MAMORIO
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MAMORIO RE と御守 | ||
メーカー | MAMORIO | |
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発売日 | 2020年7月15日 | |
検索基盤 | 独自(要専用アプリ) | |
サイズ | 縦36.5×横23×厚さ3.7 mm / 重さ 3.4 g | |
電池交換 | ○ (CR2016) | |
Bluetooth | 4.0+BLE | |
GNSS(GPS等) | × | |
防水 | × | |
ボタン | × | |
ブザー | × | |
LED | × | |
対応OS | Android iOS・iPadOS | |
本体色 | ■ | |
参考市価 | 3,828円(税込) | |
▶MAMORIO ▶サポート |
MAMORIO(マモリオ)は、MAMORIO(旧・落し物ドットコム)社が開発・発売している忘れ物防止タグ(スマートタグ)。
日本で落とし物ポータルサイト「落し物ドットコム」を運営していた会社が2014年にクラウドファンディングで募集(販売)したのが始まり。
先行事例の米国TrackRを参考に企画したのだろうと思われるが、電池交換や、音を鳴らして探す機能などは削除された。それでも人気を博したようで、2015年11月より初代「MAMORIO」の一般発売開始。一時期は、フル生産を続けても追いつかないほどの反響があったそうだ。
その後、札(ステッカー)、カード、電池交換タイプなどが追加されたが、ハードウェアの機能は当初からほとんど変わらない。初代「MAMORIO」は今も継続販売されており、息の長い商品に育った。
2017年には米国メーカーの「TrackR Pixel」(トラッカール ピクセル)や「Tile Mate」(タイル メイト)が日本市場に参入したが、そうした黒船に負けず息長く続いている。 そして、2021年 4月にはあのAppleが満を持して AirTag(エアタグ)を発売。落とし物対策市場の競争が激化しそうだ。
MAMORIOの利用にはスマートフォンの専用アプリ(Android版、iPhone・iPad版)が必要。Bluetooth通信を使ってスマートフォンにつながることで機能する。
製品ラインアップ
(2021年 5月現在)
- MAMORIO - 初代マモリオ。35.5×19×3.5mmと大きめのキーホルダータイプ。有効距離 約60m。電池交換不可。
- MAMORIO S(エス) - キーホルダータイプの小型版。電池交換不可。終息。
- MAMORIO FUDA(フダ) - ステッカータイプ。電池交換不可。有効距離 約60m。
- Me-MAMORIO(ミー) - 小型のキーホルダータイプ。電池交換不可。有効距離 約30m。終息。
- MAMORIO RE(アールイー) - 500円玉より少し大きいくらいの小型軽量で、電池交換可。有効距離 約30m。
- MAMORIO CARD(カード) - 2021年4月に発売された、MAMORIOシリーズ最新製品。電池交換不可。
なお、MAMORIOは全ての機種が非防水。自転車などの雨に濡れやすい物への取り付けは非推奨。 もっともMAMORIOは追跡機能が弱いので、自転車に付けるなら AirTag が良いと思う。
MAMORIO Inside
「MAMORIO Inside」(マモリオ インサイド)と呼ばれる、MAMORIOの機能を内蔵している他社製品がある。
ノートパソコン(NEC LaVie)やスマートウォッチ(SONY wena wrist)などの元々Bluetooth通信機能を持っている機器もあれば、財布や手袋なども出ているようだ。
これらは本稿では扱わないので、各商品の説明書などを参照されたい。
MAMORIOシリーズの特徴
MAMORIOシリーズは形状と電波が飛ぶ距離、電池交換可否が違うだけで、機能面では同等。
音を鳴らして探すことはできない
まず注意点からだが、競合他社製品と違い、MAMORIOは音を出すことができない。
MAMORIOアプリを開くと電波強度を示す「レベルメーター」が表示されるので(右図)、この強弱を見て物を探せということだが、はっきり言って無理。
筆者は昔使っていた初代 MAMORIO を失くしてしまったし、懲りずに買い直した MAMORIO S はまだ近くにあるようだが、これも何かのはずみに棚に突っ込んだら最後、見つけられずにいる(^^;。
「なくすを、なくす」ための機器を失くしてしまうのだから、(少なくとも筆者には)役立たずと言うしかない(-_-;。
筆者は置き忘れることはあまりないのだが、どこに仕舞ったか忘れてしまうことが時々あるので、音を鳴らして探せる Tile を重宝しているが、MAMORIO はそういう用途には向かないので、注意されたい。
置き忘れ通知
物をよく置き忘れる人に便利な機能。スマートフォンが30m以上移動したときに、所定のMAMORIOとのBluetooth接続が切れたら通知する。通知タイミングは0秒(検知直後)から600秒(10分後)まで細かく設定できる。
ただし、スマートフォンが移動していないと通知されない。例えば MAMORIO(を付けた物)が持ち去られたときには通知されない。
そのため、例えば自転車の鍵に付けるのは良いが(鍵をかけ忘れると通知される)、自転車に付けるには向かない(乗り逃げされても通知されない)。
同様の機能は TrackR でも使えるが、MAMORIO は通知タイミングなどの細かな設定ができる。Tile では有料オプションになる。AirTag は未対応。
注意点としては、特に屋内ではスマートフォンの位置情報がずれる(いわゆる位置飛び)ことがある、逆に位置情報がなかなか更新されない(移動していても移動していないことになってしまう)ことがあるなどで、期待した動作にならないことがある。
筆者も置き忘れ通知を少し試してみたのだが、意図しない所でスマートフォンから音が鳴りだしたり、逆に鳴ってほしい時に鳴らなかったりするので、むしろ煩わしく感じた。けっこう大きな音が、突然鳴りだすので、不気味だったり、出先で鳴ったら嫌だなと思った。
また、スマートフォンの省電力機能が働いてMAMORIOアプリが強制終了されることがある(言い換えれば、MAMORIOアプリが電池を食いすぎる)ので、使っているスマートフォンの機種によっては、置き忘れ通知がうまく働かないことがある。
でもこればかりは、スマートフォンの機種や利用環境にもよるので、試してみないと分からない。
音を鳴らして探す機能もある TrackR が、今は叩き売り状態で安価に購入できる。TrackR は電波の届く範囲が狭いが、電池交換タイプで比較すると MAMORIO RE も大差ない。MAMORIO RE はあまりに安っぽくてストラップすら付けられず使いづらいので、比較的安く買える TrackR を先に試してみても良いかもしれない。
検知履歴
スマートフォンアプリが位置情報を常時監視して、30m動く度に位置情報をMAMORIO社のサーバに登録する。つまり検知履歴があるうちはMAMORIO(を付けた物)とスマートフォンが一緒に行動していたことになるので、物を失くした時に探し始める場所の目安になる。
また、他のユーザーのMAMORIOも検知・登録するので、ユーザーが増えれば検知率が向上する仕組みになっている(他の落とし物対策商品も同様)。
でも、MAMORIOは使っている人が少ないので、落とし物として交番などに届けられることもあるだろうが、移動した物の追跡はほぼできないと思っておく方が良い。例外として、MAMORIOは都市部の鉄道駅ではよく検知される(後述)。
実際、スマートフォンのBluetoothを切った状態で持ち歩くと、鉄道駅ではよく検知される(右図)が、それ以外で検知されることはない。鉄道駅以外での検知は Tile の方が若干優れているが大差ない。MAMORIOは鉄道駅への展開が進んでいるので(後述)、Tile(やTrackR、Chipoloなど)との比較では、落とし物の検知はMAMORIOの方が優れていると言えそう。
でも、後述の「MAMORIO Spot」が設置されている駅はまだ限定的だし、チート級に検知能力の高い AirTag が発売された今となっては、外での置き忘れ・落とし物が多いiPhone・iPadユーザーは、ほぼ同じ価格で検知能力が桁違いに高い AirTag を使う方が役に立つと思う。
電車の忘れ物対策
これがMAMORIOの最大の特長だが、同社では2018年より首都圏など大都市を中心に、鉄道各社の遺失物取扱所に「MAMORIO Spot」を順次設置しており、対象の路線・車内・駅構内で回収される(または届けられる)と検知される。
さすが国内企業ということか、この分野では他社より先行していて、2016年11月に東急渋谷駅へ試験導入されたのを皮切りに、相鉄、東京メトロ、小田急、京王、西武、江ノ電、東武、京急、都営地下鉄、京成、横浜市営地下鉄・バス、京都丹後鉄道、JR九州、JR東日本、ゆりかもめ、名鉄、JR西日本(各一部)へと展開していった。
競合のTrackRにはそうした取り組みが全く無いし、Tileでもまだ始まったばかりで、出先での置き忘れ対策は期待できない。チート級のAirTagが登場するまでは、電車での置き忘れが多い人にはMAMORIOが最適だった。
AirTagが登場した今となっては、同程度の金額を払って新規購入するなら、iPhone・iPadユーザーにはAirTag一択だろう。しかしAirTagの利用にはiPhone・iPadが必要なので、AndroidユーザーはMAMORIOを検討しても良いと思う。
MAMORIOあんしんプラン(損害保険)
MAMORIO 1個につき年間1,100円で、紛失補償と盗難保険が付帯するオプションサービス。MAMORIOを付けていた財布、バッグ、一部の電子機器と鍵に対象が限られており、鍵以外は購入後5年以内のものに限られる。補償上限は財布とバッグが3万円、他は2万円までの実損額(鍵は交換費用)。
加入は任意で、保険以外の機能に変わりはない。
Androidはアプリで加入手続きする(支払いは Google Play)。 iPhone・iPadアプリは対応しておらずチャットサポートから申し込む(支払いはクレジットカード)。
本体交換プログラム「OTAKIAGE」
MAMORIOシリーズの公式ホームページには「長寿命で経済的」と書かれているが、実際には「RE」を除き電池交換できず、組み込みの電池が切れたら使い捨てなので、非常にコスパが悪かった。電池も公称期間ほどは持たないと思っておく方が賢明。だから公称電池寿命は1年なのに、メーカー保証期間は6ヶ月しかなく、180日経つと買い替えられるようになっている(苦笑)。 まあ利用料を取る代わりに買い替えさせるビジネスモデルなのだろうから仕方ない面もあるが、「長寿命で経済的」と謳うのは正直どうかと思う。
基本使い捨てで買い替えないと使い続けられないので、買い替え促進のために、一般の家電店などで買うよりも15%~50%ほど安い価格(送料別)で買い替えられるようになっており、それを同社では「OTAKIAGE」(おたきあげ)と呼んでいる。ただし直販に限られているので、中間マージンを省いた正価という感じ。割引率は一定でなく、古い製品や処分品ほど高く、新製品は低く設定されている。
アプリに新規登録してから180日(約6ヶ月)経つと「OTAKIAGE」で買い替えできるようになる※。同じ機種でなくてもよく、数も(制限はあるが)増やすことができる。
しかし「御焚き上げ」とは名ばかりで、古い商品は回収されず、電池交換できない製品はユーザーが適正に処分する必要がある。また、電池交換できる「RE」も登録から180日経つとOTAKIAGEを利用できる。
そんなわけで、買い増しを考えている場合は、まずは1つだけ買って半年ほど使ってみて、自分の用途に向いていると思ったら、「OTAKIAGE」を利用できるようになってから買い増すと幾分お得かもしれない。
電池交換
MAMORIOは当初より頑なに電池交換不可を貫いてきたが、競合他社に押される形で、2020年 7月になってようやく電池交換できる「MAMORIO RE」が投入された。 (それも当初は5個セットのみで買いづらかったが、2021年 5月24日より1個から買えるようになった。)
よって、MAMORIOシリーズはほとんどの機種が電池交換不可だが、MAMORIO RE(マモリオ アールイー)だけは電池交換できるようになっている。
しかし、重厚でユーザーフレンドリーなAirTagと同価格の製品とは思えない安っぽさ&設計の酷さで、まるで早く壊して買い替えてくれと言わんばかりの渋々対応したやっつけ感が伝わってくるよう…まあそれはさておき。
電池持ちは公称約11ヶ月とされているが、10ヶ月くらい経つと電波が弱くなってくるので、早めに交換用電池を用意しておこう。
使われている電池は市販のCR2016型リチウムコイン電池で、家電店やスーパー・コンビニ、百円ショップなどで購入できる。
筐体はカバー内側の爪で留まっているだけなのだが、こじ開けるためのスリットがとても細くて(右図)、一般家庭にありそうな工具(マイナスドライバーなど)では開けられない。
筆者は以前スマートフォンの修理をした時に使った工具があったのでそれを使ったが、一般の人が持っている工具ではないと思うので、開くところから難儀しそう(-_-;
しかし筐体の爪が折れるだけならまだしも、自分の爪を割ったり剥がしたりしてはつまらないので、できれば工具を用意する方が良いと思う…
と言ってもわざわざ工具を買うのも躊躇われるだろうから、眼鏡の修理などで使う精密ドライバー(のマイナス)があればそれで試してみては。ただし筐体は傷つくと思うけれど、メーカーは(もちろん筆者も)補償してくれないので※、自己責任でどうぞ(^^;
スリットのある側が開いたら(右図)、ここを取っ掛かりにして周囲の爪を外しながら開いてゆく。ここからは工具不要(指だけ)で開けられるが、力を入れすぎると筐体内側の爪を折ったりして再度閉まらなくなるかもしれないので、焦らずゆっくり開けよう。
この感覚は、ノートパソコンの修理などをしたことのある人にはわかると思うけれど、一般の人に開閉させる製品に適した設計とは言い難い。
また、この構造だと、何度か電池交換したら爪が傷んでフタが閉まりにくくなるだろうし、あまり長持ちしなさそうに思う。長く使いたいと思って「電池交換版」を選ぶのなら、Tile や AirTag を買う方が賢明だろう…
苦労して剥がすと、簡素な基板と電池がお目見え。GP社製の電池が入っていた。まあそれはいいけれど、基板から伸びている端子が近いので、電池を外す/取り付ける際にショートさせないよう要注意。基板を少し持ち上げると作業しやすくなると思う。
無事に電池を交換できたら、2枚のプラ板を貼り合わせるようにして、端を押さえて爪を嵌めてゆく。パチパチと小さな音や手応えがあると思うが、これも慣れかな…パソコンの分解修理や模型の経験がある人には造作もないと思うけれど、ちょっと一般向け商品とは言い難い感がある。
まあこんな感じで、ほぼ同じ価格で販売しているAirTagとは、原価も設計思想もかなり違うなと感じられると思う。
ちなみに筆者が10ヶ月弱使った MAMORIO RE の電池は3.1V未満まで減っていた(右図)。この状態で電波の飛びが若干弱いと感じていたので、新品の電池に交換したが、気にしなければ3Vくらいまでは使えると思う。
ただし、MAMORIOアプリに表示される電池残量は実測値ではなく、時間とともに減らしていくだけのようなので※、バッテリーチェッカーなどがあれば実際に測って判断する方が良いと思う。
もっとも、閉じてまた開けるのも面倒だし、開けて測ってみて3.1V前後だったら、そろそろ交換しても良いと思う。3Vを切っていたらすぐに交換しよう。 (ちなみに新品の電池は3.4V以上ある。)
なお、ボタン電池と違って、リチウムコイン電池(CRxxxx)は水銀を含んでいないため、店頭回収の対象外。使用済み電池の処理方法は自治体により異なるが、一般に使用済み乾電池と同様。
参考リンク
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