楽天モバイル

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#MNOサービス Rakuten UN-LIMIT

楽天モバイル(らくてん - )は、楽天グループが提供するモバイル通信サービスと、その提供会社。

2019年9月まではMVNO専業だが、2019年10月よりMNOサービス(楽天回線)試験サービスを開始。2020年 4月 8日より一般サービス開始予定(2020年3月3日発表)。

2020年 4月 7日まで受付中の#MVNOサービス(ドコモ回線・au回線)と、同年 4月 8日より開始予定の#MNOサービス(楽天回線)は似て非なる物なので、各々の項を参照されたい。

当初は楽天グループ本社(楽天株式会社)が直営していたが、同社がMNO事業へ参入するに際し、2019年4月より楽天モバイルに分社化された。ただしインターネット網の運営は同グループ子会社の楽天コミュニケーションズ(旧フュージョン・コミュニケーションズ)が担っているようだ。また、通話も一部を同社が担っている(→#スーパーホーダイ)。

MVNOサービス

RakutenMobile SIM package.jpg

NTTドコモ網とau網を借りて提供されており、同社では各々「ドコモ回線」「au回線」と呼んでいる。(「Dプラン」「タイプA」のような書き方をするMVNO事業者が多いので、直接的な呼称は珍しい。)

2019年10月以降に契約した場合は、全プランで契約期間の縛り無し。 #MNOサービス開始に伴い、MVNOサービスの新規契約は2020年 4月 7日で打ち切られる

SIMのみの提供と端末セット提供のいずれも行っており、SIMのみで契約する人向けに対応端末の情報提供が行われている。 販売端末は全てSIMフリーで、Huawei nova 5TAQUOS R2 compact などの準ハイエンドから、OPPO Reno A や A5 2020 などのミッドレンジ、Galaxy A7 や arrows RX などのローエンドまで、幅広い機種を展開している。

現在同社で販売している端末は全回線(ドコモ回線、au回線、楽天回線)に対応しており、全てSIMフリーの機種なので、もし他社に乗り換える場合も、端末はそのまま使うことができる。

また、楽天カードを作る必要があるものの、楽天カードで料金を支払うと、端末代金の24回・48回払いの金利・手数料が無料になる。この分割払いは楽天カードが実施するもので、回線契約とは分離されているので(キャリアでは一括請求済みと同じ扱いになる)、回線を解約しても端末代金の分割払いは継続される(繰上返済や端末返却を求められる心配が無い)。

2019年10月からの変更点

2019年夏頃までは OPPO AX7 を5千円ほどの格安で販売するなど、「三木谷割」と呼ばれる特価販売が定番化していた。

しかし、2019年10月以降の新規契約(MNPを含む)では端末値引きが規制されるとともに、最低利用期間(契約解除料)および長期割(長期契約を結ぶことを条件とする値引き)が撤廃された。 また、「スーパーホーダイ」プランに限り楽天会員に適用される「楽天会員割」の値引き期間が1年に短縮されるとともに、月額1,500円に増額された(総額では旧2年契約時の値引き額と同等となっている)。

ドコモ回線

文字通り、NTTドコモの回線を使うMVNOサービス。

2014年10月開始。以前はNTTPCコミュニケーションズ(MVNE)の回線を借りてサービス提供していた(APN: vdm.jp)が、2015年10月頃から直接接続(L2接続)を開始した(APN: rmobile.jp)。 2017年2月にはALADIN(ドコモの顧客管理システム)への接続も実施しており、以降、MNP転入の際はSIM着荷後にユーザ側で切り替えられる(同社では「ご自宅MNP」と呼んでいる)。

同社が推奨する「スーパーホーダイ」はドコモ回線でのみ利用できる(#au回線は「組み合わせプラン」のみ)。

スーパーホーダイ

2017年9月より始まった料金プラン。対して従来の料金プランは「#組み合わせプラン」と呼ばれる。

スーパーホーダイ」は現在同社の主力プラン。「最大1Mbpsでデータ使い放題」と「10分以内の国内通話かけ放題」が謳われているプランだが、各々に「罠」があり、向いている人には良いが、向かない人もいるので、注意したい。

おのずと通話がセットになるので、データSIM(SMS付を含む)の提供は無い。通話が不要な人は「#組み合わせプラン」を利用すれば良い。

データ通信については、通信内容によって制限がかけられている傾向がある。例えばYouTubeなどの動画やSNSを見るときには辛うじて見られる程度だが、Google play などのアプリアップデートは深夜などの閑散時間帯でもないとまず使い物にならないくらい厳しい規制がかけられる傾向がある。 つまり、自宅などで Wi-Fi が使えないと、楽天モバイルのみでの運用は厳しいだろう。

通話は、専用の通話発信アプリ(Androidのみ)を使った発信に限り「10分以内の国内通話かけ放題」が適用される。厳密に言うとプレフィクス方式なので、iPhoneでも電話番号の先頭にプレフィクス番号「003768」を付けて発信すれば適用になるが、正直、使いづらさがある。

※プレフィクス番号の0037は楽天コミュニケーションズの識別番号。つまり中継電話サービスの一種。楽天コミュニケーションズを経由することでドコモ(またはKDDI)に支払う接続料を減らし、通話料を引き下げている。

また、データ通信が「快適」と謳われているが、ワイモバイルの「スマホプラン」やUQモバイルの「おしゃべりプラン」等と比べると使い勝手には雲泥の差がある。感じ方には個人差があるだろうが、楽天モバイル(MVNO)はデータ量(ギガ)が残っていてもすこぶる遅いので、データ容量の大きなプランを契約すると損した気分になると思う。プランS以外の契約を考えている人は、素直にワイモバイルやUQモバイルを選ぶ方が良いと思う。

これらの「罠」を大した問題ではないと思う人は、楽天モバイル(MVNO)を検討すると良いだろう。 気になる人は、他社のサービスを検討すると良いだろう。

組み合わせプラン

「組み合わせプラン」は、MVNOによくある形態(月間データ通信量で選択する基本プラン+通話オプション)になっている。同社ではあまり推していないようだが、普通に契約できる。

通話SIMであれば、相互にプラン変更可能。ただし、2019年 9月以前に「スーパーホーダイ」を契約した人が1年以内に「組み合わせプラン」へ変更すると違約金を請求されることがあるので要注意。

なお、通話の10分定額サービスは「組み合わせプラン」でも別料金(月額850円税別)で利用できる

au回線

au(KDDI)の回線を使うMVNOサービス。「#組み合わせプラン」のみで選択できる。

楽天ではサービス開始以降しばらく#ドコモ回線のみを提供していたが、2018年10月よりau回線の提供を始めた。

ただし選択できる料金プランは従来の「組み合わせプラン」のみで、同社が推している「#スーパーホーダイ」ではau回線を利用できない。また、au回線の利用はホームページから申し込んだ時のみ可能で、店頭契約ではau回線を選択できない(店頭ではドコモ一択)など、差をつけている。開始から1年あまり経った今もなおこの状況が続いており、同社はau回線をなぜ提供したのか、いまいち位置づけがわからない。

APNは a.rmobile.jp だが、MVNEIIJのようで、インターネット接続時にIIJのIPアドレスが使われる(ドメインvmobile.jp)。そのためIIJmioと同様にIPv4ではプライベートアドレスが割り当てられるが、IPv4/v6デュアルスタックになっており、IPv6グローバルアドレスを同時に利用でき、その意味では使い勝手が良くなっている。

ただし、実効伝送レート(いわゆる通信速度)はお察し(;_;)。とりわけping値の悪さが目立つ。 もっとも筆者はIIJmioも契約しているが、そちらも五十歩百歩で遅い(ここまで悪くはないが…でも悪いので諦めて電測くらいにしか使っていないため影響はない)ので、楽天が悪いというよりIIJが遅いのかもしれないが。

公式Webページからau回線を申し込むと、契約事務手数料(3406円)が無料になるキャンペーンが実施されている(2019年9月まで)。

au回線からドコモ回線へ(または逆)の変更はできない。

同社MVNOサービス au回線(MVNEはIIJ)での測定例。比較的空いている平日の午前11時台でこんな感じ。平均伝送レート(速度)も良くないが、ping値の悪さが目立つ。混雑する平日の12時台は測定不能だった。

雑感

以前はスピードテストのみ増速しているという指摘を受けることもあった同社だが、指摘が増えるにつれ、さすがにそれは無くなったのかな。 でも残念ながら底上げされたわけではないようで、筆者の感覚では、正直、使い勝手が悪い。

例えば、近頃流行りのナントカPayを使おうと思っても、そもそもアプリが起動しない。店頭でサッと起動しないだけでもストレスが溜まるのに、楽天モバイルを使っているとそもそもアプリが起動しないので、決済できない。(モバイルSuicaなどの通信断の状態でも使える決済サービスはもちろん使える。ただしチャージやグリーン券購入、特急券ダウンロードなどができないことがある。)

スマート留守電宅急便などの通知も遅れてやって来る。平日の昼や夕方はほぼ圏外になると考えておくと慌てなくて良い。

携帯電話屋の店員と話していて、楽天モバイルを使っていると言うと、ほぼ例外なく開口一番に「遅いでしょ」「使えないでしょ」と言われるので(笑)、個人の感想に留まらず、おそらく共通認識なのだろう。

筆者が使っているのは#au回線だが、聞くところ#ドコモ回線も評判が悪いので、おそらく大差ないのだろう。

もっとも、筆者は予備の予備くらいにしか使っていない(普段MVNO回線はBIGLOBEをよく使っており快適)ので構わないのだが、正直、筆者は楽天モバイル(やIIJmio)をメインにする気にはなれない。

とはいえ明らかに安くなるので、通話とメール・メッセージが主で、たまにWebなどをそこそこ使えれば充分といったライトユーザー向けには良いだろうし、そういう市場は決して小さくないだろう。

ちなみに筆者は IIJmio も使っているが、技術で定評のあるIIJmioも、筆者の感覚では大差ない。楽天モバイルほどひどくはないものの、やはり使い勝手は悪いと言わざるを得ない。さすがにナントカPayが起動しないとかモバイルSuicaのチャージができないといった酷さはないものの、地図などは厳しい。混雑時間帯(平日の12~13時、17~20時頃)は使えないと思っておく方が良い。

一方で、同様に同業者(笑)の間では評判が悪いフリービット(MVNE)を使ったTONEモバイルは、使う人によっては不満がないという。 フリービットの回線は、いわゆる通信速度(平均伝送レート)は悪い(=大きなデータの転送は遅い)が、ping値が小さい(=反応が良い)と聞く。 もちろん、TONEモバイルは子どもや高齢者の利用に適した付加価値を付けたサービスを提供していることも評価を分けるだろう。使い方によって適否が分かれることをよく示している。

誤解してほしくないのだが、万人に使えないということではない。使える時にはそこそこ使えて、使えない時間帯や用途には使えない。そのパターンや程度が自分に合っていれば問題ないとも言える。

楽天モバイルは通信内容によって制限していると言われており、例えば動画や一部のSNSなどは比較的快適に使えるようだ。楽天グループのサービスやポイントに親しんでいる利用者には、特典も魅力的に映るかもしれない。一定の加入者数を維持しているのは、これでも十分使え、メリットを感じている人が少なくないことの証だろう。

2018年3月時点で160万契約を超えており2019年6月には DMM mobile を加えて200万契約を超える

MNOサービス

先着約300万名限定で、プラン料金「一年無料」キャンペーンを実施中

同社では「楽天回線」と呼んでいる。2019年10月より「#無料サポータープログラム」を開始。2020年 4月 8日からはようやく一般ユーザー向けのサービスが始まる予定。

同社には、2018年4月に1.7GHz帯が40MHz幅で割り当てられており、FD-LTE Band 3 のみでサービス提供される。MCC-MNC440-11

なお、2019年 3月14日10:00以降に新規契約した同社MVNOサービスの利用者は、2019年10月2020年 4月以降順次送付されるSIMカードに交換することで、MNOサービスに切り替えられることになっている。また、2019年 9月までに契約した利用者は、現在のプランのままで楽天回線に切り替えられることになっている[1]。 いずれの場合も、送られてきたSIMカードを使わなければ、引き続きMVNOサービス(ドコモ回線・au回線)を利用できる。

関東地方のエリアマップ(2020年3月4日時点) 濃い色が楽天自社回線、薄い色はパートナーエリア(auローミング

エリア

東京23区名古屋市大阪市では楽天回線のみ(地下鉄やビル内を除く)でサービス提供するが、近隣の3大都市圏ではローミング<440-53>を併用しながら楽天回線でのカバーを目指す。

エリアマップの色が濃い所が楽天回線エリアだが、一見して狭いと分かるだろう。今はまだ都市部近郊もほとんどがパートナーエリア(薄い色)だし、同社はエリアを拡大するとは言っているが、利用者の多い大都市圏近郊から整備されると見られるので、3大都市圏以外の地域では当面はパートナーエリア(auへのローミング)だと考えておく方が良いだろう。

au(KDDI)とのローミング契約は、東京23区、大阪市、名古屋市、混雑エリアを除く日本全国で、提供期間は2026年3月末までという契約になっているよう。

つまり、東京23区、大阪市、名古屋市を除く全国では当面の間auのエリアで利用できると期待される。

ただし後述の通り、パートナーエリア(auローミング利用)ではデータ容量の上限が2GB(1GBあたり550円で追加可能)と厳しいので要注意。東名阪の楽天回線エリア内に居ても、地下やビル陰などではauローミングに切り替わる場面が多いと考えられることから、当面の間、楽天回線をメインにするのは厳しいと考えられる。 まずは「一年無料」キャンペーン中に2台持ちから始めて、使い勝手が良くなってきたらメインにすることを検討したら良いだろう。

料金プラン「Rakuten UN-LIMIT」

シンプルな1プランで登場

2020年 3月 3日に発表された料金プランは「Rakuten UN-LIMIT」(らくてん アンリミット)1つのみで、実にシンプル。

(ただし例外として、2019年9月までに楽天モバイルMVNOサービスを契約して継続中の場合は、2020年4月以降も現在のプランを継続しつつ楽天回線を利用できるとされている。)

料金プラン発表の場で三木谷氏が「楽天は将来にわたって1つのプランしか出さない。プランが増えてわかりにくいことにはならない」と言明したそうだ。

基本料金は月額 2,980円(税込 3,278円)で、楽天回線エリアでは無制限でデータ通信を使い放題。どこぞのauと違ってテザリング規制は無い[2]。 さらに「Rakuten Link」という専用アプリを使うと、国内通話かけ放題(Linkアプリを使わない通話は22円/30秒)、国内SMSも送受信無料になる。

楽天回線が圏外になる地域や地下・ビル内などでは自動でローミング(同社が「パートナーエリア」と呼んでいるau網)に切り替わるが、ローミング利用は月間2GBまでに制限されている

※ローミングはスマートフォンの機能を使うので、一般にスマートフォンの設定でローミング回線への自動切替のON/OFFを選択できる。設定方法は手持ちの機種で確認を。

※パートナーエリアで使うデータ容量は 1ヶ月あたり 2GB までが基本料に含まれており、550円/1GB で追加することもできる。払わずにおけばローミング時のみ上限128kbpsに制限されるが、楽天回線は使い放題。

なお、国際ローミングは提携66ヶ国で利用できる。データ容量は毎月2GBまで基本プランに込み(国内パートナーエリア通信量とは別計算)、データチャージは550円/1GB。

新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT」と300万名「一年無料」キャンペーンが2020年3月3日に発表され、同日より先行申込も始まっている

また、先着約300万名・1人1回まで・1年間限定だが、基本料金を1年間無料にする「一年無料」キャンペーンが開催される。楽天回線エリアがまだ狭いための措置(事実上の無料サポータープログラムの延長)とも言えそうだが、#無料サポータープログラムとは異なり、パートナーエリアと国際ローミングの利用は各上限2GB(以降は128kbps規制データチャージ可)に制限される。

そのため、現時点で楽天回線エリア外にいる人は、月間データ上限2GBとなる(それでも基本料無料だし、無料通話も付いてくるので、通話メインで使うなら契約しても良いと思うが)。

無料通話には「Rakuten Link」アプリを使う必要があるが、このアプリを使って通話すると Viber などのIP電話サービスと同様に音声通話でもデータ容量を消費するようだ。同アプリの解説には「データ容量からデータを消費します(参考値:楽天Linkの音声通話:約0.24 MB/30秒)。ただし、Wi-Fi接続時を除く。」と書かれている。

ところが、2020年 3月になって楽天モバイル内に新たに設置されたLinkアプリの解説ページには、「国内、または海外ローミング用データ容量を消費しません。追加のデータチャージを心配することなくご利用いただけます。」と書かれている。どちらが正しいのか、はっきりしない。

QoSが働いていると仮定すると理論上は制限値の 128kbsp でもぎりぎり足りそうだが、パートナーエリア(auローミング)のデータ容量が残っていない状態でまともに通話できるかは、試してみないとわからない。都心部でも地下やビル内などでは楽天回線が圏外になってauローミングに切り替わることが多いので、通話重視の場合は念のためデータ容量に注意したい。

正式プラン発表直後に用意された先行申込サイト アクセス集中によりまともに機能しなかったことから、翌朝には停止され、楽天市場店で先に端末(またはSIMカードのみ)を選ぶ形に改められた

なお、「一年無料」キャンペーンを利用できるのは1人1契約まで。楽天回線の契約は楽天ID1つにつき5回線まで楽天IDは1人1つまで)できるようだが、2回線目以降は有料になる(最初の回線を解約した場合も含む)ので注意しよう。

新料金プランが発表されて先行申込の受付が始まった 3月 3日16時以降、先行申込が殺到したのか、専用サイトにつながらない状態が続き、早くも翌日には専用サイトでの受付は停止されて、楽天市場店で先に端末(またはSIMカードのみ)を選んで購入し、手続きは後から行う形に改められた。

今は新規事務手数料相当額の楽天ポイントが付与され、さらに基本料が1年間無料になる「一年無料」キャンペーンが実施されていて、もちろん縛りも無い(いつでも解約できる)ので、1年間は実質タダ同然で使い放題になることが、人気に拍車をかけているのだろう。

とはいえ、募集人数の300万人は、同じく 1.7GHz帯のみで携帯電話事業に参入した旧イーモバイルの末期、2011年初頃の契約者数に匹敵する規模。しかもこのキャンペーンは1人1契約までに限られている。これほどの数がわずか1ヶ月で埋まることは無いだろうから焦る必要はないと思うが、気になっている人は今のうちに申し込んでおくと良いだろう。

対応機種

各機種の楽天回線対応予定時期
2020年2月時点で全機種対応済

楽天回線は FD-LTE Band 3 に対応する携帯端末で利用できる可能性があるが、VoLTEや国内ローミングが必須といった特殊事情もあるので、当面は正式対応が謳われている機種を選ぶのが良い。

筆者がレビューした機種のうち、対応機種は下記。(2020年3月現在)

筆者がレビューしていない機種のうち、主な対応機種は下記。(2020年3月現在)

なお、購入直後は Wi-Fi が使える場所でファームウェアアップデートが必要になる機種がある。

iPhoneシリーズは現時点で未対応(動作保証対象外)となっている。

eSIM の再設定手数料は3,300円(税込)だが、無料サポーターには無料で提供されているようで、実際にiPhoneで使っている人がいたが、Rakuten Mini 以外では動作保証されないので自己責任でどうぞ。

緊急速報メール(ETWS)にも一応対応しているが、まだ対応している自治体は少ない(楽天回線エリア内でも東京都多摩地区など未対応の自治体がある)。

無料サポータープログラム

Android端末でネットワーク検索をして 440-11 が出てきたら、楽天モバイル自社回線の電波を拾っている

当初は2019年10月より商用サービス開始予定と言われていたが、ネットワーク整備が間に合わず、とりあえず「無料サポータープログラム」を始めることで、無理矢理「携帯キャリア事業としてのサービスを開始」した形になった。

楽天エリア/パートナーエリアを問わず完全無料で使い放題になり、さらに楽天ポイントまでもらえる大盤振る舞いのサービスだが、東京都23区、名古屋市、大阪市、神戸市に住所がある人しか応募できず、楽天本社に隣接する川崎市ですら対象外となっていた。楽天回線を使ってみたいがためにわざわざ同社のMVNOサービスに加入した筆者も門前払いされる格好になった。また、門前払いされなかった人でも倍率は相当に高かったようで、非常に狭き門となった。落選する人が続出し、SNSでは「落選モバイル」と呼ばれて話題になったほど。

2020年 1月23日より2次募集され、最大2万名に拡大されたが、およそ半日で締め切る盛況となっていた。人気のほどがうかがえる。それもそのはず、2次募集では最新機種「Rakuten Mini」もサポーター限定で先行販売され、しかも購入すると約2万円の楽天ポイントをもらえるので、未発売の最新端末がタダ同然で配られるという、至れり尽くせりぶりだった。

4月8日からの正式サービス開始に伴い、無料サポータープログラムは 5月31日までで打ち切られるが、希望者は無料で正式サービスに移行でき、さらに月額料金1年無料キャンペーンも適用される。無料サポーターにはどこまでも至れり尽くせりだ。

ところが、当初は1人1回線限定のはずが5回線まで申し込める、購入端末の希望を聞いておきながら在庫が確保されていない、配送に問題があるなど、当選した人も混迷を極めていた様子。これでは同月から本格サービスを開始するつもりで準備していた会社とは思えない。また、なんとか開通した後も度々障害が起きていると伝えられている。 記者会見で三木谷氏は自信たっぷりに語っていたが、実のところ5000人限定の「無料サポータープログラム」すら満足に立ち上げられないありさまだったようだ。

気になる使い勝手は、10月から使い始めている幸運な人たちの報告を見ていると、Band 3 しか割り当てられていないといった事情を理解している記者が見れば「意外なほどつながる」という感想も出るようだが、やはり厳しさが伝わってくる。このネットワークを一般の人が使ったら、果たしてどんな感想を持つだろうか。

その意味では、無料の試験サービスでお茶を濁しておいて正解だったのかもしれないが、話をはぐらかして二転三転させる同社の態度に、筆者は正直言ってガッカリした。

2019年8月の発表時には、まずは限定して始め(ホップ)、次にWebでの受付を始め(ステップ)、数ヶ月かけてリアル店舗に拡大(ジャンプ)すると言われていたが、結局は6ヶ月間は「無料サポータープログラム」のみで終わることになりそうだ。

さらに、他者の障害を論って大見栄を切っておきながら、商用サービス開始の計画は遅れに遅れ、まだわずか5000人程度しか利用者がいない無料サービスでも様々な不具合が発生しており、さらに深刻な障害も起こし監督官庁からも度々行政指導を受けるなど、同社の信頼感を損なう言動が少なからず見られるのが残念だ。

2020年3月の正式プラン発表会でも、三木谷氏は相変わらず「auとのローミングは2年もたてばやめられる」などと威勢よくまくし立てていたようだが、これまでの経緯を見る限りは決して有言実行とは言えず、眉唾で見る方が良さそうだ。

2020年4月の本格サービス開始時にどうなるかは不明だが、1年間は「一年無料」キャンペーンが開催されるので、エリアや安定性などに課題が残っていることの裏返しと見ることもできそうだ。

しばらくはメイン回線ではなく、2台持ちしている人やデュアルSIM対応機種などで予備回線として使いつつ、無料キャンペーンの1年間で、エリア展開や障害対策などを含め、楽天回線が信頼に値するかどうか、見極めると良いだろう。

対応バンドとローミング

現在の楽天モバイル(MVNO) au回線SIMで一般的に掴むバンドは 1と18(または26)。MNOサービス開始後もしばらくはローミングサービスで同様のバンド構成が必要になるだろう

FD-LTE Band 3 は国際バンドなので対応している機種は多いが、ローミング先となるauのバンド(FD-LTE Band 18 / 26)にも対応している機種は限られることと、さらに VoLTE やそのハンドオーバーにも対応する必要がある(楽天回線では3Gを提供しないためCSFBは使えない)ことから、対応機種を限ったのだろう。

実際、VoLTE に対応した端末でもキャリアによって使えたり使えなかったりする(例えば OPPO R17 Pro ではauとワイモバイルのVoLTEは使えるが、ドコモのVoLTEは使えない)ありさまなので、楽天モバイルの仕様に合わせてファームウェアアップデートを約束してくれるメーカーの端末でないと、公式対応を謳えなかった面はあると思われる。

9月6日の記者会見後の質疑で語られていたが、ローミング先のauとのハンドオーバーに課題があり、現在使われている技術ではデータ通信のハンドオーバー(楽天網とau網の切替を指す、以下同様)は可能だが、切替時に2秒程度の通信断が発生するそうだ。

auローミング対応エリアでは、MCC-MNC が 440-53 の電波を拾う

また、同社(およびローミング先のau)では3Gサービスを提供しないので、音声通話はVoLTEになる。現在はNTTドコモなどでも使われている音声ローミング方式「S8」を使っているが、これではハンドオーバー時に切断されてしまう。ドコモが韓国などで提供している海外ローミングでは問題にならないが、即時の切り替えが求められる国内ローミングでは問題になるわけだ

※同様の事例はおそらく欧州などでもあると思われるが、欧州での音声通話はまだCSFB(3G)が一般的で、VoLTEがそこまで普及していないのかもしれない。

そこで同社では、ハンドオーバー時にも音声通話が切断されないようにする「Link」というメッセージングアプリを開発し、これを使うと回線切替時の音声通話の切断を回避できるという。また、新しい音声ローミング方式「S10」を採用予定で、この準備が整うのが2020年4月頃になるそうだ。

なお、独自アプリ「Link」を使わず、Android OS 標準の通話アプリによるVoLTE通話も可能だが、この場合は、2020年3月頃までは、楽天エリアとパートナーエリアが切り替わる際に通話が切れることになる。また、2020年4月以降の正式サービス開始後は、無料通話の対象外となる。楽天回線では「Link」を使う方が良いだろう。

全機種SIMロックフリー

同社の2019年9月6日の発表では、「縛り無し。最低利用期間・違約金無し。携帯キャリア初、全機種SIMロックフリー」を強調していた。同日午前中には先手を打つかのようにソフトバンクが「契約期間も契約解除料もない料金プランに刷新」を発表し、これまでの長期契約が当たり前だった業界慣行が大きく変わることが示唆されたが、さらに楽天では全機種SIMロックフリーを打ち出した。

また、同日発表された7機種のうち Galaxy S10 を除く6機種は5万円以下で発売することも示され、従来のハイエンドに偏った、補助金頼みの高額販売からの転換も示唆された。

加えて、同社の新端末ではVoLTEの対応キャリアが明記されたようだ。今ではSIMフリー端末の仕様表には必須の対応バンド番号一覧だが、これが当たり前になったのは最近のことだ。楽天では対応VoLTEキャリアの表示も当たり前にしたいのだろう。

このほか、「Rakuten Mini」というeSIM対応の小型端末も登場。小さくてFeliCa搭載、おサイフケータイに対応しているとあって、近頃流行りのキャッシュレス決済やナントカPayと電話が使えれば充分といった人にも良さそう。こういう他社が出さない端末を用意しているのは面白いと思う。しかもSIMフリーだ(eSIMだから使えるキャリアは限られるが)。

三木谷氏の「モバイルネットワークの民主化」という言い方が適切かは微妙だが(民主化と言うなら全面的な情報開示が必須)、縛りをなくし、SIMフリー端末を増やし、端末の仕様表にバンド番号や VoLTE対応ネットワークが明記されるといった流れは、利用者としても歓迎したい。

余談

KDDI(au)との提携

ここからは余談になるが、楽天のMNO参入に際しての話題のひとつに、エリア展開の途上でどこへローミングするのかというものがあった。 2018年11月1日、両社(と沖縄セルラーを含む3社)は下記の発表をしている。

楽天モバイルはドコモのMVNOの中で最も勢いがあり、楽天市場や楽天ポイントで開拓した顧客基盤も持っていたことから、楽天がMNO参入を決める前までは、「スマートライフ」領域への事業拡大を目論んでいたドコモは内心楽天との提携に期待していた節を感じられた。しかしNTTグループのあまりに高飛車な態度に業を煮やしたのか、楽天はドコモの傘下(ドコモのMVNO)から飛び出して第四のMNOを目指す茨の道を選ぶこととなった。

楽天のMNO参入発表前後からNTTグループの楽天に対する態度が硬化するとともに、ドコモは「dポイント」や「d払い」の加盟店開拓に本腰を入れるなど、「スマートライフ」領域に経営資源を振り向けることになる。 対して三木谷氏が「MVNOは奴隷みたいなもの」という感想を漏らしていたことは、実に興味深い。

NTTグループでは他にも、憲法21条に抵触しかねない危険なサイトブロッキング問題では政府の意向に忖度して独断専行して見せたり、官邸が通信料金を「4割値下げ」と発言すればドコモはすぐに値下げ方針を打ち出し、直後に株価は暴落。株主よりも官邸に従う態度を見せつけた。 一方で世界最大の端末メーカーに登りつめた中国Huawei社のフラグシップ端末の国内販売を独占契約した上で延期しつつ、NTT持株会社社長が他社の経営判断に口出ししたかと思えば、その翌々週にはころっと掌を返すなど、パートナー企業や株主・ユーザへの誠意に欠ける言動が目立っているが、親方日の丸で他者は見下す体質の社風なのだろう。

話が逸れたが、楽天とKDDIの提携で興味深いのは、楽天が一方的にKDDIのネットワークを貸していただくという主従関係のような契約にはならず、対等にwin-winな関係を構築してみせた点にある。

KDDIが出すものは概ね整備済みのLTEネットワークだが、東京23区などの混雑地域は除外しており、負担が軽減されている。本業で構築したネットワークの余裕分を貸し出して接続料収入を得られ、持ち出しにはならないよう配慮されている。

一方で楽天が出すものには、決済インフラと倉庫・宅配配送網が挙がっている。

このうち決済インフラは、KDDIが後発の「au PAY」を展開する際に、楽天ペイの加盟店網に乗っかればスピード展開できる。KDDIの決済事業の全体に占める割合は微々たるものだろうが、そのためにかかる加盟店開拓の負担を軽減できる魅力は大きいだろう。一方で、楽天にとって決済事業は本業の一部なので、KDDIが本業で構築したネットワークを貸すのと同様だ。微々たるものだろうが決済手数料収入が得られ、持ち出しにはならない。

もうひとつ、「楽天スーパーロジスティクス」(フルフィルメント)や「Rakuten EXPRESS」(宅配)などの倉庫・宅配事業が挙がっている。

楽天の生業である楽天市場は、競合のAmazonなどに対し、配送料や配送便が店(テナント)ごとにバラバラなことが課題になっていた。さらにヤマト運輸に端を発した宅配配送料の値上がり傾向も重荷になっている中で、競合のAmazonやヨドバシカメラなどは先んじて自社配送網の拡充に乗り出している。楽天も遅まきながら、創業以来ずっとテナントに丸投げしていた配送に手を入れ始め、倉庫と配送網の構築に乗り出したところだった。 今はまだ「楽天21」などの一部のサービスで自社配送網を使っているにすぎないが、楽天市場に出店するテナントに共通の送料無料基準を要求するなど、大ナタを振るい始めている。

2020年初頭より一律3,980円以上の買い物で送料無料にするつもりのようだが、楽天の配送網が未整備の地域も含め、送料は全額店舗に負担させるつもりのようだ。楽天の配送網構築もまるで目途が立っていない様子。長続きしなさそう…本題からずれるので簡単に。

つまり楽天の配送網はまだ構築を始めたばかりのものだが、構築してもテナントが乗り換えてくれるとは限らない(楽天以外にAmazonやYahooにも出店しているテナントが多く、すでに Amazon FBA などの他社サービスを利用している所も多い)。 すると楽天にとっては宅配網を構築しても荷物が足りない(稼働率が下がる)状況が起こりうる。そこにKDDI(が運営するショッピングモール「Wowma!」)の荷物が乗れば、自社の配送網の利益率改善にも寄与することだろう。

このように、KDDIも楽天もwin-winとなる(互いに持ち出しにならず、隙間貸しで収入を得られる)提携話を見事に実現して見せたわけで、筆者も報に触れて感心しきりだった。

後日、本件についてKDDIの高橋社長は「我々が楽天と組まなければNTTドコモと組むだろう。そうなるよりは自ら組んだ方がメリットが大きい」と語っていたようで、もちろんそうした見方もあるだろう。とはいえ、筆者の見立てでは、楽天のドコモとのローミング交渉はブラフとまでは言わないが、上述の経緯から見るに、本命はKDDIだったのではと思える。KDDIにとっても宿敵であるNTTドコモが「スマートライフ」領域への展開を進める中で対抗する必要があり、しかしそのための基盤が脆弱な中で、楽天の提案は持ち出しがなく旨味はある、渡りに舟の提携話だったのだろう。

設備投資

同社では完全仮想化ネットワークを売りにしており、整備費用を抑えて柔軟性の高いネットワーク構築を目指しているようだ。

FD-LTE 1.8GHz RRA (Remote Radio Antenna) 同社の基地局はアンテナ(ノキア製)とブースターのみのコンパクトな設計になっているという

一方で、基地局の設置にかかる費用は無線機やネットワーク設備だけではなく、要は場所代や工事費用が大きいと考えられる。「仮想化」だけではそれらの説明になっていないので、同社の整備計画(の主に費用面)に疑問の声も挙がっていた(ご多分に漏れず、筆者も疑問に感じている[3][4])。

その後の発表によると、基地局側に制御装置を置かない(つまり基地局にはアンテナとブースターしか置かず、遠隔操作のようなことをする)ことにより設置場所や工事費用を軽減しているようだ。アンテナ自体も遠隔操作で角度等を調整できるという。

一方で、基地局設置に遅れが出ているとの指摘も受けている。 『東名阪を網羅する面の整備はできるが、多くが利用する都心部では基地局の密度が足りない』という理由のようだが、つまるところ筆者の懸念が的中している様子なので気がかり。

また、仮に計画通りに基地局設置が進んでいたとしても、大都市部では、エリアマップでは見えない圏外エリアが発生すると考えられる。

筆者は、かつてイーモバイルが1.7GHz帯(W-CDMA Band 9、現在は FD-LTE Band 3 に転用済)のみで提供されていた頃から使っていたが(PHSSony Ericsson mini S51SE を2台持ちしていた古き良き時代)、都心部ではビル陰やビル奥の会議室などで使えない経験をしている(当時はWiMAXなども併用していたし、基本的にパソコンを持ち歩いていたので、問題なかったのだが)。

当時のイーモバイルが手を抜いていたわけではないと思うし、いくら基地局を仮想化しようが電波特性は変わらず、設置場所こそが物を言う。日本の密集した大都市でのエリア展開は、鉄道駅や地下街・ビル内などに細かく構内基地局を打てるかにかかってくる。イーモバイル(現在のワイモバイル)やソフトバンクの根本的なエリア問題の解決は、「プラチナバンド」 (Band 8) が使えるようになってからだった。

2019年10月から始まる楽天のMNOサービスも、電波特性だけを考えれば、イーモバイルのエリアと大差ないことになると考えられる。auのローミングサービスを利用できる地域は良いが、東京都心などの大都市では使える場所が限られるだろう。

しかも地下鉄などでは圏外が当たり前だった当時と違って、今は(山などに行かなければ)どこでも圏内が当たり前の時代。Band 3 の電波特性などを理解してくれる一部の人には良いが、一般向けに提供されれば、ローミングが使えない大都市部では厳しい評価になるのではなかろうか。

とはいえ、完全仮想化ネットワークなど面白い取り組みをしていることは確か。筆者はしばらく2台持ちで同社のネットワークを試してみたいと思っており、2019年10月のサービスインを楽しみにしている。

5Gで使われる見込みの6GHz以下帯およびミリ波帯に対応する基地局 (RRH: Remote Radio Head) 波長が短くなるぶん小型化が進むが、カバーエリアは狭くなる

5G展開

ひとまず FD-LTE (4G) の整備からだが、今のご時世なのでもちろん5G整備も視野に入ってくる。当初使われる周波数帯は 3.7GHz帯(6GHz以下帯、sub-6GHz)と 28GHz帯(ミリ​波​帯、mmWave)。

同社は完全仮想化でネットワーク整備していることを考えると、原理上はソフトウェアを交換すれば5G対応にできる(異なる周波数帯を用いる場合はもちろんアンテナの増設・交換も必要)と考えられる。実際、同社でも『「5Gレディ」な構造』と公表している。

また、同社では電柱や送電鉄塔への基地局設置、auやソフトバンクとの基地局整備での協業も発表している。

サービス開始は当分先になるだろうが、2019年 9月 6日時点では、5G展開は計画通りとされていた。現在展開中の 4G (LTE) ネットワークを安定的に稼働させることができれば、そう遠くないうちに5G展開の話が具体化することだろう。

参考