Xperia PRO-I
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この記事は、2022年 2月またはそれ以前の情報です。 公式ホームページなどで最新の情報を確認してください。 |
背面のメインカメラ | ||
メーカー | SONY | |
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発売日 | 2021年12月15日 | |
OS | Android 11→12 | |
通信方式 | 5G + 4G + 3G | |
SIMフリー | ○ | |
デュアルSIM | ○ DSDV | |
SIMタイプ | nano + nano | |
▶XQ-BE42 NTTドコモ【◎ VoLTE】 au【◎ VoLTE】 SoftBank【◎ VoLTE】 楽天【○ VoLTE】 | ||
◎=幅広く対応 ○=主要バンドに対応 △=一部のみ対応(非推奨) ●▲=要SIMロック解除 | ||
サイズ | <大> 縦166×横72×厚さ8.9 mm / 重さ 211 g | |
性能 / SoC | ◎ / Snapdragon 888 | |
メモリ(RAM) | 12GB LPDDR5 | |
内蔵ストレージ | 512GB | |
ストレージ増設 | ○ microSD 最大1TB(2枚目のSIMと排他利用) | |
電池容量 | 4500mAh | |
急速充電 | ○ USB PD | |
端子 | USB Type-C | |
USB OTG | ○ | |
Wi-Fi | IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax (2.4GHz/5GHz) | |
Bluetooth | 5.2 | |
NFC | ○ | |
FeliCa | ○ Suica・PASMO共存可 | |
GNSS(GPS等) | ◎ G+A / O / L / B / Q | |
生体認証 | ○ 指紋(側面電源ボタン一体型) | |
防水 | ○ IPX5/IPX8 IP6X (防水防塵) | |
MHL・DP出力 | ○ HDMI Alt Mode | |
ディスプレイ | 6.5インチ 有機EL 3,840×1,644px | |
アウトカメラ (→詳細) |
【広角】24mm相当 12.2MP F2.0/4.0可変 OIS対応 【超広角】16mm相当 12.2MP F2.2 【望遠】50mm相当 12.2MP F2.4 OIS対応 | |
インカメラ | 8MP F2.0 | |
イヤホン端子 | ○ ⌀3.5mm 4極 CTIA | |
ストラップ | ○ | |
本体色 | ■フロストブラック | |
参考市価 | 198,000円(税込、直販価格) | |
後継機種 | #後継機種を参照 | |
▶Xperia PRO-I ▶仕様 ▶説明書 ▶使いこなしガイド ▶サポート |
Xperia PRO-I(エクスペリア プロ アイ)は、ソニー社製の5G対応スマートフォン。型番は XQ-BE42。Android 11 を搭載。
2022年 3月31日より、Android 12 へのバージョンアップ提供開始。ただしこのアップデートにはカメラ操作音(シャッター音)をOFFにできなくなる不具合がある。
「PRO-I」の「アイ」は Imaging の意味。つまりプロフェッショナルな写真撮影・映像制作者に向けたモデルを意味している。
ただし先代の「Xperia PRO」が映像ビジネスユーザー向けで、一眼との連携機能※を重視していた(内蔵カメラは Xperia 1 II相当だった)のに対し、本機は1型センサーを搭載するなど内蔵カメラが強化され、単体利用を前提としている。 本機はコンシューマーのカメラが好きな方に向けた機種だそうで、つまりプロフェッショナルに限らずハイアマチュアに向けた商品になっている。
カラバリはブラックのみ。いわゆるSIMフリー機種で、販路は直販と家電量販店が主だが、auショップでも取り扱っている(仕様は共通)。
2022年 3月31日より、Android 12 へのバージョンアップの提供(OTA配信)が始まった。→主な新機能
後継機種
本機の後継機は出ていないが、スマートフォンとしては、Xperia 1 シリーズが実質的な後継機となりそうだ。
カメラ等との連携用途には、2024年 3月22日に「ポータブルデータトランスミッター PDT-FP1」が発売される。αシリーズや業務用カムコーダーなどのカメラに接続して、有線LANや5G・4Gデータ通信で写真や映像を送れるようになる。放熱対策もされており、空冷ファンを内蔵して、40℃近くになる夏の屋外でも安定してデータ転送できるそうだ。
対応バンド構成
- 5G Band n3, n28, n77, n78, n79 (Sub-6)
- 4G FD-LTE Band 1, 3, 4, 5, 7, 8, 12, 13, 17, 18, 19, 21, 26, 28
- 4G TD-LTE Band 38, 39, 40, 41, 42
- W-CDMA (3G) Band 1, 5, 6, 8, 19
- GSM (2G) 4バンド対応
[1] (太字は日本国内で使われているバンド番号)
SIMフリー(SIMロック無し)で、国内全キャリアの 5G Sub-6 新周波数帯に対応している。ドコモしか使っていない n79 にも対応しているので、国内ではキャリアを問わず使える。
4Gは国内のほとんどのバンドに対応しているので、国内全キャリアで遜色なく使える。ドコモ系では Band 21 に対応しているので、ドコモ網が混雑する時間帯にも比較的快適に使える。しかし同じ1.5GHz帯なのに、au・ソフトバンク網の Band 11 には対応していないのが残念。
SIMカードが2枚入り、デュアルSIM(DSDV)※に対応しているが、SIMを2枚入れるとmicroSDカードが使えなくなってしまう。本機を買う人は写真を撮りたい人が多いだろうし、eSIMに対応するなどしてほしかった。
Xperia PRO-I の特長
高性能&ストラップ対応
SoCは、2020年12月に発表された Qualcoom Snapdragon 888、2021年の最上位版が搭載されている。
メモリ12GBは必要充分、内蔵ストレージは512GBと余裕があり、さらにmicroSDXCメモリカード(最大1TB)も使える。
防水防塵対応、おサイフケータイ対応で、スマートフォンとしても遜色ない。さらにイヤホンマイク端子とストラップホールが付いているのが嬉しい。
国内各社の5G・4Gを快適に使える
5Gでは、本機は mmWave にこそ対応していないが、Sub-6 は n77, n78 のみならず n79 にも対応しているので、ドコモを含め国内全キャリアの5G (Sub-6) を快適に使える(各キャリアの5Gエリアが狭い課題はあるが)。
もっとも、2021年12月現在、ドコモの5Gは電波が弱いのであまり実用的でないが、本機は比較的空いている LTE Band 21 を掴むので(右図)、現時点ではむしろこちらの方がメリットとなる。ahamoやNUROモバイル NEOプラン(ドコモ回線)で使うと快適だ。
ただし、同じ1.5GHz帯なのに、なぜか他社の Band 11 には非対応なのが残念。本機は20万円もするハイエンド機種なのだし、auでも販売しているのだから、対応すべきだったろうに。
もっとも、au・UQやソフトバンク・ワイモバイルでは、5Gの新周波数帯 (Sub-6) と転用帯域を快適に使えるので(2021年12月現在)、遜色ない。むしろ5Gを含めて快適に使える。
microSDカードに対応
内蔵ストレージは512GBあり、カメラとして使っても余裕があるだろう。
もし内蔵ストレージが足りなくても、最大1TBまでのmicroSDカードを1枚追加できる。
ただし、microSDメモリカードではRAW撮影や連写・高画素動画撮影時などに書き込み性能が足りなくなることがあるので、撮影内容によっては内蔵ストレージを使う方が良い。
また、microSDカードは2枚目のSIMカードと排他利用なので、DSDVで使う場合はmicroSDを使えない。
1型センサー搭載カメラ
メインカメラ(レンズは広角24mm相当)に「Cyber-shot RX100VII」と同等の1型センサーを搭載しており、これをわずか1cmほどのスマートフォンの厚みに収めている。
そのため、レンズは独自開発の固定焦点。望遠側/超広角側には各々異なるセンサーを搭載している。
ズーム等の制約はあるものの、高級カメラ専用機と同等のセンサーを使っていることは、Panasonic LUMIX DMC-CM10 や SHARP AQUOS R6 などと同様に、コンパクトカメラを追求するユーザーにアピールしそうだ。
ただし、RX100VII(のセンサー)の有効画素数は約2010万画素だが、本機の有効画素数は約1220万画素。つまり1型センサーの全面を使っているわけではなく、約6割を切り出して使う仕組みになっているそうだ。すると、およそ1/1.3インチ相当のセンサーをフルに使うのと同等。競合の Galaxy S21 Ultraのメインカメラのセンサーが1/1.3インチだが、センサーサイズの比較では同等と見るべきなのだろう。
もっとも、本機では必ずしも1型センサーの一部を固定して使っているのではなく、手振れ補正などでも使っているそうなのだが、「像面位相差AFを備える1.0型イメージセンサーを世界初搭載」とアピールされるのは釈然としない感がある※。
また、同じく1インチセンサーを搭載している AQUOS R6 も通常の画角で撮るとクリッピングされ(てから引き伸ばされ)る仕組みになっていたが、本機でもセンサーの一部しか使われていないことは、他機種と比較検討する際に、頭の片隅に置いておこう※。
1インチセンサー搭載で先行する AQUOS R6 との違いとして、本機は像面位相差AFを備えているので、ToFに頼り切りでピントが合いづらい AQUOS R6 よりも使いやすいと思う。カメラはピントが合うことが大前提なので、カタログに表れないAFの優劣は実用上大きな差になるだろう。
また、本機は可変絞り(F2.0/F4.0 の2段階)を採用しており、撮影シーンに合わせて開放する/絞る選択余地がある。ただし DMC-CM10 では多段虹彩絞りを備え F2.8-11 の可変絞りに対応していたので、DMC-CM1/10 からの乗り換えだと物足りなく感じるかも。
このほか、 Exmor RS(R) CMOSセンサーの特長である高速読み出しによってローリングシャッター現象※を低減する「アンチディストーションシャッター」を搭載している。
同じ電子シャッターなので多少の影響はあるものの、右下の例のようにローリングシャッター現象が改善している。
もちろん画作りの傾向は各社それぞれだが、そこはユーザー側の好みも絡んでくる部分なので、作例を見たり実機を入手したりして各自で判断するしかない。
縦長21:9画面
2019年フラグシップモデルの Xperia 1 シリーズから引き続き、縦長21:9の4Kディスプレイを搭載している。
本機を買う人はカメラが主目的だと思うが、本機に搭載されているカメラアプリ「Photography Pro」はファインダーの余白(?)で各種パラメータ操作を行えるようになっており(下図)、細長い画面を効率的に使える。
カメラ以外でも、WebやSNSなどの縦スクロールして見るコンテンツが見やすいし、スクリーンキーボードを表示しても画面が広いので、使い勝手は良いと思う。
縦長を活かしてマルチウィンドウにも対応しており、YouTubeを見ながらツイートする、Webを見ながらチャットするといった使い方もしやすくなっている。
ただし、アプリによっては縦長画面を活かしづらいこともある(例えば電子書籍など)。そういう用途の場合は、Pixel 6 Pro などの方が画面を広く使えて使い勝手が良いと思う。
ディスプレイは今時流行りのフレームレスではなく、本機は上端の画面外にスピーカー(受話部)やインカメラを収めるフレームがある。Xperiaではむしろ画面内にノッチ(切り欠き)を設けないことにこだわっているようだ。筆者は Reno5 A などのパンチホールノッチを邪魔だとは感じないが、たしかに映画の視聴にこだわる人にはノッチレスの方が良いのかもしれない。まあ好みの問題だろう。
注意点としては、両端が湾曲しているため、画面保護フィルムを貼ると使いづらい。曲面対応保護フィルムを貼ると良いが、貼り付けの難易度が高いので、苦手な人は家電量販店などの貼り付けサービスを利用すると良いだろう。
Xperia 1 III SO-51B/SOG03 ガラスフィルム 全面保護 Xperia PRO-I XQ-BE42 曲面保護強化ガラスシール ソフトフレーム 3D 0.2mm 液晶画面 飛散防止
SLUB-ショップ
本機の USB Type-C 端子は HDMI (DisplayPort Alt Mode) 出力に対応しており、市販の対応ケーブルを使ってHDMIモニタに画面を出力できる。
ネット配信の映画をテレビなどに映して大画面で観ることもできるし、簡単なプレゼンにも使えそうだが、縦画面では画面の中央に小さく表示されるため実用性に乏しく、横回転させても 21:9 の画面がそのまま出力されるため、一般的な16:9のモニタでは上下に無駄な黒縁が生じてしまうのが少し残念。
モバイルSuica対応
本機は「おサイフケータイ」に対応しているので、普段使いのスマートフォンとしても申し分ない。
モバイルSuicaとモバイルPASMOを併用できるので(共存対応、各1枚ずつ発行可能)、例えば民鉄の定期券とSuicaグリーン券を両方使いたい人にも向いている。
本機のFeliCaアンテナは本体背面上部のカメラ付近にあり、自動改札機はもちろん、買い物でも使いやすい。設計が悪い機種だと持ち方が難しかったりするが、本機は自然な持ち方で使える。
今のところ読み取りづらかった店舗端末はないし(例の曲者も使えた)、読み取り性能に難がある HELLO CYCLING でも使えた。
もちろん、各種Payアプリも問題なく使える。指紋センサーが本体側面に付いているのでロック解除も簡単だし、本機側面のショートカットキーに任意のアプリを割り当てられるので、Payアプリを割り当てて起動することもできる【設定 > システム > ジェスチャー > ショートカットキー】。
本機はカメラ専用機として使う人が多そうな気もするが、だからと言って下手に手を抜かず、スマートフォンとしても日常使いできることは評価できる。
ただし、発売の翌日(2021年12月16日)に配信されてきた 61.0.A.20.63 アップデートを適用後、本機のモバイルSuicaが時々認識されない(改札機でエラーになる)不具合が発生している。本機のロック解除するとモバイルSuicaが使えるようになるのだが、アップデートでFeliCaの挙動が変わってしまったのだろうか?
緊急速報メール (ETWS)
本機は緊急速報メール (ETWS) の受信に対応しており、自動音声による読み上げにも対応している(読み上げを止めることはできない)。
右図は povo 1.0 (au) と ワイモバイルのSIMを入れた状態で受信した例。
複数台持ちでアラートが鳴り響いて困る場合などは、【設定 > アプリと通知 > 詳細設定 > 緊急速報メール】で「常に最大音量で通知音を鳴らす」の切り替えができる。
GNSS
本機のGNSSは、GPS(米国)、GLONASS(ロシア)、Galileo(EU)、Beidou(中国)、QZSS「みちびき」(日本)に対応している。
側面電源ボタン一体型の指紋センサー
もちろんカメラはロック解除不要で起動できるが(要設定)、スマートフォンとして使うときに、本体右側中央の比較的使いやすい場所に指紋センサがあって使いやすい。
マスクを着けていると使えない Face ID や、画面を見て指を意識して押し当てないとロック解除できない画面内指紋センサーなどと比べると、本機の指紋センサーは圧倒的に使いやすい。
本機の指紋センサーの読み取りは極めて早く、ロック解除はストレスフリー。
反面、指紋センサーが常時作動しているため、電源ボタンに指を乗せるだけでロック解除され、持ち方によっては意図せずロック解除されてしまうこともある。同じく側面電源ボタン一体型の指紋センサーを採用している Mi 11 Lite 5G や Huawei nova 5T などでは電源ボタンを押すまでロック解除されない設定にもできるのだが、本機ではできないので、人によっては使いづらいと感じるかも。
USB PD 急速充電対応
本機は USB PD 対応の充電器・ケーブルを使うと急速充電できる。
近頃は急速充電を売りにした機種が多いが、本機はバッテリーの負荷を軽減する「いたわり充電」を前面に出し、「3年使っても劣化しにくいバッテリー」と謳われている。
汎用的な急速充電規格である USB PD に対応しているので、ACアダプタやモバイルバッテリなども市販品を使えて便利だ。
本機は最大30Wまでの急速充電に対応しているが、実用上は18Wや20Wでも充分、短時間で終わる。iPhoneが20Wなので、各社が20W対応の急速充電器を投入しており、買いやすい。とりわけ Anker PowerPort III Nano 20Wはコンビニでも買えて価格も安い(セブンイレブンで1958円)が、プラグを折りたためず、筐体色ホワイトしかないのがイマイチ。
ちなみに筆者は手持ちの AUKEY Omnia Mini II PA-B1S(最大出力20Wだが、本機は 9V 2A≒18Wで充電される)と一緒に快適に使えている。こちらは通販と一部の家電量販店(ビックカメラ、ヨドバシカメラなど)でしか買えないが、プラグを折りたためて小型軽量なので持ち運びに便利だ。
本機にはケーブルも付属していないので、持っていない場合は別途 USB PD 急速充電対応のケーブルも用意する必要がある。モバイルバッテリにはケーブルが付属していることが多いが、ACアダプタ(充電器)には付属していないことが多い。無ければ USB PD 急速充電対応ケーブルを一緒に購入しておこう。
また、本機のUSB端子はキャップレス防水だが、濡れている状態でケーブルを接続すると故障の原因になるので気をつけたい。
なお、本機はワイヤレス充電と「おすそわけ充電」には対応していない。
イヤホンマイク端子搭載
本機にはφ3.5mmイヤホンマイク端子が搭載されており、CTIA準拠の有線イヤホンマイクを使える。音楽再生やゲーム・映画を観たい人はもちろん、ZoomなどのWeb会議が多い昨今、出先でのWeb会議などにもイヤホンマイクは必須だから、有線・無線を問わず使えるのは嬉しい。
CTIA準拠なので、昔のiPhoneに対応している市販のイヤホンマイクはそのまま使える。 筆者は 1MORE EO320、1MORE E1008 と ATH-C505iSで確認。リモコン・マイクも使える。
もちろん、Bluetooth対応の無線イヤホンマイクも使える(筆者は AfterShokz OpenComm、AfterShokz OpenMove、1MORE ECS3001B と Sudio TRE で確認)。
ストラップホール搭載
本機はカメラとして使うことを想定していることもあってか、ストラップホールが標準搭載されている。
ストラップホールは1箇所なので、カメラ用ストラップではなく、携帯機器用のハンドストラップやリングストラップなどを利用することになると思うが、ストラップを付けて使える安心感は代えがたいものがある。
Xperia PRO-I の欠点
熱に弱い
高性能と引き替えに(?)、歴代Snapdragonの最上位モデルは発熱も大きい。夏場に気になる熱設計だが、本機は真冬の12月にもかかわらず、気温10℃以下の屋外で15分ほどの写真撮影中に熱くなり、警告表示が出る場面があった。
気温20℃ほどの屋内では、10分ほど連続撮影していたらカメラが強制終了してしまった(右図)。ケースを着けているぶんを割り引くとしても、20℃程度の場所でこれはひどい。
同じ Snapdragon 888 を搭載する AQUOS R6 も、気温29℃の屋外(日陰)で10分くらい連続使用していたらカメラが強制終了して使えなくなってしまった。
Snapdragon 8 シリーズを搭載した機種でも、Xiaomi 13 Pro や Zenfone 9 などは放熱性能が優れており、30℃超えの猛暑下でもカメラを使うことができる。
残念ながらXperiaやAQUOSは放熱性能が悪く、夏場のカメラ利用に難があると考えておく必要があるだろう。比較的発熱の少ないミッドレンジ機種との複数台持ちや、カメラ専用機との併用を考えておく方が良さそうだ。
スクリーンショット音を無効にできない
本機では、スクリーンショット撮影時に出てくるうざい通知音を無効にできない。マナーモードにすれば音は出なくなるが、スクリーンショット撮影音のみを消すことはできない(;_;)。
さらに、スクリーンショット撮影時に画面左下にサムネイルが出て邪魔。しかも続けてスクリーンショットを撮るとサムネイルが映り込むので、いちいち消さないといけなくて、非常にストレス。スクリーンショットを多用する人は要注意。
スクリーンショットファイルは【内部共有ストレージ/Pictures/Screenshots/Screenshot_YYYYMMDD-hhmmss.png】に保存される。
なお、スクリーンレコード(画面録画)は画面上端の通知バーを下にスワイプしてクイック設定を開き、「スクリーンレコード」をタップして開始する。録画した動画は「Movies」フォルダ内に保存される。
電池持ちは心許ない
本機は4500mAhの電池を内蔵しているのだが、筆者が使っている感覚では、4000mAhの電池を内蔵している Reno5 A よりも本機の方が幾分電池持ちが悪いと感じる。
本機はハイエンドSoCを搭載していることと、画面の解像度が高いこともあるだろうが、アプリのバックグラウンド動作の制御があまり上手くないのだろう。
とはいえ、Xperia同士で比較すると、Xperia 1 などよりは随分と改善しているので、ずっとXperiaを使ってきた人ならば、余裕があると感じると思う。 (まあ大きく・重くなっているのだから当たり前か(苦笑))
満充電にして出かけ、通話と時々出先で地図を見たりシェアサイクルを使ったりする程度ならば1日持つが、普通に使うにしても毎日の充電が必要。さらに動画やゲームをする人や、#カメラを多用したりすると厳しい。
対策としては、使わない無駄なアプリ(プリインアプリを含む)を削除または無効にすることで、使い勝手が向上する。
また、アンビエント表示 (Always-on display) が頻繁に動作して電池を消費するので、不要であればアンビエント表示を無効にすると良い。 【設定 > 画面設定 > ロック画面 > アンビエント表示(Always-on display) > アンビエント表示のタイミング > OFF】
本機のカメラはAFの高速作動などで電池を食うので、カメラを使っていると電池消費が激しい。本機はカメラとして買う人が多いと思うが、撮影時には USB PD 急速充電対応のモバイルバッテリーを携行しよう。18Wの急速充電でも30分ほどで50%ほど回復するので、旅行中も電車やバスに乗った時などにモバイルバッテリーにつなぐ習慣を身につけると良いだろう。
また、電子書籍やゲームなど、画面を点けっぱなしにするような用途では1日持たなさそう。通勤時間が長い人や、SNSやゲームもする人も、モバイルバッテリを用意すると良いと思う。
大きくて重い
本機はiPhoneなどに比べて重量バランスが良くて持ちやすいのだが、スマートフォンで200g超えはやはり重い。しかも本機は非常に高価なので、ケースに入れて使う人が多いと思うが、するとケースの重量も加わってさらに重く・大きくなる。
筆者の場合、普段は Reno5 A を使い、本機は専らカメラとして使っているので、あまり気にならないが、普段使いのスマートフォンは170g以下が手頃だと思っている。
従来より200g超えの重い機種を使い慣れている人以外は、本機は2台持ち前提でカメラとして使うのに向いていると思う。
もし本機を1台持ちで考えているなら、Xperia 5 III(168g)も検討してみよう。
Xperia PRO-I XQ-BE42 ソフトケース カバー TPU クリア ケース 透明 無地 シンプル 全面 クリア 衝撃 吸収 薄型 軽量 エクスペリア プロ-アイ SIMフリー xqbe42
Thursday
20万円もの高価格
本機の最大の欠点は、やはり約20万円もする高価格だろうか。この価格では、試してみたいと思っても手が出ない人が多いだろうと思う。
全国のソニーストア実店舗(札幌、東京・銀座、名古屋、大阪、福岡天神)に実機展示があるので、出向けば触ることはできるが、店頭展示機でカメラとしての使い勝手を試すのは限界があると思う。
Xperia 1 IIIが約16万円(SIMフリー版の場合、キャリア版はもっと高い)、1型センサー搭載コンデジの Cyber-shot DSC-RX100M7も同じく約16万円(2021年12月時点)。このあたりと比較すると、+4万円で本機を買えるので、コンパクトカメラにこだわりのある人は選択肢に入れてもいいかもしれない。
ただし、カメラと違って常時インターネットにつながっているスマートフォンはアップデート等のサポートが欠かせないが、一般的にAndroidスマートフォンのサポート期間は発売後2~3年程度なので、カメラ専用機ほど長くは使えないことを考慮しておこう。長く使いたい人は DSC-RX100M7 などのカメラ専用機を買う方が良いかもしれない。
もちろん、RX100シリーズは(レンズ交換式よりはマシだが)大きくて重いので、それより小型軽量で嵩張らず毎日でも携帯できる本機に価値を感じる人もいると思う。
一方で、いやいや、たかだか2~3年程度しか使えない物に20万円も出せないという人も多いだろうが、その場合は Xperia 5 II などの値崩れした旧モデルを中古で買うとか、本機が値崩れするまで待つのも良いだろう。Androidスマートフォンは型落ちになれば中古市場で(ときに未使用品も含めて)大きく値崩れすることが多いので、待てる人は待つのも一策だと思う。
20万円の価値は人それぞれにしても、中古市場を見ると、市場の評価が垣間見える。 発売から1ヶ月半が経過した2022年2月初旬の中古店(じゃんぱら)での買取価格は143,000円、早くも新品価格の72%まで落ち込んでいる。 一方、Pixel 6 Pro(SIMフリー版 256GB)は発売から3ヶ月余り経つ2022年2月初旬の買取価格が 97,000円、新品価格の76%。 Androidは全般にiPhoneよりもリセールバリューが低くなる傾向はあるが、Xperiaはさらに値崩れしやすいきらいがある。見方を変えれば、市場の評価に比して新品価格が高すぎるということだろう。
Pixel 6 Pro はいわゆる「コンピューショナル・フォトグラフィー」による画作りなので、カメラ寄りの本機とは写りの傾向がだいぶ違うが、実効センサーサイズはほぼ同じ。ストレージ容量・microSDスロットやイヤホンマイク端子有無などの違いはあるが、それ以外の機能面で見劣りすることはなく、新品価格は約65%(256GB版)に抑えられている。Pixelはコスパが高く、本機はコスパが悪いと言えそうだ。
(実際に使ってみないと判らないのがもどかしいが)本機に唯一無二の価値を感じられるかどうかが、判断の分かれ道になりそう。
Androidでなくても良いのであれば、iPhone 13 mini などは10万円以下で購入できてカメラも優れている(ただしマニュアル撮影はほぼできないことと、マスクを着けているとロック解除できない Face ID などの難もあるが)。
また、近頃はミッドレンジ機種のカメラも大きく改善しているので、古い機種を使っている人は、カメラに力を入れているミッドレンジの最新機種、例えば OPPO Reno5 A や Xiaomi Mi 11 Lite 5G、Xperia 10 IIIなどを先に試してみて、満足できればそれで良いし、もし最新のミッドレンジ機種にも限界を感じる場合には改めてハイエンドを試すと、より良い判断ができると思う。
セキュリティアップデートが遅い
本機の工場出荷時のファームウェアのビルド番号は 61.0.A.20.18 だったが、発売日(より前)にバージョン 61.0.A.20.26 アップデートが、発売翌日(2021年12月16日)に 61.0.A.20.63 アップデートがOTA配信されてきた。
しかし Android セキュリティアップデートは2021年11月 1日で止まっている(最新は2021年12月 5日)。
Google Play システムアップデートは実装されているものの使われていないようで、2021年 6月 1日で止まっている。
本機のソフトウェアには別記のように細部の不具合も散見されるし、セキュリティアップデートも遅いのは改善してほしいものだ。
また、高価な機材だけに長く使いたいところだが、本機がいつまでアップデートされるか不明。良い機材でもアップデートされないと使えなくなってしまうし、とりわけスマートフォン向けOSは頻繁なアップデートが欠かせない。本機がいつまでアップデートされるのか、メーカーには計画を開示してほしいものだ。
Xperia PRO-I の付属品
- スタートアップガイド
- 重要なお知らせ(安全のために)
- 保証書
のみ。
充電器はもちろん、ケーブルも別売なので、USB Type-C PD急速充電対応のACアダプタとケーブルを別途用意する必要がある。
また、ケースや画面保護フィルムなども付属しないので、必要に応じ市販品を購入しよう。
ちなみにパッケージにはプラスチックを全く使っていない(紙の表面加工を除く)。ただし紙の出所は不明(森林認証無し)。
iPhone・iPadも既に紙包装になっているし、もはや珍しくはないが、これで充分だと思う。
驚いたのは、筆者は直販で買ったためか、シュリンクやテープすら無かった。さすがにこの状態だと販売店には嫌がられそうなので、家電量販店等で買うとシュリンクくらいは付いているのだろうか?
輸送用ダンボールは無漂白で緩衝材も紙。納品書は入っているが、過剰包装感は無い。これでいいと思うよ。
Xperia PRO-I の買い方
ソニーストア(直販)で買う
ソニーストア(Web通販、実店舗)で購入するメリットは、Xperia ケアプラン(2年保証)に加入できること。年額5,500円(税込、月払いにすると月々550円)かかるが、本機は高価なので、加入しておくと安心できる。
加入中は、修理料金が上限 5,500円(税込、回数制限なし)になる。 全損等で修理不能の場合は、22,000円(税込、年に2回まで)で交換できる。
「Xperia ケアプラン」を利用する場合の注意点:
- 購入と同時に申し込む必要がある。
- 端末代金の支払い方法とは別に、クレジットカードを登録する必要がある。
- すでに他のXperia(SIMフリー版)で加入している場合は、入れ替えるか追加するかを選択する必要がある。入れ替える場合は契約期間もそのまま引き継がれる。追加する場合は追加料金がかかる。
- 自動更新されるので、不要になったら利用期間最終月の20日までに、「マイページ」で更新停止の手続きをする必要がある。
- 年払いにすると割安だが、途中で解約しても払い戻しはない。
- 電池交換と紛失・盗難は対象外。
このほか、通販では送料330円が別途必要。
支払い方法はクレジットカード払い(1回払い・2回払い・ボーナス一括払い)、分割クレジット、残価設定クレジット、代金引換、コンビニ払い、楽天ペイ、d払い、au WALLET などを利用できる。
JACCSの分割クレジット(分割払い)は24回払いまで分割払手数料0%で利用できる(審査あり)。高価な品なので分割で買いたい人が多いと思うが、24回だけでなく3回・6回・10回・12回なども選べるので、長い分割払いを組みたくない人にも使いやすい。
ソニー銀行の口座を持っていて一括払いするつもりの人は、SonyBank WALLET(デビットカード)で支払うと3%割引されてお得。
家電量販店で買う
ビックカメラやヨドバシカメラなどの家電量販店でも購入できる。価格は直販と同じで、ポイント還元率は1%なので、198,000円で買っても1,980ポイントしか付かないが、貯まっているポイントを使うとお得かも。
ビックカメラ.comではクレジットカード1回・2回払いはもちろん、24回払いまで分割手数料無料のOricoショッピングローン(審査あり)も利用できる。(→参考)
【整備済み品】ソニー Xperia PRO-I/SIMフリー / 5G / Snapdragon 888 / 12GB・512GB (RAM・ROM) / バッテリー4500mAh / XQ-BE42
auショップで買う
au +1 collectionでの取り扱いがあるので、auの契約がある人はauショップでも購入できる。仕様も共通でSIMフリー・DSDV対応。
ただしauの通常の取扱機種とは違い、在庫を持たないショップが多いと思うので、来店前に問い合わせて取り寄せになると思う。価格は店舗へ確認を。
機種変更手数料はかからないが※、原則SIMカードの差し替えなどは自分でする必要がある。
au契約者は簡単なサポートを受けられたり契約変更手続きをまとめてできたりするメリットがあるが、一般の人がauショップで買っても面倒なだけで特典はないので、au契約者以外はソニーストアや家電量販店で買う方が良いと思う。
プリインアプリ
メーカーアプリは主に、Photography Pro(静止画撮影アプリ)、Video Pro(動画撮影アプリ簡易版)、Cinema Pro(動画撮影アプリ高機能版)、ミュージック、Game enhancer、Xperia Loungeなどがプリインされている。
「Game enhancer」は厄介で、使いもしないのに勝手に起動して通知を出してくる。しかもこの通知を無効にできない。ゲームしない人はXperiaの客ではないってことかな?
さらに、信じがたいことにゲームがシステム領域にプリインストールされており、アンインストール不可(右図)。無効にはできるので即刻無効にしたが、不要不急のゲームをシステム領域にプリインするなど、ユーザー軽視の姿勢の表れと言える。
一方、Googleアプリは少なめで、カレンダー、時計、電卓なども入っていなかった。
Xperiaに限らないが、本機の機能に全く関係がない上に度々プライバシー問題が取り沙汰されている Facebook がシステム領域にプリインされており、消すことができない。Facebook App Installer、Facebook App Manager、Facebook Services は削除できないので無効にしている。SONYだけの問題ではないが、必須でも何でもないアプリ、しかも Google play をバイパスしてサイドロードしたり、個人情報を収集したりするような悪質なモジュールをシステム領域に埋め込んで出荷するのはどうなのかと思う。
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Xperia 1 までのハイエンド機種に搭載されていた POBox Plus は、本機には非搭載。「2019年10月以降発売の機種にはプリインストールされません」と告知されており、残念ながら開発が打ち切られてしまったのだろう。
本機には Google GBoardが標準搭載されている
もちろん Android なので、Google play から好きなIMEアプリを入れて使うこともできる。変更は【設定 > システム > 言語と入力 > 画面上のキーボード】にて。
ミュージック
ウォークマンのSONYらしく、ミュージックアプリは伝統的にXperiaにプリインストールされてきたが、「2019年10月発売のXperia 8 SOV42 (KDDI) にはプリインストールされません」と告知されていた。でもまだ開発が打ち切られたわけではないようで、本機には入っている。
とはいえ、特にこれといった機能があるわけではないし、もちろん他社製音楽プレーヤーも問題なく使うことができる。 Dolby Atmos, 360 Spatial Sound, DSEE Ultimate といった機能はプレーヤーを問わず使える【設定 > 音設定 > オーディオ設定】。あえてSONY製アプリを使う特段のメリットは無いので、他に愛用している音楽プレーヤーアプリがある人は、Google play からインストールして使うと良い。
なお、以前は音楽再生中のロック画面にアートワークが表示されていたが、Android 11 ではこの機能が削除されており、通知のみ表示される(右図)。
余談になるが、筆者も以前はSONYのミュージックアプリを愛用していたものの、機能が削られるわ、Xperia自体に魅力がなくなるわで、一旦他社に離れた機会に Google play で音楽アプリを探し、紆余曲折を経て Xperiaに戻ってきた今もMusicoletを愛用している。
ちなみに、ノイズキャンセリングイヤホンは、Xiaomi ノイズキャンセリングイヤフォン Type-C が充電不要で使えて便利だ。
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アルバム
以前のXperiaシリーズには独自のアルバムアプリが搭載されていたが、「2019年10月発売のXperia 8にはプリインストールされません」と告知されており、2021年10月には Google Playストアからも削除された。よって本機には搭載されていない。
替わりに Google フォトがプリインストールされており、工場出荷状態の初期ホーム画面にも登録されているので、これを使えということだろう。
Google フォトが気に入らない人は、Google play でギャラリーアプリを探しておくと良いだろうか。
編集機能が要らない人には Gallery Goが軽くて良いが、一覧表示でRAWとJPEGの区別がつかないので、RAW+JPEG撮影する人には少し使いにくいかも。
ちなみに筆者はシンプルギャラリーPro(有料だが100円)を愛用している。
フォント
従来のXperiaシリーズに備わっていたフォント切り替え機能は、本機には搭載されていなかった。
カメラ
写真撮影には「Photo(graphy) Pro」という専用アプリを使う。
カメラは電源ボタン2度押し(要設定)や、ロック画面右下のカメラアイコンを内側にスワイプしても起動できるが、ロック解除を要求されることがある(不具合だろうか)。
カメラボタンを長押しすれば、ロック解除不要で起動する(規定でON、【Photo Pro を起動 > MENU > セットアップ > カメラキー長押し起動】で変更できる)ので、カメラボタン長押しに慣れると良いが、他の機種と併用している場合には困るかも。
ファイルは【内部共有ストレージ/DCIM/PHOTOGRAPHY_PRO/YYYYMMDD_hhmmss.JPG】に保存される。ファイル名が日時なので整理が楽で良い。保存先はSDカードにもできる。 【Photo Pro を起動 > MENU > セットアップ > 保存先】
Android 11 では煩わしいシャッター音をOFFにできた 【Photo Pro を起動 > MENU > セットアップ > カメラ操作音をOFF】 のだが、Android 12 にアップデートすると、カメラ操作音OFFを選べなくなってしまう(アップデート適用前からOFFにしてあれば引き続きOFFのまま利用できるようだが)。 これはソフトウェア設定の不備が原因で、4月下旬以降のソフトウェアアップデートにて改めて対応予定だそうだ。
BASICモード
本機を買うような人は撮影にこだわりがあるだろうから、主にP/S/Mモードを使う人が多そうだが、スマートフォンライクな「BASICモード」(右図)も用意されている。
画面内のシャッターボタンを押す(タップする)ことで写真を撮れるし、ズーム切り替えもタップひとつででき、露出補正(EV)などの細かな機能は表示されないので、手軽でシンプル。
記念撮影などで他の一般の人にシャッターを頼む時には、BASICモードに切り替えてから渡すと良いだろう。
パノラマ撮影やQRコードの読み取り、インカメラ(フロントカメラ、セルフィ―)を使う際はBASICモードにする必要がある。
なお、本稿ではインカメラは評価しない。
AUTOモード
AUTOモードでは、HDRや露出補正(EV)などが全自動になる(変更できなくなり、AEロックもできなくなる)。 AFはAF-S(シングルAF)とAF-C(コンティニュアスAF)を選べるが、MFは不可。
AUTOモードでは、右図のような明暗差の大きな場面では自動でHDRが入る(RAW撮影時を除く)。 また、夜景撮影時は自動で夜景モードのような動作をする(本機には夜景モードは無く、AUTOモードでは自動判別、P/S/Mモードでは夜景を撮っても合成は働かない)。
HDRの有無などを都度手動で切り替えるのが煩わしい時にはAUTOにしておくと手軽だが、Pモードよりも動作が遅く、連続撮影の支障になることや、シャッターラグが大きくなって失敗写真が増えるので、筆者は使わないようにしている。
もっともPモードで充分なので、AUTOモードを用意する必要性を感じないが(夜景はBASICモードでも撮れるし)、用意したのならシャッターの遅延は改善してもらいたいものだ。
なお、BASICモード以外では画面内にシャッターボタンは無いので、本体のカメラキーを使う。カメラ専用機と同様、半押しにも対応している。
P/S/Mモード
筆者は通常Pモード(プログラムオート)で撮っている。露出調整などが自由にでき、煩わしさはあまりないので、常用できる。
強いて言えば、たまに露出補正(EV)が誤タップでずれてしまうことがあるが、右上に大きく表示されているので、すぐに気づくと思う。
本機の絞りは通常固定で、Pモードでも絞りを選べるので、Aモード(絞り優先)は無い。
Sモードはシャッター速度優先モード。右上で露出補正(EV)の替わりにシャッター速度を選べる(1/8000秒~30秒)。露出補正は右下の「+/-」ボタンを押すと調整できる。
Mモードはマニュアル露出モード。シャッター速度とISO感度を手動で調整したい時に使う。
モード選択中の「MR」(メモリーリコール)は予め撮影設定を登録しておいて、後で呼び出して使うもの。
ちなみにMFはP/S/Mモードで使える。AFボタンをタップしてMFにすると、右下(Lockの左)にスライダーが出て、このスライダーでピント合わせする。
以下、特記ない限りAUTO/P/S/Mモードで撮っている。
RAW撮影
BASICモード以外ではRAW撮影に対応している。
ファイル形式はDNG。Adobe Lightroomはもちろん、SILKYPIX Pro 10 も使えた。
ファインダー画面の「JPEG」ボタンを押して、「RAW」または「RAW+J」に切り替えるだけなので手軽。
「RAW+J」は、DNGとJPGが一緒に保存される。撮影直後にとりあえずSNSなどに載せて、帰ってから改めて現像したい/その余地を残したい時などに使う。
ただしHDRとRAW撮影は併用できないので、RAWに切り替える前に予めHDRを無効(DRO AUTOまたは D-R OFF)にしておく必要がある。逆に、HDRを使いたい時は予めJPEGに切り替えておく必要がある。
質感・解像度ともに良好
さすがというか何というか、RX100シリーズのセンサーを使っただけあり、質感は良好。拡大して見てもきれい。
- それなりに写るカメラを毎日持ち歩きたいが、嵩張るから断念している人
- 一眼はおろか、RX100などの高級コンデジですらあまり持ち歩かなくて宝の持ち腐れになっている人
- 望遠をあまり使わず、荷物を減らしたい人
などに良いかも。
一眼を買ったはいいが、あまり持ち出さずに宝の持ち腐れになっているという話はよく聞くが、カメラは外で撮ってなんぼなので、嵩張って結局持ち運べ(ば)ない高性能な機材よりも、毎日でも持ち運べるコンパクトな機材の方が、結果的に優れている場合が多いものだ。
もっとも、本機はそれなりに高いので、精々3年程度しか使えない機材に20万円払える人限定だけれど…
AFは優秀だが、たまに外すことも
AFは基本、優秀。近くにも遠くにも合うし、動作も早い。
AF-S(シングルAF)とAF-C(コンティニュアスAF)を選べるが、AF-Sでも画面タップで被写体を認識し、構図を少し変えても自動追尾するので、花や蝶などを撮るときに便利。
ただし、撮影後に見ると、たまに外していることがある。微妙に外すときもあれば、大きく外すときもある。
店頭デモ機や借り物で試し撮りする程度では分からないと思うけれど、たくさん撮っていると、たまにね。 (筆者は発売日に買って、最初の10日間に5千枚以上撮ったから…)
よって、信じ込んでいるとたまに期待外れになる。まあ本機に限らずカメラにはありがちなので、重要な場面では大抵何枚か撮ったり、試し撮りをしたりするけれど。
ちなみに50mm望遠カメラでは外すことが増えるように思う。 昔、Xperia 1 では望遠側でAFがなかなか合焦しなかったが、その名残だろうか?
AEが不安定
左は空の色がくすんでしまった例。
本機はAFはよく決まるのだが、AEがよく迷う。同じ構図で撮っていても何枚か撮るうちに色味が変わることがあるのが気になった。
少し待っていると色味が変わることがあるので、余裕がある場面ではカメラを構えで少し待ってみると良い。
フレア
逆光撮影時の内面反射も気になった。いくら小さなレンズとはいえ、ZEISS T*ロゴが入っているレンズが、こんな酷いフレアを出すなんて…
角度によってはひどいことになるので、逆光気味の撮影が好きな人は、しっかりハレ切りするか、撮影直後に確認する癖をつけないと、後で泣くかも。
可変絞り
ボケ味はこんな感じ。サムネイルではわかりにくいと思うので、クリックして大きく見ることを推奨。
超広角/望遠
本機のメインカメラは24mm相当(35mm判換算)と広角寄りなので風景撮影に使いやすいが、超広角カメラ(16mm相当)も搭載している。切り替えが面倒だが、1220万画素で統一されているのは使いやすい。ただし超広角カメラには手振れ補正が無いので、手ブレに気をつけたい。
一方、望遠側は50mm相当と短めなので、あまり寄れないが、風景撮影には使いやすい。
いずれのカメラも切り替えが面倒。デジタルズームの有効/無効を選べるようにして、音量ボタンでカメラを切り替えられると良かったのだが。
ところで、撮影中にカメラを切り替えると「Photo Pro」アプリが不正終了する不具合が頻繁に起きている。また、頻度は少ないが、撮影中にカメラを切り替えると「静止画の保存に失敗しました。」というエラーが出ることがある。内蔵ストレージに保存しているのにこのエラーが起きるので、「Photo Pro」アプリの不具合と思われる。
メインカメラのレンズはフレアが起きやすいが、超広角レンズは若干フレアの影響を受けにくいかも。
DRO
本機はダイナミックレンジオプティマイザー (DRO)を備えており、逆光などの悪条件撮影でも白飛びや黒つぶれを自動で補正してくれる。
HDRと違って合成ではないので、一瞬を捉えたい動体撮影で便利。RAW撮影とも併用可能だ。
DROは規定でONになっており、もちろんOFFにもできるが、今のところやりすぎ感は無いので、筆者はONで常用している。
下の作例では光源(太陽)を木の幹で隠しているが、しっかりハレ切りすれば、逆光撮影でも良好な解像度とコントラストが得られる。超広角カメラでこれだけ写るのは、さすが高級機だ。
動体撮影
AUTOではシャッターが遅延しがちなので、動体撮影はP/S/Mモードで。
AFの反応の良さ、正確さ、シャッターラグの短さなど、動体撮影に対応できる。物理シャッターボタン搭載と相まって、慣れれば狙った所で撮れると思う。センサーの読み取りの早さもあってか、しっかり被写体が止まって撮れる。
ただし、本機はシャッターを切った後の連続撮影時にラグが大きく・不安定になるきらいがある。列車の撮影には連写機能を使う方が良い。野生動物の撮影など、続けてシャッターを切るような撮り方には向かない。ソフトウェアの出来の問題であれば改善してほしいものだ。
また、本機は規定でAF-C(コンティニュアスAF)になっているが、思わぬ所に追従することもあるので、列車などを撮るときはAF-S(シングルAF)に切り替えてから合わせたい場所をタップして撮ると良いと思う。
AF-Sにしておくとシャッターボタン半押しでAFロックされるが、本機のシャッターボタンでは半押しを維持するのが厳しいかも。
規定では「タッチ追尾フォーカス」が有効になっており、画面タップで被写体を自動認識して追尾するが、これも邪魔になることが多い。邪魔になる場合は無効にする。 【Photo Pro を起動 > MENU > セットアップ > タッチで合わせる】
MENUから入って頻繁に切り替えるのが煩わしい場合は、右下に並んでいるボタンのどこかに割り当てる(置き換える)こともできる。 【Photo Pro を起動 > MENU > セットアップ > ファンクションメニュー設定】
もちろん連写機能も付いている。「連続撮影:Hi」は1秒間に最大20枚撮影できるが、標準カメラ(24㎜)のみで利用できる(16mmや50mmに切り替えると自動的にLoになる)。 「連続撮影:Lo」は1秒間に最大10枚撮影でき、超広角/望遠カメラでも使える。
ただし、本機のカメラは30秒ほど待っていると警告が出て、じきに強制終了してしまうのが玉に瑕。列車待ちなどで数分待つのは当たり前。カメラとして使われる機種でこれはどうなのかと思うが、自動終了までの時間を変更できない手抜き仕様は Xperia 1 の頃から変わっていなかった。
パノラマ
BASICモードに切り替えてから、(横持ちで)左下の「MORE」をタップし、パノラマをタップすると、パノラマカメラが起動する。
AUTO/P/S/Mモードからは起動できないので、一度BASICモードに切り替える必要がある。
パノラマはカメラアプリが異なっており、ファイル名規則も異なる。 撮影したファイルは【内部共有ストレージ/DCIM/100ANDRO/DSC_xxxx.JPG】に保存される。
内蔵フラッシュ
規定ではフラッシュOFFになっているが、ONにすれば内蔵フラッシュ撮影もできる。
常時OFF/AUTO/強制発光/赤目軽減/照明(常時点灯)を選べる。
近くの被写体でしか試していないが、写りも使い勝手も良好。
夜景
BASICモードまたはAUTOモードにして撮ると、低照度シーンでは自動で夜景モードで撮影される。
この作例はAUTOモードで手持ち撮影だが、ある程度合成がかかるようで、HuaweiやAppleほどではないが、手ブレを抑えた仕上がりになっている。
メインカメラ (24mm) はもちろん、超広角 (16mm) や望遠 (50mm) でも夜景モード合成が作動する。
ただし、物理シャッターボタンを使うと若干手ブレしやすいので、夜景撮影にはBASICモードを使うと良いかも(またはセルフタイマーを使うか)。
本機には明示的な夜景モードは無く、夜景モード的な動作はBASICまたはAUTOモードにした時にのみ、自動判定で作動する。P/S/Mモードにすれば夜景を撮っても合成は働かないので、星空などを撮りたい時には三脚を使うなどしてMモードで長時間露光すると良い。
不具合など
(気づいた範囲で)
- 電源ボタン2度押しや、ロック画面右下のカメラアイコンを内側にスワイプしても起動できるが、ロック解除を要求されることがある。カメラボタン長押しで起動すればロック解除不要。
- 30秒ほどでカメラが終了する(正確には30秒ほどで警告が出て、終了するのはもう少し後)。オートパワーオフ自体は多くのカメラに付いているものの、本機は(Xperiaは)時間の設定ができない。30秒で強制終了するカメラって何?
- 撮影後、電源ボタンを押してスリープさせるが、指紋センサーが働いてロック解除されてしまうため、爪で押すなどしないとスリープさせられない。タイミング調整が悪いというか、何も考えられていないというか…
- レンズ切替でカメラアプリが異常終了することがある
- 撮影中に「静止画の保存に失敗しました。」というエラーが出ることがある
- 望遠カメラで位置タグが付かないことがある
- AUTOモードで撮ると動作遅延が大きい
- 真冬ですら自己発熱で自家中毒になることがある(放熱設計が悪い)。日本の暑い夏に、まともに使えるのだろうか?
作例
flickrには本機が吐いたExif付きのJPEG画像をそのまま置いてあるので、興味があれば画像をクリック(タップ)して参照されたい。
動画撮影
本機には「Video(graphy) Pro」と「Cinema(tography) Pro」の2つの動画撮影アプリが付いている。
手軽に撮れるのが「Video Pro」で、編集機能などが充実しているのが「Cinema Pro」と理解すれば良さそう。手軽に撮りたいときは前者、YouTuberなどが動画編集・公開を前提に撮るのならば後者が良いのかも。
Video Pro
筆者はあまり動画を撮らないが、ここには参考までに「Video Pro」で撮った作例を下に載せておく。 寒空の下、手持ちで長時間撮っていたので揺れているが、手ブレ補正の効き具合もわかるかと:)
AFは自動追尾で、効き具合も良好だが、顔を認識すると追いかけてしまい、下の作例のように通行人が通る場面ではAFを持っていかれてしまうことがあった。こういう場面では設定で Object Tracking を OFF にするか、MFで撮るのが良いのだろう。
ただし、Object Tracking を OFF にすると、画面(ファインダー)をタップして焦点を当てることができなくなってしまう(自動で明るい所?に持っていかれてしまう)ので使いづらい。これは改善してほしい。
規定で MP4 H.264/AVC 3840x2160px (4K 2160p) 29.97fps、音声は AAC 48,000Hz ステレオで撮れる。この場合、5分で2GBほどになる。本機の内蔵ストレージは512GBあるので短い撮影なら余裕だが、長い撮影には注意したい。高解像度が不要ならば、設定で 1920x1080px (FHD 1080p) に変更できる。
設定で H.265 HEVC を選択でき、この場合は5分で1.3GBほどになる(→H.265 で撮影した例)。macOSなどのHEVCに対応しているパソコンを使っている場合は、こちらを選んでおくと良いだろう。Windows 10/11 では拡張機能が必要。
フレームレートは 23.98 / 25 / 29.97 / 59.94 / 119.88fps を選択できる。
ファイルは【内部共有ストレージ/DCIM/VIDEOGRAPHY_PRO/VideoPro_YYYYMMDD_hhmmss.mp4】に保存される。ファイル名が日時なので整理が楽で良い。
ちなみに YouTube では回線状況等に合わせて720pなどの低画質で再生されるので、本機の撮影画質を確認したい場合は画面右下の⚙をタップして2160p(4K)を選ぶ必要がある。
特殊な操作
トラブルシューティング
- SIMカード・microSDカードがうまく入らない
- 通話できない
- データ通信できない
- テザリングできない
- IPv6を使いたい
- 3大キャリアの契約(SIMカード)をそのままでSIMフリー版を使いたい
- 画面の色味が気になる
- あまり使っていないのに画面の点灯時間が長い
- ダークモードにならない
- Googleアシスタントが邪魔なときは
- 「おサイフケータイ」のメモリ使用状況
参考リンク
- 「1型センサーの本家」が作るスマホ「Xperia PRO-I」の真価はどこにある?(ITmedia Mobile、2021年11月 3日)
- 「Xperia PRO-I」のカメラを試す 1型センサーの実力は? AQUOS R6やiPhone 13 Proとの比較も(ITmedia Mobile、2021年11月11日)
- ソニーは「Xperia PRO-I」でどのようなユーザー体験を描こうとしているのか 1.0型センサー搭載のコダワリをメーカーに聞いていった(デジカメWatch、2021年11月30日)
- 「Xperia PRO-I」1.0型イメージセンサー搭載の狙い、そしてPROシリーズがもたらす価値とは――開発者たちに訊く(ケータイWatch、2021年12月 7日)
- 開発陣に聞く「Xperia PRO-I」 1型センサーで“高速・高精度”のカメラを実現した秘密とは(ITmedia Mobile、2021年12月14日)
- Sony Xperia 1 III Camera review: A slight improvement over its predecessor(DxOMark, 2021年12月20日、英語)
- 「Xperia PRO-I」を分解、ソニーならではの技術が生み出した“デジカメとスマホの融合”(EE Times Japan、2022年 1月31日)
- 「Xperia PRO」後継機ではない! ソニーがプロ向けに送り出す映像・写真伝送デバイス「PDT-FP1」の実機を見てきた(ケータイWatch、2024年 2月 9日)