公衆電話

提供:きまぐれ手記 Kimagurenote
電話ボックスから転送)
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鉄道駅に設置されている公衆電話

公衆電話(こうしゅうでんわ)とは、役所、鉄道駅、大きな公園などの公共施設や、コンビニ店頭などの公道に面した場所に設置され、料金を払えば誰でも使うことができる電話機

コンビニの軒先に設置されている公衆電話

施設内の棚等に電話機が直接設置される場合(右写真)と、公道上や公園などに電話ボックスが設置される場合がある

災害等非常時の通信手段を兼ねており、現在は公共サービスとしてユニバーサルサービス制度によって維持され(第一種公衆電話)、NTT東日本NTT西日本が運営している

また、都市部を中心に需要が多い場所にNTT東西が任意に設置している公衆電話(第二種公衆電話)もあるが、外見や機能は同じ。

このほか、NTT以外の民間(公共施設を含む)が任意に設置しているピンク電話(外見や機能が異なる)や衛星公衆電話(一部の船舶や山小屋に設置)も本稿で触れるが、これらは外観や機能・役割が異なる。

人が入れる大きさの電話ボックスと、コンビニ等の軒先によく設置されている電話機のみを格納する小さな扉付きボックス(右写真)がある。
かつては他の電話会社が運営する公衆電話機もあったが、順次廃止された。

常設の公衆電話

上三依塩原温泉口駅前にある公衆電話電話ボックス
携帯電話全盛の昨今、利用は減少の一途だが、楽天モバイルは楽天回線が整備されないままパートナー回線も切られて完全圏外。こうして駅前に公衆電話があるおかげで、楽天ユーザーも辛うじてタクシーや送迎を呼ぶことができる

設置場所

常設の公衆電話(第一種・第二種公衆電話)は緑またはグレーの電話機で、設置場所はNTT東西のWebサイトに地図が公開されている

役場、鉄道駅や大きな公共施設付近に設置されていることが多い。

少ないが、押しボタン式自動ドアが付いている電話ボックスもある(日比谷公園

都市部では住宅地の中にも概ね1km四方に1台を目安に設置されており、その場合は古くから営業しているコンビニの店頭や、公園の入口などに設置されていることが多い。市街地に限れば、徒歩20分圏内に1つはあると期待される。

なお、検索地図にはユニバーサルサービス外の第二種公衆電話も含まれており、都市部の鉄道駅や商業施設などには複数の公衆電話が設置されている場合があるが、機能的には変わらず、災害時の無料開放や輻輳時の優先発信の対象になる。

施設内に設置されている公衆電話電話ボックス)は、除雪等の維持管理を施設が実施している

一方、市街地以外の地域においては概ね2km四方に1台という設置基準があるが、山などの無住地帯には設置されていないし、山間地などほとんど設置されていない場所もある

また、除雪などの維持管理は設置施設に任せられているため、豪雪時などには除雪が間に合わず、雪に埋もれて使えないこともある

山間地でも鉄道があれば主要駅の駅前に公衆電話が設置されていて除雪等もされているので安心できるのだが、設置場所によっては使いづらい場合もある。

もっとも、今は携帯電話のエリアが人口カバー率100%に近くなっているが、ソフトバンク楽天モバイルは山間地の集落で使えないこともあるので、いざという時に公衆電話が使えると安心感があるだろう。

昔は青、黄、などもあったが、テレホンカードの登場とともに緑色の電話機に置き換えられた。ピンク電話は厳密には公衆電話ではない。
以前は公開されていなかったが、「東日本大震災」を受けて災害等緊急時の通信手段確保に備えることができるように2012年 6月29日より公開されている。
鉄道駅の改札内や商業施設建物内に設置されている公衆電話は第二種。ユニバーサルサービスの第一種公衆電話は24時間利用できる場所に設置されている。
例えば、福島県昭和村は中央を縦貫する国道沿い約8kmにわたって民家があるが、公衆電話は集落内に2箇所下中津川菅家前バス停付近と下両原バス停付近)しか設置されていない(他、携帯電話が圏外になる山奥のトンネル付近に設置されているが、これは道路管理目的だろう)。このほか、各集会所に災害時のみ利用できる特設公衆電話が設置されているが、通常の公衆電話は設置基準「2km四方に1台」という感覚よりも少ない。
NTT東西が除雪しにくるわけではないし、道路管理者も公衆電話までは除雪しないので(それどころか車道の雪が歩道に捨てられていることすらある)、豪雪地では埋もれていることもままある。こうした場所では公衆電話が設置されている施設や近隣住民がボランティアで除雪を行っているので、感謝して利用しよう。

電話帳

商業施設内に設置されている公衆電話電話帳(タウンページ)も配置されており、近くにはタクシー会社の電話番号が掲示されていて、タクシー呼出によく使われている様子

商業施設内やコンビニ軒先などの人目のある場所に設置されている公衆電話には、電話帳も配置されていることが多い。

以前は「ハローページ」も配備されていたが、順次廃止された

ただし「ハローページ」(個人名編、企業名編)は2021年10月以降に発行・配布される最終版をもって廃止されたため、今は「タウンページ」のみ配置されている。

現在残っている「タウンページ」も、2026年 3月までに終了する最終版の配布および閲覧は最長で2027年8月まで)そうなので、2027年夏には紙の電話帳そのものが消滅することになる(「iタウンページ」と点字電話帳は継続する)。

かつてはどこの公衆電話にも電話帳が配備されていたものだが、近頃は防犯や経費削減の観点から、人目につきにくい屋外電話ボックス等には設置されなくなった。

昔は携帯電話・PHSを使っていても旅先でタクシーを呼ぶために公衆電話へ行ってタウンページを開いたものだが、近頃はそうした使い方もできなくなってしまった。

その替わりかは知らないが、近頃は商業施設等に設置されている公衆電話の脇にタクシー呼出番号が掲出されていることが多い。また、無人駅にも近隣タクシー会社の電話番号が掲示されている例が増えた。きっと公衆電話や電話帳が撤去されたことで問い合わせが増えたのだろう…

ピンク電話への配備は、設置施設の判断になる。「タウンページ」は配達されているとは思うので、施設の受付等に声をかけて見せてもらうと良いだろう(閲覧希望者が多い施設では、ピンク電話にも電話帳が配備されるのでは?)。

ちなみに希望すれば、全国の電話帳を追加購入できる(1冊につき110~220円+送料539円)。

テレホンカード

テレホンカード(50度数、105度数)
現在購入できるカードはシンプルなデザインのみだが、往時は地域性や季節性のあるいろんなデザインのカードがたくさん発行され、お土産や贈答用に使われていた。これらの旧カードも引き続き利用できる(300度数以上のカードは要交換) © 1995 NTT

テレホンカード(略称テレカ)は、1982年旧電電公社が開発・発売した磁気式プリペイドカード。緑またはグレーの公衆電話機で利用できる

当時は鉄道や路線バスでもオレンジカード(1985年~2013年)やバス共通カード(1988年~2010年)、イオカード(1991年~2005年)、スルッとKANSAI(1996年~2018年)などが使われていて一般的だったが、そうした磁気式プリペイドカードの先駆け的存在でもあった。

企業が上場記念に制作・配付したオリジナルデザインのテレホンカード
テレホンカードがたくさん使われていた頃は、フリーデザイン(無地)のカード(2022年2月までに終了)を使い、企業等が景品・特典用や記念カードを作って配付する例をよく見かけた
© 2001 BROCCOLI, Illust: コゲどんぼ

公衆電話では10円単位の課金なので、10円分を1度数として、50度数(500円)・100度数(1000円)・300度数(3000円)・500度数(5000円)のテレホンカードが販売されていた。後に1000円以上にはおまけが付いて、105度数・320度数・540度数になった。

特に公衆電話では100円玉を入れると釣銭が出ない、相手が留守のときがある、どれだけ通話するか(料金がいくらかかるか)わからないといった煩わしさがあるので、小銭不要で便利なテレホンカードは広く普及した。

また、NTTでは地域性や季節性のある図柄のカードを自ら発行してお土産用や贈答用に販売するとともに、フリーデザイン(無地)のカードも販売し、企業等に記念カードやコレクション性の高いカードを作ってもらい、これが大成功して多くのテレホンカードが出回った。

1990~2000年代当時は、誰もがお土産やお年賀・お年玉などにテレカをもらった経験があるのではと思う。

1987年昭和62年)のテレホンカードが出てきたので公衆電話機に入れてみたら、37年近く経っても普通に使えた。
裏面には発行会社名が書かれていないので、カード自体は電電公社(~1985年)時代に製造された物かも?ちなみに電話局の窓口は廃止されて久しいが、「お問い合わせは、お近くの電話局へどうぞ」と書かれている:)

また、テレカは意外と丈夫にできていて、筆者の手元では20年前に頂いたテレホンカードがいまだに使えているし、37年前のカードが出てきたので公衆電話機に入れてみたらしっかり50度数認識された(右図)。すごく丈夫なカードだ:)。

とはいえ折れたカードは電話機の故障の原因になるし、最近のiPhoneなど磁石を内蔵している機器に近づけると不具合の原因になるので、取り扱いに気をつけたい。

磁気不良等で使えなくなったテレホンカードは、未使用・使用途中にかかわらず、残度数分のテレホンカードと交換してもらえるので、捨てずにテレホンカード交換センター (0120-145472) に問い合わせてみよう。

現存するものは稀だが、テレホンカード専用の(硬貨が使えない)公衆電話機も存在する
かつては公衆電話以外にも全国で磁気式プリペイドカードが使われていた(写真の岩手県北バスでは2022年 1月末で発売終了
衛星公衆電話を除く。テレホンカード対応のピンク電話は2023年12月までに廃止された。
首都圏のバス共通カードの場合。岩手県交通ICカード「Iwate Green Pass」に段階的移行中)など地方によっては独自の磁気式プリペイドカードが今も使われているところもある。
昔は家族や受付で取り次ぐ(通話相手を呼び出す)のが基本だったし、携帯電話全盛になっても相手が会議中などで留守電になっていたりすることもあるが、そういう時に100円玉が落とされると泣けてくるので(笑)、先に10円玉で通話発信し、相手が出てから100円玉を入れるよう案内されていた。
NTTはテレホンカードの作成・流通コストに加え、販売委託先に販売額見合いで委託費を支払っている。テレホンカードは額面と同じまたはそれ以下の額で販売されているが、QUOカードなどは額面以上で販売されている(額面に販管費が上乗せされている)ことも考慮する必要があるだろう。また、自家型プリペイドカード(前払式支払手段)については、発行額と未使用残高を帳簿で管理する必要はあるが、会計処理の基準は無く、当初は販売時に売上計上し、未使用残高を売上原価に計上していた。そして長期未利用のプリペイドカードは発行会社の裁量で適宜利益計上できるので、記事のような考え方が成り立つだろう。しかし2007年7月より販売時に前受金(負債)に計上し、使われた時に売上計上する方法に改訂されたようだ。また国際会計基準を採用すると繰延収益として処理する(使われたときに収益とする)必要があるようなので、見方が変わってきそうだ。
ただし、300度数以上のカードは交換が必要。また磁気不良等で使えなくても交換してもらえるが、記念カードだったりすると交換したくないだろうか。磁気不良の原因になるスマートフォンやテレビなどの家電製品に近づけないよう大事に保管しておこう。

【終了】ICテレホンカード

普及せず短命に終わったICテレホンカード対応の公衆電話機

ところが、磁気式プリペイドカードは偽造が問題になり、その対策としてICテレホンカード(1999年 3月~2006年 3月)が開発されたものの、ICカードに対応する公衆電話機の設置が進まず、当時はどこでも買えた磁気式テレホンカードと比べて発売箇所が少なく、Suica等と違って使い捨てで(チャージ非対応)、しかも有効期限がある(磁気式テレホンカードには有効期限が無い)といった不便から普及せず、登場からわずか6年で打ち切られた。

鉄道・バスがSuica2001年~)やPiTaPa(2004年~)、PASMO(2007年~)などのICカードへと進化を遂げたのに対して、公衆電話では引き続き磁気式テレホンカードが使われているが、偽造対策で高額カードは利用停止にされ(交換してもらえる)、現在使えるのは50度数105度数のカードのみ。

コンビニはもちろん、公衆電話を設置しているたばこ屋、酒屋、駅売店などで販売していたし、電話ボックスには千円札(105度数)専用のテレカ自販機が設置されていた。

テレホンカード自動販売機

新幹線車内に設置されていた公衆電話とテレホンカード自動販売機。列車内公衆電話は特殊な通信方式を使っていて通話料が高いことからテレカ専用だったため、テレカ自販機が備え付けられていた

便利なカードだったので、かつては誰もが使っていたと思うが、携帯電話等の普及に伴い公衆電話の利用が減っているため販売数も減っており、かつては街中にあふれていたテレホンカード自動販売機も姿を消した。

また、かつてあった列車内公衆電話(携帯電話等の特殊な回線を使っていたので通話料が高額だった)はテレホンカード専用だったので、すぐ近くに千円札(105度数)専用のテレカ自販機が設置されていたが(右写真)、これも2021年までに廃止された。

駅売店やコンビニなどでの新券の販売は減少しており、取り扱いをやめている店も多い。しかも過去に発行されて家庭などで眠っているカードは多いので、都市部では金券ショップの方が買いやすい状況になりつつある

現在は主なコンビニと一部駅売店で購入できるが、在庫のない店もある。昔は贈答用や記念カードなども含めてたくさん出回っていたので手元に残っているカードを手放す人も多く、金券ショップの方が在庫があって買いやすいような状況になっている。

テレホンカードによるNTT東西通話料金の支払い

テレカの金券ショップでの買取価格は安いので(記念品等の絵柄付きだとさらに買い叩かれる)、NTT東西の固定電話を使っている場合は通話料金に充当する方が、手数料(1枚あたり55円)を差し引いてもお得だろう

近年は公衆電話が削減されるとともに、ピンク電話でも使えなくなったので(後述)、使える場所も減っている。

金券ショップに売っても買い叩かれるが、NTT東西の加入電話や「ひかり電話」を使っていて、手元に未使用の(穴が開いていない)テレホンカードが残っている場合は、NTT東西に送ると(送料はNTT東西が負担)、手数料を差し引いた残額を通話料に充当することができる。

テレホンカードを充当できるのは通話料のみで、他の料金(基本料、オプション料、電報など)は別途支払う必要がある。

テレカ1枚あたり手数料55円(税込)を徴収しているが、特定記録郵便の送料(料金受取人払の手数料を含めて264円~)をNTT東西が負担するので、一度に送られてくる枚数にもよるが、事務経費なども含めて足が出ているのではと思う。公衆電話が減って使える場所がなくなっていること(ユーザー救済措置)もあるのだろうが、巨額の未使用テレカ引当金(負債)の消化を少しずつ進めておきたい狙いもあるのだろうか。ちなみに2021年3月末時点の貸借対照表を見ると、NTT東日本120億98百万円NTT西日本114億40百万円の「未使用テレホンカード引当金」を計上している。

グレーの公衆電話とISDN

グレーと緑の公衆電話

グレーの公衆電話機は「ディジタル公衆電話ISDN回線につながっている公衆電話で、NTTのISDN通信サービスが始まった昭和末期から平成初期にかけて、全国の都市部を中心に設置された。

通話のほかデータ通信もできるのが特長だったが、データ通信機能はISDNの段階的廃止に伴い2024年1月に順次停止された。

公衆電話は年々削減されているが、2024年のISDN終了に向けてディジタル公衆電話の削減が進められており、アナログ回線の公衆電話は2016~2019年度の一時期増加している(2011~2022年度末時点、総務省資料より引用)

ISDN廃止に向けて、グレーの公衆電話機は2023年までに急速に姿を消した。かつては都市部の駅には複数台並んで公衆電話が設置されていたもので、右写真のように緑とグレーが並んで設置されていることも多かったが、そのうちグレーの方が撤去されて1台に減っていることが多い。

通話機能は緑の公衆電話と大差ないが、オンフックボタンが付いていて受話器を取らずに通話発信できたり、先に電話番号をプッシュしてから受話器を取っても通話発信できたり、フリーダイヤル等にコイン不要で発信できたり、停電しても内蔵バッテリーでしばらく動作する等の便利な機能がある。もちろん緊急通報にも対応している。

グレーの公衆電話機にはデータ通信用のモジュラージャックが付いている
(2024年1月で使えなくなった)

データ通信機能では、ノートパソコンやPDA等に内蔵されているアナログモデムISDN機器を有線接続して、データ通信やFAXの送信ができた。

フタを開けるとモジュラージャックが2つ付いているが、ISDN用の8極とアナログモデム用の6極が1つずつで、接続する機器により異なる。ちょっと玄人向けなところがあるが、屋外でデータ通信する人向けなので問題ないのだろう。

アナログモデム内蔵のノートパソコンはそこそこ出回ったが、携帯用のISDN機器はほとんど普及しなかったので、グレーの公衆電話機は都市部を中心にそれなりの台数設置されたものの、主な用途はアナログ通信で、ISDN機能はあまり活用されなかった。

グレーの公衆電話が登場するまでは、屋外(公衆電話等)でデータ通信するためには音響カプラを持ち歩く必要があった

主な用途はダイヤルアップインターネット接続と G3 FAX

当時公衆電話でデータ通信を多用していたヘビーユーザーは、公衆電話を加入電話の料金で使えたNTTカードC」を愛用していたのでは

グレーの公衆電話機が設置され始めた頃は、他に屋外で利用できる現実的な通信手段がなかったし、家庭にも今のような光回線はなくダイヤルアップ接続が一般的だったので、パソコン通信インターネットのユーザーはプロバイダ(ISP)と契約していたし、ほぼ全てのISPがダイヤルアップ接続のアクセスポイントを提供していたので、普段家庭で使っているISPをそのまま公衆電話でも使え、グレーの公衆電話がモバイルデータ通信に一役買っていた。

都市部では、電話ボックスや駅構内の公衆電話にZaurus等を接続してデータ通信している人の姿を時折見かけたものだ。

PHSデータ通信カードを搭載したノートパソコン

平成に入るとPHS32k/64kデータ通信(実効29.2/58.4kbps)が普及し、PHSの方が場所を選ばずに安価で安定した通信ができたので、その頃にはもう、グレーの公衆電話はFAXを送る時くらいにしか使わなくなったと思う

インターネット普及期(平成初期)のデータ通信は、自宅では電話回線を、屋外ではPHS公衆電話を使っていたデータ通信カードメーカーWebサイトより引用)

平成後期になると4Gスマートフォンが普及し、ノートパソコンではWi-FiやUSBのテザリングが主流になった。

家庭での光アクセスの普及に伴い、ISPダイヤルアップ接続を順次終了していて、接続先もなくなり、ノートパソコンにもアナログモデムが内蔵されなくなった

IP電話の普及に伴いFAXでもクラウドFAXサービスが普及し、WebE-mailを介してFAX送信できるようになった。コンビニコピー機も多機能化してFAXに対応した

このように代替サービスが充実したことで、ユーザーは不自由を被ることなく、公衆電話のデータ通信機能は発展的に役割を終えたのだと思う。

ISDN終了後の2024年2月まで残っているグレーの公衆電話は極めて珍しいが、まだ残っている物は補完策により通話のみ使える(データ通信機能は停止済)
鉄道駅構内営業の第二種公衆電話だが、2023年までにほとんどが緑の電話機に交換された。ここは撤去予定で交換されないまま存置されたのだろうか…

グレーの公衆電話機は多くが2023年までに撤去されたが、おおもとのISDNが2024年から段階的に廃止されるPSTNマイグレーション)ので、わずかに生き残っているグレーの公衆電話も順次廃止される(緑の公衆電話に置き換えられるか、撤去される)と思われる。

撤去されるグレーの公衆電話機に替わって設置されることの多い、ISDN回線対応の緑の公衆電話機「DMC-8A」。利用できる機能はアナログ電話機と変わらない

2024年1月に地域ごとに順次ISDNの「ディジタル通信モード」が停止され、グレーの公衆電話機でもデータ通信機能が使えなくなった。その後は2027年頃まで通話のみ利用できる(補完策)ので、機能的には緑の公衆電話と変わらなくなる。この移行期間中に、グレーの公衆電話は姿を消すと思われる。

なお、ISDN回線につながっている緑の公衆電話機(DMC-8A、右写真)もあるが、これは通話専用で、機能的にはアナログ公衆電話と変わらず、見た目にも区別がつかない。

ISDNの普及開始からおよそ10年後の2001年、「Yahoo!BB」(ソフトバンク)が街頭でADSLモデムをばら撒くなどしてADSLが急速に普及した。この2001年頃がISDNのピークで、以降ADSLの普及と引き替えにして住宅向けISDNは減少の一途となった © 2024 SoftBank
NTTは「INSネット」と呼んでいる。一般名称がISDNで、「INSネット」はNTT東西のサービス名(商標)。NTTドコモLTEを「Xi」と呼んでいるようなもので、NTTの登録商標。
ただし、こうした通話機能はISDN特有のものではなく、アナログ公衆電話でもその気になれば実現できる(実際、新しいピンク電話機は対応している)。一方、ISDN独自の機能(サブアドレスなど)も利用できるが、発着信双方がISDN(またはPHS)でないと利用できないため、ダイヤルインPBX等の従来サービス・機器を併用せざるを得ないこともあって、結局あまり使われなかった。
機器とケーブルは持参する必要がある。アナログ側は RJ-11 6極2芯モジュラー、ISDN側は RJ-45 8極4芯モジュラー。一部、無線(IrDA)にも対応している電話機もあり、主にPDAで使われていたが、赤外線通信の特性上、受発光部を向かい合わせて使う必要があるため、必ずしも使いやすいものではなかった。モデム設定ファイル (mdmnttir.inf) は当時NTTのWebサイトで配布していた。【→世界初の赤外線通信インタフェース付ISDN公衆電話機体験レポート「赤目グレ電」の使い方(INTERNET magazine 1999年 8月号)
ISDN対応のS/T点に接続するPCカードMN128TAカードAterm IC20I-O DATA PCMI-336/128REX-9560など)が市販されていた。業務用ではISDNならではのギャランティー(帯域保証)同期通信が求められる分野もあるが、家庭ではISDNを使っていてもTAを設置するのが一般的だったし(TAを設置しないと従来の電話機が使えない)、アナログ回線を使うFAXモデムも順次高性能化していたので、個人であえて高額なデータカードを買ってISDNを使う人は限られたのだろう。
1990年に始まった。NTTの加入電話またはISDN回線契約に紐づいて発行され、月額基本料金100円+税。1996年頃から「NTTカードC」の通話料金にも公衆電話料金が適用されるようになり、料金面のメリットは失われた。このほか、日本テレコムの「クレ・カード」やDDIの「DDI CARD」など、新電電の類似サービスもあった。「NTTカードC」は2011年3月でサービス終了。遅くまで頑張っていた「クレ・カード」も2014年8月末で新規受付が打ち切られ2020年3月末で終了した
当時は携帯電話もアナログだったし、1993年頃に始まった2G携帯電話でもデータ通信は遅くて高額な非常に使い辛い物だった。
余談だが、1995年に始まった当初のPHSはバックホールにISDN回線を使っていたので、当時屋外ではPHSと公衆電話のISDN回線網がデータ通信を支えていた。ただしDDIポケットはPHSを発展させるべくバックホールのIP化を進め、東名阪では2005年頃までに光IP回線に転換された(2012年9月に全国で切替完了、NTT系電力系は撤退)。「Yahoo!BB」が街頭でモデムをばら撒いたのが2001年からだったそうだが、その頃には家庭でもISDNからADSLに転換された(その後光回線に再転換された)ので、ISDNは固定データ通信網としては短命に終わった。当時は一家に1本加入電話回線が引かれていたが、ADSLは同じメタルケーブルを使うもののISDNとは併存できないため、ADSLを使うには従来の加入電話に戻す必要があり、ADSLを使うためにISDN(INSネット)は解約された。ISDNは1988年に始まったが、家庭に普及し始めたのはインターネット接続が普及し始める1990年代後半で、2001年頃の「フレッツ・ISDN」開始期がピークとなり、その後アナログ回線を使うADSLの開始とともに減り始め、主役を張っていたのはADSLが普及する2000年代前半までの10年弱だと思う。その後のISDNは企業向けなど一部で使われるに留まっている。1992年から急速にISDN回線の契約数が増加しピークの2001年度末には住宅用だけでも454万回線あったが、ADSLの普及に伴い住宅用で減少が進み、2020年度末には6万回線まで減った。「フレッツ・ISDN」は2018年11月に新規契約が打ち切られており(「フレッツ光」未提供エリアに限って2024年3月まで継続)、ISDN回線の終了に合わせて、2026年1月までに段階的に終了する
DDIポケットはFAX対応のPHSデータ通信カード(αDATA)も発売していたが、当時PHSで主に使われていたPIAFS規格はアナログFAXに対応しておらず、多くのPHS端末ではFAXを使えなかった。比較的音声品質の高いPHSでもアナログデータ通信(みなし音声)には適さず、携帯電話は通話品質が低すぎて論外。屋外でアナログFAXに耐えうるのは公衆電話だけだった。
ダイヤルアップ接続を早々に打ち切ったIIJmio(IIJ4U)は2016年 3月までで廃止された。So-net2015年5月に0570番号が廃止されて公衆電話から接続できなくなった。au one net(旧DION)は0077番号(公衆電話から接続できない)の他に0AB…J番号も提供されていたが2022年3月までに終了したNTTグループOCNは2020年11月で新規申込を終了し、既存ユーザーも2022年2月までで打ち切られた。同じくNTTグループの「ぷらら」も2021年8月までで新規受付を終了し、2022年2月で廃止されたPC-VANの流れを汲み老舗で頑張っていたBIGLOBE2023年 2月まででダイヤルアップ接続を終了した。ASAHIネットは0088番号なので公衆電話から接続できないが、2023年7月までに新規契約を打ち切り、2025年3月までに終了予定。2024年1月現在、公衆電話発のダイヤルアップ接続を利用できるのは、老舗NIFTY-Serveの後継@niftyのみで、アナログ56kとISDN32k(1B)/64k(MP)接続に対応している。
今でもUSB接続のFAXモデムは安価に市販されているので、ノートパソコンでFAXを利用することはできる。

電話ボックスに併設された公衆無線LANサービス国会前庭憲政記念館付近)

公衆Wi-Fi

公道上の電話ボックスには通信回線と電源が来ている上に設置場所の余裕もあることを活かして、東京都千代田区など都市部を中心に、街中に設置されている電話ボックスに公衆Wi-Fiアクセスポイントが併設されている例がある。

デュエットフォン

デュエットフォン

日本の電話事業100周年を記念し、1990年に全国数箇所に設置された公衆電話機。3人(公衆電話側2人+通話相手)で話せるよう、受話器が2つ付いている。

向かって左手の受話器を取ってからコインまたはテレカを入れ、相手の電話番号をプッシュして、相手が出たら右手の受話器も取って三者通話できる。

普通に1人で使うこともでき、その場合は左手の受話器を使う。

左の受話器は音量調節機能付き「めいりょう」

関東で唯一設置された中原区役所(武蔵小杉駅より南武線線路沿いに徒歩数分)では2024年1月時点で現役稼働中。木を模したボックス(扉は無い)が2022年に補修されたが、電話機自体は設置当時のまま。屋外にあって通年開放されているので、区役所閉庁日も利用でき、現地へ出かければいつでもデュエットフォンを体験できる(2024年1月現在)。

掃除は行き届いているが、設置から30年あまりが経過し、電話機本体の塗装剥がれや画面割れ等の傷みが目立つのと、一部キーの反応が若干悪くなっている。意識してゆっくりプッシュすれば使えるので、大事に使いたい。

ちなみに山梨県のデュエットホンは2022年時点で健在だそうだ…

公衆電話と番号通知

加入電話や携帯電話から「184」を付けて通話発信する(または回線ごと非通知(通常非通知)を申し込む)と、着信側には「非通知設定」と表示される
ソフトバンク回線には「ナンバー・リクエスト」相当の機能が無いので、非通知設定でも着信する)

一般加入電話や携帯電話等から「184」を付けて通話発信した場合、着信側には「非通知設定」と通知される(右図)。

この場合、相手が「ナンバー・リクエスト」「番号通知お願いサービス」「番号通知リクエストサービス」等の迷惑電話対策を設定していると、つながらない

電話局側で「おそれいりますが、電話番号の前に186をつけてダイヤルするなど、あなたの電話番号を通知しておかけ直しください。」等の音声メッセージを流して切断される

公衆電話から携帯電話や「ナンバー・ディスプレイ」対応電話機に通話すると、番号通知の替わりに「公衆電話」と表示されるようになっている。「ナンバー・リクエスト」「番号通知お願いサービス」「番号通知リクエストサービス」等の網側の迷惑電話対策を利用していても、公衆電話はつながる

一方、公衆電話から発信した場合は、電話番号は相手に通知されない(緊急通報を除く)が、「公衆電話」(または「通知不可能」)として相手に通知される(右図)

公衆電話は特別扱いになっていて、「ナンバー・リクエスト」等の迷惑電話対策をしている相手にもつながるようになっている。

紛失・盗難、通信障害や災害等で携帯電話が使えなくなったときなどに、家族や知人が公衆電話から電話をかけてくることもあると思うが、そうした時にも安心の仕組みが構築されているわけだ。

令和6年能登半島地震」ではソフトバンクNTTドコモが仮設の「公衆ケータイ」を設置したが、これらの番号通知の扱いは不明ながら、制度未整備で「公衆電話」とは通知されないと思われる。すると、選択非通知扱いになって迷惑電話対策をしている知人等にはつながらないか、よくて個別に割り当てられた知らない携帯電話番号が通知される(相手は出てくれるのかな?)と思われる。今後はこうした仮設「公衆ケータイ」もユニバーサルサービスに含めて「公衆電話」扱いにするといった制度整備も必要になるだろうか

ところが、相手がスマートフォンの場合は、端末の機能で選択非通知と公衆電話が一緒くたに拒否されてしまう(この場合は自動音声は流れず、呼び出すとすぐに切断される)ことがある。

iPhone (iOS) は【設定 > 電話 > 不明な発信者を消音】をOFFにしておかないと、公衆電話からの着信を受けられない。選択非通知 (184) と公衆電話を区別する方法は用意されていない。

電話アプリ > 右上の「」 > 設定 > ブロック中の電話番号

Androidは【電話アプリ > 右上の「」 > 設定 > ブロック中の電話番号】を開いて、「非通知」「公衆電話」「通知不可能」を個別にブロックできるように改善されている機種(XperiaGalaxyなどの一部機種)もあり、「公衆電話」をOFFにしておけば、公衆電話からの着信を受けることができる。

ただし、筆者が試した範囲ではXperiaにて「非通知」をONにすると公衆電話が着信しない不具合があった。この不具合は後に修正されたが、メーカーによっては対応が杜撰な場合もあるようなので、端末のブロック機能を設定した際は、念のため緑の公衆電話から自分の携帯電話番号宛に発信してみることをお勧めする。

また、ここが「不明」や「不明な発信者」になっている機種(Google PixelSHARP AQUOSOPPOXiaomimotorolaなど)では、これをOFFにしておかないと、公衆電話からの着信を受けられない。選択非通知と公衆電話を区別する方法は用意されていない。

通信障害や災害発生時には家族、親戚や友人などが公衆電話から電話をかけてくるかもしれないので、端末の設定を見直しておこう

できれば網側の迷惑電話対策機能(「番号通知お願いサービス」「番号通知リクエストサービス」等)を使うのがおすすめだ。

発信側には通話料がかかる。着信側には「ナンバー・リクエスト」等の申し込みが必要だ(オプション料金がかかる)が、ドコモ系とau系(MVNOを含む)は無料。ソフトバンク楽天モバイルには該当機能が無い。NTT東西は70歳以上の利用者を対象に無償化している。「ケーブルプラス電話」「ホワイト光でんわ」「NURO光でんわ」等は無償化対象外。
発信側には通話料がかかる。自動音声は、相手がNTTドコモ(MVNOを含む)の場合は「最初に186を付けて発信するなど、電話番号を通知しておかけ直しください」。au・UQpovo(MVNOを含む)の場合は「お客様の電話番号を通知しておかけ直しください」。SB系には該当機能が無く、有料の「ナンバーブロック」を使うとこの電話はお客さまのご都合によりおつなぎできません」等になる。楽天は非通知拒否に未対応。
ちなみに公衆電話から「184」を付けて発信すると、相手先には「公衆電話」ではなく「非通知設定」(選択非通知)と通知される。
余談になるが、写真の電話機は「イエデンワ」の3G版「ホムテル3G」を使っていると思われるが、2024年1月末で停波する予定なので、その後どうなるのだろうか。VoLTE対応イエデンワは発売されていないが、こういう場所でスマートフォンを並べるのも使い勝手が悪いので、災害対応を考えると「イエデンワ」のVoLTE対応版が必要になるかも…
Xperiaは2022年モデルまで販路毎に対応がばらばらだったが、2024年モデルでは全キャリア版が公衆電話に対応した。
AQUOSは発売元キャリアによっても対応状況が異なる。最近の AQUOS R7 / R8 ドコモ版とSIMフリー版は公衆電話に対応したが、AQUOS sense8 SIMフリー版は公衆電話に対応していない。

ピンク電話と番号通知

削減されている公衆電話に替わって設置されることのあるピンク電話は、厳密には公衆電話ではないので、設置している施設の電話番号が通知される

ただし設置施設で「通常非通知」にしていると番号通知がされず、この場合は選択非通知扱いになって相手に拒否されることがある。この場合は電話番号の頭に「186」を付けて発信することで相手につながるが、設置施設で186を禁止している場合は通話できない。

飲食店等に設置されているピンク電話の場合は、この番号にコールバックすると店員さんが出ると思うが、公共施設等に設置されているピンク電話の場合は、コールバックしてもピンク電話が鳴るだけで、誰も出ないと思う。ちなみにピンク電話は特定番号通知機能対象外。当該設置施設に電話したい場合は、施設の電話番号を調べてから電話しよう。

設置場所の削減

第二種公衆電話の例。鉄道駅構内に設置されている公衆電話の「構内営業承認票」を見ると、営業種別が「貸電話業」、営業者名が駅売店を経営している会社になっており、駅売店の「赤電話」の名残と判る

需要が多い場所にNTT東西が任意に設置している第二種公衆電話(外見や機能は後述の第一種と同じ)は月間の売上が4,000円未満を目安に撤去されるそうで、公衆電話の利用減に伴い、台数が減り続けている(下図)。

かつての「赤電話」(委託公衆電話)の名残。ピンク電話に置き換えられている

かつての「赤電話」(委託公衆電話)の名残であることが多く、街中のたばこ屋酒屋駅売店などに多く設置され、当時は店が開いている時間のみ利用できた。テレホンカード登場後に順次緑の公衆電話機に置き換えられ、後述の第一種公衆電話と見た目で区別がつかなくなり、使い勝手も改善して24時間(駅などの施設内にある場合は施設の開放時間のみ)利用できるようになった。

清掃などの維持管理は引き続き設置商店等で行っており、商店がコンビニ等に転換して営業を続けている場合はきれいに清掃されていることが多い。一方、設置場所の商店が廃業した場合は順次撤去されているようだが、後述のユニバーサルサービスとの兼ね合いもあってか撤去されずに残っている場合もあり、手入れされずに放置されている公衆電話機も時折見かける。

災害時避難所になる大きな公園の入口付近に設置されている第一種公衆電話。写真は車椅子対応の大型電話ボックスで、電話機が低い位置に取り付けられているとともに、中にハンドルが付いていて、軽い力で扉が開くようになっている

そうした商店等が無い住宅地や公共施設等にはNTT東西が第一種公衆電話を設置しており、ユニバーサルサービス制度によって維持されているが、2022年 4月に設置基準が緩和されて以降、病院や公民館などの公共施設に設置されていた電話機が多く削減され、こうした施設では替わりに災害時のみ利用できる特設公衆電話が設置されている。

第一種公衆電話の設置台数見込みについて総務省の要請に応じてNTT東西が公開した資料より引用)

2022年の設置基準緩和の影響はこれから本格化すると見られ、台数が概ね1/3になる見込みだそうだが、これに留まらなさそうだ…

2024年の元日に発生した能登半島地震では、公衆電話や特設公衆電話が役立ったわけだが、NTTの方針は「モバイルファースト」で、「どちらかと言えばモバイルでどうカバーするかということが主体になってきていますので、そういう形に持っていくのが基本線」という考え方のようだ。島田社長は2024年2月の四半期決算発表の際に「ユニバーサルサービスの議論のなかで、公衆電話のあり方についても議論する必要がある」と主張していたそうで、さらに削減を進める意図が透けて見える。

その背景にはメタルの固定電話自体の赤字拡大があり、今は「申し込みがあれば全国津々浦々(メタルの固定電話を)つけなければならず、膨大なメタルの固定電話を維持しなければ」ならないが、ここが「10年経ったら900億円以上の(累積)赤字になってくる」見込みだという。

そのメタル回線は2035年頃に維持限界を迎えると言われている。あと11年しかないが、「もし光の回線で公衆電話をやろうとすると、ソフトウェアや課金方式を新たに作り込む必要がある。当然そこにはコストがかかってきて」云々と、NTTは公衆電話の光収容に後ろ向きな姿勢を示しているから、準備もしていないのだろう

NTT東西では2024年 4月より「ワイヤレス固定電話」への移行を始める

2024年 4月よりNTT東西で「ワイヤレス固定電話」が始まる。「メタルケーブルの老朽化等により固定電話サービスを提供し続けることが困難となっていく中、」メタルケーブルの替わりに携帯電話網(他者設備)を用いる固定電話サービスだ。鉄道でいえば第二種になる。

携帯電話事業者がサービス提供可能なエリアで、

  1. 山村/半島/離島振興法等の対象地域、かつ加入電話回線密度が18回線/km2未満のエリア
  2. 上記以外の地域で、特別な事情によりメタルケーブルでの提供が著しく不経済なエリア
  3. 災害時等において一時的に自ら設置する設備による電話の役務の提供が困難となるエリア

にて提供されるという。具体的なエリアは非開示だが、光回線がある場所では「ひかり電話」が使われているので、光回線を引けないような場所・場面が想定されているものと考えられる。

固定電話のメタル回線は段階的に廃し、光回線がある場所では「ひかり電話」を提供し、光回線が無い場所では「homeでんわ」のようなサービスに移行してゆくつもりなのだろう。

こうなると、メタル回線に依存している公衆電話やピンク電話を収容するためのターミナルアダプター(TA)と、停電時にも使えるようにするバックアップ電源装置が必要になる。電源装置は市販のUPSでも何とかなるが、TAが開発されているという話は聞かれない。このままでは2035年頃と言われるメタル回線終了とともに公衆電話やピンク電話は廃止されるのかもしれない。

NTT東西の稼ぎ頭となっている光回線サービスも2024年には2001年の開始以来初めての純減に転じると予想されるような状況下、赤字のメタル回線や公衆電話を維持する余裕もなくなっているのだろう。

とはいえ、ここに至るまでメタル回線の廃止とそれにまつわる不都合(公衆電話やピンク電話が使えなくなることを含む)についてNTTからの情報開示はなく、済し崩し的に進められているのが気がかりだ。

公衆電話やピンク電話は、局側からの硬貨収納等信号をもとに料金を引き落としているが、極性反転などのアナログ回線に依存する仕組みになっており、光回線では今のところ硬貨収納等信号を送る仕組みがないので、そうした「ソフトウェアや課金方式」の作り込みから始めないといけない。さらに電話機の交換(またはアダプタ類の増設)も必要になるだろうから、あと11年で切り替えるつもりなら、そろそろ準備しておかねばならない時期だと思う。
また、かつてグレー(ISDN回線)の公衆電話は電池を内蔵して停電時にも使えるようになっていたが、メタル回線につながる公衆電話は停電時には局側給電で動作するので、仮に光回線に切り替えることができても、停電すると使えなくなってしまう。非常時に使えるようにするには公衆電話機に電池を内蔵する必要があるが、ISDN普及期に鳴り物入りで登場したグレー電話と違って、今は赤字の公衆電話にそこまでコストをかけたくないという意図もあるだろう。

このように「赤字」を理由に公衆電話が削減される一方で、少ないながらも利用者がいる場所では、施設利用者の求めに応じて施設管理者がピンク電話を設置する例もある。この場合は設置施設に電話機購入費や回線費用の負担を転嫁し、利用者にはテレホンカードが使えなくなるといった不便を強いる格好になる。

人家皆無の山奥の道路脇(トンネル出口付近)にぽつんとある電話ボックス © 2023 Google

台数を効率化することで費用を圧縮」するために、とりわけ山間地では集落内の公衆電話に削減の嵐が吹いているが、その傍らで、人家皆無の山奥の道路沿い(トンネル出口付近)にぽつんと設置されている電話ボックスの割合が増えている。それこそが使うのかという場所で、大赤字だろうと思うのだが、これは道路管理目的(事故などがあった時の通報用)だろう。

道路管理目的の電話を設置するのはいいが、こういうのをユニバーサルサービス制度で賄うのは理解に苦しむ。こういう物こそ真っ先にピンク電話に転換するなどして、受益者に負担させるべきだろう。

常設公衆電話の通信回数及び設置台数の推移(総務省資料、2021年 2月<設置基準緩和前>)

ピンク電話

山奥の秘湯温泉旅館が設置している白い「ピンク電話」

ピンク電話とは「特殊簡易公衆電話の通称で、ピンク色の電話機が使われていたことから、専らこう呼ばれている

NTTも「ピンク電話」と呼んでいるが、最近の機種は白い(右写真)。一見すると普通の電話機に見えるが、よく見ると右上にコイン投入口があり、画面には「¥10・¥100ガツカエマス」と表示されている。

かなり高機能で、テレカこそ使えないが、緊急通報はもちろん、フリーダイヤルにもコイン不要でかけられるようになっている

フリーダイヤルには、受話器を取って(またはオンフックボタンを押して)番号をプッシュすれば発信される(コイン不要)。

最新の白い「ピンク電話」。受話器を取って硬貨を入れると画面に枚数が表示される

通常の(通話料がかかる)宛先に電話するときは、受話器を取ると「コウカヲ イレテクダサイ」と表示され、硬貨を入れると「¥100:1マイ ¥10:1マイ」のように投入枚数が表示される。そして電話番号をプッシュすると番号表示に切り替わる。公衆電話のピクト表示と比べると見づらいものの、なかなか高機能だ。

公衆電話ではないのでナンバー・ディスプレイにも対応しているし、発信者番号も通知される。FAX機の外付けにも対応していて、市販のFAX機をつないでコインFAXのように使うこともできる。携帯電話全盛の昨今でもシェアオフィスなどで重宝しそうだ。

設置施設が施設設置負担金基本料金を支払って通常の加入電話回線を引き、「硬貨収納等信号送出機能」(月額55円)を付加し、施設が購入した硬貨収納機能付き電話機を接続して、施設管理者と施設利用者の双方が使えるようにしたもの。

機能的には公衆電話と似ているが、設置施設が回線・機器費用を負担しており、収納した硬貨は施設が回収して回線等維持費の一部に充てられる。

私的に設置された電話の貸出扱いなので、ユニバーサルサービスではなく、災害時の無料開放や輻輳時の優先発信は対象外。必ずしも誰でも使えるわけではなく、公衆電話設置場所検索にも含まれない。

昔のピンク電話(ダイヤル式、市外通話対応、10円玉専用)

昔は小さな飲食店などでよく見かけたもので、ピンク電話が店舗の電話も兼ねていて、ピンク電話に電話がかかってきて店員が出前の注文を受けていたりもしていた(KS鍵操作によりお店の電話として発信もできるようになっている)。

高橋留美子めぞん一刻』16話「桃色電話」より抜粋引用 © 1981 高橋留美子/小学館
ひそな『グッバイ・ディストピア』3話「パラノイア」より抜粋引用 © 2018 ひそな/一迅社

さらに昔の昭和の頃は、集合住宅(など)にも設置されていて、自室に電話を引かなくても電話を使え、また電話を受けることができた(管理人が取り次いでくれた)

携帯電話PHSが普及した平成以降はそうした(店舗や寮などでの)利用はあまり見かけなくなったが、令和になって削減された公衆電話の替わりに設置される例が増えているようだ。

店舗や寮などでの設置が減っていたこともあり、2010年時点では、2025年頃までに段階的に実施されるPSTNマイグレーション(加入電話のIP化)計画の中でお客様のご利用の減少が見込まれるサービス」として廃止される予定だったのだが、当時の見込みが外れ、削減される公衆電話の受け皿としてピンク電話の需要が盛り返したようで、2017年頃に一転して継続提供サービスに追加された。

テレホンカード対応(専用)のピンク電話もあったが、2023年12月までに廃止された

ピンク電話は2017年 9月末時点で約15万回線(東西計)あるそうだ。同時期の公衆電話が約16万台(東西の第一種・第二種合計)なので、公衆電話に比肩する台数のピンク電話が稼働していることになる。

筆者も旅先で立ち寄った町中華などで稼働するピンク電話を見たこともあるので、昭和の哀愁漂う懐かしい感じがするのだが、携帯電話が普及しきった令和になって公衆電話の削減とともに甦るとは数奇な運命だ。

【参考】タクシー会社が公共施設に設置している直通電話

携帯電話を持たない施設利用者がタクシーを呼びたい、デマンドバスを予約したいといった際に使われているようで、かつては公衆電話が設置されていた公民館や病院などで見かけるようになった。携帯電話全盛時代とはいえ、携帯電話を持たない人もいるし、通話料が携帯電話より安いので、少ないながらも一定の需要があるのだろう。

なお、最近の白いピンク電話は通話相手先を制限できるようになっており、初期設定で携帯電話(090・080・070)や番号案内(104)宛には発信できないようになっている(設定変更すると発信できるようになる)ため、施設が初期設定のままで設置していると携帯電話宛に発信できない。

厳密には公衆電話ではなく、施設が私的に設置した電話なので、通話先には回線契約している施設の電話番号が通知される。設置施設で「通常非通知」にしていると相手先には「非通知設定」(184を付けて発信した時と同様)となり、相手先が「ナンバー・リクエスト」等を利用しているとつながらない。

通話料は標準で公衆電話と同額に設定されているが、最近の白いピンク電話は利用者から徴収する料金(料率)を変更できるため、公衆電話の通話料と異なる場合がある

このほか、病院等ではタクシー呼出専用電話が設置される例もある

逆に「特殊簡易公衆電話」と呼んでピンク電話を想起する人は稀だと思う。
その前のは黒くて、コードレス子機まで付いていた自営3版対応!)ようだが、さすがにこれは筆者も見たことがない。今は亡きテレカ対応のピンク電話(後述)よりレアだと思う。
ただし、白い機器は日焼け等による経年劣化が目立つので(iPhoneの付属品などが典型例、Appleは早く買い替えさせたいのだろうと勘繰ってしまう)、電話機のような長年使う機器には向かないように思う。個人的には昔のピンクや黒の電話機の方が良かったと思う。
災害用伝言ダイヤル (171) も無料で利用できるが、171に発信する際はコインを入れる必要がある。
余談だが、都市部のタクシー会社は従来の加入電話番号からフリーダイヤル等に切り替えることが多いようだ。都市部にはタクシー会社が何社かあって競争が残っていることと、携帯電話などと違って公共施設のピンク電話から発信するときには、コイン不要でかけられるフリーダイヤル等の利便性が高いこともあるのだろう。フリーダイヤルを設置している企業等からみると、公衆電話の通話料は高いが、近頃は公衆電話が減らされてピンク電話に置き換わっているので、ピンク電話からの通話は一般加入電話扱いで通話料が安くなる(一時期誤課金されていたが)メリットもあるだろうか。設置施設からみるとタダで使われて料金を取れないので嬉しくないだろうが(苦笑)。
2024年1月時点では、従来の加入電話(メタル線)のみ対応。「ひかり電話」「ひかり電話ネクスト」等では使えない。しかしメタル回線は2035年頃に維持限界を迎えると言われているので、今後ピンク電話も「ひかり電話」等で対応するかもしれないが〈その場合はIP電話で硬貨収納信号を送受信する方法(またはSIPで課金秒数を通知し、TA側でエミュレートする等)を規定するとともに、電話機側に極性反転(硬貨収納信号)に対応するTA類を設置するか、電話機にそうした機能を付加する必要があると考えられる〉、今のところ具体的な情報提供がされておらず、他社から情報開示を求める声が挙がっている
山奥などでNTTの加入電話回線を引けない場合や、「ひかり電話」をダブルチャネルで使いたい場合などは、任意の回線にピンク電話機を接続する(硬貨収納信号を送出する)アダプタも市販されているようだ。
レンタルの場合は月額530円(税別、2024年1月現在)。
余談だが、高橋留美子の名作『めぞん一刻』でも、住人の電話取次に辟易した管理人さんがピンク電話を設置する場面が描かれていた。当時でも管理人がいるアットホームなアパートは少なくなっていたと思うが、学生寮などでは各部屋に高額な加入電話を引かず、共用のピンク電話が使われていた。携帯電話が普及した近年ではレトロイメージ以外で登場する機会がなくなったが、極まれに、多くの人が知っているが、一部の人しか使わない物として描かれる例がある。
従来のPSTN交換機が2025年頃に維持寿命を迎えることから、移行期間を加味して2020年頃から段階的に切り替えを実施する計画を立てて進められている。
2016年 4月の総務省資料では終了予定に含まれていたので、2016~2017年のどこかで一転して変更されたと考えられる。
かつてはテレホンカード対応のピンク電話(1989年~2023年)もあったが、製造部品の確保困難を理由に2023年12月までに撤去された[1][2]ため、現在のピンク電話では硬貨しか使えない。ちなみにテレホンカードの裏面に「カード式ピンク電話で使用できます」と書かれている、比較的新しいカードのみ使えた。
初期設定では公衆電話の通話料と同じ(標準課金モード)に設定されているが、この場合は通話料しか回収できないため、施設が負担する固定費(回線の基本料金や電話機購入費用など)も回収できるように追加料金を徴収できるようになっている。自立課金モードや割増課金モードを設定する場合には、電話機に付属の課金説明シールを貼るよう促されている。
最近のピンク電話は機能が豊富で、指定の番号にしかつながらないようにも設定できるので、一見すると普通のピンク電話に見えて、タクシー会社やコミュニティタクシー配車受付には硬貨不要で発信できるものや、登録済みの番号にしかつながらないものもある。その場合は、その旨注意書きがされていると思う。

衛星公衆電話

阪九フェリーに設置されている衛星公衆電話

2011年 6月より始まった。電話回線のない山小屋や、内航船のうち比較的長時間の航海となる長距離フェリー小笠原航路などに設置されている。

NTTドコモが通信衛星ワイドスターII」を使って提供するサービスで、電話機には「docomo」ロゴが入っている。

緑の電話機だが、ドコモが設置しているのではなく、ピンク電話と同様に設置施設が費用負担している

使い方は、まず受話器を取って、①相手の番号を市外局番からプッシュし、②確定ボタンを押す。支払い方法を尋ねられるので、③コインかEdyどちらかのボタンを押し、100円玉を入れる/残高が充分にあるEdyカードを置くと発信され、相手が出ると100円玉が落ちる/残高が引き落とされる

話し終わったら受話器をかけると電話が切れて残り硬貨が返却される。揺れる船舶への設置を想定し、受話器を固定できるようになっているので、使い終わったら受話器をかけた後、しっかり固定しておこう。

通話料は100円単位の課金で、100円玉を4枚まで入れられる。電話機の画面に【初回:30秒300円 追加:30秒100円】などと表示されており、設置施設により異なるが、元々のドコモが徴収する料金が高いので、100円で30秒弱しかかけられない。

電話機に楽天Edyの読取機が付いているのが特徴的だが、Edyは止められている(その場合は100円玉のみ使える)ことがある。

※2024年5月31日にEdy決済によるご利用は終了しました。なお100円硬貨による通話は引き続きご利用いただけます。」と追記されていた。楽天Edyは静かに打ち切られたようだ…

登山客の多い山では携帯電話エリア化されることもあるが、基本的に山や海上では携帯電話が圏外になり、電話もインターネットも使えないので、山岳や海上では衛星電話が唯一の連絡手段になり、日常の連絡から非常時の緊急通報まで衛星電話が担うことになる

ちなみに「ワイドスターII」の後継に「ワイドスターⅢ」が2023年10月11日より提供開始したが、これを活用し「ワイドスターII」の設備がそのまま使えることになったようなので、衛星が交替しても既存の衛星公衆電話機が引き続き活躍しそうだ

これ以前は2Gを中継した船舶電話が使われていたので、客船にも列車内公衆電話同様のテレホンカード専用端末が使われていたようだ。
このため、正式には「簡易公衆電話」と呼ばれる。全国の固定電話・IP電話・携帯電話に通話発信できるが、相手に通知される電話番号は「公衆電話」ではなく090番号または「非通知」となり、#災害時の無料開放も対象外。紛らわしいので緑にしない方が良かったのではと思う。
おサイフケータイのEdyも使えるが、カードにせよ電話機にせよ、突然揺れることのある船舶内ではEdyがふっ飛んでいかないよう押さえておこう。カードを離すか、残高が足りなくなると、通話が切れてしまう。100円玉とEdyの併用はできず、Edyのチャージもできない。
ドコモが徴収する通話料は30秒あたり99円(税込、契約プランにより変わる)だが、ピンク電話と同様、施設が負担している回線・機器費用(基本料が月額5,390円+機器レンタル料等が月額15,950円もする)の一部を回収する目的で追加課金できるようになっており、100円あたりの通話時間が短くなったり、初回に数百円引き落とされたりする。
楽天がMNOを始めてドコモと仲違いしたから?(笑)と勘繰りたくなるが、実際には電話機の設定で止められるので、Edyを使っている人が少なくて、しかもEdyを有効にすると毎日取引履歴が自動送信される際にパケット通信料を余計に取られるから、止めている施設が多いのかなと思う。持っている人の多いSuicaなどの交通系ICカードならともかく、Edyが使えたところで持っている人は少なさそうだし、仮に持っていてもチャージもできないので、Edyはあまり役に立たなさそうに思う。なんでSuicaなどではなくマイナーなEdyを採用したのかは不明。
例えば尾瀬にも衛星公衆電話が設置されているが、尾瀬の山小屋付近ではauドコモの携帯電話が使えるようになった。
衛星電話からの緊急通報は118番(海上保安庁)119+31番(東京消防庁)、110番(警察)を利用できる。消防(119)は東京消防庁以外にはつながらないので、119+31(31は東京の地域番号)に発信し、東京消防庁から各地へ回してもらう形になる。警察は110+地域番号を押すと直接つながるが、地域番号なぞ知らないだろうから、まずは110番に発信し、ガイダンスを聞いて、どの地域につなぐか選ぶ必要がある(仕方ないのだろうが緊急通報時にそんな悠長なことをしていられるのだろうかと思う)。ちなみに約款では緊急通報は通話料無料だが、衛星公衆電話機で発信時のコイン要否は不明。実際は電話機を設置している山小屋や船舶のスタッフに伝えて通報してもらう方が良いと思う。
最近はStarlinkAST SpaceMobileなどの低軌道衛星が出始めており、ゆくゆくはユーザー端末での直接利用も構想されているので、将来それらが実用化するとまた変わるかもしれないが、現時点で衛星通信サービスには専用端末が必要で、通話用にはドコモ直営の「ワイドスター」と、KDDIが販売する「イリジウム」「インマルサット」、ソフトバンクが販売する「スラーヤ」が実用化されており、このうち(簡易)公衆電話機を提供しているのはドコモだけ。
EdyはもうSuica等に更新する方がいいように思うが、あと10年もしないうちに個人のスマートフォン等で衛星通信できるようになるかもしれず、もしそうなったら列車内公衆電話と同様に順次撤去されるだろうから、今さら更新もできないのかなと思う。

【廃止】列車内公衆電話

かつては新幹線や特急列車に列車内公衆電話が設置されていたが、トンネル内でも携帯電話が使えるようになったことなどに伴い、2021年6月までに順次終了した。

1957年10月近鉄名阪特急に搭載されたのが始まりで、当時は携帯電話など無かったので、わざわざ沿線に専用の無線基地局を設置し交換手につないでもらう形で提供されていた。

1960年には、新幹線開業前の東海道本線を走っていた国鉄151系こだま」「つばめ」にも電話機が搭載され、東名阪で使えるようになった。やはり沿線に専用の基地局を設ける形で提供されており、1965年東海道新幹線に引き継がれた。

NTTドコモの2G携帯電話(mova)を使う列車内公衆電話

その後、NTTドコモ2G PDCmovaムーバ」を使う公衆電話機(テレカ専用)を開発し、特殊な基地局等設備不要でポン付けできて全国で使えるようになったことで、多くの在来線列車に搭載されるようになった

電話機にアンテナピクト替わりのランプが点いていて、電波が弱くなると点滅し、トンネル内などで圏外になると消灯する。当時は携帯電話のエリアが今ほど広くなかったので、列車によっては使えない区間もあった

近鉄(名阪特急「アーバンライナー」、「伊勢志摩ライナー」など)、京成「スカイライナー」、東武「スペーシア」「りょうもう」、西武「レッドアロー」、小田急「ロマンスカー」、京阪「テレビカー」、名鉄「パノラマカー」などと、JR旅客各社(北海道から九州まで)の在来線特急列車にも設置されていたが、これらはmovaに依存していたことから、2Gの終了(2012年 3月)に伴い更新されることなく順次撤去された

山形新幹線E3系に設置されていた列車内公衆電話 (NTTcom)(2021年11月撮影)

一方、新幹線では独自のLCX方式で整備され、県間固定通信を担うNTTcomが提供していた。トンネル内などでも安定して通話できる利点があったため長生きしたが、携帯電話の普及に伴う利用減には抗えず、東海道・山陽・九州新幹線および東北・北海道・秋田・山形、上越・北陸新幹線の全列車で2021年6月までに順次停止措置が取られた。

なお、東海道・山陽新幹線では2016年12月までに北海道新幹線(青函トンネル)では2020年 3月25日に、トンネルの多い東北上越新幹線では2020年 7月23日までに全区間で携帯電話が使えるようになっている

当時は2GPDCPHS)が始まって、個人が持てる大きさ・価格の携帯端末が登場し始めた頃で、自分の携帯端末を持つ人も増えていたが、まだ一部の人しか持っていなかったので、それなりに利用があったのだろう。近頃は電源(座席でコンセントが使える)が重視されるが、当時は電話が使えることが優等列車の特徴にもなっていたように思う。
東武などのトンネルがほとんどない線区を走る列車ではあまり問題なかったが、西武レッドアローはトンネルの多い西武秩父線内ではほとんど使えなかったため、飯能西武秩父間では停止されていた。そこまで極端でなくとも、昔は今ほどエリアが広くなかったので、近鉄大阪線伊賀神戸伊勢中川間など使えない区間があった。JRでも同様で、例えば特急「スーパービュー踊り子」にも公衆電話が設置されていたが、トンネルだらけの伊東線伊豆急熱海伊豆急下田)に入るとほとんど使えなかった。ちなみに西武秩父線の正丸トンネル近鉄大阪線の山間部では後に携帯電話が使えるようになったが、伊東線・伊豆急では2023年現在もトンネルに入ると携帯電話が使えない。
携帯電話・PHSは2000年に固定電話を抜き、2003年度末に普及率が9割を超えたが、地域差が大きかった(東京などの大都市に集中していた)し、エリアも狭く、使えない場所も多かった。2G公衆電話が設置されていた1990年代当時に、昨今の急速な普及を見越していた人は少なかったと思う。末期の2012年頃はPHS3Gが普及し、4G (LTE) に移行していた頃合いで、しかも直後にスマートフォンの普及率が29.3%(2011年度末)→49.5%(2012年度末)と爆発的に普及し、通話からデータ通信へと電話機の用途もがらっと変わったので、廃止の判断は的確だったと思うが、鉄道車両は特急型でも数十年は使われるのに対し、世代交代の早い携帯電話に依存した公衆電話機はわずか十数年で使えなくなってしまったことも仇になったように思う。
山形秋田新幹線の「ミニ新幹線」区間(在来線を改軌した区間)ではLCX未整備のためドコモのPDCが使われていた。PDC停波以降は在来線区間では使えなくなり、東北新幹線区間でのみ使えていた。
ドコモ回線au回線ソフトバンク回線を利用できる。後発の楽天モバイルはパートナー回線(auローミング)で使えるようになっているが、パートナー回線はでたらめに切られているので、使えない箇所があるかもしれない。
記者が無理解なのだろうが、列車内公衆電話の多くは2G携帯電話(1993~2012年)を使ってサービスしていたし、LCX方式の新幹線内公衆電話も昭和末期から平成初期にかけて整備されたものなので、昭和”ではなく“平成の名残と書くべきだろう。

【終了】ポケットベル

NTTドコモのポケットベル

PHSが登場する少し前頃に、ポケットベルポケベル、ページャー、クイックキャスト)が流行ったことがあった。

これ自体は公衆電話ではないが、とりわけ昭和後期生まれの人には、公衆電話とセットで愛用していた人も多いのではと思う。

その名の通りポケットに入る大きさで、電池1つで1週間ほど待受できるから、外出中でも負担なく持ち歩くことができる。

ポケベルが鳴ったら、呼び出された側は手近な公衆電話等を使って予め決めておいた番号に電話する(数字を送れるようになってからは、送られてきた番号に電話する)ことで、外出中でも急ぎの連絡ができる。携帯電話など無い1968年から始まったサービスで、公衆電話と組み合わせて使うことで、当時外出中の人と早く連絡が取れる仕組みだった。

携帯電話が始まった頃も1G(「ショルダーホン」の時代)は大型で一般向けではなく、外回り営業職、医師、企業役員などの緊急時呼出用に専らポケベルが使われていた。

ポケットベルには一般の電話番号(03など)が割り当てられたものと、020-4から始まる11桁の電話番号が割り当てられたものがあり、固定電話(加入電話・公衆電話)から電話すると、ポケベルが鳴る。

初期は単に鳴るだけだったが、数字(1987年~)や半角英数字(1994年~)を送れるものも登場し、価格も安くなったことから、最盛期には高校生にも使われていた。とりわけ数字を送れるようになってからは、語呂合わせによるメッセージのやり取りポケベル打ち)が流行した。

昔は大型商業施設等の集客施設には公衆電話が設置されていたものだが、携帯電話の普及に伴い採算が悪化し、順次撤去された

その後、2G携帯電話PHSが普及するが、携帯電話・PHSやIP電話では020-4から始まる番号のポケベルを呼び出すことができず、また一般家庭で多く使われていたダイヤル式の加入電話ではポケベルに数字や文字を送れなかったことから、最盛期にはポケベルにメッセージを送るためにもプッシュ式の公衆電話がよく使われていた。待ち合わせによく使われる駅前商業施設の入口に委託公衆電話が設置されていたのもその名残だろう。

街頭や列車内などで流れていた短文ニュースの配信にも、当時はポケットベル(クイックキャスト)用の電波が使われていたが、後にmovaや他の通信手段へと置き換えられた。さらにスマートフォンの普及により、短文ニュース配信も終了した

しかしPHSが始まった頃がポケベルの最盛期で、以降携帯電話・PHSへと移行が進む。それでも当初は携帯電話のエリアが狭かったので、エリアの広いポケベルには一定の需要があったものの、携帯電話エリアの拡大とともにポケベルは姿を消した。

1999年にはポケベル最大手の東京テレメッセージが倒産(日本テレコムYOZANに引き継がれて防災用などに用途転換)。NTTドコモも撤退し、ポケベルはまさに「昭和の名残」としてその役割を終えた。

「クイックキャスト」はNTTドコモの商標で、ドコモだけが使っていたので、「FOMA」や「Xi」のような感じで、一般にはあまり使われていない。当時はポケットベル用の電波を短文ニュースの速報配信等にも使っていたので、quick+multicastの造語でこの商標が付いたそうだ。
1999年に新設された020-4から始まる番号は発信者課金番号で、呼び出す側が通話料に加えてポケベル呼出料を負担する仕組みになっている。ポケベル終了後もFAX(発信側に追加課金することで着信側に維持費がかからない着信専用FAX、2021年10月末で終了し、020-4番号を使うサービスは消滅した)にも使われていた。ちなみに020から始まる電話番号はM2M用で、他にデータ通信専用SIMなどでも使われている。
020-4番号(発信者課金)のポケベル登場とともに、NTTの接続約款に公衆電話発の通話の料金回収手続費(テレホンカードに関するもの)が追加設定されたことからも、当時ポケベルが公衆電話で盛んに使われていた様子が伝わってくる。
写真は新幹線で最後まで残っていた北陸新幹線のJR西日本区間で2021年に撮影したもの。新幹線車内の文字ニュースは、かつてはどこでも見られたが、携帯電話不感区間の解消とスマートフォンの普及を理由に、東海道新幹線では2020年3月までで、JR東日本管内では2021年3月までで、最後まで残っていたJR西日本(山陽・北陸新幹線)でも2023年3月までで終了した。街頭でも短文ニュースは見る機会が減ったが、逆に在来線電車内にはカラーディスプレイが搭載され、動画ニュースが配信されるようになった場所もある。

通話料

2023年までの固定電話宛の通話料は対距離制で、時間帯区分もあったが、2024年 1月 1日の未明順次切り替わり全国一律になった

公衆電話の通話料は高いイメージがあるが(加入電話と比べると高いが)、携帯電話の通話料はさらに高いので、公衆電話発・固定電話着の通話料は、携帯電話から発信するより圧倒的に安く(携帯電話発の1/4で)済む

【公衆電話発】
通話の宛先
10円(税込)で通話できる時間
2024年から 2023年まで
全時間帯一律 平日昼間 夜間、土日祝 深夜・早朝




区域内 56秒 56秒 76秒
隣接・20㎞まで 39.5秒 52秒
20㎞を超え30㎞まで 26秒 35.5秒
30㎞を超え40㎞まで 21.5秒 26.5秒
40㎞を超え60㎞まで 16秒 20秒
60㎞を超え80㎞まで 11.5秒 15.5秒 17.0秒
80㎞を超え100㎞まで 10秒 15.5秒 17秒
100㎞を超え160㎞まで 8秒 14秒 15.5秒
160㎞を超え 8秒 12秒 13.5秒
0570ナビダイヤル 36秒 距離・時間帯別料金
050IP電話 18秒 18.0秒
携帯電話宛 15.5秒 15.5秒
緊急通報110番119番 無料 無料
国際電話 西 KDDI / NTTcom
2025年頃までに順次実施されるPSTNマイグレーション(加入電話のIP網化)に伴い、従来は対距離制を採っていた固定電話の料金が全国均一になった。
余談だが、加入電話からの国際電話もKDDIを介さなくなった。かつては分離されていた県間通信のNTTcom、「国際電信電話」の「KDD」、いずれも介さなくなった格好だ。
昔は加入電話と公衆電話の通話料が同額だったのだが、1993年10月に値上げされ、区域内は90秒10円(加入電話の2倍)になった。翌1994年4月からさらに値上げされて区域内60秒10円(加入電話の3倍)になり、以降は2023年まで約30年間据え置かれていた(消費税増税分の時間短縮は実施された、また2001年に加入電話の通話料が値下げされたので差は開いた)。
ドコモauソフトバンク楽天モバイルの従量通話料(30秒あたり22円)との比較。携帯電話宛で比べても2割ほど安い。ただし、日本通信SIMなどの一部MVNOでは通話料を半額(30秒あたり11円)にしているため、固定電話宛では公衆電話発の方が安いが、携帯電話宛や050IP電話宛では一部MVNO発の方が安くなる。
消費税が10%(国税・地方税計)に増税された2019年10月に改定された料金
ナビダイヤル通話料はNTTcomが定めており、全国・全時間帯一律で40秒/11円(2024年~)だが、公衆電話は10円単位の課金なので、10円につき36秒が目安となる。ただし着信側企業が一部を負担することもできるので、実際にコインが落とされるまでの秒数は接続先番号により変わる。昔は発信するとすぐに自動音声で通話料(10円でかけられる秒数)が案内されていたのだが、2024年の料金改定後はそのガイダンスも省略されてしまったようで、実際に10円で何秒通話できるかは、コインが落ちる(またはテレカの残度数が減る)までわからない。
050から始まる電話番号宛の料金。同じIP電話でも、「ひかり電話」「ケーブルプラス電話」「おうちのでんわ」「homeでんわ」などの、一般の加入電話と同様の電話番号(0AB…J)宛の通話は固定電話宛の料金になる。
070・080・090から始まる電話番号宛。(ただし 090-302- から始まる一部の電話番号(衛星船舶電話)への通話料は異なるかもしれないが、約款に何も書かれていないので携帯電話扱いでいいのかな?)
一部の公衆電話機のみが対応。国際電話の課金単位は100円単位(秒数は100円で話せる時間)なことに要注意。100円玉かテレホンカードが必要。詳しくはこちら

ナビダイヤル (0570)

0570から始まる電話番号は企業の電話受付窓口でよく使われているが、050IP電話などからつながらない等の欠点があるので、他の(03、050などの)電話番号も併記されていることが多いIP電話や携帯電話が普及し、さらに2024年から固定電話の通話料が全国一律になったので、全国共通1ナンバーのメリットは完全に失われ、0570ナビダイヤルは欠点の方が目立つようになった

ナビダイヤル」はNTTコミュニケーションズ (NTTcom) の商標で、同社が提供するサービス名。0570から始まる電話番号が使われる。不特定多数者から電話がかかってくる企業の電話受付窓口でよく見かける。

このナビダイヤル宛の通話料は、NTTcomが定める通話料が適用され、その全部または一部が発信者に課金される

2023年までは区域別・時間帯別の料金体系だったが、2024年1月の料金改定に合わせて、公衆電話発・ナビダイヤル宛の通話料も36秒/10円(40秒/11円)に改定された。全国一律になり、時間帯区分も廃止された。

かつて固定電話や公衆電話がよく使われていた頃には便利なサービスで、当時は通話料が距離により変わっていたので、大きな企業は全国主要都市にコールセンター拠点を設けて電話を受け付けていた。チラシ等に地域毎の電話番号が多数列挙されていることも多かった。

そこにナビダイヤルを導入すれば、ひとつの番号で最寄りの拠点に接続してもらうことができるし(発信地域ルーティング)、休日・夜間等の時間帯によって緊急連絡を受け付ける拠点に電話を回すこともできる(接続先変更)。発信者には全国一律の通話料を負担してもらい、距離に応じて高くなる分の差額は企業側で負担することもできた(全国一律課金)ので、全国に展開していたコールセンター拠点を集約する際にも便利だった。

他にもIVRなどの豊富な機能をNTTcomが用意してくれるので、電話を受ける企業から見ると、コストセンターと化したコールセンターを安価に省力化できる魅力がある。

公衆電話の利用者から見ると、複数の電話番号を覚える必要がなく、今どの地域にいるかを気にする必要もなく、ひとつの番号で最寄りの拠点につなぐことができるデータ通信に使うISPAPなどにはうってつけで、ISPでは0570ナビダイヤル(または他社の類似サービス)を使った全国統一番号が提供されるようになった。

ところが、固定電話から携帯電話への移行が進むと話は変わる。ナビダイヤルはNTTcomが料金を定めるサービスなので、発信側の電話会社に料金設定権限がないことを理由に、通話パックや通話定額サービスの対象外とされた。 日本の携帯電話は従量通話料が非常に高額なので、その補償策として通話パックや通話定額オプションに加入している人が少なくないが、ナビダイヤルに発信するとそうした通話定額等のオプション料金とは別に、ナビダイヤルの従量通話料が上乗せ課金される恰好になる。

また、IP電話の普及に伴い、ルーティングやIVRなどの付加機能も他の050IP電話で安価に実現できるようになって、050番号を使って同等の機能を提供する通信事業者が相次いで参入した。さらに2024年から固定電話の通話料が全国一律になったので、全国共通1ナンバーのメリットは完全に失われ、0570ナビダイヤルは欠点の方が目立つようになった。

0570ナビダイヤルは固定電話や公衆電話が距離別通話料金だった頃の名残なので、PSTNマイグレーションにより固定電話の通話料が全国均一になった機会に廃止されても良かったと思うのだが、PSTNマイグレーションにより県間通話を失ったNTTcomにとっては貴重な収益源なので、安易に手放すつもりは無いのだろう。

しかし利用者(通話料を負担する発信側)目線に立つと、固定電話が主流だった頃には電話を使いやすくする機能だったが、携帯電話が主流になったことで、逆に電話を使いにくくする原因になってしまった。

携帯電話の大手4キャリアの従量通話料が22円/30秒に対し、ナビダイヤルの通話料は11円/20秒なので、大手3キャリアの通話パック等を利用していないユーザーにとっては、若干安い。

ただし、日本通信SIMなどの主要MVNOでは従量通話料が半額(11円/30秒)なので、MVNOユーザーから見ると通話料が割高になる。無料通話ができる「Rakuten Link」も使えない(自動でVoLTEに切り替わって課金される)ので、楽天モバイルユーザーにとっても通話料が丸損になる。

せめて0570が通話定額等の対象になればと思うが、NTTcomが通話料を定めていることが対象外の理由にされており、その通話料がNTTcomの収益源(着信側が支払う基本料等はおまけ程度)なので、そこが変わることはないだろう。

2024年に固定電話の通話料が全国一律になったことで0570ナビダイヤルのメリットは失われたので、着信企業側が0570をやめて通常の電話番号に移行する方が早いのではと思うが、それまではユーザーが余計な課金をされないよう知恵をつけるか、諦めて余計な金を払うか、電話をやめる(Web等で問い合わせる)しかないのが実情だ。

よく調べると、ナビダイヤル以外に通常の番号(050または0AB…J番号)が案内されていることがあるヤマト運輸のWebサイトより抜粋引用)

例えば、かつてOCNが提供していた「050 plus」(新規受付終了)を利用中のユーザーは、「050 plus」を起動してナビダイヤルに発信することで、固定電話発の割安な通話料で利用できる。

また、NTT以外の050IP電話からは0570ナビダイヤルに発信できない(そもそも接続していない)問題があるので、0570から始まる番号以外に、通常の0AB…J番号(または050番号)も案内されていることがある(右図)。こうした番号にかければ携帯電話発でも通話定額等の対象になるので、0570以外の番号を探すのが携帯電話ユーザーの自衛策となる。

かつてはKDDIが「アクセスコール」、ソフトバンクテレコムが「アドコール」のサービス名で0570(または0077・0088)番号を使う同様のサービスを提供していたが、すでに新規受付を打ち切っている。NTT東西も「ナビアクセス」(同一県内)「APナビ」(同一MA内)というサービス名で0570番号を使うサービスを提供していたが、法的な制約により県境を越えられない(地域により接続できない)こともあってか広がらず、2007年 1月までで新規受付を打ち切り、2010年 3月末までに終了した
原則としてNTTcomが定める通話料全額が発信者負担になるが、通話料の一部を着信側が負担するオプションもある。なお、かつて提供されていた0180「テレドーム」(大量呼受付、2023年6月終了)や0990「ダイヤルQ2」(情報料代理徴収、2014年2月終了)などと違って、通話料以外の情報料等が課金されることは無い。
通話料の一部を着信側が負担することもあるので、実際に引き落とされる通話料は通話相手により異なる。以前は発信すると自動音声で「○秒ごとに10円の通話料がかかります」といったガイダンスが流れたが、最近は通話料のガイダンスが省略されていたり、「最大20秒10円の通話料がかかります」(携帯電話発の場合やね)といった簡略化された案内をされることもあり、発信側が負担する通話料がわからなくなってしまった。
また、冒頭のガイダンスが流れているうちに電話を切れば通話料がかからないが、IVRによるルーティング機能をNTTcomが提供している場合はガイダンスに従って番号入力したあと着信側につながるまで通話料が落ちない。ただし、IVRを着信側が持っていると通話料が落ちるので、これもよくわからない…
KDDI旧DDI)の0077、旧KDD0053、ソフトバンク(旧日本テレコム)の0088などがある。ただし、これらの番号は公衆電話から接続できない難があったため、公衆電話からの発信を想定したサービスでは0570が使われた。
他に、0180から始まる電話番号もあった。NTTcomの「テレゴング」(着信数集計機能があって電話投票に使われた)や「テレドーム」(有料・無料の情報提供サービスに使われた)で、テレビ等の娯楽番組の演出、ラジオの配信や公営ギャンブルの実況中継などに使われていたが、着信側(情報発信者)の電話回線1本で多数の発信者(情報受信者)に対応(マルチキャスト)できたことから防災情報の配信にも使われていた。通話料に情報料が上乗せされることもあって通話パック等の対象外になっていたが、「テレゴング」は2012年5月までに、「テレドーム」は2022年6月までに終了した。
同様に、楽天でんわなどの中継電話サービスも使えない。MVNOの通話料半額も、網側で自動的に中継電話サービスを使う仕組み(オートプレフィクス)で実現しているので、0570宛に発信するとMNO3社の携帯電話からの発信に切り替わって、NTTcomが定める通話料がかかるようになっている。
本来のナビダイヤルは、電話はたくさん受けたい企業向けの、ひとつの番号で全国受付可能なことがメリットとなるサービス。ヤマト運輸のように全国共通1ナンバーで運用している所ではそのメリットが活かされているが、郵便局佐川急便のように全国各地に散らばる拠点にバラバラの0570番号を割り当てている例もあり、どうしてわざわざ0570を使っているのか合理的に説明できない所もある。勘繰れば、電話を無くせはしないが、なるべく電話を受けたくない(Web受付などに移行したい)企業向けのサービスに変質したようにも見える。そういう企業を中心に、しばらく生き残るかもしれない。
「050 plus」は運営会社がNTTドコモに吸収されたタイミングで新規受付が打ち切られた。旧OCN時代から継続利用しているユーザーは引き続き利用できる。しかしドコモからすれば「ナビダイヤル」を提供しているNTTcomも完全子会社なので自社のようなものだが、ドコモ発でも0570は「他社」扱いで通話料は別途取られる。ドコモグループは「050 plus」を打ち切って「ナビダイヤル」は継続している格好だが、都合の悪い(儲からない)サービスは打ち切り、都合の良い時だけ他社扱いにして、どうにかして高い料金を取ってやろうという態度にも見えてしまう。
mineoの「LaLa Call」、TONEモバイルの「TONE電話」、楽天コミュニケーションズの「SMARTalk」(旧「FUSION IP-Phone SMART」)、旧ソフトバンクテレコムの「BBフォン」などは、NTTcomのIP電話基盤と接続しておらず、0570へは発信できない。ただし各社「光でんわ」類(0AB…J番号が割り当てられている固定IP電話)から発信する場合は、NTT公衆網経由で接続できる。

使い方

最近の公衆電話機では、受話器を取って硬貨を入れると、投入した硬貨の枚数が画面で確認できる

通常の通話

受話器を取って硬貨(10円玉または100円玉、一部のカード専用電話機を除く)またはテレホンカード(対応機のみ)を入れると、受話器から「ツー」という発信音が聞こえるので、宛先の電話番号をプッシュ(ダイヤル)する

屋外に長らく設置されているため、プッシュボタンの反応が悪くなっている電話機もあるようだ。ボタンを押しても音が聞こえない場合は、少し強めに押すと反応することが多い。受話器を耳に当ててプッシュボタンを押すとトーン信号音が聞こえてくるので、確認しながらプッシュしよう。

硬貨は複数枚入れることができる。残高がなくなると「ビーッ」と鳴ってから通話が切れるので、通話時間を予想し、料金分の小銭を少し多めに用意しておく必要がある

逆に、携帯電話機等の着信確認に使いたい場合は、10円玉1枚入れておけば充分だろう(使い切ると自動で通話が切れる)。

受話器を置くと、残りの硬貨またはテレホンカードが返却される。

ただし100円玉を使った場合、釣銭(10円単位)は出ない

テレホンカード(テレカ)は投入口と返却口が別に用意されているので、残り度数が少ない場合は、投入口に新しいカードを差し込んでおけば、古いカードを使い切ると返却口に出てきて、新しいカードが自動で吸い込まれるようになっている。新しいカードが無ければ硬貨を入れてもOK。

画面にテレホンカード使用不可のアイコン表示が出ている場合(比較的新しい機種の例)は、硬貨しか使えない

緑の公衆電話機(衛星公衆電話を除く)はテレカを使えるが、まれにテレホンカード利用不可マークが出ていることがあり(右写真)、その場合は硬貨しか使えない。

また、画面のライトが消えている場合(停電中)も、硬貨しか使えない。通話中に停電した場合は電話が切れ、コイン・テレカが返却される。

古い機種(画面が付いておらず「カードの残り度数」表示のみの機種)では、「このランプが消えているときは硬貨でおかけください」ランプが消灯していると、硬貨しか使えない。

国内の電話番号にはほぼかけられるが、0077・0088から始まる番号と、電報 (115) は利用できない

グレーの電話機白いピンク電話は、硬貨を入れずに受話器を取るかオンフックボタンを押すと「ツー」という発信音が聞こえる(ダイヤルトーンファースト方式)。先に相手の電話番号をプッシュしてから硬貨またはテレホンカードを入れると通話発信される(緊急通報災害用伝言ダイヤル(171)フリーダイヤル類は硬貨不要で発信される)。
枚数は電話機により異なる。10円玉と100円玉を入れた場合は、10円から先に使われる。
通話が切れる間際に「ビーッ」と鳴るので、硬貨を手に持っておいて、音が鳴ったら追加投入してもOK。
その点、通話時間や料金を考えずに通話できるテレホンカードは便利だった。
ナビダイヤルの他社版、またはフリーダイヤル新電電版〈フリーコール(0077-7xxx、新規受付終了)、フリーコールスーパー(0088-2xxx、新規受付終了)〉。ただし、0120・0800から始まる番号ならば、NTT以外が提供する回線でも、公衆電話から通話料無料で発信できる。
電報(115)は電報送信料金を通話料と合算で支払うサービスのため。クレジットカードがあれば、NTT東西「D-MAIL」(0120-759-560、8~19時)かKDDI「でんぽっぽ」(0120-907-115、8~22時)に電話して電報送信できる。

フリーダイヤル

01200800から始まるフリーダイヤル」「フリーコール」「フリーコールスーパー」「フリーボイス」「フリーアクセス」等の着信側課金番号へは、公衆電話からも無料で通話できる(着信側が通話料を払う)が、発信時に硬貨かテレホンカードを入れる必要がある(受話器を置くと硬貨やテレホンカードが返却される)。

オンフックボタンがある公衆電話機では、このボタンを押してから電話番号をプッシュすれば、硬貨等不要でフリーダイヤル等に通話発信できる
グレーの公衆電話機にて、硬貨もテレカも入れずに(ついでに受話器も取らずに)フリーダイヤルに通話発信している様子

ただしグレーの電話機白いピンク電話は、コイン不要でフリーダイヤル等に発信できる。硬貨を入れずに受話器を取るかオンフックボタンを押すと「ツー」という発信音が聞こえ(ダイヤルトーンファースト方式)、相手の電話番号をプッシュすると通話発信される。

一方、ダイヤル式の古いピンク電話はフリーダイヤル等に発信できない

携帯電話全盛の時代ではあるが、携帯電話からの接続を認めていないフリーダイヤル等を提供している企業等のコールセンターに電話する時には公衆電話が地味に役立つ:)。

ただし、今ではほとんど使われていないが、旧KDDIの0077-7から始まる「フリーコールDX」と、旧日本テレコム0088-2から始まる「フリーコールスーパー」(いずれも新規受付終了)には、公衆電話から発信できない

0120から始まる番号は10桁、0800から始まる番号は11桁。
「フリーダイヤル」はNTTcomの登録商標なので、他社は他の名称で呼んでいるが、機能的には同じ。
さらに昔の古いピンク電話は市外局番にも対応していなかったので、050IP電話や携帯電話等にもかけられなかった。ただし設置施設側でKS鍵操作するとフリーダイヤル等にも発信できる。
加入電話(3分につき9.35円)に比べると公衆電話の通話料(62秒につき11円)はかなり高いが、携帯電話からの通話料はさらにものすごく高いので(15秒につき11円)、携帯電話からの着信を拒否する気持ちも解らなくはないが、ならばせめて一般の(0570ではない)番号も表示してほしいものだ。
昔は会社毎に番号が分かれていたが、着信課金番号ポータビリティにより各社共通で0120・0800番号が使われるようになり、後に0077・0088番号は新規契約が打ち切られたが、昔から使われていた番号は引き続き使える。0120が多く使われていたのに対し、0077・0088番号は良番を取りやすかったので一時期利用されていたが、着信課金番号(フリーダイヤル)としては0120の認知度が高く、0077・0088はナビダイヤル相当機能にも使われていたのでわかりにくく、0077・0088の着信課金番号はほとんど廃止(0120・0800へ移行)された。例外としてKDDI自身が 0077-777 を使っているが、0120番号も用意されており、公衆電話(や他社IP電話)からは 0120-22-0077へ通話料無料で発信できる。

国際電話

国内専用」の公衆電話機 (DMC-8A)

緑とグレーの一部の公衆電話機で、国際電話を利用できる。国際電話は100円単位の課金なので、100円玉かテレホンカードが必要

画面に「国際通話がご利用できます。」「国際通話がカードでご利用できます。」と表示されている公衆電話機で利用できる。

発信方法は【010+国番号+相手先の電話番号】。国番号と通話料(100円で通話できる時間)はこちら。「ワイドスターを除く衛星電話宛の通話も国際電話扱いになる。

単に「ご利用できます。」または「国内専用」と表示されている公衆電話機(右写真)では国際電話を利用できない

ちなみに2023年まではKDDIの国際電話だったが、固定電話網のIP網移行に伴い、2024年からNTT東西が国際電話サービスを提供するようになったため、公衆電話発のKDDI国際電話は2023年12月末で終了した。同様にNTTcomの公衆電話からの国際電話サービスも2023年12月25日で終了した。

NTTドコモの「ワイドスター」を使う衛星電話には090から始まる電話番号が割り当てられているので、国内携帯電話と同様に相手の電話番号をプッシュすれば発信できる。通話料は、一般の携帯電話宛と同じ料金になると思われる(筆者はかけたことないが、約款に何も書かれていないので)。
「ご利用できます。」はMC-D8(アナログ回線)、「国内専用」はDMC-8A(旧ISDN回線)で見かけるが、違いは不明。また、2005年頃から設置されている「DMC-8A」をアナログ化改造した機種では引き続き公衆電話が使えるという説明も見かけるが、真偽は不明。たしかに新機種「MC-D8」では国際電話非対応が多いようだが、まれに国際電話に対応している「MC-D8」も見るし、「国内専用」の「DMC-8A」もあるので、機種が非対応ということではなく、設置される場所等によって切り替えているのかなと思われる。

緊急通報

110番(警察)、119番(消防・救急)、118番(海難)にはコインを入れずに無料で通話発信できる

受話器を取り、電話機の緊急通報ボタン(赤いボタン)を押しながらプッシュ(ダイヤル)する。

最近の電話機は緊急通報ボタンが無く、110番と119番は受話器を取ってダイヤル(プッシュ)すれば発信できるようになっている。

電話ボックスには設置場所(住所や施設名など)が書かれているので、設置場所を伝えるとスムースだ。

緑、グレーの公衆電話に加え、ピンク電話でも対応している

白いピンク電話は、110番と119番はコイン無しで発信できる。古いダイヤル式のピンク電話機は緊急通報に対応していない(設置施設がKS鍵操作すると緊急通報できる)。
電話ボックスに掲示されている案内の例(NTT東日本)
昔は広告が出ていたが、今はユニバーサルサービスらしく緊急通報等の案内が出ている。災害用伝言ダイヤル (171) が有料となっているが、公衆電話からは無料で利用できる(ただし発信時に硬貨またはテレカを入れる必要があり、受話器を置くと返却される)

災害時の無料開放

災害救助法の適用が想定される規模の災害(地震、台風、豪雨、洪水、津波等)発生時には、対象地域内の公衆電話が無料開放される(国際通話等を除く)。

この場合は硬貨不要で通話できる状態になっており、受話器を取ると「ツー」という発信音が聞こえるので、宛先の電話番号をプッシュ(ダイヤル)するとつながる。

ただし、ピンク電話は無料開放の対象外。

ちなみに、公衆電話は停電時にも使えるようになっている(通信回線が被災した場合と、長期の停電により非常用電源が枯渇した場合はこの限りでない)。

また、災害時には輻輳対策で一般加入電話からの発着信が制限されることがあるが、公衆電話は優先して発信できるようになっている(ただし相手側が輻輳エリアにいる場合は着信が規制されてつながらないこともある)。

無料開放中は、かつて提供されていた0180等の情報料が発生する通話先には発信できなくなっていた。
ただし、緊急通報ボタン(赤いボタン)がある電話機(比較的古い電話機)はコインを入れる必要がある。無料開放中は硬貨が落ちない(網側から収納信号が出ない)ので、受話器を置くとコインが返却される。テレホンカードを入れてもいいが、停電時はテレホンカードが使えないため、10円玉または100円玉を用意する必要がある。
受話器を取って発信音が聞こえない場合は、災害等により通信回線が切断されてしまったか、停電が長引いて使えない状態になっている。
家庭や事業所に設置される加入電話(メタル回線)にも局側から給電されているので、電話機によっては停電時にも使えるのだが、近頃は電話機の多機能化により停電時に使えない電話機が増えた。また、「ひかり電話」等は停電すると使えないため、電話機とONUルーターTAHUB等を含めてUPSに接続するなどして電源を確保する必要がある。ちなみにNTT東西が「ひかり電話停電対応機器」「ひかり電話停電安心サービス」を提供していたが、あまり宣伝されることもなく、2015年 1月末で打ち切られた。その後はUPSを販売していたようだが、それも品切れになっている。まあ一般的なUPSを設置すればいいので、わざわざNTTから買う必要はない

災害時のみ設置される特設公衆電話

2022年度より常設の公衆電話が削減され、災害時のみ設置される特設公衆電話に置き換えられている総務省資料より引用)

公民館、集会所、小中学校などの避難所になる公共施設に用意されていて、地震や台風などの大規模災害で通信障害や避難所の開設などに伴い臨時に設置される特設公衆電話がある。

公共施設に引き込まれている特設公衆電話用の電話回線(モジュラーローゼット) 電話機は設置施設が保管しており、普段は電話機がつながっておらず、使えない

公共施設等に予め専用電話回線が引き込まれていて、ただし電話機は公民館等の施設管理者が保管していて、平常時には利用できないが、災害時等に設置されて無料開放される。停電していても通信回線がつながっていれば局側から給電されて使える

2024年 1月 1日に発生した「令和6年能登半島地震」では、石川県、富山県新潟県を中心に設置された。

また、ソフトバンクとNTTドコモも避難所に携帯電話を設置している例がある。

2011年 3月11日の「東日本大震災」で設置された特設公衆電話では、番号通知は「非通知」扱いだった。現在の状況は未確認だが、少なくとも携帯電話については非通知(または、よくて携帯電話番号が通知される)と思われる。この場合、相手先が迷惑電話対策をしていると、つながらない

常設の公衆電話は「公衆電話」と通知されて相手につながるよう配慮されているが、災害用特設公衆電話ではその配慮が為されていない可能性があるので注意したい。

2024年能登半島地震でNTTグループが実施した通信サービス関連の支援

この災害用特設公衆電話を含む公衆電話はユニバーサルサービスだが、追加して大手通信事業者(NTTグループKDDIソフトバンク楽天モバイル)が任意で衛星通信端末や「公衆ケータイ」を設置する場合がある。

これらは一見便利だが、任意の支援活動であるため必ずしも提供されるわけではないことと、「公衆ケータイ」は公衆電話ではないので電話番号が通知されない(相手が迷惑電話対策をしているとつながらない)といった問題もある。

なお、「東日本大震災」のときの取り組み内容は総務省情報通信審議会の資料「災害等緊急時における有効な通信手段としての公衆電話の在り方」参考資料(2012年 3月 1日)にまとまっている。

災害等により電話回線が切断された場合は使えなくなる。また、2024年 1月 1日に発生した「令和6年能登半島地震」では、停電が長引いたことで電話局側の非常用電力が枯渇して使えなくなった地域もある
網側の機能を使って迷惑電話対策をすれば、公衆電話は拒否されない。一方、全てのiPhoneおよび一部のAndroid端末は、端末の設定で迷惑電話対策をすると「公衆電話」もいっしょくたに拒否される(既述)。

災害用伝言ダイヤル (171)

災害発生時は親戚等に安否を伝える必要があるが、避難所や公衆電話は混雑するので、災害用伝言板(無料)を利用しよう。

電話番号で安否情報【無事です/被害があります/自宅にいます/避難所にいます】と任意のコメント(全角100字まで)を登録でき、電話番号を知っている親戚・友人等に安否を知らせることができる。

電話番号は市外局番から入力する。固定電話はもちろん、国内の番号ならば携帯電話番号や050IP電話番号も登録できるので、相手が知っている電話番号で登録しておこう。

局所的な災害発生時には、伝言登録エリアが限定されることがある。伝言登録エリアは171・web171提供速報で確認できる。

スマートフォンやパソコン・タブレット等が使えるなら、「災害用伝言板 (web171)」で登録するのが手軽だ。画面で確認しながら文字入力で簡単にメッセージを残すことができるし、メッセージを電話で聞く人には自動音声で読み上げられるようになっている。

災害用伝言ダイヤルと災害用伝言板は連動していて、災害用伝言板 (web171) と災害用伝言ダイヤル (171) どちらを使っても、各々で登録された伝言内容を相互に確認できるようになっている

スマートフォン等が使えない状況では、公衆電話や避難所の臨時電話で 171に通話して登録することもできる。

公衆電話から災害用伝言ダイヤル (171) の利用は無料だが、フリーダイヤル対応のグレーの公衆電話やピンク電話を含め、公衆電話から171に発信する際は硬貨またはテレホンカードを入れる必要がある(受話器を置くと返却される)。

また、現在は携帯電話各社(NTTドコモKDDIソフトバンク楽天モバイル)の災害用伝言板とも連携しており、他社の災害用伝言板に登録されたメッセージも相互に確認できるようになっている

被災地にいる親戚知人等の安否が気になる場合は、まず「災害用伝言板 (web171)」で検索してみよう。他の電話会社が運用している災害用伝言板を含め、各社共通で検索できる。

平常時から全国で利用できる体験利用日もあるので、いざという時に活用できるように、普段から練習しておこう。

災害用伝言サービスの体験利用日

登録したメッセージの消去はできない(伝言板の終了時に自動消去される、体験利用では期間終了時に自動消去される)し、電話番号を知っている人は誰でも閲覧できる。体験利用日でも不必要な個人情報などの登録は控えよう。

050IP電話番号と携帯電話番号(070・080・090)は全国共通なので、特に制限されず全て利用できる。また、体験利用日には全国の電話番号で利用できる。
文字で登録した伝言を電話で聞くと、自動音声で読み上げられる。電話で録音したメッセージはweb171でも音声を聞くことができる。
NTT東西の加入電話、「ひかり電話」、公衆電話および災害時用公衆電話から発信した場合は通話料無料。他社の固定電話(ケーブルプラス電話ホワイト光電話NURO光でんわなど)や携帯電話(ドコモauUQSBYM楽天および各MVNO)から発信した場合は通話料有料で、一般加入電話宛の通話料がかかる。
昔は連携しておらず、災害用伝言板が各社ばらばらにあったが、相手がどこの電話会社と契約しているかなど普通は知らないだろうから、各社連携して、どこの災害用伝言板・伝言ダイヤル (171) に問い合わせても回答が得られるよう改善された。
体験利用期間中に災害が発生した場合は、そのまま本番利用に移行する。体験利用期間中の2024年 1月 1日に発生した「令和6年能登半島地震」では、体験利用から本番利用にそのまま移行したためか、引き続き日本全国が伝言登録エリアになっていた

故障

新しい公衆電話機は、故障している旨の表示も出るようになっている

故障受付 (113)

見た目に目立つ破損はないが、電話がつながらない場合は、113番に通話発信すると、電話局側で調べてもらえる。

ただし、回線断などの通信障害時は113番にもつながらない。

故障以外の問い合わせは116番(午前9時~午後5時、土日祝も営業、年末年始を除く)へ。

停電

公衆電話(緑、グレー)は停電しても使える。ただし、テレホンカードなどの一部機能が使えなくなる。

また、大規模災害等で停電が長引いた場合には電話局側の非常用電源が枯渇して使えなくなることもある。

ピンク電話は停電すると使えないものが多い。

通信障害

災害や工事等で通信障害が発生しているときは、NTT東西のWebサイトに掲載される。

公衆電話の故障・破損を見つけた

見た目に破損等している場合は、管理しているNTT東西に連絡されたい。

ピンク電話の故障・破損

ピンク電話は設置施設の私物扱いなので、設置している施設に問い合わせを。

参考リンク

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