ahamo
新ブランド(プラン)ロゴと名前の由来 | ||
事業者 | NTTドコモ (MNO) | |
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開始日 | 2021年 3月26日 | |
通信方式 | 5G + 4G | |
5G Band(s) | n78, n79, n257 | |
4G Band(s) | 1, 3, 19, 21, 28(B), 42 | |
SIMカード | nanoSIMのみ | |
eSIM | ○ ドコモ系併用不可 | |
SIMのみ契約 | ○ | |
SIM交換手数料 | 2,200円→3,850円 | |
データ容量 | 20→30GB / 100→110GB | |
超過時最大速度 | 1Mbps | |
データ節約 | × | |
データ繰越 | × | |
データ追加 | 550円/GB | |
テザリング | ○ 制限なし | |
IPv6対応 | ||
音声通話方式 | VoLTE | |
通話料 | 22円/30秒 | |
通話定額 | 5分定額 0円 かけ放題 1,100円 | |
着信転送 | × | |
留守番電話 | × | |
非通知拒否 | ○ | |
SMS | ○ +メッセージ対応 | |
キャリアメール | × | |
データシェア | × → ○ 1,100円 | |
国際ローミング | ○ 追加料金無しで20GB→30GBまで | |
月額基本料金 | 2,970円 | |
契約時手数料 | 0円 | |
MNP転出料 | 0円 | |
期間縛り | 無し | |
家族割 | 無し(カウント対象) | |
光セット | 無し(ペア設定可) | |
ポイント | dポイント 約1% | |
法人契約 | × | |
サポート窓口 | チャット | |
APN | →設定方法 | |
iPhone対応 | ○ 初代 iPhone SE 以降(iPhone 6 / 6 Plus は制限あり) | |
▶ahamo ▶サポート |
ahamo(アハモ)は、NTTドコモが提供する携帯電話・モバイルデータ通信サービスの若者向け※料金プラン。2021年 3月26日開始。
デジタルネイティブ世代云々※と謳われているが、年齢上限はなく、20歳以上なら誰でも契約できる。
シンプルな1プランで、手続き・サポートを原則オンラインに限定することでコストを抑え、ドコモの通信品質を月額2,970円で使えるようにしたことで人気を呼んでいる。
名前の由来は、未知の物事を理解するひらめきを意味する「AHA moment」、英語でなるほどの相槌を意味する「aha」、楽しい時に「アハハと笑う」感嘆詞から名付けたそうだ。後ろの「mo」はモバイルの略だろう※。
メリット
- 家族割・光セット割などに縛られることなく、1回線目から安い
- ドコモの広いエリアで5G・4G通信を使える
- 110GBまで使える「ahamo大盛り」を月額4,950円の格安料金で利用できる
- 通話5分定額が付帯する
- データ容量を使い果たしても1Mbpsで使える
- 海外80の国・地域でデータ通信できる国際ローミングを追加料金無しで使える(20GB→30GBまで、最長15日間)
- ahamoでもデータプラスが解禁され、ahamoならではのメリットとして対象地域であれば海外でも追加料金無しにデータプラスを使えるので、海外渡航が多い人にはお得。
- 契約から解約まで、ほとんどの手続きがオンラインでできる。面倒な手続きのためにいちいちドコモショップへ行けと言われる煩わしさから解放される。
デメリット
- ahamoは留守電はおろか着信転送すらできないため、スマート留守電などの他社サービスも使えない。例えば右図のようにWeb会議中に通話着信があれば拒否するしかないが、ahamoは転送できないので、会議中に着信→拒否→切断になってしまう。
家族としか通話しない、LINEしか使わないという人はともかく、社会人などには不便極まりないから、通話にも使うメイン回線で使うのは避ける方が無難。通話もするメイン回線で使うなら、昼休みにも快適に使えて着信転送や留守電が使えるUQモバイル「コミコミプラン」やNUROモバイル「NEOプラン」なども検討してみよう。 - ドコモの 5G n79 に対応している端末は少ないので、他社に比べて端末の選択肢が限られてしまう
- 通話をほとんどしないなら、同じ30GBプランでも通話定額無しで月額料金が安いNUROモバイル「NEOプラン」や povo 2.0 などの選択肢もある
- ahamoには少容量プランは無いので、月に30GBも使わない人は少容量プランが充実している日本通信SIM、NUROモバイル、povo 2.0 などの方がお得
- ahamoでは30GBの次は110GBになってしまうので、30GBでは少しデータ容量が足りないという人は、日本通信SIM「合理的50GBプラン」、povo 2.0 などの方がお得
- ドコモショップでのサポートは無いので、初期設定が不安なのでサポートしてほしい/日頃からキャリアショップによくお世話になっている人は避ける方が無難。店頭サポートを実施しているイオンモバイルなども検討してみよう。
- ahamoは20歳にならないと契約できない。高校生・大学生は、18歳から契約できるLINEMOやpovo 2.0を検討しよう。
- ahamoは法人契約不可。相対契約で大幅値引きを受けられる大企業はともかく、中小事業所ではワイモバイルが法人契約割引で全回線税別700円引きになるので、そちらの方がお得に利用できると思う。
プランと機能
SIMのみ契約可能。nanoSIMまたはeSIMを利用できる。
月額2,970円(税別2,700円)※のシンプルな1プランで、データ通信は月間20→30GB※まで利用できる。テザリングはもちろん、海外主要国・地域でも追加料金無しでデータ通信できる。
データ通信は、NTTドコモの4G・5G※ネットワークを利用できる。
本プランの特徴として、ドコモでは初めて、契約から解約まで全ての手続きがWebで完結することと、新規契約事務手数料、機種変更手数料、MNP転出手数料が無料になっている(SIM交換手数料は2,200円→3,850円かかる)。
一方で、留守番電話などの通話系サービスが削られており、着信転送まで塞がれている。他社では着信転送が解禁されているが、ドコモでは頑なに着信転送を塞ぎ続けており、自社の留守電サービスはもとより、「スマート留守電」などの他社サービスも使うことができないため、通話もそこそこする用途には向かない。
通話機能
音声通話(VoLTE)は、1通話あたり5分までの かけ放題が含まれる(5分をこえる通話料は22円/30秒、SMSは3.3円/通)。別途1,100円で、国内通話かけ放題オプションが用意される。ただし留守番電話サービスは提供されず、着信転送サービスも塞がれている。
圏外時や話中の着信をSMSで知らせる「着信通知サービス」は利用できるが要設定。留守電までは要らないが着信があったことを知りたいという人は、設定しておこう。
迷惑電話対策の「番号通知お願いサービス」と「迷惑電話ストップサービス」は、ahamoでも使える。いずれも月額使用料無料。
「番号通知お願いサービス」は、ahamoの電話から「148」に通話発信すると設定できる。非通知設定の通話に対しては、「最初に186をつけて発信するなど、電話番号を通知しておかけ直しください」という応答メッセージが流れて切断されるようになる。
「迷惑電話ストップサービス」は、指定した電話番号の着信を拒否するサービス。指定番号はdアカウントでログインしてWeb上で設定できるので(電話でしか操作できないソフトバンクのと違って)わかりやすい。
なお、ahamo契約後にNTTグループからかかってくる勧誘電話対策については「#パーソナルデータダッシュボード」を参照。
SMS、+メッセージ
SMSは標準で使える。アプリはスマートフォンに標準搭載されていればそれを使えるが、無い場合は Google play でメッセージアプリをインストールして使おう。
iPhoneは標準搭載のメッセージアプリを使う。iPadでは使えない。
+メッセージ(プラスメッセージ)は、Google playまたは App Storeでアプリをダウンロード・起動し、画面の指示に従って設定すると、使えるようになる。
なお、Androidで「+メッセージ」アプリを設定すると、SMSも「+メッセージ」で送受信するようになる(SMSを他のアプリで使う場合は「+メッセージ」も使えない)。他のアプリの使い勝手を気に入っている場合は気をつけよう。
「+メッセージ」同士のメッセージ送信料金は無料(データ通信料金に込み、Wi-Fiも使える)だが、相手も「+メッセージ」を使っている必要がある。
国際ローミング
通話とSMSは海外200以上の国・地域で利用できる(通話・SMS料金は従量課金)。
また、海外91の国・地域で追加料金なくデータ通信を使える国際ローミングがバンドルされている。国際ローミングで使えるデータ容量は基本プランの20GB(2024年10月からは30GB)※に含まれており(ただし15日を超えると最大128Kbpsに制限される)、申し込みも不要。
ただし、対象地域はドコモ既存プラン向けの「WORLD WING」よりも少ない。
つまり、対象地域への渡航の際はお得だが、対象外地域への渡航の際は別途通信手段を用意する必要がある。
副回線サービス
2023年 5月11日より受付開始のオプションサービス。通信障害などに備えたい人向けに非常用の予備回線を提供するもので、ドコモではau回線のeSIMが提供される。
専用Webサイトで申し込み、およそ2週間後に発行されるeSIMプロファイルをeSIM対応機種に自分でインストールして使う。電話番号は別途新規発行される。契約事務手数料3,850円がかかり、機種変更はできない。
機種変更の際は一旦解約して再契約する必要があり、再度手数料がかかって電話番号が変わり、手続きの手間もかかる上に2週間は使えない期間が生じるなど、非常に使い勝手が悪い。
仕様上、eSIM非対応機種では利用できないが、ドコモはeSIM対応に後ろ向きだったため、Androidの対応機種は2022年以降に発売されたハイエンド機種に限定される。
自分で他社の格安SIMを組み合わせて使う方が使い勝手が良くて割安。詳しくはデュアルSIM#副回線サービスを参照。
制限
3G不可
3G (W-CDMA) は使えない。ドコモのVoLTEに非対応の機種では通話ができない(CSFB利用不可)と思われるので注意したい。
キャリアメール無し
ahamoを新規契約してもキャリアメールは提供されない※。
現在ドコモメール(@docomo.ne.jp メールアドレス)を利用中の場合は、ahamoへのプラン変更と同時に申し込むことで、引き継ぐことができるが、料金は別途、1メールアドレスあたり月額330円(税込)かかる。 →ドコモメール持ち運び
この場合、ドコモメールアプリをそのまま使えるし、メッセージR/Sも使える。もちろん他のメールアプリも使えるし、メールアドレスの変更もできる。
でも、無料のGmailやiCloudメールなども使い勝手はあまり変わらないし、あえて有料のキャリアメールを引き継ぐメリットはあまりないので、どうしてもメールアドレスを変えたくない人以外は、無料で使えるGmailやiCloudメールなどに乗り換える方が良いと思う。
着信転送できない
留守番電話サービスはおろか、着信転送すら提供されないため、スマート留守電などの他社サービスを使うこともできない。「20代の9割が何らかの形で音声通話を利用している。社会人になって発生する、音声通話でしか対応できないシーンがある。」と言いながら、着信転送すら不可にするのは不可解だ。専らデータ通信に使うなら問題ないが、通話にも使うメインの回線でahamoを使うのはお勧めできない。
公衆Wi-Fi
docomo Wi-Fi は使えない。d Wi-Fi は使える。
電話帳などのバックアップ
ドコモの従来プラン向けに提供されていた「ドコモ電話帳」などで使われている「ドコモクラウドサービス」が使えなくなる。今はGoogleアカウントや iCloud (iPhone) での管理が一般的なので、古い「ドコモ電話帳」を使っている場合は電話帳(アドレス帳)の連絡先をGoogleへ移しておこう。またはiPhoneに変更する方法はこちら。
キャリア決済
「spモード コンテンツ決済サービス」(Google Play、iTunes / App Store 以外のコンテンツ)が使えなくなる(利用中のコンテンツは自動退会になる)ので、事前に利用明細を確認し、継続して使いたいコンテンツがある場合は、他の支払い方法に変更しておこう※。 ⇒ahamoご契約時における決済サービスの提供差異について
d払い
ドコモ回線を契約していない人が(紐づいていないdアカウントで)d払いを使っている場合、そのdアカウントを使ってahamoを契約すると、d払い残高が入っている「ドコモ口座」が一旦強制解約されるため、残高が消えて、1~2週間程度で返還される。つまり残高があると1~2週間ほど使えない期間が生じる。また、過去の利用履歴が参照できなくなるとともに、d払い残高にチャージする銀行口座の再設定が必要になる。計画的に利用しよう。
地味に不便なのが、これまでドコモ回線が紐づいていなかったdアカウントでd払いを利用していた場合、そのdアカウントをドコモ回線に紐づけると、以降、dアカウントに紐づいたドコモ回線でしかd払いを使えなくなる。
また、ドコモ回線に紐づいたdアカウントでd払いを利用していて、ドコモ回線を解約/解約予約(MNP予約番号の取得)すると、d払い口座(ドコモ口座)が凍結されてしまい、d払いを使えなくなる。チャージ残高が残っていると、解約後に払い戻し手数料を徴収される(Visaプリペイドの残高は返金されず消滅する)。→#d払い(ドコモ口座)残高が消滅する
こうした不自由さがあるので、2台持ちなどでahamoをメインにしたくない人や、乗り換え頻度が高い人などは、d払いに使っているdアカウントに回線を紐づけない(別のdアカウントを発行してから回線契約する)方が良いかも。
ちなみに、dポイントについては、「dポイントクラブ会員統合」または「ポイント共有グループ」設定手続きをすると、複数のdアカウントのポイントをまとめることができる。
ドコモショップ・コールセンター利用不可
原則、ドコモショップやコールセンターは利用できない※。申し込みはオンラインで行い、問い合わせ・相談窓口はチャットのみ。修理受付もオンラインのみ→修理受付はドコモショップでもできるようになった。
未成年契約不可
契約名義人は20歳以上の個人のみ。法人契約は不可。未成年の場合は、親権者名義で契約する必要がある。なお、20代の若者向けと謳われてはいるが、年齢上限の制約は無い(青春18きっぷのような感じかな)。
家族割適用外
家族割(みんなドコモ割・ファミリー割引)や、光セット割、dカードお支払割は適用にならないが、家族回線に算入される※。
Apple Watch
2022年 6月29日より、ahamoでも「ワンナンバーサービス」に対応した。
スマートフォン側にかかるahamoの料金に加えて、「ワンナンバー登録手数料」が登録時に1回550円(税込)と、「ワンナンバーサービス」月額料金550円(税込)がかかる。
iPhoneとApple Watch Cellularモデルをセットで契約する必要がある。計20GB→30GBのデータ通信と5分以内の国内音声通話かけ放題は共通で利用する。
nanoSIMのみ
提供されるSIMカードは nanoSIM のみ(別途eSIMには対応)。標準SIMやmicroSIM対応機種で使いたいときは市販のSIMアダプタを使えるが、故障の原因になることがあるので自己責任でどうぞ。
ahamo大盛り
ただし、アプリでの申し込みは 6月16日10:00以降に公開予定のアプリ最新版にアップデートする必要がある。それ以前に利用したい場合は、公式Webサイトにログインして申し込むことができる。
月額1,980円の大盛りオプションを追加すると、月間データ容量が80GB追加される。 つまり、月額4,950円で100GB→110GB使えるようになる(2024年10月より基本データ容量が10GB追加されるが、大盛りオプションに変更はない)。目一杯使うと、GB単価はなんと49.5円→45円。しかも通話5分定額込み。
また、急な出張などで使いすぎた月など、月の途中からでも追加できる。日割りにはならず満額かかるが※、月の途中からでも追加分80GBをすぐに使うことができる。1GBあたり550円で4GB以上追加するよりもお得だ。
ahamo開始当初は、話題の povo 2.0「データ150GB追加」トッピングのデータ単価 86.5円/GB や、IIJmio eSIMデータ20ギガのデータ単価 82.5円/GB と比べても、「ahamo大盛り」のデータ単価(49.5円/GB)の安さは際立っていた。その後、povo 2.0 は「300GB(90日間)」(データ単価32.8円/GB)を投入して最安に返り咲いたが、依然としてahamoも競争力あるデータ単価だ。
ただしahamoは繰り越しができないので、当月中に使いきれなかった分は消滅する。また、逆に110GBで足りない場合の追加チャージは高額になる。
とはいえ、ahamo大盛りには分かりやすいお得感がある。今までは我慢しながら使っていた人も、110GBも使えるなら遠慮なく使えるといったメリットもありそうだ。
なお、大盛りオプションで追加した80GBが使えるのは国内のみ。海外ローミングで使える分は基本の20GB→30GBに限られる。
ahamoポイ活
2024年 4月より提供開始(3月22日から事前予約受付)。「大盛りオプション」に追加する形で※「ポイ活オプション」が提供される。
「ahamo大盛り」の料金に月額2,200円追加でかかり、合わせて月額7,150円をahamoに支払うことで、dアカウントで紐づいている「d払い」のポイント還元(期間・用途限定のdポイント※、決済額の3%相当、上限4,000ポイント)が追加される。
つまり、「d払い」で毎月73,400円以上決済する※人は、ポイント還元分が得になる。逆に「d払い」をあまり使わない人は損になる。
もっとも、オプション扱いなので、「d払い」をあまり使わない人はオプションに加入しなければいい。要は「d払い」のヘビーユーザー向けのオプションだ。
対象になる取引は「d払い」のコード決済と、「d払いタッチ」(iD)のみ。ただしdポイント利用分、他社クレジットカード利用分、クーポン利用分、モバイルSuicaへのチャージ、請求書払いと旧「d払い(iD)」は対象外。
この条件だと毎月4万円くらいならば頑張れば使えるかもしれないが、毎月13万円以上も使うのは難しいように思う。ただでさえ「d払い」は使える場所が少ないのに、ましてや若者向けを標榜するahamoのユーザーにとっては厳しいのではという気がする。
ドコモは2024年 4月より「10%還元キャンペーン」を実施し、当初は22,000円以上「d払い」で支払うと元を取れる。このキャンペーン実施中は44,000円以上「d払い」で支払えば満額のポイント還元を受けられる※。
「ポイ活オプション」は外すのも容易なので、キャンペーン期間中だけ付けて、キャンペーンが終了したら(あるいは条件が改悪されたら)外せば良いだろう。
ahamoには毎月7,150円も支払うことになるが、4,000ポイント還元を加味することで、実質2,750円※で100GB通信できると謳われている。しかしキャンペーン終了後に4,000ポイント還元を受けるためには「d払い」で毎月毎月133,400円以上もの支払いを続ける必要がある。「d払い」は使える店が少ない上、若者向けを標榜している「ahamo」で毎月133,400円以上も「d払い」で買い物するのはハードルが高いのではないだろうか。
競合の「ペイトク」とよく似ているが※、「d払い」よりも「PayPay」の方が使える店が圧倒的に多い※こともあり、10%キャンペーンが終わったらオプションを外す人が多そうに思う。
ドコモとしては「d払い」の利用を増やす効果と、ARPUを上げる効果を期待しているのだろうが、ARPUが増えてもポイント付与も増えて、そのポイントは他社に流失するのだから※、数字のマジックもいいところ。こんな面倒なことをして誰得なのかという気もする※。
データプラス
2023年10月12日から、ahamoでも「データプラス」が使えるようになった※。
月額1,100円でデータSIMを1枚追加でき、データ通信とSMSを使える※。データ容量はahamoとシェアするが、データプラス側では30GBが上限となる※。
申し込みは「ドコモオンラインショップ」または「ドコモオンライン手続き」で行う※。「5Gデータプラス」と「(4G)データプラス」があるので、端末に合わせて選ぼう※。
また、ahamoを解約する際は、先にデータプラスを解約する必要がある※。
「ahamo大盛り」を使っていてデータ容量を余らせている場合は、データSIMを月額1,100円で30GBまで使えるのでお得になりそうだ。
ahamoならではのメリットとして、国際ローミングもプラン内に含まれ(ただしahamoとデータプラスの合計で20GB→30GBまで)、これはデータプラスにも適用されるので、海外渡航が多い人にはお得に2回線を利用できる。
反面、追加できるSIMカードは1枚のみなので、タブレットやノートパソコン等を複数台使っている場合は povo 2.0 や IIJmio などを別途契約する方が良いだろう。
また、少容量で複数のSIMを使いたい場合は、月額539円でデータSIMを3枚追加できるワイモバイルの方がお得。
データ通信品質
広いエリア
ドコモのWebサイトに『ドコモの携帯電話はこんなところでも「つながる」』と書かれているが大げさではなく、ドコモのエリアは広い。
市街地はもちろん、山間部の集落でもほぼ使える。今では他社のエリアも(楽天を除き)ほぼ遜色ない程度まで広がっているが、やはり山間部のエリアはドコモが充実している。
例えば、かつてドコモでは2Gから3Gへの移行期(2006年頃まで)に全国すべてのJR駅付近をエリア化したことがあり※、2007年3月末時点で人口カバー率100%を達成した。そうして整備された全国の基地局資産が4Gにも引き継がれ※、今に活きている。
とりあえず駅まで辿り着けば電波が入るので、全国を旅する人は格安SIMでもいいからドコモを1回線持っておくと安心というわけだ。
また、登山道のエリア化でも一歩進んでいるので、登山や仕事で山へ行く人はドコモ回線をひとつ持っておくと安心だ。
しかし、近年のドコモはエリア展開に及び腰な感もあり、尾瀬や山奥の温泉宿、黒部峡谷鉄道などのエリア化ではauが先行している。
このうち尾瀬では2018年以降しばらくau回線しか使えなかったが、2022年になってドコモ回線も使えるようになった※。
安定の 4G LTE
本項は2021年頃までの記述。当時は安定して(早くも遅くもない程度に)使えていたが、ドコモは5Gが特殊なことも相まって4Gの負荷が高まり、2022年頃から混雑エリアを中心に鈍重の4Gになっている。イベント会場等で使い物にならなくて困る場面もあるので、povo 2.0 などを併用することをお勧めする。
エリアやデータ通信の品質は、ドコモの既存プランで使われている「spモード」と同じ。ネットワークはもちろん、接続先を示すAPNも同じだ。
「spモード」とは、ドコモのスマートフォンで伝統的に使われてきたISPのようなものだが、ahamoでも同じAPNが使われているので、サービス内容の違い(キャリアメール無しなど)こそあれ、データの通り道は同じと考えて良いだろう。
筆者が長らく使っていての感覚で、ドコモ網とspモードの主な特徴を挙げるとこんな感じ。
こうしたドコモのLTEデータ通信の特徴が分かりやすいと思って載せたのが右図。ガラガラと思われる午前3時頃の測定例だ。Band 3+1 の CA なので、ドコモの東名阪ではよく見られる、(空いていれば)比較的好条件の組み合わせとなる。
下り81Mbps・上り30Mbpsは、まあ普通に快適。
他社、例えばau・UQでは上りを絞って下りに多くの帯域を割り当てているので(特に上下の割り当てを融通しやすいTD-LTEでは顕著)、(電波状況が良ければ)一見してトップスピードは高めに出るが、上下を足すとそんなに変わらなかったりする。
ところが、spモードはなぜか空いていても遅延が大きい。
また、前述のようにIPv6が使えないことが多い。
大都市繁華街で混雑(?)して使いづらいことがあるNew!。
一体どうしてこうなるのか…
とはいえ、普通に(Webやスマートフォンアプリなどを)使っているぶんには概ね快適なので、一般の人には(良くも悪くも)安定した品質と言えばいいだろうと思う。
ちなみに同社では 4G LTE サービスを「Xi」(クロッシィ)と呼んでいるが、これは同社の商標。今は一般ユーザーにも 4G または LTE で通っているし、「Xi」は同社のカタログ等の商材でしか見かけない(家電量販店やキャリアショップなどでも聞かれない)。
ドコモ5Gの特殊性 (Sub-6)
#安定の 4G LTE とは裏腹に、安定しないドコモの5G。
地域や時間帯によっても変わるので一例だが、低層住宅地の5Gエリアの比較的電波状況の良い場所で計測して、右図のような感じ。
まあ、充分快適なのだが、ドコモは「瞬速5G」と喧伝されている割りには遅延が大きく、伝送レート(いわゆる「速度」)も「なんちゃって5G」と揶揄されていたワイモバイル(ソフトバンク、右下図)と大差ないし、レイテンシはワイモバイルの方が総じて優位だ。
まず、ドコモの5Gエリアマップに色が付いている所へ行っても、5Gを掴まないことも多く、使える所を探すのが大変^^;
もっとも、他社でも5Gのエリアマップはアテにならない傾向があるのだが、ワイモバイル(ソフトバンク)は逆にエリア外でも時々入ることがある(笑)のに対し、ドコモの5Gはエリア外で入ることはなく、エリアマップに色が付いている場所でもなかなか入らない※。
ドコモの5G (Sub-6) では、n78(3.5GHz帯)と n79(4.7GHz帯)が使われている※。
他社で使われる n77 とドコモの n78 はほぼ同じ帯域だが、n79 は少し離れた帯域で、かつ日本のドコモと中国でしか使われていないため、対応機種が少ない問題がある。
さすがにドコモが販売する5G機種は廉価モデルでも n79 に対応しているのだが、他社が販売する機種はもちろん、SIMフリー機種でも対応していないことが多い※。SIMフリー機種を持ち込んで使うことも多いahamoでは、鳴り物入りで登場した5Gがほとんど使えず、肩透かしになる人も多くなりそうだ。
例えば、2023年にAndroidで売れ筋No.1(国内シェアがAppleに次いで2位)になったGoogle Pixel も、前代の Pixel 7 シリーズまではドコモの 5G n79 に対応していなかった。「これまでは私どもの周波数が特殊だったので、コミットメント(販売台数の確約)をしないと作っていただけない状況だった」そうだ。つまりドコモが関与することでようやくn79対応コストの回収目途が立ち、Pixel 7aおよび Pixel 8 シリーズは全機種で n79 対応を遂げた※。
Google Pixel ですらそうなのだから、他のメーカーは推して知るべしだろう。ドコモはSamsungを積極的に販売している半面、米国の制裁によりHuaweiが脱落して以降、Samsung以外の海外メーカーの取り扱いをやめてしまった※。そのため、MVNOやYM・UQでは売れ筋で国内にユーザーの多いOPPOやXiaomi、motorolaなどは、ドコモの 5G n79 に対応する機会が得られないままだ。単純にコストアップになることもあるが、Xiaomiのハイエンド機などの 5G n79 に対応している機種ですら、ドコモの5Gを掴むと不具合を起こすありさまだ。
メーカーにも頑張ってほしい面はあるが、どうしても価格が重視される昨今の市況で、ドコモが取り扱わないのなら余計なコストをかけなくても…と、メーカーも対応意欲が削がれてしまうのだろう。
これらの機種でも 5G n78 には対応していることが多いので※、ドコモの5G対応と謳われていることもあるが、今のところドコモの 5G n78 エリアは狭すぎて使い物にならないので、n79 に対応していない機種でドコモ回線を使う場合は、むしろ5Gを無効にしておく方が快適に使える場面が多かった(右図)。
また、5G n79 に対応していない機種にドコモの5G対応SIMを入れて5Gエリアに行くと、表示が5Gなのに通信は4Gの「なんちゃって5G」状態になりやすい(右図)。この状態では端末の電池消費が若干増えるし、CAが使えず却って遅くなることもある。
ドコモがn78を本格的に展開すれば話は変わるのだが、今のところドコモはn78をほとんど展開していないため、n79非対応の端末ではドコモの5Gはほとんど使えない。
一方、他社(auとSB)は既存の4G帯域の5G転用によるエリア拡大を図ったが、こうした他社の動きをドコモでは「なんちゃって5G」だと批判していた。
そんな経緯もあって、ドコモでは自社の5Gを「瞬速5G」と謳い、当初は5Gと4Gの併用※にも慎重だったが、その姿勢が裏目に出て、5Gエリアの拡大と相まって5Gエリアの端等の電波品質の悪い場所で通信できなくなる不具合が増え、問題になっていた。
その対策として、2021年 6月から順次、5Gの電波を掴んでいても5G単独ではなく、4Gも使うように改めているようだ。
要は、今までは5Gを掴んだら5Gのみで頑張っていたのだが、5Gの電波が弱い場所などで極度のパケ詰まりが発生して使い勝手が悪くなることがあったので、7月からは5Gと一緒に4Gも使うということだ。
悪いとは言わないが(むしろ賢明だと思うが)、でもそれって結局、自ら批判していた「なんちゃって5G」そのものだよね。ピクトは5Gなのに通信は4Gってことだから…(^^;
また、同社は 5G n78(3.7GHz帯), n79(4.7GHz帯), n257(28GHz帯)の3つの周波数帯の割り当てを受けているが、従来の帯域(2GHz以下)に比べて電波の直進性が強くエリア展開しづらいことに加え、n78は衛星通信との干渉もあることから、人口の多い関東などでは主に n79 でエリア展開してきた。
しかし2023年のドコモは、5Gを整備しても混雑が解消しない事態が生じている。端末の対応状況(前述)を無視してn79中心のエリア整備にこだわってきたことが裏目に出てきた感がある。
結果論ではあるが、ドコモは安易に他社の転用を批判せず、自社でも比較的後発の TD-LTE Band 42(→n78)と FD-LTE Band 28(B) の転用を早期に進める※とともに、対応端末の多いn78を並行整備していたら良かったのにと思ってしまう。
今後5Gの基地局が密に建って、n79対応端末が普及し、5G SA が始まればまた状況は変わだろうが、今のところ、ドコモの取り組みは結果的に使い勝手を損ねてしまっている感がある。
競合のソフトバンクは4G転用でいっきにエリアを拡大し、2021年10月までに5Gの人口カバー率を80%まで引き上げたが※、当時のドコモのエリアマップを見ると、2021年6月時点→11月までに東京都心部では順調にエリアが拡大するものの、都心から少し離れるとエリアはまばら。
都心部でもn79による整備なので、ahamoやMVNOのユーザーに多いn79に対応していない端末では4Gを使わざるを得ない。n79は対応機種が少ないことを見越して、混雑エリアではn79だけでなくn78も吹いておけば、近年懸案になっている4Gの混雑緩和に貢献したと思うのだが、ドコモが5Gを始めてそろそろ3年になる2023年12月現在においても、ドコモのn78を掴む場所は稀だし、混雑エリアでn78を整備する方針も示されていない。
集客施設の5G展開でもドコモは後手に回り、ソフトバンクとauは2021年までに国際展示場などでの5G整備を完了したが、ドコモは2023年までかかった。しかも相変わらず 5G n78 を整備しなかったようで、せっかく整備をしても使えないネットワークになってしまったようだ…
ドコモが5Gのメインバンドに据えるn79は周波数が高いぶん電波が飛びにくいので整備しづらかったのかもしれないが、ならば他社同様に屋内集客施設はn78で整備すればよかった話だ。この頃のドコモはエリア整備が御座なりになっている感じがして気がかりだ。
他社を「なんちゃって5G」などと呼んで揶揄し、自社を「瞬速5G」と呼んでいたドコモだが、結果的に他社が5Gへの移行をうまく進めたのに対し、ドコモの5G移行はうまくいかず、2022年以降の混乱につながった。
5G SA
2022年 8月24日より、5G SA を使えるようになった。ahamoを含むドコモの5G料金プランで使えるが、ドコモオンライン手続きで申し込む必要がある。
ただし対応機種は
- AQUOS R7 SH-52C
- Xperia 1 IV SO-51C
- Galaxy S22 SC-51C
- Galaxy S22 Ultra SC-52C
のみ、いずれもドコモが販売する機種に限られる。
ahamoのSIMカードはそのまま使える。ドコモからプラン変更した場合、Ver.6(ライトブルー)と Ver.7(グリーン)はそのまま使えるが、Ver.5(ピンク)、Ver.4(レッド)などの古いカードを使っている場合は交換が必要になる。 ⇒ドコモUIMカード/ドコモeSIMカード/eSIMについて
対応機種を使っていなくてもオプションの申し込みはできるが、現状では(仮にSAが使えたとしても)一般ユーザーにはさしたるメリットがないと思うので、5G SA を使ってみたいという好事家以外は気にしなくて良い:)。
しかしソフトバンク・ワイモバイルでは追加料金不要で使えるのだが(ただし対応機種を購入する必要がある)、ドコモ・ahamoでは追加料金が月額550円かかる(ただし終了日未定の無料キャンペーン実施中)。今はまだエリアが狭いから無料キャンペーンで、今後エリアが広がったら有料化するのだろうが、そもそもSA対応で追加料金を取ることなのだろうか?そうなると、ずっとNSAを提供する必要が生じてしまうと思うのだが…謳われている「受信時(下り)最大4.9Gbps」にしても、povo 2.0 (5G NSA) で実測下り3Gbps以上出ているし…そもそもSAの特徴は大容量よりも低遅延などにあると思うのだが、ドコモの高速通信アピールは理解に苦しむ。SB・YMのように標準サービスで提供する方が良いのではと思うのだが?
IPv6シングルスタック接続試験
2021年 7月 1日~12月 3日の間、「IPv6シングルスタック接続試験」が実施されている。
ドコモは2022年春から、従来のIPv4ベースだったネットワークをIPv6ベースに切り替える予定のようだが、切り替える前に、サードパーティのWebサービスやアプリの開発者・提供者向けに、ドコモのネットワークがIPv6ベースに移行した後でもWebやアプリ等を使えることを検証してもらう目的で提供されている試験サービス。
開発者向けではあるが、ahamoまたはspモードを利用していれば、専用のAPNに接続することで誰でも利用できるので、ahamo/spmodeの新しいネットワークを一足先に使ってみたい人は、この機会に試してみると良いだろう。専用のAPN※は公式Webサイトを参照。iPhoneでは構成プロファイルを使う。
公式Webサイトにあるように、今はあくまで試験サービスなので、従来のspmodeと同等のサービス保証はなく、中には使えないサービスもあるようだ(例えば、「+メッセージ」が使えないことがあるそうだ)。 メンテナンス情報なども確認しつつ、利用は自己責任でどうぞ。
利用技術は未公表だが、DS-Liteかな?端末にはIPv6グローバルアドレスとIPv4プライベートアドレス(192.0.0.x)※が割り当てられていた(右図)。
ちなみに「端末にIPv6アドレスのみを払い出す」としながら、「APNプロトコル」を「IPv4/IPv6」に設定するよう案内されているが、筆者は試しにIPv6のみにしてみたところ、普通に使えた:)※。この状態で IPv6 Ready なWebサイトはもちろん、IPv4のみの古いWebサイトも表示できるので、普通に使える。
APNを変えても、伝送レート(いわゆる「速度」)は通常のspmodeと変わらないが(右図)、spmodeに憑き物の遅延の改善が期待できそうだ。IPv6 Ready なサイトにはIPv6で直接つながるようになるのでNAT等の遅延要因が解消することはもちろん、いまだにIPv4しかないサイト宛でも遅延が改善していた(これは試験用のNATサーバが空いているからだと思うけれど)。 IPv6ベースに切り替わると総じて快適に使えるので、切り替えが早く順調に進むことを期待したい。
まあそんなわけで、来年刷新される予定の新生spmodeネットワークを、一足先に試すことができる。IPv6/v4ともに普通に使えて、快適になるので、APNの設定などを自分でできて、ネットワークトラブルがあっても自分で解決できる人は、試してみては?:)
しかし、競合のソフトバンク・ワイモバイルではもう何年も前から、IPv6が当たり前のように使えるようになっている。すでに一般ユーザーにも開放されているし、ネットワークのレイテンシも低い(右図)。
そもそも、従来のspmodeはどうしてこんなに遅延が大きいのだろうか?
裏でいろいろと余計なことをしているのだろうなぁ
また、今回の「IPv6シングルスタック接続試験」はあくまで試験環境であって、ドコモの一般ユーザーは相変わらずIPv6をめったに利用できない(7月2日時点で継続)。
鶏と卵よろしく、一般ユーザーがIPv6を使えない状況では、Webサービス提供側はIPv4を前提に開発・提供するしかなく、コンテンツサービス開発・提供者側のIPv6対応意欲が高まらない(開発者個人に意欲があっても優先順位を下げられて社内稟議を通らない等の原因になる)だろう。
「日本の移動体通信インフラのIPv6化の促進に貢献」すると言うからには、まずはドコモも他社を見習って、ahamo/spmodeでIPv6を安定して使えるようにしてほしかったのだが、残念ながら開始から4年間、IPv6をめったに使えない状況が続いている。
もっとも、ドコモは2022年春に基幹ネットワークをIPv6ベースにいっきに切り替えるつもりなのであれば、切り替えを目前にして古いネットワークへの投資は避けたいだろうから、従来のspmodeでIPv6がめったに使えない状況は、このまま改善しないのかもしれないね…
【参考】
- インターネット10分講座:IPv4/IPv6共存技術 (JPNIC)
- DS-LiteでIPv4してみませんか?(IIJてくろぐ、2014年10月 1日)
- スマートフォンへのIPv6導入状況(2017年 1月20日)
- スマートフォンへのIPv6導入に向けた取り組み(2017年11月13日)
対応機種
SIMのみ契約(端末持ち込み)と、機種セット購入※、両方に対応する。
SIMのみ契約(端末持ち込みや別途SIMフリー機種を購入)する場合は、NTTドコモの主要バンド(4G LTE Band 1, 19)に対応していることはもちろん、ドコモのVoLTEに対応している機種を選ぼう(VoLTE非対応の機種は使えない)。
iPhoneは、iPhone SE (第1世代) 以降、最新の iPhone 12 シリーズまで対応する(iPhone 6 / 6 Plus は制限あり)。他社で購入した端末もSIMロック解除してあればそのまま使える。
ドコモが販売した機種については、対応端末一覧が掲載されているので、ドコモの既存プランから乗り換える場合には、手持ちの機種が対応しているか確認しておこう。
【対応バンド構成】※太字は主力バンド
同社が販売する端末に限らず、家電量販店などで購入できるSIMフリー機種も、上記バンドに対応していれば使えると期待される(無保証、ノーサポート)が、古い機種は使えないことがあるので、SIMフリー機種や中古端末を購入する場合は、比較的新しい機種から選ぶと良さそうだ。
ただし、5G (Sub-6) のエリアカバーには主にn79が使われているが(後述)、AndroidのSIMフリー機種はn79に対応している機種が少ない。ドコモの5Gを使いたい場合は iPhone 12 シリーズにするか、ドコモが販売する5G機種をドコモオンラインショップまたは中古店などで購入する方が良い。
APN
spモード(ドコモの既存プラン)と同じなので、ドコモが販売する機種は設定不要(自動選択)。SIMフリー機種や他社の機種を使う場合は、選択または設定が必要。iPhone は自動設定される。
- APN spmode.ne.jp
- APNプロトコル IPv4/IPv6 または IPv4v6
- APNタイプ default,supl,hipri,dun
IPv6も使えるが、使えたり使えなかったり2022年夏頃より、ほぼ常時使えるようになった。
「接続先設備によってはIPv6アドレスが割り当てられない場合があります。」と書かれているが、感覚的にはむしろIPv6が使える方が稀。調べた人がいるが、地域差は見られないらしい。
IPv6アドレスは 240a::/25が使われている(2021年 5月現在)。
ちなみにIPv6のみ(IPv4を無効)にするとspmodeに接続できなくなる。
なお、2021年 7月 1日~12月 3日の間、「#IPv6シングルスタック接続試験」が実施されている。APN設定だけで使え、今のところ快適に使える。IPv6を確実に使いたい、spモードの遅延が気になる、APNの設定など自分でできてネットワークトラブルがあっても自分で解決できるといった諸氏は、試してみては?⇒終了
- 現在利用中の他社スマートフォンのままahamoへMNPしましたが、SIMカードを挿入しても利用できません。何か設定が必要ですか?
- アクセスポイント(APN)設定について
- インターネットプロトコル IPv6対応について
- MVNOの深イイ話 「IPv6」とMVNOの関係(ITmedia Mobile、2018年 1月 8日)
キャリア名表示
ahamoを新規契約(MNP転入を含む)した場合や、ahamoの機種を購入した際には、ahamo用のSIMカード が提供され、端末のキャリア名表示は「docomo」または「NTT DOCOMO|docomo」になる(実際の表示は機種により異なる)。
ドコモの従来プランからahamoに変更した場合(5G未対応の古いSIMカードから変更した場合や、ahamoの機種購入を伴うプラン変更は除く)は、原則ドコモのSIMカードがそのまま引き継がれるので、キャリア名表示は従来通り「NTT DOCOMO」となる。
eSIM
eSIM#ahamoを参照
なお、ahamoを含むドコモの全プランにて、2021年10月25日より、新規契約を除くオンラインでのeSIM発行(機種変更時の再発行を含む)手続きができなくなっていた。【臨時】システムメンテナンスとされていたが、終了時期未定で、1年近く経った2022年 9月14日にようやく再開された。この間、eSIMの機種変更等する際は、ドコモショップに出向いて手続きする必要があった(さすがに手数料無料の措置が取られていた)。
機種変更
SIMカードを使っている場合は、機種変更の手続きは要らないので、任意に差し替えて使えば良い。SIMカードサイズはnanoSIMのみ。
eSIMを使っている場合は、eSIMの再発行手続きが必要。オンラインで手続きした場合※の手数料は、終了日未定のキャンペーン扱いで無料。
eSIMからSIMカードに変更する場合は、ドコモオンラインショップで手続き※すると再発行手数料1,100円。チャットサポートやドコモショップで手続きすると手数料3,850円。
家電量販店などで購入できるSIMフリー機種も使える。通販や中古店などで購入する際は、ドコモの主要バンドとVoLTEに対応していることを確認してから購入しよう。
ahamoで販売している機種は、ahamo公式ホームページまたはアプリで購入できる(2021年 6月30日より)。
他のドコモの機種は、ドコモオンラインショップで購入できる(2021年 5月19日より)。
ドコモオンラインショップではスマートフォン全機種※を購入できる。価格はドコモ従来プランと同額※。送料・手数料はかからない。
ドコモオンラインショップで機種変更する際は、ahamo契約と紐づいているdアカウントでのログインが必要。支払い方法はクレジットカード一括払い、代金引換、ahamoの利用料金と合算(12/24/36回分割払い、分割手数料無料、審査あり)に対応している。dポイント利用可。
ドコモショップ(リアル店舗)では購入できない。→2024年 7月26日より終了日未定のキャンペーン扱いでドコモショップでの機種変更サポートが提供されている。
しかし、ahamoやドコモオンラインショップで買ってもサポートは無い(ドコモショップでの受け取りもできない)。設定(SIMカードの差し替えやAPN設定、データ移行など)は自分で実施する必要があるので、不安な人は有償サポートを利用できる家電量販店などでSIMフリー機種を購入する方が良い。
iPhoneなどはSIMフリー版を家電量販店などで購入する方が安くてお得だ。
ahamo機種変更フェア
2024年 7月26日より、全国のドコモショップおよび一部の家電量販店等のドコモ売場にて、機種変更の有償サポートを受けられるようになった。
自分でSIMを入れ替えれば(前述)無料だが、ドコモショップで機種変更すると、事務手数料3,850円を徴収される。
また、初期設定やデータ移行のサポート(補助)を受けたい場合は「初期設定サポート」料金3,300円を別途徴収される。この場合、不明な点は教えてもらえるが、端末操作は自分でする必要がある。
4G機種は使える?
ドコモの「プレミア」(ギガホ/ギガライト)は、ドコモショップ等での販売・サポートを前提にしていることもあるのだろうが、4G/5G機種別のプランになっている。
一方、ahamoは1プランで4Gも5Gも使えるが、それ故の注意点がある。
5G対応の iPhone 12 シリーズが発売された頃に話題になっていたが、ドコモでは5G契約のSIMカードを 4G (LTE) 対応のスマートフォンで使う際の制限事項が公表されている※。
MVNOの5G対応で先行するIIJモバイルによると、「(ドコモの)5G SIMをLTE端末に挿すと、使えないことがあります。当初は全て5GのSIMにして、LTE端末でも使ってもらうというノリで考えていましたが、やはり5Gは5G SIM、LTEはLTE SIMで分けて考えなければなりません。」という話もあった。
正確に言うと、au(タイプK)の場合はおそらく問題ないものの、ドコモ(タイプD)で5G対応すると問題が出てくる可能性があることが分かっているという。
4Gスマートフォン/ガラホでahamo(ドコモの5G対応SIM)を使う場合、一定のリスクがありそうだ。「プレミア」はサポート付きなので、4Gと5Gでプランを分けているのだろうが、ahamoは原則ノーサポートなので、ユーザーの判断で端末を選んで使えということだろう。
キャンペーン
(2023年 3月 1日現在)ahamoでは随時キャンペーンが開催されているが、今のところ販売チャネルは公式サイトとAmazonの2系統なので、その2つを見れば最新のキャンペーン情報を確認できる。
ahamoでは要エントリーのキャンペーンが多いので、契約前に確認しよう。
にじさんじ×ahamo~第4弾~
エントリーしてからahamoに他社から乗り換え(MNP転入)すると、dポイント(期間・用途限定)8000ポイントと、にじさんじ JK組ライバーの電話トークボイスをもらえるキャンペーンが開催中。
エントリー期間は2023年 3月 1日~20日、ahamo開通期間は 3月26日まで。
また、エントリーしてから大盛りオプションを新規に利用開始すると、dポイント(期間・用途限定)1000ポイントをもらえるキャンペーンも同時開催中。
エントリー期間は2023年 3月 1日~20日、大盛りオプション利用開始期間は 3月26日まで。
終了したキャンペーン
SIMだけahamoに他社から乗り換えで10,000ポイントプレゼント
公式サイトのキャンペーン。最初にエントリーが必要。
MNP転入で新規契約し、エントリーの翌月末までに開通(利用開始の手続き)を完了すると、翌々月下旬頃(予定)にdポイント(期間・用途限定)が進呈される。
なお、ahamoオススメ機種を購入した場合のキャンペーンはすでに終了しているので、注意されたい。
ahamo大盛り先行エントリーキャンペーン
ahamo大盛りが提供される前日まで(6月 8日23時59分まで)にエントリーしておき、開始後に利用するとdポイントが2000pt進呈される「ahamo大盛り 2022.6 START!dポイント2000ptがもらえるキャンペーン」が開催されていた。
Amazonプライムへの新規登録で最大1,500ポイントプレゼント
ドコモのプランを新規契約すると「Amazonプライム」が1年分付いてくるが、ahamoは対象外なので、Amazonが主催して、ahamo契約者限定にAmazonポイントを還元するキャンペーンを実施している。ポイントは3ヶ月に分けて提供され、月々500円分ずつ提供されるようだ。月払いにしておけばいつでも解約できるので、プライム無料体験が3ヶ月延長されるような格好になるだろうか。
キャンペーンページで事前にエントリーが必要。すでにプライム会員の場合は対象外だが、プライムを解約して31日以上経過すれば対象になるようだ。
なお、「ドコモのプランについてくるAmazonプライム」は11月30日で終了になると発表されたが、ahamo向けのキャンペーンは2021年12月31日までにエントリーし、72時間以内にプライム会員に新規登録すれば対象になる。
- 【ahamoご契約者様限定】Amazonプライムへの新規ご登録で最大1,500ポイントプレゼントキャンペーン
- 「ドコモのプランについてくるAmazonプライム」の提供終了について(2021年11月 9日)
端末持ち込み&乗り換えで7000ポイント還元
2021年 7月 2日より、番号そのままで他社から乗り換え(MNP転入)&端末持ち込み(SIMのみ契約)の場合に、7,000ポイント還元される「お持ちの端末でのお乗り換えでdポイント7,000pt(期間・用途限定)還元キャンペーン」が始まった(申込期間 9月30日まで)。
煩わしいエントリーは不要で、MNP転入(番号そのままでのりかえ)でSIMのみ契約すれば対象になる。eSIMも対象。
のりかえでない新規電話番号での契約、ドコモ回線からのプラン変更、および機種購入を伴う新規契約は対象外。
端末持ち込みではなくahamoの端末を購入する場合はエントリーが必要で、還元額も3,000ポイントに減る。また、端末購入時のキャンペーンは申込期限 8月15日(開通期限 8月31日)まで。→終了
5G WELCOME割
番号そのままで他社から乗り換え(MNP転入)と同時に、ドコモオンラインショップで5G機種を購入したときに適用されていたが、2021年11月18日で終了した。
ahamo向けのキャンペーンではないが、ahamo契約の際にドコモの機種を購入する場合はahamoを契約する前にドコモオンラインショップで機種購入とともにドコモの「ギガライト」を契約し、開通後にahamoへプラン変更手続きするよう案内されているので、正規の手続きを踏むと自動的に「5G WELCOME割」が適用になっていた。
価格は機種によって異なるが※、例えば売れ筋のミッドレンジ AQUOS sense5G SH-53A※は39,600円→17,600円で、Xperia 10 III SO-52Bは51,480円→29,480円で購入できた(税込一括価格、2021年 7月 2日現在)。
公式オンラインショップで契約すれば、送料や分割手数料、契約事務手数料は無料になる。この場合はひとまず「5Gギガライト」で契約し、開通後にahamoにプラン変更手続きをすることで、ahamoの料金で利用できる※。
手続きが増えて少々面倒だが、端末料金が最大22,000円引きになるので、ドコモの5G端末を購入予定の人にはお得なキャンペーンだった。
先行エントリーキャンペーン
ahamo提供開始前日までに公式ホームページで先行エントリーし、2021年 5月31日までにahamoを契約した人に、dポイント(期間・用途限定)3,000ポイントを提供するキャンペーンが実施されていた。
エントリーには、携帯電話番号とメールアドレスが必要。契約後にdポイントの受け取り手続きが必要になる(ahamo回線が紐づいたdアカウントでログインし、エントリー時の電話番号とメールアドレスの再入力)。
ahamoを申し込む際には、dポイントカード発行済みのdアカウントでログインする必要があるので、無ければ予め作成しておくとスムーズだ。
エントリーした人には、混雑緩和のため、事前にdアカウントの作成を促すメッセージ(SMS)が送られていた。
また、開始直後の混雑を緩和するため、先行エントリーした上で 4月15日~5月31日※に契約すると、特典のdポイントが倍増されることになった(計6,000ポイント)。
最終的なエントリー件数は254万件もあったそうで、実際、開始当初はだいぶ混乱したようだが(^_^;、4月後半に入るとだいぶ落ち着いていたようだ。ポイント特典を倍増して分散を図った効果があったのかもしれない。(ただし土壇場でまた混乱していたが(^^;;)
ahamoを契約し、dポイント受け取り手続きをした翌月下旬にポイント進呈されることになっている。ただし4月申込分は遅れて 6月10日にポイントが付いた。
Amazon経由のキャンペーン
オンライン契約プランなので店頭でのキャンペーンは無いが、2022年 5月よりAmazonでのキャンペーン展開が始まった。
キャンペーン内容は随時更新されるので、Amazonのサイトを参照。
爆アゲ セレクション
2023年 4月 1日以降順次、ドコモが指定する特定のコンテンツサービスを利用するとポイントが付く「爆アゲ セレクション」が始まった。
ahamoまたはドコモのギガホ系料金プラン※を個人名義で契約しているdポイントクラブ会員※が、下記の指定サービスをドコモ経由で申し込み、月額料金を合算払いにすると、その月額料金の税別本体価格の10~25%が、期間・用途限定のdポイントで還元される。ポイントは請求月の翌月に付与され、有効期限は3ヶ月。
対象サービスと還元率(2023年4月時点)
- DAZN for docomo※(2023年 4月 1日~) 20%
- Disney+(2023年 4月 1日~) 20%
- Netflix ベーシック※(2023年 4月 5日~) 10%
- Netflix スタンダード/プレミアム(2023年 4月 5日~) 20%※
- Leminoプレミアム※(2023年 4月12日~) 10%
- YouTube Premium 個人プラン※(2023年 4月27日~) 20%
- Spotify Premium スタンダードプラン(2023年 4月27日~) 25%
例えば YouTube Premium は楽天モバイルでもAndroidでキャリア決済すれば10%還元になるが、ドコモでは20%還元となり、わずか97ポイントの差※だが得になる。
初回無料期間がある場合は、無料期間中は料金が発生しないので、当然ながらポイントも付かない。月額料金が日割りになった場合は、ポイントも日割りになる。
ドコモではYouTube効果でARPUが下げ止まったことが話題になっていたが、そのあたりを意識した、大容量データプランを使ってもらえる客を増やすための施策なのだろう。本施策はギガライト(条件付きで一部対象)やエコノミーが対象外になっていることからも覗える。
5Gのキラーコンテンツが動画系サービスになりつつある節があるが、auがコンテンツを盛り合わせてARPU上昇を企図しているのに対し、ドコモは大容量プランへの誘導とロックイン(およびdポイント経済圏の拡大)を企図しているのだろう。
もっとも、コンテンツバンドルは「ソフトバンクプレミアム」の「エンタメ特典」(要エントリー)などむしろ他社が先行している分野なので、他社に対するロックイン効果は限定的(「エコノミー」に逃がさない意味でのロックイン効果はある)だろうが、“ソフトバンク”が高額な料金プラン全てを対象(格安のワイモバイル・LINEMOは対象外)にしているのに対し、ドコモはahamoを含む中大容量プランに限って対象にしていることから、ドコモでは大容量プランへの誘導を重視しているのだろう。
手続き・サポート
ahamoはオンライン専用プラン。原則あらゆる手続きをオンライン(ahamo公式ホームページ)で行う。
新規契約・ドコモからの変更
SIMのみ契約可能。nanoSIMまたはeSIMを利用できる。
新規契約・他社からのMNP転入(番号そのままで乗り換え)、ドコモの既存プランからの移行、いずれの場合も、ahamoホームページから申し込む必要がある(ドコモショップやコールセンター、家電量販店などでは手続きできない)。
この申し込みページが分かりにくくて不親切なのだが、ホームページを開くと下端に並んだアイコンの左から2番目に小さな「申し込み」アイコンがある(右図)。小さくて見づらく、ページをスクロールすると消えるので、探してしまった…→後に改善され、本文中にも「申し込み」ボタンが設置された(右図)。
また、毎週火曜日の午後10時~翌日の午前8時30分までは申し込めない(他の日は臨時メンテナンス中以外24時間申し込める)のだが、メンテナンス中でも申し込み手続きを途中まで出来てしまう。筆者はまんまと罠にはまり(苦笑)、火曜日の23時頃に手続きを始めて、eKYC本人確認まで終わったところで「現在システムメンテナンス中のため、サービスがご利用いただけません」(右図)と、つれない表示…(-_-;
定期メンテナンスするのは結構だが、申し込みページを中途半端に動かしておかないでよ('_′)。
これだけに留まらず、細部の様々な箇所で融通の利かない不親切さが滲み出てしまっているのが残念だったりする(^^;
もうひとつ、eKYCで本人確認する場合、カメラ搭載の機器で申し込み手続きする必要がある。Windowsパソコンや macOS、Chromebook も使えるが、筆者が Chromebook で手続きしたところ、手続きはできたものの、翌日に本人確認書類の画像不鮮明で再提出を求められてしまった。ノートパソコンに搭載のWebカメラでは画素数不足だったのかもしれない。
このeKYCに関する注意点(eKYCを使う時はカメラが使える端末から申し込むこと)も、申し込みフォームを書き始める前に案内があっても良さそうに思うけれど、フォームを一通り書き終えた後に出てくるのよね(-_-;
文字入力が煩わしいが、eKYC本人確認を利用する場合は、おとなしく最初からスマートフォンやiPadで申し込み手続きするのが良いと思う。
新規契約・ドコモからの変更時の注意点
とりわけドコモからahamoに変更する場合は、注意点が多い。 申し込みの前に、注意点を確認しておこう。
- 申し込み時にdアカウントでログインする必要がある。予めパスワードなどを確認しておこう。無ければ申し込み時に作成できるが、予め用意しておくとスムーズだ。
- 本人確認方法はeKYCとSIMカード受取時の本人確認どちらかを選ぶ。留守がちで家族が荷物を受け取りたいときや、宅配ロッカー等で受け取りたい場合は、eKYCにしておくと良いが、eKYCを利用できるのはマイナンバーカードか運転免許証に限られる。また、カメラ付き携帯端末(スマートフォンまたはタブレット)で申し込む必要がある。iPhone/iPad以外ではうまく動かないことがある(後述)。
- ahamo公式ホームページのURLは https://www.ahamo.com/。
http://www.ahamo.com/ ではエラーになる。転送設定くらいしておけばいいのにねぇ。→後に転送設定されるようになり、今はどちらでも開くようになった。 - ドコモからahamoへ変更する場合は、事前に申込・変更・廃止が必要なサービスがあるので、前もって確認しておこう。
- ドコモからahamoへ変更する場合、変更月の料金は、ギガホ>ahamo>ギガライトの順で、高い方が請求される。つまり、ギガライト(4G/5Gを問わず)からahamoへ変更する場合は、変更月からahamoの料金になる。ギガホ(同)からahamoへ変更する場合は、変更月はギガホの料金になる。
- 新規契約した場合は、初月の料金は日割り計算になるが、データ容量は20GB→30GB使える。月の途中にドコモからahamoに変更した場合も、データ容量は別計算で20GB→30GB使える。ドコモで5Gギガホ(データ無制限)を使っていた場合はともかく、ギガライトからahamoに変更しても20GB→30GB使える。
- ドコモからahamoに変更する場合は、SIMカードはそのまま使える場合と、新しいSIMカードが送られてくる場合がある。SIMカードをそのまま使える場合は、申し込み完了とともにahamoに切り替わり、SIMカードの差し替え不要で、そのまま使える(即日ahamoが適用になる)。ただし、ドコモで3G (FOMA) を使っていた場合、ahamo申込時に端末も購入した場合などは、SIMカードが送られてくるので、届いてから切り替え手続きが必要(SIMカードが届いて切り替え手続きを済ませるまでは旧プランの契約になる)。
- ドコモからahamoに変更する場合は、ahamoへのプラン変更手続きの際に「ドコモメール持ち運び」(月額330円)を申し込めば、利用中のドコモメール(@docomo.ne.jp メールアドレス)を引き継ぐことができる(2021年12月15日より)。
- ギガホからahamoに切り替える場合、月末近くに切り替える方が(使えるデータ容量が)お得になることもあるが、手続き内容により即日切り替わらないこともあるので、余裕をもって変更手続きしよう。
ahamoに切り替えた月にも20GB→30GB使えるし、その20GB→30GBを月末の数日で使い切るような人はそもそもahamoには向かないので、多くの場合、ケチらず早めに切り替えても問題ないと思う。 - (ドコモから他社へ乗り換えた後、ahamoに乗り換える場合など)「ドコモメール持ち運び」を利用中のdアカウントでは、ahamoを申し込むことはできない。この場合はdアカウントを新規発行して申し込み手続きしよう。
新規契約の手順
(2021年4月現在)
- 契約形態の選択 (ドコモからの移行か、新規または他社からの移行(MNP)か。SIMのみ契約か、スマホをセット購入するか。)
- 契約形態・オプションの選択(他社からの乗り換え(MNP)か/新規契約か、かけ放題オプションの有無、料金シミュレーションの確認)
- SIMのみ契約の場合は、対応機種の確認を求められる。スマホをセット購入する場合は、機種を選ぶ。
- dアカウントに関する注意事項。登録メールアドレスをキャリアメール以外に変更しておくこと、ドコモ回線が紐づいていないdアカウントでd払いを使っている場合はいったん残高が消えて1週間程度で返還されることなどに同意を求められる。
- dアカウントを持っている人はログイン、持っていない人は作成。
- MNP転入(番号そのままで他社からのりかえ)の場合は、MNP予約番号または転入予定電話番号などの入力※
- 本人確認書類の選択
- マイナンバーカードまたは運転免許証を選んだ場合は、本人確認の方法(eKYCまたは本人限定郵便)を選ぶ。eKYCの場合に限り、家族や宅配ロッカー受取もできる。
- eKYCを選んだ場合は、Liquid eKYC での本人確認(後述)を済ませる
- 契約者氏名住所等を入力。
しかしdアカウントでログインしているのに、dアカウントの情報が入力されることはないし、番地など半角数字を入れると全角で入力しろと言われる。不親切。しかも全角マイナス「-」を入れるとエラーになり、長音記号「-」を入れると通る。バグってる? - ネットワーク暗証番号(数字4桁)の指定、受け取り日時の選択、契約申込書の確認方法(オンラインまたは郵送)を選択、利用者の確認(未成年が利用する場合は年齢確認手続きが入る)。ネットワーク暗証番号は後々手続きで使うので、忘れないように。
- 支払い方法の設定。クレジットカードと銀行口座振替どちらか。
- 「ご契約にあたっての注意事項」の確認と同意を求められる。しかしものすごくたくさんあるし、ahamoに関係なさそうなものまで見させられる(-_-;。例えばdポイント絡みの個人情報第三者提供などを、なぜ回線契約に紐づいて一括同意を求められるのか不可解。個別に情報提供拒否を選択することもできない(パーソナルデータダッシュボードにログインして後から解除することはできる)。
- 契約約款・プライバシーポリシーへの同意を求められる。
- 最後に注文内容の確認。ここで「注文を確定する」を押すと終了だが、注文完了まで20秒程度かかるので、ブラウザを閉じずに待つよう案内される。
- 「申し込みの完了」画面が出て、受付番号(英数字の羅列)が表示される。この受付番号は後で荷物追跡や回線開通手続きに使うので、控えておくこと。
本人確認書類の不鮮明などで再登録を求められる場合などには、翌営業日以降にメールで連絡が来るので、メールを確認しておこう。 しかし手続きが問題なく進んで出荷された時にメールは来ない。やっぱり不親切(^^;。
荷物(SIMカード)の追跡や、SIMカードが届いた後の開通手続きには、受付番号と、申込時に入力した連絡先電話番号、ネットワーク暗証番号を使う。忘れないように控えておこう。
しかしこの長~いプロセスを見ると、ドコモはオンライン専用プランのメリットをあまり活かせていないように見える。せっかくdアカウントがあるのに、それをプロセス圧縮に活かせていないのも残念(他社を見習えばいいのに)。
政府の横槍で歪められた経緯があるにせよ、オンライン専用ブランドと割り切って別建てにした方が、利用者目線でも良かったような気がするね(^^;
eKYC
eKYCによる本人確認を選ぶと、「Liquid eKYC」が使われる(povoと同じ)。
これ自体はよく出来ているが、パソコンに搭載されているWebカメラなどで、画素数の少ないものを使うと、本人確認書類が不鮮明で再登録を求められることがある
また、Liquidの不具合でAFが働かないのか、Androidスマートフォン+Chromeブラウザを使うと、画素数が充分でも、カード(本人確認書類)にピントが合わなくて実質使えないことがあった(右図)。機種を選ぶのはどうかと思うが、もし不鮮明等の理由で再登録になってしまった場合は、Liquid eKYC がその機種に未対応と思われるので、できれば他の機種で試してみると良い。
iPhone・iPad ではスムースに動作したので、持っている人は、申込時だけそれを使うと早いと思う。
ちなみに、eKYC がうまく動作しなくても宅配での本人確認に切り替えることはできず、変更したい場合は一旦キャンセルして改めて申し込む必要があるようだ。やっぱりドコモは不親切(-_-;
開通手続き
新規契約(MNP転入を含む)するとき、または機種セット購入したときは、SIMカードの交換と、後述の開通手続きが必要※。
ドコモからahamoへ変更する人は、ドコモで4G (Xi) プランを使っていた場合は原則としてSIMカードの交換不要。ただし、ahamoの機種をセット購入した場合と、古いSIMカード(バージョン3以前:ブルー、グリーン、ホワイト)を使っている場合は、新しいSIMカードが送られてくるので、後述の開通手続きが必要になる。
いずれの場合も、ahamo新規契約時のSIMカードの送料は無料※。
開通手続きは、「ahamoお手続きサイト」か公式アプリで行う。このときに、申し込み時の受付番号(英数字の羅列)、連絡先電話番号とネットワーク暗証番号(数字4桁)が必要になる。
MNPでない新規契約(新しい電話番号発番)の場合は、ahamoのSIMカードを入れたスマートフォンから1580に通話発信しても切り替え手続きできる。
なお、新規契約時(MNP転入を含む)の月額基本料は日割り計算。ドコモの既存プランから変更する場合は、切替月は月額料金の高い料金プランのみ課金される。解約月は満額請求される。
ドコモショップでの有料サポート
ahamoはオンライン専用プランで、ドコモショップでの申し込み・各種手続きはできないが、申し込みや手続きに不安がある人は、ドコモショップでの有料サポートを利用できる。
申し込みのサポート、手続きのサポートともに、1回あたり 3,300円。 1回あたりの時間制限は無いようだが、今は感染症対策で来店予約が必要。
手続きは自分で行う必要があり、店員が代行してくれるわけではない。端末の操作すら難しいという人には、ahamoは勧められない。あくまで基本的な端末操作は自分でできるが、ほんの少し手助けしてほしいという人向けのサービスだ。
また、申し込みとSIMカードの設定は同日にはできないので、申し込みとSIMカードの設定・開通手続きの両方でサポートを利用する場合は、2回分の料金になると思われる。
dポイント利用者情報登録
ahamo契約後に「■オンライン発行dポイントカード番号ご登録のお願い■」というメールが届く。
登録自体は簡単で、dポイント利用者情報登録を開いてdアカウントでログインし、「オンライン発行dポイントカード番号」の「登録する」ボタン(右図)を押すだけ。
確認を経て、「オンライン発行dポイントカード番号」が発行・登録される。この番号は表示されない(伏字で表示される)ので、控えておく必要すらない。何に使うのか謎。
登録自体は簡単だが、すでに普通の(物理カードの)dポイントカード番号と、d系アプリで表示される自動発行のdポイントカード番号があるのに、わざわざ手間をかけ(させ)て、こんなにたくさんdポイントカード番号を発行させてどうするつもりなんだろう?
また、『※「ahamo」のご契約をキャンセル・解約』した場合にも登録しろというのも不可解。
先行エントリーキャンペーンのdポイント獲得手続き
先行エントリーキャンペーンに応募した人は、回線開通後にdポイント獲得手続きが必要。ahamoが紐づいたdアカウントでログインし、エントリー時のメールアドレスと電話番号を入力すれば手続き完了。
でも複数のメールアドレスを使っている人は、エントリー時のメールアドレスを確認する術がないのよね(^^;。手続きできるのは1回のみで、メールアドレスと電話番号の組み合わせが一致しないとポイントプレゼント対象外になるそうだ…
パーソナルデータダッシュボード
ahamoを契約して数週間経った頃から、光回線などの勧誘電話が頻繁にかかってくるようになった(-_-;。
筆者はahamoの電話番号を他で使っていないので(着信転送できない電話番号を使いだすと後々面倒なので今後も使うことはないだろう)、この番号を知っている人はほとんどいないはずだが、通知された着信電話番号を検索してみたら案の定、「NTTドコモコンサルティングセンター」と出てきた(-_-;。
こうした勧誘が気になる場合は、【パーソナルデータダッシュボード > 第三者提供の管理 > 個別詳細設定】(右図)で全てのチェックを外しておくと良いようだ。
ドコモからahamoに移行(プラン変更)した人は、ドコモの頃に全てのチェックを外してあったとしても、ahamoに変更するとまた第三者提供のチェックが入ってしまうので※、ahamoに変更した後で改めてチェックを外す必要がある。
そもそも、わざわざ手間をかけてチェックを外した人は、勧誘電話等を受けたくないと明確にオプトアウトした人なのだから、勧誘電話等を再開してもドコモグループの心証を悪くするだけだろう。ここは素直に元の設定を引き継ぐのが賢明だと思うのだが?
なお、このチェックを全て外すと、dポイントやd払いの付加的な特典に影響するかもしれないが、筆者はdポイントやd払いをあまり使っていないので、気にせず止めた。
これで不利益があっても筆者は関知しないので、気になる人はチャットで相談して勧誘電話だけ止めてもらうなど、よく調べてからにしよう。
支払い方法とポイント
月額料金は、契約月は日割り、解約月は満額請求。つまり契約はいつでもいいが、解約は月末近くの方がお得になる。
1ヶ月単位の契約で、契約解除料などはかからない。いわゆる縛りは無い。
ただしドコモの他のプランからahamoに変更する場合は、変更月は月額料金の高い方のプラン料金が満額請求されるとともに、旧ドコモプランの解約金は留保される。→2021年10月 1日にて全廃された。現在は、解約金・留保された解約金は請求されない。
支払い方法はクレジットカードと口座振替を利用できる。
しかしドコモでは、auじぶん銀行やPayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)などの競合他社が参画するオンラインバンキングは利用不可(-_-;。
利用明細はWeb明細のみ(郵送不可、支払証明書の発行は有料、ドコモの「eビリング」と同じ扱いだが値引きは適用外)。
利用額1,000円(税別)につき10ポイント貯まる。つまり月額料金に対して毎月20ポイント貯まる(満額請求月、オプションや通話料が無い場合)。
ahamoではdポイントの利用は任意ではなく必須。申込時に「dポイントカード」発行済みの「dアカウント」が必要(ポイントカードは物理カードだけでなくアプリで発行したものでもOK)になるので、まだ持っていない人は先に用意しておこう。→#新規契約を参照
また、ドコモを利用中でdアカウントのIDにドコモのメールアドレス (@docomo.ne.jp) を設定している場合は、連絡先メールアドレスを登録しておこう。
dポイントをまとめる
dアカウントに紐づけられる回線は1つのみなので、すでにドコモ/ahamo回線が紐づいているdアカウントを使って新規契約(MNP転入を含む)はできない。複数回線契約したい場合は、新たにdアカウントを作って契約する必要がある。
この場合、dポイントはバラバラに付くことになるが、後で「dポイントクラブ会員統合」の手続きをすれば、ポイントをまとめることができる(Webで手続きすればahamoでも可能)。
ただしこの場合、「統合される側」のdポイントクラブは自動的に廃止されるため、キャンペーンやクーポンが無効になることがある。機種購入などでキャンペーン適用になっている場合は、ポイントが付いてから統合する方が良いだろう。
また、「統合される側」のd払い口座(ドコモ口座)は廃止され、残高が消滅する、または返金手数料を徴収されるため、「統合される側」になる予定のアカウントではd払いを使わない方が良い。もしd払い残高がある場合は使い切ってから統合しよう。
または、ドコモショップに出向けば、「ポイント共有グループ」を組んで共有することもできる。都合の良い方でどうぞ。
ahamoアプリとデータチャージ
Android用・iPhone用のアプリが提供されており、データ使用量や料金の確認、追加データチャージなどを利用できる。
データ使用量は今月の使用量(残量)(右図)と日毎の使用量を見られる。
ahamoを使っているスマートフォンでアプリを起動すると、携帯電話番号(自動入力済)とネットワーク暗証番号でログインする。Wi-Fiや他の回線でログインする際は、dアカウントのID・パスワードと2段階認証を求められる。
アプリを使うとネットワーク暗証番号(数字4桁)のみでログインできるものの、都度ログインを求められるのは少々煩わしい。回線を使うとログイン不要でデータ量を確認でき、個人情報の参照や手続きに入るときにSMS認証が入るワイモバイルなど他社の方が使い勝手が優れている。
また、ほとんど変わらない料金が最初に表示されて、気になるデータ使用量が下の方に表示されるのは、あまり利用者目線に立っていないように感じられる。
ちなみに同じものはホームページでも見られ【左下の「≡メニュー」 > ログインページへ > dアカウントでログイン】、データチャージもホームページでできる。パソコンやタブレット端末等で使っていてアプリを使えなくても支障はない。
チャットサポート
当初はだいぶ混雑していたようで、なかなかつながらなかったが、6月に入るとだいぶ落ち着いたのか、休日や昼休みなどの混雑時間帯を除いて、あまり待たずにつながるようになった。平日日中の空いている時間帯を狙うと、ほぼ待たずにストレスなくつながる(つながらない時は、一旦終了→再度開始する)。
筆者が少し利用した範囲では、某社の地獄待ち・テンプレ回答チャットと違い、ahamoのチャットサポートは返答が的確で、うまく機能しているように見える。ahamoを使っていて困ったことがあったら、気軽にチャットサポートに相談してみると良いだろう。
有人対応は毎日9:00~20:00。夜間~早朝はチャットボット(自動応答)になる。
注意点としては、チャットウィンドウが小さすぎて会話がすぐに流れてしまうことと、チャットを閉じるとすぐに履歴が消えてしまうので、こまめにメモを取っておく必要がある。
また、スマートフォンでも使えるが、なるべくパソコンを使う方が良いと思う(文字入力しやすいのはもちろん、コピー&ペーストでメモを取る操作もしやすい)。
パソコンが使える人には、聞き直したりメモを取ったりする手間がかからないぶん、電話よりも便利だが、スマートフォンしか無い人には、チャットサポートは面倒かもしれないね(どうだろう?)。
オンライン手続きサポート
2023年 3月27日より始まった。新規契約や機種変更の相談、各種変更などのオンライン手続きに困った時にチャットやビデオ通話でサポートを受けられる。
ドコモのオンライン窓口と共通運用で、ビデオ通話は午前10時~午後7時(年中無休)。ただしahamoでは「オンライン来店」は利用できない。
そもそもチャットやビデオ通話が無理という人には向かないが、そのあたりに支障が無い人はオンラインでサポートを受けられる。
紛失・盗難
電話機の紛失・盗難等で回線を停止(中断/再開)したい場合は、公式サイトからWebで手続きできる。その際、dアカウントのログインが必要。
他のインターネット接続を持っていない、パスワードレス認証などのためdアカウントにログインできない等のやむを得ない事情がある場合は、原則として中断・再開のみ、コールセンターでも受け付けてもらえる(本人確認のため契約電話番号とネットワーク暗証番号が必要)。
■ドコモインフォメーションセンター ahamo担当
電話番号:0120-087-360(9:00~20:00、中断・再開は24時間年中無休)
故障・修理
ドコモショップやドコモオンラインショップで購入した機種が故障した場合は、オンライン修理受付サービスと、ドコモショップでの修理受付を利用できる。
オンライン修理受付が手軽で良いと思うが、故障した機種以外にインターネットにつながる端末を持っていないとか、dアカウントにログインできない※、留守がちで集荷を待てない※といった人は、ドコモショップに持ち込むと良いだろう。
オンラインでの修理受付は、メンテナンス中(毎週火曜日 22:30~翌朝7:00)以外は24時間受付。往復送料は無料で、修理代金は翌月分の通信料金などと合算で支払う。
修理代以外の費用はかからないが、代替機貸出は有料(2,200円)。
複数回線持っている人や、固定電話等がある人は、修理中だけ着信転送を設定するなどして代替機を借りない人も多いと思うが、ahamoは着信転送ができないのが困りもの。わざわざ着信転送を塞いでおいて代替機貸出費用を取る態度は、細部に罠というか、まあ不親切だなと思う。
ドコモオンラインショップで機種購入時に「ケータイ補償サービス」に加入している場合は、ahamoでも引き続き利用できるが、申し込みはahamo公式サイトまたはアプリから行う(コールセンターでの手続きは不可)。また「ケータイデータ復旧サービス」「ケータイお探しサービス」は利用できない。
SIMフリー機種が故障した場合は、一般に、メーカーに修理を依頼する。
ヨドバシカメラやビックカメラなどの大手家電量販店で購入した商品は、購入したお店でも修理を依頼できるが、確認のため購入時のレシートやポイントカードを持参しよう。
一般に代替機の貸出は無いので、着信転送できないahamoを使っていると不便だが我慢しよう(-_-;。
Apple製品(iPhone・iPad)が故障した場合は、Appleの修理サービスを利用できる。オンライン修理依頼、または Apple Store や正規サービスプロバイダ店舗への持ち込みだが、来店の際は予約が必要。
やはり代替機の貸出は無いので、着信転送できないahamoを使っていると不便だが我慢しよう(-_-;。画面割れや電池交換などの特定の修理は即日対応できるお店もあるので、急ぐ場合は即日対応できるお店へ持ち込むのも方法だ。
災害対策
大規模災害により通信障害が発生した際には復旧エリアマップが随時更新される。
災害発生時は災害用伝言板が開設される※。電話番号で安否情報とコメント(全角100字まで)を登録でき、電話番号を知っている親戚・友人等に安否を知らせることができるので、登録しておこう。
2024年 1月 1日に発生した能登半島地震では、災害救助法が適用された地域に住所(契約者住所または請求書送付先住所)があるユーザーに「災害時データ無制限モード」が適用された(申込不要で自動適用)。
被災地での情報収集などを行えるよう、「災害時データ無制限モード」適用中は、契約データ容量を使い切っても制限されなくなる※。また、実施期間中に購入済みの追加データ量(1GBあたり1,100円)は無償になる措置が取られる(大盛りオプションの料金は請求される)。
一部手数料の無料化や故障修理代金の無料化・一部減額なども実施されているが、SIMカード再発行手数料などはオンラインで手続きすると無料対象外になるため、対象地域内のドコモショップまで出向く必要がある。
これらの支援措置は、他地域在住で帰省中・旅行中に被災した人には適用されない。
また、SIMカードの再発行をオンラインで手続きしても、ゆうパックの引受・配達が停止している地域では届かないので、対応機種を使っている場合は、無料で再発行できて配送も不要なeSIMの利用も検討されたい。
能登半島地震では発災9日後に一部郵便局の窓口営業が再開したが、依然として配達できない地域は多いようだ。
「郵便局窓口では受け取りできません(不在票持参時を除く)。」と案内されているが、筆者がSIMカードで契約した時には、特に転送不可や郵便局受取不可の指定は無かった(右図)。でも配達停止地域や避難所にいて郵便局で受け取りたい場合などは、念のためSIMカード再発行手続きをする前にチャットサポートにつないで事情を説明する方が良いと思う。
ちなみに、ゆうパックは問い合わせ番号で検索すると、下の方に「配達変更のお申し込み」リンクが出て、そこから受取方法の変更ができる(ゆうびんID登録不要、リンクボタンが出ない場合はWeb受付できない状態なので電話で問い合わせを)。
このほか、公衆無線LANサービス「00000JAPAN」(各社無料開放)と、ドコモショップ、au・UQショップ、SB・YMショップ、楽天モバイルショップ(各営業時間内のみ)の無料充電サービスは、契約キャリアを問わず利用できる。
解約・MNP転出
解約・MNP転出(に使う予約番号の発行)手続きも、基本オンラインで完結する。
解約時は基本料金の日割り計算はなく、解約予約もできない。 料金は月末までしっかり満額取られるので、月末近くに解約する方がお得になるが、月末に混雑やトラブル等あって手続きできないと翌月扱いになってしまうので、月末ぎりぎりではなく、少し余裕をもって手続きする方が良いだろう。
手続きはパソコンでもスマートフォンでもできるが、ahamo回線でログインすると解約手続きを進められなくなるので※、Wi-Fi等につなぐか、パソコン等で解約手続きすると良い。
MNP転出
MNP転出(番号そのままで他社にのりかえ)に必要なMNP予約番号は、メンテナンス中(毎週火曜日 22:30~翌朝7:00 など)以外は24時間受付で、即日発行できる。解約金・手数料はかからない。
ahamo公式サイトまたはアプリから手続きに入るが、途中から「ドコモオンライン手続き」 (My docomo) での手続きになる(右図)。
MNP転出の場合、通常の手続き(MNP予約番号を発行し、転出先で開通手続きをすると同時に自動解約)のほか、「切断型MNP」と呼ばれる、先に解約を確定させる即時解約手続きも選べる(右図)。
通常は「MNP予約番号発行のお手続きに進む(推奨)」を利用する方が良いが、OCN モバイル ONE や BIGLOBEモバイルなどの初月無料になるMVNOに転出する場合は、月末近くにドコモの即時解約と同時に予約番号を発行し(切断型MNP)、MVNO等で契約(MNP転入)手続きを始めて、月をまたいでから開通手続きすると、料金を無駄なく使うことができる。
ただし「切断型MNP」を使うと先に回線を解約してしまうので、電話番号を使えない期間が生じる上、不測の事態があってもキャンセルできない。例えば転出先で端末の在庫が無い、配送が遅延した等のトラブルがあって、MNP予約番号の期限(発行日を含む15日間)までに開通が間に合わないと電話番号が消滅するリスクもある。
このため、詳しい人が自己責任で利用するぶんには便利なのだが、一般には勧められない。
余談になるが、MNP予約番号は発行したら数日中に使うことを前提にしよう。オンラインで契約するMVNO等では、残り期限が概ね10~12日以上ある番号でないと、MNP転入手続きを進められない所も多い。ワイモバイルやUQモバイルなどの店舗で契約する場合には期限内であれば出来るが、MVNOやLINEMO・povo 2.0などのオンライン契約が前提のキャリアに乗り換える場合は、MNP予約番号を発行したらすぐに使うのが鉄則だ。
一括請求やファミリー割引があると解約できない
家族で(または1人で複数)ドコモを使っている/いた場合など、一括請求(の主回線)やファミリー割引(3回線以上)に入っていると、解約手続きを進められない。この場合は先に廃止手続きをする必要があり、オンラインでできない(後述)ため、手続きに時間がかかる。
ahamoに移行を済ませたら、一括請求やファミリー割引などは余計な縛りになるだけなので、なるべく早めに解約しておこう。
と言っても、家族にドコモがいるとなかなか変えてもらいづらいだろうが、できれば家族も含めて順次ahamoかMVNO等に移っておく方が、後々縛りが解けてすっきりすると思う。
dポイント共有グループが廃止される
dポイント残高はdアカウントに紐づいているので、dアカウントがあれば、回線解約後も引き続き使うことができる。
ただし、「ポイント共有グループ」の代表回線になっている場合は、回線を解約すると共有グループが廃止されるので、必要に応じ、回線解約前に代表変更の手続きをしておこう(オンラインでは出来ないので、ドコモショップまたはコールセンターで行う必要がある)。
d払い(ドコモ口座)残高が消滅する
ドコモ回線に紐づいた「ドコモ口座」(d払い残高)は、ドコモ回線のMNP予約番号を発行すると凍結され、ドコモ回線を解約すると自動解約される。
このとき、チャージ残高が残っていると返還手数料550円を取られてしまうし、プリペイド残高は消滅してしまう。
「d払い」(ドコモ口座)を使っていて残高がある場合は、前もって残高を使い切っておこう。「d払い」で買い物などに使うほか、ケータイ料金に充当もできる。
ちなみに競合の「PayPay」は回線契約とは独立しているので、ソフトバンク・ワイモバイル回線解約後もそのまま使い続けられるし、携帯電話番号はSMS認証くらいにしか使わないので、他社の回線と紐づけても(特典の多寡はあるが)何の問題もないのだが…
d系サービスは囲い込みが強すぎるし、ドコモは使えば使うほど、細部に罠が多い感を受けてしまう。これではせっかくのサービスを使いづらくなるし、一度嫌な思いをしたユーザーは気持ちが遠のいてしまうだろう。ドコモが事業戦略の要に据えた「スマートライフ領域」で、自ら足を引っ張ってしまっているのは残念だ。
なお、この使いにくさの原因になっている「ドコモ口座」は、2021年10月25日に「d払い」へ統合する形で廃止されることが発表された。具体的にどのように「より分かりやすく便利に」なるのかは不明だが、「ドコモ口座」が足を引っ張っているのは確かなので、上述のような使いにくさが解消されることを願いたい。
オンラインでできない手続きに要注意
オンライン専用プランと謳いながら、オンラインでできない手続きがある。
例えば、ahamoだけでは一括請求サービスを利用できないが、ドコモの他のプランとの一括請求を組むことはできる。そのとき、ahamoを代表回線にすることもできる※。
ところが、一括請求の手続きはコールセンター(151)かドコモショップでしかできず、しかしahamoはオンライン専用なのにオンライン手続きが用意されていないため、ahamoを代表回線にすると一括請求の解除手続きができなくなってしまい、申込書を印刷して郵送で全廃止の手続きをする必要がある。
ドコモでは一括請求の代表回線になっている回線は解約・MNP予約番号発行等の手続きができない※ため、解約等する際は予め書類(PDF)をダウンロード・印刷し、手書きして郵送する手間と時間がかかる※。
例えば解約時の料金は日割りにならないから、月末など間際に解約する人が多いと思うが、間際に気づいても、書類の手続きには2週間ほどかかるので、月末近くに解約/MNP転出しようと思って手続きを始めても、当月中に間に合わないことがある※。なんて恐ろしい罠だろうか(笑)。
なお、一括請求を解除した後の元・子回線は、ahamoでも請求書払いになるが、速やかにクレジットカード(または口座振替)を設定しておこう。支払い方法の変更(登録)はオンラインででき、クレジットカードならばすぐに適用になる。請求書払いのままにしておくと毎月発行手数料(165円)を徴収される上、コンビニ等で支払う手間が生じる。
また、ahamoはファミリー割引の対象外だが、他のドコモプランを使っている場合は、ahamoもファミリー割引の回線数に含めることができるので、ファミリー割引を組むことができる。しかしこの手続きも組むのは容易いが解除は面倒で、ahamoの場合は郵送になってしまう。
余談だが、ドコモの機種を購入してahamoで使いたい場合は、まずオンラインショップで「5Gギガライト」で新規契約する※のだが、その時にファミリー割引を組んであると、なぜかWebでの開通手続きができず(右図)※、コールセンターで有人対応になる。理由は不明。
どうもドコモには原則コールセンターまたはショップで行うことを前提とした旧態依然とした手続きが多く、そこに(本来は別ブランドで展開するつもりだった)ahamoを無理にねじ込んだものだから、オンライン専用と謳いながら矛盾が生じているようだ。
「オンライン手続きプラン」を謳うからには、手続きは一般の利用者にもできるように簡素化した上で、全てオンラインでできるようにシステムに載せるべきだが、システム整備が間に合わずに過渡的な対応をしているのか、またはする気がないのか。
今のコロナ禍において、ましてや最新の通信技術を扱っている会社が、足元ではショップに出向かないと手続きできないだとか、手書き書類を郵送しろだといった、前近代的な手続きを放置しているのはどうなのだろうと思ってしまう※。
開通手続きの際にコールセンターで有人扱いになったものだから、少し聞いてみたのだが、特に理由はないようで、担当者もなぜWebで開通できないのか疑問に思っていた。詳しい自社スタッフですらわからない謎ルールがドコモには多いのに、それを一般の人に全て理解して自己責任で手続きしろと言うのは無理がある。ドコモはもっと積極的に手続きの簡素化・自動化を進めるべきだろう。
「プレミア」と「ニュー」
2020年12月 3日の「ahamo」発表時に、ahamoは高コスパの「ニュー」、従来のプランはフルサポートの「プレミア」と整理された(右図)。
ahamo発表から約2週間後の18日には、後者の「プレミア」、すなわち既存の料金プラン見直しに関する説明会が、メディア向けに開催された。一般(メディア以外)には非公開だが、説明会資料は投資家向けに公開されている。
まず特筆すべきは、これまで業界慣行となっていた、期間限定の値引きキャンペーンが全廃されることになった(2021年 4月 1日より)。
新規契約(MNP転入を含む)後の数ヶ月など、一定期間しか適用されない値引き後の価格を前面に出す広告宣伝が業界慣行になっていたが、そうした売り手都合の騙し討ち的な業界慣行を改善する動きは歓迎したい。
実際、2019年10月より「縛り」や「キャッシュバック」などが制限されたことから、一定期間だけの大幅値引きは合理性を欠き、縮小傾向になっていた。また、携帯電話サービスに関するトラブルのうち、契約・解約に関する相談が多く寄せられているという。短期間の値引き後の料金を前面に出す広告宣伝や、高額な解約金(こちらは2019年10月以降の新規契約では規制されている)など、利用者の誤解を招きやすい業界慣行が問題視されていると言えそうだ。
ドコモは今なお国内最大のシェアを持っているから、他社の客を取るだけでなく、既存客の流出を食い止める施策も重要になる。ahamoの「ニュー」が他社の客を取る役割を担う一方、既存プラン「プレミア」にもテコ入れして、流出を食い止めようとしているわけだ。
「ニュー」(ahamo)は単身者向けだとして、家族割(みんなドコモ割)や光セット割などの対象外とされた※一方で、「プレミア」(従来プラン)はファミリー向けと整理され、家族割等が継続提供される。
既述の通り、「ニュー」(ahamo)にはドコモショップやコールセンター等でのサポートが提供されないが、「プレミア」(従来プラン)にはドコモショップなどでのサポートが提供されることも、大きな違いとなっている。
ギガホ プレミア
気になる料金面では、従来の「ギガホ」(大容量)と「ギガライト」(小容量)の2本立てが引き継がれている。
このうち大容量の「ギガホ」では、月額基本料を 600円(税別、4Gプラン)~1,000円(税別、5Gプラン)引き下げた新プランが提供予定(右図、2021年 4月 1日より)。
また、「ギガホ プレミア」には3GB未満の利用月に1,500円の自動値引きが追加された(右図)。これは、少ししか使わないのにショップが勧めるままに大容量の契約をして、見直さないまま不満を零す人がいるようなので、そうしたいわば「リテラシー」の低いユーザーへの手当てなのだろうが、海外出張が多いなど月々でデータ使用量が大きく変わる人(少数だろうが)にも良さそうだ。
4G機種向けと5G機種向けで別プランになっており、4Gプランでは60GBまで※使える。5Gプランは月額税別100円高く、データ容量は無制限※6になる。
通話料は従量制(税込22円/30秒)で、通話定額は別料金。しかも2年契約で、更新月以外の解約等は解約金1,000円(税別)を徴収される。
2021年4月1日提供開始予定の新プランは「5Gギガホ プレミア」「(4G)ギガホ プレミア」となっており、従来の「ギガホ」とは別のプランになっているので、従来の「ギガホ」契約者は値下げされず、値下げを受けるにはプラン変更手続きが必要になりそうだ。
また、「月々サポート」「docomo with」などの昔の割引が適用されている人は、プラン変更すると割引がなくなるので、変更しない方がお得かもしれない。こういう人は個別の判断になるので、気になるならドコモショップに相談に行くと良いだろう。
ギガライト
小容量の「ギガライト」は、2020年現在提供中のプランから変更なし。料金も変わらない。
しかし、「ギガライト」は最小の1GB未満でも税別2,980円(2年契約)もするし、家族割などが適用になっても3GB未満で税別2,980円(同)。しかも通話定額は別料金(家族割適用時には家族間のみ無料通話となる)。
前述の「ギガホ プレミア」が、1~3GBの利用月にはギガライトと概ね同額になるので、2021年4月以降は、ドコモショップ等では「ギガホ プレミア」が売り込まれることになるだろう。「ギガライト」も残るが、あまり使われなくなりそうに思う。
例えば、「ギガホ プレミア」を利用中の子育て世代の親が、子どもに持たせる端末で1GB以上使わせたくないといった特定の用途であれば、一定の合理性がありそうだが、単身や夫婦のみといった利用であれば「ギガライト」を選ぶ理由はなく、ahamo や他社に乗り換える方が経済的になりそうだ。
もっとも、「ギガライト」は小容量とはいえ「プレミア」に入っているので、ドコモショップでのサポート対象になる。普段からドコモショップによくお世話になっている人は、サポートサービスを受ける対価だと割り切って、割高な「ギガライト」を選ぶのも一案だろう。
逆に、現在「ギガライト」を利用していて、ドコモショップに相談に行く機会がなく、キャリアメール(~@docomo.ne.jp メールアドレス)不要の人は、ahamoへ移行するのが得策だろう。
ドコモショップ不要で30GBで足りる人はahamoがお得
「プレミア」(ギガホ/ギガライト)は、「みんなドコモ割」(「プレミア」プランを3回線以上)「光セット割」「dカードお支払割」が全て適用されることを念頭に置いた価格設定(見せ方)になっており、ファミリー層※はこれからもしっかり縛っていこうという意思を感じる。
逆に、ここから漏れる(これらが適用されない/したくない)人は素直に「ニュー」(ahamo)に移る方がお得になりそうだ。
なお、ahamoには家族割が適用にならないが、「みんなドコモ割」「ファミリー割引」回線数に算入はされるので、「プレミア」を使っている家族には割引が適用になる。
ahamoはまだ始まっていないが、発表から2ヶ月で事前エントリーが100万件を突破するほどの人気ぶりだそうだ。「一年無料」の楽天モバイルが最初の3ヶ月で申込100万件だったというから、ahamoの勢いを感じられる。また、事前エントリーした人のほぼ半分が20~30代だそうで、若者向けプランの想定通りということだ。
一方、2020年12月時点で、ドコモには500万以上ものフィーチャーフォン(ガラケー)ユーザーが存在するという。また、既存客の7割が「みんなドコモ割」で3回線以上利用している(2回線を含めると8割以上になる)という。これらの大多数を占める既存客を留めることを狙ったのが「プレミア」だ。
言い換えれば、「みんなドコモ割」などを利用していない2割弱の少数ユーザーは、ahamoに移行するのがお得になりそうだ。
また、「プレミア」ではドコモショップのサポート等と一緒に、従来プランのわかりにくさもそのまま引きずっている。例えば小さな字で長々と書かれた複雑な注意事項もほぼそのまま残っているが、よく見れば難解に感じる人が多いだろう。
ahamoや他社(サブブランドやMVNO)に移行すれば、従来のドコモショップに行かないと手続きできない、わざわざドコモショップに出掛けて散々待たされた挙げ句にくどくどと説明を聞かされる、家族割や光セット割などの複雑な条件に縛られるといったストレスからも解放される。
もっとも、中には月間20GB→30GBでも足りない人や、単身者でもドコモショップのサポートを必要とする人はいるだろうが、そういう人は大量に使う/サポートを受ける対価と割り切って、高価で煩雑な「プレミア」契約を続けるのも一案だろう。
でも、自分のデータ使用量を把握する、他社の料金プランを調べてみる、端末の設定くらいは自分でするなど、ちょっとした「リテラシー」を高めることができる人には、ahamoやMVNOを含む他社に乗り換えるなど、賢く使い分けることをおすすめしたい。
- 「5Gギガホ プレミア」「ギガホ プレミア」を提供開始 -大容量プランを見直し、よりシンプルでおトクに- <2020年12月18日>
- ドコモ、1000円値下げ「5Gギガホ プレミア」の狙いとは(ケータイWatch)
なお、法人契約の場合は回線数によって相対契約で大幅値引きされていたりするので、本稿では扱わないが、小規模事業所など法人契約でも定価で契約している場合は、ahamoは法人契約はできないので、法人契約割引が充実しているワイモバイルなど、他社への乗り換えを検討すると良いだろう。
余談
余談は執筆当時の内容。後で変更等された事項にあえて触れておらず、そもそも余談なので、重要なことは書いていない。古い話に興味が無い人は読み飛ばしていただきたい。
発表会の様子
今後の料金戦略に関する発表会(2020年12月 3日開催)、プレゼン資料
ドコモブランド?サブブランド?
ahamoはNTTドコモの1料金プランとして発表されたが、同社の既存プランとは立て付けが異なっており、注意点が多い(後述)。従来の「docomo」ではなく「ahamo」という看板を前面に出しているところからも、他社の「ブランド」に似た位置づけと考える方がしっくりくる。
少なくとも当初はそのつもりだったのだろう。ファミリー割引などが対象外になり、既存プランからの変更はMNP扱いになっていた(MNP手数料は徴収されないようだが、契約期間がリセットされる、再びドコモの既存プランに戻る場合は再度手数料を取られるといったことが考えられる⇒契約期間は引き継がれることになった)など、他社で言う「サブブランド」と同様の立て付けになっていた。
また、ahamoプランと同時に発表されたahamo専用の新UIでは、docomoロゴが登場しないし、アンテナピクト表示も「ahamo」になっていた(右上図)※。つまり異なるブランドで展開される(少なくとも、そのつもりだった)ことを示唆している。
さらにahamo向けの端末も発売予定とされていた※。プリインアプリも厳選するとか言っていたので、きっと羊が出てきたりしない端末が用意されるのだろう。
看板を変え、窓口を変え、従来プランとの家族割なども対象外で、専用の(?)端末まで出すと言って、どう見てもサブブランドの体裁だけれど、発表会では図を少し描き加えて、サブブランドではないと言い張れば、サブブランドでないことになる不思議。
ここは早速つっこまれたようで、発表会後に一般非公開で実施された質疑応答では、記者の質問に答える形で「20代にとってのメインプラン。これからもメインだけでプランを複数作っていく」(井伊社長)と応じたそうだ。
井伊新社長は発表会の締めくくりでも「それぞれの使い方がその方にとってのメインのプランである」と述べていたが、ならば Y!mobile も UQ mobile も、誰かにとってのメインだろう。メインだサブだという話は提供側の都合でしかなく、使う人にとっては、自分に合うプラン(を提供するブランド)こそがメインだ。
このドコモ新社長の強弁は、メインだサブだといったつまらない議論の空虚さを浮き彫りにした。穿った見方をすれば、「サブブランド」議論に耽溺している政府や一部メディアを皮肉っているようにも見え、実に滑稽だ。
利用者目線に立てば、看板(ブランド)は本質的な議論ではなく、メイン(ドコモの既存プラン)と新プランの間を自由に行き来できるなら、看板はどうでもいいとも言える。
それはともかく、ahamo自体も迷走していた。2020年12月 3日に発表された後、開始前の2021年 3月 1日に料金が改定されるなど、詳細がめまぐるしく変わった。 ⇒新料金プラン「ahamo(アハモ)」の提供条件について(2021年1月14日更新、2021年3月1日再更新)
「ファミリー割引」の類も当初は対象外とされていたのだが、後に家族回線には算入されることになって、「プレミア」を契約している家族は割引を受けられるようになった(ahamoへの割引は無い)。
一方、ahamoでは留守番電話はおろか着信転送まで塞がれてしまい、「スマート留守電」などの他社サービスも使えないことから、通話もそこそこする用途には向かない。これが競合他社の「LINEMO」「povo 2.0」にも波及し、ドコモが悪しき慣習を生み出してしまった。
他にもキャリアメールが無い(後に「ドコモメール持ち運び」オプションサービスで提供されるようになった)、3Gが使えない(≒ガラケーは使えない)、ドコモショップやコールセンターでのサポートを受けられないといった、既存ドコモユーザーの移行ハードルはしっかりと設けてある。
もっとも、料金低廉化を目指すなら、コストセンターと化したドコモショップやコールセンターの縮廃は不可避だと思うが、仮にここが俎上に上るようだと、ドコモ本体の業績悪化圧力になるかもしれない。今は政権の気まぐれに振り回されているような状況なので、予断を許さない感がある。
今後、サブブランドでなく一料金プランだという主張に沿う形を整えるべく、プランやUIなどの修正が行われるかもしれないが、どこまで既存プランに寄せるのか/寄せないのかが気がかりだ。逆に、思い切って既存プランを大胆にいじる可能性もあるだろう。
先述の#機種の問題も然り、また例えば、ドコモの既存プランではSIMのみ契約(端末の割引を受けないで新規契約)すると8000ポイントもらえるキャンペーンが実施されているが、そもそも料金プランと端末を分離する競争政策の下では、同じブランドと言うなら、こうしたキャンペーンも受けられないとおかしいとなるだろう。
筆者の想像では、当初はサブブランドとして設計していたが、11月下旬に政権が態度を変えたので、ころころ変わる政権与党の要求にすり合わせる形で、ドコモブランドの1プランだと言い替えることにしたのだろうと感じられた。
その後、ファミリー割引などのカウント対象になる、オンライン手続き窓口がドコモと共通化される(入口は別)など、ドコモの1プランに寄せる形になったが、着信転送などの通話機能は使えないまま、また取扱機種は別のままで、ドコモショップでは購入できない(本来、回線契約無しでも購入できるはずなのだが)など、ちぐはぐさが残っている。
楽天潰し
月額基本料金が同じ、ネットワークは4G・5Gを利用でき、手続きは原則オンライン。キャリアメール無し、ポイント付与ありなど、楽天モバイル Rakuten UN-LIMIT V に合わせたようなプランになっている。
楽天モバイルは狭い自社エリア内に限り使い放題だが、自社エリア外では月間5GB制限。対してahamoはドコモの広いエリアで20GBまで(当時)使えることが、最大の違い。 でも楽天モバイルの使い放題エリアはとても狭いし、月々20GBも使えれば充分と考える人は多いだろうから、同じ料金ならば後者の方が魅力的に映る人が多いのではなかろうか。
また、楽天モバイルの通話定額には特殊なアプリ (Rakuten Link) が必要で、特殊なアプリを使わ(え)ないと高額な(税込22円/30秒)通話料を請求されるが、ahamoは標準的なVoLTE通話で通話定額を実現していると考えられる。国内で人気のあるiPhoneへの対応でも、ドコモの方が先行している。こうした細かな使い勝手の差も、ahamo優位に働きそうだ。
2021年3月のサービス開始時期は、楽天モバイルの本格サービス開始1周年と重なる。楽天モバイルでは1年無料キャンペーンを実施しているので、開始当初から使っている人の有料化タイミングと重なる。楽天モバイルの狭いエリアで満足している人はともかく、エリアに不満を感じている利用者も多いだろう。
この楽天の客を奪うチャンスとも言える、絶妙なタイミングで投入されるahamoは、まさに楽天モバイルを狙い撃ちする刺客となりそうだ。
対して2020年4月に本格サービスを開始した楽天モバイル (Rakuten UN-LIMIT) は、これまで「一年無料」キャンペーンを続けてきたから、ほとんどの利用者はまだ月額料金を支払っておらず、楽天が大枚をはたいて参入したMNO事業は赤字を垂れ流すばかりで、まだほとんど収入を得られていない。国内MNO事業を成功させるためには、せっかく獲得した利用者に、有料期間に入っても使い続けてもらう施策が重要だが、その重要なタイミングに合わせて、NTTは身を削ってでも楽天の客層を狙い撃ちするかのような格安プラン(ブランド)を投入してきたわけだ。
NTTの楽天嫌いは相当なものだと、改めて実感される。
MVNO潰し
ところで、楽天モバイルの Rakuten UN-LIMIT は、無料キャンペーンの終了後の月額基本料が3,278円(税別2,980円)と、従来の「格安スマホ」の平均単価に近い価格に設定されたこともあって、予てより「MVNO潰し」が危惧されてきた。
これに対してUQモバイルは2020年6月に月額3,278円(税別2,980円、通話オプションは別途)で「スマホプランR」を投入。これに応じてワイモバイルも既存の「スマホベーシックプランM」(月額税別700円高いが通話10分定額が含まれている)の制限を緩和。10GBに限られるものの、楽天モバイルの狭いエリアに満足できない人向けの対抗プランがMNOから続々と投入されてきた。
このすっかりレッドオーシャン化した「格安スマホ」市場に満を持して登場したのが今回のahamoで、競合他社の倍の20GBまで(当時)使えて5Gも使え、通話定額や国際ローミングも付いてくるという、まさに破格のプランが発表されたわけだ。
MNOによる低価格化の動きは、これまで「格安スマホ」市場で一定のポジションを持っていたMVNO各社の存在感を一層薄めることにつながる。例えばauのサブブランドとなったUQモバイルは、3GBプランを月額税別1,980円で提供しており※、これに対抗す形で2021年2月にはワイモバイルも3GBプランを月額税別1,980円で提供予定。MVNO大手「IIJmio」の3GBプランは月額税別1,600円(900+700円)だから、その差は380円まで縮まっている。
30GBプランを出しているMVNOもあるが、その価格は税別6千円台。今回ahamoが提示した2,980円という価格は破壊的だ。今の条件のままでは、MVNOはもう競争相手にならないだろう。
ドコモは多くのMVNOに回線を提供(卸売)しており、MVNOと競合するサブブランド(格安スマホ市場)への参入を躊躇ってきた。今でもドコモにMVNOを潰す利点はないと思うのだが、12月に就任したばかりの新社長が帰属するNTT持株会社には、楽天モバイルを潰す動機は大いにありそうだ。
その迸りを受けるような形で、ただでさえ薄利多売で販促費をかけられない事業構造であるMNVO各社が窮地に立たされる構図になってしまった。
もちろん、MVNO各社も手をこまぬいていたわけではなく、MNO各社のサブブランド等によるレッドオーシャンとなった月額3千円前後のプランよりもさらに安い小容量プランに注力する、または同じ価格帯でも1契約を家族で(複数回線)分け合って利用できるプランにテコ入れするなど、懸命な営業努力が続けられている。
つまり、現在「サブブランド」がしのぎを削る中価格帯市場よりも、さらに低い価格帯の市場での競争に軸足が移っている。ahamo発表当時は、この低価格市場にまでMNOが直接参入してくるとはあまり考えられていなかったが、シェア争いが苛烈化したことで、結果的にUQモバイルとワイモバイルが低価格帯に展開するきっかけを作ってしまった。
もっとも、競争が盛んになって安くなることは良いのだが、競争条件の非対称(大手に有利)が問題になっている。今回もあまりに動きが急すぎて、MVNO大手ですら「MNOからここまで安いプランが出ることは想定していなかった」そうだ。「接続料や音声卸料金を決定するMNOは、情報的に圧倒的に有利。料金設定では、MNOが圧倒的に早く消費者に対してリリースできる。MVNOは、MNOから情報開示されない限り対抗策が打てない」といった課題が指摘されている。 mineo、BIGLOBEモバイル、IIJmioなどの大手MVNOは大胆な料金体系の見直しを前倒し実施して対抗を急ぐが、MNOとの価格差は縮まっている。体力のないMVNOは存続の危機に立たされている。
ahamoは開始前からドコモ既存プランのMNP転入増に貢献する一方で、せっかく育ちつつあったMVNO(格安SIM)のシェアの伸びが頭打ちになるなど、「官製値下げ」は早くもMNO回帰の呼び水となり、競争政策を担ってきたMVNOへの逆風は強まっている。
MVNO(格安SIM)は数こそ多いが、ピークに合わせて10Mbpsあたりの接続幅を決めねばならない接続料算定方法をはじめ、元よりMVNOに課された競争条件は厳しいものがあった。最大手の楽天モバイルは「MVNOは奴隷みたいなもの」と言ってMNOに転身したし、他社もMNOの出資を受け入れるなど様々な経緯を経て、MVNO上位10社のうち6社はMNO傘下に収まっている※。
ただでさえ寡占化が進んでいた「格安SIM」「格安スマホ」市場において、さらに今回の「官製値下げ」が、独立系の体力を削ぎ、経営体力に乏しい小規模MVNOの淘汰を進めるなどして、競争政策とは真逆の「官製寡占化」になりかねない。
なお、楽天モバイル (MVNO) はMNOサービス開始に伴い新規受付を終了している。IIJmio は「独立系」としている記事も散見されるが、IIJmio(BIC SIM を含む)を運営するIIJはNTTグループの関連会社。
元をただせば、こうしたMNOによるMVNO潰しにもなりそうな一連の動きを後押ししたのは政府与党だ。元々MVNOは、完全自由化した携帯電話市場において総務省の競争政策の中核を担ってきたわけだが、これに不満を持つ政権幹部による安易な口先介入が、せっかく育ちつつあった「格安スマホ」事業者を危機に陥れているという、なんとも皮肉な構図になっている。
接続料の計算方法をはじめ、MVNOが置かれている現状には様々な課題がある。総務省が本気でMVNOに寄り添い、支えることができるかが問われている。
- 接続料の算定等に関する研究会(総務省)
- 通信3社が低料金プランを3月開始へ、値下げで進む大手の寡占(日経ビジネス、2021年 1月 5日)
- MVNOが「携帯大手の廉価プラン対抗は困難」、接続料や音声卸料金の引き下げを総務省に要望(ケータイWatch、2021年 1月20日)
- MVNOの業界団体が総務省に「要望書」を提出 接続料や音声卸料金の低減を求める(ITmedia Mobile、2021年 1月20日)
- MVNOに聞く ahamo対抗プランをいち早く打ち出した日本通信 なぜここまでの値下げが可能なのか?(ITmedia Mobile、2021年 1月29日)
- ドコモ2980円と楽天モバイル0円に挟撃されたMVNO、追随値下げだけで対抗できるか(日経XTECH、2021年 2月 1日)
NTT持株vsドコモプロパー
とりあえず、NTT持株会社が楽天潰しに本気だということはよくわかったが、同時に、親方日の丸のNTT持株会社とNTTドコモの対立が改めて浮き彫りになった。
2020年 9月29日、NTT持株会社によるNTTドコモの完全子会社化の方針が発表された。
コロナ禍で株価が低迷しているのを好機と見たのか、NTT持株は巨額の借金をしてまで、上場子会社のNTTドコモの全株式を買い取ることにした。TOB価格は1株あたり3,900円。9月28日時点の終値2,775円から見れば割高だが、同年3月頃には3,500円をうかがう時期もあったから、株価が低迷した9月は良い頃合いだったのだろう。
- NTT、ドコモ完全子会社化を発表 「携帯値下げも検討」(日本経済新聞)
- 「ドコモ子会社化」に通信各社が総務大臣へ意見書、KDDIやソフトバンク、楽天モバイルなど 37社が賛同(ケータイWatch)
- 「公正競争を阻害する」 KDDIやソフトバンクらが“ドコモ完全子会社化”の意見申出書を提出 (ITmedia Mobile)
この旧電電公社を分割民営化してきた今までの流れを巻き戻すかのような動きに、当然ながら、業界は騒然となった。元々国有企業のNTTは、上場した今でも政府が35%ほどの株式を握っている。
2018年には、憲法違反の検閲になりかねない危険性をはらむ、政府が指名したWebサイトのブロッキングが問題になった頃にも、NTTグループだけが政権の意向を汲んで率先して実施したこともあったが、NTTグループは政府の意向に従順な上意下達の組織だ。
- NTTグループ3社、「漫画村」など海賊版サイトをブロッキングへ (ITmedia)
- 大手3キャリアの「海賊版サイトブロック」方針に温度差 —— ドコモ、KDDI、ソフトバンクに聞く (Business Insider)
これほど従順な組織を、なぜわざわざ完全子会社化する必要があるのか。その背景には、NTTグループにおけるドコモの特殊性があるのだろう。
- NTTとドコモ、20年にわたる「親子暗闘」の内幕(日経産業新聞)
- NTT対ドコモ 28年のシーソーゲーム 菅政権発足で終止符(日本経済新聞)
- 衝撃のドコモ完全子会社化 渦中の社員に生の声を聞く(日本経済新聞)
モバイル通信の台頭により、今でこそドコモは稼ぎ頭になっているが、固定・移動体通信インフラの大部分を握るNTTの中で、移動体通信を担うドコモは、かつては亜流だった。
昔から携帯電話の開発に携わるなど、ドコモをずっと引っ張ってきた吉沢(前)社長の下に、NTT持株会社から井伊(前)副社長が送り込まれ、2020年12月1日付けで社長に就任(吉沢氏は代表権のない取締役に降格)した。
吉沢前社長は厳しい舵取りの中、政府の「携帯値下げ」要求に安易に応じ(させられ)た結果、利益を失い、新規獲得につなげることもできなかった。親方日の丸の親会社に引っ掻き回された挙げ句に責任を取らされた格好になり、無念だったろうと思う。
イノベーションのジレンマは乗り越えたが、責任の所在は曖昧に
つまり、これまでドコモを引っ張ってきたプロパー社長から、NTT持株の意を汲む社長に代替わりしたわけだが、その新社長が就任早々、新プラン(ブランド)「ahamo」を発表した。社長就任からわずか2日でプラン設計できるわけがないから、2020年6月にドコモ副社長としてNTT持株から送り込まれて以降、ドコモ社内でまだ社風に染まっていない若い人たちを集めて、この新ブランド(プラン)を準備していたのだろう。
半年(?)かけて練られただけあり、この新プランは実にアグレッシヴだ。これまでのドコモを見てきた筆者は(おそらく他の人もそうだろうが)、斬新さに驚いた。プロパーにはなかなか思い切れなかったであろう線まで踏み込んでいると思う。
ドコモの従来プランの利用者は、比較的年齢層が高く、データ使用量が少ないことで知られる※。そこを逆手に取って、新プランでは「デジタルネイティヴ」と呼ばれる、物心ついた頃からモバイルに慣れ親しんできた若い世代に向けたプランと位置づけられ、Web専売、キャリアメール無し、ファミリー割引対象外といった、これまでドコモが得意としてきた領域から切り離されたプランが誕生した。
裏返せば、ドコモショップやキャリアメールを利用できないことから、従来の客層にとっては移行障壁になる。手厚いサポートが必要な客には応分の料金を支払ってもらい、自力でなんとかできる(サポート不要の)客にはサポートを省いて廉価に通信サービスを提供する。ある意味、公平性が増す、とてもよくできたプラン(ブランド)の組み立てだと思う。
若い世代とは限らないが、モバイル機器を使いこなしている人たちにとって、ドコモショップや電話でしか手続きできない従来のドコモは高コスト体質だし、古くて馴染めない会社になっていた。しかし高齢化する既存客とドコモショップに育てられた従来のドコモにとって、現在求められている若年層向けのプラン設計は、イノベーションのジレンマだったのだろう。そこを、親方日の丸の古い体質が染みついたNTT持株が打ち破ったのだから驚きだ。
とはいえ、今回の新料金プランは両刃の剣でもある。ドコモは純増数こそ苦戦しているが、シェアは2020年3月末時点で37.7%、依然としてシェア一位は揺らがない(右図)。
他社から客を取ろうにも、ソフトバンクは隙なく対抗してきたし、KDDIは最後発になったものの「新発想」で対抗してみせた。 各社とも特徴は出しているが、細かく読み込んで最適なプランを選択できる人は、すでに乗り換え済みだろう。しかも大手が格安市場に参入した結果、大手3社の寡占状態が進みそうな懸念すらある。
エリアが隙だらけの楽天モバイルの客を仮に半分程度奪ったとしても、ドコモの規模からすれば1%に満たず、収支改善効果は期待できない。コストセンターであるドコモショップやコールセンターの切り離しがうまく進めばよいが、そこで躓くと、一転して自ら首を絞めることになりかねない。
もっとも、今回の思い切った「楽天潰し」策は、KDDIなどの競合他社にも大きなインパクトを与えたようだ。以前ならばすぐにも対抗してみせるソフトバンクはしばらく鳴りを潜めていたし※、KDDIは空気の読めない発表をして大ブーイングを食らった※。狙ったかは知らないが、ドコモ新社長は、ドコモのみならず業界の雰囲気をがらっと変えてしまった。従来のARPUを重視した売り手都合の盛り合わせプランは早くも陳腐化し、コストを抑えてコスパを高める期待が今までになく高まっている。
気になるのは、NTTグループの親方日の丸体質と、政府による過度な口先介入だ。政権幹部が気まぐれに何を言い出すかわからず、それにNTTグループは振り回されてしまう。KDDIやソフトバンクならば政府の介入にもある程度抵抗できるだろうが、NTTは政府の言いなりになりかねない。想定通りにコストと料金負担の均衡が実現できれば良いが、もし料金は安く/サポートは手厚くと無茶を求められたら、NTTは抵抗できるだろうか。
NTT持株が敵視している「楽天潰し」に仮に成功したところで、政府の言いなりになって値下げだけして、NTTグループの稼ぎ頭であるドコモの屋台骨が傾くようでは本末転倒だ。しかしNTTドコモは完全子会社化され、上場廃止された。仮にそうなったら、NTT持株の経営陣は責任を取るのだろうか。
まあ仮の話はこれくらいにして、今のところ、今回のプランの組み立ては合理性があるように思うし、すっかりコストセンターと化したドコモショップなどを整理する絶好の機会だと思う。
完全子会社化により霞む展望
新プラン(ブランド)のドコモらしくない斬新さに驚くと同時に、NTT持株とドコモの因縁めいた経緯も見てきた筆者は、そこはかとない違和感も覚えた。親方日の丸で上意下達体質の古いNTTが、若い世代を利用して、狡猾にドコモプロパーからの決別を演出している違和感だ。
政府は、既存プランからahamoへの移行が進むことを求めている節があるが、既存の過剰なサービスを削ぎ落とすことなく料金だけ安くしても、じり貧になるばかりだ。
ahamo発表会後に非公開で行われた質疑応答の中で、井伊新社長は記者の質問に答える形で「料金を引き下げれば当然通信料収入は減収する。これからは人口も減少するため通信料収入は下がっていく方向だ。それを非通信など別のサービスで埋めていくのが経営者としての責任だ。3番手と言われず、トップに返り咲いたと言われたい」と応じたという。
一説にはGAFA対抗だとか言われているが、そもそもNTTドコモとGAFAは対立するものではないだろう。それ以前に、目下「非通信など別のサービス」で先行しているソフトバンクや楽天に対して、KDDIとNTTドコモは追いかけてはいるが、あまり差が縮まっている感はない※。
言わずもがな、Googleは検索エンジンから始まって、オープンな市場で上りつめた。ソフトバンクや楽天も、基本オープンなコンシューマ市場でのし上がってきた。
一方、NTTグループは通信技術やB2Bには強いものの、GAFAはもとより、ソフトバンクや楽天とは得意分野が違う。ドコモがNTT持株の完全子会社になった今、しがらみの多いNTTグループに閉じたサービスを提供したところで、ソフトバンクや楽天に追いつき・追い越せるようには思えないし、基本オープンなコンシューマ市場では、NTTグループの連携強化はむしろ逆効果にも思えてしまう。
完全子会社化が、果たして吉と出るか、または凶と出るのか。裏目に出なければ良いのだが。
キャリアショップ縮小の狼煙か
今回のahamoは、これまでドコモが強みとしてきた「ドコモショップ」を全く介さないことで、低価格化を実現した。
つまり、コストセンターであるキャリアショップやコールセンターをいかに縮小できるかが、値下げによる収入減に直面するドコモにとって喫緊の課題となるだろう。
当のドコモでは、ahamoの発表会にて、既存プランも12月中に見直すと言及した。「若者向け」のahamoに対し、サポート等を手厚くした「プレミア」プランを再構成することが示唆されている(⇒12月18日に発表された)。料金は高めでもサポートが手厚い「プレミア」プランが支持を集め、その負担でドコモショップなどのコストセンターを維持できるのなら、それもまた一案だろう。
もちろん、サポートを望まない既存客はいつでもahamoと行き来できるようにする、SIMフリー機種などの端末持ち込みを歓迎する、SIMロックなどの姑息な縛りを廃するなど、様々な縛りを排したオープン化は大前提になるだろう。
2020年12月18日には、MNP転出手数料の無料化(実施は2021年 4月 1日より)も発表されているが、移りたい人はいつでも移れるようになれば良いと思うし、さらにSIMロックの全廃など、もう一歩踏み込んだ施策を求めたい。
これまで、3大キャリアはWebでの解約手続きを受け付けない、SIMロックした端末のセット販売を優遇する/SIMフリー端末などの持ち込み利用をしづらくする、家族割や自社サービスとの抱き合わせで縛るといった様々な手段で、客を縛ってきた。これは「ドコモ」「au」「ソフトバンク」の3大ブランドはもちろん、通信ベンチャー(イー・モバイルとウィルコム)を出自とする「ワイモバイル」でもソフトバンク傘下に入ってからは若干ながら似たような傾向があった。
しかし今回、楽天潰しに本気になったNTT持株がドコモを乗っ取り、それこそ競合のKDDIやソフトバンクですら戸惑うほどの、業界の「常識」を覆す大胆なプランを投入してきた。
これを打ち出したからには、ドコモ自身においてもコスト構造の抜本的な見直しが不可避になるだろう。 実際、翌1月14日に実施された一部メディアのグループインタビューでは、ドコモショップのコスト問題が明確に語られていた。ショップ自体のコスト削減とともに、「オンサイト(現地)でしか提供できないものを与える場所に」変えてゆくという。
この考え方は至極妥当だと思うが、同時に、そう簡単でもないだろうと思う。例えば全国に店舗網を有する郵便局も同様の課題意識を持って、「JPローソン」「ポスタルローソン」等の提携店舗の展開や物販の拡大、自治体との提携による住民票サービスやマイナンバーカード申請の支援など多角化を進めているが、こうした領域ではむしろコンビニチェーンがATMや店頭端末(コピー機、Loppi、Famiポート等)を使ったサービスを拡充するなど、存在感を伸ばしている感がある。
店舗面積にあまり余裕のない郵便局やコンビニと違って「ドコモショップは広すぎる…それを逆手に取ってビジネスを作った方がいい。」という特徴を生かしたサービス展開ができれば可能性が開けそうに思うが、まずはお手並み拝見といったところだろうか。
一利用者としては、今後の展開が楽しみであるとともに、下手な横槍が入ってぶち壊しになったり、目先の競争にのめり込むあまりネットワーク等の先行投資がおざなりになったり、「MVNO潰し」のような本末転倒な事態にならなければ良いがと心配している。
- ドコモのahamoは「えげつない」 ショップは悲鳴(朝日新聞、2020年12月 6日)
- 「楽天潰しだ」「不当廉売では」 ドコモ新料金を巡り業界が騒然(日経XTECH、2020年12月23日)
- ドコモ井伊社長がざっくばらんに語る、「ahamo」開発の舞台裏(ケータイWatch、2021年 1月15日)
- ドコモ井伊社長インタビュー(前編):「ahamo」が他社への流出抑止に、ドコモショップは当面維持する(ITmedia Mobile、2021年 1月15日)
エコノミー
NTT持株は2020年12月25日に開催された総務省の会議の中で、NTTドコモの完全子会社化後のグループ再編計画を公表した(⇒「NTTドコモ完全子会社化後の連携強化に関する検討の方向性」)。
この中で、NTTコミュニケーションズ(以下NTTcom)をドコモの子会社にすることや、NTTcomがVNEとなり、NTTレゾナント※がMVNO事業を行うこと(右下図)などが示されている。
2020年12月 3日のドコモの発表会で井伊新社長は、「エコノミー」について詳細はこれから検討するものの、MVNOと連携して提供したいと述べていた。
現在、NTTcomが「OCN モバイル ONE」というMVNO事業を個人向けに展開しているが、今後は、NTTcomは法人事業、レゾナントが個人向け事業を担う形に整理するとされたので、すると「OCNモバイルONE」はレゾナントに移管して、ドコモの「エコノミー」の一端を担う形になるのだろうか。
他社との連携については、一部メディアのインタビュー記事では「dポイントの会員基盤に入っていただくことが条件」と語られていた。もちろん、ドコモ網を使ったMVNOであることも条件になるだろうが、「dポイント」が軸になるようだ。
- NTTコムは2021年夏頃にドコモの子会社に 個人向けMVNO事業はレゾナントが担当(ITmedia Mobile、2020年12月25日)
- ドコモ井伊社長インタビュー(後編):屋内5Gサービスにも意欲、MVNOとの提携ではdポイントが重要に(ITmedia Mobile、2021年 1月18日)
トーンモバイルが参加
ドコモの「エコノミー」構想が発表されてから約10ヶ月も経った2021年10月 7日、ようやく詳報がもたらされた。
MVNOが提供するプランをドコモショップで販売するというもので、「OCN モバイル ONE」はもちろん、トーンモバイルも乗ってきた。
トーンモバイルは数年前までTSUTAYAと組んで事業展開していたが、2019年10月に提携解消している。とはいえ仲違いしたわけではないようで、引き続きCCC子会社の(当時、2021年6月に連結から外れている)キタムラを主な販路としている※。
「カメラのキタムラ」は携帯電話販売もしているので親和性は高いだろうが、一般向けに知名度の高い店舗でもないだろうから、販路の拡大は引き続き課題だったのだろう。
そして今回、ドコモの施策に乗ることになったわけだ。「トーンモバイル for docomo(仮称)」が12月から投入されるという。iPhone向けと謳われているので、「TONE SIM (for iPhone)」をベースに、ドコモの求めに応じてカスタマイズされたプランが投入されるのだろうか。
トーンモバイル側のメリットは言うまでもないだろう。親会社でMVNE事業もしているフリービットは元々ネットワーク技術に強い会社だし、実店舗はお世辞にも充実しているとは言えない状況。キタムラとの提携でも店員教育が課題に挙がっていたようだが、ドコモショップにはその道のプロが揃っているので、ドコモショップの販路を使えて、複雑な商品説明なども任せられるのは好都合なのだろうと思う。
ドコモのエコノミーMVNO
⇒料金プラン等の詳細はドコモのエコノミーMVNOを参照
他方、ドコモはドコモショップでドコモ以外のサービスを売るというのだから、思い切った印象がある。
OCN モバイル ONE は関連会社(NTTcom)のサービスだからいいが、トーンモバイルやフリービットはドコモのMVNOをしているというだけで、全く別会社のサービスだ。
もちろん無条件でMVNOの商品・サービスを販売するわけではないだろう。ドコモが提示している主な条件は下記のようになっていた。
- 低廉で小容量の料金プランを提供
- マイページへのアクセスやサービス認証等にdアカウントをメインで使用
- dポイントクラブ加盟店となり、通信料、サービス利用に対してdポイントを付与
- 通信料金へのdポイントの充当が可能
- このほか、ドコモが別に定める条件等(詳細不明)に合意が必要
また、「ドコモショップで取り扱うエコノミーMVNOは、ドコモのネットワークを利用したものに限ります。」と注記されている※。
ドコモショップ店員の習熟のためにも、プラン・サービス内容の調整は必要だろうし、さすがにドコモショップでauやSBのMVNO回線を販売しないだろうから(笑)、それなりの条件は付くだろう。とはいえ、MVNOは多くが店舗網を持っていない※ことを考えると、MVNOがドコモショップを利用できるのは、魅力に映るのではなかろうか。
気になる費用面について具体的な数字は非開示だが、ドコモはMVNOに対して「家電量販店など他の販路に比べて2倍に近い水準」の手数料を要求しているのだとか。そう聞くと高いと感じるが、MVNOにも様々あって、OCNなどの大手は端末値引きなどでも顧客獲得コストをけっこう負担しているので、そうした大手MVNOならば負担できる範囲かもしれない。
また、サポートは初期(と機種変更時)に集中するので、ドコモショップでサポートを見てもらえるのは魅力だろうし、iPhoneをはじめドコモが販売する機種をセット購入できるのも魅力に映るだろう。家電量販店が有償で提供している初期設定サポートも込みと考えれば、ドコモショップの取扱手数料が家電量販店の倍額だとしても、あながち高くはないのかもしれない。
一方、ドコモにとっても必要な取り組みと言えそうだ。競合のワイモバイルやUQモバイルは元々実店舗網を持っていたが、近頃はショップの統合が進み、ソフトバンクショップを訪ねた客にワイモバイルを販売でき、auショップを訪ねた客にUQモバイルを販売できる仕組みが整えられた。しかしドコモには対抗できる商材が無かったわけだから、ドコモショップには苦労があったことだろう。今回の施策により提案できる商材が増えるわけだから、ショップからもドコモユーザーからも歓迎されるのではなかろうか。
また、ドコモにとっては自ら格安プランを投入してMVNO潰しをするメリットはないし、自社サービスとのカニバリの心配もあまりない。かたやau・SBでは自社ブランドと競合するMVNOの商品を売りづらいだろうから、ある種の破壊的イノベーションにつながるかもしれない。
このように、ドコモ、ドコモショップ、MVNO、ドコモユーザーがWin-Winの関係になれる可能性がありそうに思うが、筆者が気になるのは、一般的にドコモは他社よりも排外的で、自社系サービスでの囲い込みがきつい傾向があることだ※。
今回も、ドコモが条件に挙げている「dポイント」「dアカウント」との連携について、「互いによほどの信頼関係がなければ飲めない条件だ。dポイント強要といい、優越的地位の乱用ではないか」との指摘も出ているとか。
具体例を見ていこう。2021年10月21日より、OCN モバイル ONE の「ドコモのエコノミーMVNO」500MBコースが始まった(OCN モバイル ONE#ドコモのエコノミーMVNO を参照)。これに伴いOCNマイページやポイント制度の変更が始まっている。
ログインには引き続き OCN ID が使われているものの、dアカウントでのログインをメインにすべくWebサイトの改修が始まっていた。
また、dアカウント連携・dポイント付与開始に伴い、OCN系独自の「gooポイント」は終了するという。
両方のポイントを付けることはないにしても、毎月40ポイントが付与される(100ポイント単位で料金に充当できる)割りの良かった「gooポイント」が打ち切られて、dポイント1%になるのは、ユーザー目線ではマイナスと言えそうだ。
一方、ドコモからドコモショップ経由でOCNに移ったユーザーは、最初からdアカウント連携が実施されている(gooポイント対象外)ことを除いて特段の制約はなく、他の料金コースへの変更も自由にできるようだ。 ドコモから見れば、いくらドコモショップ救済に資するとはいえ、また競合(YM、UQ、楽天)に流出するよりマシとはいえ、ドコモの客を手放しでMVNOに渡す格好になる。せめて「dアカウント」で紐づけしておきたいという意向なのかもしれない。
しかし、dポイントの加盟店契約を条件にするのは結構だが、独自ポイントの巻き取りまでするのは、思い切ったというか、やりすぎの感がある。 もっとも、NTTcomの場合は今回の「ドコモのエコノミーMVNO」への対応のみならず、ゆくゆくはNTTcomがドコモの子会社になり、個人向けサービスはレゾナントへ移管されることを想定した動きなのだろう。
他社にもこれと同様のことを求めたら、「優越的地位の乱用」と言われても仕方ないだろう。他社にどこまで求めているのかは、後に続くMVNOの動向を見守りたい。
楽天も、かつて最大シェアを誇るMVNOでありながら、NTTドコモの呪縛から逃れてMNOを始めた節があった。今回の提携話はmineoなどの大手MVNOにも打診されているようだが、今後、他のMVNOがどれだけドコモの施策に乗ってくるだろうか?
もちろん、ドコモショップで扱う以上、無条件でとはいかないだろうが、いくらドコモショップ等の販路が魅力的であっても、すでに一定のポジションを持つMVNO大手は、ドコモの縛りがきついほど、ドコモの施策には乗りづらいだろう。
半面、MVNOは接続形態の制約などから、規模の利益が物を言う業態だ。小規模MVNOがドコモの施策に乗っかっても、ユーザーの利益にならない可能性がある。ドコモが提示している条件は非開示だが、OCN以外の一定規模のMVNOが参加できる条件なのかが気になるところだ。
「ドコモのエコノミーMVNO」の発表以降、MVNO界隈ではよく話題にのぼっているようだが、やはり事業者ごとに温度差があるようだ。ある大手MVNO事業者からは、我々が勝手に「格安SIM」を自称するのはともかく、MNOから「エコノミー」の枠にはめられるのは違和感がある、といった感想も聞かれた。
一方で、「MVNOを気軽に使っていただけるチャンスになるとポジティブに捉えている」が、実際に参入するかどうかは「ドコモから話を頂戴していないので、具体的に検討しようがない」といった話も出ているようだ。
MVNOもここまで事業を育ててきた矜持がある中で、一方的に「ドコモのエコノミー」に押し込められることに違和感を持つのは自然な反応だと思う。かたやビジネスチャンスだと前向きに捉えるMVNOに案内が届いていないのは残念だが、数多あるMVNOの全てに話を持っていくことも難しいだろうし、店頭事務やプロモーションを考えると、ドコモショップで扱うMVNOが増えすぎても良くないだろう。
様々な都合があるだろうが、それ以上に要となるのは、ドコモが誠意をもってMVNOをパートナーとして迎えに行くのか、または下請け的に扱うのか、姿勢的なものが影響してきそうに思う。
ドコモがかつて楽天との提携を不意にした反省を得ているのかどうか、成り行きを見守りたい。
- dポイントを活用するエコノミーMVNOとの連携に合意 -全国のドコモショップで低廉なエコノミーMVNOの料金サービスの契約が可能に- <2021年10月7日>
- 2021年10月7日「dポイントを活用するエコノミーMVNOとの連携」に関する説明会
無責任体質が社会インフラを混乱させる
これほど大規模なネットワークにおいて、万全を期しても障害発生は不可避な面があると思うし、これほど影響の大きなネットワークの運営に携わる現場の方々のご苦労には頭が下がる思いだが、今回は上の方で影響を小さく見せよう、目立たなくしようとしている会社の態度が透けて見えてしまったのが残念だ。
実はこのとき、筆者が使っている端末は全く移動していないにもかかわらず、度々圏外になっていた(右図)。ところがドコモは「位置登録ができなかった(=移動していた)200万ユーザーに影響した」と説明したそうだ。約8200万もの契約を有するドコモで、わずか2.4%にしか影響していないと主張しているようなものだが、にわかに信じがたい。
また、ドコモからMVNOへの情報提供がおざなりで、MVNOですら聞き及ばない情報をマスコミが流して余計に障害を長引かせる一幕もあった。
ドコモは翌日には記者会見を開いたようだが、本来迷惑をかけたユーザーには資料を配布することすらせず、マスコミに頭を下げるパフォーマンスだけで終わってしまった。当日の説明内容や資料は、2週間近く経っても一般ユーザーには非開示のままだ。
つまり、迷惑をかけた相手であるMVNOやユーザーを無視して、総務省とマスコミのご機嫌伺いばかりしているドコモの経営陣と、(今回に限らず)部分的な情報を無責任に垂れ流して結果的にデマを生み出すテレビ等のマスコミの無責任体質が、今回のようなネットワーク障害を大規模化し、長引かせた原因と言えそうだ。
前述の「ドコモのエコノミーMVNO」に関して、あるMVNO関係者の談として、「(ドコモは)殿様商売の意識が抜け切れていない」との感想も漏れていたが、鳴り物入りで始まったahamoにしても、使っていると細部に潜む融通の利かない不親切さが垣間見えたことは前述した。今回の障害発生後の対応にしても、「殿様商売の意識」に通じるものがありそうだ。
今回の障害の一因になったIoT機器の中にタクシーの決済処理端末なども含まれていたようだが、携帯電話ネットワークは、今や通話やスマートフォンなどだけに留まらず、社会インフラの根幹を支えている。 例えばタクシーや路線バスなどの運行管理にも使われているMCA無線を再編して携帯電話用「プラチナバンド」として使われているが、MCA再編に際しては帯域の移動だけでなく、携帯電話網での巻き取りも行われた。つまり、決済だけに留まらず、タクシーの配車や路線バスの運行管理にも携帯電話網が使われている。
さらに鉄道分野での利用も進んでいる。鉄道の場合、運行本数の多い路線では独自の通信網が整備されていることが多いが、運行本数の少ない路線を中心に、比較的コストが安く済む他社の通信網が使われている。 例えば右上の写真は今回の障害の対象外だが、携帯電話が圏外になる地域を走る路線なので、衛星電話のアンテナが車両上屋に設置されており、非常時の連絡対応など運行管理に使われている。
また、タブレット端末の活用が進んでおり、乗客案内や運行障害時の情報通達、列車の運転時刻表の授受・表示などに使われている(右写真)。これは首都圏などの運行本数の多い路線から地方ローカル線まで幅広く使われているから、携帯電話網が麻痺すると、状況により鉄道の運行にも様々な支障が出るおそれがある。
今回のようにテレビがデマを流して通信網の混乱が長引くと、個人の通信はもとより、社会インフラへも深刻な影響が出かねない。コロナ禍においてトイレットペーパーの買い占めを引き起こした反省はまるで無いまま、テレビがデマを流して社会を混乱させる事態がまた繰り返された。影響力の大きなマスコミ等にありがちな、無責任な大本営発表の垂れ流しも厳に慎まれねばならない。
元国営のNTTグループと、実質国営のNHKにより引き起こされた混乱。親方日の丸意識が抜けないうちは、ユーザー無視の殿様商売が続くのだろうか。実質国営のぬるま湯の中で政権に骨抜きにされたNHKには先ずもって民営化等の荒療治が必要かもしれないが、民営化して久しいNTTは変わったと言えるようにしてほしいと願っている。
ドコモグループ誕生
2021年10月25日、NTTcomとコムウェア(ソフトウェア開発会社)がNTTドコモの傘下に入ることが発表された。NTTドコモの上場廃止・完全子会社化に続き、NTTグループ再編の大イベントとなる。 これも10ヶ月前に発表されていたことだが、政府・監督官庁とNTT持株会社の馴れ合いが発覚したことなどから長引いていたのだろう。
かつては一部の人しか使っていなかった無線通信がインフラ化するまでに浸透したことで、今ではNTTグループの中ではドコモが稼ぎ頭になっているが、かつて歩んだ固定通信網のように、今後は今のような収益を上げられなくなることが予想される。事実、ユーザーの増加と技術革新によりモバイルネットワークのコストは右肩下がりで、今後も大幅な減少が見込まれている。
だからこそ、我々一般ユーザーが支払う通信料金が下がって(または使えるデータ通信量が増えて)きた。ユーザーにとっては嬉しいことだし、モバイル通信がインフラ化している社会にとっても有益なことだが、ここで利益を上げてきた企業の視点では、かつて鉄道事業者が経験したのと同様、中長期的に屋台骨が細ってゆくことを意味する。これもインフラ事業の通る道なのだろう。
こうした経営環境下で、かつて民鉄が鉄道を軸に生活サービスや不動産開発などへと経営基盤を拡げたように、競合のソフトバンクは早くも携帯電話事業からコンテンツや法人営業へと経営基盤を拡げている。
ドコモもここ数年はd系サービスに力を入れており、とりわけdポイントの拡大に力を入れてきたが、NTTグループで見ると、個人向けサービス・法人営業ともにNTTグループ各社に散在していることから、これらを再編することで稼ぎ頭を更に強化することが狙いのようだ。
そうした中で、これまでNTTグループの一部だったドコモを中心に、稼げる分野を集約したドコモグループが誕生することになった。
通信の主流が固定網からモバイルに移っても、固定網のインフラとしての重要性は変わらないが、収益は上がりにくくなる。しかしNTTグループはインフラを維持しながら利益を上げていく必要がある。元国営のNTTとその固定網を担うNTT東西には規制があるので、現在の稼ぎ頭かつ比較的規制の緩いドコモとNTTcomが競争領域を担ってゆくことになるのだろう。
例えば、NTTcomはドコモのバックボーンを担うとともに、クラウドや法人営業など個別領域の強みを持っている。このうちネットワーク運営はドコモに移管し、ドコモの法人営業をNTTcomに移すそうだ。
すると、今はNTTcomが担っている県をまたぐ固定電話や国際電話などもドコモに移るのだろうか?OCNなどの固定系ISPもドコモ(やレゾナント)に移るのだろうか?今回の記者会見では触れられておらず、詳細は見通せない。
一般ユーザーが最も気になるであろうモバイル通信サービスの行方については、ahamoを含むドコモの通信サービスは直営のままだが、NTTcomが提供している OCN モバイル ONE などの個人向けサービスは子会社のNTTレゾナントに移管されるそうだ(ただしネットワーク運営はMVNEとしてNTTcomに残る)。
もちろん、提供会社が変わる(かもしれない)というだけで、サービスの品質や料金は変わらない(と思われる)から、今回の件で一般ユーザーが心配する必要はないとも言える。
OCN モバイル ONE はドコモショップでも契約できるようになったが、従来の販売はオンライン(通販)中心で、その通販はレゾナントが運営する「goo Simseller」が担ってきた。今はレゾナントがNTTcomのサービスを販売する形になっているが、今後はレゾナントが自社のサービスを販売する(回線はNTTcomを通じてドコモの物を借りる)形になるので、ある意味、すっきりするかもしれない。
この発表会でドコモの井伊社長は、「この(MVNO)領域も競争が激しく、機動的な経営として、自由に競争できることや、事業責任を明確にするため子会社のままにしておきたい。ほかのMVNO事業者と横並びの競争という関係をしっかり作っていきたい。」と語っていたようだが、賢明な判断だと思う。
依然としてMVNO事業者の多くがドコモ回線を販売している現状において、ドコモにとってはMVNO事業を潰すメリットは無いだろうし、総務省の競争政策に背くこともしない(その利点もない)だろう。 だからこそ、「ドコモのエコノミー」を始めたのだろうと思う。
視点を変えると、ドコモは自社グループによる囲い込みがきつい傾向がある中で、グループ会社の OCN モバイル ONE は対照的に、比較的自由にやっているというか、例えば「goo Simseller」は競合の楽天市場やYahoo!ショッピング(PayPayモール)などにも出店しているし、レゾナントが運営する「ひかりTVショッピング」や「NTT-X Store」ではPayPayなどと組んだキャンペーンも展開しているなど、ドコモ直営だったら考えられないような自由な競争が行われている感がある。
でも、楽天やヤフーはオープンマーケットでここまでのし上がってきたのだし、台頭する Google や Amazon も然り。そうした市場で揉まれてきた子会社はそのままにしておいて、むしろドコモも子会社を見習うくらいのつもりでオープン化する方がいいように思うのだ。
近頃ドコモは「あなたと世界を変えていく。」というブランドスローガンを掲げるようになった。今後は新しいドコモグループのスローガンになる。これはもちろん、ユーザーと手を携えて社会課題を解決していくという意味なのだろうが、見方を変えると少々上から目線に見えなくもない(苦笑)。
まあ余計なお世話もいいところだが(笑)、筆者も1ユーザーの立場から見ていると感ずる所が少なからずあるんだよね…NTT持株には難しいとしても、せめてユーザーとの接点の多いドコモには親方日の丸意識や上から目線を捨ててもらって、政府やマスコミよりもユーザー(個人・企業)に向き合い、視点を合わせ手を携えて社会課題を解決する企業グループになってほしいと願っている。
- NTTコミュニケーションズとNTTコムウェアを子会社化<2021年10月25日>、資料
- 新ドコモグループの新たな法人事業ブランド「ドコモビジネス」を展開 -すべての法人のお客さまへのワンストップのサポートを実現- <2021年10月25日>
- ドコモがNTT Com子会社化、質疑応答で語られたこと(ケータイWatch、2021年10月26日)
小盛りではなく大盛りで攻める
他社のオンライン専用プランやMVNOでは、データ容量を小さくして月額基本料を安くする競争が過熱している。MNO4社は「使い放題」を売りにする反面、MVNOは小容量や通信速度を制限する形での競争にならざるを得ないし、実際にあまり使わないという人も多いので、小容量・低価格分野に注目が集まるのは必然だ。
そもそも(当時)20GBという容量は政府が言い出したものが発端で、必ずしも市場から求められた容量ではなく、時の政権の都合で生まれた官製プランに近い側面があった。
そんな、ある意味で中途半端な20GB(当時)の1プランで唯一頑張っていたahamoだが、サービス開始からほぼ1年経つ2022年 3月23日に、「ahamo大盛り」が発表されて驚いた。
理由は主に2つ。ひとつはそのデータ単価。仮に100GBを目一杯使えば、1GBあたり49.5円となり、他社の格安プランを大きく引き離す。
ドコモは「5Gギガホ プレミア」でテザリングを含めて使い放題を提供しているものの、月額料金7,315円と値が張る。各種割引を適用すれば「ahamo大盛り」と同程度まで下がるが、家族や光回線などの縛りが生じることになるから、横並びの比較はアンフェアだ。
その点、ahamoならば何の縛りもない。テザリングを含めて100GBまで使えてズバリ4,950円という値付けにはお得感がある。
もうひとつ、少容量競争が盛んな現況にあえて「大盛り」を投入したこと。しかもドコモのプレミアと競合しかねない大容量プランの投入だから驚きだ。
とはいえ、ドコモでは「単身の契約している人を中心に選択していただける」と、「ギガホ」とはすみ分けができると考えているようだ。
たしかに、ahamoはショップサポート不要な人、プレミアはショップサポートを求める人とすみ分けができているように思う。今まではショップサポートが不要な人にも大容量ではショップサポート付きプランしか選択肢が無かったわけだから、そこにショップサポート不要の選択肢を提供するのは理に適っているとも言えそうだ。
また、2020年12月に「ahamo」を発表して業界慣行を破壊したことを思い起こさせる、大胆な大容量・低価格。これを見て、楽天以外の競合他社は戦々恐々ではなかろうか。 大容量トッピングを低単価で提供して攻めていた povo 2.0 はもちろん、YMやUQではこれまで頑なに大容量を提供してこなかったが、ここにもテコ入れが必要になるかもしれない。ソフトバンクの「データ通信専用50GBプラン」(月額5,280円、繰り越し不可)に至っては存在意義が怪しくなってくる。
「ドコモのエコノミーMVNO」を始めてから、ドコモショップでは少容量の客には OCN モバイル ONE を勧めていると聞く。小容量プランはMVNOに任せて、ahamoは若者向け(あるいはリテラシーが高い人向け)と役割分担を明確にし、ブレずに各々磨きをかけている様子が伝わってきて好感が持てた。
ただし、「ahamo大盛り」はオプションにせず、20GB(当時)を超えた月だけ自動で適用になる(適用したくない人は制限できる)ようにすればよかったのにと思う。そうすれば、シンプルなワンプランのままで Rakuten UN-LIMIT にも対抗できただろうから。
営業施策にインフラが追いついていない?
ahamoを始めてからのドコモは、(主に政権側のワガママに付き合う形での)微調整はありながらも、ただひたすらユーザー層の若返りとデータ消費量の増大に向けて突き進んできたように思う。
その表れが小盛りではなく大盛りであったり、VTuberとのコラボが大好きであったり、はては「爆アゲ セレクション」(名前からしてすごいよね!)であったり…とにかくブレずに初志貫徹している感がある。
筆者自身が使うかはさておき、日和見なソフトバンクよりも経営的な安定感はありそうに感じるし、若い世代に任せてゆく方針も良いと思う。
とはいえ、トップの営業手腕に足元が追いついていないのではと感じられる場面もちらほらと。筆者としてはspモード(ドコモのスマートフォン向けISP)で相次ぐ障害などが気になっている。
筆者は IIJmio「タイプD」も(主にWAN内蔵パソコンで)使っているが、早朝などの閑散時間帯には、昔からahamoよりIIJmioの方が快適なことがけっこうある。電波や基地局やPOIは空いている時間帯なので、これはspモードとIIJのインフラの実力差だろう。
2023年に入り、ドコモのネットワークが混雑(?)で昼休み時間帯などに使いづらいという話がちらほらと聞こえてくるようになった。テレワークをやめて通勤に戻る人が増えたのもあるのかもしれないが、これまでのデータ消費量を増やす営業施策が奏功した反面、インフラが追いついていないのではという気もする。
筆者は都市部では主にワイモバイル(ソフトバンク回線)と IIJmio「タイプA」(au回線)や povo 2.0(同)を使っており、山間部などへ出かけるときにドコモ回線に切り替えて使っているので、都市部では最も快適なソフトバンク回線を主に使い、混雑とは無縁の山間部で主にドコモ回線を使っているから、不都合は全くなく快適に使えている(余談だがYMは使い放題なので全く不自由していない)のだが、電波状況を確認するために都市部で時々ドコモに切り替えると、たしかに「遅い」と感じることが以前からあった(右写真)。
ドコモが「瞬速5G」と呼んでいる 5G n79 が使いづらい面もあるが、n79対応機種で試しても4Gになる/通信を始めると4Gに落ちることが多々あるので、そもそも基地局整備が足りていないこともあるのだろう。また、速度だけでなく遅延も大きいことと、コロナ禍で繁華街が空いていた2021年頃から起きていたので(右写真)、ドコモは基地局のみならず、遅延の大きな「spモード」などのバックホールにも問題を抱えているのではと感じられる。
顕著なのは渋谷駅ハチ公前などの繁華街で、ワイモバイル(ソフトバンク回線)と povo 2.0(au回線)は大抵数百Mbps出るのに対し、ドコモ回線は良くて2桁Mbps、ひどい時には10Mbps前後という感じ。
昔からこうだったが、このところ特にひどいらしい…
キャリア別データトラフィックの比較(2020-2021年度、総務省資料p116より抜粋引用)
ドコモはユーザー数が多いが、通話の利用が多く、データ通信量の少ないユーザーが多くて、ユーザ数の割りにデータ総量は少ない(上図)。
ソフトバンクは大手3キャリアの中でユーザ数は最少だが、1人あたりの通信量は多く、データ通信量は最多で、割り当てられた電波帯域を目一杯使っている(同)。
というのが従来の一般的な見方だったが、ここにきてドコモユーザーの通信量も増えたのだろうか? それでインフラが追いつかないようでは本末転倒というか、悪いイメージが付かないうちに早急にインフラ対策をする方がいいように思える。
- ドコモ回線に悩まされる日々、検討しているプラン変更(ケータイWatch、2023年 4月 6日)
- NTTドコモのつながりにくさを生んだ、トラフィックの急増だけではない事情(マイナビニュース、2023年 5月15日)
- 夏までに待てないあなたに――ドコモの「データ詰まり」問題 今すぐできる対策まとめ(ITmedia Mobile、2023年 6月10日)New!
しがらみなく日々感じたことを自由に書ける個人メディアやSNSはともかく、キャリアとの関係を気にして慎重になるであろう商業メディアにまでこんな記事が載るようでは、事態はかなり深刻なのではなかろうか?
今になって思えば、昔から鈍重だったspモードで2022年に起きた度重なる障害は、ネットワークが追いついていなくて悲鳴を上げていたのかもしれないね…
2023年 4月26日に開催された報道向け説明会にてこの質問が出たようで、ドコモも「ここ数カ月、都市部の繁華街などでつながりにくくなる…事象を認識している」そうだ。その原因は「ユーザーの増加に伴う、通信量の増大のほか、再開発などでのエリア変動、専用の周波数で5Gを提供する「瞬速5G」の設置が道半ばであることから、4Gの収容量がひっ迫することに起因する」と説明されたようだ。
対策としては、
- 「瞬速5G」基地局のエリア調整
- 収容する周波数を分散させる。とくに電波が減衰しやすい屋内では800MHzを掴みやすく逼迫しやすいため、他の周波数を掴みやすくする。
- キャリアアグリゲーション(CA)のパラメーター調整
などを挙げ、2023年夏までにも問題の解消を図る方針だという。
個人的には、既存の周波数転用で5Gエリアの構築を進めてきたソフトバンクやKDDIに対し、ドコモでは「瞬速5G」にこだわりすぎたために、却って足を引っ張ったのではという気がしている。
もちろん、「瞬速5G」もエリアをきっちり作れば使えるのだろうが、「官製値下げ」に足を引っ張られて投資余力が削られてしまったことも大きいのだろう。
ただし、「官製値下げ」の影響も、ドコモが理由に挙げていた「再開発などでのエリア変動」も、ドコモに限った話ではない。
そもそも、渋谷などの繁華街(の屋外)でドコモが遅いのはもっと前からなので、今回挙げられた対策だけでは足りないのではという気もする。
実際、駅に跨って建っている玉電ビル(東急東横店)を取り壊す大規模再開発のまっただ中にある渋谷駅ハチ公口(右写真の左端)でも度々試しているが、ワイモバイル(ソフトバンク回線)や povo 2.0(au回線)は(さすがにコロナ禍まっただ中の2021年頃よりは混むようになったが)快適に使えているので、競合のソフトバンクやKDDIでは「再開発などでのエリア変動」を考慮して事前に対策をしているのだろう。そうした積み重ねの成果が第三者の評価にも表れ始めたようだ。
ドコモは「再開発などでのエリア変動」の情報を取りに行く態勢が後手に回っていたということならば、単に言い訳にするだけでなく、対策も加えなければ、後々同じ失敗を繰り返しかねないと危惧される。
他に「トラフィックの伸びが…場所や時間帯によっては想定を超えるところがあった」という話もあったようだが、ドコモが他社と比べても極端に伸びているのか、またはドコモの読みが甘かったか、ドコモのインフラが問題を抱えているのか(例えばspモードが遅いとか)。このあたりは数年経って比較できるデータが出てきてから判明するだろう※。
「瞬速5G」にこだわって整備してきたドコモの5Gはセル端で通信不良が発生しやすい問題が生じたため、2021年 6月から順次、5Gの電波状況が良くない場所では4Gにデータを流すよう調整されたことが思い出されるが、これも4Gの逼迫に影響しているのではなかろうか。「瞬速5G」にこだわった結果「瞬速」とは逆の事態に至ったとしたら皮肉なものだ。
さらに、ドコモでは既存ユーザーの5G対応端末への移行が遅れている可能性も考えられそうだ。
例えばソフトバンクでは、廉価プランを含めた既存契約者の5G対応端末への機種変更を割安にする移行措置を取っていたが、ドコモのエコノミーはMVNOなので、そうした措置は取りづらいだろう。
それどころか、MNOによる過度な端末値引き競争に押される形で、MVNOでは2023年になっても5G非対応の機種を新規発売しているありさまだ。新規の客に時代遅れの4G端末をせっせと売っているのだから、既存ユーザーのマイグレーションどころではない。MNO4社のなりふり構わぬ不当廉売が横行する市場で生き残るには、性能に目をつむって超低価格な機種を投入せざるを得ないのだろう。携帯電話市場の歪んだ競争環境が、通信技術の世代移行にも影を落とす状況になりつつある。
また、ドコモしか使っていないn79に対応するとコストに跳ね返るため、端末メーカーもSIMフリー機種はn79に対応しないことが多い。そのため、MVNOで売れ筋の OPPO や Xiaomi などの5G対応機種を購入したユーザーも、ドコモ回線の5Gは使いにくいので4Gを使うことになる※。
n79を軸に据えた「瞬速5G」と、端末の極端な値引き販売。どちらもドコモが自ら撒いた種だが、これらによりドコモ回線利用者の5G移行が進まず、4Gの負荷が下がりにくくなることで、4G周波数帯の5Gへの転用も進めづらくなり、5G基盤整備が遅れ、4Gの混雑が解消しない悪循環も懸念される。
ここ数年のドコモは営業施策に注力して一定の成果を挙げつつあるようだが、足腰が伴っておらずギリギリで支えている状況なのかもしれない。言うは易し行うは難しだろうとは思うが、根幹であるインフラにも力を入れてほしい。
ちなみに、2023年 5月12日の同社決算発表後の質疑応答で本件について問われた井伊社長は、「トラフィックの状況が変わったり、街の姿が変わっていることは、すべてのキャリアに影響することで、若い世代がかなり集中する場所でネットワークの調整や容量増量といったことが対応できなかったことが私たちの反省すべきところ。おそらく、他キャリアはそれをしっかりタイムリーに手を尽くされていたと思っている。そういった意味で、反省しているところ。」と受け止めているらしい。一応「反省」とは述べつつも、同時に「ドコモだけが品質が悪い」ことを否定していたようで、不安が増してしまった。
ようやく鉄道沿線のエリア強化に着手
続いて2023年10月10日には、「ドコモ通信品質改善の取り組みについて」と題した広報資料を発出するとともに、記者向けに説明会を開催。全国2,000か所以上の駅、繁華街、住宅街などと、全国の乗降客の多い鉄道沿線で集中対策を実施しているそうだ。
集中対策の主な内容は、短期では既存基地局の調整による通信品質の改善、特に5G上り品質の改善。中期的には5G/4G設備の新増設と、Massive MIMOの導入が挙げられている。目標として、HD画質相当の動画視聴ができる程度の通信品質を目指すとしている。
驚いたのは、他社では新興の楽天モバイルを除き、他社が当たり前のように取り組んできた鉄道沿線のエリア整備が、ドコモではおざなりだったことが露見した。
ソフトバンクは長らく実需ベースでエリア整備してきたし、auも5Gは過去の反省に基づいて生活動線にこだわってエリアを作ってきた結果、混雑エリアでも使い勝手を大きく損なわない今のネットワークができている。
対照的に、新興の楽天は実需ベースではなくエリア化しやすい場所から基地局を建てていった様子が見られたが、まだユーザ数が少ないのでそれでも何とかなっているのだろう(地下鉄などの酷い場所もあるが)。しかし長い実績を誇り多くのユーザを擁するドコモが今に至るまで、エリア整備策は新興の楽天と変わらなかったのだと知って落胆した。
ドコモは記者向け説明会で、ソフトバンクでは「20GB以上を利用するお客さまの比率が1年で約1.15倍」になったことを引き合いに出し、ドコモでは「1.5倍~1.7倍、増えた」と言っていたようだ。
ここで思い出されるのが、前掲のキャリア別データトラフィックの比較グラフ。下に再掲するが、元々ソフトバンクはユーザーあたりの平均通信量が多く、ドコモの2.5倍もあった。
【再掲】キャリア別データトラフィックの比較(2020-2021年度、総務省資料p116より抜粋引用)
基準年が不明瞭なので参考程度にしてほしいが、単純計算でソフトバンクが1ユーザーあたり16GB×1.15⇒18.4GBとすると、ドコモは6GB×1.7⇒10.2GBとなる。 総量で見ると、ソフトバンクは月間800PB×1.15⇒920PB、ドコモは540PB×1.7⇒918PBで、ドコモの総トラフィックがようやくソフトバンクに追いついたと見ることもできる。
増分はドコモの方が多いにしても、ユーザー1人あたりの総通信量は依然としてソフトバンクの方が圧倒的に多い。見方を変えると、ユーザー1人あたりの通信量がさらに増えてゆく場合、ユーザー数が多いドコモのネットワークは早晩破綻しかねない崖っぷちに立っているとも考えられる。
さらに、ソフトバンクは既存ユーザーに5G端末を安価に販売(機種変更)する施策も実施して5Gへの移行を促しているが、ドコモは複数の要因によりユーザー端末の5Gへの移行が難しい(前述)。これも足枷になるように思うのだが、今に至るまで対策は示されていない※。
NTTは今でも「ドコモの最大の売りは高い回線品質」という認識でいるようだが※、具体的な根拠はなく、それどころかドコモでは通信品質を評価する仕組みも存在していないように見受けられる。今回の品質問題も、ドコモは2022年に基地局展開を抑制していたツケが回ってきたと見ることもできる。ドコモは何をもって「高い回線品質」を謳っているのか不明で、神話めいた同社および一部ユーザーの思い込みにも見えてしまう。
エリア対策が後手に回った原因は「当社よりも(他社は)予兆の検知が進んでいるのではないか」と考えているようだが、その対策としてドコモでは「LLMの活用などで追いついていける」と考えているようだ。しかし、そもそも「生成AI」や「LLM」は収集済みのデータを分析するために有用な道具に過ぎない。それ以前にどうデータを集めるかが重要になるが、ドコモはユーザーからの申告情報と「ドコモスピードテスト」アプリ、そして「SNS」を挙げるに留まっており、肝心要のデータ収集が御座なりになっている感がある※。
渋谷・新宿・池袋などの大繁華街ならばSNSにも情報が上がるだろうが、ドコモは「今後の対策は、駅や繁華街、住宅街など全国2000カ所以上の「点」と、乗降客数の多い全国の鉄道動線の「線」で集中的に実施する」としている中で、SNS頼みで充分な情報が集まるのだろうか?また、旧Twitterで有料化が仄めかされている状況で、今までのようにSNSにデータが集まり続ける前提でいいのか等、疑問が尽きない。
ドコモがこれまでデータ集めを怠ってきた遅れを挽回するには、今回挙げられた対策では足りないように思う。例えば、ドコモが唯一、自力でデータを集めている「ドコモスピードテスト」アプリは以前からあり、筆者も使ったことがあるが、正直使いにくいし、電波が弱い場所ではそもそも使えなかったりする。多くの人に使われているアプリだとも思えず、一般人はまず使わないだろうし、回線品質測定が好きなギークな人たちにはOoklaやNetflixなどが使われている。
競合の楽天は契約管理に使うアプリ「my 楽天モバイル」に速度計測と情報収集機能を組み込んでおり、その速度計測に使ったデータ量は料金計算の対象外としている。ドコモは本気で回線品質データを集めるつもりなら、まずは楽天を見習うと良いだろう。つまり、「ドコモスピードテスト」アプリで満足せず、ahamoアプリなどにも組み込むべきだろう。
これまでドコモでネットワーク容量の不足が表面化してこなかったのは、ドコモはユーザーが多くても1人あたりの通信量がかなり少なかったことと、それを前提としたエリア整備をしてきたからなのだろう。しかし自らが実施したここ数年の営業施策の転換により、データ通信量の多いユーザーを積極的に取り込むようになったことで、脆弱なネットワーク基盤が表面化したというわけだ。
第三者視点で客観的に見ると因果応報といったところだが、肝心の当事者がこの危機感をあまり自覚していないように見えて、不安が増してしまった。
- 石野純也のMobile Eye 「鉄道路線5G化」で5Gエリアを急速に広げるKDDI “パケ止まり”対策でも先行(ITmedia Mobile、2021年 7月 3日)
- モバイル一刀両断 ソフトバンクが「見える化」したドコモの通信品質、ネガキャンで片付けられない深刻度(日経XTECH、2023年 9月27日)
- ドコモ田村副社長ロングインタビュー、ドコモのネットワーク部門を率いるキーパーソンが語る課題と使命感(ケータイWatch、2023年10月19日)
- ドコモが「パケ詰まり」対策に300億円投資 それでも「後追いの印象」が拭えない理由(ITmedia ビジネスオンライン、2021年10月22日)
電波対策の見本市にもなる大規模イベント
関連してもうひとつ。2023年12月に開催される大規模イベントを前に、ドコモが東京ビッグサイト東棟に5Gを整備したというので驚いた。
対策するのは当然なのだが、ビッグサイトでは他社(楽天を除く)は2021年に5G整備済みになっているので、ドコモは2年遅れだ。
コミックマーケット(コミケ)は東京国際展示場(東京ビッグサイト)全館を借り切って毎年夏と冬の年2回、2日間※に渡って開催される大規模イベントで、コロナ禍を脱した2023年夏は26万人(各日13万人)を動員したそうだ。東京都でいうと国分寺市ひとつ分の人口が1箇所に集まるような規模で、ビッグサイトのような見本市会場で定期的に開催されるイベントでは最大規模だろう。
日本の通信キャリアにとっては、集中する通信トラフィックを捌くために特別態勢が組まれ、同時にイベント来場者に通信品質をアピールする格好の場にもなっている※。交通にせよ通信にせよ、人が集まる場所ではネットワークの品質が端的に表れるからだ。
今回も、ドコモとauでは入場待機列ができる場所などに臨時の基地局を設置し、周囲の常設基地局は電波が混信しないよう調整するなど、目立たないが複雑な調整が行われている。現場に出て通信を支えてくださっているスタッフの皆さんには頭が下がる思いだ。
筆者が参加していた頃はまだガラケー全盛期だったのでデータ通信のトラフィックは大きくなかったと思うが、それでも携帯電話は通話ができなくなるほど混雑し※、PHSの優位性を実感できる場にもなっていた。
今はスマートフォン時代になり、カタログも電子化され※、電子決済も使われている※。データトラフィックが急増しているとは思うが、コロナ禍を脱し多くの来場者が押し寄せた前回(2023年夏のコミックマーケット102)はドコモが酷いと話題になっていた。
言い替えると、ドコモ以外はそこまで酷くないということだろう※。
そして迎える2023年冬コミだが、もちろんドコモもトラフィック対策を立てている。しかしドコモが主に整備している 5G n79 に対応していない端末も多いことは見逃されているようで気がかりだ。今回もn78を整備したという話は聞かないが、ドコモはn78を整備しない限り、n79に対応していない端末が4Gに集中して大混雑になり、アンカーバンドが麻痺することでネットワーク全体が機能不全に陥る事態も考えられる。あるいは、よくて 5G n79 や n257 に対応している一部の端末だけが快適に使えることになるのではと予想している※。
競合のau(KDDI)は、今回は仮設基地局でも Massive MIMO に対応したことをアピールしていた。 ちなみにKDDIは2021年までに東京ビッグサイト館内全域で5G整備を完了しており、さらに2021年の冬コミ(コミックマーケット99)から5G(Sub-6とミリ波)対応の仮設基地局を投入している。2023年末になっても足元の対応に追われているドコモより頭ひとつ抜けた感がある。
かつては電波状況が悪かったソフトバンクは、「忍者」を出す、仮設基地局を設置するなどの対策をしていたが、最近はコミケに特段の電波対策をしなくなり、それでも目立った苦情は出ていない。 もちろん混雑はするだろうが、りんかい線が平常ダイヤで捌いてしまうのと同様、ソフトバンクは展示場周辺では常設設備にて電波対策済みで※、13万人規模でも捌けてしまうということだろう。
かたや、他社が既存周波数の転用と混雑エリアの重点整備を進めてきたのを「なんちゃって5G」などと呼んで揶揄していたドコモでは、自ら「瞬速5G」と高らかに謳った立ち上げ期のエリア整備がうまくいかなかったツケが回ってきているように見える。
ドコモは今なおユーザー数では国内最多を誇るが、通信品質ではソフトバンクやauに追い抜かれ、ひっくり返ってしまった感がある。
しかしそんな現場を知らないのか、経営者が「ドコモの最大の売りは高い回線品質」だという意識でいたらまずいのではなかろうか。激混みのコミケへ行けとは言わないが、自分の足で繁華街を歩いたり電車に乗ったりして、自社と他社の通信品質を比較体感してもらいたいものだ。
- もうすぐ冬コミ、キャリア3社の電波対策は?(ねとらぼ、2011年12月16日)
- 11万人のイベントにau 5Gを!「コミックマーケット99」の電波対策に密着(KDDI Time&Space、2022年 2月17日)
- 下り1Gbps超え? 意外と踏ん張っていたコミケ期間中のドコモ回線(ITmedia、2023年 8月16日)
- 冬コミでドコモの電波は大丈夫? ドコモの「コミックマーケット103」対策を取材(ケータイWatch、2023年12月27日)
- ドコモがコミケ対策に本気モード、5Gの大増設で効果に期待。2023年「パケ詰まり」問題の汚名返上なるか(TECHNO EDGE、2023年12月28日)
- コミックマーケット年表
- DATAで見るケータイ業界 NTTドコモの“真水”の回線数は約2年ぶりに純減、MVNOへの回線提供にもブレーキ(ケータイWatch、2024年 1月27日)
品質低下に困ったユーザーが静かに離れてゆく
昨今のドコモの通信品質を日々実感しているユーザーは静かに去り始めたようで、2023年7~9月期は前期比で4.5万の純減(「モジュール契約」除外後)になったそうだ。2021年3月下旬のahamo投入以降はユーザー獲得が好調と伝えられていたが、肝心要の通信品質を低下させてしまっては続かないだろう。
さらに深刻なことに、MVNOでもドコモ回線離れが進み始めたそうだ。ここ数年はソフトバンク回線が堅調に推移している反面、2023年度に入りドコモ回線が目立って低迷しているようだ。ソフトバンク回線の好調ぶりも、au回線の底堅さも、通信品質の表れだろう。
ソフトバンク回線を扱っていないMVNO(IIJmio、イオンモバイルなど)や、ドコモ回線以外の選択肢がないMVNO(日本通信SIMなど)もあることを考えると、キャリアを選べるMVNO(NUROモバイル、mineoなど)ではドコモ離れがより深刻なのではなかろうか。
一般にMVNOには少容量ユーザーが多いので、5Gの高速通信はさほど必要でないが、使い勝手にこだわりのあるユーザーが多いことだろう。そして乗り換えハードルは低く、複数社の回線を扱っているMVNOも多いから、他社回線への切り替えは比較的容易だ。そのMVNOでもドコモ回線のユーザーが減っているということは、ahamoやeximoなどの高速大容量ユーザーのみならず、少容量ユーザーの日々の使い勝手にも支障を来す状況になっていたことの裏返しといえる。
このように、通信品質の悪化に困ったユーザーが静かにドコモ回線から離れてゆく状況が、数字にも表れるようになってきた。
一方、一連の品質低下問題を認めてからのドコモは、対策を頑張ったと思う。多くの人が行き交うぶん悪化が目立っていた東京都心部の繁華街を中心に集中対策を実施し、渋谷、新宿、池袋と新橋では2023年内にだいぶ改善した。
右図は渋谷駅ハチ公前で2024年 1月下旬の平日早朝(朝5時台)の閑散時間帯に計測した例だが、5G n78 が追加提供されていた。これまでドコモの「瞬速5G」はn79一辺倒で整備されてきたが、ようやくn78の整備を始めたようだ。
それでもまだソフトバンクの方が低遅延で快適だが、ドコモも実用上大きく見劣りしない水準まで回復できた感がある(あくまで東京都心の一部の繁華街に限った話だが)。
一方、12月30~31日の「コミックマーケット103」におけるイベント対策も紹介されており、『スループットは夏の「コミックマーケット102」と比べて1.5倍になり、SNS上のネガティブな声も約8割減った』そうだ。
筆者は今回参加していなかったので伝聞で想像するしかないのだが、筆者が見た範囲ではSNSにドコモつながらないという話が溢れていた。これでも8割減った=夏はこの5倍あったということかもしれないが、他社がつながらないという話は稀にしか見なかったので、ドコモの品質問題が解消したわけではなく、自信を見せるのは気が早すぎるのではと思う。
2024年 2月15日にはKDDIが5G整備に関する記者会見を開き、2023年末のコミケの時期に povo 2.0 の契約数が「(前週比で)だいたい2.4倍くらい(増えた)」と言っていたようだ。
当然ながら、コミケ参加者のお目当ては本などの購入や交流であって、通信やSNSは派生需要でしかない。夏にSNSに発信していたユーザーがドコモ回線に懲りて他社に乗り換えた(または予備回線に切り替えた)ために「SNS上のネガティブな声が減った」面もありそうだ。
このほか、ドコモでは通信品質を把握するために「d払い」アプリを使い始めたという話もあった※。
これまではSNSをLLMで分析するなどと他所はとっくに実施している対策を今更並べてドヤ顔していたドコモだが、ようやくデータ収集にも腰を入れ始めたようだ。今後集めたデータを活用するところが正念場ではあるが、遅まきながらも一歩前進と言えそうだ。
ところで、こうした集中対策の成果を宣伝するためだろうか、ドコモでは2023年後半より時々記者に限定して通信品質改善に関する記者会見を開くようになったが(相変わらず一般には非公開、資料開示も無し)、2024年 2月 2日に実施された記者会見の席で、「大阪府でいちばん快適につながるソフトバンク!」という広告を名指ししてケチを付けたようだ。
KDDIが指摘したのならまだしも、今のドコモに言う資格はないだろうと思う。
筆者はここ数年大阪へ行っていないので現地の状況はわからないが、少なくとも東京近辺ではソフトバンクの方がはるかに通信品質が良いと実感している。もちろん重箱の隅をつつくように見ていけばピンポイントでソフトバンクが悪い箇所もあるし、ソフトバンクは郊外で品質低下しやすいきらいがあるが、都市部に限ればドコモとソフトバンクの品質に差があることは歴然とした事実だと思う。
関西では楽天も品質の高さをアピールしているが、それを置いてソフトバンクを名指しして盾突いているのは、背景に客の流出があるのかなと透けて見えてしまう。きっとドコモからソフトバンクに乗り換える(MNP転出)客数が多くて、図星を突いた広告宣伝への焦りが表に出てきたのだろう。
そもそもソフトバンクがこんな広告を出してきたのは、ドコモの品質低下に実際に困っているドコモユーザーがそれだけ多いからだろう※。身から出た錆だ。
自社の通信品質低下が多くのユーザーに迷惑をかけていることを自覚していれば、こんなやっかみは出てこないだろう。しかしドコモはユーザーに迷惑をかけた自覚が無く、通信品質対策も記者会見も営業施策の一環なのだろう。だから記者会見は開いても一般ユーザー向けには資料すら出してこないし、あまつさえ他人事のような他社批判を展開してしまうのだろう。
自覚があれば、身から出た錆で生じた他社の広告宣伝に噛みつくような真似をせず、根本原因である自社の品質改善に全力で取り組むだろうし、マスコミのみならず、むしろ実際に困りつつも自社サービスを使い続けてくれているユーザー(MVNOを含む)にこそ情報開示をすると思うのだが。
ドコモは消費者金融にテコ入れ
突然だが、ドコモが消費者金融にテコ入れすることになったようだ…
消費者金融をするなとは言わないが、ドコモが注力すべきことなのだろうか?と首をかしげてしまった。
オリックスの本業はリースなので、端末の割賦販売との親和性は高そうだが、リース会社ではなくサラ金子会社を買収するという話なので、たぶん端末の割賦販売とはあまり関係がなさそうだ。
そして、金融サービスが祖業であるオリックスが特段困っているわけでもないのに本業との親和性が高いオリックス・クレジットを手放すのも、今では消費者金融にそこまでの成長性を期待しておらず、ドコモによる買収話は渡りに船だったのかな、と感じられた※。
なお、現在はオリックスの完全子会社だが、その66%をドコモが買い取り、オリックスも持ち分を残すそうだ。ドコモによる買収額は792億円。
ドコモは自前で個人向け無担保ローン「dスマホローン」を始めて1年あまり経つが、「事業運営できちんとしたオペレーションが必要であることです。審査やお客さまからの回収といったところも、幅広い業務ノウハウが必要だとわかってきました」そうで、つまり審査と回収に苦労があってノウハウを買いたかったようだ。
筆者は使ったことがないので印象論になってしまうが、「dスマホローン」自体に画期性は見いだせず、サラ金の無人契約機がスマホになったというだけだろう(だから「自前でコールセンターなどのオペレーションを持っているところ」が非常に魅力的に見えるのだろう、本当にスマホだけで済むのならコルセンなどお荷物のはずだ)。よく言えば堅実で事業規模拡大優先のドコモらしい、悪く言えば面白味がない話だ。
また、「私どもは住宅ローンを提供していません。経済圏陣営では、当たり前のように住宅ローンを提供しているところもあるため、そういったところも開発・提供していきたい」とも言っていたようだ。しかし個人向け住宅ローンは長い付き合いになるので、銀行を持っていれば比較的容易だが、ドコモは銀行を持っていないので厳しいだろう。 競合各社は傘下に銀行を持っている(auじぶん銀行、PayPay銀行、楽天銀行)※。
こんなの聞き流せばよかったのだろうけれど、KDDIがローソンの買収(共同経営)で話題を呼んだ直後だったので引っ掛かってしまった(苦笑)。
コンビニも、かつてダイエーがローソンを始めた頃は画期的だったが、今となってはありきたりな業態になった。それどころか社会インフラ化したと言われることもあるほどに普及した。それでもKDDIの買収では社会課題の解決が展望されていて、夢があった。
今回のドコモは貸金業をスマホで始めてみましたが審査と回収に苦労していてやっぱりノウハウとコルセンが欲しいですという話なので、よく言えば現実的でイメージしやすいが、夢や展望がまるで無い。サラ金は一部の人が使っているだけで馴染みがない人も多いし、利用しないで済むならその方がよく(本人の判断で利用することを咎めるものではない)、前向きな話ですらない。
「あなたと世界を変えていく。」を標榜するドコモは、いったいどういう世界を目指しているのだろうか。
自社ECに取り組みつつ、Amazonにも送客
2024年 4月10日、ネット通販最大手の Amazon.co.jp でdポイントが貯まるようになる協業が発表された。Amazonで他社のポイントを使えるパートナープログラムはすでに始めていたが、他社のポイントが貯まるのは初めてとなる。
予めdポイントと連携してから、1注文あたり税込5,000円以上の買い物をすると、1%分のdポイントが付与される。上限は1注文あたり100ポイント。つまり1注文あたり5,000円~10,000円分の買い物に1%分のポイントが付与される。これはドコモの通信契約有無を問わず対象になり、またAmazonポイントも従来通り還元されるので、dポイントユーザーはAmazonにdアカウントを登録しておこう※。
加えて、ドコモでは「ahamo」「eximo」「ギガホ」を契約している(または60歳以上の)ユーザーがドコモ経由でAmazonプライムを申し込むと毎月120ポイント付与される。
また、同条件で「d払い」を使うとdポイント還元率が1%分上乗せされる(上限100ポイント/月)。
今回の協業でポイント付与の原資をどちらが負担するかは非公表とされたが、「dポイントのビジネスモデルとして、基本的にdポイントの加盟店発行分の費用については、加盟店さまのほうでお持ちいただくということで、今回も基本的には同じスキーム」ということだ。通信契約に紐づかない分はAmazonが負担し、通信契約と紐づく分はある程度ドコモが負担すると考えられる。
ドコモが負担する分は上限が低く設定されてはいるが、他社に流出するもの。これを安易に「dポイント経済圏」の拡大などと喧伝するマスコミもあるようだが、「Amazonさまという日本有数のeコマース事業者さまと組む」インパクトの大きさから追加出費が正当化されるにしても、筆者は首をかしげてしまった。
ユーザーとしてはポイント還元が増える方が嬉しいが、ポイント原資は誰かが負担する必要がある。1人あたりは少なく抑えられているが、チリツモで大きな出費になる。そして特典を付与したところで自社グループへの還流はほぼ期待できず、持ち出しとなる。
競合の楽天やソフトバンクは「楽天市場」や「Yahoo!ショッピング」を自社グループ内に抱えており、特典を付与しても一定程度の割合で自社グループ内に還流する仕組みになっている。しかしドコモはAmazonと協業したところで、両社は横並びの提携関係なので、自社グループの「経済圏」から出てしまう。そこが大きな違いだ。
もちろん当のドコモもそれは意識しているのだろう。記者会見の席で「dショッピングなどがありますが、お客さまに選んでいただけるようなサービスにすべく、ドコモの取組みとして進めていきたい」と述べていたようだ。Amazonとの協業を発表する席でわざわざ競合となるECサイトの強化を宣言するのもおかしな話だが、それほど(影響を無視できるほど)ドコモのECは遅れていることの表れでもあるのだろう。
かつてドコモは「OCN モバイル ONE」を吸収した際に、一緒に「NTT-X Store」も自社内に取り込んだ。正直、「dショッピング」よりも「NTT-X Store」の方が特徴的なECサイトだったと思うのだが、長年続いた「NTT-X Store」の名をあっさり捨てさせ、「OCN モバイル ONE オンラインショップ」という名前に変えさせて、潰しはしなかったが、活かしているようにも見えない。
何から何まで自社グループ内でする必要はないとは思うが、今のドコモのどっちつかずな姿勢は、傍から見ても落ち着きがないと映る。きっとドコモ社内でも迷っているのだろう。
基地局鉄塔が外国企業に売却される
全国津々浦々に建つ基地局設備はモバイル通信に欠かせない生命線だが、これまでは通信キャリアが独自に建てていたので、全国に基地局鉄塔が林立している。
都市部であれば建物が建て込んでいたりするので基地局が多数あってもさほど気にならないが、地方によっては山の中の小さな集落に大きな電波塔が3本建っているような所もあって、不経済かつ景観的にもよろしくない側面がある。
これまでは地下鉄、地下街、建物内などの地理的条件が厳しい場所に限ってインフラシェアリングが行われてきたが、4Gの整備が一段落して5Gへのマイグレーションという時期になって、経費節減、5Gの全国展開、景観対策の観点から、複数の通信会社が相乗りで電波塔などの設備を共用するインフラシェアリングが推奨されるようになった。
今では楽天を除く3社のエリアが拮抗しているとはいえ、山間地などでは今でもドコモのエリアが最も広いと思われるが、そのドコモはインフラシェアリング(による基地局設備の維持経費の削減)に非常に前向きな態度を見せ、「JTOWER」というインフラシェアリング会社に出資するとともに、2023年 9月には全国に建てまくった基地局鉄塔(最大6,002基)をJTOWERに売却した。
ドコモにとっては経費節減だが、電波塔等のインフラを抱えるJTOWERはこれまで借り入れと出資により賄ってきた。しかし資金繰りが厳しくなってきたのか、2024年 8月に米国の投資ファンドに身売りする事態になってしまった。
- 基地局シェアのJTOWER、米デジタルブリッジによる株式公開買付けに賛同(ケータイWatch、2024年 8月14日)
- 「米ファンドがJTOWER買収」、携帯基地局のインフラシェアを支える資産と経済安全保障上の懸念は(ケータイWatch、2024年 8月27日)
JTOWERは社長個人の資産管理会社およびNTT、NTTドコモとKDDIが主な株主だったが、上場廃止されて米国の投資会社が81.82%を保有し、ほぼ外国企業の所有になってしまう。
JTOWERはNTT東西とドコモが全国に建てた基地局鉄塔7,700基を保有しているという。民営化後に建てた基地局も多いだろうが、かつて電電公社時代に国が整備した通信インフラが外国の投資ファンドに投げ売りされる格好になってしまった。
これで短期的にどうこうなることはないにせよ、私たちの経済活動を支える無線通信の根幹を担うインフラが外国企業に売られるというとんでもない事態に対し、政府もマスコミも冷ややかだ。この無関心こそが恐ろしい。
今の政府与党は政情不安を抱える日本海側に原発をたくさん建てて今なお延命・新増設を画策する、80年近くもの長期にわたって外国の軍隊の駐留させるなど安全保障の観点から好ましくないことを散々してきたが、今回は民間取引とはいえ元国営のNTTグループのインフラが外国企業の手に渡る格好になり、またしても安全保障の観点から看過できない要素が増えてしまった。
KDDIの博物館「KDDI MUSEUM」に行くと、江戸時代末期から明治にかけて世界に通信ケーブルが張り巡らされた時代に、当時の政府は外国企業に丸投げせず自前で通信網を築いた歴史が語り継がれており、今の政府とは対照的だ。
かつて国内通信網を一手に担った元国営のNTTに対し、KDDIもかつて国際通信を一手に担っていた元国営のKDD(国際電信電話)を由来に持つので、通信網の整備には一家言あるだろう。
インフラシェアリングが経費節減などに有効なのは確かだが、ドコモが前のめりでJTOWERに丸投げしたのに対し、ソフトバンクはKDDIと協業して「5G JAPAN」によるインフラシェアリングを自前で手掛けるなど、丸投げすることなく慎重に動いていた。今回の事態を見ると、通信インフラを安易に手放さなかったソフトバンクに先見の明があったということだろうか。
「ahamoショック」ふたたび
2024年10月より、「ahamo」の料金(月額2,970円)据え置きで基本データ容量が20GBから30GBに増量されることが、2024年 9月12日に発表された。
既存ユーザーも含めて自動適用になるので、申込不要で10月からデータ容量が5割増になる。自動適用から察する通り、改悪になりそうな要素は含まれない、単純な増量だ。海外でのデータ利用も30GBまで拡大する。ただし「大盛りオプション」(80GB増量)は据え置き。
ユーザーにとっては嬉しい限りだが、競合他社には衝撃が走ったようだ。
かつてahamoが始まった頃にも、MNO最大手が格安料金を引っ提げて参入し、他社が対抗値下げを余儀なくされたことから「ahamoショック」と呼ぶ人がいるが、今回の大増量もそれに準ずる衝撃を与えているようだ。
その最たる例はソフトバンクの「LINEMO」だろう。LINEMOは2024年 7月30日に新料金プラン「ベストプランV」を始めたばかりだが、20GBで2,970円、通話5分定額込みという、(当時の)ahamoを強く意識した料金設定になっている。このプラン開始の理由にユーザーのデータ使用量の増加傾向に対応すると謳われていたが、「ベストプランV」で20GBを越えると3,960円に跳ね上がり(上限30GBまで)、増収狙いの側面も垣間見えていた。しかし対抗するahamoが料金据え置きで30GBに増量されることで、「ベスト」とは名ばかりになってしまった。今のところLINEMOでは対抗策を打ち出せず、期間限定のキャンペーンを展開しているが付け焼き刃もいいところだ※。
KDDIは「UQモバイル」が2023年 6月にahamo対抗の「コミコミプラン」を投入。月間20GB・通話10分定額込みで3,278円という料金設定で、ahamoより高いが、通話定額が5分では足りないという人には良い選択肢になっていた。しかしahamoの増量には今のところ対応できていない。
ahamoの増量に対抗して(と明言してはいないが)2024年11月12日から、料金据置で月間30GBまで使える「コミコミプラン+」が投入されることになった。ただし既存ユーザーはプラン変更手続きが必要で、最短12月から適用になる。2ヶ月遅れにはなるが、しっかり対応してきた。
もうひとつ、オンライン専用の「povo 2.0」ではこれまでキャンペーン価格としてきた「データ追加300GB(365日間)」を8月より定常化していた。povoは歴月に縛られず無駄なく使えることが売りなので比較が難しいが※、単純に均すと月平均25GBで2,067円になる。これをもってMNOで「最安!」と謳われていたが、月平均30GBのメニューは持ち合わせておらず、「最安!」の看板を早々に下ろすことになった。
やはりahamoの増量に対抗して(と明言してはいないが)2024年10月18日から、「データ追加360GB(365日間)」26,400円が定常トッピングに追加された。1ヶ月あたり約30GBを2,200円で利用でき、通話5分定額を付けても月額換算2,750円になる。1年分を前払いする必要はあるものの、「最安!」に返り咲いた。
まあ経営体力のあるMNOはともかく、「格安」を売りにしているMVNOへの影響が気がかりだ。
例えばIIJmioは2024年 3月より「30ギガ」「40ギガ」「50ギガ」を始めた。IIJmioでは複数回線でシェアして使えるメリットはあるものの、「30ギガ」は2,700円(通話定額無し)なので、増量されたahamoと大差なくなってしまった(通話定額を付けるとahamoより高くなる)。MVNOには昼休み時間帯などの速度低下が付きまとうので、この料金差だと霞んでしまいそうだ。
NUROモバイルも2021年11月に始めた「NEOプラン」が月間20GBで2,090円。元よりahamo対抗で設計され、MVNOでありながら昼休み時間帯などでも快適に使えることを売りにしている。データ使用量の増加傾向に対応して2023年 3月から月額3,980円で40GB使える「NEOプランW」を始めている。アップロードがカウント対象外になる「あげ放題」や継続利用でおまけが付く「Giga+」などもあるので単純比較は難しいものの、ahamo増量の影響を受けそうだ。
MVNOも手をこまぬいて見ているばかりではなく、日本通信SIMは迅速に動いた。元々「合理的30GBプラン」が通話5分定額付きで月額2,178円。元の料金でもahamoの新料金よりだいぶ安くて競争力がありそうに思うが、ahamoより1日早い2024年 9月30日より、料金据え置きで20GBも増量されて「合理的50GBプラン」にリニューアルされた(既存ユーザーにも自動適用)。ahamoへの対抗意識もさることながら、大胆な料金設定に度肝を抜かれた。
また、月間20GBで充分という人には「合理的みんなのプラン」を増量して月額1,390円(通話5分定額付き)で提供。昼休み時間帯などの速度低下はあるものの、ahamoの半額以下で毎月20GB使えるのは驚異的な安さだ。これだけ安いと、月間20GBで充分という人は(知名度さえ上がれば)乗り換えたくなるのではなかろうか。
ドコモはシェア低下を嘆いているが、依然として35%ものシェアを握る国内最大手で、MNOの廉価ブランドもMVNOも「ahamo」を基準にプラン設計している節がある。それほど影響力の大きいahamoの大胆な増量は、競合他社に再び衝撃を与えたというわけだ。
競争によりデータ単価が下がるのはユーザー目線では嬉しい限りだし、MNO他社の対抗にも期待したいところだが、MVNOの淘汰が進んで競争相手が減るような事態になると中期的に再び値上げ圧力にもなりかねないので、MVNOへの卸・接続料がきっちり下がるのか等、競争環境(を監督する総務省)の動向にも注視したい。
ところで、ドコモが新次元の安さに踏み込んできた背景には、ahamoの解約抑止が課題になっているようだ。解約理由には通信品質の低下もあるだろうが、ユーザーのデータ使用量が増加しており、20GBでは足りないユーザーが離脱していると読んでいるようだ。
政治の介入を受けて2021年に各社こぞって投入されたオンライン手続き限定20GBプランだが、3年経って容量不足が指摘されるようになった。LINEMOの改定もそれが理由だったし、povoでも大容量トッピングが多数追加発売されている。
ahamoは「大盛りトッピング」で対応していたが、今回は基本プランの増量に踏み込んできた。一見するとARPUの頭を抑える懸念が浮かぶが、解約抑止・シェア確保を優先するという意思表示なのだろう。
5G展開の巧拙が明暗を分ける
しかし、ドコモにはネットワーク品質の相対的な低下が付きまとう。指摘を受けて渋谷など一部の大都市繁華街では改善して見せたが、全体的にドコモのネットワークは鈍重だ。ドコモには全国の広いエリアで使える利点があるものの、筆者の生活圏で見れば、感覚的になるが【ソフトバンク≒KDDI>>>楽天≒ドコモ】という低レベルだ。
筆者のは首都圏における感覚的な評価だが(既述のように山間地では異なる評価になる)、ドコモが自ら引き合いに出しているOpensignalでも2024年10月に似たような評価を出していた。2024年春夏には首都圏広域でKDDIの品質が目に見えて高まったことが印象的だったが、ドコモの改善は渋谷等のごく一部に留まっており、それもダメダメだったのが他社並みになった程度。面的に見ると2024年はKDDIが都市部で5Gエリアの可用性を大幅に高めたのに対し、ドコモは「瞬速5G」の使いにくさを印象付ける年になった。
こうなるのは自明で、ドコモはシェアNo.1で多くのユーザーを抱える割りに、エリアは広く・薄いので、人口が疎らな山間地ではそこそこ使えるが、人口が密集する都市部では使い勝手が悪くなる。エリアを厚くするのに有効な5Gの展開期に「瞬速5G」に拘ってコケたのも仇になった。渋谷等の大都市の駅前繁華街でスポット的な改善はしたが、面的に改善するには時間も費用も嵩むだろう。
逆にソフトバンクは狭く厚く、長年かけて都市部に厚いエリアを作ってきた(山間地のエリア化はプラチナバンド頼みで雑な感じがあった)ので、郊外や山間地では使い勝手が悪いが、都市部では快適だ。KDDIはその中間で広く厚い(そのぶん設備投資は嵩んでいそうだが)。先んじて都市部のエリアを厚くしてきたソフトバンクやKDDIに、ドコモが追いつくには相当の時間がかかるだろう。
もっとも、吉沢・井伊両社長時代に崩壊したドコモの通信品質は、交代した前田新社長が建て直しを図っているようだ。2024年11月 7日の四半期決算発表の場でも、これまで他社を批判していた4G周波数の転用をドコモでも本格化させることが示された。
事実上、これまで同社が「瞬速5G」と喧伝してきたn79偏重の整備方針からの脱却宣言とも取れるが、一方で「我々はSub6のエリアをどう広く作るかということを優先してきました。品質を保てている場所もありますので、これが間違いだったとは思っていませんが…」と述べているようで、これまでの整備方針を反省している様子は読み取れない。
ドコモは「全国のSub6エリアカバー率No.1」とアピールしているが、筆者が見ている範囲では、都市部でも郊外や山間地でもドコモの5Gがまともに使えたためしはほとんどない。唯一の例外は東京山手線内などの都心部で、それ以外の場所でドコモの5Gを掴むことは稀と言っていい。もちろん、エリアマップを見てその中心付近で基地局を探してその近くで試せば5Gを掴むが、自宅や事務所、電車内や店舗内などの普段使う場面でドコモの5Gが快適に使えるとは言い難い。ドコモの5Gエリアは点としては存在するが、面になっていないということだ。
これはひとえに、n79以外の5Gエリアの整備が非常に遅れていることが原因だろう。その対策として今回転用を打ち出してきたのだろう。それはそれで進めてほしいと思うが、かつてドコモが自ら言っていたように、転用で5Gを使えるようになっても「なんちゃって5G」でしかない。
ドコモの欠点は同じく5G専用の帯域であるn78の整備が極めて不十分なことがあると思う。先述したように、ドコモが販売する端末は全て 5G n79 に対応しているが、ahamoやMVNOユーザーの多くが使っているSIMフリー機種や他社販売機種はドコモの 5G n79 に対応していないものが多いので、こうした機種は4Gにつながって混雑を生み出す。ドコモがn78を整備せぬまま4G周波数の5G転用を進めると、4Gの帯域が減って4Gがますます混むことになりかねないと危惧される。
SIMフリーや他社販売機種もn78には対応しているものが多いので、n78の面的整備が必要な局面だが、これまでの整備方針の間違いを認識していないうちは、ドコモの品質問題の根本は解消しないだろう。n78の整備を進めない限り、ドコモの5Gが他社に追いつくことはないだろうが、この期に及んでもドコモがn78を面的整備する姿勢が見えてこないのが気がかりだ。
Ericsson製基地局設備を導入
もっとも、最大手のドコモが本当に反省して本気で臨めば、数年待てば他社に追いつけるかもしれないが、設備投資は嵩みそうだ。
ドコモはこれまで主に国内ベンダーの基地局設備を導入してきたが、これからは「vRAN」への移行を進めるとともに、海外ベンダーからも積極的に調達する方針に転換すると報じられた。
もちろん、「vRAN」を外販する以上は自社設備もマルチベンダー化したい狙いもあるのだろうが、多くのベンダーから少数の機器を調達するのではコスト抑制にならない。一般に、1社または少数のベンダーから多くの機器を調達する方がコスト面では有利になる。もしそうなると、ドコモに機器を納めていた国内ベンダーにとっては死活問題になるかもしれない。
…と受け止めていたのだが、続報を見ると、どうやら事態は一層深刻な様相だ。ドコモはエリクソン製の「Massive MIMO」対応基地局を本格導入するという。
- 通信のミライ KDDI、通信品質調査で「一人勝ち」 ドコモは「電電ファミリー」中心撤回へ(日経ビジネス、2024年10月21日)
- NTT島田社長が「『基地局を海外製に切り替え』は誤認」、総務省の会合でコメント(ケータイWatch、2024年10月29日)
2024年10月29日にNTTの島田社長曰く「通信量の増大により『Massive MIMO』などの技術が重要になる中で、Massive-MIMOを提供できる国内メーカーがないため、海外製の機器を導入した」そうだ。ただし「外資系メーカーに(採用を)転換したというのは事実誤認」とも言っていたようだが、Massive MIMO に対応できない国内メーカー製品の用途は限られてしまうだろう。
この記事の言う「電電ファミリー」とは富士通とNECだが※、NTTと深い資本関係があるというわけではなく、古くからの長い付き合いが続いていることの隠喩だ。
両社はガラケー時代には個人向けの通信端末も造っていたが※、富士通は電話交換機の製造が祖業だし、NECは子会社の日通工(当時)が長らく電話交換機や無線機の開発・製造を担っていた。NTTはPSTNマイグレーションにより既に交換機の新規調達を終了しており、現在は両社とも電話交換機の製造から撤退しているが、創業時からの深い付き合いが続いている。
現在、基地局等のモバイル通信機器は富士通が新川崎で、NECが向河原で開発しており、国内ではこの2社と京セラ、アンリツなどが今でも通信機器の技術を持っているが、富士通とNECの基地局開発はドコモが支えていたと言っても過言ではないだろう※。
一方、ソフトバンクは4G時代から Massive MIMOの導入を積極的に進め、これが同社のネットワーク品質を引き上げてきたが、ソフトバンクの4G・5G基地局はほぼEricssonで※、スウェーデンの企業がソフトバンクの高い通信品質を支えていると言っても過言ではないだろう。
そこにドコモも白羽の矢を立てたということだろうが、ソフトバンクもドコモもエリクソンとなると、国内メーカーの技術開発力の衰退も懸念されそうだ。
参考リンク
ニュースリリース
- 新料金プラン「ahamo(アハモ)」を発表
- 新料金プラン「ahamo(アハモ)」の提供条件について(2021年 1月14日)
- 「5Gギガホ プレミア」「ギガホ プレミア」を提供開始 -大容量プランを見直し、よりシンプルでおトクに- <2020年12月18日>
- 携帯電話番号ポータビリティ手数料の廃止 <2020年12月18日>
- 【ahamo】2021年3月提供開始予定の、新料金プラン「ahamo(アハモ)」について教えてください。
- Xi端末×5G契約のドコモUIMカード利用時の仕様上の動作可否と制限事項一覧
- 「ahamo」の月額料金を税別2,700円(税込2,970円)に改定 <2021年3月1日>
- 新しい料金プラン「ahamo」にiPhoneシリーズが対応 <2021年3月1日>
- 新しい料金プラン「ahamo」にAndroidスマートフォン72機種が対応 <2021年3月1日>
- 【重要】料金プラン「ahamo」を契約予定のお客さまへ(2021年3月1日)
- ahamoへプラン変更手続きを行う際のご注意
- ahamoご契約時における決済サービスの提供差異について
- ドコモオンラインショップやahamoサイトにおけるeSIMの提供を開始 -iPhone12シリーズおよびiPhoneXS以降のモデル、iPadがeSIM対応機種に追加- <2021年9月1日>
- 解約金や解約金留保の廃止及び定期契約の新規受付終了<2021年9月21日>
- dポイントを活用するエコノミーMVNOとの連携に合意 -全国のドコモショップで低廉なエコノミーMVNOの料金サービスの契約が可能に- <2021年10月7日>
- 「ドコモのプランについてくるAmazonプライム」の提供終了について(2021年11月 9日)
- 「ドコモメール持ち運び」を提供開始(2021年12月15日)
- ドコモメール持ち運び
- 「ahamo大盛り」の提供を開始 -月額4,950円(税込)でデータ容量100GBまでご利用可能に- <2022年3月23日>
- 【お詫び】ドコモnanoUIMカードVer.7(グリーン)と一部機種との組み合わせにおいて、緊急通報位置通知の位置情報精度が下がる事象、および位置情報サービスが利用できない事象について(2022年 5月26日)
- 「ahamo大盛り」の提供を開始 -6月9日(木曜)から申込可能、先行エントリーキャンペーンの受付は6月8日(水曜)まで- <2022年6月6日>
- 富士山頂や尾瀬などの国立公園のエリア化を推進 -夏のレジャーシーズンに向け、全国各地のレジャースポットで通信サービスを提供- <2022年6月27日>
- ahamoにおけるワンナンバーサービスの提供開始 <2022年6月29日>
- 5G国際ローミングの提供を開始 -5G通信サービスが海外でも利用可能に- <2022年7月12日>
- スマートフォン対応「5G SA」を提供開始<2022年8月23日>
- 人気のサービスのご利用で毎月最大20%のdポイントを還元する特典「爆アゲ セレクション」の提供を開始 -「ギガホ」「ahamo」のご契約で、人気の映像配信サービスなどをおトクにご利用可能- <2023年3月6日>
- 「ギガホ」「ahamo」をご契約ならおトクに使える!「爆アゲ セレクション」に、「Spotify Premium」が新たに追加。毎月dポイントを25%還元へ -「YouTube Premium™」は2023年4月27日から取扱い開始- <2023年4月25日>
- 「副回線サービス」を提供開始 -ドコモをご利用のお客様がau回線に切り替えてご利用可能に- <2023年5月9日>
- 店頭での事務手数料を改定 -各種手続きに関わる手数料を一律3,850円に改定- <2023年5月9日>
- MNPワンストップ方式による新たなMNP手続きの受付を開始<2023年5月19日>
- 「ahamo」の契約数が500万を突破 ~先着 50 万名様に機種変更割引のキャンペーンを実施~(2023年 6月16日)
- 「データプラス」のペア回線に「ahamo」を追加(2023年10月12日)
- コールセンターでの事務手数料を改定 -各種手続きに関わる手数料を一律3,850円とし、店頭事務手数料と同額へ改定- <2023年10月26日>
- 「ドコモポイ活プラン」の提供を開始 -「ahamo ポイ活」または「eximo ポイ活」のご契約で、dポイントがもっとたまる!もっとつかえる!- <2024年3月21日>
- ドコモとAmazonがdポイントおよびAmazonプライムに関する協業を開始 -dポイントがAmazonでのお買物でたまる!つかえる! ドコモを通じてAmazonプライムにご登録いただくとdポイントが毎月120ポイント還元- <2024年4月10日>
- 「ahamo機種変更フェア」の実施について(2024年 7月26日)
- 「ahamo」の月間利用可能データ量を20GBから30GBに増量-料金はそのまま!月額料金2,970円で提供-(2024年 9月12日)
他社の記事等
- ドコモ、20ギガ月2980円の廉価ブランド 通話料込み(日本経済新聞、2020年12月 2日)
- ドコモが新料金プラン「ahamo」発表 月額2980円で20GB+5分かけ放題(ITmedia Mobile、2020年12月 3日)
- ドコモの「ahamo」はサブブランドではなく“若者向けメインプラン” 井伊新社長が語る狙い(ITmedia Mobile、2020年12月 3日)
- ドコモ、5Gも利用できる月20GB/2980円の新プラン「ahamo」発表(ケータイWatch、2020年12月 3日)
- ドコモが「5Gギガホ」など既存プランの内容を見直し 12月中に詳細を発表へ 格安プランはMVNOとの連携を軸に検討(ITmedia Mobile、2020年12月 3日)
- ドコモ井伊社長、既存プラン見直しは「12月中に発表」(ケータイWatch、2020年12月 3日)
- 大容量プラン、値下げ主戦場 KDDIなど追随へ圧力(日本経済新聞、2020年12月 3日)
- 携帯料金、自由化も競争空回り 高止まり・寡占続く(日本経済新聞、2020年12月 3日)
- ドコモがオンラインでの「eSIM(再)発行」を停止中 再開は未定 ドコモショップでの手続きを呼びかけ(手数料無料)(ITmedia Mobile、2021年11月 2日)
他社の関連記事
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- ドコモが新プラン「ahamo」発表、競合各社の受け止めは(ケータイWatch)
- 楽天株が6%超安、NTTドコモの新料金プラン発表を嫌気(ロイター)
- 「楽天は相当厳しい」ドコモ大幅値下げ、専門家の見方は(朝日新聞)
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- 石野純也のMobile Eye:3キャリアの値下げでMVNOに大打撃の恐れ “いびつな競争環境”は解消できるか?(ITmedia Mobile、2021年 1月23日)
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- 2023年携帯電話業界展望 携帯電話業界座談会(3)「一括1円」「転売ヤー」問題で揺れる携帯販売、業界の闇を是正できるか(日経XTECH、2023年 1月17日)
- 2023年携帯電話業界展望 携帯電話業界座談会(4)ドコモショップ大量閉店で販売代理店が断末魔、2023年にさらなる再編も(日経XTECH、2023年 1月19日)
- 【ヤバすぎ】ドコモショップ生き残りサバイバル!?(スマサポ、2023年 2月 4日)
- “オンライン来店”がドコモショップ大量閉店の受け皿に 「ドコモのオンライン窓口」提供の背景(ITmedia Mobile、2023年 2月17日)
- モバイル一刀両断 スマホ1円販売のカラクリをあっさり認めた携帯大手、公取委の調査で墓穴を掘ったか(日経XTECH、2023年 3月15日)
- ドコモが「爆アゲ セレクション」で目指す価値、提供の背景を訊く(ケータイWatch、2023年 4月 3日)
- ドコモ回線に悩まされる日々、検討しているプラン変更(ケータイWatch、2023年 4月 6日)
- DATAで見るケータイ業界 キャリアショップ数はこの半年で184店減の7794店、ドコモショップは81店の大幅減を記録(ケータイWatch、2023年 4月15日)
- ドコモが語る「5G」の課題と未来、質疑は「品質低下」に集中(ケータイWatch、2023年 4月26日)
- ドコモ、「スマホがつながりにくい問題」は今夏解消目指す(ケータイWatch、2023年 4月26日)
- なぜドコモで「つながりにくい」問題が起きているのか 明かされた根本的な要因(ITmedia Mobile、2023年 4月27日)
- 通信品質が最も安定しているのはソフトバンク、ドコモ抜く――オープンシグナルのレポート(ケータイWatch、2023年 4月27日)
- NTT、「強靭性の高いネットワークの実現」に向けた取り組みとは(ケータイWatch、2023年 4月28日)
- 石野純也のMobile Eye ドコモに聞く「パケ詰まり」の要因と対策 5Gエリア拡大の前にすべきこと(ITmedia Mobile、2023年 4月29日)
- モバイル一刀両断 「遅い」との不満が続出するドコモの異変、釈然としない言い訳で高まる不安(日経XTECH、2023年 5月10日)
- 崩れたドコモの品質神話、「電波が悪い」の不満噴出で迫られる対策(日経ビジネス、2023年 5月10日)
- ドコモの22年度連結決算、収益は+3.2%の6兆590億円――通信料金値下げの影響は「底打ち」と予想(ケータイWatch、2023年 5月12日)
- ドコモの通信品質改善、状況や今後の取り組みは? キーパーソンに聞く(ケータイWatch、2023年 8月 1日)
- ドコモの通信品質が低下した理由は「コロナ禍明けの人流の急増」――キーパーソンとの一問一答(ケータイWatch、2023年 8月 1日)
- 石野純也のMobile Eye ドコモのパケ詰まりは改善が進むも、依然として残る“穴” 通信品質低下を招いた根本的な原因は?(ITmedia Mobile、2023年 8月 5日)
- IIJ勝社長、ドコモの回線品質問題で「苦情が増えている、事前の連絡が全くなかった」と不快感(ケータイWatch、2023年 8月 8日)
- DATAで見るケータイ業界 基地局数からみた5Gの現状と今後の展望(ケータイWatch、2023年 8月12日)
- モバイル一刀両断 ドコモの井伊社長が激怒した通信品質問題は収束へ、それでも残る不安の正体(日経XTECH、2023年 8月18日)
- Eye ドコモとソフトバンクの“パケ詰まり”対策 明暗を分けた差はどこにあったのか(ITmedia Mobile、2023年 9月23日)
- モバイル一刀両断 ソフトバンクが「見える化」したドコモの通信品質、ネガキャンで片付けられない深刻度(日経XTECH、2023年 9月27日)
- みんなのケータイ 混迷を極めるdアカウント(ケータイWatch、2023年 9月29日)
- ドコモ、全国2000カ所超で回線品質の対策を実施へ(ケータイWatch、2023年10月10日)
- ドコモ、「点」と「線」でトラフィック問題解消へ 300億円投資(Impress Watch、2023年10月10日)
- 石野純也のMobile Eye ドコモが通信品質改善を本格化しても残る疑問 他社との差を埋めるのに必要なことは?(ITmedia Mobile、2023年10月14日)
- 第153回 知って納得、ケータイ業界の“なぜ” 「なんちゃって5G」に足元をすくわれたNTTドコモ、“つなぎ”の技術をなぜ嫌うのか(マイナビニュース+Digital、2023年10月16日)
- 通信サービスの満足度はahamoとLINEMOがツートップ、伸び率トップはUQ mobile MMDの調査より(ITmedia Mobile、2023年10月19日)
- なぜパケ詰まりが起こるのか(後編):「コロナ禍の変化」と「3キャリアの5G整備計画」から探る(ITmedia Mobile、2023年10月26日)
- ドコモの5G契約数、2484万件に(ケータイWatch、2023年11月 7日)
- ドコモ「ワンナンバーサービス」の登録手数料を無料化、20日3時から(ケータイWatch、2023年11月 7日)
- 5分で知るモバイルデータ通信活用術 改善まで時間が掛かりそうなドコモの通信環境 他社に転出したら「速くはないが快適」に(ITmedia Mobile、2023年12月20日)
- 冬コミでドコモの電波は大丈夫? ドコモの「コミックマーケット103」対策を取材(ケータイWatch、2023年12月27日)
- ドコモとKDDIが「船上基地局」、能登半島地震(ケータイWatch、2024年 1月 6日)
- モトローラ日本法人新社長の仲田正一氏を直撃 “ドコモ時代の知見”を生かし、キャリアビジネス拡大を狙う(ITmedia Mobile、2024年 1月16日)
- ドコモの通信サービスが一部地域除き応急復旧、能登半島地震(ケータイWatch、2024年 1月18日)
- 停電と伝送路の寸断が与えた大きな影響――能登半島地震、携帯電話の通信障害(ケータイWatch、2024年 1月18日)
- 能登半島地震でドコモとKDDIが運用した「船上基地局」、両社が語るメリットと日本海の厳しさ(ケータイWatch、2024年 1月18日)
- 能登半島地震の「船上基地局」、初めて運用したドコモの担当者に聞く(ケータイWatch、2024年 1月19日)
- 4キャリアが能登半島地震のエリア復旧状況を説明 “本格復旧“を困難にしている要因とは(ITmedia Mobile、2024年 1月19日)
- モバイル一刀両断 ドコモが問題視する音声接続料格差が解消へ、データ接続料上昇の副作用に懸念(日経XTECH、2024年 1月24日)
- 2024年携帯電話業界展望 第2回 金融の出遅れが目立つドコモ・正念場の楽天モバイル、携帯競争は沈静化へ(日経XTECH、2024年 1月25日)
- 2024年携帯電話業界展望 第3回 意外に根深いドコモの通信品質問題、インフラへの取り組みの違いで通信各社に個性も(日経XTECH、2024年 1月26日)
- DATAで見るケータイ業界 NTTドコモの“真水”の回線数は約2年ぶりに純減、MVNOへの回線提供にもブレーキ(ケータイWatch、2024年 1月27日)
- 山端宏実のFinTech裏話 幻に終わったドコモ・CCC提携、透ける三井住友FGの「配慮」(日経XTECH、2024年 1月30日)
- ドコモショップ、スタッフが設定などを確認する「スマホセキュリティてんけん」 2月1日から無料実施(ITmedia Mobile、2024年 1月31日)
- ドコモの通信品質、9割以上の対策が完了 「d払い」アプリを品質改善に活用(ITmedia Mobile、2024年 2月 2日)
- “計画通りに進んだ”ドコモの通信品質改善、キーパーソンが見せた自信(ケータイWatch、2024年 2月 2日)
- ドコモ、通信品質改善で「d払い」など活用スタート(ケータイWatch、2024年 2月 2日)
- 石野純也のMobile Eye 終わりの見えないドコモの通信品質改善 d払いアプリの活用で“パンドラの箱”を開く恐れも(ITmedia Mobile、2024年 2月 3日)
- ドコモはARPU減少も「irumoが好調」「通信品質は着実に改善している」 NTT島田社長がコメント(ITmedia Mobile、2024年 2月 8日)
- NTT島田社長「irumoが売れている」「ドコモは頑張っている」、第3四半期決算会見(ケータイWatch、2024年 2月 8日)
- 大規模災害で有用な携帯電話のローミング、課題山積も2025年度中の実現に期待(日経XTECH、2024年 3月 6日)
- DATAで見るケータイ業界 NTTドコモのインフラ調達の変化とネットワーク構築の課題(ケータイWatch、2024年 3月 9日)
- 山手線での通信品質は「ソフトバンクがもっとも優秀」、Opensignalの分析(ケータイWatch、2024年 3月15日)
- 「ドコモポイ活プラン」登場、その狙いは? 若年層×スマホ決済で経済圏拡大へ(ケータイWatch、2024年 3月21日)
- ドコモがAmazonと新たな協業に至った理由とは? 担当者との一問一答(ケータイWatch、2024年 4月11日)
- Opensignalのユーザー体験レポート――楽天モバイルがソフトバンクと肩を並べる7部門、auは5部門で受賞(ケータイWatch、2024年 4月24日)
- DATAで見るケータイ業界 国内基地局ベンダ市場で45%のシェアを獲得した北欧ベンダ、大幅にシェアを落とした国内ベンダ(ケータイWatch、2024年 4月27日)
- モバイル一刀両断 ドコモの社長交代人事を読み解く、単なる「若返り」では解せない背景(日経XTECH、2024年 5月15日)
- モバイル一刀両断 24年3月期決算は携帯大手の中で唯一増益、それでも不安が尽きないドコモの内情(日経XTECH、2024年 5月29日)
- 東海道新幹線でソフトバンクが1位、楽天はアップロード1位、ドコモはふるわず――Opensignal調査(ケータイWatch、2024年 7月31日)
- ドコモの決算は増収減益 シェア拡大などで改善目指す(ケータイWatch、2024年 8月 7日)
- モバイル一刀両断 解約しやすいahamoでドコモが大盤振る舞い、「シェア低下はもう許しがたい」(日経XTECH、2024年10月 2日)
- 石野純也のMobile Eye ドコモがahamoを30GBに増量した背景 前田社長が語る“3層料金戦略”とアップセルへの道筋(ITmedia Mobile、2024年10月12日)
- モバイル一刀両断 販売代理店の苦境で最大手まで再編対象に、ドコモが引き金を引いた「量」の競争の帰着(日経XTECH、2024年10月16日)
- 通信のミライ KDDI、通信品質調査で「一人勝ち」 ドコモは「電電ファミリー」中心撤回へ(日経ビジネス、2024年10月21日)
- NTT島田社長が「『基地局を海外製に切り替え』は誤認」、総務省の会合でコメント(ケータイWatch、2024年10月29日)
- ドコモ、つながりやすさ対策強化へ Sub6/4G転用周波数あわせて増強(ケータイWatch、2024年11月 7日)
- ドコモの2025年3月期第2四半期は増収減益、MNP数・eximo加入増で改善へ(ケータイWatch、2024年11月 8日)
- モバイル一刀両断 ahamo増量は競合他社の追随で無駄打ち、ドコモの攻勢で漁夫の利を得るのは誰?(日経XTECH、2024年11月13日)
ユニバーサルサービス・NTT法(整理中)
- 「大NTT」復活も?法改正で浮上する再編シナリオ 政府・自民党は前のめりだが競合は警戒ムード(東洋経済オンライン、2023年 9月 8日)
- NTT法の廃止は「絶対反対」「料金値上げにつながる」 KDDIやソフトバンクのトップが主張、180者が賛同(ITmedia Mobile、2023年10月19日)
- 法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」NTT法を巡る議論、日本の通信インフラの将来を考えるべき(ケータイWatch、2023年10月24日)
- モバイル一刀両断 NTT法廃止を巡って全面対決、競合他社はドコモ完全子会社化の「反省」生かす(日経XTECH、2023年11月 8日)
- 「NTT法廃止」で弱小・楽天モバイルの序列が急浮上!自民党の奇襲に便乗したNTTは孤立無援に(ダイヤモンド・オンライン、2023年12月21日)
- NTT会長が激白!「NTT法廃止が変革のトリガーに」(東洋経済オンライン、2023年12月25日)
- NTT法めぐる緒戦、「NTTが完全勝利」2つの理由 競合キャリア猛反発も、自民党が「法廃止」提言(東洋経済オンライン、2024年 1月 9日)
- NTT島田明社長が激白 普通の会社になりたい NTT法廃止で社名も変える(日経ビジネス、2024年 1月12日)
- 目覚めるNTT(1)NTT澤田会長が激白「NTT法廃止を日本を変えるチャンスに」(日経ビジネス、2024年 1月15日)
- 「普通の企業」に?NTTの主張はなぜ“浮世離れ”か NTT法廃止がもたらすのは次世代への負の遺産(東洋経済オンライン、2024年 1月19日)
- 2024年携帯電話業界展望 第1回 2024年も注目のNTT法見直し議論、「経産省 vs 総務省」の構図になるのは当然(日経XTECH、2024年 1月24日)
- KDDI髙橋社長、能登半島地震を経て「NTTの“特別な資産”」公正利用に向けてNTT法廃止論に警鐘鳴らす(ケータイWatch、2024年 2月 2日)
- KDDI・ソフトバンク・楽天の3社、改正NTT法に対して共同声明(ケータイWatch、2024年 4月17日)
- 「改正NTT法」が国会で成立 KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルが「強い懸念」表明(ITmedia Mobile、2024年 4月17日)
- 石川温の「スマホ業界 Watch」 「米ファンドがJTOWER買収」、携帯基地局のインフラシェアを支える資産と経済安全保障上の懸念は(ケータイWatch、2024年 8月27日)
- NTT法廃止に黄信号 総務省が報告書案公開、衆院選を狙ったか(日経美辞ネス、2024年10月22日)
- NTT法を巡る議論で報告書案、携帯各社トップらがコメント(ケータイWatch、2024年10月29日)
- 総務省、NTT法の見直しや公正競争を巡り4社トップにヒアリング(ケータイWatch、2024年11月 1日)
- KDDI髙橋社長「NTT法廃止の根拠が見当たらない」、決算説明会であらためて説明(ケータイWatch、2024年11月 1日)
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- OCN モバイル ONE - NTTドコモの子会社NTTレゾナントが運営していたMVNOサービス。ドコモショップで契約できる「ドコモのエコノミーMVNO」だったが、2023年7月の「irumo」登場に取って代わられ新規受付終了した。