ソフトバンク

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2021年 3月17日開始の新プラン「メリハリ無制限」

ソフトバンク”は、ソフトバンクが提供するモバイルデータ通信サービスのブランド。

マスコミ等が「メインブランド」と喧伝しているもののひとつ。 イメージキャラクターは白い犬。

ワイモバイル”“LINEMO”ブランドについては別ページでまとめているので、そちらを参照されたい。

Ymobile 5g 20201222.png


対応バンド構成

  • 5G Band n3, n28, n77 (Sub-6), n257 (mmWave)
  • FD-LTE (4G) Band 1, 3, 8, 11, 28(B)
  • TD-LTE (4G) Band 41, 42
  • W-CDMA (3G) Band 1, 8

※太字は主力バンド

n3, n28 と 42(→n77の一部)は公表されている転用帯域、他にも転用されるかもしれない。
3Gは2024年1月31日まで。ただし一部のバンドはすでに打ち切られている。VoLTEに対応していない機種を使っている人は、そろそろ機種変更を考えておくと良いだろう。

スマートフォン等に表示されるキャリア名は「SoftBank」となる。

“ソフトバンク”契約のSIMカードは複雑怪奇に分かれており、しかも他の機種で使えないよう規制されている物が多い

同社が販売する端末に限らず、家電量販店などで購入できるSIMフリー機種も、上記バンドに対応していれば使えるものと期待されるのだが、ソフトバンクショップ(オンラインショップを含む)以外で購入した端末は無保証・ノーサポート。現在は同じ会社になっている“ワイモバイル”ブランドで販売している機種もノーサポート。

しかも、“ソフトバンク”ブランドで契約したSIM (USIM) には規制のかけられた特殊な物が多く、他社の端末はおろか、同じ“ソフトバンク”ブランドで販売している他の機種ですら動かないよう細工されているものが多く、詳しい人の間では問題視されている(右図)。

このSIMカードの制限(IMEI規制などと呼ばれる)は解除に向けて調査中だそうだが、具体的な解除日等は未公表SIMカードを自由に差し替えて使いたい人には、“ソフトバンク”ブランドでの契約は避けて、同じ電波を割安に使える“ワイモバイル”や“LINEMOラインモ”で契約するのが無難だ。

ちなみに現在はSIMのみでも契約できるようになっており、この場合はIMEI規制のないSIMカードが発行されるので、ノーサポートではあるが、他の機種に差し替えて使える。
その後の情報では、この制限は、2022年夏をめどに撤廃するそうだ。⇒ソフトバンク、iPhoneとAndroidでSIMの流用が可能に 2022年夏をめどに(ITmedia Mobile、2022年 2月21日)


エリア

電波や使えるエリアは“ワイモバイル”や“LINEMO”と同じ。

昔はソフトバンク(当時はソフトバンクモバイル)といえば山間部などで使い物にならなかったが、2012年にプラチナバンドを獲得してからは一挙に改善し、現在は登山道などの無住地域を除いて遜色なく、概ね全国で快適に使えるようになった。

また、ソフトバンクはかつてプラチナバンドを使えなかった頃に、都市部を中心に Band 1 の基地局を建てまくったので、都市部ではむしろ他のキャリアよりも快適に使えることが多い。

一方、山間部に行ってエリアの端付近に行くとデータが流れない(圏内表示なのに使えない)ことも多い。例えば奥日光戦場ヶ原などはエリアマップを見ると 4G LTE 圏内になっており、実際に現地へ行くと、アンテナピクトは出るのだが、ほとんどデータが流れない。

こうした山間部などでは今もなおドコモの方が使いやすい傾向がある(auは多少地域差はあるが、尾瀬などの一部を除いてソフトバンクと大差ない)。

スマートフォン向け料金プラン

メリハリ無制限

NTTドコモの新料金プラン「ギガホ プレミア」への対抗で登場した、“ソフトバンク”ブランドの新プラン2020年12月22日発表、2021年3月17日開始予定。1プランで4G5Gの両方に対応3G対応可否は不明)。

プラン名の通り、スマートフォン単体でのデータ容量は無制限になる(テザリングデータシェアは合計30GBまでに制限される)。

料金は競合の「5Gギガホ プレミア」よりわずかに安くなるよう設定され、3GB未満の利用月は自動的に税別1,500円の値引きが入る作り込みも同じ。実際、「ギガホ プレミア」はよく出来ていたと思う。

だが、使ったデータ量によって料金が変わる「メリハリ」プランは我々が先駆者だ主張されていた

ドコモではVoLTE未対応の端末で5G対応SIMを使ったときなどに不具合が生じることがあるが、ソフトバンクにはそれが無いようなので、ソフトバンクでは4Gプランと5Gプランを分けず一本化してきた。その面でも、とてもシンプルになっている。

ただし、“ソフトバンク”で契約したSIMカードは Android と iPhone を区別する(≒ユーザーがSIMフリー端末などを購入して差し替えて使うことが難しい)など、使い勝手が悪い。 プランだけでなくSIMカードなども一本化されて、SIMフリー機種なども含めて利用できる機種が無制限になるのか否かは注視したいところだ。

2021年2月18日の発表会後の質疑応答では、「iPhoneのSIMがAndroidでささらない(使えない)、AndroidのSIMがiPhoneにささらない(使えない)という問題点につきましては、解決する方向で準備を進めております」と言っていた。今は技術的な課題等洗い出しをしているので時期は未定だがSIMは同一化していく方針だそうだ。→SIMを同一化するかは不明だが、制限は2022年夏をめどに撤廃するそうだ。

ちなみに2021年 7月14日よりeSIMを使えるようになった。eSIMの再発行はオンラインでできて無料だが、SIMカードからeSIMへ、またはeSIMからSIMカードへ変更する場合は、ソフトバンクショップに出向いて機種変更手続きする必要がある(手数料3,300円、2023年 6月からは3,850円)。

MNO3社のSIMカードの種類(総務省資料、2020年5月現在) “ソフトバンク”は機種により異なるSIMカードが発行されるので複雑怪奇で使い勝手が悪い

2021年3月以降、“ソフトバンク”はこのプランに実質一本化された。大容量を使いたい人はこれ、容量30GB以下で足りる人は“ワイモバイル”や“LINEMO”と、きれいに住み分けができている。

“ソフトバンク”ブランドでは他に「#ミニフィットプラン+」(ドコモの「ギガライト」に相当)と#データ通信専用50GBプランが新たに設定されたが、「ミニフィットプラン+」をあえて選ぶ理由はほとんど無さそうなので、2021年3月17日以降のソフトバンクショップでは「メリハリ無制限」が主力商品となりそうだ。

後述する#ミニフィットプラン+は選ぶ理由を見出せない。他に、3Gガラケーから移行する人に限り契約できる「スマホデビュープラン」(3GBまで 2,178円)があるが、対象者が限られるので割愛。
ただし、テザリングやデータシェアは合計30GBまでに制限されるので、実質30GBプランとなり、ワイモバイルの「シンプルL」並み。テザリングやパソコン・タブレット等のデータ端末をよく使う人は、別途#データ通信専用50GBプランを利用するか、“ワイモバイル”や“LINEMO”などを複数契約して使い分ける方が良い

ミニフィットプラン+

従来の「ミニフィットプラン」を改定したもの。12月22日の発表会後の質疑では「すぐ停止することはない」「しばらくは並走」と言っていたが、早速改定されることになったようだ。 しかし、わざわざこれを選ぶ意味がわからない(後述)。

位置づけはドコモの「ギガライト」に近いが、月間データ使用量に応じて1GBごとに細かく料金が設定されるとともに、3GBまでで頭打ちになり、少容量プランとしての位置づけが明確化された。

気になる料金は、データ使用量に応じた段階制料金で、1GBまでで3,278円(税別2,980円)、2GBまでで4,378円(税別3,980円)、3GBまでで5,478円(税別4,980円)。3GB超は最大128kbpsに規制される(別料金でデータチャージ可)。

なお、光セット割(税別1,000円引き)は適用になるが、家族割は適用外(回線数カウント対象にはなる)。

この価格では話にならず、3GB以下ならば光セットor家族割適用で990円まで下がるワイモバイル「シンプルS」にするのが賢明だろう。

なお、従来の「ミニフィットプラン」は「4G/5G対応機種での新規申し込み受け付けも同日、終了」と発表された。3G機種を使い続けているユーザーは引き続き契約できるとも読めるが、3G機種の一般向け販売は終了しているので、実質終了と考えて差し支えないだろう。

“ソフトバンク”と“ワイモバイル”を行き来する際の注意点

ソフトバンクの3ブランド展開

“ソフトバンク”と“ワイモバイル”は同じ会社のサービスにもかかわらず、“ソフトバンク”の各プランから“ワイモバイル”の各プランに変更する、またはその逆は、MNP(のりかえ)扱いとなる。

新たに始まった“LINEMO”は、ホームページでは「ソフトバンクのブランドとして提供」するとしている一方で、発表会では「そのお客様にとってのメインブランド」「ワイモバイルと同じような形で」「新たなブランド」などと説明されていたので、どうなるのかわからない(笑)。 先日ドコモの新社長が威風堂々とサブブランド論議をぶった切っていたが、そこに言葉を選びながらも相乗りしてきたね。

“ソフトバンク”の従来プランから「メリハリ無制限」に切り替えるのは、おそらく容易なプラン変更手続きでできるようになると思われるが、切り替えると旧プランに戻ることはできなくなる。唯一「ミニフィットプラン+」への変更はできるが、あまり意味があるようには思えない。

現行の「メリハリプラン」の申し込みは、「メリハリ無制限」の提供開始に合わせて受付終了となる。「スマホデビュープラン」への変更は実質不可。

“ソフトバンク”は今後「メリハリ無制限」のみの実質1プランになりそうなので、あまり使わないから料金を安くしたいと思っても、“LINEMO”“ワイモバイル”や他社に「のりかえ」る以外の選択肢はなく、面倒な手続きが発生するので、毎月のように気軽に「のりかえ」るわけにはいかないだろう。

現在はMNP転出手数料や契約事務手数料を請求されるが、3月17日から無料化される予定。ブランド間の乗り換え時の契約解除料はキャンペーン扱いで無料化される。

ワイモバイル同士であれば、シンプルS/M/Lの間のプラン変更は容易なので(My Y!mobileからオンラインで手続きできる)、必要に応じて毎月でもプラン変更できるし、その度に家族割を組み直すといった手間もない。

また、“ソフトバンク”と“ワイモバイル”では家族割引サービスも別扱いになるため、例えば主回線では無制限プランを使って、家族が使う副回線ではワイモバイルを使う、といった使い分けに不自由する(割引サービスを受けられない)。

端末(機種)も“ソフトバンク”と“ワイモバイル”で別々のラインアップになっているため、普段はWi-Fiを使うのでデータ容量はワイモバイルのプランがちょうどいいが端末はハイエンドを使いたい、逆に端末は廉価版でいいからソフトバンクで大容量プランを使いたい、といったニーズにも応えきれていない(中古端末を購入してSIMのみ契約すれば可能だが)。

こうした縦割りの弊害は存置されたまま、2021年3月以降は、さらに第3のブランド“LINEMO”が加わることになる。2020年12月22日の発表会後の質疑でも記者から質問が出ていたが、言葉を濁して逃げていたので(「ブランドの妙」って何?)、この縦割りの弊害を解消する気はなさそうだ。

Softbank 20210204 multibrand.jpg

データ通信専用プラン

“ソフトバンク”ブランドで提供される、通話不可データ専用プランで、4G5Gデータ通信を使える。

SMSは使えるが従量課金。データチャージ、国際ローミングは別料金だが、米国に限り「アメリカ放題」を利用できる。

契約はわざわざショップへ出向く必要がないオンラインでの契約がお勧め。オンラインで契約するとSIMカードは後日佐川急便で送られてくる。SIMカードやAPNの設定は自分でする必要があるが、事務手数料がかからないぶんお得だ。

もちろん街中のソフトバンクショップでも契約できるが、ショップで契約すると別途契約事務手数料3,300円2023年 6月からは3,850円)がかかる。

期間契約(解約金)は無いが、解約月は満額請求となる。

CSFB通話・VoLTE通話に対応しないということであり、SIPが規制されているわけではない…と思う。

データ通信専用50GBプラン

2021年 2月18日発表、3月17日開始。月々50GBまで使えて、月額5,280円(税別4,800円

モバイルルータ等でデータ通信をたくさん使いたい場合は、LINEMOなどの20GBプランを複数契約するよりもややお得になりそうだ(50GBでも足りない場合は UQ WiMAX を検討しよう)。 ただし、LTE内蔵パソコンやタブレットなど複数の機器を使いたい場合は、LINEMOワイモバイルなどを複数契約して使う方が使い勝手が良いかもしれない。

最低限必要な「基本プラン(データ)」税別980円と、「データプラン50GB」税別3,820円の合算。

データ通信専用3GBプラン

2021年 8月17日発表、8月18日開始。月額1,408円(税別1,280円だが、契約から5年間はキャンペーンで月額990円(税別900円)で使える。

タブレット端末などのデータ端末で使うのに適したプラン。契約から5年間の期間限定値引きが入っているが、契約期間の縛りや解約金は無いので、5年以内に解約・再契約すれば良さそうだ…まあ5年も経ったらもっと値下がりしていそうだが(^^;。

ただし、3GB以上使うと最大128kbpsの厳しい規制がかかり、データ容量の追加は500MBで605円、1GBで1,100円と高額。

むしろ、使いたい時だけ購入できる「時間制ギガ無制限オプション」を利用する方が良いだろう。1時間で110円、3時間で220円、6時間で330円、12時間で440円、24時間では550円で使える。povo 2.0 の「データ使い放題(24時間)」(330円)よりは高いが、1時間や3時間で足りる場合にはお得だ。

もっとも、povo 2.0 は月額基本料が0円だが、“ソフトバンク”は毎月990円はかかる。その替わり(?)、“ソフトバンク”ならではの特典が漏れなく付いてくる。具体的には「スマートログイン」と「アメリカ放題」。

スマートログイン」は、「Yahoo!プレミアム」会員特典を無料で利用できるので、「Yahoo!ショッピング」「ヤフオク」「ebookjapan」などのYahoo系サービスをお得に利用できる。特に「Yahoo!ショッピング」「PayPayモール」では追加のポイント還元施策を受けられたりするので、ネット通販を利用しているなら元を取れるだろう。

もうひとつ、「アメリカ放題」も無料で付いてくる。これは字義通り、米国でデータ通信が使い放題になる(データプランなので通話はできない)。今のご時世、恩恵がある人は極めて限定的だろうが、国内分3GBとは別に使い放題なので、時々でも米国へ行く人にとっては非常にお得だ。

もっとも、「スマートログイン」や「アメリカ放題」が不要な人も多いだろう。そういう人には povo 2.0LINEMO「ミニプラン」を契約する方が手っ取り早くてお得だ。LINEMOならば3GB超過後の規制は300kbpsだし、データ容量の追加も1GBあたり550円と半額で済む。iPadなどのeSIMを使える端末なら、オンライン契約してすぐに使えるようになる。

または、タブレットやLTE内蔵パソコンなど複数の機器を使う人は、スマートフォンと容量をシェアできるワイモバイルの「シェアプラン」などを使う方がお得になることが多い。

なお、家族割や「おうち割 光セット」等は併用不可。

最低限必要な「基本プラン(データ)」税別980円と、「データプラン3GB」税別300円の合算。
eKYCで毎日9時~20時の間に手続きが完了した場合。

余談

余談は執筆当時の内容。後で変更等された事項にあえて触れておらず、そもそも余談なので、重要なことは書いていない。古い話に興味が無い人は読み飛ばしていただきたい。

SoftBank on LINE

ソフトバンクのブランドとして提供」すると強調されている

LINEMOの「コンセプト」が2020年12月22日に発表された時点では、「SoftBank on LINE」(ソフトバンク オン ライン)と呼ばれていた。

名前の由来は仮想世界…ではなく、「お客様が誤解しないようにソフトバンク株式会社が提供するオンライン専用LINEのプラットフォーム活用を表す名前にしたそうだ。

2021年 2月18日に追加発表され、以降「LINEMO」(ラインモ)と呼ばれるようになった。

当初、データ通信は4G5Gを20GBまで使え、通話5分定額を含めて月額3,278円税別2,980円)と発表されていたが、2月18日発表にて通話5分定額が切り離されて月額2,728円税別2,480円、通話5分定額は月額550円のオプションとして提供)に改定された。

要は、当初はahamoに合わせていたが、後日発表されたpovoに合わせて改定される格好になった。

発表会の様子

2020.12.22

ソフトバンク株式会社 新しい料金サービスに関する発表会(2020年12月22日開催)プレゼン資料

2021.02.18

オンライン専用新ブランドに関する発表会(2021年2月18日)プレゼン資料

振り回されるLINEモバイル

親会社からLINEモバイルの終了が発表された当日の公式twitterのコメント

前月まで「ソフトバンクブランドの値下げについてはまったく思っていない」と言っていたソフトバンクは、競合のahamo発表からわずか20日足らずの間に大鉈を振るい、2020年12月22日、全ブランドの刷新とともに、LINEモバイル」事業の終了発表された

2021年3月の「SoftBank on LINE」のサービスインをもって、既存の「LINEモバイル」は新規受付を停止し、これからは「SoftBank on LINE」一本にすると、質疑の中で説明されていた。既存客への移行や引き続きの利用については今後説明するという。

いろんな意味でahamoに劣らない衝撃的な発表だったと思うが、ソフトバンクは同日付けで「当社によるLINEモバイル株式会社の完全子会社化および吸収合併に向けた検討に関するお知らせ(PDF形式)」というプレスリリースを出している。

一方、「スマホ基本料ワンコイン」で頑張ってきたLINEモバイルは、同日付け公式twitterで「本日ソフトバンク株式会社より、LINEを利用した新しいプラン「SoftBank on LINE」の発表がありましたが、「LINEモバイル」をお使いの皆様は、引き続き、現在の契約内容でご利用いただけます。よろしくお願い申し上げます。」とメッセージを出した(右上図)。

続いて「「SoftBank on LINE」発表に伴う「LINEモバイル」のサービスに関して(サービスは継続・強制移行はありません)」と発表され、LINEモバイルのサービスを終了する予定はないとされた。また、「LINEモバイルの新規申込の受付終了に関しては、ソフトバンク株式会社およびLINE株式会社で協議をしていく予定」(これ以外は未定)だとしている。親会社の意向次第にはなるが、当のLINEモバイルにはまだ続ける気があるぞという気持ちが表れている。

よく見ると小さく(協議予定)と書かれているが…3月に間に合わせるべく頑張っているそうだ(-_-;

LINEモバイルの終了・吸収の話、発表会ではすでに決まったことのように断定口調で話されていたが、実は今後協議することであり、今はまだ検討することが決まった段階だという。あまりの急展開だったが、当事者にも寝耳に水だったのだろう。

LINEモバイルにソフトバンクが出資したときも、LINEZHD(ヤフー)と合併する話も、唐突に出てきた感があったが、今回はその比ではなかったように思う。

発表会後の質疑応答に対応した、ソフトバンクの役員3名。中央の榛葉氏が全ての質問に答えていたが、向かって右手の寺尾洋幸氏はワイモバイルの担当。新たに登場するLINEはソフトバンクを担当する菅野圭吾氏が担当になるのだろうか?

元々ソフトバンクは競合他社を弱らせてから吸収し、取り込んだ人材をうまく使って大きくなってきた。イー・モバイルにせよ、WILLCOMにせよ。今回のLINEは競合ではないが、強引に吸収する手腕は重なって映る。

ahamo対抗でソフトバンクが「LINE」を切り札にしたい気持ちはわかるが、今回の話は少々焦りすぎにも見える。この話、うまくまとまるのだろうか。LINEモバイルの既存ユーザーはどうなるのだろうか。吸収後のLINEモバイルは、果たしてうまく機能するのだろうか?

(まあ、嘉戸氏を役員に招き入れるくらいのことはするかもね。NTTやKDDIとソフトバンクの最大の違いは、そうした大胆な人事が出来うるかどうか、なのかも。)

「LINEモバイル」はソフトバンクが51%出資して子会社化したものの、元々は独立したLINEMVNOとして始まっており、ドコモやauの回線も販売しているし、サポート等の問い合わせをLINEトークで受け付けるとともに、一部家電量販店などの店頭に代理店窓口も設けている。

唐突に出てきた「LINEモバイル」の完全子会社化だが、そうなればドコモやauの回線販売は打ち切られるだろう。では「LINEモバイル」を吸収する狙いは何だろうか。単に「LINE」ブランドが重複しないよう閉鎖したいということかもしれないが、またはLINEモバイルの運営陣をソフトバンクに招き入れたいのか、実績あるLINEを使ったサポートや販売体制などを引き継ぎたいのかもしれない。

今はまだ憶測しかできないが、2021年3月までには見えてくることだろう。

LINEモバイル増量

終了を目前に控えた2021年 3月 5日に、翌4月からのデータ増量が発表された

LINEモバイルではベーシックプランに限り、4月からデータ容量を増やし、ネットワーク増強も予定しているという。データSIM 500MBプラン(660円)は2GBに増量されるし、12GBプランは30GBに増量される。データSIMを使いたい人や、大容量を安く使いたい人には良さそうだ。

データ容量
(3月まで → 4月から)
月額基本利用料(変更なし)
データSIM 音声通話SIM
500MB → 2GB 660円 1,210円
3GB → 5GB 1,078円 1,628円
6GB → 10GB 1,870円 2,420円
12GB → 30GB 2,970円 3,520円

3月31日までに「ベーシックプラン」を契約した人は、増量の対象になる。すでに店頭での新規受付は打ち切られているが、公式ホームページからの申し込みは 3月31日 午前11時まで受け付けているので、格安データプランを探している人などは、必要に応じ駆け込み契約しても良いかもしれない。→終了

既存の利用者は4月以降もそのまま使えると案内されているが、増量対象はベーシックプランのみで、LINEフリー、コミュニケーションフリー、MUSIC+は対象外。LINEモバイルの看板であったLINEフリーなどのプランから、ベーシックプランへの移行を促す狙いもあるのだろうか?

移行させる理由は不明だが、LINEモバイルは元々ドコモ系のNTTcomMVNEで、後からソフトバンクグループに入ったので、MVNEの変更といった提供側の都合があるのだろうか?

また、3月31日午前11時以降は、既存の契約者を含め、ドコモ回線・au回線への回線変更はできなくなる。これはLINEモバイルがソフトバンク直営になるための措置と思われる。

加えて、「ベーシックプラン」以外をドコモ回線で利用している場合、4月 6日以降はVoLTEを使えなくなると告知された。これもLINEモバイルがソフトバンク直営になることと関係あるのだろうか(ドコモは予てより、MNOによるMVNOの運営を批判していた)。

ちなみに現在は「ベーシックプラン」+「データフリーオプション」で、SNSや音楽配信サービスのゼロカウントを提供しているので、プラン変更する手間はかかるが、LINEモバイルの特徴であったSNSデータフリーは引き続き利用できる

細かい条件の差異は把握していないので、利用しているサービスが対象になるかは個別に確認してほしい。本来は、こういう丁寧な案内はLINEモバイルが率先してすべきだと思うのだが…

しかし、「3/31(水)以降も、引き続き現在の契約内容でご利用いただけます」と言っていたのに、こんな大事なことを1ヶ月前に告知するのはどうなのかと思う。

そもそも同社では「(ソフトバンクよりも)ドコモ回線の方にニーズがある」と言っていたし、LINEモバイルのユーザー層は20代後半が最も多く」「20代の9割以上は「コミュニケーションフリー」プランを選んでいるという話もあった。すると「旧プラン」利用している人が多いと思われるし、それから2年でこの構造がひっくり返ったとも考えづらい。旧プランだと言ってばっさり切るには大きすぎるのではなかろうか?

まあ打ち切られるブランドに多くを期待しても仕方ないのだが…

LINEモバイル終了

LINEモバイルからは2021年 1月28日付けで、3/31(水)11時に新規申込を終了すると告知された。

ただし、家電量販店などの店舗での契約は 2月28日までで終了した(店舗ごとに異なるので個別に確認するよう案内されていた)。

終了前に契約した人は継続して利用できる。また、「LINEモバイルをご利用中の皆様を、お客様の同意なくソフトバンク社の新プラン等に強制移行することはありません。」と案内されている(案内するまでもなく当たり前だとは思うが)。

続いて、2月18日に開催された発表会にはLINEの舛田CSMOも登壇し、新ブランド「LINEMO」の「3つのフリー」(チャット、音声・ビデオ通話、LINEスタンプ)をアピールするなど、期待を語っていた。

ソフトバンクは当事者との調整前に大々的に発表会を開き、子会社のLINEモバイルを混乱に陥れたものの、その後、無事に親会社LINEとの合意ができたことをアピールする格好になった。

また、新ブランドとして発表した「SoftBank on LINE」を後から「コンセプト」と言い直すなど、浮き足立った感もあったが、なんとか想定通りにまとめたようだ(裏で強引にまとめたのかもしれないが知る由も無し^^;)。

ちなみに、本田翼さんのCMは続投。まさかこれが狙いで…ぃゃぃゃ

会見のライブ配信では新CMとビデオメッセージが流れていたけれど、オンデマンド配信ではカットされてるね。新CMはSB公式YouTubeチャンネルで時々配信されている。

まあそんなこんなで、LINEモバイル株式会社は 4月 9日付けでソフトバンクの完全子会社になった。じきにソフトバンクに吸収合併され、ソフトバンク直営の1ブランドになる予定。

これで幕引きかと思いきや、2021年 7月から500MB以下の月は基本料が無料(ユニバ料などは別途)になるキャンペーンが始まるようだ。また、ソフトバンク回線に限りデータ容量が倍に増量される。

とはいえ、すでに新規契約は打ち切られているので、流出抑止&ソフトバンク回線への誘導策だろうが、こういうの、LINEMOで展開してくれないかな…LINEMOは1プランにこだわらなくてもいいように思うし、むしろ楽天対抗の段階制プランとかになったら面白いのに:)。

ミニプラン登場

と思っていたのは筆者だけではなかったようで、2021年 7月15日、LINEMOの2つめのプラン「ミニプラン」が発表された。3GBを月額990円で、1回線から使える。

(そうは言っていなかったようだが)このタイミングで出てきたのは、おそらくUQモバイル「でんき割」への対抗なのだろう。

ワイモバイルショップを見ていると、手続きよりもサポートで訪れている人をよく見かける。ワイモバイルショップは前身のWILLCOM・EMOBILEの頃から全国展開していたから、ショップサポートは当たり前のサービスになっている感がある。

かたや、UQモバイルもauショップでの取扱を拡大してはいるが、後発なだけに、今はまだオンラインと家電量販店での契約が主だと思う。

UQへの対抗は必須だが、展開済みの店頭サポートコストを加味すると安易な価格対抗もできず、家族割を崩したくはなかったのだろう。そこで、第3のブランドを使って対抗を試みることにしたのかな思われた。

YMとLINEMOを担当する寺尾常務の発表会見で広範に語られていた内容が興味深いが(動画配信が無いのが残念)、「ミニプラン」追加の主な狙いは旧「LINEモバイル」からの移行促進で、楽天対抗も意識したそうだ。

段階制の1プランや、使わない月だけ安くなる組み立ても検討したようだが、それはせず、ユーザーに月々使いたい容量を選択してもらうことを重視したようだ。

たしかに、意図せず使いすぎてしまうことを嫌がる人は少なくないと思う。特にOSが積極的にバックグラウンド通信するiPhoneでは、慎重に使っている筆者ですら意図せず使いすぎてしまうことがある。端末の設定に詳しくない人は尚更だと思う。

料金に敏感な人の中にも、必要なだけ使いたいという人もいれば、予算の範囲で使いたいという人もいるだろうから、(プラン設計については)前者は楽天が、後者はLINEMOが適しているというわけだ。

MVNOでもイオンモバイルが似たような着想で1GB刻みの料金プランを出してきたが、格安SIMは予算を優先する人に多く使われているし、そうした既存ユーザーに好評だと聞く。

しかし、LINEMOでは3GB・990円の次が20GB・2,728円になってしまい、中間がない。もう少し選択肢を増やさないと、「スマホ基本料ワンコイン」で集客したLINEモバイルのユーザーは移行しづらいのではという気がする

まあそれも当然考えてはいるのだろうが、LINEモバイルのボリュームゾーンが3GB以下だそうなので、まずはそこの移行促進を図りつつ、様子を見ながら中間も考えることになるのだろう。

IIJmioのように1GBあたり220円くらいで追加できるのであれば、ワイモバイルの「快適モード」のような仕組みを入れる方法もあると思うが、LINEMOは1GBあたり550円もするので、現実的ではないだろう。

競争環境を維持・拡充できるのか

上述の通り、「SoftBank on LINE」改め「LINEMO」は、これまでワイモバイルを担当してきた寺尾常務が担当することになったようだが、ワイモバイルでは量販店中心にSIMフリー機種とのセット販売も展開し、eKYCもAmazon経由の契約などで早くから試行していたし、ソフトバンクでは初めてとなるeSIMにも当初から対応できるということで、どこか鈍重なドコモに対して、フットワークの軽さを見せた。

手札をたくさん用意しておいて、競合の出方を見ながら器用に組み合わせて出してゆく手法はソフトバンクの得意技だが、この手法は3番手だから有効なのであって、競合がいなくなったらこの会社は伸びなくなることを意味する。

その意味でも競争は大事。ただし外部不経済を生まないよう健全な競争環境を整える必要がある。それは政策当局の役割だ。

今は政権与党の過度な口出しプラチナバンドを持たない新規参入で混乱している節があるが、市場規模が限られ、人口減少に向かう中で、市場拡大を前提にした従来の競争政策は限界を迎えている。MVNOの制度面での支援を含めて、総務省には競争政策をきっちり立て直してほしいものだ。

参考リンク

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