推し進めている。特にワイモバイルでは4G端末を契約している人に対し、最新の5G機種を大幅値引きして(10,080円~)販売しており、既存ユーザーに対しても5G機種への機種変更を促している様子が伝わってくる。iPhoneはAppleの胸三寸なので、この春発売された5G対応 iPhone SE を待たねばならなかったが、Android機種は早い段階で(ガラホなどを除いて)新品販売する機種は全て5G機種に切り替わっていた。

楽天も2022年2月に Rakuten Hand 5Gを投入し、ようやく端末の5G化が進みそうだが、肝心のエリアはなかなか広がらない。楽天の5G基地局は Sub-6 (n77) とミリ波 (n257) が同時に展開されているのが特徴だが、まだ点でしかなく、使えるエリア(面)にはなっていないと感じる。

機器類は 5G Ready かもしれないが、新しい周波数帯を使ってエリアを作るのはまた別のノウハウが要るもの。設備が新しくて5G対応だからと悠長に構えるのではなく、ぜひ地道な整備を進めてほしいものだ。

「プラチナバンドを強く求めていく」

基地局整備や渉外を担当してきた矢澤俊介氏が社長に就任した後の2022年 4月上旬、ネットメディアなどを通じて「プラチナバンドを強く求めていく」メッセージを改めて発信しだした。

社長交代に伴う所信表明の意味合いもあるのかもしれないが、メディア向けに提供されたプレゼン資料(またもや一般には非公開、これで「民主化」?)を見ると、「プラチナバンド」を狙って一段と強いメッセージが出てきた感じだ。

矢澤氏は1.7GHz帯で人口カバー率99%まで作っていこうと思っている」「(プラチナバンドは)山間部や、置局の本数確保が難しい場所に使うと言っていたそうだ。前述のように、同社は(現時点の Band 3 1.7GHz帯では)人口カバー率「99%以上」を目標にすることを匂わせていたが、このタイミングで明確にしてきた。

実際、PHS並みエリア(人口カバー率99%くらい)までは現在の Band 3 のみで整備できるだろうが、それを超えて地上局を整備するつもりならば「プラチナバンド」が必要という主張は理解できる。

矢澤氏は、2021年10月22日には「(日本でスペースモバイルが始まる)2023年後半には、既存3社よりも我々が高い位置に行けるのではないか」と楽観論を展開していたのだが、さすがに「スペースモバイル」で100万人をカバーするのは無理筋だと理解したのだろう。今回ようやく「1.7GHz帯で人口カバー率99%まで作っていこうと思っている」と、PHS並みの人口カバー率99%までは Band 3 で整備する方針が明言された。

人口カバー率99%以上までは Band 3 でしっかり整備した上で、さらにプラチナバンドを獲得してビル陰や山間部のエリア整備をすれば、残りは「スペースモバイル」でもまあ何とかなるかもしれない(そもそも「スペースモバイル」が期待通りに稼働するものなのかは別の議論がありそうだが、ここでは触れない)。

しかし、今回の「プラチナバンド」割譲論も強引だし、別の意味で無理筋だ。楽天は政権与党幹部との仲の良さを利用して政治主導で同業他社から割譲させようとしているようだが、これはいかがなものかと思う。

政治主導といえば2018年の「4割値下げ」発言から続く、政権による介入が記憶に新しいが、権力者による安易な市場介入が、本来競争政策を担ってきたMVNO市場を壊し、再び寡占市場に逆戻りしかねない状況をも生み出してしまった。

楽天は「(楽天にプラチナバンドを割り当てる)経済的なメリットがかなり大きい」と主張しているようだが、さらに官製値下げを進めてMVNO市場を壊してまで楽天を優遇することに、社会的・経済的合理性はあるのだろうか?むしろ政府の失敗になりかねない。

神奈川県の山間部を走る、路線バス廃止代替の乗合タクシー。電話して空きがあればすぐに来てもらえて便利だが、この集落ではソフトバンクはほぼ使えず、ドコモとauもプラチナバンドが多少入る程度で、少し移動すると圏外になる。
山間部の生活・経済をプラチナバンドが支えていることと、それも行き渡ってはいないこと、タクシー無線などは必ずしも公衆通信で代替できないことを示している

もうひとつ、楽天が主張しているMNO3社から5MHzずつ割譲させる案についても、社会的・経済的・技術的合理性が疑わしいと感じる。

都市部ではすこぶる快適なMNO3社のモバイル通信も、山間部へ行けば今でも厳しいのが実情。3社とも山間部ではプラチナバンド頼みでエリアカバーしているが、それすら行き届いているわけではない。この割り当てを減らせば、今でも心許ない山間部の通信がさらに割を食うことになるだろう。官製「4割値下げ」の直撃を受けたキャリアは今でも設備投資の削減を考えざるを得ない状況になっているが、さらにコスト要因となるプラチナバンド再編を突きつけられれば、需要の弱い所(山間部、過疎地など)から設備投資を削減する事態を招きかねない。「社会・経済活動を支えるインフラ」とまで言われるようになったモバイル通信を地方から奪うことは、政府の掲げる地方創生」とは逆行する。それを政治主導で行うのだろうか?

楽天が提示する5MHz割譲案についても、仮に5MHzが割譲されたところで、細切れにすれば多少なりともガードバンドなどの無駄も生じるので、楽天が5MHzを丸々使えるわけではない。また、LTE Band 8/18/19 を5MHzずつ分割したところで、楽天モバイルのユーザーは全バンドに対応する端末を用意しない限り、場所によってプラチナバンドが使えたり使えなかったりすることになる。いろんな意味で非効率だ。

ましてや1年などの短期で導入を目指すのであれば、政治主導で競合他社から融通させようなぞワガママもいいところだ。

もっとも、楽天モバイルも今後山間部へエリア展開する際に、プラチナバンドが必要になるとの主張も理解できる。

左:プラチナバンド (Band 8/18/19) 基地局の例(山間部で一般的な鉄塔タイプ)
右:楽天モバイル (Band 3) 基地局の例(郊外部で一般的なコンクリート柱タイプ)

ところが、三木谷氏が「既存基地局にプラチナバンド対応のアンテナを作れば、その先(コアネットワーク側)はソフトウェアでいくらでも変更できる。他社が必要とする新たな基地局建設と比べれば、我々がプラチナバンドを展開する上で、かなり(設備投資を)低くできる。」と発言したそうで、また頭が痛くなった(-_-;。

右図のように、山間部のエリアカバーに使うプラチナバンドの基地局は、大きな鉄塔で遠くまで電波が届くように建てる(からこそ広い範囲をエリアカバーできる)。 一方、楽天モバイルの一般的な(郊外部でよく見かける)基地局は、右側のように電柱と同じくらいの高さのコンクリート柱が使われている。いくらプラチナバンドを使っても、楽天の「既存基地局にプラチナバンド対応のアンテナを作」ったところで、電波が届く範囲はたかが知れている。 今の楽天にプラチナバンドは豚に真珠・猫に小判ではなかろうかと心配になった。

例えば現実的な案として、2022年 3月に停波したau 3G跡の CDMA2000 BC0 (800MHz帯) を設備ごと一時的に借り受けて LTE Band 18/19 に改装して使わせてもらえるとありがたい(楽天モバイルが販売する機種は Band 8 には対応していないものも多いが、Band 18/19 には対応しているので、端末はほぼそのまま使えそうだ)。もちろんKDDIも敵に塩を送るようなものなので、あまり貸したがらないだろうが、インフラシェアリングのような考え方で、相応の対価が支払われることはもちろん、山間部や離島のエリア整備に限り、期限を区切るといった条件は必要になるだろう。並行して、中期的には地上波テレビや「ITS」などの携帯電話以外の再編により新たな周波数帯を捻出してゆくのが妥当ではと思う。

企業の利益にはならないが公共性のある山間部や離島のエリア化については政策的にインフラシェアリングを提案しても良いと思うが、利益を出せる都市部のビル内などのエリア化は Band 3 でも小型基地局を細かく打てば対応できる。民主化を掲げて政治主導で取り組むのなら、(仲の良いお友達を優遇するのではなく)公共性を唯一の基準にして是々非々で対応すべきだろう。

元々、1.7GHz帯のみで山間部などのエリアカバーをするのは無理があった。それを承知で参入した楽天にも非があるが、新規参入を認めた総務省にも非はあるだろう。4割値下げ」などと煽って大々的に介入した政権も責任重大だ。かたや「ITS」(車車間通信)などは8年以上も実験的にしか使われていない遊んでいる帯域で、すでに5Gで実現可能な用途だ。タクシー無線などを4G/5Gに巻き取らせている傍らでITS帯域を遊ばせておくのは、国民の財産である貴重なプラチナバンドを無駄使いしているとも言える。それこそ「政治主導」で5Gに巻き取らせるべき代物だ。「4割値下げ」を主導した政権や総務省は、キャリアにさらに負担をかけるプラチナバンド割譲ではなく、新たなプラチナバンドを捻出することにこそ注力すべきだろう。

⇒その後、2022年末にプラチナバンドを奪える制度が作られたが、今のところ使われることはなさそう

Rakuten UN-LIMIT VII

2022年 7月からの改定基本料金。0円が廃止された
【参考】2022年6月までの基本料金

2022年 7月より料金を改定することが、2022年 5月13日に発表された

既存契約者に配信されている注意喚起メールより抜粋(筆者の元には 5月29日に届いた)

現在の Rakuten UN-LIMIT VI では1回線目のみ1GB未満は0円(無料)で使えていたが、この基本料金0円(無料)が2022年 6月までで廃止された(;_;)。

既存契約者にも新料金が自動適用され、2022年 9月からは既存契約者も最低基本料金が1,078円(税込)に値上げされる。

既存契約者には移行措置として、7~8月は現行の料金(1回線目に限り0円~)が適用され、9~10月は1回線目が1GB未満で収まった人には月額基本料相当の期間限定楽天ポイントが還元される。

ただし、9~10月分のポイントが付く前に解約した場合の処遇は不明のため、他社への乗り換えを含めて検討している場合は、今の条件で使える実質的な移行期間は8月までと考えておくのが良さそうだ。→7月1日に公開されたキャンペーンルールを見る限りでは、回線解約によりキャンペーン対象外になるとは書かれていないので、移行期間中に解約してもポイント付与されると読めそう。ただし保証するものではないので、楽天モバイルへ確認してほしい。

楽天モバイルを継続する場合は、9~10月分のポイント還元は翌々月末頃、つまり9月分は11月末頃に付与される。還元される期間限定ポイントの有効期限は付与日より6ヶ月。楽天ポイント加盟店での買い物にも使えるし、付与後のモバイル料金の支払いにも充当できる(要設定、キャリア決済や端末分割払いには充当できない)ので、消えないうちに早めに消化しておこう。

同社ではちょうど夏休みに入るしお盆休みもあるので、「変更の希望があれば、そんなに急がずともだいたい4カ月あれば大丈夫じゃないか」と述べていたようなので、基本料0円が適用されている人は、移行期間中に乗り換え先を探してくれということだろう。

でも、「1GBまで0円タダ」は上限無制限と並んで楽天モバイルの売り文句になっていただけに、それを見て契約した既存契約者も対象とする今回の改定には不満を感じる人も多いのだろう。

楽天も商売だから「ぶっちゃけ、0円でずっと使われても困る」という気持ちはわからなくもないが、そもそも承知の上で自分で始めたことだし、今回の改定発表当日まで「1GBまで0円タダ」と宣伝し続けていた(移行期間が短すぎる)ことも、唐突で場当たり的と感じる。ユーザーへの誠意に欠けると言えるかもしれない。

とはいえ、値上げは不可避。ユーザー目線に立てば、いま基本料0円が適用されている人は通話待受中心の人が多いだろうから、povo 2.0日本通信SIMOCN モバイル ONELINEMOなどに乗り換える方が、通話に特殊なアプリ不要で、エリアの心配もなく、快適に使えると思う。

7月からの料金改定が発表された後、早くも他社に乗り換え(MNP転出)する人が続出しているようで、好機と見たのか早くも対抗キャンペーンを打ち出すキャリアも現れた。

楽天モバイルの既存契約者は、少なくとも8月までは同条件が適用されるので、楽天に残るにせよ、他社に乗り換えるにせよ、あまり焦ることなく、もう少し時間をかけて検討したら良いのではと思う。

実際、各種広告等でもよく訴求されていた。オンライン広告は発表日の午後以降順次差し替えられたようで、0円を訴求するバナー広告は新料金発表日を境に見られなくなった。

基本料金以外の、2022年 7月からの変更等(開始時期が近づいたら本文更新予定)

  • パートナー回線のデータチャージ料金が値上げ。1GBあたり 550円 → 660円
  • 楽メール(@rakumail.jp)提供開始(Rakuten Linkアプリが必要、データ利用量カウント対象、回線単位ではなく1ID(1人)につき1つ、楽天モバイルを全て解約すると削除される)
  • 「10分(標準)かけ放題」が料金据え置きで「15分(標準)かけ放題」になった
  • SPUが+1倍追加。ダイヤモンド会員に限りSPU(楽天市場利用時のポイントアップ)がもう+1倍追加。ただし要エントリー、上限各1000ポイント。
  • 楽天グループの一部コンテンツサービス利用時にポイント還元

Rakuten UN-LIMIT VI → VII 損得早見表

  1. パートナー回線の利用が多い → 他社に乗り換えよう。
  2. 普段から楽天市場や楽天コンテンツのヘビーユーザー → 楽天モバイル継続がお得。
  3. Google play キャリア課金のヘビーユーザー → 楽天モバイル継続がお得になりそう。⇒2023年 8月までで打ち切り
  4. Android端末で Rakuten Link の通話発信を毎月40分以上使っている → 楽天モバイル継続がお得。
  5. 「10分(標準)かけ放題」を使っている(iPhoneユーザーや着信転送を使っている人など) → 他社の通話割引も検討してみよう。
  6. データ使用量が3GB前後(毎月の請求が1,078円になったり2,178円になったりする)IIJmioなどに乗り換えて4GBや8GBのプランを契約する方がお得だと思う。毎月の使用量にムラがある人は、使った時だけ povo 2.0 の3GBトッピング(990円)をお替わりする方がお得。
  7. データ使用量が20GB前後(毎月の請求が2,178円になったり3,278円になったりする)NUROモバイル「NEOプランLite」(20GB、2,090円)に乗り換える方がお得かも。データが余った月は繰り越して使えるし、ギガを使い果たした後も1Mbpsで使える。
  8. 基本料0円が適用されており、楽天サービスのヘビーユーザーではない → 他社に乗り換える方がお得。

上記太字に引っかからない人は、楽天モバイル継続でいいと思う。

【困っている人向けのお得な乗り換え先(全て家族割等不要で1回線目から安い)

  • 短時間の通話が多い → povo 2.0 5分かけ放題トッピング(auの広いエリアで使え、基本料込みで月額550円)
  • 通話機能を重視 → 日本通信SIMOCN モバイル ONEIIJmioなどのドコモ回線を使うMVNO(ドコモの広いエリアで使え、従量通話料半額、着信転送や留守電も使える)
  • データ通信の利用が1GB以内に収まる → 日本通信SIM(月額290円、ドコモの広いエリア、従量通話料半額)
  • データ通信の利用が毎月1GBを超える → IIJmio「ギガプラン」、LINEMO「ミニプラン」など(エリアが広い、月額990円で3~5GB使える)
  • データ通信の利用が概ね20GB以内 → NUROモバイル「NEOプランLite」(月額2,090円、ドコモの広いエリアで使えて昼休みも通信快適、繰り越し対応)
  • データ通信の利用が多いが不規則 → povo 2.0 大容量トッピング(有効期限が長いので融通が利く)
  • データ通信の利用が毎月平均50GB以上あり、楽天回線エリア外に行くことがある → ahamo大盛り(ドコモの広いエリアで100GB使えて月額4,950円)
  • eSIMを使っていて頻繁に機種変更している → 楽天モバイル継続、またはLINEMOが良いかも(MVNOにするとeSIM再発行手数料がばかにならない、ahamoやpovoはeSIM再発行手続きが面倒)
料金改定に合わせて「my 楽天モバイル」アプリ(Android版)のデータ使用量表示も変更された。左側は1GBまで0円の「Rakuten UN-LIMIT VI」、右側は0円廃止後の「Rakuten UN-LIMIT VII」

一転して値上げに批判噴出

2022年 5月13日に発表された「Rakuten UN-LIMIT VII」による値上げに対し、巷では批判が噴出しているようだ。それも口だけでなく、早くも他社へ乗り換える人が続出しているのだそうで驚いた。

少なくとも8月までは今の条件で使えるのだから、0円維持が目的の人は8月頃に解約(MNP転出)するのが得となる。ところが5月から乗り換える人が多いということは、損得抜きの「楽天離れ」が起きているのではと気がかりだ。

いろんな考えの人がいるだろうが、筆者はむしろ今までの0円がおかしかったと思っている。使わなければ0円ならまだしも、1GBとはいえ使っているのに0円では事業として成り立たないし、MVNOなどからみれば価格圧搾といった指摘も出ていた。だから値上げ自体はむしろ妥当だと思う。

人気を博した現行プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」では、以前の使い放題3,278円のみのワンプランでは少容量ユーザーの期待に応えられないため段階制料金を導入するとともに、当時は「一年無料」終了で楽天モバイルが草刈り場になりそうな様相があったため、他社への流出を抑えつつ新規ユーザーを増やす目的で、(1人1回線まで)「1GBまで0円タダ」を導入した背景があった。

これに続く「Rakuten UN-LIMIT VII」では、段階制料金によるワンプランは継承しつつ、「1GBまで0円タダ」を廃止する。つまり料金施策による解約抑止は放棄し、(販促費を積んだりして)解約分以上に新規を取ればいいという考え方に転換したのだろう。これまでの独自路線を捨て、他社と横並びの方策を採ることにしたとも言えるだろうか。

ただし、ボリュームゾーンの1~3GB1,078円には割高感がある。楽天は「完全仮想化」でコストが安いとアピールしていた割りに、競合の LINEMOpovo 2.0 よりも高くなってしまう。エリアも拡大したとはいえ他社の人口カバー率99.9%以上とは雲泥の差があるし、依然として楽天回線はエリアマップに色が付いていても使えない(圏外になったり、パートナー回線を掴む)場所が多い。3~20GB前後の料金も決して安いとは言えないし、Rakuten Link に起因する不便も多い。楽天モバイルショップでは新規契約はできるが各種手続きはできずサポートは別料金なのでオンライン専用プランに近い。このように肝心要の通信サービスで依然劣後している楽天モバイルが、他社並みの料金を設定して、競争上不利にならないのだろうか?

料金などの分かりやすい損得勘定のみならず、同社の経営姿勢も気がかりだ。スイッチングコストが高い業界であることを自覚しながら「1GBまで0円タダ」だと言って客を集め(結果的にでも)後出しで値上げする手法や、ズレた言い訳を披露するような態度が批判を呼んでいるのかなと思えた。

例えば、「電気通信事業法27条の3」を理由としていたようだが、この規定は回線契約を条件とする端末の値引きや解約時手数料などを規制するもので、基本料値上げの理由とするのは理解に苦しむ。

本音は今までの、とにかくディスカウント、ディスカウントな戦略から、少し強弱をつけたマーケティングに変えることによって、本当の意味でのロイヤルカスタマーになり、楽天モバイルのサービスを使っていただく」「よりメリハリの効いたマーケティング戦略に変えたということであり、「ぶっちゃけ、0円でずっと使われても困る」ということだろう。つまり自ら種を蒔いた不採算事業(1GBまで0円タダ)からの撤退が目的なのだろうから、素直にそう言って批判を甘んじて受け入れればいいものを、残念ながらそれは法律的にダメだったなどと詭弁を弄する不誠実な態度が見透かされて批判につながっているのではなかろうか。

同社の軽い言葉は今に始まったことではないが、まだ基本料0円~で使えるにもかかわらず早速乗り換えている人が多いということは、少なくないユーザーに不信感を与えた証左だろう。安易に始めた Rakuten UN-LIMIT VI の「1GBまで0円タダ」が巡り巡ってブランド価値を棄損することにもなりかねないと懸念される。

店頭ポスターでも目立つ場所で「1GBまで0円タダ」がアピールされていた(2022年 5月16日の夜に撮影)

移行期間の短さにも驚かされた。「Rakuten UN-LIMIT VII」が発表されたのは2022年 5月13日の午前中だが、当日の午後まで「1GBまで0円タダ」を謳うオンライン広告が配信されていたし、楽天モバイルショップには16日になっても「1GBまで0円タダ」を大きく掲げたポスターが入口の目立つ場所に掲出されていた(右図)。

キャリアの看板を掲げたキャリアショップでは一般に、大きな掲示物はキャリアが支給または指示する。販売代理店の判断で勝手に掲出することは考えにくいから、楽天モバイルからの指示が間に合っていないのだろう。

ポスターなどは急な貼り替えが難しいから、一般的には料金改定を発表するより前もって、差し障りの無い内容に貼り替えておくものだし、バナー広告も然り。自らの広告物の更新すら間に合わないほど急ごしらえのプラン改定だったのだろうか。

でも、携帯電話会社を頻繁に乗り換える人ばかりでない。世の中には、変えるのが面倒くさいという人がいることは、同社も身をもって理解しているようだ。

それなのに、「1GBまで0円タダ」を謳う広告物を見て契約したばかりの人に対してもちょうど夏休みに入るしお盆休みもあるので、「変更の希望があれば、そんなに急がずともだいたい4カ月あれば大丈夫じゃないか」と言うのは、首をかしげてしまう。これではユーザーの反感を買っても身から出た錆だ。

また、同社では楽天市場でのポイント還元率が上がることをアピールしているようだが、ここでも矛盾を感じてしまう。

ダイヤモンド会員では毎月5万円以上、プラチナ以下では毎月10万円以上、楽天市場で買い物をしている人は元を取れることになるものの、それほど楽天市場を使うヘビーユーザーで通信量が1GB未満に収まっている人はごく一部に限られるだろう。楽天グループサービスへの誘客としては機能するだろうが、モバイル値上げに対して「ちょうどイコール」になるという発言には首をかしげざるを得ない。今回追加分のポイント還元を受けるには毎月エントリーが必要という点からも、コスト削減を念頭に置いていることが透けて見えてしまう。

同様の施策で先行するワイモバイルではYahoo!ショッピングで2%相当のポイントが付くしebookjapanなどのコンテンツでも定期的に大幅還元施策が実施されているので、楽天が取り立てて好条件でもない。

こうしたポイント還元施策の方向性が間違っているとは思わないし、むしろ妥当な方向性だと思っているが、値上げの代替になるような話ではないだろう。

そして、今の相場でみると、通信料金が月間1GBで1,078円は割高。0円をやめるにしても、もう少し安くできなかったのだろうか。楽天グループサービスのヘビーユーザーを除く多くの人にとっては、移行期間のうちに他社に乗り換える方がお得だとなってしまいそうだ

でもそうなると、以前語られていた楽天モバイルを入口にして楽天グループのサービスを使ってもらうという方針を大きく転換したのか、または迷走しているようにも見えてしまう。

競合のソフトバンクでは、モバイルからグループ企業のサービスに送客を行ってグループ全体を成長させるという役割を担っているという考え方が示されていた。

楽天モバイルでも同様に、クロスユースユーザー増加が流通総額拡大に貢献していることが盛んに喧伝されていたわけだが、その矢先に入口を絞るような施策をするのは意外だし、迷走しているようにも見えてしまう。

世の中には月間1GB以内で足りるユーザーが3割、3GB以下で5割もいるそうだ。楽天モバイル単体では儲からないユーザーかもしれないが、モバイルを楽天経済圏の顧客獲得の入口として考えるのであれば、「0円タダ」は極端にしても、かつての同社の説明のように、1人1回線まで格安に設定して少容量ユーザーを獲得するのは一定の合理性があるものと思っていた。

それが今回、一転して入口を絞り、せっかく獲得した少容量ユーザーを追い出すような言動を始めたのは、モバイル単体の赤字削減にはつながるかもしれないが、グループ戦略としては迷走しているように見えてしまうのだ。

それだけに留まらず、こうした(0円で契約を集めて後から値上げする)手法がまかり通るようだと、規制強化の動きが出かねないのではと気がかりだ。

実際、鉄道事業乗合バス事業では上限運賃届出制で、安易な値上げや極端な料金設定はできない仕組みになっている。今の時代にここまでの規制が必要なのかという議論もあるが、過去にそうした(不当に安く参入して競合他社を潰すとか、競合路線を撤退させてから値上げするといった)経緯があったからこそ出来た規制でもある。

楽天が0円で客を集めて後から値上げしたといった批判が出てくるようだと、または楽天を見倣う事業者が後に続くようだと、業界全体の規制強化につながる事態も懸念せざるを得ない。

モバイルネットワークの民主化」を掲げて参入した楽天がそういうことをしたかったわけではないと思いたいが、結果としてそうなりかねない真似はしないでほしいと願っている。

かつて「Rakuten UN-LIMIT 2.0」で自らパートナー回線エリアのデータ容量を2GB/月から5GB/月にアップ、データ容量超過後の通信速度を最大128kbpsから1Mbpsにアップグレードしたことを棚に上げて後から「ローミング代が高すぎる」と言い出すなどの先例が数多ある(-_-;。
筆者が見た範囲では、この店頭広告物は2022年6月まで使われていた。更新が間に合わなかったというより、「1GBまで0円タダ」で釣る気満々だったのかも。
Yahoo!ショッピングでの還元率はもっと高かったのだが、2022年 7月より減らされて楽天並みになる(;_;)。
楽天は「完全仮想化ネットワーク」で安くできるんだと盛んに喧伝していたが、3GB 1,078円では、いまやMVNOはおろか、MNOのLINEMOよりも割高なので、これから出す料金プランとしては割安感はない。
実際、維持費0円のpovoのみならず、普通に月額料金がかかるがドコモのネットワークを使えるIIJmio日本通信SIM、月額990円でソフトバンク回線を使えるLINEMOなどへ乗り換える人も急増しているとか。8月までは今の条件で使えるというのに、ずいぶん気が早い人が多いようで驚いたが、それだけ楽天回線に不満を持っていた(が0円だから我慢して使っていた)人が多かったのかもしれない。
今回、三木谷会長は楽天エコシステムユーザーのうち、楽天モバイルのユーザーはまだ11.3%しかいない。88%の人は今後、楽天モバイルに入ってくる可能性があるという考えも披露していたようだが、この切り口は従来とは逆のものになる。今までは、楽天モバイルは赤字でも楽天サービス全体に誘客するという語り口が多かった。しかし楽天モバイルから新規に楽天エコシステムに入ることで、CAC(顧客獲得コスト)を下げた形で楽天グループの中から顧客を獲得できるという「Rakuten UN-LIMIT VI」の狙いが結局うまくいかなかったのだろう。「Rakuten UN-LIMIT VII」では楽天グループの「本当の意味でのロイヤルカスタマー」に楽天モバイルを使ってもらうことでARPUを高める方向に、顧客誘導の方向を大きく転換したことが示唆されている。

MVNO・MVNEに参入

楽天がまたMVNOに参入した…と言っても、他社の回線を借りるMVNOではなく、自社グループの回線を貸すMVNOとMVNEを、2023年 4月 3日に開始した。

楽天モバイル完全子会社の楽天コミュニケーションズ(旧フュージョン・コミュニケーションズ)が運営主体となるので、直営とどう違うのかと思われるかもしれないが、今のところは、今後の布石としての意味合いが強そうだ。

競争政策の観点からMVNOへの回線提供が奨励されており、電波割当等の際はMVNOへの貸出状況も審査対象になる(出典:総務省資料

以前、2023年2月に公開された総務省の資料(右図)を見た際に、楽天回線を借りているMVNOが1社あると書かれていたので、そんな物好きな会社があるのかと驚いていたのだが、どうやら自作自演だったようだ(笑)。

と言っても決して悪い意味ではなく、これから事業を拡げるための布石として妥当な取り組みだと思う。

現在、MNOには競争政策の観点からMVNOの貸出要請に原則応諾する義務があることに加え、電波の割当等においてもMVNOへの貸出状況が評価される。つまりMNOにはMVNOを振興することが求められている。

楽天モバイルもご多分に漏れずMVNO事業者の相談窓口を設けているが、MVNOへの貸出実績がゼロでは恰好がつかないだろう。

まあ恰好はともかく、楽天モバイルはユーザーが少なく、設備が新しくて減価償却にも時間がかかるため、総務省の接続料算定基準を当てはめると当分の間はMVNOが楽天回線を借りる経済的メリットが出ないから、放っておいたら当分MVNOへの回線販売は期待できない。MVNOに回線を使ってもらいたいなら、自前でMVNEをして実勢料金で貸すのは理に適っている。

楽天モバイルにとっても、相場で貸し出して他社に使ってもらえれば追加収入になるから、接続料の算定基準より安い実勢相場で貸しても(不当廉売になるような激安でなければ)損にはならないだろうし、多少なりとも売上増につなげたいところだろう。

かつてはKDDIにもドコモより接続料がだいぶ高かった頃があり、完全子会社「KDDIバリューイネイブラー」を立ち上げて、MVNEおよびMVNO事業を手掛けていた。ドコモも子会社がMVNEとMVNOをしている。子会社がMVNEをするのは、決して珍しい事例ではない。

M2MIoTなどの組込向けに使う回線は特殊な管理方法を求められたりもするので、MNOが直販するよりも、MVNOが一工夫加えて販売する方が適している場合もある。ゆくゆくは楽天も組込向け市場を取ってゆく必要があるだろうから、その準備をする時期としては決して早くはない。

エリアだけの問題ではなく、MVNOへの貸出料金には一定の基準があり、設備費と運営費を需要(実際に使った量)で割って適正利潤を加えた額で貸し出される。楽天モバイルはまだ設備が新しく、しかもユーザー数が少ないため、基地局1局あたりのトラフィックは極めて低く、MVNOへの貸出料金は割高になると考えられることから、現時点で一般のMVNOが楽天回線を借りても経済合理性に適わないと考えられる。
後にUQコミュニケーションズに引き継がれ、さらにUQからKDDI直営に移管されて、現在のUQモバイルになっている。
ドコモの関連会社であったNTTコミュニケーションズが運営していたが、同社は2022年 7月 1日よりドコモの完全子会社になった。同時に、個人向けMVNO事業はNTTレゾナントに移管されたが、こちらもドコモの完全子会社になっている。

プラチナバンドを奪える制度が作られたが…

2022年12月、総務省のゴリ押しで「周波数の再割当制度」が爆誕した。同業他社に割り当てられている周波数帯を奪い、しかもその移行にかかる費用すら相手に支払わせることができるという、驚くべき制度だ。 それも貴重な周波数帯を死蔵しているITSが相手ならいざ知らず、全国に何万局もの基地局を設置してプラチナバンドをフル活用している大手MNO3社が相手だ。もし実施されれば移行費用は巨額になるだろうし、多くの既存ユーザが割を食わされることになる。こんな制度が唐突にできて驚いた。

楽天モバイルには新規参入の是非が議論されていた頃からプラチナバンドが無いことへの疑念が呈されていたのだが、同社では新規参入を優先したのか、しばらくは聞かれても「今の周波数(1.7GHz帯)は結構繋がると思っている。今後、(携帯電話会社へ割り当てられるような)そうしたバンド(周波数)があれば、そういうことはあるだろうが、現状、なかなか簡単には出てこない。今の周波数を前提にネットワークを構築したい」と応じるなど、現実的な態度で臨んでいた。

ところが参入を果たした後の2020年末頃から態度を変え始め、競合3社に割り当て済みのプラチナバンドを再分配するよう要求しはじめる

当時矢面に立たされていた山田社長は見ていて気の毒だったが、2022年 2月25日に突如社長交代が発表され(3月30日付で実施)、矢澤新社長になると語気を強めてプラチナバンド再配分の制度づくり強硬に要望するようになる(⇒#「プラチナバンドを強く求めていく」)。移行にかかる費用も相手(取られる側)が負担すべしと譲らず、総務省は楽天モバイルの要望をほぼ全面的に受け入れる形で、わずか1年足らずの短期間で制度を急ごしらえした。

楽天は参入時点でも政権の介入が指摘されていたが、今回も裏でそうした動きがあったのだろうかと勘繰ってしまいたくなるほど驚いた。取られる側はたまったものではないだろう。

ただし、この制度を利用できるのは、その相手よりも自分の方が有効活用できる場合に限られる。相手が貴重な帯域を10年以上も退蔵してきたITSならともかく、フル活用してきた大手MNO3社が相手では相当にハードルが高い。

赤枠内がプラチナバンド。各社とも積極的に利用されていると評価された(総務省資料より抜粋引用し赤枠を追加)

この制度が機能するためには、現在割り当て済みの周波数帯がどの程度有効活用されているかを測る必要があるため、総務省では「電波の利用状況の調査及び電波の有効利用の程度の評価に関する省令」(2022年 9月30日改正)意見募集結果有効利用評価方針)に基づいて既存免許人の有効利用評価を行い、その結果が2023年 3月31日に公表された(右図)。

S/A/B/C/Dの5段階評価(Rは未評価、理由は表外に記載)で、B以上は適切な利用がされている/C以下はあまり利用されていない、となる。

山間部の駅前に設置されている、先行する3社のプラチナバンド基地局

焦点のプラチナバンドの評価結果は、Band 19, 18/26, 8 は全社「S」。Band 28 はドコモが「B」、auが「S」、SBが「A」。これだけ高品質のサービスを提供しているのだから当たり前ではあるが、各社ともよく活用されているとの結果になった。

仮にこれら各社の電波を奪いに行くには、先行する3社を上回る活用計画を出さねばならず、ハードルは高いだろう。

一方、2022年11月30日にドコモが提案したBand 28 3MHz幅×2の追加割り当ては、帯域幅こそ狭いが、今の楽天には充分で(ユーザー数が今の倍になっても対応できるそうだ)、ハードルも低いため、今はこちらの案で話が進んでいる

Band 28 は比較的新しい帯域ではあるが、2012年に国際標準になっており、国内でも既に使われているので対応済みの機種も多く、隣接帯域との調整は必要になるものの、基地局を建てて電波を吹けばすぐに使えることも魅力となるだろう。

かつてプラチナバンドが無くて苦労していたソフトバンクでは、900MHz帯の獲得を巡って当時社長の孫氏が総務省相手に訴訟まで起こしてプラチナバンドの割り当てを迫っていたが、同時に資金調達をして基地局の部材を発注していたようで、プラチナバンドの割当後は急速にエリア展開が進んだ。

2011年度末に念願の900MHz帯 (Band 8) の割り当てを受けたソフトバンクは、2012年度のわずか1年で約1万6000局を設置する計画を立て、部材は先んじて発注をかけていたそうだ。それから数年で、当時掲げられた「どこでもつながるソフトバンク」を有言実行した感がある。

楽天モバイルの既存基地局はコン柱を使った電線並みの高さのものが一般的。同社はここにプラチナバンドのアンテナを併設して安くあげるつもりのようだが…

では、楽天はどこまで準備しているのだろうか?プラチナバンドを割り当てれば数年後には「どこでもつながる楽天モバイル」を実現できる態勢になっているのだろうか?

少なくとも現時点では、あまり準備が進んでいるようには見えない。まだ電波を割り当てられていないので当然とも言えるが、三木谷氏は「我々がプラチナバンドを展開する上で、かなり(設備投資を)低くできる。」「ソフトアップグレードと、必要であれば高くないアンテナを付ければカバーできる」と考えているようだ。しかしその見積もりでは活用が進まないのではと懸念される。同社は以前にも度々似たような発言をしては静かに撤回してきたので、既に狼少年になっているのかもしれないが…

かつてPHSが使えた観光地の駅前でも、楽天モバイルは使えない場所が増えている(再掲、御岳登山鉄道御岳山駅付近)
野岩鉄道 上三依塩原温泉口駅でも楽天の基地局が設置されないままパートナー回線が切られ、楽天モバイルは完全圏外になっていた(2023年4月)

2021年にはパートナー回線が切られて完全圏外になった 御岳登山鉄道 御岳山駅や、2023年にパートナー回線が切られた高尾登山電鉄 清滝駅(高尾山口)、野岩鉄道 上三依塩原温泉口駅など、楽天回線でカバーされないままパートナー回線が切られ、圏外となる観光地が増えている。

しかしこれらは楽天よりもよほど厳しい条件でエリア整備していたPHSも使えていた場所であり、もちろん他の3社も基地局を設置している。

これらの場所は人口こそ少ないが観光地だし、山奥と違って電気も光回線も届いている場所なので、基地局設置のハードルは低いはず。ましてや近々プラチナバンドの割り当てを受けてエリア化するつもりであれば、駅前などに先んじて LTE Band 3 の基地局を建てておいてもいいはずの場所ばかりだが、そうした動きは見られない。

いずれも駅前で公衆電話はあるから、小銭があれば急ぎの電話発信くらいはできるものの、せっかく楽天モバイルを選んでくれたユーザーに思わぬところで不便を強いることになってしまっている。

同社がプラチナバンドを欲する理由は、通信サービスのエリア拡大に有意義だから。これは自他ともに認める共通認識となっていることだろう。しかし、限られた公共空間である電波の周波数帯を独占利用するからには、相応の便益を社会に還元することが求められる。

裏返せば、貴重なプラチナバンドの割り当てを受ければ、エリアに言い訳ができなくなり、ユーザーの目も厳しくなる。日本ではすでに他の3社が高水準のサービスエリアを構築しているだけに、楽天回線にも他社並みの使い勝手を求められることになるだろう。

Cellular traffic data 2022 extract.png

楽天モバイルはユーザー数こそ少ないが、1人あたりの通信量はソフトバンクに次いで多い(2020-2021年度、総務省資料p116より抜粋引用)

周波数帯別の活用状況を見ると、楽天モバイルでは5Gの活用が進んでいない(出典:総務省資料

5Gでも、楽天は与えられた周波数帯を活用できているとは言い難い。

楽天モバイルはユーザー数こそ少ないが、1人(1契約)あたりの通信量はソフトバンクに次いで多い(上図右)。ところが、そのほとんどが4Gによるもので、5Gの通信量は他社と比べて圧倒的に少なくなっている(右図)。

各社とも5G新周波数帯を存分に活用できているとは言い難い状況ではあるが、楽天は特に顕著だ。

3.7GHz帯(5G n77)基地局数比較(総務省調査、2022年3月末時点)

と言っても、楽天の5G基地局数が少ないわけではなく、むしろ他社よりも多い。

楽天の5G(n77)基地局は2022年 3月末時点で4,948局あるそうで、これは4社平均の4,523局よりも多い(右図)。それでも楽天の5Gが他社と比べて極端に利用されていないのは、エリア構築方法に問題があって有効活用できていないと考えられる。

「楽天回線 5G Sub6エリア」で計測。アンテナピクトは「5G」表示になるが、実際の通信は4Gで行われることが多い(基地局のすぐ近くまで行けば5Gで通信できるので、基地局や端末の不具合ではない)

実際に現地へ赴くと、楽天の5G基地局はコン柱のてっぺんに金属パイプを延ばした 4G Band 3 の基地局に併設されていることが多く、設置されている方向や角度にも意味を見いだせない。

エリアマップで「楽天回線 5G Sub6エリア」の色が付いている場所へ行っても5Gはほぼ使えず(右図、ピクトは5Gになるが実際の通信は4G)、5Gアンテナが見えるくらい近くまで行かないと5G通信にならないなど、必ずしもエリア構築が上手くできていないように感じられる。その結果として、他社と比べても5Gがあまり活用されていないのだろう。

楽天の4G基地局に増設された5Gアンテナ(再掲)
周囲は低層住宅地。この例ではn77とn257が逆向きに付いているが、あまり意味が感じられない

他社では各周波数帯の特性に合わせた基地局設備を構築してエリアを作っているのに対し、楽天は1つの設備を共用して様々な周波数帯の電波を飛ばしており(右図)、三木谷氏はそれを根拠に安くできると主張しているわけだが、場当たり的に安く整備した裏返しで、楽天の5Gは思うように使えず、通信量が伸び悩んでいるのだろう。

筆者もいろんな場所で使ってみているが、街中の多くの人が行き交う場所で5Gが実用になるのは、楽天本社がある二子玉川駅付近くらいしか見当たらない。 他の場所でも、基地局が目視できるくらい近くへ行って静止して使えば5Gも使えるのだが、移動中に使う用途ではほぼ4Gになる。

楽天の基地局は特徴的で比較的目につきやすいので、筆者も5Gの基地局が見えると試してみることがあるが、その結果が「いま5Gで最も使われているのはスピードテスト」ということになるのだろう。

他社の5Gはそこそこ使われているのに、楽天の5Gが使われないのは、楽天回線のエリア構築に問題があることの裏返しとなろう(同社はそう認識していないから、こんな他人事のような発言が飛び出してくるのかもしれないが)。

auは生活導線にこだわった5G整備を展開しており、東京都心部の鉄道駅を優先的に5Gエリア化している

他の3社はどうか。auは「生活導線に沿ってエリアを強化」すると明言しているが、他社も同様に、鉄道駅や中心市街地などの、人が集まり、通話や通信がよく使われる場所を優先して5Gエリアが構築されている(「安くできる場所から」ではない)。

通話や通信を使いたい場所、駅であったり電車内であったり繁華街であったり、連絡を取りたい場所や手が空く場所で使われることが多いからこそ、このように整備されてきたのだろう。かつて4Gの整備でも同様だったと思う。その成果あって、他社は山奥の無人地帯やトンネル内などを除けば、概ね使えるまでに拡がった。観光地の駅など、住民は少なくても、旅行者が訪れてタクシーや送迎を呼んだり地図や時刻表などを調べたりする場所ではしっかり整備されているわけだ。

対して楽天は(東京都23区内などの例外を除き)人口カバー優先で、4Gでも比較的楽な郊外からエリア整備を進めてきた節がある。立ち上げ段階ではそれも一方法かもしれないが、プラチナバンドや5Gを使ってエリアを厚くする際に、4G立ち上げ期の延長線で考えてしまったら仇になりかねないと気がかりだ。

そうは言っても無い袖は振れない事情もあるのかもしれないが、インフラ産業は設備を十数年使って元を取るもの。安普請で使いづらい設備を量産して結局ユーザーに使ってもらえず後々さらに改修費用がかかるのと、ある程度コストをかけてでも丁寧にインフラを作り込むのと、どちらが良いだろうか。

話をプラチナバンドに戻そう。前述の通り、2022年11月のドコモの提案を受けて、未利用の LTE Band 28 3MHz幅×2の新規割り当てに向けた制度整備がトントン拍子で進んでいる。ここに楽天は「当確」と言われているが、「当選」したとしても、その後は決して楽な道ではないだろう。

かつて郊外のエリア化に必要な基地局費用に、800MHz・2GHzに大きな差はないという話もあったが、プラチナバンドの割り当てを受けても地道に基地局を建てていかねば圏外になることに変わりはないし、その費用も実は大差ないようだ

そもそも、プラチナバンドはエリアの隙間を埋めて厚くしたりエリア境界を改善したりする用途には有用だが、必ずしもトラフィックを捌く用途には向かない。ましてや衛星などの飛び道具はおまけ程度に過ぎない(面カバーはできても大したトラフィックを流せないし、空が見えない建物内や列車内などでは使えない)。 他社ではプラチナバンドにトラフィックが集中して品質低下する事態も起きているが、楽天はデータ無制限」を売りにしているだけに、プラチナバンドに頼った整備をしてしまうと、すぐに詰まる事態も懸念される。あくまで基本に忠実に、メインバンド (Band 3) を張り巡らせる必要がある

プラチナバンドが手に入ればまもなくパートナー回線は完全停波され、言い訳抜きで楽天回線の品質が先行3社と比較されるようになる

そして、既に電波の割り当てを受けている楽天も、割り当てられた周波数帯を最大限活用していかねばならないことに変わりなく、そのためにユーザーを増やし、MVNOやIoTも増やすことが求められている。 もし割り当てられた電波を最大限活用できなければ、楽天が自ら望んで作られた再割当制度のブーメランで、自腹を裂いて他社に譲り渡す事態にならないとも言い切れない。

個人的には楽天の奮起に期待したいところだが、同社の見積もりや口ぶりを見ていると、不安ばかりが増えてしまう…せめて楽天には他社へ軽口は自重してもらい、自社のエリア整備に注力することでユーザーの期待に応えてほしいと願っている。

空いている帯域なので、隣接帯域との干渉対策は必要になるが、少なくとも先行3社を上回る活用計画を立てる必要はない。
そもそも最初はプラチナバンドが無いことを承知の上で新規参入したわけだし、初っ端からサービスインが遅れ基地局整備の遅れによる行政指導も受けていた。設備投資額も足りないと言われていたがフタを開けてみれば当初見積もりよりどんどん膨れ上がったので、同社の見積もりは経験上あまりあてにしない方が良いように思う。
Band 3 でも充分エリア整備できる、プラチナバンドの整備にはもっと費用がかかる、といった異論はあると思うし、そうした異論を否定するものではない。
ちなみにn257(28GHz帯、ミリ波)は4,680局あり、4社平均の2,675局よりもかなり多いが、やはりあまり活用されていないようだ。
近郊住宅地に設置されるものは周辺の配電用電柱と同じくらいの高さなので、3階建て住宅くらいの高さ、12~16mほどと思われる。近頃は他社でも似たような基地局があるが、コン柱を使うのはUQなどの比較的周波数の高い基地局だけで、プラチナバンドでは金属柱で建ててもう少し高い所に設置されている(峠駅山奥の温泉宿などの特殊な事例はあるが)。ただし楽天でも山間地ではもう少し大がかりに建てている所もあり、そういう場所では電波が比較的遠くまで届く。
Band 28 はFDD用なので、上り下り1対の計2つが同時に割り当てられる。
ビル奥への浸透や、山奥への回り込み特性は違うだろうから、プラチナバンドを併用することでユーザーの使い勝手は改善すると思われるが、整備費用については大差なさそうだ。

狭まるパートナー回線エリア、増える楽天圏外

浅草から4500円で往復+バスが乗り放題になる NIKKO MaaS「デジタル中禅寺・奥日光フリーパス」の利用にはモバイル回線が必須だが、楽天モバイルはパートナー回線の大幅停波により非常に使いづらくなってしまった(図はパートナー回線提供中の千手ヶ浜で撮影)

2022年10月までは、楽天回線エリアの狭さを支えていたパートナー(au)回線エリアが半年毎(4月と10月)に縮小されていた。

替わりに楽天回線が整備された場所はまだしも、楽天回線が整備されないままパートナー回線が止められて完全圏外になる場所が増えている

楽天回線のエリア構築が場当たり的に行われていた様子は先述したが、このパートナー回線エリアの停波も、筋が悪いように見えてしまう。

例えば、2022年10月のパートナー回線エリア更新では、春から秋にかけて多くの観光客が訪れる奥日光戦場ヶ原で、パートナー回線が停波された(下図参照)。

これにより、「赤沼」などの観光拠点が、2023年シーズンより楽天モバイルのみ完全圏外になってしまった。

RakutenMobile partnerarea okunikko 202210.gif
ドコモ、au、ソフトバンクおよびPHSは、人口カバー率の足しにならなくても観光地の奥日光戦場ヶ原に基地局を設置してサービス提供している

他社は、ドコモ、au、ソフトバンクおよび旧WILLCOM(PHS)が三本松付近の開拓地内に1箇所ずつ基地局を設置しており(右写真)、3大キャリアは「赤沼」より少し先の戦場ヶ原自然研究路(湯川歩道)までぎりぎり電波が届く。 1.9GHz帯を使っていて出力の制限も厳しいために電波が届きにくいPHSですら、観光拠点となる「赤沼」と「三本松」では使えていた

ところが、PHSより電波特性が良く出力も強い楽天モバイルは自ら基地局を建てることをせずパートナー回線も切ってしまったので、バスの乗り換え拠点となる「赤沼」を含めて楽天のみ完全圏外になってしまった。

奥日光戦場ヶ原方面へ向かうバス 春から秋にかけて、連日多くのハイカーが訪れる(東武バス日光中禅寺温泉バス停で平日朝に撮影)

奥日光では東武バスに乗り放題でお得な NIKKO MaaS デジタルフリーパスが2022年より提供されており、2022年シーズンは楽天モバイルでもパートナー回線で使えていたのだが、2023年シーズンは楽天モバイルしか持っていない人はバスに乗ることもできない(現金やPASMO・Suicaで別途運賃を支払えば乗れるが)。

こうしたこともあり、筆者は楽天モバイルをメインに使っている人に対しては別途デュアルSIMpovo 2.0 などを入れて備えておくように案内しているのだが、東京都23区から出ない人には穿った見方をされてしまうようだ…

人口カバー率の算定基礎となる500mメッシュごとの人口分布は、総務省統計局の統計地理情報システム (e-Stat)等で見ることができる

それにしても、楽天はなぜ戦場ヶ原だけでパートナー回線を切ってしまったのだろうか?言い替えると、この1箇所だけ切ることに、どんな意味があったのだろうか?

以前にも2021年より御岳山が圏外になったが、2023年6月時点でも楽天回線は整備されず、パートナー回線の再開もされていない。

人口カバー率の数字しか見ていないなら、ほとんど住む人のいない戦場ヶ原(右図)に基地局を建てる必要はないと考えるだろう。

しかしユーザー目線に立つと全く話が変わる。人口密集地の首都圏から東武特急が毎日多数直通する著名な観光地で、修学旅行からインバウンドまで多くの観光客が訪れる場所であり、バスの乗り継ぎ拠点にもなっている。ひたすら歩いている登山道とは違って、デジタルチケットの利用はもとより、バスの待ち時間や飲食の合間のデータ通信、売店での買い物、待ち合わせ等で通話もするだろう。

実際、他の全キャリアが基地局を建ててサービスしているのは、この地域での通話やデータ通信のニーズが高いからだろう。

また、楽天より条件の悪かったPHSですら基地局を建ててサービス提供していたのだから、「プラチナバンド」の有無は言い訳にならない。今の楽天回線 (LTE Band 3) でも充分サービスできるはずだ。

こうした現場を見ていると、総務省の肝いりでプラチナバンドを奪える制度が作られたところで、仮に楽天がプラチナバンドを得ても、他社以上に有効活用できるとは思えないのが正直な感想となってしまう。

正確には2021年10月28日開始だが、奥日光では積雪期に入り低公害バスも冬季運休となるため、戦場ヶ原での本格稼働は2022年シーズンからとなる。
近隣の湯元温泉中禅寺湖北岸では引き続きパートナー回線が提供されている。

KDDIとのローミング協定を更新し、パートナー回線を拡大

これまでパートナー回線を縮小してきた楽天モバイルが、一転してパートナー回線の拡大を発表した。料金等の詳細は非開示だが、新たなローミング協定(2023年 6月発効)を締結したそうだ。

新協定では、これまでローミングに含まれなかった東京都23区・名古屋市・大阪市を含む都市部の繁華街のエリアを新たに対象とした。

また、すでに利用中の地下鉄、地下街、トンネル、屋内施設などやルーラルエリアでのローミングも2026年 9月まで延長する

具体的な料金等は非公表だが、三木谷会長はローミング費用が高すぎる」と公言していたくらいなので、そのまま更新するとは考えにくい。きっと料金もだいぶ下がったのだろう

一方のKDDIにとっても、現行の協定を締結した2018年頃よりもデータ利用量が増え・減価償却が進んでネットワーク費用は下がっているはずなので、料金を下げて利用を拡大する方が賢明と言える。 auではn28で5Gを整備するに従い、楽天に貸している 4G Band 18/26 には余裕が出てくるだろうから、幾らか安くしてでも他社(楽天)に貸せばKDDIにとっても追加収入になるし、国民の共有財産である電波の有効活用にも適う。

単に楽天が設備投資負担に耐えかねて音を上げたというよりも、双方の利益に適うことから新協定が調ったのだろう。

ただ、一見するとプラチナバンドの割り当てを強硬に求めてきた同社の従来の態度とは矛盾して映る。同社にはプラチナバンドさえあれば容易にエリアが広がるかのような幻想もあったように見受けられるが、プラチナバンドの割り当てが具体化しつつある今の段階になって実際には費用負担が重いことにようやく気づいたのか、またはプラチナバンドを早期に獲得するためのブラフだったのかもしれない。

実際、プラチナバンドの割り当てを受けても、プラチナバンド用の設備を追加で整備しないことにはエリアの改善はできない。いくら「仮想化」しようが、電波を飛ばす設備を現地に建てる費用が極端に安くなることはない。インフラシェアリングも新設するよりは安く済むというだけで、相応の整備・維持費用が追加でかかることになる

前述の通り、楽天は強硬にプラチナバンドの割り当てを求めてきて、新たな割り当てに向けた制度整備が進んでいるのだが、熱望してきたはずのプラチナバンドの割り当てを目前にして楽天が具体的に設備を増強している様子は見られず、むしろ楽天回線が整備されないままパートナー回線が切られて完全圏外になるエリアすら増えているありさまだ。

かつてのソフトバンクのようにプラチナバンドを受けていっきに整備するつもりであれば、それを想定して楽天回線の設備を積極的に展開しておくのが現実的だが楽天ではそうした準備をしている様子が見られない。 近頃よく指摘される財務基盤の脆弱化など、背景はいろいろあるのだろうが、プラチナバンドが割り当てられてもすぐにエリア改善できる状況にないことは、財務状況を見るまでもなく、現在の電波状況を見て察することができる。

もちろん自社網で全国エリアカバーできるのが理想だが、必ずしも現実的とは限らない。コストカット優先でパートナー回線が切られることで楽天回線エリアの穴が拡大している現状は、ユーザーにとっても望ましいものではない。今回の新協定は、楽天にとってもKDDIにとってもユーザーにとっても「三方よし」の判断になりそうに思う。

⇒こう書いた翌日に、早速答え合わせがあった(^^;。

少し話が逸れるが、一点だけ気がかりなのは、楽天は仮にプラチナバンドの割り当てを受けたとして、4Gで整備するのだろうか?若干変則的にはなるが、これから整備するなら5Gで整備する方が賢明なのではと思う。楽天回線のプラチナバンドは5Gで整備し、変則的だがしばらくは 4G Band 3 + 5G n28 で運用し、既存の 4G Band 3 エリアも早期に5Gへの転換を始め、しばらく残る4G端末はローミングで賄う(ためにローミングエリアを拡大する)という判断が含まれているとしたら、慧眼だと思うのだが

なお、今回のローミング協定の更新に伴い、これまでに切られたパートナー回線エリアが再開するかは不明。少なくとも、「Rakuten最強プラン」開始後の2023年6月上旬時点では、「2022年10月以降」のエリアから変わっていない

従来の協定では2026年 3月末までを期限としていた。また、ローミング提供期間のさらなる延長については両社協議の上決定すると注記されている。
契約内容の話については、お互い、細かい話を言うのやめようね、となっている」そうだが、大幅なディスカウントはしていないものの、「設備投資よりもローミングのほうが優位だ」と思えるくらいには値下がりしていそうだ。
例えばドコモの基地局鉄塔は大部分がインフラシェアリングの対象になっているので借りることはできるし、同様の物を別途整備するよりは借りる方が安上がりだろうが、当然ながら借りれば当該鉄塔の維持管理費をドコモ(や他の利用者)と割り勘で負担することになる。関連して、ソフトバンクは必ずしもインフラシェアリングの方が割安になるわけではないとの見方も披露している。例えばこういう事例だろうか。山奥の駅前だが、ドコモは(高コストな)鉄塔を建てて遠くまで電波を飛ばしているのに対し、auとソフトバンクは比較的安価なコン柱を駅前に建てて駅付近のみをピンポイントでエリア化している。だからと言ってドコモが優位かといえばそうでもなく、auは駅から少し離れた山奥の温泉宿にも中継局を建ててカバーしており、実用面ではauの方が広い。
開設計画を提出して審査を受けてから割り当てが決まり、免許を受けた後は計画以上の整備をする必要がある。審査基準は帯域(電波特性)によっても異なるが、今回のはプラチナバンドなので、従来同様なら人口カバー率もとに年限を区切った計画を提出して達成してゆく必要があるので、もしプラチナバンドの割り当てを受ければ、遅かれ早かれ全国カバーするだけの設備投資自体は必要になる。とりわけ楽天では既存の設備に「ソフトアップグレードと、必要であれば高くないアンテナを付ければカバーできる」と考えているようなので、尚のこと、人の流動があって他社が全てエリア構築している場所で楽天だけパートナー回線を切られて完全圏外になるエリアが増えている状況は理解し難い。
「楽天は同じ設備で5Gにも対応できる」といった理屈をこねる向きが出てきそうだが、今から4Gで整備を始めてしまうと、4Gから5Gへの移行がまた負担になるということだ。2023年秋以降に割り当てが決まると言われるプラチナバンドで、2023年末から数年かけて全国エリアを作ることを想定するなら、できた頃には他社は 5G SA に切り替わっている頃合いだろうから、最初から5Gで整備しておく方が賢明だろう。整備済みのauの4Gプラチナバンドを安く借りられるのならば、後からまた移行費用を払うよりもローミングを使う方がコスパも良いかもしれない。
ただし、この場合は 4G Band 3 がアンカーバンドになるので、プラチナバンド (5G n28) が届いても 4G Band 3 が届かない場所では圏外となる。とはいえ、Band 3 が多少通信できる程度に届く場所であれば n28 でバックアップできるので、ビル奥などでの使用感の改善につながる。もっとも、楽天回線は「使い放題」を売りにしているし、あまりプラチナバンドに頼りすぎるとドコモのようになりかねないので、メインバンド (Band 3) をぎりぎりまで拡げていく努力は今まで以上に必要になる。
また、東名阪以外では 5G SA n3 + n28 も可能。この場合はSA対応端末が必要になるが、2023年現在でも海外を中心にSA対応端末が増えつつあるし、国内でもXperiaAQUOSなどのAndroid勢に加えて iPhone 14 シリーズも対応し始めたので、2024年頃になれば対応端末も増えてくるように思う。
その後、KDDIの決算発表後の質疑応答で、「今回の決算では、ギリギリのタイミングだったため、来年度の業績に新たなローミング契約は含まれていません。ローミング収入の減少はもう少しゆるやかになるでしょうから、追ってお話したいです。」という話があったようだ。当の楽天も、2023年2月時点では「KDDIからのローミングによるパートナー回線の使用量が全体の4%ほどあるという。これを12月までに減らしていくことでローミング費用を削減し、コスト削減につなげる。」と述べていたので、きっと土壇場の3~4月に決まった話なのだろう。もっと前もって進めていた話ならば5Gへの移行を促進するための戦略的な判断という見方もできたと思うが、土壇場で急ごしらえしたという見え方になると、苦肉の策という見方に傾くのが自然だろうか。
ただし、エリアマップに表れない地下鉄の一部区間ではパートナーエリアの変動がある

Rakuten最強プラン

エリアマップではこれまで楽天回線エリアとパートナー回線エリアが色分けされていたが、2023年6月より統合され、楽天回線エリアが一見して判らなくなってしまった

5月11日20時に予告され、翌12日の昼頃に発表記者向けの質疑応答が行われた。

既存の「Rakuten UN-LIMIT VII」契約は、2023年 6月 1日より自動的に「Rakuten最強プラン」に切り替わる。料金は変わらず、上限3,278円の3段階。シンプルな1プランであることも引き継がれている。今回プラン名から「UN-LIMIT」が消えたが、引き続き上限料金でデータ通信が無制限に使える。

大きな変更点は、楽天回線に加えて国内パートナー回線(auローミング)も使い放題になる前回と違って既存ユーザーに改悪となる条件は見当たらず、既存ユーザーには改善と捉えていいだろう。

また、他社では店頭契約事務手数料の値上げが相次いでいるが、楽天では事務手数料無料を継続する。他にも5月下旬頃よりMNPワンストップ化を開始し、6月末頃よりワンクリック申し込みに対応すると発表された。 ⇒2023年 7月 3日より「Rakuten最強プラン(データタイプ)」受付開始

発表から適用まで間がないが、今回は改悪条件は無いので、移行期間は不要との判断だろう。

なお、2023年 6月からは国内パートナー回線(auローミング)を使い放題にしても、楽天にとって「追加的な財務負担というものは基本的にはないそうだ。詳細は非公表ながら、KDDIとのローミング協定の更新に伴い、au回線を借りるローミング費用の軽減(または従量料金を減らして定額料金寄りに移行した?)が実現することになったのだろう。

2023年5月までは、今掴んでいる電波が楽天回線なのかパートナー回線なのかを「my 楽天モバイル」アプリで確認できた

併せて、これまで縮小されてきたパートナー回線エリアが一転して拡大されることも発表されている。ただし2023年6月初旬時点ではパートナー回線エリアは拡大していない(地下鉄の一部区間を除く)。今後パートナー回線が停波済みのエリアで復活するかは今のところ不明。

一方、これまで同社のエリアマップでは楽天回線エリアとパートナー回線エリアが色分けされていたが、2023年6月より色分けが無くなり、楽天回線エリアが全く判らなくなってしまった

さらに、「my 楽天モバイル」アプリの楽天回線/パートナー回線の表示(右図)も削除されてしまった

料金の差がなくなったとはいえ、楽天回線エリアとパートナー回線エリアでは使い勝手も対応端末も違うだけに、情報提供をやめてしまうのは残念だ。同社が掲げる民主化」にも反する措置だと思う。

AndroidではNetMonitorNetwork Cell Info Liteなどのアプリを使って判別することはできるが、周波数帯で表示される(設定変更によりバンド名表示もできる)ので玄人向き。iPhoneだと「*3001#12345#*」に通話発信して「Serving Cell Info」を都度開くしかなく非常に面倒。

エリア対策が急務

楽天モバイルを解約する理由の2/3近く(65.9%)が通信品質とエリアだそうだ(2023年 5月12日 2023年度第1四半期決算説明会資料より)

一部地域を除き、楽天回線はエリアに難がある電波状態の良い一部地域に生活圏がある人には実感が伴わなかったようだが、筆者はパートナー回線を真っ先に切られたことで早々に実体験したし、周囲でもそうした声が少なからず聞かれた。同様の経験をした人が少なくなかったのだろう。

実際、5月12日夕方の決算発表では、楽天モバイルを解約する理由の2/3近くが通信品質とエリアだと説明された(右図)。

楽天モバイルの解約率(左図、2022年 1月~2023年 4月)直近の解約率が3%ほど(2023年 5月12日 2023年度第1四半期決算説明会資料より)

完全に圏外にならなくても電波状態が悪くなると通信品質が落ちるので、エリアと通信品質は密接に絡んでいる。解決方法は楽天回線の基地局を増やして混雑等に応じ最適に配置してゆくしかないが、基地局整備には費用と時間がかかる。そのつなぎとしてパートナー回線を最大限利用することにしたのだろう。

MNO他社の解約率は概ね1%以下だが、楽天モバイルの解約率は0円廃止の影響を脱した2023年4月でも他社の3倍の3%もあるようだ(右図)。 ここから、解約理由の2/3を占める通信品質とエリアの改善が急務と考えたのだろう。

また、地下鉄の混雑が酷いことも理由に挙げられていた。地下鉄エリアは最初からインフラシェアリングになっているが、一般に地下鉄は携帯電話よりも古いインフラが多いので、設置場所に余裕がなくて増強が難しい面もあるのだろう。

地下鉄では楽天回線5MHz幅しか提供されておらず、電波は入るが混雑が酷くて使い物にならない(2023年 4月の平日午前11時台の閑散時間帯に計測)

実際、楽天モバイル開始後の2023年に新規開業した相鉄東急新横浜線では楽天回線も比較的余裕をもって使えるのだが、他の地下鉄エリアは総じて酷い。 例えば楽天本社がある二子玉川駅から都心へ向かう東急田園都市線(地下区間は1977年開業)などでは楽天回線が5MHz幅でしか提供されておらず、閑散時間帯でも楽天は使い物にならない(右図)。

ただでさえ地下鉄は多くの人が利用するのに、帯域は地上の1/4の5MHz幅しかなく、しかも漏洩同軸ケーブルなどを使って数kmにわたって引き回すから、1つの基地局に多くのユーザーが接続し地下鉄エリアでは終日混雑してほぼ使い物にならないわけだ。 #地下鉄でのパートナー回線の使い心地も参照

2023年 6月16日にSMSで配信された「楽モバニュース」。リンク先はエリア。今後、通信エリアの拡大や各種特典などが届くそうだ。思えば楽天では意外とこういうDM無かったな。競合のワイモバイルからはけっこう頻繁に届くのに…

他社は格段にユーザー数が多いが、帯域が広く、他のバンドも提供していてCAで使えるので比較的余裕があることから、地下鉄はauのプラチナバンドを借りることで補えると考えたのだろう。

筆者は散々体験しているが、こうしたことも普段の生活圏で地下鉄に乗る機会がない人にはわからないだろうから、実感が伴わない人もいたようだ。

これまで楽天モバイルはKDDI(パートナー回線)への支払いを嫌って楽天回線エリアの拡大を優先してきた。一定の成果はあって、人口カバー率2022年10月末時点で98%に到達し2023年度には4G基地局を6万局超に拡大、人口カバー率99%以上を目指して整備する計画だった。しかし予てソフトバンクの宮内前社長が「人口カバー率96%→99%は兆単位のコストかかる」と指摘していたように、エリア整備はまだ途上で、今後も巨額の設備投資を続けていかねばならない。財務基盤が脆弱化している同社には設備投資を続けることが難しい局面に入っていたのだろう。

今回の新料金は、楽天回線エリアのこうした課題をauローミングで一挙に(ただし同社の財務負担を先送りしながら一時的に)解決したことが売りなのでエリアの改善が殊更強調されていた。(他力本願ではあるが)au回線も使い放題にして「業界最高水準 人口カバー率99.9%」を前面に掲げてアピールし始めた。 (他社の)全国エリアが使えて、データ通信無制限プランの中では月額料金が安いことと合わせて「最強」とアピールされているわけだ。

都心部の一部区間では20MHz幅に拡張されている。
一般に地下鉄は人口密集地に造られるから、1両あたり座席定員40~60名の車両が6~10両編成で走っている。都市部の電車は座席が埋まる(立ち客がいない)程度だと空いていると感じるが、座席が埋まっていれば1編成あたり300~600人ほど乗っているわけで、楽天モバイルのシェア2.2%で換算して1編成に7~13人の楽天モバイルユーザーがいる。これが3~10分間隔で走っているのだから、5MHz幅しかない基地局に数百人ものユーザーがつながる恰好になり、閑散時間帯でも楽天の基地局は混んでいるわけだ。せめてUQなどのように駅にも別途基地局を設置すれば分散されて多少緩和すると思うのだが、筆者が試した範囲では、駅に停車中でも同じ基地局につながったままで、混雑が緩和することはまずない。
ただし、KDDI側に「ローミングが終了したエリアが復活することはあるのか」と質問したところ、6月の時点ではおそらくない」「今後の協議において、そういった部分が出てくる可能性もないとは言えないとの回答を得たそうだ。断片的な情報が小出しに出てくるので非常にわかりにくいが、今回は「東京23区・名古屋市・大阪市の一部繁華街エリア」が追加されるくらいだろうか(地下鉄・地下街等も追加されるという話だったが)。ひとまず6月1日にパートナーエリア地図が更新されるそうだ。⇒6月1日現在、ページは更新されたが、縮小中の都道府県名が削除されたのみで、エリアマップはまだ更新されていない。「※ローミングサービスの提供エリアの変更が決まり次第、順次更新します。」とされている。

期間限定のパートナー回線頼み

auローミングを最大限活用して顧客獲得・つなぎ留めながら、楽天回線の整備を進める(2023年 5月12日 2023年度第1四半期決算説明会資料より)

これにより、楽天は莫大な資金がかかる設備投資を先延ばしにでき、KDDIはローミング(貸出)料金収入を得られ、ユーザーはauの広いエリアで使えるようになる…こんな「三方よし」に見える枠組みではあるが、今回の「最強」は、いくつかの条件が重なった期間限定のものでもある。

まず予備知識として、インフラ事業では新規参入事業者によるクリームスキミングが問題になりやすいことを念頭に置く必要がある。例えば公共交通では中心市街地の儲かる所にだけへの新規参入を認めてしまうと、儲からない郊外路線を支えられなくなる既存事業者の縮退等を促し、儲からないエリアでのサービス悪化につながる追加の補助金等を要する、郊外部での外出機会が失われる→引きこもりの増加や自家用乗用車への転換等による様々な害悪が連鎖的に引き起こされることになり、部分的に料金が安くなっても全体で見ると社会的費用を増大させることになりかねない(これを市場の失敗という)

今だけ、自分だけ、この地域だけ安ければいいという考え方は、部分最適にはなっても、全体最適にはならず、公共政策には馴染まない(「三方よし」にならない)。携帯電話は公共の電波を使うインフラ事業だから、公共政策に馴染まないサービスは受け入れられないのだ。

楽天もMNO参入当初は並行してMVNOを買収するなどしており、こうした動きを警戒する既存事業者と一悶着あったが、これもおそらくクリームスキミングを警戒してのことだろう。

新規事業者(楽天)が大都市等の儲かる所にだけ自社網を構築し、儲からないルーラルエリアは他社網を借りて安価に参入されると、儲からないルーラルエリアを支えている事業者が不利益を被ることから撤退等を招きかねない。ましてや総務省が支援して政策的に料金が抑えられているMVNOの仕組みを使って原価に近い料金で借りられては堪らないという思いもあったのだろう。

そこで楽天の参入に際し、プラチナバンドを貸したKDDIは(MVNOに貸し出すよりも)高額なローミング費用を設定したとされているし、期間等の条件を付けて貸し出された。これが、儲からないルーラルエリアにも楽天回線を整備する動機付けになっていた。今回ローミング協定が更新された背景には、楽天がある程度まで自社エリアの整備を頑張ったことで他社の警戒心を解いた面もあったのだろう。

今回更新された新協定では、詳細は秘匿されているものの、KDDIのプラチナバンドを借りる費用が、あの三木谷氏が「ご英断を、KDDIにいただいた」との感想を述べるくらいには安くなったようだ。少なくとも自社でエリア構築するよりは安価になったのだろう。これはミクロ(部分最適)で見るとユーザーには嬉しいことだが、もう少し広く見ると、クリームスキミングを招きかねないのでは、楽天回線のエリア構築が後手に回るのでは、といった心配にもつながる。

新ローミング契約による業績影響(2023年 5月12日 2023年度第1四半期決算説明会資料より)

実際、三木谷氏は「すべての回線を自社で建設する必要はないとの考えに変わりつつある」「新しいローミング協定により、可及的速やかにネットワークを構築する必要はなくなったと考えている。既に着手している分は進める」と述べていたようだし、設備投資額を2023年度は3000億円→2000億円に削減し、2024~2025年度も設備投資を抑制する方針が示されていた(右図)。急ピッチで進められてきた楽天回線の整備は、ここにきて一段落となりそうだ。

とはいえ、今回の枠組みに限って言えば、数年程度の先送りはできても、そう長くは続けられない(から、数年内には楽天回線の積極的な整備を再開する必要がある)だろうと思う。

まず、KDDIが楽天に貸し出すのは4Gのプラチナバンド (4G Band 18/26) に限られる。MNO各社は5Gに投資し、4Gから5Gへの移行を促しているところなので、4Gは徐々に空いていくことになるから、長年キャリア事業を手掛けてきたKDDIには楽天に貸すくらいの余裕はあるのだろう。

しかし、プラチナバンドはビル奥や山間部などで比較的電波が届きやすいとされる反面、流せるデータ量は少ない。楽天モバイルを使う人は「無制限」を期待するだろうが、プラチナバンド頼みのエリア展開では快適な通信は期待しづらい。料金的にはパートナー回線も「無制限」にはなるものの、パートナー回線は混雑に弱く(今でも地下鉄で体験できる)、大量のトラフィックを捌くには向かない。ユーザー体験としては楽天回線メインバンド (4G Band 3, 5G n77) を快適に使えてこその「無制限」だろう。ユーザーが増えれば尚のこと混雑するようになるので、混雑が慢性化すればARPUの高いヘビーユーザーが流出する事態にもなりかねず、基地局整備をいつまでも先送りできるわけではない。

また、新しいローミング協定は2026年 9月までとされている。一応両社協議の上で延長もできることになってはいるが、パートナー回線は次第に使いづらいものになっていくはずだ

そして、基地局整備にかかる費用は単なるコストではなく設備投資であり、自社の資産として残るもの。対して、パートナー回線への支払いは単なるコストで、賃借費として他社グループへ流出するものなので、等価ではない。借りることを前提としたビジネスモデルであるMVNOなら単純に【売上-仕入れ=利益】でいいのだが、MNOはインフラを持ってこそのビジネスなので、そう単純にはいかず、いずれ必要になる設備投資を先送りしているに過ぎない

楽天が想定する「プラチナバンドの割当スケジュール」(2023年 5月12日 2023年度第1四半期決算説明会資料より)

もし2023年秋に楽天にもプラチナバンドが割り当てられれば、2026年秋頃までの3年間で楽天は自社で資金調達してルーラルエリアに自社網を張り巡らせ、遠くないうちに自社網に完全移行することになるだろうから、それができるまでの期間限定の「最強プランとなるだろう

今はまだ454万回線くらいしかなくて空いている楽天回線も、ユーザーを増やせば混んでくる。プラチナバンド頼みではドコモの二の舞になりかねない。いつまで「最強」でいられるかは、楽天回線の整備次第となる。

楽天回線の立ち上げが遅れた当初は度々「落胆モバイル」と皮肉られていたが、それから3年以上経って再びユーザーを落胆させることのないよう、楽天回線の整備を進めてほしいと思う。

ちなみに、件の岡山市の事例では協議を経て最悪の事態は回避された。
余談だが、日本では旧国鉄の安易な分割民営化や、「規制緩和」の名の下で公共交通事業者に安易な参入・退出を認めた(要件を満たした申請があると問題があっても基礎自治体では拒否し難い仕組みになった)失政のツケが地域に回る構図となったことから、諸外国では安易な分割民営化ではなく上下分離を行う、交通サービスの計画立案・実施をする権限と責務を基礎自治体に持たせる等の施策により、市場の失敗を回避する政策が採られるようになっている。
KDDIは楽天に貸している800MHz帯 (4G Band 18/26) を3G→4G→5Gと切り替えながら使ってきた。まだ3Gを2022年 3月までで終了したばかりなので、4Gがすぐに終わることは無いにしても、段階的に4Gから5Gへと転用(KDDIでは「NR化」と呼んでいる)してゆくので、楽天に貸している 4G Band 18/26 は次第に狭くなると予想され、楽天回線の整備を先延ばしにすればユーザー体験の悪化につながりやすくなるだろう。
同社もずっと借りようと思っているわけではなく、楽観的すぎた当初の想定よりも設備投資が嵩んで資金繰りが悪化している状況で、想定外の高い金利を払ってまで設備投資を続けるよりは、一時的に他社の完成した設備を借りることで先に売上(ユーザー)を増やす方が得策という判断だろうから、借りることが悪いという話ではない。
もっとも、これまでの「Rakuten UN-LIMIT」は2020年 4月の正式サービス開始から2022年 7月までに3回も改定されてきたし、直近の「Rakuten UN-LIMIT VII」も2022年 7月の開始から1年足らずで改定されることを考えれば、今回の「最強プラン」もそう遠くないうちにまた改定されるのかもしれないが。

ワンクリック申し込み

「ワンクリック申し込み」の概念図(2023年 5月12日 2023年度第1四半期決算説明会資料より)

もうひとつ、2023年 5月12日昼の新プラン発表会でしれっと発表された「ワンクリック申し込み」が、あまりに画期的で驚いた。

携帯電話の手続き体験は各社とも複雑怪奇で面倒が多いが、楽天はここに目を付け、すでに機種変更(SIMカード・eSIMの再発行)手続きが他社よりも容易になっている。 さらに新規契約手続きも、抜本的に改善するつもりのようだ。

しかし課題もある。最大の障害は警察がしつっこく求めている本人確認だが、それがあって楽天では6月頃にデータプランを新設するつもりのようで、同日夕方の決算発表会で語られていたようだ。料金は音声プランと共通で、データプランは“お試し”用に提供するという。

ただし、警察庁はデータSIMでも本人確認を義務化する規制強化を検討中とも言われており、もしそうなると本人確認を含めたワンクリック契約が困難になることも考えられる。

一方で三木谷氏は「楽天カードや楽天銀行、楽天証券など、すでに本人確認ができているものが多いわけです。よって、これらを流用させていただくということで調整ができています。」と答えたようだ。

他社では契約後のeSIM再発行などの際にもしつっこく本人確認をしている状況で、楽天だけそんなこと(新規契約時に本人確認を省く)ができれば画期的だと思うが、実際に出来るのだろうか

(追記) 2023年 7月 3日より「Rakuten最強プラン(データタイプ)」が始まった。まだ音声通話はできないが、楽天カードの契約者限定で、本人確認を省いて契約できるようになった。楽天ペイアプリ、楽天市場アプリ、楽天カードアプリ限定で、順次提供される。

筆者の手元ではまだ使えるようになっていないが、メディア関係者向けに公開された手順を見ると、3タップくらいになっている(苦笑)。

楽天IDに紐づいて契約者情報が予め入力されているといった使い勝手は従来より提供されているが、本人確認はけっこう手間なので、これを省けるだけでもだいぶ楽になるだろう。

正直、警察の過剰な規制にうんざりしている所もあるので、楽天にはぜひ風穴を開けてほしいという思いはあるが、同時に楽天IDの不正利用対策も強化する必要があるだろうか。

地下鉄でのパートナー回線の使い心地

先述の通り、東京の地下鉄では2021年2月より順次楽天回線が整備され、2022年夏頃までに概ねエリア化された。ところが、楽天回線が整備されて以降、むしろ混雑が酷くて使い物にならない状況になっている。

その対策として2023年 6月以降、一旦楽天回線化された東京の地下鉄でも再びパートナー回線が提供されることになった。

では、再び脚光を浴びることになったパートナー回線の使い心地はどうなるのだろうか。プラチナバンドの10MHz幅で、楽天ユーザーのトラフィックを捌けるのだろうか。そのヒントがすでにある。

東京の地下鉄では混雑の激しい一部区間・時間帯に、パートナー回線が再び提供されるようになった(2023年5月)

あまり知られていないが、混雑の激しい一部の路線では、2023年 5月時点ですでにパートナー回線が再提供されていて、パートナー回線の使い心地を先行体験(?)できるようになっている。

右図がその例で、平日夜19時台の通勤(帰り)ラッシュ時間帯に計測したもの。

楽天回線 (L3) がほぼ使い物にならない(1つめ)のに対し、パートナー回線 (L18) に切り替わると多少データが流れるようになる(2つめ)。しかし乗客がさらに増えてパートナー回線も混み合い使いにくくなる(3つめ)。

このとき、乗客の多くがパートナー回線を掴んでいるようで、実は楽天回線の方が空いていることがある。端末の機内モードをON/OFFして再接続すると再び楽天回線を掴むようになり、パートナー回線よりも若干空いている(4つめ)。

このように、パートナー回線が提供されても東京の地下鉄のラッシュ時には焼け石に水になりそうだが、楽天回線のみでは閑散時間帯でも使い物にならないので、パートナー回線が加われば今よりはマシになりそうだ。

先の会見でも触れられていたようだが、今は楽天回線からパートナー回線に切り替わると、再び楽天回線に戻りにくいため、パートナー回線が提供されるとそちらに集中して混んでしまう。

この地下鉄エリアでは試行錯誤が続いているようで、楽天回線とパートナー回線の提供状況は時々刻々と変化している。パートナー回線を併用することで閑散時間帯の混雑はだいぶ緩和されたが、朝夜の混雑する時間帯については使いづらい状況が続いている。

6月以降、網側で工夫してパートナー回線から楽天回線に戻りやすくなるそうなので、その時にはまた使い勝手が変わるだろうが、ユーザーが楽天回線とパートナー回線を選べるわけではないので、どちらかに混雑が偏ってしまうと負荷分散できないおそれがある。

パートナー回線が再び使えるようになったことで多少は緩和されたものの、2023年6月以降も地下鉄エリアでは非常に激しい混雑が続いている

右図は2023年6月初旬の平日夜(帰宅する人で混雑する時間帯)に試した様子だが、これでもマシにはなっているものの、楽天モバイルは非常に使いづらい。他社はCAで補っているが、楽天回線とパートナー回線ではCAが使えないので、どちらかに混雑が集中してしまうのは避けられないのだろう。

この対策としては、楽天回線とパートナー回線で Dual Connectivity を組めるようになれば改善すると思われるが、難しいだろう

技術的な協力によって解消されるとは言っていたが、詳しい情報は出てきていないので、実際どうなるかは6月以降の使い勝手を実地で見る必要がありそうだ。

もっとも、これは東京の地下鉄など極端に混む場所に限った話。ルーラルエリアと呼ばれる山間地などでは混雑の心配は無用だろう(むしろ電波の入り具合に大きく左右される)。また、大都市の繁華街(地上)ではパートナー回線は提供されない。それ以外のビル奥などについては、電波の届き具合やその地域のユーザー分布によるので、実際に使ってみないと分からない。

一部端末に備わっているバンド毎にON/OFFする特殊な機能を使えば選べないこともないが、現実的ではないだろう。
同じキャリアの複数帯域を束ねて通信する Carrier Aggregation (CA) はバックホールの遅延等要件が厳しいが、遅延の大きなバックホールを採用している地域も多いことから、要件を緩和した Dual Connectivity (DC) 仕様が、2015年3月の LTE-Advanced Release 12 で標準化されたそうだ。5G NSA (5G+4G) でもDCを拡張した EN-DC(E-UTRA New Radio Dual Connectivity、E-UTRA (Evolved Universal Terrestrial Radio Access) はLTEを、New Radio は5Gを指す)が使われている。ただし基地局同士をX2接続する必要があるため、異なる会社間でのDCは難しいのではと思う。
NTT DOCOMO テクニカル・ジャーナル VOL.23 NO.2LTE-Advanced Release 12 標準化技術概要

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