REON POCKET
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REON POCKET(レオン ポケット)は、SONYの社内ベンチャー「First Flight」にて開発・発売された、携帯用の冷温器具。 夏は充電式の保冷剤、冬は充電式の懐炉のように使える。
「着るエアコン」と呼ぶ人もいるが、そもそも空調ではない。記事中にあるように「衣服に取り付ける小型の冷却・温熱装置」が正しいが、新しいジャンルなので、呼び名が定着していない。
本機の利用にはスマートフォンと専用アプリ(Android8以降、iOS13以降)が必要。
本機は日本国内専用とされており、アプリは海外ではダウンロードできないとされている。
First Flight
2019年7月にクラウドファンディングが成立し、2020年3月に支援者向け出荷開始。そして2020年7月に一般発売された。発売後まもなく品薄状態になり、ソニーストアでは早々に終売となったが、ヨドバシカメラとビックカメラでは継続販売されている(2020年8月時点)。
また、Amazonマーケットプレイスでも販売されている。Amazonでは First Flightが公式の販売者なので、購入する際は確認しよう。First Flight 以外の出品者が販売する商品は転売品なので要注意。
(First Flight 楽天市場店には2020年8月時点で掲載されていない。)
本機にはソニーの1年保証書が付属する。
なお、筆者は市販モデル RNP-1A を使っているが、他に RNP-1 / RNP-1L があるようだ。
特徴
筐体はプラスチック製で、色は白のみ。大きさは約54×20×116mm、重さは約89gと小型軽量。大きさは昔の折り畳み携帯電話くらいだ。
充電式で、電池持ちは冷却が約2.5~4時間、温熱が約2~3.5時間だが、専用アプリからON/OFFを制御する機能が付いており、長く使える工夫がされている。
ただしいずれの場合も、起動後30分で自動停止するので、続けて使いたい場合は再度アプリを操作する必要がある。
本機にACアダプタは付属しないが、充電端子は最新の USB Type-C で、充電には今時の一般的なAndroidスマートフォンやノートパソコンの充電器・ケーブルをそのまま使える。
昔の microUSB や Lightning 端子搭載のスマートフォンを使っている場合は、付属の USB A-C 充電ケーブルを使って充電できる。もちろんパソコンのUSB端子でも充電できる。
本機の充電には 5V 1A あれば足りるので、急速充電は不要※。大抵のUSB充電器が使えるだろう。
機能
最初にスマートフォンアプリを起動し、画面の指示に従って本機の電源をON、ペアリングすると、本機のファームウェアが自動アップデートされた後、使えるようになる。
スマートフォンアプリで「
COOL(冷却)/WARM(温熱)の選択もアプリで行う。COOL/WARMの切り替えには10秒程度かかるが、一度選択すれば記憶され、次からは前回選択したモードで起動する。
電源OFFは本機のボタンを2秒以上長押しする。ただしOFFにしてもスマートフォンとのペアリングは継続しており、アプリからONにできる。
OFFの時に本機のボタンを2秒以上長押しすると#クイック起動になる。
なお、本機の電源ボタンを長押しして電源を切っても Bluetooth 接続は有効のままなので、本機を専用インナーウェアに装着した後は本機に触る必要はない(専用アプリのみで操作できる)。
本機電源ボタン部のLEDが赤色点滅する場合は、本機の内部温度が高すぎる/低すぎる、不具合発生等で安全装置が働いて停止しているので、しばらく待ってから再度操作するよう案内されている。→FAQ
MANUAL MODE
初期状態ではこれ。アプリでON/OFFと強弱を4段階で指定する。
2や3にするとよく冷えるが、動作音(ファンの排気音)も大きくなるし、電池消費も増えるので、普段は1で使うのが良い。
BOOST(ブースト)に入れると最大冷却レベルになるが、カウントダウンが表示され、2分で自動停止する。
AUTO MODE
ペアリングしたスマートフォンアプリで「AUTO」を選択すると起動し、COOL(またはWARM)とOFFを自動で繰り返す。
スマートフォンアプリが静止/歩行を検知して、しばらく歩いていると温度レベルが上がってゆき、信号待ちなどで足を止めると強になる。
30分で自動停止するので、続けて使いたいときは再度アプリの操作が必要。
MY MODE
動作/停止時間を任意に設定できる。 例えば COOL 5秒 → 停止 20秒 → COOL 5秒 → 停止 20秒 を繰り返す、など。
(必要性はさておき)COOL と WARM を交互に起動することもできる。
マニュアルモードで常時 COOL(またはWARM)を作動させると電池持ちが短くなるので、電池持ちを長くするために、一定間隔で動作させるが、いきなり設定しようと思ってもピンとこないので、最初は AUTO MODE で使ってみるのが良い。
AUTO MODE で使っていて細かな設定をしたくなったら、MY MODE を試してみよう。
クイック起動
ペアリングしたスマートフォンアプリで「クイック起動」を設定しておくと、以降、本機のボタンを2秒押して電源ONすれば自動起動するようになり、スマートフォン無しでも使えるようになる。
OFFの時に本機のボタンを2秒以上長押しすると#クイック起動になる。
クイック起動には #MANUAL MODE(指定した温度レベルで常時作動する)、#AUTO MODE、#MY MODE いずれかを選択できる。
専用インナーウェア
本機は手に持って保冷剤やカイロのように使うこともできるが、常時身に着けておくのに便利な「専用インナーウェア」も同時に発売されており、これを別途購入して使うことが推奨されている。
専用インナーへの装着方法は、公式のREON POCKET専用インナーへの取り付け方法を参照。
専用インナーは2色×3サイズの計6種発売されたが、品薄・完売で入手困難になっているサイズ・色が多く、発売早々、供給に問題が生じている。
専用インナーはS/M/Lの3サイズ展開だが、メンズ(男性用)のみで、なぜかレディス(女性用)は用意されていない。男性用S/Mが合う人は使えるが、サイズが合わないと使えない(男性用もXLなどの大きめサイズは無い)。
Sサイズが早々に品薄になったのも、女性向けに一定の需要があったのではなかろうか。
また、暑い夏に役立つ AIRism(ユニクロ)や BODY COOLER(イトーヨーカドー)のような機能性肌着を使えないのも残念だ。
もっとも、様々なサイズ展開が必要な肌着までソニーが用意しようというのは、そもそも無理があるのだろうと思う。餅は餅屋で、アパレルメーカーに任せればよかったのに、と。 とはいえ、本機が売れればアパレルメーカーも対応肌着を発売するかもしれないが、それを待っていては鶏と卵だろうから、先にソニーが発売したのだろう。
背中に本機を入れるポケットと、吸気口が開いているだけなので、裁縫が得意な人は自作もできるだろうし、市販されている背中に保冷剤を入れられるポケット付きインナーでも代用できる。
ただし市販の保冷剤ポケットには吸気口が開いていないので、機能低下が起こり得る。専用インナーのサイズが合う人は、なるべく専用インナーも買って試してみることをお勧めするが、サイズが合わない、完売で買えないといった場合には、他の商品で代用することも考えたい。
創意工夫
専用インナーウェアを使わない方法もいろいろと模索してみた。
例えば保冷剤ポケット付きのフェイスカバー(マスク)を購入してそのポケットに入れてみたが、フェイスカバー自体が暑いのと、本機がうまく身体(首筋)に接触した状態を保てない(本機の重みでずれてしまう)ので、いまいち使いづらい。
また、サイクリンググローブに挟んで手首を冷やしてみたところ、手首を通して冷えるのは良いのだが、自転車は腕にほどよく体重をかける必要があるので、グローブに挟んだ状態で走行すると疲れてしまうし、落下のおそれもある。リストバンドで固定する方法も検討してみたが、リストバンドに本機を挟む余裕がなかったりして、なかなかうまい装着方法が見つけられていない。
ポケット付きリストバンドもあるようだが、本機が入るほど大きなポケットはあまり無いだろうし、密閉すると本機の吸排気ができなくなるので、汎用品では難しそうだ。
あれこれ試してみているものの、今のところ、まだ良い使い方法が見つかっていない。
使用感
真夏の外出が楽になる
熱中症警戒情報が連日出ていたりするが、地球温暖化やヒートアイランド現象も相まって、近年の夏はものすごく暑い。
筆者はサイクリングや登山などの際に今流行りの冷感タオルを使ってしのいでおり、冷感タオルも少し冷たい感じがするだけなのだが、これだけでも身体がだいぶ楽になる。
冷感タオルは水で濡らすだけで使えて手軽なのだが、服まで濡れてしまうので、業務中などは使いづらいきらいがある。業務で移動の際は、本機を使うと少しでも暑さをしのげて良い。
ただし、メーカーホームページに度々記載されているように、本機は医療機器ではなく、本機だけで熱中症対策ができるわけではない。あくまで補助的なものと考え、本機に大きな期待はせず、水分補給や涼しい場所での休憩などを怠らないようにしたい。
もちろんサイクリングや登山でも本機を使えるが、本機は防水ではないので、冷感タオルの水や汗が入ると故障しかねないので要注意。また、ランニングなどで上体が揺れると本機が落下して故障の原因になるので要注意。適材適所で使い分けるのが良さそうだ。
通信が切れた後の再接続で手間取る
本機のON/OFFや能力調整はスマートフォンアプリで行うが、そのスマートフォンアプリとの接続が切れやすい。
接続が切れた場合、アプリの操作により10秒ほどで再接続することもあるが、再接続に失敗することも多い。失敗した場合はアプリを一旦終了させてから起動し直すと、接続できるようになる。
スマートフォンの電池を食い潰されても困るので、通信が切れるのは仕方ないと思うが、再接続がスムースにいかない感がある(ちなみに SONY Xperia 1 で使っている)。アプリの作りに改善の余地がありそうだ。
完全に電源OFFにできない
本機はスマートフォンアプリから操作する仕様のため、完全に電源OFFにできず、常にBluetoothの電波が出ている。
説明書にも機内モードに入る方法は書かれておらず、FAQには「電源をOFFにすることはできますか?⇒できません。」と書かれている。
電波を出せない場所へは、持って行かない方が良いだろう。
冷温部のシリコン膜が傷つきやすい
冷温部には薄いシリコン膜が張られているが、背中に手を伸ばして本機を取り外そうとした時に、少し爪に当たっただけで削れてしまった。そのままカバン等に入れたら、すぐにボロボロになりそうだ。
本機の説明書には、冷温部が傷つかないようキャリングポーチなどに入れて持ち運ぶようにと書かれているが、キャリングポーチが付属しているわけではなく、大きさの合うポーチを探せということだろうか。
前述のように昔の折り畳み携帯電話に近いサイズ感なので、昔の携帯電話用のポーチなどがあればそれに入れて持ち運ぶのが良さそうだ。
それにしても、この冷温部のシリコン膜は柔すぎて、すぐにぼろぼろになりそうだ。その下には熱誘導性の高い金属板があるようなので、この金属板が皮膚と直接接触しないように貼られているように見えるが※、もう少し丈夫な素材にできなかったのだろうか。
装着が課題
目立たないことに関しては優秀。言わなければ、まず着けているのを気づかれない。うちわやモバイル扇風機を振りかざすのは躊躇われるようなフォーマルな場面では活躍しそうだ。
本機は手持ちでも使えるが、手が塞がってしまう。モバイル扇風機に比べた優位性は、手が塞がらず、目立たないことだと思うが、それらを満たすには、専用インナーウェアが必須となる。
冷温部を効果的に身体に密着させるためにも、専用インナーウェアが必要。 今後、互換のウェアが出てくるかもしれないが、今のところは無い。
この専用インナーウェアは、AIRism(ユニクロ)や BODY COOLER(イトーヨーカドー)のような機能性肌着に比べて暑い。本機を使うためにわざわざ暑い肌着を着るのは本末転倒のようにも思える。
冬も同様に、HEATTECH(ユニクロ)や BODY HEATER(イトーヨーカドー)などを使えないと考えると、微妙かもしれない。
本機がある程度売れて、今後、アパレルメーカー等が互換ウェアを発売するようになれば良いが、逆にそうなってこないと、本機の評価は上がらないのではと思える。
専用インナーウェアを着た状態で背中のポケットから出し入れするのも面倒だし、そんな事をすれば目立ってしまう。そうすると一日中着けっぱなしになるが、電池は一日持たないので、いずれ電池切れになって、すぐに汗まみれになる。
本機を使った日は帰宅後に都度アルコールで拭いているが※、けっこうな手間になる。
背中ではなく、腕などに装着するウェア(?)もあれば、出先で外してモバイルバッテリ等で充電することもできただろう。肌着タイプだけでなく、アームバンドなど様々な形状があったら良いと思うが、まずは装着を何とかしないと、本機はその効果を存分に発揮できないように思う。
そもそも汗をかく時季に使う商品なのに、防水でないのも残念だ。故障して水漏れと判断されると、保証期間中でも修理代9,130円+引取送料1,320円を請求される。
サポートページには「使用時以外は、本機をインナーウェアから取り外すことをお勧めします。」と書かれているが、着脱しづらい場所に装着する専用ウェアしか用意されず、また取り外してもキャリングポーチが付属せず、しかも冷温部の保護膜は極端に傷つきやすいのだから、ちぐはぐな感がする。
うちわやモバイル扇風機、冷感タオルなどの目立つ避暑グッズを使いたくない場面では、本機は役立ちそうだが、そういう場面があまり無い人は、本機を買っても使わなくなりそうだ。
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冬にも使えそう
本機は冷やすだけでなく、温める機能も持っているので、夏だけでなく冬も使える。使い捨てカイロを携帯しているような人には良いかもしれない。
筆者は冬にはまだ使っておらず、そもそも筆者が住む南関東の冬はさほど寒くならないので、あまり必要と感じないが、雪国へ旅して指先が凍えそうな時もあったりするので、そうした時には役立つのではと薄々期待している。