LINEMO
LINEMO(ラインモ)は、ソフトバンクが提供するモバイルデータ通信サービスのオンライン専用新ブランド。
ブランドコンセプトは「タノシイオドロキ」。 イメージキャラクターは本田翼(LINEモバイルから継続)。
2020年12月22日の発表時点では「SoftBank on LINE」(ソフトバンク オン ライン)と呼ばれていたもの。2021年 2月18日に新名称とともに追加発表(内容一部改定)され、3月17日より開始予定。
また、“ソフトバンク”ブランドで提供される「メリハリ無制限」と「データ通信専用50GBプラン」についても本稿で触れる。
“ワイモバイル”ブランドについては別ページでまとめているので、そちらを参照されたい。
LINEMO
4Gと5Gデータ通信を20GBまで使える、月額2,728円(税別2,480円、ユニバーサルサービス料別途)の1プランのみ。データ容量の追加は550円/1GB。テザリング可。
音声通話は従量制で、通話料は22円/30秒、SMSは3.3円/通。
通話定額はオプションで提供される。1通話あたり5分までの かけ放題オプションが月額550円(税別500円)、国内通話かけ放題オプションが月額1,100円(税別1,000円)で用意される。
新規契約等の手続きはオンラインのみ。LINEアプリから申し込みページに入る導線が用意されるようだ。一方、ソフトバンクショップやワイモバイルショップでは手続きできない。サポートもチャットのみで、ショップや電話サポートは無し(ただし緊急時の対応は検討中。LINEでサポートが提供されるかは不明だが、基本サポート無しと思っておく方が良さそう)。 店頭で問い合わせを受けた際は、サポートが必要な人には“ソフトバンク”“ワイモバイル”を利用するよう案内しているそうだ。
主な条件をpovoに合わせてきたが、220円で24時間データ使い放題といった「トッピング」は無い※。
本プランの特徴はLINE(トークと通話)が使い放題(ギガノーカウント)になることと、ソフトバンクで初めてeSIMに対応する。本人確認もeKYCで行い、早ければ1時間以内で使えるようになるそうだ(従来のSIMカードの場合はeKYC対象外)。
従来のSIMカードを選んだ場合もマルチSIMでの提供を予定しているそうなので、nanoSIM / microSIM / 標準SIM と機種を問わずに使えそうだ。
SIM交換・再発行手数料は0円(無料)。契約事務手数料や解約金・MNP転出手数料も0円となっている。
スマートフォンとLINEを使うことを前提にしているので、E-mailアドレスは付かない(キャリアメール無し)。デジタルネイティヴを想定しているようなので、多くの人がすでにGmailやiCloudメールなどを利用しているという想定になるのだろう。
留守番電話や着信転送も使えない。これはドコモが悪しき先例を作ってしまった感があるが、いつでも電話に出られるわけではない多忙な人のメイン回線にはお勧めできない。 もっともLINEMOは「LINEとのシナジー」が売りのブランドだし、個人で使う分には「携帯電話」とは名ばかりで、すでに通話はおまけ程度なのかもしれないね。
未発表の要素も多く、今詰めているそうだが、国際ローミングは別料金で、ワイモバイルのものがベースになるそうだ(すると、基本プランに含まれているようにも見えるこの図は誤解を招きそうだね)。
なお、本プランは既存の「LINEモバイル」とは無関係だが、本プラン提供開始に伴いMVNOの「LINEモバイル」は新規受付を終了し、ソフトバンクに吸収される。
本プランはMNOであるソフトバンク株式会社の一事業部が提供することになり、“ソフトバンク”“ワイモバイル”と同等の通信品質になると謳われている。
eSIM
従来のSIMカードに加え、eSIMにも対応する。 eSIMだと気になるSIM交換・再発行手数料は0円(無料)なので、気軽に利用できそうだ。
ただし、eSIMへの書き込みには一般にQRコードが使われており、これを契約するスマートフォンのカメラで撮影する必要がある(右図)。
つまり、回線情報を書き込みたいスマートフォン以外でQRコードを表示する必要がある※。また、eSIMを書き込む際にはWi-Fiなどでインターネット接続しておく必要がある。
そのため、回線情報を書き込みたい端末以外のパソコンやタブレット端末などを使って表示するか、スクリーンショットを転送して表示するか、プリンタ等で印刷できるようにしておく必要がある。LINEで簡単に契約できても、スマートフォン以外の機器や自宅等の回線を持っていない人は苦労しそうだ。
細かい字で一遍の説明はされるだろうが、こうしたノウハウ的なことも含めてサポート無し、自己解決できる(または身近に頼れる人がいたり、有償サポートを利用できる)人向けだということを承知の上で、利用してほしい。
機種・エリア
対応機種は現時点で不明※。 Apple社とは接続性確認を進めているところで、eSIMは動作確認中だそうだ。
SIMカードの場合はマルチSIMでの提供を予定しているそうなので、nanoSIM / microSIM / 標準SIM と機種を問わずに使えそうだ。
機種販売は行わず、SIMのみ契約(端末持ち込み)専用になるようだ。オンライン契約では割賦販売などの説明が煩雑になることが理由に挙がっていた。別途購入したSIMフリー機種と一緒に使うか、“ソフトバンク”“ワイモバイル”から乗り換えて使うことを想定しているのだろう。
エリアは“ソフトバンク”や“ワイモバイル”と同じ。昔はソフトバンクといえば山間部などで使い物にならなかったが、2012年にプラチナバンドを獲得してからは一挙に改善し、現在は登山道などの無住地域を除いて遜色なく、概ね全国で快適に使える。
バンド構成も同じだが、3Gは使えないと思われる。3Gが使えない場合は、ソフトバンク・ワイモバイルのVoLTEに対応したスマートフォン※を使う必要がある。
【対応見込みのバンド構成】※太字は主力バンド
- FD-LTE (4G) Band 1, 3, 8, 11, 28(B)
- TD-LTE (4G) Band 41, 42
- 5G Band n3, n28, n42※, n77 (Sub-6), n257 (mmWave)
同社が販売する端末に限らず、家電量販店などで購入できるSIMフリー機種も、上記バンドに対応していれば使えるものと期待される(無保証、ノーサポート)。
“ソフトバンク”“ワイモバイル”向けの機種(2017年8月以降に発売された機種)やSIMフリーの機種を、中古店などで購入して使うこともできそうだが、上記のバンドに対応していることと、“ソフトバンク”“ワイモバイル”のVoLTEに対応していることを確認しよう。
ワイモバイルとの違い
中身の通信・通話サービスの品質は変わらないが、LINEMOでは3Gが使えるかは不明。また留守番電話も着信転送も使えないので、スマート留守電なども使えない。LINEトークしかしないという人には問題ないだろうが、通話を重視する人は避ける方が無難だ。
ワイモバイルの「シンプルM」(税別2,980円)は月額料金が550円高く、データ量が5GB少ない。通話完全定額の「スーパーだれとでも定額(S)」は税別1,700円なので、さらに割高になる。追加データ容量も倍額(ワイモバイルでは550円で0.5GB)だ。
ワイモバイルの「シンプルL」は5GB多いが、月額1,430円高い。概して割高に設定されている。
通信品質に違いはないが、この価格差は「店舗やコールセンター・コンタクトセンターのサポートを極限に削減」して安くしたと説明されていた。サポートが要る人は“ワイモバイル”か“ソフトバンク”を利用してほしいということだろう。
半面、ワイモバイルでは家族割引サービスで2回線目以降は税別1,080円引きになるので、家族で複数回線使う人はワイモバイルの方が割安になりそうだ。 例えば夫婦で「シンプルM」(15GBまで)を1つずつ使い、通話はほとんどしない場合、ワイモバイルの方が若干(88円)安くなる。さらに子どもに持たせたりすれば、家族が増えるほど割安になる。
単身で節約しつつもデータ容量はなるべく多く使いたいという人は、端末の設定などはサポートに頼らず自力で解決し、LINEMO を選ぶと良さそうだ。端末の設定などに自信がない(サポートしてほしい)人は、ワイモバイルにしておく方が良いだろう。
LINEMO はオンライン契約専用(店頭契約不可)で、法人契約も不可と思われる(未発表)。 ワイモバイルはリアル店舗/オンライン両方あり、法人契約も可能で法人契約割引もある。
ポイント付与は未公表だが、両方とも付かないと思っておけば良いだろう(少なくともワイモバイルはポイントが付かない)。
細かいところでは、LINEMO では LINE のトークと通話など※が使い放題になるとともに、2021年夏以降、LINEクリエイターズスタンプが使い放題になる「LINEスタンプ プレミアム」(月額税別240円)が無料で使えるようになるという。
一方、ワイモバイルには「Yahoo!プレミアム会員」が無料で付いてきて、Yahoo!ショッピングやYahoo!トラベルなどを利用するとPayPayボーナスを多くもらえる特典がある。
要は、各ブランド名の通り、LINEMOは「LINEとのシナジー」重視、ワイモバイルはヤフーとの連携重視で、「クロスすることは一旦(今のところ)行わない」そうだ。どちらを選べば良いかは、使う人次第だろう。
発表会の様子
2020.12.22
ソフトバンク株式会社 新しい料金サービスに関する発表会(2020年12月22日開催)、プレゼン資料
- 20GB+「LINEがギガノーカウント」を月額2,980円で提供 ~オンライン専用の新ブランドを立ち上げて2021年3月にサービス開始~(ソフトバンク、2020年12月22日)
- “ソフトバンク”、データ容量無制限の4G/5G共通の料金サービス「メリハリ無制限」を提供開始(ソフトバンク、2020年12月22日)
- “ワイモバイル”、5Gサービスを提供開始 ~月額料金がずっと変わらない、シンプルな4G/5G共通の新料金サービスラインアップに刷新!~(ソフトバンク、2020年12月22日)
2021.02.18
オンライン専用新ブランドに関する発表会(2021年2月18日)、プレゼン資料
- オンライン専用ブランド“LINEMO”、3月17日にサービス開始(ソフトバンク、2021年 2月18日)
- “ソフトバンク”、データ容量無制限の4G/5G共通の料金サービス「メリハリ無制限」を3月17日から提供開始(ソフトバンク、2021年 2月18日)
- “ソフトバンク”、4G/5G共通の料金サービス「データ通信専用50GBプラン」を提供開始(ソフトバンク、2021年 2月18日)
- 各種手数料を3月17日から無料に(ソフトバンク、2021年 2月18日)
メリハリ無制限
NTTドコモの新料金プラン「ギガホ プレミア」への対抗で登場した、“ソフトバンク”ブランドの新プラン。2020年12月22日発表、2021年3月17日開始予定。1プランで4Gと5Gの両方に対応(3G対応可否は不明)。
プラン名の通り、スマートフォン単体でのデータ容量は無制限になる(テザリングとデータシェアは合計30GBまでに制限される)。
料金は競合の「5Gギガホ プレミア」よりわずかに安くなるよう設定され、3GB未満の利用月は自動的に税別1,500円の値引きが入る作り込みも同じ※。実際、「ギガホ プレミア」はよく出来ていたと思う。
ドコモではVoLTE未対応の端末で5G対応SIMを使ったときなどに不具合が生じることがあるが、ソフトバンクにはそれが無いようなので、ソフトバンクでは4Gプランと5Gプランを分けず一本化してきた。その面でも、とてもシンプルになっている。
ただし、従来の“ソフトバンク”では Android と iPhone でSIMカードを区別する(≒ユーザーがSIMフリー端末などを購入して差し替えて使うことが難しい)など、使い勝手の悪い面があった※。プランだけでなくSIMカードなども一本化されて、SIMフリー機種なども含めて利用できる機種が無制限になるのか否かは注視したいところだ。
2021年3月以降、“ソフトバンク”はこのプランに実質一本化されそうだ。大容量を使いたい人はこれ※、容量20GB以下で足りる人は“LINEMO”や“ワイモバイル”と、きれいに住み分けができている。
“ソフトバンク”ブランドでは他に「#ミニフィットプラン+」(ドコモの「ギガライト」に相当)と#データ通信専用50GBプランが新たに設定されたが、「ミニフィットプラン+」をあえて選ぶ理由はほとんど無さそうなので、2021年3月17日以降のソフトバンクショップでは「メリハリ無制限」が主力商品となりそうだ。
ミニフィットプラン+
従来の「ミニフィットプラン」を改定したもの。12月22日の発表会後の質疑では「すぐ停止することはない」「しばらくは並走」と言っていたが、早速改定されることになったようだ。 しかし、わざわざこれを選ぶ意味がわからない(後述)。
位置づけはドコモの「ギガライト」に近いが、月間データ使用量に応じて1GBごとに細かく料金が設定されるとともに、3GBまでで頭打ちになり、少容量プランとしての位置づけが明確化された。
気になる料金は、データ使用量に応じた段階制料金で、1GBまでで3,278円(税別2,980円)、2GBまでで4,378円(税別3,980円)、3GBまでで5,478円(税別4,980円)。3GB超は最大128kbpsに規制される(別料金でデータチャージ可)。
なお、光セット割(税別1,000円引き)は適用になるが、家族割は適用外(回線数カウント対象にはなる)。
この価格では話にならず、3GB以下ならば光セットor家族割適用で990円まで下がるワイモバイル「シンプルS」にするのが賢明だろう。
なお、従来の「ミニフィットプラン」は「4G/5G対応機種での新規申し込み受け付けも同日、終了」と発表された。3G機種を使い続けているユーザーは引き続き契約できるとも読めるが、3G機種の一般向け販売は終了しているので、実質終了と考えて差し支えないだろう。
“ソフトバンク”と“ワイモバイル”を行き来する際の注意点
“ソフトバンク”と“ワイモバイル”は同じ会社のサービスにもかかわらず、“ソフトバンク”の各プランから“ワイモバイル”の各プランに変更する、またはその逆は、MNP(のりかえ)扱いとなる。
今回新たに始まる“LINEMO”への切り替え手続き方法は不明だが、ホームページでは「ソフトバンクのブランドとして提供」するとしている一方で、発表会では「そのお客様にとってのメインブランド」「ワイモバイルと同じような形で」「新たなブランド」などと説明されていたので、どうなるのかわからない(笑)。
先日ドコモの新社長が威風堂々とサブブランド論議をぶった切っていたが、そこに言葉を選びながらも相乗りしてきたね。
“ソフトバンク”の従来プランから「メリハリ無制限」に切り替えるのは、おそらく容易なプラン変更手続きでできるようになると思われるが、切り替えると旧プラン※に戻ることはできなくなる。唯一「ミニフィットプラン+」への変更はできるが、あまり意味があるようには思えない。
“ソフトバンク”は今後「メリハリ無制限」のみの実質1プランになりそうなので、あまり使わないから料金を安くしたいと思っても、“LINEMO”“ワイモバイル”や他社に「のりかえ」る※以外の選択肢はなく、面倒な手続きが発生するので、毎月のように気軽に「のりかえ」るわけにはいかないだろう。
ワイモバイル同士であれば、シンプルS/M/Lの間のプラン変更は容易なので(My Y!mobileからオンラインで手続きできる)、必要に応じて毎月でもプラン変更できるし、その度に家族割を組み直すといった手間もない。
また、“ソフトバンク”と“ワイモバイル”では家族割引サービスも別扱いになるため、例えば主回線では無制限プランを使って、家族が使う副回線ではワイモバイルを使う、といった使い分けに不自由する(割引サービスを受けられない)。
端末(機種)も“ソフトバンク”と“ワイモバイル”で別々のラインアップになっているため、普段はWi-Fiを使うのでデータ容量はワイモバイルのプランがちょうどいいが端末はハイエンドを使いたい、逆に端末は廉価版でいいからソフトバンクで大容量プランを使いたい、といったニーズにも応えきれていない(中古端末を購入してSIMのみ契約すれば可能だが)。
こうした縦割りの弊害は存置されたまま、2021年3月以降は、さらに第3のブランド“LINEMO”が加わることになる。2020年12月22日の発表会後の質疑でも記者から質問が出ていたが、言葉を濁して逃げていたので(「ブランドの妙」って何?)、この縦割りの弊害を解消する気はなさそうだ。
データ通信専用50GBプラン
2021年 2月18日発表、3月17日より開始予定。月額5,280円(税別4,800円)※。
“ソフトバンク”ブランドで提供される、通話不可※のデータ専用プランで、4G・5Gデータ通信を月々50GBまで使える。
モバイルルータ等でデータ通信をたくさん使いたい場合は、LINEMOなどの20GBプランを複数契約するよりもややお得になりそうだ(50GBでも足りない場合は UQ WiMAX を検討しよう)。 ただし、LTE内蔵パソコンやタブレットなど複数の機器を使いたい場合は、LINEMOやワイモバイルなどを複数契約して使う方が使い勝手が良いかもしれない。
SMSは使えるが従量課金。データチャージ、国際ローミングは別料金。 期間契約(解約金)は無いが、解約月は満額請求となる。
余談
余談は執筆当時の内容。後で変更等された事項にあえて触れておらず、そもそも余談なので、重要なことは書いていない。古い話に興味が無い人は読み飛ばしていただきたい。
SoftBank on LINE
LINEMOの「コンセプト」が2020年12月22日に発表された時点では、「SoftBank on LINE」(ソフトバンク オン ライン)と呼ばれていた。
名前の由来は仮想世界…ではなく、「お客様が誤解しないように」ソフトバンク株式会社が提供するオンライン専用&LINEのプラットフォーム活用を表す名前にしたそうだ。
2021年 2月18日に追加発表され、以降「LINEMO」(ラインモ)と呼ばれるようになった。
当初、データ通信は4Gと5Gを20GBまで使え、通話5分定額を含めて月額3,278円(税別2,980円)と発表されていたが、2月18日発表にて通話5分定額が切り離されて月額2,728円(税別2,480円、通話5分定額は月額550円のオプションとして提供)に改定された。
要は、当初はahamoに合わせていたが、後日発表されたpovoに合わせて改定される格好になった。
振り回されるLINEモバイル
前月まで「ソフトバンクブランドの値下げについてはまったく思っていない」と言っていたソフトバンクは、競合のahamo発表からわずか20日足らずの間に大鉈を振るい、2020年12月22日、全ブランドの刷新とともに、「LINEモバイル」事業の終了※が発表された。
いろんな意味でahamoに劣らない衝撃的な発表だったと思うが、ソフトバンクは同日付けで「当社によるLINEモバイル株式会社の完全子会社化および吸収合併に向けた検討に関するお知らせ(PDF形式)」というプレスリリースを出している。
一方、「スマホ基本料ワンコイン」で頑張ってきたLINEモバイルは、同日付け公式twitterで「本日ソフトバンク株式会社より、LINEを利用した新しいプラン「SoftBank on LINE」の発表がありましたが、「LINEモバイル」をお使いの皆様は、引き続き、現在の契約内容でご利用いただけます。よろしくお願い申し上げます。」とメッセージを出した(右上図)。
続いて「「SoftBank on LINE」発表に伴う「LINEモバイル」のサービスに関して(サービスは継続・強制移行はありません)」と発表され、LINEモバイルのサービスを終了する予定はないとされた。また、「LINEモバイルの新規申込の受付終了に関しては、ソフトバンク株式会社およびLINE株式会社で協議をしていく予定」(これ以外は未定)だとしている。親会社の意向次第にはなるが、当のLINEモバイルにはまだ続ける気があるぞという気持ちが表れている。
LINEモバイルの終了・吸収の話、発表会ではすでに決まったことのように断定口調で話されていたが、実は今後協議することであり、今はまだ検討することが決まった段階だという。あまりの急展開だったが、当事者にも寝耳に水だったのだろう。
LINEモバイルにソフトバンクが出資したときも、LINEがZHD(ヤフー)と合併する話も、唐突に出てきた感があったが、今回はその比ではなかったように思う。

元々ソフトバンクは競合他社を弱らせてから吸収し、取り込んだ人材をうまく使って大きくなってきた。イー・モバイルにせよ、WILLCOMにせよ。今回のLINEは競合ではないが、強引に吸収する手腕は重なって映る。
ahamo対抗でソフトバンクが「LINE」を切り札にしたい気持ちはわかるが、今回の話は少々焦りすぎにも見える。この話、うまくまとまるのだろうか。LINEモバイルの既存ユーザーはどうなるのだろうか。吸収後のLINEモバイルは、果たしてうまく機能するのだろうか?
(まあ、嘉戸氏を役員に招き入れるくらいのことはするかもね。NTTやKDDIとソフトバンクの最大の違いは、そうした大胆な人事が出来うるかどうか、なのかも。)
「LINEモバイル」はソフトバンクが51%出資して子会社化したものの、元々は独立したLINEのMVNOとして始まっており、ドコモやauの回線も販売しているし、サポート等の問い合わせをLINEトークで受け付けるとともに、一部家電量販店などの店頭に代理店窓口も設けている。
唐突に出てきた「LINEモバイル」の完全子会社化だが、そうなればドコモやauの回線販売は打ち切られるだろう。では「LINEモバイル」を吸収する狙いは何だろうか。単に「LINE」ブランドが重複しないよう閉鎖したいということかもしれないが、またはLINEモバイルの運営陣をソフトバンクに招き入れたいのか、実績あるLINEを使ったサポートや販売体制などを引き継ぎたいのかもしれない。
今はまだ憶測しかできないが、2021年3月までには見えてくることだろう。
LINEモバイル終了
LINEモバイルからは2021年 1月28日付けで、3/31(水)11時に新規申込を終了すると告知された。
ただし、家電量販店などの店舗での契約は 2月28日までで終了し、店舗ごとに異なるので個別に確認するよう案内されている。
終了前に契約した人は継続して利用できる。また、「LINEモバイルをご利用中の皆様を、お客様の同意なくソフトバンク社の新プラン等に強制移行することはありません。」と案内されている(案内するまでもなく当たり前だとは思うが)。
続いて、2月18日に開催された発表会にはLINEの舛田CSMOも登壇し、新ブランド「LINEMO」の「3つのフリー」(チャット、音声・ビデオ通話、LINEスタンプ)をアピールするなど、期待を語っていた。
当事者との調整前に大々的に発表会を開き、子会社のLINEモバイルを混乱に陥れたものの、ソフトバンクとしては、無事に親会社LINEとの合意ができたことをアピールする格好になった。
また、新ブランドとして発表した「SoftBank on LINE」を後から「コンセプト」と言い直すなど、浮き足立った感もあったが、なんとか想定通りにまとめたようだ(裏で強引にまとめたのかもしれないが知る由も無し^^;)。
そうそう、本田翼さんCM続投だって※。まさかこれが狙いで…ぃゃぃゃ
上述の通り、「SoftBank on LINE」改め「LINEMO」は、これまでワイモバイルを担当してきた寺尾常務が担当することになったようだが、ワイモバイルでは量販店中心にSIMフリー機種とのセット販売も展開し、eKYCもAmazon経由の契約などで早くから試行していたし、ソフトバンクでは初めてとなるeSIMにも当初から対応できるということで、どこか鈍重なドコモに対して、フットワークの軽さを見せた。
手札をたくさん用意しておいて、競合の出方を見ながら器用に組み合わせて出してゆく手法はソフトバンクの得意技だが、この手法は3番手だから有効なのであって、競合がいなくなったらこの会社は伸びなくなることを意味する。
その意味でも競争は大事。ただし外部不経済を生まないよう健全な競争環境を整える必要がある。それは政策当局の役割だ。
今は政権与党の過度な口出しやプラチナバンドを持たない新規参入で混乱している節があるが、市場規模が限られ、人口減少に向かう中で、市場拡大を前提にした従来の競争政策は限界を迎えている。MVNOの制度面での支援を含めて、総務省には競争政策をきっちり立て直してほしいものだ。
参考リンク
- w:ソフトバンク
- w:孫正義
- w:宮内謙
- w:宮川潤一
- 嘉戸彩乃とは何者? 入社1年でLINEモバイルの社長に抜擢された、その理由とは。(エンジャパン)
- LINEモバイルがソフトバンクと組んだ理由 嘉戸彩乃社長に聞く舞台裏と展望(ケータイWatch)
- MVNOに聞く:LINEモバイルは、なぜソフトバンク傘下になったのか 嘉戸社長に聞く (ITmedia Mobile)
- 嘉戸社長が考える“新規事業”に必要なこと--「LINEモバイル」が生まれるまで (cnet japan)
- ソフトバンクはなぜ3ブランドで料金プランを刷新したのか? 榛葉副社長に聞く(ITmedia Mobile、2020年12月22日)
- ソフトバンク榛葉副社長に聞く、「月20GB/2980円」の“ SoftBank on LINE”など3ブランド一挙新料金の狙いとは(ケータイWatch、2020年12月22日)
- 「LINEMO」は常に進化させていくブランド、ソフトバンク寺尾氏に今後の考えを聞いた ソフトバンク寺尾氏グループインタビュー(ケータイWatch、2021年 2月18日)