ソフトバンク

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2021年 3月17日開始の「メリハリ無制限」(料金は2023年10月 3日より値上げされた

ソフトバンク”は、ソフトバンクが提供するモバイルデータ通信サービスのブランド。

マスコミ等が「メインブランド」と喧伝しているもののひとつ。 イメージキャラクターは白い犬。

Ymobile 5g 20201222.png

ワイモバイル”“LINEMO”ブランドについては別ページでまとめているので、そちらを参照されたい。

機種・エリア

対応バンド構成

  • 5G Band n3, n28, n77 (Sub-6), n257 (mmWave)
  • FD-LTE (4G) Band 1, 3, 8, 11, 28(B)
  • TD-LTE (4G) Band 41, 42
  • W-CDMA (3G) Band 1, 8

※太字は主力バンド

3Gは2024年 1月31日まで。ただし一部のバンドはすでに打ち切られている。VoLTEに対応していない機種を使っている人は、そろそろ機種変更を考えておくと良いだろう。

スマートフォン等に表示されるキャリア名は「SoftBank」となる。

ドコモではVoLTE未対応の端末で5G対応SIMを使ったときなどに不具合が生じることがあるが、ソフトバンクにはそれが無いようなので、ソフトバンクでは4Gプランと5Gプランを分けず一本化されており、1つのSIMカードで5G4Gおよび3Gの全てに対応している(≒4G機種向けにも5G対応SIMをそのまま使える。ただし3G対応は2024年 1月31日まで)。

筆者が試した範囲でも、ドコモ系の5G対応SIMを入れると不具合を起こす(通信できない)機種でも、ソフトバンク系のSIMでそうした不具合を起こした機種は無かった。

一方、同社が販売する端末に限らず、家電量販店などで購入できるSIMフリー機種も、上記バンドに対応していれば使えるものと期待されるのだが、ソフトバンクショップ(オンラインショップを含む)以外で購入した端末は無保証・ノーサポート。現在は同じ会社になっている“ワイモバイル”ブランドで販売している機種もノーサポート。後述するSIMカードの問題もあり、“ソフトバンク”は使いづらい面がある。

APN

“ソフトバンク”で契約するとSIMカードの種類によって設定するAPNが異なり、使える機種も異なる。

「USIMカード(F)」またはeSIMのみで契約した場合

  • APN plus.4g
  • ユーザー名 plus
  • パスワード 4g
  • 認証タイプ PAPまたはCHAP
  • MMSC http://mms-s
  • MMSプロキシ andmms.plusacs.ne.jp
  • MMSポート 8080
  • APNプロトコル IPv4/IPv6
  • APNタイプ default,ia,mms,supl,hipri,tether

SIMフリーAndroid機種やWAN内蔵ノートパソコン等で使える「USIMカード(F)」を使っている場合の設定値。このAPNは公開されており、Androidやパソコン等であれば機種を選ばず使うことができる。IPv4およびIPv6に標準対応。

このSIMカードは、iPhoneでは使えない(構成プロファイルを自作すれば使えるが非推奨)。

iPhone用SIMカード(C2)

  • APN jpspir
  • ユーザー名 sirobit
  • パスワード amstkoi
  • 認証タイプ PAPまたはCHAP
  • MMSC http://mms-s
  • MMSプロキシ smilemms.softbank.ne.jp
  • MMSポート 8080
  • APNプロトコル IPv4/IPv6
  • APNタイプ default,mms,supl,hipri,tether

iPhone専用に発行されるSIMカード(C2)をiPhoneで使う場合は設定不要でつながるが、AndroidやWAN内蔵パソコン等で使いたいときは、この設定をする。

ただし非公開の無保証であり制限が多いので、恒常的に使う場合は面倒だがソフトバンクショップに出向いてSIMフリーAndroid機種用の「USIMカード(F)」へと機種変更手続きをする方が良いだろう。

SIMカード

ソフトバンクでは「USIMカード」が正式名称だが、ショップやサポート窓口では「SIMカード」と言えば通じる。本稿でも一般的な「SIMカード」と呼ぶ。

機種購入した際に発行されるSIMカード

現在は“ソフトバンク”でもSIMのみ契約できるようになっているが、端末を購入する人が多いだろう。

しかし“ソフトバンク”ブランドでは機種により異なるSIMカードを発行しており、複雑怪奇に分かれている。nanoSIMだけで12種類もあり(総務省調べ、2020年 5月現在)、例えば Android と iPhone を区別する(≒ユーザーがSIMフリー端末などを購入して差し替えて使うことが難しい)ため、気軽に差し替えて使うこともできず、非常に使い勝手が悪い

さらに、“ソフトバンク”ブランドで契約したSIM (USIM) には規制のかけられた特殊な物が多く、他社の端末はおろか、同じ“ソフトバンク”ブランドで販売している他の機種ですら動かないよう細工されているものまであり、詳しい人の間では問題視されている(下図)。

ことAndroid機種用のSIMカードは差異が顕著で、基本的に他の機種に差し替えて使うことはできないと思っておく方がいい。後述の#SIMフリー機種向けのSIMカードに交換すれば(要手数料3,850円)Android機種ならだいたいどれでも使えるので(SIMロック解除APN設定が必要)、SIMを差し替えて使いたい場合は交換しておくと良いだろう。

このSIMカードの制限(IMEI規制などと呼ばれる)は解除に向けて調査中だそうだが、具体的な解除日等は未公表SIMカードを自由に差し替えて使いたい人は、“ソフトバンク”ブランドでの契約は避けて、同じ電波を割安に使える“ワイモバイル”や“LINEMOラインモ”で契約するのが無難だ。

2021年2月18日の発表会後の質疑応答では、「iPhoneのSIMがAndroidでささらない(使えない)、AndroidのSIMがiPhoneにささらない(使えない)という問題点につきましては、解決する方向で準備を進めております」と言っていた。今は技術的な課題等洗い出しをしているので時期は未定だがSIMは同一化していく方針だそうだ。→SIMを同一化するかは不明だが、制限は2022年夏をめどに撤廃するそうだ。
その後の情報では、この制限は、2022年夏をめどに撤廃するそうだ。⇒ソフトバンク、iPhoneとAndroidでSIMの流用が可能に 2022年夏をめどに(ITmedia Mobile、2022年 2月21日)
MNO3社のSIMカードの種類(総務省資料、2020年5月現在)
“ソフトバンク”契約のSIMカードは複雑怪奇に分かれており、しかも他の機種で使えないよう規制されている物が多い

SIMフリー機種向けのSIMカード

現在はSIMのみでも契約できるようになっており、この場合は「USIMカード(F)」が発行される。上図でいう「他社販売端末用SIM:1種類」に該当。

このSIMカードはAndroidでもデータ端末(モバイルルータ、タブレット、WAN内蔵ノートパソコンなど)でも使え、IMEI規制もない。ショップでのサポートを受けられない完全ノーサポートにはなるが、他の機種に差し替えて使える。

ただし、「USIMカード(F)」はiPhoneでは使えないワイモバイルは「n161」が機種を問わず(AndroidでもiPhoneでも)使えるようになったが、ソフトバンクは相変わらず…

iPhoneを使いたい場合は、いちいちショップに出向いて機種変更手数料3,850円を支払って「iPhone専用USIMカード(C2)」に交換してもらう必要がある。

また、「iPhone専用USIMカード(C2)」や他のSIMカードから「USIMカード(F)」に変更する際にも、ショップへ出向いて機種変更手続きをする必要があり、手数料3,850円を徴収される(後日料金と合算支払い)。

この「USIMカード(F)」は以前からあったのだが、ショップで在庫しておらず、店員も知らないような存在だった。今ではオンラインショップでSIMのみ契約できるようになっている。

eSIM

2021年 7月14日よりeSIMを使えるようになった。

eSIMの再発行はオンラインでできて無料だが、SIMカードからeSIMへ、またはeSIMからSIMカードへ変更する場合は、わざわざソフトバンクショップに出向いて機種変更手続きをする手間と費用がかかる(手数料3,850円)。

ソフトバンクと同じエリア・通信品質で使えるLINEMOは機種変更手続きがオンラインでできて無料なので、いろんな機種を使いたい人にはLINEMOがおすすめ

エリア

ワイモバイル#エリア・品質を参照

電波や使えるエリアは“ワイモバイル”や“LINEMO”と同じ。

昔はソフトバンクといえば山間部などで使い物にならなかったが、2012年にプラチナバンドを獲得してからは一挙に改善し、現在は登山道などの無住地域を除いて概ね全国で快適に使えるようになった。

また、ソフトバンクはかつてプラチナバンドを使えなかった頃に、都市部を中心に Band 1 の基地局を建てまくったので、都市部ではむしろ他のキャリアよりも快適に使えることが多い。

尾瀬などの観光地ではauが先行してエリア化する例が多いが、ソフトバンクは完全圏外になる

一方、山間部に行ってエリアの端付近に行くとデータが流れない(圏内表示なのに使えない)ことも多い。例えば奥日光戦場ヶ原などはエリアマップを見ると 4G LTE 圏内になっており、実際に現地へ行くと、アンテナピクトは出るのだが、ほとんどデータが流れない。

また、尾瀬などの定住者はいないが多くの観光客が訪れる場所では、auが積極的にエリア展開しているが、ソフトバンクは圏外のまま。

こうした山間部などでは今もなおドコモ回線やau回線の方が使いやすい傾向がある。

ソフトバンク回線は都市部で使い勝手が良いので満足しがちだが、少し地方へ行くと困ることもままあるので、格安維持できるMVNOなどのSIMを予備回線に用意しておくと良い。特に少し本格的なハイキング・登山に行く人は、povo 2.0 などの他社回線を予備に持って行くことをお勧めする。

スマートフォン向け料金プラン

大容量データ通信を使いたい人は“ソフトバンク”、容量30GB以下の中・少容量で足りる人は“ワイモバイル”や“LINEMO”と、きれいに住み分けができている。

2021年 3月17日の旧「メリハリ無制限」開始以降、“ソフトバンク”はこのプランに実質一本化されていたが、2023年10月 3日の改定で新たに「ペイトク」が登場し、PayPayのヘビーユーザー向け「ペイトク」と一般向け「メリハリ無制限+」で料金プランが実質2本立てになった。どちらも50GB(テザリング・データシェア含む)/200GB(スマホ単体)が上限の大容量プランで、“ソフトバンク”は大容量向けということに変わりはない。

ただし、テザリングやデータシェアは合計50GBまでに制限されるので、実質50GBプランとなる。テザリングやパソコン・タブレット等のデータ端末でデータ通信をたくさん使う人は、別途#データ通信専用50GBプランを利用するか、“ワイモバイル”や“LINEMO”、povo 2.0 などを複数回線契約して使い分ける方が良い
後述する#ミニフィットプラン+は選ぶ理由を見出せない。他に、3Gガラケーから移行する人に限り契約できる「スマホデビュープラン」(3GBまで 2,178円)があるが、対象者が限られるので割愛。
プラン ペイトク メリハリ
無制限+
ペイトク30 ペイトク50 ペイトク無制限






スマホ単体 30GB 50GB 200GB 200GB
テザリング
データシェア
30GB 50GB



基本料金 7,425 8,525 9,625 7,425
【参考】データ単価 247.5円/GB 170.5円/GB 32.1円/GB
192.5円/GB
24.8円/GB
148.5円/GB
新みんな家族割
3回線以上
▲1,210円(2回線の場合は▲660円)
おうち割 光セット ▲1,100円
PayPayカード割 ▲187円
全割引適用時 4,928円 6,028円 7,128円 4,928円



ポイント付与率 1% 3% 5% -
月間ポイント
付与上限
1,000円相当 2,500円相当 4,000円相当
上限付与を受ける際の
毎月のPayPay支払額
100,000円超 83,333円超 80,000円超
全割引・付与に必要な毎月のPayPayカード支払額 103,928円超/1回線 86,861円超/1回線 83,128円超/1回線 4,928
/1回線

従量通話料 22円 /30秒
無料通話 ホワイトコール24(要申込)
通話オプション 準定額オプション+(5分定額) 880円
定額オプション+(完全定額) 1,980円
着信転送 ○ 標準対応
留守番電話 ○ 標準対応



エリア・品質 ワイモバイル”“LINEMO”と同じ
ワイモバイル#エリア・品質を参照
5G ○ 標準対応
4GVoLTE通話 ○ 標準対応
3G・CSFB通話 ○ 標準対応 2024年 1月まで(予定)
SIMタイプ nanoSIMマルチSIMeSIM
SIM交換手数料 3,850円 原則ショップへ出向く必要がある
くりこし ×
増量オプション ×
データチャージ +1GB 1,100円 (データ単価 1,100円/GB)
超過後最大速度 300kbps 4.5Mbps
テザリング・データシェアは 300kbps
データシェア ○ 対応 SIM 1枚あたり 550円
テザリング ○ 制限なし △ 容量制限あり
節約モード × 非対応
キャリアメール
IPv6 ○ 対応(iPhone・iPadを除く)
ソフトバンク
Wi-Fiスポット
○ 対応(無料)
Yahoo!プレミアム ○ 要スマートログイン
契約場所 Web(オンライン)、SB・YMショップ、家電量販店等
各種手続き オンライン、SBショップ(一部手続きはショップへ出向く必要あり)
定期契約・解約金 無し【いつでも解約可、解約月は満額請求(日割計算無し)】
  • 2023年10月 3日改定、金額は税込、ユニバーサルサービス料電話リレーサービス料
  • 「ペイトク」におけるPayPay還元は端数切り捨てになるので、実際の要支払額はもっと高くなる
  • “ソフトバンク”では、「おうち割 光セット」と「新みんな家族割」の同時適用が可能。

ペイトク

2023年 9月27日に発表され、10月 3日より始まった新プラン。

月額基本料金を高めに設定し、PayPayでの支払いが多い人にポイント付与で実質料金を引き下げる面白い立て付けになっている

言い替えれば、これまでの家族割と光セット(Airを含む)での二重縛りに加えて、クレジットカード(PayPayカード)と日常の買物での支払い(PayPay)にも縛りが入って四重縛りになる。

得か損かは人それぞれだと思うが、すでに家族3回線以上およびソフトバンク系の光(またはAir)を使っている、PayPayのヘビーユーザー(毎月8万円は余裕で支払っている人)にはお得になりそうだ。

具体的には、すでに家族3回線以上およびソフトバンク系の光(またはAir)を使っており、さらに毎月のPayPay決済額が8万円を余裕で超えている人は、「ペイトク無制限」を契約すると、毎月の実質通信料が7,128円-4,000ポイントで実質3,128円、この額で200GBまで使える。

こう言うとお得感があるように見えるが、冷静に考えると1人あたり毎月8万円超の買い物をする必要があるので、PayPayだけでも家族3人だと毎月24万円超もの買い物をする必要があり、一般家庭ではあまり現実的ではないと思う。実際にはどこかにしわ寄せがくることになりそうだ

あまりデータ通信を使わない家族は“ワイモバイル”に移行する方がお得だが、そうすると“ソフトバンク”は家族割が外れて高くなる。

“ソフトバンク”を1人で使う場合は家族割が外れて月額4,338円(別途PayPay支払い8万円超)になり、光回線の契約も要るので、正直そんなに使うのかな?となる

また、「ペイトク30」「ペイトク50」の還元が辛いのも気になる。例えば全ての割引を適用してPayPayポイント付与も最大限に受けた場合の実質料金は、「ペイトク30」が3,928円(PayPay支払額10万円超)、「ペイトク50」が3,528円(同83,333円超)、「ペイトク無制限」が3,128円(同8万円超)となり、大容量の方が実質割安になるという逆転現象が生じる。この実質料金はデータ使用量に関係なく決まるので、毎月のPayPay支払額が多い人はデータ使用量にかかわらず「ペイトク無制限」一択。自分は通信量が少ないからといって30や50を選ぶのは悪手だ

また、そもそもPayPay支払額が少ない人には「ペイトク」自体が不向きなので、「ペイトク30」「ペイトク50」は誰得なのか謎プランになっている。

「ペイトク30」に至っては、追加ポイント付与率が1%しかなく、上限付与を受けるために毎月100,000円超もPayPayで買い物しないといけない。それで30GBしか使えないのだから、縛りがきつい割りに還元が低くて誰得な気がする。だったら同額の「#メリハリ無制限+」にする方がマシだし、30GBで足りるならワイモバイルの方がいいと思う…

家族全員がモバイルデータ通信を使いまくることはあまりないと思うので、たくさん使う人は“ソフトバンク”、あまり使わない人は“ワイモバイル”と使い分けられたら良いのだが、“ソフトバンク”は“ワイモバイル”と家族割が分断されているのが仇となる。

よって、すでに縛られ済みの人はお得になる可能性があるが、新規で縛られに行くのは得策ではないだろう。

また、無制限」と称しているが、実際にはテザリング・データシェアで50GB、スマートフォン単体でも200GBで制限されており、無制限ではない後述)ことにも留意する必要がある。

ヨドバシカメラが1989年にポイントカードで10%還元を始めたときも画期的だったが、ポイント還元で色を付けて総支払額を自社経済圏に留めておこうとする考え方は通じるものがあると思う。しかし今回のソフトバンクでは料金を値上げして「ある程度還元の原資として使っている恰好になり、ユーザー目線では通信料金を多めに支払ってポイントを買う少々歪な恰好になるが、携帯キャリア的には経営指標のひとつである「ARPU」の改善にも効いてくるだろう。また、他社が他分野のサービスを組み合わせた料金プランを訴求し始めた中で、従来のPayPayを通した施策は「取り組んでいる内容がうまく伝わっていない」危機感があったことから、もっと直接的なポイント還元に至ったようだ。
送金や公金支払いなどを除く。また、ポイント還元の際は端数が切り捨てられるので、きっかり8万円では足りず、もっと買い物する必要がある(決済1回あたり8万円の買い物を毎月している人なら別だが稀有な例だろう)。
例えば、本来は少容量で済む家族が“ソフトバンク”の割高なプランを契約するなど。家族3人以上がデータ通信を毎月50GB以上使うヘビーユーザー揃いで(PayPayをあまり使わない家族は#メリハリ無制限+を契約すれば良い)、さらに家の光回線もたくさん使うという家庭であれば悪くはないと思うが、あまり一般的とは思えないし。
今は povo 2.0 の「データ使い放題24時間」(330円)を1日おきに買っても4,950円で全く縛り無しに使い放題なので、そちらの方がストレス無く快適に使えそうに思う。
唯一の例外は、月々30GBも使わないが、“ソフトバンク”に縛られていて“ワイモバイル”や他社へ移ることができない人で、たかだか1%でもポイントが付くのだから「メリハリ無制限+」よりも月額料金が変わらない「ペイトク30」の方がいいと考える向きはあるかもしれない。
月額料金が上がる「ペイトク50」はさらにニッチで、PayPay支払いを36,667円超使わないと「メリハリ無制限+」よりも損になり、PayPay支払い額が55,000円を超えると「ペイトク無制限」よりも損になる。「ペイトク50」の損益分岐点は、データ通信量が毎月30GBを超えて50GBに満たず、かつ毎月のPayPay支払額が36,667~55,000円の範囲に収まる人に限定される。

メリハリ無制限+

2023年 9月27日に発表され、10月 3日より提供開始。

前日まで主力プランだった旧「メリハリ無制限」と比べると、基本料金が値上がりし、「PayPayカード」で支払うことで旧プラン並みの料金になるので、他社クレジットカードや口座振替等を利用する人を狙い撃ちした値上げとなっている。

制限付きの「無制限」

NW公平性担保を目的とした速度制御(ソフトバンクの説明資料より引用)

「ペイトク無制限」と「メリハリ無制限+」では、無制限」を謳いながら、月間200GBが上限に設定されている(200GB超過後は4.5Mbpsに制限される)。

さらにテザリングデータシェアは合計50GBまで(50GB超過後は300kbps)に厳しく制限される。

旧「メリハリ無制限」と比べると、テザリングおよびデータシェア利用分の制限が月間30GB→50GBに緩和されているので、タブレット等でたくさん使う人にはメリットもあるが、50GBプランとしても決して安くはない。

また、一般にスマートフォン単体で月間200GBも使う人は稀だとは思うし、極端に使う人への牽制も有意義なことだとは思うが、それ以前に容量制限付きプランを「無制限」と謳っているのは優良誤認と捉えられかねないのではなかろうか?

制限するなという話ではなく、「無制限」と謳うことが誠実なのかどうかということ。現状200GBを超える人は0.6%しかいないそうで、その人たちが帯域を食い潰すことのないように制限を入れるという趣旨は大いに理解するのだが、それを営業施策的に「無制限」と謳うことは別の問題。説明会で提示された右上の図は前者の説明にはなるが、後者の説明にはなっていない。

むしろ誠実に「ペイトク200」「メリハリ200」のように謳い、帯域を使い潰さない多くのユーザーの通信品質を向上させていれば、ソフトバンクは誠実に通信品質を向上させている会社なのだと伝わってくるし、いたずらに無制限にして帯域を逼迫させている某社よりも好感が持てたと思う。

ソフトバンクはせっかく通信品質は良いのに、こうした営業的な狡猾さで信頼を損ねるようではもったいないと思う。

ミニフィットプラン+

従来の「ミニフィットプラン」を改定したもの。2020年12月22日の発表会後の質疑では「すぐ停止することはない」「しばらくは並走」と言っていたが、早速改定されることになったようだ。 しかし、わざわざこれを選ぶ意味がわからない(後述)。

位置づけはドコモの旧「ギガライト」に近いが、月間データ使用量に応じて1GBごとに細かく料金が設定されるとともに、3GBまでで頭打ちになり、少容量プランとしての位置づけが明確化された。

気になる料金は、データ使用量に応じた段階制料金で、1GBまでで3,278円、2GBまでで4,378円、3GBまでで5,478円。3GB超は最大128kbpsに規制される(別料金でデータチャージ可)。

なお、光セット割(1,100円引き)は適用になるが、家族割は適用外(回線数カウント対象にはなる)。

この価格では話にならず、4GB以下ならば光セットor家族割適用で1,078円まで下がるワイモバイル「シンプル2S」にするのが賢明だろう。

なお、従来の「ミニフィットプラン」は「4G/5G対応機種での新規申し込み受け付けも同日、終了」と発表された。3G機種を使い続けているユーザーは引き続き契約できるとも読めるが、3G機種の一般向け販売は終了しているので、実質終了と考えて差し支えないだろう。

データ通信専用プラン

“ソフトバンク”ブランドで提供される、通話不可データ専用プランで、4G5Gデータ通信を使える。

SMSは使えるが従量課金。データチャージ、国際ローミングは別料金だが、米国に限り「アメリカ放題」を利用できる。

契約はわざわざショップへ出向く必要がないオンラインでの契約がお勧め。オンラインで契約するとSIMカードは後日佐川急便で送られてくる。SIMカードやAPNの設定は自分でする必要があるが、事務手数料がかからないぶんお得だ。

もちろん街中のソフトバンクショップでも契約できるが、ショップで契約すると別途契約事務手数料3,850円がかかる。

期間契約(解約金)は無いが、解約月は満額請求となる。

CSFB通話・VoLTE通話に対応しないということであり、SIPが規制されているわけではない…と思う。

データ通信専用50GBプラン

2021年 2月18日発表、3月17日開始。月々50GBまで使えて、月額5,280円

モバイルルータ等でデータ通信をたくさん使いたい場合は、LINEMOなどの20GBプランを複数契約するよりもややお得になりそうだ(50GBでも足りない場合は UQ WiMAX を検討しよう)。 ただし、LTE内蔵パソコンやタブレットなど複数の機器を使いたい場合は、LINEMOワイモバイルなどを複数契約して使う方が使い勝手が良いかもしれない。

最低限必要な「基本プラン(データ)」税別980円と、「データプラン50GB」税別3,820円の合算。

データ通信専用3GBプラン

2021年 8月17日発表、8月18日開始。月額1,408円だが、契約から5年間はキャンペーンで月額990円で使える。

タブレット端末などのデータ端末で使うのに適したプラン。契約から5年間の期間限定値引きが入っているが、契約期間の縛りや解約金は無いので、5年以内に解約・再契約すれば良さそうだ…まあ5年も経ったらもっと値下がりしていそうだが(^^;。

ただし、3GB以上使うと最大128kbpsの厳しい規制がかかり、データ容量の追加は500MBで605円、1GBで1,100円と高額。

むしろ、使いたい時だけ購入できる「時間制ギガ無制限オプション」を利用する方が良いだろう。1時間で110円、3時間で220円、6時間で330円、12時間で440円、24時間では550円で使える。povo 2.0 の「データ使い放題(24時間)」(330円)よりは高いが、1時間や3時間で足りる場合にはお得だ。

もっとも、povo 2.0 は月額基本料が0円だが、“ソフトバンク”は毎月990円はかかる。その替わり(?)、“ソフトバンク”ならではの特典が漏れなく付いてくる。具体的には「スマートログイン」と「アメリカ放題」。

スマートログイン」は、「Yahoo!プレミアム」会員特典を無料で利用できるので、「Yahoo!ショッピング」「ヤフオク」「ebookjapan」などのYahoo系サービスをお得に利用できる。特に「Yahoo!ショッピング」「PayPayモール」では追加のポイント還元施策を受けられたりするので、ネット通販を利用しているなら元を取れるだろう。

もうひとつ、「アメリカ放題」も無料で付いてくる。これは字義通り、米国でデータ通信が使い放題になる(データプランなので通話はできない)。今のご時世、恩恵がある人は極めて限定的だろうが、国内分3GBとは別に使い放題なので、時々でも米国へ行く人にとっては非常にお得だ。

もっとも、「スマートログイン」や「アメリカ放題」が不要な人も多いだろう。そういう人には povo 2.0LINEMO「ミニプラン」を契約する方が手っ取り早くてお得だ。LINEMOならば3GB超過後の規制は300kbpsだし、データ容量の追加も1GBあたり550円と半額で済む。iPadなどのeSIMを使える端末なら、オンライン契約してすぐに使えるようになる。

または、タブレットやLTE内蔵パソコンなど複数の機器を使う人は、スマートフォンと容量をシェアできるワイモバイルの「シェアプラン」などを使う方がお得になることが多い。

なお、家族割や「おうち割 光セット」等は併用不可。

最低限必要な「基本プラン(データ)」税別980円と、「データプラン3GB」税別300円の合算。
eKYCで毎日9時~20時の間に手続きが完了した場合。

スマートログイン

“ソフトバンク”の回線契約と Yahoo!JAPAN ID を連携する手続きを「スマートログイン」と呼んでいる。

Yahoo!JAPAN における特典内容は“ワイモバイル”のヤフー連携サービスと大差ないが、“ソフトバンク”ではYahoo!ショッピング等でポイント還元が若干割増される(“ワイモバイル”では別建てになっている「Enjoyパック」のような特典が含まれている)反面、「パケットマイレージ」は対象外になる。

連携した“ソフトバンク”回線を使う場合に限り Yahoo!JAPAN 関連サービスへのログインを省略できるが、他の回線(Wi-Fi・光回線を含む)やテザリング・データシェアを使う際には、連携した回線でSMS認証が必要になる

“ワイモバイル”のヤフー連携サービスは回線との紐づけが緩く柔軟性があるのに対し、“ソフトバンク”の「スマートログイン」は回線との紐づけが硬直化していて、当該回線以外でYahoo!JAPANのサービスを利用する時に煩雑化するきらいがある。

このため、“ソフトバンク”の「スマートログイン」ではソフトバンクに登録した請求情報などがYahoo!ショッピングに反映されるが、他の回線を使って買い物する際にはいちいちSMS認証を求められるなどの不便が付きまとう(“ワイモバイル”ではYahoo!JAPANに登録した情報が使われるので、初回のみ情報登録が必要になるが、Wi-Fi・光回線や他社回線を使っても特段不便はない)。

また、“ソフトバンク”回線を解約する前にスマートログイン設定を解除する必要がある。スマートログインを解除せずに回線を解約(“ワイモバイル”“LINEMO”への移行を含む)すると、Yahoo!JAPAN ID でログインできなくなる

“ワイモバイル”のヤフー連携サービスではSMS認証時の電話番号を任意に変更できる(ワイモバイル以外にもできる)が、“ソフトバンク”の「スマートログイン」ではSMS認証用の電話番号がソフトバンク回線に固定される不便がある。例えばデータ通信専用プランを契約してその回線をiPadで使っている場合、当該iPadでYahoo!JAPANのサービスを使う場合に限ってはログイン不要になるが、他の端末では(またはWi-Fiにつないでは)Yahoo!JAPANのサービスを利用できなくなる。

“ソフトバンク”と“ワイモバイル”を行き来する際の注意点

ソフトバンクの3ブランド展開

“ソフトバンク”と“ワイモバイル”は同じ会社のサービスにもかかわらず、“ソフトバンク”の各プランから“ワイモバイル”の各プランに変更する、またはその逆は、MNP(のりかえ)扱いとなる。

新たに始まった“LINEMO”は、ホームページでは「ソフトバンクのブランドとして提供」するとしている一方で、発表会では「そのお客様にとってのメインブランド」「ワイモバイルと同じような形で」「新たなブランド」などと説明されていたので、どうなるのかわからない(笑)。 先日ドコモの新社長が威風堂々とサブブランド論議をぶった切っていたが、そこに言葉を選びながらも相乗りしてきたね。

“ソフトバンク”の従来プランから「メリハリ無制限」に切り替えるのは、おそらく容易なプラン変更手続きでできるようになると思われるが、切り替えると旧プランに戻ることはできなくなる。唯一「ミニフィットプラン+」への変更はできるが、あまり意味があるようには思えない。

現行の「メリハリプラン」の申し込みは、「メリハリ無制限」の提供開始に合わせて受付終了となる。「スマホデビュープラン」への変更は実質不可。

“ソフトバンク”は今後「メリハリ無制限」のみの実質1プランになりそうなので、あまり使わないから料金を安くしたいと思っても、“LINEMO”“ワイモバイル”や他社に「のりかえ」る以外の選択肢はなく、面倒な手続きが発生するので、毎月のように気軽に「のりかえ」るわけにはいかないだろう。

現在はMNP転出手数料や契約事務手数料を請求されるが、3月17日から無料化される予定。ブランド間の乗り換え時の契約解除料はキャンペーン扱いで無料化される。

ワイモバイル同士であれば、シンプルS/M/Lの間のプラン変更は容易なので(My Y!mobileからオンラインで手続きできる)、必要に応じて毎月でもプラン変更できるし、その度に家族割を組み直すといった手間もない。

また、“ソフトバンク”と“ワイモバイル”では家族割引サービスも別扱いになるため、例えば主回線では無制限プランを使って、家族が使う副回線ではワイモバイルを使う、といった使い分けに不自由する(割引サービスを受けられない)。

端末(機種)も“ソフトバンク”と“ワイモバイル”で別々のラインアップになっているため、普段はWi-Fiを使うのでデータ容量はワイモバイルのプランがちょうどいいが端末はハイエンドを使いたい、逆に端末は廉価版でいいからソフトバンクで大容量プランを使いたい、といったニーズにも応えきれていない(中古端末を購入してSIMのみ契約すれば可能だが)。

こうした縦割りの弊害は存置されたまま、2021年3月以降は、さらに第3のブランド“LINEMO”が加わることになる。2020年12月22日の発表会後の質疑でも記者から質問が出ていたが、言葉を濁して逃げていたので(「ブランドの妙」って何?)、この縦割りの弊害を解消する気はなさそうだ。

Softbank 20210204 multibrand.jpg

旧料金プラン

以下では、2021年以降に新規提供が始まり、すでに新規契約受付が終了したプランを備忘録替わりに掲載している。契約中の人は引き続き利用できるが、これから契約・変更する場合は#スマートフォン向け料金プランまたは#データ通信専用プランを参照。

メリハリ無制限

NTTドコモの新料金プラン「ギガホ プレミア」への対抗で登場した、“ソフトバンク”ブランドの新プラン2020年12月22日発表、2021年 3月17日開始、2023年10月 2日で新規受付終了。

1プランで4G5Gの両方に対応し、3Gも利用できる。

プラン名の通り、スマートフォン単体でのデータ容量は無制限になるが、テザリングデータシェアは合計30GBまでに制限される

料金は競合の「5Gギガホ プレミア」よりわずかに安くなるよう設定され、3GB未満の利用月は自動的に税別1,500円の値引きが入る作り込みも同じ。実際、「ギガホ プレミア」はよく出来ていたと思う。

2021年3月以降、“ソフトバンク”はこのプランに実質一本化された。大容量を使いたい人はこれ、容量30GB以下で足りる人は“ワイモバイル”や“LINEMO”と、きれいに住み分けができている。

“ソフトバンク”ブランドでは他に「#ミニフィットプラン+」(ドコモの「ギガライト」に相当)と#データ通信専用50GBプランが新たに設定されたが、「ミニフィットプラン+」をあえて選ぶ理由はほとんど無さそうなので、2021年3月17日以降のソフトバンクショップでは「メリハリ無制限」が主力商品となりそうだ。

だが、使ったデータ量によって料金が変わる「メリハリ」プランは我々が先駆者だ主張されていた
後述する#ミニフィットプラン+は選ぶ理由を見出せない。他に、3Gガラケーから移行する人に限り契約できる「スマホデビュープラン」(3GBまで 2,178円)があるが、対象者が限られるので割愛。
ただし、テザリングやデータシェアは合計30GBまでに制限されるので、実質30GBプランとなり、ワイモバイルの「シンプルL」並み。テザリングやパソコン・タブレット等のデータ端末をよく使う人は、別途#データ通信専用50GBプランを利用するか、“ワイモバイル”や“LINEMO”などを複数契約して使い分ける方が良い

余談

余談は執筆当時の内容。後で変更等された事項にあえて触れておらず、そもそも余談なので、重要なことは書いていない。古い話に興味が無い人は読み飛ばしていただきたい。

SoftBank on LINE

ソフトバンクのブランドとして提供」すると強調されている

LINEMOの「コンセプト」が2020年12月22日に発表された時点では、「SoftBank on LINE」(ソフトバンク オン ライン)と呼ばれていた。

名前の由来は仮想世界…ではなく、「お客様が誤解しないようにソフトバンク株式会社が提供するオンライン専用LINEのプラットフォーム活用を表す名前にしたそうだ。

2021年 2月18日に追加発表され、以降「LINEMO」(ラインモ)と呼ばれるようになった。

当初、データ通信は4G5Gを20GBまで使え、通話5分定額を含めて月額3,278円税別2,980円)と発表されていたが、2月18日発表にて通話5分定額が切り離されて月額2,728円税別2,480円、通話5分定額は月額550円のオプションとして提供)に改定された。

要は、当初はahamoに合わせていたが、後日発表されたpovoに合わせて改定される格好になった。

発表会の様子

2020.12.22

ソフトバンク株式会社 新しい料金サービスに関する発表会(2020年12月22日開催)プレゼン資料

2021.02.18

オンライン専用新ブランドに関する発表会(2021年2月18日)プレゼン資料

振り回されるLINEモバイル

親会社からLINEモバイルの終了が発表された当日の公式twitterのコメント

前月まで「ソフトバンクブランドの値下げについてはまったく思っていない」と言っていたソフトバンクは、競合のahamo発表からわずか20日足らずの間に大鉈を振るい、2020年12月22日、全ブランドの刷新とともに、LINEモバイル」事業の終了発表された

2021年3月の「SoftBank on LINE」のサービスインをもって、既存の「LINEモバイル」は新規受付を停止し、これからは「SoftBank on LINE」一本にすると、質疑の中で説明されていた。既存客への移行や引き続きの利用については今後説明するという。

いろんな意味でahamoに劣らない衝撃的な発表だったと思うが、ソフトバンクは同日付けで「当社によるLINEモバイル株式会社の完全子会社化および吸収合併に向けた検討に関するお知らせ(PDF形式)」というプレスリリースを出している。

一方、「スマホ基本料ワンコイン」で頑張ってきたLINEモバイルは、同日付け公式twitterで「本日ソフトバンク株式会社より、LINEを利用した新しいプラン「SoftBank on LINE」の発表がありましたが、「LINEモバイル」をお使いの皆様は、引き続き、現在の契約内容でご利用いただけます。よろしくお願い申し上げます。」とメッセージを出した(右上図)。

続いて「「SoftBank on LINE」発表に伴う「LINEモバイル」のサービスに関して(サービスは継続・強制移行はありません)」と発表され、LINEモバイルのサービスを終了する予定はないとされた。また、「LINEモバイルの新規申込の受付終了に関しては、ソフトバンク株式会社およびLINE株式会社で協議をしていく予定」(これ以外は未定)だとしている。親会社の意向次第にはなるが、当のLINEモバイルにはまだ続ける気があるぞという気持ちが表れている。

よく見ると小さく(協議予定)と書かれているが…3月に間に合わせるべく頑張っているそうだ(-_-;

LINEモバイルの終了・吸収の話、発表会ではすでに決まったことのように断定口調で話されていたが、実は今後協議することであり、今はまだ検討することが決まった段階だという。あまりの急展開だったが、当事者にも寝耳に水だったのだろう。

LINEモバイルにソフトバンクが出資したときも、LINEZHD(ヤフー)と合併する話も、唐突に出てきた感があったが、今回はその比ではなかったように思う。

発表会後の質疑応答に対応した、ソフトバンクの役員3名。中央の榛葉氏が全ての質問に答えていたが、向かって右手の寺尾洋幸氏はワイモバイルの担当。新たに登場するLINEはソフトバンクを担当する菅野圭吾氏が担当になるのだろうか?

元々ソフトバンクは競合他社を弱らせてから吸収し、取り込んだ人材をうまく使って大きくなってきた。イー・モバイルにせよ、WILLCOMにせよ。今回のLINEは競合ではないが、強引に吸収する手腕は重なって映る。

ahamo対抗でソフトバンクが「LINE」を切り札にしたい気持ちはわかるが、今回の話は少々焦りすぎにも見える。この話、うまくまとまるのだろうか。LINEモバイルの既存ユーザーはどうなるのだろうか。吸収後のLINEモバイルは、果たしてうまく機能するのだろうか?

(まあ、嘉戸氏を役員に招き入れるくらいのことはするかもね。NTTやKDDIとソフトバンクの最大の違いは、そうした大胆な人事が出来うるかどうか、なのかも。)

「LINEモバイル」はソフトバンクが51%出資して子会社化したものの、元々は独立したLINEMVNOとして始まっており、ドコモやauの回線も販売しているし、サポート等の問い合わせをLINEトークで受け付けるとともに、一部家電量販店などの店頭に代理店窓口も設けている。

唐突に出てきた「LINEモバイル」の完全子会社化だが、そうなればドコモやauの回線販売は打ち切られるだろう。では「LINEモバイル」を吸収する狙いは何だろうか。単に「LINE」ブランドが重複しないよう閉鎖したいということかもしれないが、またはLINEモバイルの運営陣をソフトバンクに招き入れたいのか、実績あるLINEを使ったサポートや販売体制などを引き継ぎたいのかもしれない。

今はまだ憶測しかできないが、2021年3月までには見えてくることだろう。

LINEモバイル増量

終了を目前に控えた2021年 3月 5日に、翌4月からのデータ増量が発表された

LINEモバイルではベーシックプランに限り、4月からデータ容量を増やし、ネットワーク増強も予定しているという。データSIM 500MBプラン(660円)は2GBに増量されるし、12GBプランは30GBに増量される。データSIMを使いたい人や、大容量を安く使いたい人には良さそうだ。

データ容量
(3月まで → 4月から)
月額基本利用料(変更なし)
データSIM 音声通話SIM
500MB → 2GB 660円 1,210円
3GB → 5GB 1,078円 1,628円
6GB → 10GB 1,870円 2,420円
12GB → 30GB 2,970円 3,520円

3月31日までに「ベーシックプラン」を契約した人は、増量の対象になる。すでに店頭での新規受付は打ち切られているが、公式ホームページからの申し込みは 3月31日 午前11時まで受け付けているので、格安データプランを探している人などは、必要に応じ駆け込み契約しても良いかもしれない。→終了

既存の利用者は4月以降もそのまま使えると案内されているが、増量対象はベーシックプランのみで、LINEフリー、コミュニケーションフリー、MUSIC+は対象外。LINEモバイルの看板であったLINEフリーなどのプランから、ベーシックプランへの移行を促す狙いもあるのだろうか?

移行させる理由は不明だが、LINEモバイルは元々ドコモ系のNTTcomMVNEで、後からソフトバンクグループに入ったので、MVNEの変更といった提供側の都合があるのだろうか?

また、3月31日午前11時以降は、既存の契約者を含め、ドコモ回線・au回線への回線変更はできなくなる。これはLINEモバイルがソフトバンク直営になるための措置と思われる。

加えて、「ベーシックプラン」以外をドコモ回線で利用している場合、4月 6日以降はVoLTEを使えなくなると告知された。これもLINEモバイルがソフトバンク直営になることと関係あるのだろうか(ドコモは予てより、MNOによるMVNOの運営を批判していた)。

ちなみに現在は「ベーシックプラン」+「データフリーオプション」で、SNSや音楽配信サービスのゼロカウントを提供しているので、プラン変更する手間はかかるが、LINEモバイルの特徴であったSNSデータフリーは引き続き利用できる

細かい条件の差異は把握していないので、利用しているサービスが対象になるかは個別に確認してほしい。本来は、こういう丁寧な案内はLINEモバイルが率先してすべきだと思うのだが…

しかし、「3/31(水)以降も、引き続き現在の契約内容でご利用いただけます」と言っていたのに、こんな大事なことを1ヶ月前に告知するのはどうなのかと思う。

そもそも同社では「(ソフトバンクよりも)ドコモ回線の方にニーズがある」と言っていたし、LINEモバイルのユーザー層は20代後半が最も多く」「20代の9割以上は「コミュニケーションフリー」プランを選んでいるという話もあった。すると「旧プラン」利用している人が多いと思われるし、それから2年でこの構造がひっくり返ったとも考えづらい。旧プランだと言ってばっさり切るには大きすぎるのではなかろうか?

まあ打ち切られるブランドに多くを期待しても仕方ないのだが…

LINEモバイル終了

LINEモバイルからは2021年 1月28日付けで、3/31(水)11時に新規申込を終了すると告知された。

ただし、家電量販店などの店舗での契約は 2月28日までで終了した(店舗ごとに異なるので個別に確認するよう案内されていた)。

終了前に契約した人は継続して利用できる。また、「LINEモバイルをご利用中の皆様を、お客様の同意なくソフトバンク社の新プラン等に強制移行することはありません。」と案内されている(案内するまでもなく当たり前だとは思うが)。

続いて、2月18日に開催された発表会にはLINEの舛田CSMOも登壇し、新ブランド「LINEMO」の「3つのフリー」(チャット、音声・ビデオ通話、LINEスタンプ)をアピールするなど、期待を語っていた。

ソフトバンクは当事者との調整前に大々的に発表会を開き、子会社のLINEモバイルを混乱に陥れたものの、その後、無事に親会社LINEとの合意ができたことをアピールする格好になった。

また、新ブランドとして発表した「SoftBank on LINE」を後から「コンセプト」と言い直すなど、浮き足立った感もあったが、なんとか想定通りにまとめたようだ(裏で強引にまとめたのかもしれないが知る由も無し^^;)。

ちなみに、本田翼さんのCMは続投。まさかこれが狙いで…ぃゃぃゃ

会見のライブ配信では新CMとビデオメッセージが流れていたけれど、オンデマンド配信ではカットされてるね。新CMはSB公式YouTubeチャンネルで時々配信されている。

まあそんなこんなで、LINEモバイル株式会社は 4月 9日付けでソフトバンクの完全子会社になった。じきにソフトバンクに吸収合併され、ソフトバンク直営の1ブランドになる予定。

これで幕引きかと思いきや、2021年 7月から500MB以下の月は基本料が無料(ユニバ料などは別途)になるキャンペーンが始まるようだ。また、ソフトバンク回線に限りデータ容量が倍に増量される。

とはいえ、すでに新規契約は打ち切られているので、流出抑止&ソフトバンク回線への誘導策だろうが、こういうの、LINEMOで展開してくれないかな…LINEMOは1プランにこだわらなくてもいいように思うし、むしろ楽天対抗の段階制プランとかになったら面白いのに:)。

ミニプラン登場

と思っていたのは筆者だけではなかったようで、2021年 7月15日、LINEMOの2つめのプラン「ミニプラン」が発表された。3GBを月額990円で、1回線から使える。

(そうは言っていなかったようだが)このタイミングで出てきたのは、おそらくUQモバイル「でんき割」への対抗なのだろう。

ワイモバイルショップを見ていると、手続きよりもサポートで訪れている人をよく見かける。ワイモバイルショップは前身のWILLCOM・EMOBILEの頃から全国展開していたから、ショップサポートは当たり前のサービスになっている感がある。

かたや、UQモバイルもauショップでの取扱を拡大してはいるが、後発なだけに、今はまだオンラインと家電量販店での契約が主だと思う。

UQへの対抗は必須だが、展開済みの店頭サポートコストを加味すると安易な価格対抗もできず、家族割を崩したくはなかったのだろう。そこで、第3のブランドを使って対抗を試みることにしたのかな思われた。

YMとLINEMOを担当する寺尾常務の発表会見で広範に語られていた内容が興味深いが(動画配信が無いのが残念)、「ミニプラン」追加の主な狙いは旧「LINEモバイル」からの移行促進で、楽天対抗も意識したそうだ。

段階制の1プランや、使わない月だけ安くなる組み立ても検討したようだが、それはせず、ユーザーに月々使いたい容量を選択してもらうことを重視したようだ。

たしかに、意図せず使いすぎてしまうことを嫌がる人は少なくないと思う。特にOSが積極的にバックグラウンド通信するiPhoneでは、慎重に使っている筆者ですら意図せず使いすぎてしまうことがある。端末の設定に詳しくない人は尚更だと思う。

料金に敏感な人の中にも、必要なだけ使いたいという人もいれば、予算の範囲で使いたいという人もいるだろうから、(プラン設計については)前者は楽天が、後者はLINEMOが適しているというわけだ。

MVNOでもイオンモバイルが似たような着想で1GB刻みの料金プランを出してきたが、格安SIMは予算を優先する人に多く使われているし、そうした既存ユーザーに好評だと聞く。

しかし、LINEMOでは3GB・990円の次が20GB・2,728円になってしまい、中間がない。もう少し選択肢を増やさないと、「スマホ基本料ワンコイン」で集客したLINEモバイルのユーザーは移行しづらいのではという気がする

まあそれも当然考えてはいるのだろうが、LINEモバイルのボリュームゾーンが3GB以下だそうなので、まずはそこの移行促進を図りつつ、様子を見ながら中間も考えることになるのだろう。

IIJmioのように1GBあたり220円くらいで追加できるのであれば、ワイモバイルの「快適モード」のような仕組みを入れる方法もあると思うが、LINEMOは1GBあたり550円もするので、現実的ではないだろう。

競争環境を維持・拡充できるのか

上述の通り、「SoftBank on LINE」改め「LINEMO」は、これまでワイモバイルを担当してきた寺尾常務が担当することになったようだが、ワイモバイルでは量販店中心にSIMフリー機種とのセット販売も展開し、eKYCもAmazon経由の契約などで早くから試行していたし、ソフトバンクでは初めてとなるeSIMにも当初から対応できるということで、どこか鈍重なドコモに対して、フットワークの軽さを見せた。

手札をたくさん用意しておいて、競合の出方を見ながら器用に組み合わせて出してゆく手法はソフトバンクの得意技だが、この手法は3番手だから有効なのであって、競合がいなくなったらこの会社は伸びなくなることを意味する。

その意味でも競争は大事。ただし外部不経済を生まないよう健全な競争環境を整える必要がある。それは政策当局の役割だ。

今は政権与党の過度な口出しプラチナバンドを持たない新規参入で混乱している節があるが、市場規模が限られ、人口減少に向かう中で、市場拡大を前提にした従来の競争政策は限界を迎えている。MVNOの制度面での支援を含めて、総務省には競争政策をきっちり立て直してほしいものだ。

参考リンク

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