デュアルSIM

提供:きまぐれ手記 Kimagurenote
副回線サービスから転送)
移動先: 案内検索
当サイトではアフィリエイト広告を掲載しています
この記事は、最終更新日よりおよそ 1 年 1 ヶ月経過しています。 公式サイトなどで最新情報を確認してください。(最終更新:2023年10月)
1台の端末に複数のSIMカードを入れて使えるデュアルSIM対応のスマートフォン

デュアルSIM(デュアルシム)とは、1台の機器に複数のSIMカードまたはeSIMを入れられる機能。

例:「デュアルSIM対応のスマートフォン」

2023年 3月27日に発表された「副回線サービス」も、端末のデュアルSIM機能を利用している。

eSIMには3つ以上の契約情報を書き込むことができるが、便宜上デュアルSIMと呼ばれる。余談だが、一般に「マルチSIM」はnano/micro/mini(標準)サイズに切り出せるSIMカードを指すので、複数枚対応の意味では使われない。

デュアルSIMのメリット

面倒なSIMカードの交換作業不要で、複数の回線(SIMカード)を使い分けることができる。

例えば、海外出張が多い人は、国内用と海外用の2つのSIMカードを入れておけば、SIMカードの入れ替え不要で(ソフトウェア的な切り替えだけで)現地SIMを使える。

とりわけ陸続きで国境を越える移動が多い欧州などでは、国境をまたいで割高な国際ローミングを使わず現地SIMを使いたい需要が強いようだ。

日本では私用と業務用の回線を分けたいといったニーズはあったものの、そこまで大きなニーズではなかったようだが、後述するDSDVと格安SIMが普及するに伴い、大きく変わった。

DSDS・DSDVのメリット

前述の通り、1台の端末に複数の回線を入れておき、通話とSMSの同時待ち受けができる。

あくまで通話の待ち受けができるだけで、データ通信に使える回線は片方のみだが(2回線を束ねて使うことはできない)、端末の設定で切り替えると、物理的なカードの差し替え不要で概ね10~30秒ほどでデータ通信用回線を切り替えることができ、SIMカードの交換不要で回線を切り替えて使うことができる。

つまり、複数回線を使い分けるメリットになるわけだが、

  • 1台で2つの電話番号を使うことができる。例えば私用と業務用などで2台持ちしていた人も、1台にまとめることができる。
  • 後述する場面などで、複数の回線を簡単に切り替えてすぐに使うことができる。

といったメリットがある。

SMSはテキストメッセージだが通話との紐づけが強いサービスで、通話が圏外になると(データ通信が使えても)SMSも送受信できない(RCSを併用する「Rakuten Link」など例外あり)。近頃はSMS認証などで多用されるようになったが、DSDV(複数回線同時待受)対応機種であれば1台を2アカウントの認証に使える。

デュアルSIMの注意点

対応機種が必要

デュアルSIMは端末の機能で実現しているので、利用には対応端末が必要。

対応バンド構成

副回線を契約する際には、使っている機種の対応バンドを確認し、特にプラチナバンドに対応しているキャリアを選ぶ必要がある。

端末と回線のバンドが一致していないと、SIMを入れても思うように使えない。特に登山などで使う場合は死活問題になるので、プラチナバンドに対応していることを必ず確認しよう。

電話番号は別個

電話番号は回線毎に発行されるので、主回線と副回線の電話番号は別になる。 障害対策が目的の場合は、勤務先等に両方の電話番号を伝えておく必要がある。

また、どちらの番号にかかってきてもいいように、着信転送を設定しておくと良いだろう。

ただし、着信転送を両方向に設定してはいけない。

  • 【誤った例】主回線←→副回線
  • 【正しい例】主回線←副回線 または 主回線→副回線

同時待受

DSDV(DSDS)対応の端末を使うと、1台で2回線の同時待受ができる。

言い換えると、DSDVに対応していない機器では、複数回線の同時待ち受けはできない(この場合、選択している回線以外は圏外になる)ので、データ通信は支障ないが、通話は取れない。

その場合は予め着信転送を設定しておけば、転送通話料がかかるが、転送された通話を取ることができる。

DSDSとDSDV

DSDSDual SIM Dual Standby(デュアルシム デュアルスタンバイ)の略。つまり2回線同時待受ができる機能。

関連して、DSDVDual SIM Dual VoLTE(デュアルシム デュアルボルテ)の略。LTE+LTEで同時待受できることを意味する。5G対応機種では5G+4G(LTE)になる。

とはいえ、国内ではもうDSDVでないDSDS(つまり4G+3Gなど)の機種はないので、最近のスマートフォン製品はDSDSと書かれていてもほぼDSDVだと考えて良いだろう。

かつてはSIMカードが複数枚入る機種でも、必ずしも複数の回線を同時に使えるとは限らず、ソフトウェアで切り替えて1回線だけが使える製品もあった

国内のスマートフォンでは2016年頃からDSDS(LTE+3Gの組み合わせで利用できる)対応の機種が出回り始め、今ではDSDVが一般的になっている。

ただし、そもそも同時待受の必要がない(通話しない)データ通信用機器(タブレットやモバイルルータなど)は今でもDSDS非対応。

今はまだ 5G NSA が主流だから 5G+4G で充分だが、いずれ 5G SA が当たり前になった頃には、5G+5GのDSDVに対応する機種が増えることだろう。ただし、5Gの音声通話サービスは VoNR (Voice over New Radio) と呼ばれるので、5G+5GのDSDVが普及する頃には、他の呼称になっているかも。
最近ではMicrosoft社製の初代 Surface Duo(2020年発売、SIMフリー版はSIMカードとeSIMの両方を使えるが同時待受はできなかった)が該当。後継の Surface Duo 2(2022年発売)はDSDVに対応した。

microSDカードと排他利用

microSDに対応している機種には、2枚目のSIMカードスロットがmicroSDカードと排他利用になっている機種がある。この場合、SIMカードを2枚入れるとmicroSDカードが使えなくなる。

ただし、eSIMに対応している機種の場合は、SIMカード+eSIM+microSDカードの組み合わせで併用できることがある。

eSIM

eSIMに対応している機種は、1台に複数契約を入れておき、切り替えて使うことができる。

DSDVでない機種(Rakuten HandRakuten MiniSurface Duo など)は、同時待受はできないが、eSIMならば複数の契約を切り替えて使うことができる。

近頃はeSIM+eSIMのDSDVに対応している機種もあり、その場合はeSIMを2回線まで同時待受できる(3回線以上の同時待受には対応していない)。

SIMロック解除が必要

SIMロックされている場合(概ね2021年夏以前に発売された、3大キャリアが販売する機種)は、SIMロック解除手続きをしないと、他社のSIMは使えない。

副回線サービス」であっても同様。

APNの設定と「構成プロファイル」

主回線・副回線ともに、APNなどの設定が必要。 契約した回線事業者の案内に従って設定すればよく、難しいことではないが、苦手意識がある人は注意しよう。

Androidは最初にAPNを設定すればよく、あとは切り替えるだけですぐに使える

iPhone(iOS)・iPad(iPadOS)は厄介で、一部のキャリアを除き「構成プロファイル」のインストールが必要だが、構成プロファイルは同時に1つしか入れられないので、SIM切り替えの都度、構成プロファイルの削除→インストールの手間が生じる。 #iPhone・iPadでは構成プロファイルの入れ替えが必要

データ通信は切り替えが必要

障害や登山などで主回線が圏外になったとき、副回線を使うには端末の設定でデータ通信用SIMを切り替える必要がある。

いくら副回線を契約して備えていても、いざ障害発生時に切り替え方法が分からなくて使えないということのないよう、日頃から切り替えて使う練習をしておく方が良いだろう。

通話の場合は、発信の都度選択することもできる。ただしメイン回線を決めている(通話発信時に選択したくない)場合は、障害発生時には端末の設定で切り替える必要がある。

店頭サポートは無い

一般に、通信キャリアショップではデュアルSIMをサポートしてくれない。

ある意味当然だが、キャリアショップでは他社回線のサポートはしない

通信キャリアの問い合わせ窓口では自社回線の設定の面倒は見てくれるが、基本的には自分で設定して使えることが前提となる。

唯一の例外は“ソフトバンク”の「副回線サービス」(ソフトバンクショップでサポートする)だが、対応機種が限られていることと、“ワイモバイル”は利用できないなど厳しい制限がある。

2回線持ちのすすめ

昔は2台持ちする必要があったが、今はDSDV対応の機種が増えたので、気軽に複数回線を使えるようになった。

海外での利用

海外出張等で使う場合、データ通信には空港等で現地SIMを買って使いつつ、日本の電話番号で通話着信もできる。

また、近頃はeSIMに入れてデータ通信できるローミングプランもあり(Ubigiソラコムモバイルなど)、予めそれを入れておけば、現地でSIMを買う手間すらかからない。

格安SIMを組み合わせてお得に使う

日本ではこちらが本命になるが、格安SIMの登場とデュアルSIM機種の普及により、1台で複数回線を組み合わせてお得な使い方ができるようになった。

格安SIMの賢い使い方はキャリアショップでは案内してもらえない(当然だが、店員は他社の宣伝になるようなことは言わない)ので、少し勉強する必要があるが、ヒントになるノウハウは巷に溢れているし、使えるようになると格段に幅が広がるので、勉強する価値があると思う。

IIJmio(みおふぉん)

povo 2.0+IIJmio eSIMデータ

例えば、通話ができて使った分だけ支払う(使わなければ月額0円で済む)povo 2.0と、格安にデータ通信できる IIJmio「ギガプラン」eSIMデータを組み合わせると、使い勝手を損なわずに格安運用ができる。

povo 2.0 は大容量のデータトッピングを買うとデータ単価が安いのだが、有効期限の関係で、毎月少しずつしか使わない人にはかえって割高になってしまう。

一方、IIJmioのeSIMデータは2GBから20GBまで比較的安く使える料金プランが揃っているので、月々のデータ使用量が多くない人にはむしろお得。全国のドコモのエリアで使える安心感もある。IIJmioのeSIMはデータ通信のみなので通話ができないが、通話ができて0円~維持できる povo 2.0 などを組み合わせて使うことで、いいとこ取りができるわけだ。

ただし、以前にiPhoneと一部Android機種でデータSIM(通話ができないプラン)を使うと緊急通報できなくなる不具合があった(アップデートで解消済み)。 レアケースだが、そうした不具合への対処が必要になることもあるので、不安な人には通話対応SIMの組み合わせがおすすめ

180日間、全くトッピングを購入せず、一定額以上の通話料を支払っていない場合は、順次「利用停止予告」が届くので、その時は手頃なトッピングを購入しよう。例えば24時間データ使い放題は330円。⇒長期間(180日間)トッピングの購入がないのですが、利用停止になりません。いつ利用停止されますか?

povo 2.0+mineo「マイそく スーパーライト」

こちらは逆に、大容量データ通信を快適に使いつつ、通話機能も重視したい人向けの組み合わせ。

povo 2.0 はau回線を快適に使え、まとめ買いで安くなるデータトッピングが不定期に発売されているので、データ通信量が多い人にぴったり。反面、povo 2.0 は着信転送が使えないなど通話機能に制限があり、従量通話料も高い。

そこで、mineo「マイそく スーパーライト」を組み合わせる。「時間無制限かけ放題」を付けても月額1,460円で維持でき、mineoは着信転送もできるので、スマート留守電なども問題なく使える。

povo 2.0 の通話かけ放題トッピング(月額1,650円)よりも安く1回線持てるので、普段使っている通話用の電話番号をmineoにMNPして、povo 2.0 を新しい番号で契約してデータ用に使うと良いだろう。

もちろん、非常時は povo 2.0 を通話にも使えるし、mineoで「24時間データ使い放題」(198円)を購入すればデータ通信もできるので、予備回線にもぴったりだ。

LINEMO「ミニプラン」+povo 2.0「データ使い放題(24時間)」

例えば平日は自宅や職場のWi-Fiを使うが、週末には外出や動画などでデータ通信をたくさん使いたいという人にお得な組み合わせ。

LINEMOミニプラン」(月額990円)はLINEが使い放題で、LINE以外は月に3GBまで使える。平日はLINEとコード決済・Suicaチャージ、乗換案内くらいにしかデータ通信を使わないという人には、これで充分だろう。 契約データ容量を使いきってもLINEは無制限で使えるので、月末にギガ不足で音信不通に陥る心配もない。

しかし週末にたくさんデータ通信を使いたい場合は、週末だけ povo 2.0 に切り替えて、土曜日に「データ使い放題(24時間)」(330円)を購入すると、日曜日(翌日)の23:59まで使える

この組み合わせであれば、合計して月額2,310円ないし2,640円で、土日は使い放題になる。

動画や外部サイト、有料コンテンツなど一部対象外あり。
少々裏技的だが、povo 2.0 では今のところ「データ使い放題(24時間)」は購入した翌日の23:59まで使えるため、24時間と謳いつつも最長2日近く使い放題になる。povo 2.0 が始まって1年半にわたり続いているが、この先もずっと続くとは限らない。この先、額面通り「24時間」になることも考えられるので、その時が来たら臨機応変に対応できる人に限ってお勧めする。
1年で均すと平均月額2,420円だが、祝日や大型連休などに使う分は別途。LINEMOのユニバーサルサービス料電話リレーサービス料は別途。

大手キャリア+格安SIM

普段は大手キャリアを使っている人でも、格安SIMを追加して使うことで、データ通信や通話を割安に使うことができ、さらに障害対策も兼ねることができる。

例えば、ahamoLINEMOUQモバイルワイモバイルおよび一部MVNOのプランを使っていて契約データ容量を超過しそうなときに、データチャージすると割高になるので、povo 2.0 などの副回線を追加して使う方がお得に使えることがある。

また、Android機種でデータ通信には大手キャリアの大容量プランを使い、通話には povo 2.0 の5分定額(月額550円)を使いたい、といった場合にも適している。

格安SIMは、大手キャリアが提供している「副回線サービス」の替わりにもなる。端末のデュアルSIM機能を使う仕組みは同じ。料金は日本通信SIM「合理的シンプル290」や mineo「マイそく スーパーライト」などの方が安くてお得だ。

通話定額を使うなら格安SIMを追加しよう

近頃の格安SIMは通話定額にも力を入れていて、意外とお得に使える。

データ通信料が下がる一方で通話料金は高止まりしていて、例えば大手(MNO)では安い方のワイモバイルUQモバイルでも、10分定額月額770円通話完全定額月額1,870円する。

格安が売りの楽天モバイルは、Androidならば「Rakuten Link」の無料通話を使えるが、iPhoneは対象外で、15分定額月額1,100円もかかり、完全定額は無い。

ドコモ・au・ソフトバンクを使っている人だと、さらに高い通話オプションを契約している人も多いだろう。

ところが格安SIMに視野を広げると、mineoマイそく スーパーライト10分かけ放題を付けても月額800円時間無制限かけ放題を付けても月額1,460円(いずれも月額基本料金250円を含む)で収まってしまう。通話かけ放題+非常時の予備回線としても使えて二重にお得だ。通話に特殊なアプリ不要で、もちろん着信転送もできるので、「スマート留守電」などを使うこともできる。

mineoはドコモ・au・ソフトバンクの3キャリアの回線を提供している(eSIMはドコモとauに対応している)ので、機種を選ばずに使えるし、メインにどこのキャリアを使っていようが被らない予備回線を用意できる強みもある。

注意点としては、メインで(通話発着信に)使っている電話番号を格安SIMに乗り換える必要があるので、電話番号はMNP手続きで追加料金無しに引き継げるが、キャリアメールを使い続けたい場合はメールアドレス持ち運び料金が別途かかる。

とはいえ、契約見直しの良い機会と捉えて賢く使い分ければ、予備回線を手に入れつつ、通話料も安くすることができて一石二鳥だ。

データ通信を使う時は別途1日あたり330円198円かかるので、普段使いには向かないが、障害時の予備回線や、旅行・登山等で一時的に使いたい時に向く。

IIJmio(みおふぉん)

マルチキャリアMVNO

IIJmio「ギガプラン」では、2022年10月25日より新たに「タイプA」(音声通話対応のau回線)がeSIMに対応した。「タイプD」のSIMカード(音声対応)と「タイプA」のeSIM(音声対応)を組み合わせれば、eSIMとのDSDVに対応する機種1台で、ドコモとauの回線を併用でき、両方で音声通話を使える。

IIJmioでは元々eSIMデータプラン(ドコモ回線のデータ専用)を格安に提供していたが、新たに始まる「タイプA」のeSIMは音声通話もできるので、#登山を含む山間部の圏外対策にはもってこいだ。

IIJmio「ギガプラン」でまとめるメリットは、同じmioIDで契約した複数回線は自由にデータシェアを組めるので、状況によりどちらの回線を使おうが、契約データ容量を無駄なく使えるのが魅力。さらにiPadなどのタブレットやノートパソコン・モバイルルータ等で使う分もデータシェアを組めるので、プラン設計の自由度が高い。

気になる月額料金は、例えば現在10ギガ(月額1,500円)を利用しているなら、5ギガ+5ギガ(990円×2)にしてデータシェアを組むことで、月額1,980円で同じデータ容量(10GB)を使える。音声SIMが1つ増えるぶん月額料金が増えるので、利用頻度によっては povo 2.0 などとの組み合わせにする方が有利になるが、ある程度頻繁に利用する場合はIIJmio同士のデュアルSIMが使いやすいだろう。

このほか、請求が1つにまとまるので、支払いや経費管理が楽になるメリットもある。

反面、#障害時のバックアップにする場合は、ドコモやauで起きた障害には対応できるものの、IIJ側で障害が起きた場合には両方とも影響を受けるおそれがある(完全な二重化にはならない)ことも考慮する必要がある。今のところIIJに起因する重大な通信障害は起きていないが、障害対策としては(IIJに限らず)同じ会社同士の組み合わせを避けるのが鉄則だ。

予備回線に使いやすいキャリア・プラン

povo 2.0(au回線、月額0円~)
月額維持費0円で通話もでき、料金は使った分だけ支払うスタイルなので、予備回線にぴったり。データ通信を使いたい時だけ330円の「データ使い放題(24時間)」を購入すれば、au回線を無制限で使える。全国のauのエリアで使えるので、登山にも使いやすい。auは尾瀬黒部峡谷鉄道山の中の温泉宿もエリア化しているので旅行用にも向く。唯一の欠点は着信転送ができないので、通話用メイン回線には使いづらい。
特にエリアが狭い楽天モバイルを使っている人は、予備にpovoを入れておけば、登山や旅行などで楽天圏外に出かけた時などに、緊急通報もできて安心。
日本通信SIM(ドコモ回線、月額290円~)
全国のドコモのエリアで使えるので、au/UQやSB/YM/LINEMOを使っている人の予備に好適。データ通信1GB込みで月額290円と格安。別途課金しなくても1GBまで使えるので、登山や予備回線に使いやすい。しかも従量通話料が半額(11円/30秒)で、着信転送も使えるので、通話用メイン回線にも向く。
追加データ容量は220円/GB。予めデータ通信量の上限を設定しておけば、その上限まで使うことができるので、使いたい時にも手間がかからず、意図せず料金が上がる心配もない。
mineoマイそく スーパーライト」(ドコモ/au/ソフトバンク回線、月額250円)
月額250円で、データ通信は常時32kbpsに制限される。昔のPHSよろしく、通話とメールくらいしか使わない人にぴったり。もちろん着信転送も使えるので通話用回線にも安心。月額110円の「10分通話パックがあるので、着信転送通話料が気になる人や、月々の通話発信時間が2分半以上・10分程度の人にはお得。
「10分かけ放題」(550円)や「時間無制限かけ放題」(1,210円)も適用できるようになり、月額1,460円で通話かけ放題回線を維持できる。4キャリアの通話定額オプションよりも安価に1回線持てるわけだ。回線もドコモ/au/ソフトバンクを選べるので、予備回線・通話専用回線にぴったりだ。
データ通信は追加課金しないとほとんど使えないが、使いたい時だけ330円198円の「24時間データ使い放題」を購入すれば1日データ通信を使えるので、登山や障害対策にも使いやすい。
IIJmio eSIMデータ(ドコモ回線・データ専用、月額440円~)
データ専用なので用途は限られるが、全国のドコモのエリアで使えて比較的データ単価が安いので、普段使いにも好適。
IIJmioは複数のSIMカード・eSIMでデータ容量をシェアして使うこともできるので、タブレット端末やWAN内蔵パソコンなどを複数台持ちしている人にも使い勝手が良い。

予備回線向き格安SIMの選びかた

エリアが狭い楽天モバイルの圏外対策として、または登山などに出かけた際に少しだけ使いたい人には、日本通信SIM「合理的シンプル290プラン」が良いだろう。1ヶ月に1GBまで使えて月額290円で収まる。1日のデータ通信量が数百MB程度に収まる人であれば、追加課金せずに気軽に使えるので障害対策(冗長化)にも良いだろう。

ただし、日本通信SIMのeSIMは機種変更時にかかる再発行手数料が高いので、日本通信SIMはSIMカードで契約し、楽天モバイルをeSIMに入れるのが良い。

また、楽天圏外時には通話だけ使えればいいという人には、povo 2.0(月額0円、使う分だけ課金)の方が安上がりだ。

冗長化(障害対策、障害時以外は全く使わない)には povo 2.0 か mineo「マイそく スーパーライト」(月額250円)が良いだろう。データ通信を使う日は別途課金する必要があるが、330円ないし198円で24時間使い放題になるので、1日に1GB以上使う人はこちらの方が得だ。

povo 2.0 は使わなければ月額0円で維持できることと、使う時だけ330円の「データ使い放題24時間」を購入すればデータ通信を使えること、MNOなので5Gを含めてデータ通信を快適に使えることがメリットとなる。

対して mineo「マイそく スーパーライト」は回線を選べることと、着信転送・留守番電話が使えること、通話定額オプションが充実しているので通話用メイン回線兼データ予備回線として使えることが利点となる。月額250円の維持費がかかるといっても、通話系機能をかしこく使えば、お得に予備回線を維持できる。

180日以内に有料トッピングの購入が必要なので、完全0円維持はできないが、仮に「データ使い放題24時間」を半年に1回購入する場合、月平均維持費は55円となる。mineo「マイそく スーパーライト」との差額は実質月額200円ほど。

副回線サービス

#デュアルSIMの注意点も参照。個人で利用するなら日本通信SIM(月額290円~)や povo 2.0(月額0円~)の方がお得で使いやすい。

2023年 3月27日に、KDDIとソフトバンクが相次いで発表した。続いてドコモが 5月 9日に発表した。

auUQでは 3月29日から専用Webサイトにて受付開始。申込後1週間以内にSIMが発行される。SIMカードeSIMを選べるが、いずれも即日利用不可。ソフトバンク回線で提供される。初回のみ契約事務手数料は無料

ソフトバンク”では 4月12日より提供開始。ショップ受付限定だが、即日利用可。au回線で提供される。初回のみ契約事務手数料は無料

ドコモ・ahamoは 5月11日から受付開始、6月 1日から提供開始。au回線で提供される。専用Webサイトで申し込むと、eSIMプロファイルがおよそ2週間後に発行される(即日利用不可)。契約事務手数料3,850円がかかる。料金はeSIM発行日より課金開始となるが、日割り計算されず満額請求される。

KDDIで2022年 7月 2日に発生した大規模障害が発端となり、KDDIとソフトバンクのトップ交渉で早期の実施が決まったそうだ。これにドコモも追随した。

一時は「料金は数百円、できるだけ下の方にしたい」とか「同一の電話番号で発着信できるような仕組みを考えている」といった話が流れるなど期待が先行したが、ふたを開けてみれば百円の上の方になり、電話番号も別々になった(後者は技術的に難しいと見られていたので予想の範疇だが)。

まあ機能が複雑化すると障害リスクを高めることにもなりかねないし、短期間で実現するためにも複雑化を避け、シンプルに冗長化できるオプション提供を優先したのだろう。料金も(他社がもっと安いというだけで)取り立てて高いということもない。

要はデュアルSIM機能を使って2社回線を入れておくものなので、前述の格安SIMを組み合わせるのと変わらない。前述の#デュアルSIMの注意点もそのまま当てはまる。

ワンストップの簡易な手続きで利用できる」ことが特徴となるが、auはオンライン手続き専用なので、自宅に送られてくるSIMカードeSIMを自分で設定する必要がある

auで購入した機種には、ソフトバンクのプラチナバンドに対応していない機種も多いので、自己責任でよく確認する必要がある。

ソフトバンクはeSIMに限られ、ショップに出向く必要があるものの、初期設定のサポートを受けられる。ただし対応機種が制限されている

ドコモもeSIMに限られ、オンラインで手続きする必要がある。手続きにはdアカウントが必要で、オンライン専用プランのような使い勝手になる。eSIMプロファイルはおよそ2週間後に送られてきて、自分で設定する必要がある。ドコモはつい最近までeSIM対応に消極的だったので、Androidの対応機種は2022年以降に発売されたハイエンド寄りの機種に限られる。

ソフトバンクショップでeSIMを契約すると、GINIE(店頭契約端末)にQRコードが表示され(紙に印刷もできる)、これをスマートフォンのカメラで撮って登録する。新たに始まる「副回線サービス」も、きっとこんな感じでGINIEにQRコードが表示されるのだろうか

いずれも任意加入のオプションサービスで、気になる料金は月額429円、auとドコモは初期費用無し、ドコモは初期費用3,850円。データ通信は最大300kbpsに、かつデータ容量は月間0.5GBまでに制限される(法人向けには他のメニューが用意される)。音声通話は22円/30秒の従量課金(通話定額等の対象外)。テザリングはできない。

eSIMの場合に気になる機種変更時のeSIM再発行料金は、auでは「当面の間、SIMカードまたはeSIMの再発行に手数料はかかりません。」とされている。

ソフトバンクは機種変更すると「副回線サービス」が自動解約されるので、機種変更後に再度申し込む必要があり、機種変更すると手数料3,850円がかかり、電話番号が変わる(ショップで工夫するとMNP手続きできるようだが機種変更する前に手続きが必要)。

ドコモも機種変更時には一旦解約して再度申し込むよう案内されている。同じく機種変更すると手数料3,850円がかかり、電話番号が変わる副回線もMNP手続きできるようだが詳しい手続き方法は不明)。

この内容だと、日本通信SIM「合理的シンプル290」(月額290円で1GBまで使え、通話料は半額の11円/30秒)などの格安SIMを別個に契約する方が使い勝手が良く、長い目で見ればお得になりそうだ。さらに格安SIMならば普段から使えるメリットがある。

用途にもよるが、非常用にしても500MBしか使えないのでは心もとなく感じるし、300Kbps以下に制限されるのも厳しすぎるのではと感じる。例えばIIJmio「ギガプラン」の規制状態が300Kbpsなので、もし手元にあればクーポンスイッチをOFFにして使い勝手を試してみると、「最大300Kbps」の世界を体感できる。メールやLINEなど文字ベースのメッセージアプリとPayアプリくらいは使えるが、それ以外は非常に使いづらい。毎月料金を払ってでも予備回線を必要としている人は、普通に使える格安SIMを1つ遊ばせておく方がいいのではと思える。

障害発生等で副回線を使いたい時は、手動で切り替える必要がある。切り替え方法は機種やOSバージョンにより異なる。「副回線サービス」を契約して安心するのではなく、いざという時に困らないように、日頃から切替方法を確認しておく必要がある

KDDIとソフトバンクの障害対策にかける意気込みは評価したいが、これだけMVNOの格安プランが充実している今、機能が制限されていて使いにくい「副回線サービス」をあえて使う必要はないだろう。

使いにくいサービスは普段使わないが、普段から使っていないと、いざ障害という時に使いこなせないものだ。非常時に備えが必要だと思うのなら、普段から時々でも切り替えて使う習慣を身につける方が良い。

逆に、そこまでする必要がないと思う人は、「副回線サービス」自体の必要性を再検討すべきだろう。

利用できるユーザーも限られており、KDDIのはauUQのユーザーが利用できるが、ソフトバンクのは“ソフトバンク”の割高な料金プランを契約している人しか利用できない

結局「ワンストップ」くらいしかメリットが無い仕組みだが、強いて言えば、請求書が1つにまとまることと、格安SIMを追加すると初期費用が3,300円くらいかかるので、使用期間が概ね2年以下であれば、月額料金の高さが相殺される。 また、iPhoneの場合は厄介な「構成プロファイル」のインストールが不要。

とはいえ、「副回線サービス」では最大300kbpsかつ月間0.5GBに制限されることと、電話番号を選べない(MNPもできない)など、機能的に大幅に劣ることを考慮すると、やはりMVNOの格安SIMを追加で入れる方がお得と言えそうだ

そもそも、めったに起きない障害に備えて追加料金を払って「ワンストップ」の「副回線サービス」を契約し、キャリアショップで設定してもらっても、いざ障害の時には自分で切り替えて使う必要がある設定は他人にお任せで、普段から使わない人が、いざという時に使えるの?とは杞憂だろうか。

筆者としては、最低限の仕組みを理解し、非常時にうまく活用するためにも、普段から使えて料金もお得な格安SIMとの組み合わせをお勧めしたい

auの副回線サービスで提供されるSIMカードマルチSIMで、ソフトバンク契約者が希望すると発行してもらえる「5G-USIMmulti(F)」と同じ物のようだ…まあ副回線でSIMカード希望者はさほど多くないだろうし、わざわざ余計なコストをかけてまで作らないか。
auでは法人契約に限り、2023年 6月以降、ドコモ回線を選べるようになった。個人契約はソフトバンク回線のみ。
auでは、副回線サービスを解約し、同じ主回線で1年以内に再度申し込むと、事務手数料3,850円を請求される。機種変更時のeSIM再発行は当面の間、無料
ソフトバンクでは、同じ主回線で2回目以降の申し込みには事務手数料3,850円を請求される。ソフトバンクでは、機種変更時に副回線のeSIM再発行はできず、ショップに出向いて解約・再契約の手続きをする必要があり、機種変更の度に手数料がかかるとともに、特段の手続きをしないと電話番号が変更になる。
au・UQの副回線サービスは、auショップ等でのサポートは行っていない旨、明記されている。
店頭でサポートする都合もあるのだろうが、“ソフトバンク”が販売する機種のうち、eSIMに対応しており、かつauのプラチナバンド (LTE Band 18/26) に対応している機種に限定しているものと思われる。
ワイモバイル”と“LINEMO”のユーザーは対象外。今後対応するかどうか、現時点では未定だそうだ。
ドコモをメインに使っている人は初期費用がかかるので、この限りでない。また、ソフトバンクがメインで機種変更を1回でもすると割りに合わない。
iPhoneの「構成プロファイル」問題は地味に厄介だが、メインがau・UQ以外の人は、サブ回線を povo 2.0 にすれば構成プロファイル不要で使える。
ソフトバンクの「副回線サービス」提供条件書をよく読むと、副回線でもMNP転入・転出できるように読める。ただし主回線の解約等はもちろん、主回線の機種変更をしても「副回線サービス」が自動解約されるので、主回線の機種変更やMNP転出等をする前に副回線のMNP転出手続きを完了させないと、大事な電話番号を失うことにもなりかねない。契約中の電話番号をそのまま使いたい場合は、素直に他社の格安SIMを別途契約して併用する方が手続き的にもわかりやすく、賢明だろう。
法人契約の場合は povo 2.0 などの格安ブランドが利用できないので、一定の需要はあるものと思われる。ただし法人契約できる格安SIMもあるので、例えばメイン回線がau・SBの場合は法人契約でも日本通信SIMを別途契約する方がお得
OSの設定によっては、主回線の電波が弱いときなどに自動で切り替わることがある。しかし予期せず切り替わってなけなしの500MBを使い果たしてしまい非常時に使えなくなるおそれがあることから、自動で切り替わらない設定にしておくか、副回線は普段はOFFにし、使う時だけONにすることが推奨されているようだ(^^;。

デュアルSIMの使いかた

東海自然歩道の石老山と石砂山の間で利用できる乗合タクシー。電話して空きがあればすぐに来てもらえて便利だが、この付近一帯ではソフトバンクはほぼ使えず、ドコモとauもプラチナバンドが多少入る程度で、少し移動すると圏外になる。ところが石砂山の山頂から北側(伏馬田方面)では一転してソフトバンク圏内/ドコモ・au圏外になる。こういう登山道は意外と多いものだ。

登山

山間部に住んでいたり、登山などへ出かける機会が多い人は、複数種類の回線を切り替えて使えるようにしておきたい。

例えば登山道Aを登っていたらドコモ圏外/ソフトバンク圏内で、山頂から登山道Bへ降りたら今度はソフトバンク圏外/ドコモ圏内になるといった場面はよくあること。

登山中に一時的に圏外になってもあまり困らないが、山頂などで休憩中にSNSを使いたいとか、下山後に乗るデマンドタクシーの予約をしたい、予定より遅れるので山小屋に連絡を入れたいといった場面はよくあるし、万一の緊急通報にも備えておきたい。山ではどのキャリアが使えるかは運次第の面もあるので、通話できる回線を少なくとも2種類は持っておきたい。

予備回線には格安で維持できるMVNOのプランが使いやすいが、メインで使っている回線とは異なるキャリアを選ぼう。

また、通話できるプランを選ぶことと、使っている機種の公式ホームページなどで対応バンド構成を確認して、プラチナバンドを使えるキャリア(回線)を選ぼう。

eSIMに povo 2.0 を入れた iPad mini を使って、KDDI尾瀬沼ビジターセンター局前でデータ通信。
2021年までは他社が未整備で、尾瀬ではau(KDDI)が唯一のキャリアだった。4G LTE Band 18/26 に対応している機種が必要だが、データ通信はもちろん、(通話対応機種では)通話もできる。ただし通信ケーブルが来ていない山の中の無線中継局なので、とても重い。動画視聴などは控え、限られた帯域を譲り合って利用しよう

お勧めは povo 2.0(au回線)。使わなければ0円で維持でき、通話もできるので、タクシーを呼んだり急な連絡をしたり、緊急通報もできる。データ通信(LINEなどを含む)にはトッピングを購入する必要があるが、24時間使い放題で330円のトッピングもあるので格安で維持できる。au回線なので尾瀬でも使える

ただし、メインでauやUQを使っている人は、同じau回線を使う povo 2.0 を予備に入れてもあまり意味が無いので、通話ができるドコモ回線の格安SIMなどを選ぼう。

格安SIMで定番のIIJmioのeSIMはドコモのネットワークを格安で利用できるものの、いざという時に緊急通報できないので、登山用のバックアップにはお勧めしない。通話もできて格安維持できる日本通信SIMの「合理的シンプル290プラン」(ドコモ回線、通話対応で月額290円~)などが良いだろう。

NUROモバイル「バリュープラス」など、ドコモ/au/ソフトバンク3種類の回線を選べるMVNOもある。

御岳登山鉄道御岳山駅付近の旧WILLCOM基地局。御岳山ではMNO3社(とPHS)は使える(た)ものの、楽天モバイルは完全圏外(2021年11月)

ただし、楽天モバイルは山では使えないと考えておくのが無難。順次パートナー回線を切られているため、現在使えている山でも、今後使えなくなると予想される。

ガチな登山ばかりでなく、ケーブルカーで登れる行楽地で住民もいる御岳山などでも楽天モバイルは早々にパートナー回線を切られ、楽天回線の基地局は整備されないまま完全圏外になって久しい。

世界一登山客が多いと言われる高尾登山電鉄清滝駅(高尾山口)でも、楽天モバイルはパートナー回線が切られて圏外になった(2023年2月)

さらには、年間250万人もの登山客が訪れて通年賑わい、au・SBは5Gエリア化されている高尾山の麓(高尾登山電鉄清滝駅と高尾山駅の両方)ですら、楽天モバイルは2023年初頭にパートナー回線を切られて使えなくなってしまった

楽天しか持っていないと、山へ出かけて待ち合わせや仲間とはぐれた時、救急など緊急通報したい時にも困ることになる。楽天モバイルをメインに使っている人は、予備回線に povo 2.0 などを入れておき、着信転送設定しておこう

2023年2月現在、高尾山では山頂付近でのみパートナー回線提供中。京王高尾山口駅付近は楽天回線エリア化されている。


エリアが狭いが使い放題になる楽天モバイルと、auの広いエリアを使えて通話もできる povo 2.0 を予備回線に組み合わせて使う

楽天モバイルの圏外対策

楽天モバイルは1プランで少容量から大容量まで気軽に使え、月額3,278円で使い放題になるのが魅力だが、エリアに難がある

東京都23区内に住んでいる人には日頃不便を感じない程度までエリア化されているが、例えば登山客世界一とも言われる人気の高尾山でも使えないなど、楽天のみでは少し外へ出るだけでも不便が付きまとう。

地方都市にも楽天回線エリアが広がってはいるが、建物の中やビル陰、店内などで圏外になることも多い。

地下鉄や地下街、山間部ではauの回線(パートナー回線)を借りて補っているが、パートナー回線はプラチナバンド(Band 18/26)のみなので遅いし、しかも月間5GBを超えると1GBあたり660円もの追加料金を取られるので、パートナー回線を使うくらいなら povo 2.0 を使う方がお得で快適に使える。

よって、楽天モバイルをメインで使う場合は、0円で維持できる povo 2.0 や、通話定額を格安で利用できる日本通信SIMなどの格安SIMを予備に入れておく方が良い。

特に povo 2.0 は、楽天モバイルのパートナー回線と同じau回線で、eSIMにも対応しているので、楽天モバイルで購入した端末との親和性が高い。

注意点としては、povo 2.0 の月額基本料は0円だが、有料トッピングを購入しないまま半年経つと回線停止予告が来るので、少なくとも半年に一度は何かしらの有料トッピングを購入する必要がある。と言っても330円くらいなので、半年の維持費が330円と考えれば激安だろう。

iPhoneで短時間の通話をよく使う人は、楽天モバイルの通話定額(15分)は月額1,100円もするが、povo 2.0 の5分以内かけ放題トッピングは月額550円なので、povo 2.0 を通話用に使っても良いだろう。

日頃の買い物などと同じで、あらゆる商品が安くて高品質な絶対的にお得な店など存在しない。安いように見えても商品が訳ありだったり、安い商品に混じって高い商品もあるなど、どこかで釣り合うようになっているものだ。消費者は賢くならないといけないが、デュアルSIM賢い消費者の助けになる機能だと言える。

ここ数年で普及したPayPayなどのコード決済は、通信回線が途絶えると全く使えなくなってしまう。デュアルSIM機に複数回線を入れておけば、こんな時でも切り替えて使える

障害時のバックアップ

日本の通信キャリアは各社とも高品質のサービスを提供しているが、それでも障害を完全になくすことはできない。

2018年12月 6日にはソフトバンク2021年10月14日にはNTTドコモ2022年 7月 2日には au (KDDI)2022年 9月 4日には楽天モバイル大規模な通信障害が発生したが、回線数が増えて複雑化するネットワークにおいては、小さな障害がときに連鎖して大規模な障害に至ることもある。

どんなに信頼性の高いサービスであっても障害は避けられないし、予期することも難しい(予期できる障害は事前に対策されるので大規模化しない)ものだ。

筆者は全てのデュアルSIM端末に2回線以上入れており、異なるキャリアの組み合わせにしてあるので、今回のような大規模障害が起きても回避できる

例えば2022年 7月 2日の大規模障害では、au、UQモバイル、povo、およびau網を使うMVNO楽天モバイル(パートナー回線)など、au系の回線が軒並み影響を受けた。

このとき、筆者が使っている端末のひとつに IIJmio「タイプA」をメインにしている端末があったが、ご多分に漏れず使えなくなったため、eSIMに控えていたワイモバイル「シンプルS」に切り替えて事なきを得た(右図)。

このように複数のキャリアの回線を組み合わせて持っておくと、いざという時にも切り替えて使い続けることができる。一見無駄なようだが、「冗長化」と呼ばれる一般的な手法だ。加えて、登山時の圏外対策や、出張等で一時的にデータを使いすぎた時の対策としても使える。

組み合わせる予備回線にはMVNOやオンライン専用ブランドなどの安価に維持できる格安SIMが適しているが、日本にはNTTドコモ/au (KDDI)/ソフトバンク/楽天モバイルの4キャリアがあるので、これらを被らないように組み合わせるのが障害対策のコツだ。

また、日頃よりメインの(主に通話で使っている)回線からサブ(予備)回線へ着信転送設定しておくことで、非常時にも通話を取れる可能性が高まる

日本の鉄道は障害発生時に他社線での振替輸送をしてくれることが多いが、今のところ通信は振替も代行もしてくれないので、自前で予備回線を持っていなければ、障害発生中は何もできなくなってしまう

同じく毎日多くの人が利用する大規模ネットワークである日本の鉄道も、定時安定運行に定評があるが、時には運休することがあるように、通信サービスも一時的に使えなくなることはあると考えておくべきもの。

そうした場合、鉄道は他社線への振替輸送代行輸送をしてくれることが多いが、通信には振替や代行は無いので、自前で代替回線を用意する必要がある。1回線しか持っていないと、ただただ復旧を待つしかない。

しかし、近頃はコード決済やらオンラインバンキングやら、スマートフォン(アプリ)が無いと不便する場面が増えている。近頃は通信プランも随分と値下がりしたことだし、格安SIMでいいから、主回線とは別キャリアの予備回線を持っておくと安心だ。

バックアップ用途にはLINEMOの方が気軽に使える。SIMカードとeSIMを選べ、SIM交換は無料だし、契約データ容量を使い切ってもLINEは使えるメリットもある。でも筆者は他の端末でワイモバイル「シンプルL」+シェアプランをメインに使っているので、家族割適用で「シンプルS」を月額990円で維持できるし、eSIMにも入れられ、繰り越しがあるぶん余裕をもって使える。人により適した回線は変わってくると思う。IIJmioのeSIMデータ(ドコモ回線)を予備にするともっと安く済むのだが、IIJmioのeSIMは通話ができないことと、もしIIJ側で障害が起きた時にバックアップにならない可能性があるため、あえて被らないように組み合わせている。
IMS等の音声系で障害が起きた場合や、障害発生時の輻輳対策で網側から強制切断された場合などは当然ながら転送できない。また、サブからメインへの着信転送設定を同時に行うと不具合の原因になるので、転送設定は片方向にしておこう。

4社6回線の維持費用はMNOのメインプラン1回線と同程度

筆者は常時2台以上の端末を持ち歩いており、各々に異なる2社以上の回線を入れてあるので、いつでも国内全4キャリアの回線を使える。一般にここまでする必要はないが、MVNOの活用や昨今の通信費値下げもあって、気になる維持費は実はそこまで高くない。

2022年11月現在は、Pixel 7 ProReno5 ASurface Duo(eSIM対応)の3台運用だが、各々に下記のプランを(キャリアが重ならないように)振り分けて入れている。

  • IIJmio ギガプラン タイプA 4GB 990円 【au回線 eSIM対応】
  • 楽天モバイル Rakuten UN-LIMIT VII 3GB以下 1078円 【楽天回線 eSIM対応】
  • IIJmio ギガプラン タイプD 4GB 990円 【ドコモ回線】
  • ワイモバイル シンプルM 15GB 3278円 【ソフトバンク回線 eSIM対応】
  • LINEMO ミニプラン 3GB 990円 【ソフトバンク回線 eSIM対応】
  • povo 2.0 0GB 0円 【au回線 eSIM対応】 - 全ての対応端末に1回線ずつ入れてある

…計 29GB 7,326円(全て音声対応、ユニバーサルサービス料等別途)

NTTドコモの「5G プレミア」が1回線で月額7,315円(単体利用 縛り無しの場合)なので、3大キャリアのいわゆるメインプランを1回線利用するのと同じくらいの額で、4社6回線を使えているわけだ。

とはいえ、楽天モバイルはほとんど使っていない(建物に入ると圏外になる、地下鉄では電波状態が良くても使えないなどの問題が多い)割りに高いので、楽天を外せば月額6,248円で済み、実用上の不便無く、節約できる。もしデータ容量が不足する場合は povo 2.0 で追加トッピングを買う方が安く済むし、IIJmioのeSIMデータ(ドコモ回線、2GBで月額440円、データ専用)を複数端末に入れておけば格安でバックアップ回線が充実し、データ容量もシェアして無駄なく使える。

この中ではワイモバイルのシンプルMが高いが、シェアプラン(539円でSIMカードを3枚まで使える)を追加してノートパソコン等のデータ通信にも使っており、別個にデータプランを契約するよりも使い勝手が良い。タブレット端末、WAN内蔵ノートパソコン、モバイルルータ等を使っている人にはおすすめだ。音声通話はできないがSMSは使え、スマートフォンに入れてバックアップ回線にすることもできる。ソフトバンク回線は時間帯を問わず都市部や地下鉄などでも快適に使えるメリットもあるので、筆者はメインに使っている。

また、別途 IIJmio eSIMデータを契約してタブレット端末に入れているが、タブレットはあまり持ち出さず基本Wi-Fi利用なので、余ったデータ容量をシェアしてスマートフォン等で使える。よって実際に使えるデータ容量は30GB以上ある。

出張等で一時的にデータ使用量が増えるときは、povo 2.0 の「データ使い放題(24時間)」(330円)を購入して使うので、30GBを使い切ることはなく、余らせて(翌月に繰り越して)いるので、一時的にデータ使用量が増えても余裕で乗り切ることができる。

注意点としては、povo 2.0 は使う度にトッピング購入等の手間がかかることと、180日以内に有料トッピングを購入していないと強制解約の対象になる。筆者の場合は「データ使い放題(24時間)」(330円)を時々購入しているので問題にならないが、全く使わない人も180日以内に有料トッピングを購入する必要がある。とはいえ330円で6ヶ月弱使えると考えると、1回線・1月あたり55円ほどなので、金額的な負担は気にならないだろう。

主な対応機種

  • Apple iPhone シリーズ - SIMカードeSIMのDSDV
  • SHARP AQUOS シリーズ - SIMカード2枚、またはSIMカードとeSIMのDSDV
  • Google Pixel シリーズ - SIMカードとeSIMのDSDV
  • OPPO Reno5 A - SIMカード2枚、またはSIMカードとeSIMのDSDV
  • Xiaomi Mi 11 Lite 5G - SIMカード2枚のDSDV
  • Xperia シリーズのSIMフリーモデル
  • 富士ソフト FS050W モバイルルータ - SIMカードとeSIMの切替対応
ワイモバイルで売れ筋の OPPO Reno5 A公式ホームページの「スペック」を開くと、対応周波数を確認できる。機種変更の際は、このように国内全キャリアのプラチナバンドに対応している機種を選ぼう。デュアルSIMを活用しやすくて後々便利だ

最近は公式の仕様(スペック)表に掲載されていることが多いが、メーカーやキャリアによって表記はまちまち。例えばIIJmioには「DSDV機能」の表記があって判りやすいが、au・UQと楽天は「SIM」「SIMタイプ」欄に複数掲載があれば対応、ワイモバイルでは「シングルSIM」+「eSIM対応」といった表記もあり(右図)、統一されていない。

ドコモはこれまで頑なにデュアルSIM機を出してこなかったが、2022年 4月から、スペック表に「デュアルSIMパターン」という表記が加わったようだ。

安心して複数回線を使えるようにするためにも、スペック表での各社DSDV対応の明示と、表記の統一を望みたいところだ…

また、同じメーカーの同じモデルでも、対応と非対応が混在していることがある。家電量販店などで購入できるSIMフリー版は対応していても、キャリアが販売する機種はデュアルSIMに非対応なことがあるので、キャリアで買った人や中古端末を買うときには気をつけよう。

今ではSIMカードが2枚以上入る機種、およびSIMカードとeSIMの両方に対応している機種のほとんどがDSDVに対応しているのだが、一部、対応していない機種がある。例えば Microsoft Surface Duo のSIMフリー版はSIMカードとeSIMに対応しているものの、DSDVではない(同時待受はできない)。ただし後継の Surface Duo 2はDSDVに対応している。

プラチナバンド

iPhoneは国内全キャリアに対応しているのだが、Androidは機種や販路によっても対応バンド構成が大きく異なるものがあるので、機種選定の際には必ず仕様表などを確認し、なるべく各社のプラチナバンドに対応している機種を選ぼう。

逆に、機種が決まっていて(既に持っていて)新たに予備回線を探す場合は、今持っている機種が対応している回線を選ぼう。

各社のプラチナバンド(主に使われているバンド)

  • ドコモ回線 - LTE Band 19
  • au回線 - LTE Band 18/26
  • ソフトバンク回線 - LTE Band 8
  • 楽天モバイル - LTE Band 18/26(au回線のプラチナバンドを借りて「パートナー回線」として提供している)

せっかく予備回線を調達しても、端末がプラチナバンドに対応していなければ、山間地などではあまり役に立たない。用途にもよるが、登山などで使いたいならプラチナバンド必須だ。

auの LTE Band 18/26 は、どちらかに対応していればOK。

iPhone・iPadでは構成プロファイルの入れ替えが必要

【設定 > 一般 > (下の方にある)VPNとデバイス管理
【設定 > モバイルデータ通信 > モバイル通信プランを選択】

iPhone・iPadでは面倒なことに、SIMを変更する前に、構成プロファイルを入れ替える必要がある(構成プロファイル不要の一部SIMを除く)。

iOS・iPadOS 15以降の手順

  1. Safariを起動し、契約している通信事業者のホームページを開き、構成プロファイルをダウンロードする
  2. 【設定 > 一般 > (下の方にある)VPNとデバイス管理を開く
  3. ダウンロード済みプロファイルの下にインストール済みの構成プロファイルがある場合は、それをタップ(右図)
  4. 「プロファイルを削除」
  5. パスコードを入力
  6. 「削除」
  7. 「ダウンロード済みプロファイル」をタップ
  8. 右上の「インストール」をタップ
  9. パスコードを入力
  10. 確認メッセージを読み「次へ」
  11. 警告メッセージを読み「インストール」
  12. 「インストール」
  13. 「完了」
  14. 【設定 > モバイルデータ通信】を開く
  15. モバイル通信プランを選択(右図)

iPadOS 14 まではAPNの直接設定ができたのに、iPadOS 15 ではAPNを直接設定する欄はあるものの効かなくなってしまった。

iPadOS 15.5では再びAPN設定が使えるようになったため、構成プロファイルを削除してAPN設定をしておけば、モバイル通信プランの選択のみでSIM変更できる

iPhone (iOS) ではAPN設定はできないので、構成プロファイル(の削除・再インストール)が必要。

構成プロファイルの要否はiOS・iPadOSバージョンと通信事業者、機種によって異なる。

例えばワイモバイルでは iPhone 12 シリーズ以前はプロファイル不要だが、iPadはプロファイル(またはAPN設定)が必要。

au系ではAPN設定が無効にされているので、povo 2.0 やau網のMVNO(IIJmio タイプA など)では構成プロファイルが必要。

iOS・iPadOS 14 までは【設定 > 一般 > (下の方にある)プロファイル】。また、インストール済みの構成プロファイルを先に削除しておかないとダウンロードできないので、切り替えの際にWi-Fi接続が必要になる。
構成プロファイルが優先されてしまうので、他社の構成プロファイルがインストールされているとAPN設定しても使えない。
au網ではAPN設定が封じられているため、au系との切り替えでは必ず構成プロファイルの操作が必要になる。また、ソフトバンク系は選択後しばらく3G接続になったり圏外になったりする。しばらく放っておくと4Gまたは5Gになるが、構成プロファイルをインストールする方が早いかも。

00000JAPAN

デュアルSIMとは無関係だが、非常時に使われる通信サービスの中に、公衆無線LAN(Wi-Fi)サービスが大規模災害時に無料開放される災害用統一SSID00000JAPAN」(ファイブゼロジャパン)がある。これが、大規模通信障害時にも開放されることが決まった。

2023年 5月18日にガイドラインが改定された後、通信事業者の協議を経て2023年 9月 4日より運用が始まった。

NTTドコモKDDI・沖縄セルラーソフトバンク楽天モバイルが参加しており、これら各社で大規模な通信障害が起きた際には「00000JAPAN」が無料で使えるようになる。

ただし、00000JAPANは緊急時に多くの人が簡易に利用できることを前提にしているため、無線区間の暗号化や利用者の認証はあえて行っていない。つまり暗号化無しで誰でも利用できることがメリットであるとともに、デメリットにもなる。誰でも無料で使える反面、自分で用意した予備回線よりも安全性が劣るということだ。

近頃はWebサイトやアプリでも暗号化通信が主流になってはいるが、よくわからないという人は、「00000JAPAN」を使って個人情報や決済等の重要な情報のやり取りは避けるのが無難だ。

参考リンク

関連記事

予備回線に使いやすい格安通信プラン