NichePhone

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この記事は、最終更新日よりおよそ 2 年 7 ヶ月経過しています。 公式サイトなどで最新情報を確認してください。(最終更新:2021年8月)
左は初代「NichePhone」、右は2代目「NichePhone-S 4G」

NichePhone(ニッチフォン)は、フューチャーモデル社製の携帯電話機。名刺大の大きさで、いわゆる「カードケータイ」のひとつ。

カードサイズの小型軽量が特長で、通話・SMSテザリング専用機。初代W-CDMA(3G)のみの対応だったが、2018年9月にLTE(4G)に対応した2代目が発売された。

2021年にはVoLTE通話に対応した3代目「NichePhone-S+」が発売された。

3G停波の影響

2022年1月よりNTTドコモが 3G Band 1 を順次停波するため、FOMAプラスエリアに対応していない初代「NichePhone」VoLTEに対応していない2代目「NichePhone-S 4G」は順次使えなくなる場所が増えそうだ。本機を販売していたIIJmioでは、4G/5Gに対応している端末に機種変更するよう案内している

なお、2代目と3代目は W-CDMA Band 8 に対応しており、ソフトバンクワイモバイルでは2024年1月の3G停波までは使えると期待される。

どうしても NichePhone を使い続けたい場合は、ワイモバイルnuroモバイル(ソフトバンク回線)などに乗り換えるか、VoLTE通話に対応した3代目「NichePhone-S+」に買い替えるのが良いだろう。

もっとも、2020年に発売された Rakuten Mini が本機とほぼ同じ大きさで、電池持ちが良く、USB Type-C 端子搭載で充電やUSBテザリングを便利に使え、おサイフケータイも使える。さすがにテンキーは無いが、電話帳は本機よりもはるかに使いやすいし、ストラップも付けられ、楽天モバイルの無料通話 (Rakuten Link) も使えるので、本機の代替になりそうに思う。

NichePhone-S 4G

NichePhone-S 4G(2018年秋モデル)とストラップフォン2 (WX06A)(2013年春モデル)の大きさ比較
ストラップフォン2 (WX06A)(2013年春モデル)との厚さ比較、本機の方が若干薄い
iPhone SE(2016年春モデル)との厚さ比較、本機の方が若干厚い

2018年9月発売の2代目。黒と白の2色展開、メーカー型番は MOB-N18-01-BK/WH。 外寸は約90(W)×50(H)×9.5(D)mm、重量は約52g、内蔵充電池は交換不可、電池容量は1,000mAh。

前機種のダメダメだった点がだいぶ改善されたので、買ってみた。2018年10月に、ヨドバシで税込13820円で購入

大手家電量販店のSIMフリー電話機売場と、一部MVNOで購入できる。

以下は特記無い限りファームウェアバージョン 3760A0A1_JP_V09 による。

対応バンド・適合回線

SIMカードサイズは nanoSIM。→メーカー検証済みSIM一覧

対応バンド
LTE(4G) Band 1, 3, 8, 19
W-CDMA(3G) Band 1, 6, 8
適合回線

本機はSIMロックはされていない(SIMフリー)が、VoLTEにもCDMA2000にも対応していないので、au網(MVNO含む)では使えない

3G専用契約のSIM(ドコモの FOMA SIM)は使えないと思われる。これはドコモが悪い(網側がLTE端末と認識すると切断する仕掛けが入っているらしい)ので、端末の不具合ではない。3G専用機の初代NichePhoneならば使えるかもしれない。

使用感

本機でできること

画面表示例
ストラップフォン2 (WX06A)(2013年春モデル)、NichePhone-S 4G(2018年秋モデル)、iPhone SE(2016年春モデル)、ZenFone 3 Ultra (ZU680KL)(2016年冬モデル)大きさ比較(ちょっとズレてしまったけれど…) ちなみに最新の iPhone XS Max は ZenFone 3 Ultra より一回り小さい程度
  • 通話
  • SMS
  • テザリング(LTE対応)
  • 日本語入力
  • ストラップの取り付け
  • Bluetoothヘッドセットの利用
  • ICレコーダ(通話録音は不可)
  • スピードダイヤル(2-4, 6-9 の各キーに登録可、計7件。)
  • 音楽(MP3ファイル)再生(ただし並べ替え・プレイリスト不可。全曲/1曲リピートとシャッフルはあった。)
  • 組み込みの着信メロディが豊富
  • 言語は日英中(繁・簡)韓に対応
  • 技適は画面表示で対応

本機ではできないこと

  • 有線ヘッドセットの接続(イヤホンマイク端子無し)
  • 電池交換
  • 留守番電話(スマート留守電やキャリアの留守電サービスなど、網側で対応するものは利用できる)
  • MMS
  • E-mail(キャリアメール含む)
  • 電卓
  • Web閲覧
  • おサイフケータイ(FeliCa)
  • 写真撮影(カメラ非搭載)
  • 位置情報(GPS非搭載)
  • 緊急速報(ETWS)の受信
  • 防水・防塵
  • 外部メモリ(SDカード等)

一応できるがイマイチなこと

  • 充電端子が特殊 - 汎用ケーブルがそのまま使えず、付属の変換アダプタも無駄に大きいので、持ち運びに不便、アダプタを失くしそう、見た目にも格好悪い。
  • 電話帳 - vcfファイルのインポートに対応したのは良いが、登録1件につき最初の電話番号しか認識されないので、結局手直しが必要になる。か行、さ行などの頭出し表示もできないので、登録件数が多いと探すのも大変。会社名や読みなど画面からはみ出すと後ろの方が切れてしまう。
  • 漢字表示 - いわゆる中華フォント。

気になったこと

  • IPv6未対応 - APN設定はできるが、IPv6パススルーに対応していないようで残念。
  • 電卓機能が無い。標準電卓と割り勘計算ができたら便利だったと思う。
  • 着信ありマークが小さすぎて気づきにくい(^^;
  • APNを設定するとMMSも受信しているようだが、文字化けして見られない。
  • ストラップホールが小さいので、太いストラップや愛用の(使い古した)ストラップは通すのが大変かも。
  • 通話終了すると番号入力画面に戻る謎仕様。もう一度発信してしまいそう。
  • 画面は有機ELと思われる。屋内では明るいが、明るさ調整はできないので、明るい屋外では見づらいことも。(まあこれは仕方ない。市販の反射低減フィルムを貼ると幾分見やすくなる。)
  • 防水でなく厚さも9.5mmまで増やしたなら、イヤホンマイク端子は付けてほしかった。
  • SIMスロットはトレイ方式ではなく、再プッシュで飛び出す方式でもなく、取り外しにはシールが必要(シールは付属するが、市販のテープでも代用できる)。各々一長一短あるのでこのスロット自体は良いとして、フタの部分が安っぽく見えてしまうのが残念。ただしフタは改良されて紛失しづらくなっている。しかしSIMスロットにこんな安っぽいフタを付けておきながらmicroUSB端子を付けないのは何だろうか。
  • ボタンのクリック感は悪くないが、一部反応が良くないキーがある。(個体差や初期不良か、またはファームウェアの出来の問題かは図りかねる程度だが…)
  • 冊子の説明書が付属するが、字が小さくて読みづらい。説明書PDFが公開されているので、ダウンロードして見るのがおすすめ。
  • 2018年10月10日より、日付表示の右端が欠ける不具合が発生している。月・日が2桁ずつになったら幅が足りなくなってしまったという情けない不具合で、このメーカーの開発体制が不安になる。OTAアップデートで修正予定と告知されているが、1週間経っても修正されていない。

気にならなかったこと

  • 初代のときに言われていたようなモッサリ感は、4G機には無さそう。
  • 電池持ちは今のところ支障ない(テザリングを多用する人には厳しいかも)。
  • 着信履歴や再発信ボタンが無いが、発話ボタンを押すと発着信履歴が表示されるので代用可。

雑感

NichePhone-S 4G(2018年秋モデル)と 富士ソフト FS030W(2016年冬モデル)大きさ比較。本機は薄型軽量だが電池は持たず、IPv6非対応で、ルータ機能は最小限。
電池切れ間近になると赤ランプが点滅する

初代は「安物買いの銭失い」(通話専用でプラスエリア非対応など、実質使い物にならない)だったが、2代目になって「安かろう悪かろう」(とりあえず使えるが、気になる点が多い)程度までレベルアップした感じ。

ストラップが付けられる安心感は絶大。

モバイルルータと通話を各々少しずつ使いたい人にはもってこい(ってニッチすぎるよな…)。 大きさは Aterm MP01LN とほぼ同じで若干薄い(そのぶん電池は持たない)。数時間使えればいいので小型軽量にしたい人には良いかも。 筆者はワイモバイルのスマホプランLでテザリングを時々使っているので、この1台でモバイルルータと通話を兼ねて使えるようになった。

モバイルルータとして使うと、およそ3-4時間使って電池残量15%以下の警告(赤色LEDの点滅)が表示された(右写真)。ただしデータが時々流れる程度の使用なので、常時データが流れるような使い方だともう少し短くなると思われる。 今後電池の劣化も考えると、2-3時間がいいところだろうか。その範囲で収まるなら本機でも良いし、モバイルルータを多用する人は素直にモバイルルータを買うのが吉。 (本機はモバイルルータとして使うには電池が少ない、充電が不便、ルータ機能も最小限。)

通話音質は良好。音量は大きめ。受話音量が大きめなので周りに漏れ聞こえるのが気になる人は要注意。送話音量も気にならない(ストラップフォンの欠点が送受話音量の小ささだったので、それで諦めた人には本機は使えると思う)。

ただし通話を多用する人には使いづらいように思う(電話帳がとても使いづらい)。

SIMスロットとそのフタ、特殊な充電端子
本体、特殊端子用アダプタ、USBケーブル、ACアダプタ、説明書兼保証書、SIMカード取り外し用シールが付属

充電端子どうしてこうなったと思うほかない謎仕様。 この専用端子はデメリット満載(専用アダプタが邪魔、専用アダプタを紛失しそう、出先などで気軽に充電できない、移動中にかばんの中などで充電していたら外れてしまう、モバイルバッテリにつないでかばんの中などで外れると金属に接触して最悪発火のおそれあり、すでに普及期に入っている USB Type-C 端子ではない、この充電アダプタのせいで確実にコストアップしている、等)の一方で、メリットが全く思い浮かばない…ひとつだけ、天井からmicroUSBケーブルを垂らしておいてこの専用アダプタをつないでおけば、ワンタッチで充電できて手軽♪という特殊な用途ならば便利かもしれないけれど…普通にmicroUSB端子を備えていれば良かったのに残念すぎる。

microUSBケーブル+専用アダプタでパソコンにつなぐと、MTPで認識され、本機の内蔵ストレージを読み書きできる。Musicフォルダにファイルを入れておくと音楽再生できる。Android標準でMoviesやPicturesフォルダも存在するが、ここに入れても何もできない:)

MMSは受信(本文の表示)だけでも対応したら良かったのにと思う。まあキャリア毎に仕様が違うから面倒なのかな…

モバイルルータとして使うなら、band 41, 42 (TD-LTE) や band 11, 21 (FD-LTE 1.5G) を掴めると快適になるが、現状でも LTE band 1/3/8 を掴むので、ソフトバンク・ワイモバイルで使う分には十分ではある。

現状では無くても良いが、数年後を考えると VoLTE にも対応しないと厳しくなりそう。→実際に困ることになった(^^;。

この画面では難しいだろうけれど、おサイフケータイ(モバイルSuica)が使えたらとても良いね。

現状ではニッチすぎるが、もう少し頑張れば便利に使える人が増えそうに思うので、メーカーには頑張ってほしいところ。

NichePhoneを使うと、ストラップフォンの出来がとても良いことに改めて気づかされる。ABITが作ってくれたら、もっと良い物になったんだろうな…まあ今後に期待ということで。

2018年11月中旬に京セラ製・NTTドコモ向け「カードケータイ KY-01L」が発売予定。本機のターゲットともろに被り、microUSB端子搭載、電卓機能やWeb閲覧などにも対応していて、電話帳も本機よりは使いやすそう。本機の欠点がほとんど改良されており、大手メーカー製なので動作も安定していると期待される。KY-01L の発売後は、NTTドコモ網で使う前提ならば本機の利点は電池持ちだけになる。本機にもファームウェア改良など頑張ってもらいたいところ。

参考資料

モバイルルータとして使ったときの性能測定。ワイモバイルシェアプランSIMにて測定。

=== Radish Network Speed Testing Ver.5.3.5.0 β - Test Report ===
使用回線: Y!mobile LTE
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測定条件
 精度: 低 接続数: 1-16 RTT測定: 速度測定前後/速度測定中
 データタイプ: 標準 測定クライアント: JavaScript
下り回線
 速度: 36.51Mbps (4.564MByte/sec) 測定品質: 93.6 接続数: 2
 測定前RTT: 39.2ms (37.8ms - 40.3ms)
 測定中RTT: 148ms (80.5ms - 184ms)
上り回線
 速度: 28.69Mbps (3.586MByte/sec) 測定品質: 97.7 接続数: 3
 測定前RTT: 36.9ms (35.8ms - 38.6ms)
 測定中RTT: 202ms (48.0ms - 263ms)
測定者ホスト: om126211116213.13.openmobile.ne.jp
測定時刻: 2018/10/9 04:33:04
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測定サイト http://netspeed.studio-radish.com/
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NichePhone-S

左が初代3G機のモック、右は2代目4G機(ヨドバシカメラ店内で購入時に撮影)

初代の3G対応機。 2017年8月に MAKUAKE にてクラウドファンディング成立、2017年11月より店頭発売

黒と白の2色展開。メーカー型番は MOB-N17-01-BK/WH。 外寸は約90(W)×50(H)×6.5(D)mm、重量は約38g、内蔵充電池は交換不可、電池容量は550mAh。

電池容量は少なく見えるが、通話専用機としては普通。(昔の通話専用機はこれくらいだった。例えば筆者が愛用していたWILLCOMの nine/WILLCOM 9 は 650mAh。省電力のPHSではあるが、画面がずっと大きくてメールやWeb閲覧もできる機種でも普通に使える容量。)

新機種が登場して処分のためか値下がりしているよう(ヨドバシで税込6460円)。2018年10月時点で併売中だが、おそらく在庫限りと思われる。

機能は4G機と似ているが、LTE非対応、ドコモのプラスエリアやソフトバンク・ワイモバイルのいわゆるプラチナバンドに非対応なので、特殊な理由(※)が無い限り非推奨。通話利用に限るとしても Band 1 のみでは非常に不便なので、安くても避けるのが無難。

※都市部の屋外で使えれば充分で、かつドコモの FOMA SIM を自己責任で切って使いたい人とか。まあ切る時点で非推奨だけれど…

参考リンク

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関連機種

  • ストラップフォン - 2012年・2013年モデルのPHS端末。2018年3月で新規契約受付が打ち切られている。
  • Sony Ericsson mini E51SE / Xperia mini Pro - Androidスマートフォン、2011年モデル。3G(W-CDMA)専用機。E51SEは2018年1月に主要対応バンドが停波されている。
  • Unihertz Jelly pro - 2017年モデルの超小型のAndroidスマートフォン、ただし通話用には小さすぎて使いづらく、テザリング用には電池持ちが難。
  • Unihertz Atom - 2018年モデルの超小型のAndroidスマートフォン。Jelly pro よりも電池容量を増やし、性能も向上。本体の厚みは増えたが、課題であった電池持ちを解消した。
  • Rakuten Mini - 2020年 1月発売の小型・薄型Androidスマートフォン。本機と同程度の大きさで、本機よりも電池持ちが良く、さらにおサイフケータイにも対応している。楽天モバイルの無料通話 (Rakuten Link) が使える。USB Type-C 端子を搭載しており、充電やUSBテザリングも使いやすい。SIMフリーだがeSIMのみ対応なので、使えるキャリアは限られる。
  • カードケータイ KY-01L - 京セラ製、NTTドコモ向け。2018年秋モデル。LTE、VoLTE、テザリングにも対応しているが、電池容量は380mAhしかない。
  • ワンナンバーフォン ON01 - ZTE製、NTTドコモ向け。2018年秋モデル。eSIMのためNTTドコモと契約しないと使えない(MVNOでも利用不可)