Grandstream HT701

提供:きまぐれ手記 Kimagurenote
移動先: 案内検索
当サイトではアフィリエイト広告を掲載しています
この記事は、最終更新日よりおよそ 8 年 1 ヶ月経過しています。 公式サイトなどで最新情報を確認してください。(最終更新:2016年6月)
本体は小型軽量。電源と通信の状態を示す4つのLEDが付いている。付属のACアダプタはもちろん日本仕様。Amazonで約4400円で購入したもの。
付属品一式。LANケーブルはCAT5e。

Grandstream HandyTone 701 (HT701) を導入した際の備忘録。

050plusを固定電話で使いたいと相談を受けてVoIPアダプタ (ATA) を探していたので、実績[1][2]がありそうで、小型で安価な本機を導入した。Amazonで約4400円

定番の FUSION IP-Phone SMART はもちろん収容できるが、050plus はTLS接続が必要なので、VoIP対応機器でも使える機種が限られる。さらにナンバーディスプレイにも対応となると以前ならハードルが高かったが、それがこんな小さな筐体に収まって5千円程度で買えるのだから、良い時代になったものだと思う。

メーカーの説明書も(英語だが)この種の機器にしてはまともな方。とはいえ、これだけでは情報不足だが、検索すれば事例が豊富に出てくるのもありがたい。

ただし相性が出る場合があるようなので、導入時は注意されたい。 また、FUSIONはともかく、050plusのこうした利用方法はサポート外なので、突然仕様が変わって使えなくなっても文句を言わないこと。

同社製 HT702(2回線収容)、HT704(4回線収容)と設定方法は同じで良さそう。ファームウェアバージョンは 1.0.8.2 (購入時点で最新)が入っていたが、古い場合は最初に更新しておくと良い。

用意するもの

  • Grandstream HT701 本体
  • アナログ電話機(モジュラーケーブル接続、トーン信号対応で、日本の回線に対応した物)
  • モジュラーケーブル(電話機に付属、または市販の RJ11 6極2芯のもの)
  • インターネット回線(有線LAN 100BASE-TX DHCP対応。ケーブルは本機に付属)
  • 電源(本機付属のACアダプタ使用)
  • 設定用パソコン(同じLANにつながっているもので、Web画面での設定とPDFマニュアルのダウンロード・閲覧に使えれば良い)
  • 英語マニュアル(PDF)
    本機にはACアダプタとLANケーブルが付属するが、説明書は付属しない(GPLを印刷した紙片が付属するのみ)。説明書はメーカーホームページからダウンロードしておく。
  • 契約しているIP電話サービスの SIPサーバ名とID・パスワード(050plusの例はこちら

初期設定

  1. 本機と電話機をモジュラーケーブルでつなぐ。
  2. 本機とインターネット回線(ルーターなど)をLANケーブルでつなぐ。
  3. 本機と電話機(必要ならば)を電源につなぐ。
  4. 電話機をトーン発信に切り替える。
  5. 30秒ほど待つ。(本機のLEDが点滅から点灯に変わり落ち着くまで。)
  6. 受話器を取り、「***」(*を3回)押すと、英語で何か言っているのが聞こえてくる。
  7. 02」を押すと、IPアドレスを英語で読み上げてくる。「ワン、ナイン、ツー、ドット、ワン、シックス、エイト、ドット、…」という感じ。これを書き取る。
  8. IPアドレスが 0.0.0.0 の場合は、IPアドレスの割り当てが出来ていない。接続後間もない場合は30秒ほど待ってみる。DHCPを使っていない場合は手動で設定する。IPアドレスの設定方法は、Static IP Mode に切り替え、IPアドレスとサブネットマスクを設定し、本機の電源再投入。操作方法は英語マニュアル(PDF)の「BASIC OPERATIONS」章にある通り。
  9. 上記IPアドレスをWebブラウザで開く⇒ http://(IPアドレス) 初期パスワードは admin
  10. Software Version を確認。Program のバージョン番号が最新ファームウェアになっているか。古い場合は ADVANCED SETTINGS の Upload firmware で更新する。
  11. BASIC SETTINGS タブを開き、Time Zone を GMT+09:00 (Japan) にして「Apply」。
  12. ADVANCED SETTINGS タブを開き、下記の設定を行って「Apply」。
  13. FXS PORT タブを開き、下記の設定を行って「Apply」。その後もう一度タブを開いて「Reboot」。
  14. 30秒ほど待って再起動したら、受話器を取って117などに発信してみる(通話料がかかる)。
  15. 発信ができたら、オンフックボタン(受話器を置くと押されるボタン)をゆっくり押して離し、回線断を確認する。
    回線断しない場合は、FXS PORTEnable Hook FlashNo になっていることを確認してから、On Hook Timing の値を調整。
  16. 着信を確認。他の電話から発信し、着信音が鳴るか、ナンバーディスプレイが動作するか(電話機が対応している場合)、通話ができるか(通話料がかかる)。

ADVANCED SETTINGS

Admin Password
管理画面に入る際のパスワード。初期値は admin だが、侵入者による不正利用を防ぐため、変更を推奨。どちらの入力を求められているのか区別がつきにくいので、BASIC SETTINGS の End User Password と同じにしておく方が良いかもしれない。
System Ring Cadence
呼出音の有音/無音の間隔をミリ秒で指定。⇒ c=1000/2000;
Call Progress Tones - Dial Tone
受話器を取った時の「ツー」音。⇒ f1=400@-19,c=0/0;
Call Progress Tones - Ringback Tone
相手を呼び出し中の「プルルルルル、…」音。⇒ f1=400@-19,f2=384@-20,c=1000/2000;
Call Progress Tones - Busy Tone
相手が話中の「プー、プー、」音。⇒ f1=400@-19,c=500/500;
Call Progress Tones - Reorder Tone
網側の輻輳などを知らせる音。日本では話中音と同じ。⇒ f1=400@-19,c=500/500;
NTP Server
ntp.jst.mfeed.ad.jp

FXS PORT

050plus の場合

Primary SIP Server
050plusのサーバから取得した tranGwAd の値
Outbound Proxy
(空欄にしておく)
SIP Transport
TLS
NAT Traversal
Keep-Alive
SIP User ID
050plusのサーバから取得した nicNm の値
Authenticate ID
050plusのサーバから取得した sipID の値
Authenticate Password
050plusのサーバから取得した sipPwd の値
Preferred Vocoder
PCMU, G729 に対応

FUSION IP-Phone SMART の場合

マイページの「ユーザアカウント情報表示」にて、必要な情報が得られる

Primary SIP Server
smart.0038.net
Outbound Proxy
(空欄にしておく)
SIP Transport
UDP
NAT Traversal
Keep-Alive
SIP User ID
「SIPアカウント」の値
Authenticate ID
「SIPアカウント」の値
Authenticate Password
「SIPアカウントパスワード」の値
Preferred Vocoder
PCMU, iLBC に対応[3]

共通

Account Active
Yes
SIP Registration
Yes
Unregister On Reboot
Yes
Outgoing Call without Registration
Yes
Register Expiration
筆者は 5(分)にしたが、発信不能などの不具合がある場合は 1 などの小さめの値にしてみる。
Preferred DTMF method - Priority 1
In-audio
Disable Call-Waiting
Yes (キャッチホン機能には対応していないので無効にする)
SUBSCRIBE for MWI
Yes, send periodical SUBSCRIBE for Message Waiting Indication
Anonymous Call Rejection
非通知着信を拒否する場合は Yes にする
Preferred Vocoder
筆者は choice 1~4 を PCMU に、choice 5~6 を G729 にした。
PCMU = G.711 μ-law、G729 = G.729、iLBC = Internet Low Bitrate Codec
光回線など安定した回線では PCMU が良音質でお勧め。無線など不安定な回線を使っていて切れやすい場合は G729(FUSIONではiLBC)を優先にすると良いかもしれない。
SLIC Setting
JAPAN CO (Subscriber Line Interface Circuit、つまり接続する電話機の方式)
Caller ID Scheme
NTT Japan (ナンバーディスプレイの方式)
Enable Hook Flash
No
Hook Flash Timing
キャッチホンを使う場合は Hook Flash を有効にするが、そのときに minimumミリ秒以上でキャッチ操作、maximumミリ秒以上で回線断と判断される。
Gain
筆者が試した範囲では、接続機器により、TX +4db, RX 0db~-6db にした。実際に使う電話機で、音声の聞き取り具合等により調整。高いと音割れの原因になり、低いと相手に声が聞こえづらい、トーン信号を使うIVRサービスが利用できないといった不具合の原因になる。
Enable High Ring Power
電話機の着信音が鳴らない時は Yes にして試してみると良いかも。
左のフォームを送信すると、SIP接続に必要な値がXML形式で返る

050plus の SIP用ID・パスワードを取得する

050plus では標準的なVoIP規格を使ってインターネット通話を実現しているが、専用アプリで使うことを前提にしており、VoIP接続に使うSIPアカウントやそのパスワードは契約者に通知されてこない。しかしその取得方法が有志により調べられ紹介されているので、それを参考にID・パスワードを取得する。

テキストエディタ(Windowsのメモ帳で可)を起動し、下枠内をコピー&貼り付けし、テキスト形式で保存。そのファイルの拡張子を .html に変更し、Webブラウザにドラッグ&ドロップ。050番号とパスワードを入力して送信すると、SIP接続に必要な項目がXML形式で返ってくる(右図)。

<html lang="ja">
<form method="post" action="https://start.050plus.com/sFMCWeb/other/InitSet.aspx">
<input type="hidden" name="ifVer" value="3.0" />
<input type="hidden" name="apVer" value="2.0.4" />
<input type="hidden" name="buildOS" value="IOS" />
<input type="hidden" name="buildVer" value="5.1" />
<input type="hidden" name="buildModel" value="Android" />
<input type="hidden" name="earlyStFlg" value="0" />
<p>050番号(ハイフン無し)<input type="text" name="no050" value="050*******" /></p>
<p>パスワード<input type="password" name="pw050" value="" /></p>
<input type="submit" value="送信" />
</form>
</html>

上記の値は時とともに変わる(古いバージョンは使用不可になる)ようなので、失敗する(エラーになる)場合は、Web検索などで随時最新の情報を得ると良い。

相性

電話機により相性があるよう。

筆者の手元ではまず Panasonic VE-PVC01L で動作確認したが、着信音が鳴らない不具合があった(着信中に受話器を取ると通話できる、発信もできる)。

一方、Panasonic の比較的新しい電話機を使うと正常に着信音が鳴り、ナンバーディスプレイも動作した。

また、イエデンワ2 (WX05A) でも、発着信、ナンバーディスプレイともに正常動作した。

VE-PVC01L は PHS(自営3版)を子機登録できるもので、さらにネーム・ディスプレイやらLモードやらの(すでにサービス終了した)機能に対応している(今となっては)特殊な電話機だが、これらの旧機能との相性があるのかもしれない。

または、本機(HT701)には給電電圧の設定項目が無かったが、網側からの給電電圧との兼ね合いかもしれない。

参考リンク

下記の情報を参考にさせていただきました。この場を借りて御礼申し上げます。